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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第66巻(巳の巻)
序文
総説
第1篇 月の高原
第1章 暁の空
第2章 祖先の恵
第3章 酒浮気
第4章 里庄の悩
第5章 愁雲退散
第6章 神軍義兵
第2篇 容怪変化
第7章 女白浪
第8章 神乎魔乎
第9章 谷底の宴
第10章 八百長劇
第11章 亞魔の河
第3篇 異燭獣虚
第12章 恋の暗路
第13章 恋の懸嘴
第14章 相生松風
第15章 喰ひ違ひ
第4篇 恋連愛曖
第16章 恋の夢路
第17章 縁馬の別
第18章 魔神の囁
第19章 女の度胸
第20章 真鬼姉妹
余白歌
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<<< 恋の夢路
(B)
(N)
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第一七章
縁馬
(
えんば
)
の
別
(
わかれ
)
〔一六九九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻
篇:
第4篇 恋連愛曖
よみ(新仮名遣い):
れんれんあいあい
章:
第17章 縁馬の別
よみ(新仮名遣い):
えんばのわかれ
通し章番号:
1699
口述日:
1924(大正13)年12月17日(旧11月21日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年6月29日
概要:
舞台:
オーラ山へ向かう原野
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-04-20 14:51:50
OBC :
rm6617
愛善世界社版:
241頁
八幡書店版:
第11輯 819頁
修補版:
校定版:
245頁
普及版:
67頁
初版:
ページ備考:
001
梅公
(
うめこう
)
は
花香
(
はなか
)
と
共
(
とも
)
に
相乗馬
(
あひのりうま
)
にて、
002
風
(
かぜ
)
吹
(
ふ
)
き
亘
(
わた
)
る
高原
(
かうげん
)
を、
003
オーラ
山
(
さん
)
を
目当
(
めあて
)
となして、
004
カツカツと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
005
花香
(
はなか
)
『モシ
梅公
(
うめこう
)
様
(
さま
)
、
006
貴郎
(
あなた
)
は
鎮魂
(
ちんこん
)
なさつた
際
(
さい
)
、
007
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
のお
告
(
つ
)
げがあつたでせう。
008
私
(
わたし
)
の
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げた
事
(
こと
)
は
御
(
ご
)
神意
(
しんい
)
に
叶
(
かな
)
つてゐるでせうがな』
009
梅公
(
うめこう
)
『さうイライラと、
010
追求
(
つゐきう
)
されては
堪
(
た
)
まりませぬワイ。
011
天機
(
てんき
)
容易
(
ようい
)
に
洩
(
も
)
らす
可
(
べか
)
らず。
012
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
後
(
のち
)
の
楽
(
たの
)
しみとして、
013
記憶帳
(
きおくちやう
)
につけとめておきませう』
014
花香
(
はなか
)
『
其
(
その
)
記憶帳
(
きおくちやう
)
を
一寸
(
ちよつと
)
私
(
わたし
)
に
拝見
(
はいけん
)
さして
貰
(
もら
)
へませぬか。
015
私
(
わたし
)
も
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
に
仍
(
よ
)
つて
概略
(
がいりやく
)
は
存
(
ぞん
)
じてをります。
016
そして
又
(
また
)
私
(
わたし
)
も
記憶帳
(
きおくちやう
)
にいろいろの
神秘
(
しんぴ
)
を
記載
(
きさい
)
しておきました。
017
貴郎
(
あなた
)
の
記憶帳
(
きおくちやう
)
を
一寸
(
ちよつと
)
許
(
ばか
)
り
御
(
お
)
洩
(
も
)
らし
下
(
くだ
)
さらば、
018
私
(
わたし
)
の
記憶帳
(
きおくちやう
)
もお
目
(
め
)
にかけますがなア』
019
梅公
(
うめこう
)
『ハヽヽヽ
貴女
(
あなた
)
もぬかりが
有
(
あ
)
りませぬな。
020
記憶帳
(
きおくちやう
)
所
(
どころ
)
か、
021
気遅
(
きおく
)
れがして、
022
何
(
なに
)
も
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げられませぬワイ、
023
ハヽハイハイハイ』
024
と
手綱
(
たづな
)
を
引締
(
ひきし
)
め
乍
(
なが
)
ら
後
(
あと
)
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
り、
025
梅公
(
うめこう
)
『
花香
(
はなか
)
さま、
026
確
(
しつか
)
り
掴
(
つか
)
まへて
下
(
くだ
)
さいよ。
027
之
(
これ
)
からチツと
飛
(
と
)
ばしますから』
028
花香
(
はなか
)
『
幾
(
いく
)
らなつと、
029
お
飛
(
と
)
ばしなさいませ。
030
後
(
うしろ
)
から
貴郎
(
あなた
)
の
腰
(
こし
)
を
心
(
こころ
)
行
(
ゆ
)
く
計
(
ばか
)
り、
031
抱
(
だ
)
き
締
(
し
)
めますワ。
032
サアお
飛
(
と
)
ばしなさい』
033
と
息
(
いき
)
が
詰
(
つ
)
まる
程
(
ほど
)
抱
(
だ
)
き
締
(
し
)
めた。
034
梅公
(
うめこう
)
『あ、
035
痛
(
いた
)
い
痛
(
いた
)
い、
036
モチツとお
手柔
(
てやはら
)
かに
願
(
ねが
)
ひます。
037
息
(
いき
)
が
切
(
き
)
れますよ。
038
思
(
おも
)
ふやうに
手綱
(
たづな
)
が
使
(
つか
)
へないと、
039
貴女
(
あなた
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
落馬
(
らくば
)
しちやすみませぬからな』
040
花香
(
はなか
)
『ホヽヽそんな
気遣
(
きづか
)
ひはいりませぬよ。
041
落馬
(
らくば
)
しさうになつたら、
042
私
(
わたし
)
が
拘
(
かか
)
へて、
043
馬
(
うま
)
の
背
(
せ
)
から
飛
(
と
)
んで
上
(
あ
)
げますワ。
044
仮令
(
たとへ
)
おちて
頭
(
あたま
)
をうち
絶命
(
ぜつめい
)
した
所
(
ところ
)
で、
045
貴郎
(
あなた
)
と
二人
(
ふたり
)
ならば
満足
(
まんぞく
)
ですもの。
046
此
(
この
)
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つて
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
るのも
一興
(
いつきよう
)
で
厶
(
ござ
)
いませうよ』
047
梅公
(
うめこう
)
『コレコレ
花香
(
はなか
)
さま、
048
そんな
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をいふものでない。
049
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
所
(
どころ
)
か、
050
自分
(
じぶん
)
は
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
を
助
(
たす
)
けたいが
為
(
ため
)
に、
051
一途
(
いちづ
)
になつて
行
(
ゆ
)
くのだ』
052
花香
(
はなか
)
『
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
を
助
(
たす
)
けたいとは、
053
ソリヤ
何方
(
どなた
)
の
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
054
梅公
(
うめこう
)
『
何方
(
どなた
)
でも
宜
(
よろ
)
しい。
055
後
(
あと
)
になりや
分
(
わか
)
るでせう。
056
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
私
(
わたし
)
は
神
(
かみ
)
の
使命
(
しめい
)
に
仍
(
よ
)
りて、
057
目的
(
もくてき
)
の
人々
(
ひとびと
)
がオーラ
山
(
さん
)
に
捉
(
とら
)
へられて
居
(
を
)
るやうな
暗示
(
あんじ
)
を
与
(
あた
)
へられました。
058
貴女
(
あなた
)
も
一緒
(
いつしよ
)
にオーラ
山
(
さん
)
にお
登
(
のぼ
)
りになつたらどうですか。
059
お
厭
(
いや
)
なら、
060
お
宅
(
たく
)
迄
(
まで
)
貴女
(
あなた
)
を
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
け、
061
単騎
(
たんき
)
私
(
わたし
)
が
救援隊
(
きうゑんたい
)
に
向
(
むか
)
ふ
積
(
つも
)
りですから……』
062
花香
(
はなか
)
『
私
(
わたし
)
はどこ
迄
(
まで
)
も
貴郎
(
あなた
)
のお
伴
(
とも
)
を
致
(
いた
)
します。
063
仮令
(
たとへ
)
悪魔
(
あくま
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
でも
地獄
(
ぢごく
)
のドン
底
(
ぞこ
)
でもお
伴
(
とも
)
さして
下
(
くだ
)
さい。
064
女房
(
にようばう
)
は
夫
(
をつと
)
の
附物
(
つきもの
)
ですからな』
065
梅公
(
うめこう
)
『コレはしたり、
066
花香
(
はなか
)
さま、
067
又
(
また
)
しても
夫
(
をつと
)
だの、
068
女房
(
にようばう
)
だのと、
069
みつともないぢやありませぬか』
070
花香
(
はなか
)
『ハイ
私
(
わたし
)
はみつともない
女
(
をんな
)
で
厶
(
ござ
)
います。
071
到底
(
たうてい
)
貴郎
(
あなた
)
のお
気
(
き
)
にはいりますまい。
072
悪魔
(
あくま
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
迄
(
まで
)
美人
(
びじん
)
を
助
(
たす
)
けに
行
(
ゆ
)
くと
仰有
(
おつしや
)
る
位
(
くらゐ
)
ですもの。
073
どんな
立派
(
りつぱ
)
な
方
(
かた
)
が
貴方
(
あなた
)
を、
074
待
(
ま
)
つてゐらつしやるか
知
(
し
)
れませぬもの。
075
而
(
しか
)
し
私
(
わたし
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
より
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
に
許
(
ゆる
)
された、
076
貴郎
(
あなた
)
は
夫
(
をつと
)
ですもの、
077
私
(
わたし
)
は
貴郎
(
あなた
)
の
先取権
(
せんしゆけん
)
を
握
(
にぎ
)
つてますワ。
078
こんな
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すと
悋気
(
りんき
)
するやうですが、
079
決
(
けつ
)
して
悋気
(
りんき
)
なんか
致
(
いた
)
しませぬ。
080
私
(
わたし
)
が
貴郎
(
あなた
)
に
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
はれて
嬉
(
うれ
)
しかつた
様
(
やう
)
に、
081
貴郎
(
あなた
)
の
意中
(
いちう
)
の
人
(
ひと
)
も、
082
貴郎
(
あなた
)
に
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
はれるのは
殊更
(
ことさら
)
嬉
(
うれ
)
しいでせう。
083
そして
貴郎
(
あなた
)
を
愛
(
あい
)
する
女
(
をんな
)
の
方々
(
かたがた
)
は
如何
(
いか
)
なる
人
(
ひと
)
か、
084
一遍
(
いつぺん
)
お
顔
(
かほ
)
も
拝
(
をが
)
みたう
厶
(
ござ
)
いますから、
085
是非
(
ぜひ
)
お
伴
(
とも
)
をさして
頂
(
いただ
)
きたう
厶
(
ござ
)
います』
086
梅公
(
うめこう
)
『
何
(
なん
)
だか
妙
(
めう
)
な
所
(
ところ
)
へ、
087
言霊
(
ことたま
)
の
矢
(
や
)
が
向
(
む
)
きましたな。
088
疑
(
うたがひ
)
を
晴
(
は
)
らす
為
(
ため
)
、
089
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
、
090
打明
(
うちあ
)
けて
申
(
まをし
)
ませう。
091
実
(
じつ
)
は
花香
(
はなか
)
さま、
092
お
前
(
まへ
)
さまの
不在宅
(
るすたく
)
でタライの
村
(
むら
)
のタクソンさまに
出会
(
であ
)
ひ、
093
里庄
(
りしやう
)
のジャンクさまが
館
(
やかた
)
に
行
(
い
)
つたところ、
094
お
嬢
(
ぢやう
)
さまのスガコ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
悪者
(
わるもの
)
に
掻
(
か
)
つ
攫
(
さら
)
はれ
行方
(
ゆくへ
)
が
不明
(
ふめい
)
との
事
(
こと
)
で
非常
(
ひじやう
)
な
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
。
095
それに
又
(
また
)
許嫁
(
いひなづけ
)
のサンダーさま
迄
(
まで
)
が
家出
(
いへで
)
をなされ、
096
大変
(
たいへん
)
に
両家
(
りやうけ
)
の
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
、
097
吾々
(
われわれ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
として
看過
(
かんくわ
)
する
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きますまい。
098
折
(
をり
)
も
折
(
をり
)
とて、
099
トルカ
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
勅使
(
ちよくし
)
来
(
きた
)
り、
100
里庄
(
りしやう
)
のジャンクさまは
義勇軍
(
ぎゆうぐん
)
を
組織
(
そしき
)
し
一隊
(
いつたい
)
を
率
(
ひき
)
ゐて、
101
バラモン
軍
(
ぐん
)
征伐
(
せいばつ
)
の
為
(
ため
)
、
102
王城
(
わうじやう
)
守護
(
しゆご
)
の
為
(
ため
)
に
出陣
(
しゆつぢん
)
をなさつたのですよ。
103
私
(
わたし
)
も
其
(
その
)
軍
(
ぐん
)
に
従
(
したが
)
つて
途中
(
とちう
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りましたが、
104
どうしても
馬
(
うま
)
が
動
(
うご
)
かないので、
105
之
(
これ
)
は……お
二人
(
ふたり
)
を
助
(
たす
)
けよ……との
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
示
(
しめ
)
しと
直覚
(
ちよくかく
)
し、
106
駒
(
こま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
し、
107
馬
(
うま
)
の
進
(
すす
)
むが
儘
(
まま
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した
所
(
ところ
)
、
108
折
(
をり
)
よくも
貴女
(
あなた
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ふ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たのです』
109
花香
(
はなか
)
『あゝ
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
いますか、
110
それを
承
(
うけたま
)
はつて
安心
(
あんしん
)
を
致
(
いた
)
しました。
111
スガコさまとサンダーさまは
已
(
すで
)
に
許嫁
(
いひなづけ
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
112
何卒
(
どうぞ
)
助
(
たす
)
けて
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さいませ。
113
併
(
しか
)
しオーラ
山
(
さん
)
にゐられるでせうかな』
114
梅公
(
うめこう
)
『ハヽヽヽ、
115
之
(
これ
)
で
貴女
(
あなた
)
も
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
の
態
(
てい
)
と
見
(
み
)
えますな。
116
チツと
計
(
ばか
)
り
妬
(
や
)
いてゐましたね。
117
オーラ
山
(
さん
)
に
居
(
ゐ
)
られるか
居
(
ゐ
)
られぬかといふ
事
(
こと
)
は、
118
私
(
わたし
)
としては
判然
(
はつき
)
りとした
事
(
こと
)
は
分
(
わか
)
らないですが、
119
どうも
居
(
ゐ
)
られる
様
(
やう
)
な
直覚
(
ちよくかく
)
をするのです』
120
花香
(
はなか
)
『
毎晩
(
まいばん
)
々々
(
まいばん
)
オーラ
山
(
さん
)
には、
121
お
星
(
ほし
)
さまが
御
(
お
)
降
(
くだ
)
りになるといふ
事
(
こと
)
です。
122
天
(
てん
)
から
救世主
(
きうせいしゆ
)
がお
降
(
くだ
)
りになり、
123
万民
(
ばんみん
)
の
苦難
(
くなん
)
を
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さると
云
(
い
)
つて、
124
偉
(
えら
)
い
評判
(
うはさ
)
ですが、
125
何
(
なん
)
だか
私
(
わたし
)
は
虫
(
むし
)
が
好
(
す
)
かないので
一度
(
いちど
)
も
参
(
まゐ
)
つた
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
126
天
(
てん
)
から
星
(
ほし
)
が
降
(
くだ
)
つて
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
かれるなんて、
127
そんな
事
(
こと
)
が
実際
(
じつさい
)
あるものでせうかな』
128
梅公
(
うめこう
)
『さアそれが
第一
(
だいいち
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
点
(
てん
)
だ。
129
……あんな
事
(
こと
)
致
(
いた
)
して、
130
売僧
(
まいす
)
共
(
ども
)
が
山子
(
やまこ
)
してゐるのではなからうか、
131
人
(
ひと
)
の
妻女
(
さいぢよ
)
を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
り、
132
どつかへ
隠
(
かく
)
しておいて、
133
金品
(
きんぴん
)
を
強要
(
きやうえう
)
し、
134
商売
(
しやうばい
)
の
種
(
たね
)
に
使
(
つか
)
つて
居
(
を
)
るのではなからうか……と、
135
思
(
おも
)
はれてならないのです。
136
さうでなくては
私
(
わたし
)
だつて、
137
オーラ
山
(
さん
)
へ
目
(
め
)
はつけないのですからな。
138
之
(
これ
)
からボツボツ
参
(
まゐ
)
れば
丁度
(
ちやうど
)
酉
(
とり
)
の
刻
(
こく
)
[
※
17~19時
]
には
麓
(
ふもと
)
迄
(
まで
)
は
着
(
つ
)
けるでせう。
139
歌
(
うた
)
でも
唄
(
うた
)
つて
参
(
まゐ
)
りませうか、
140
貴女
(
あなた
)
のお
優
(
やさ
)
しい
声
(
こゑ
)
で
旅
(
たび
)
の
憂
(
う
)
さを
慰
(
なぐさ
)
める
為
(
ため
)
、
141
一口
(
ひとくち
)
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひたいものですな』
142
花香
(
はなか
)
『ハイ
畏
(
かしこ
)
まりました。
143
どうかお
笑
(
わら
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませぬ
様
(
やう
)
に……』
144
梅公
(
うめこう
)
『
上手
(
じやうず
)
に
面白
(
おもしろ
)
くお
唄
(
うた
)
ひになれば、
145
自然
(
しぜん
)
笑
(
わら
)
ひますよ。
146
お
歌
(
うた
)
が
下手
(
へた
)
だつたら、
147
畏
(
かしこ
)
まつて
承
(
うけたま
)
はりませう』
148
花香
(
はなか
)
『
貴郎
(
あなた
)
はキツと
笑
(
わら
)
ふ
積
(
つも
)
りでせう。
149
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
云
(
い
)
つて
予防線
(
よばうせん
)
を
張
(
は
)
つてゐらつしやるのですもの』
150
花香
(
はなか
)
『
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
151
一度
(
いちど
)
にかをる
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
152
梅公
(
うめこう
)
さまと
花香
(
はなか
)
とは
153
神
(
かみ
)
の
定
(
さだ
)
めし
縁
(
えにし
)
にて
154
名
(
な
)
さへ
目出
(
めで
)
たき
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
155
香
(
かを
)
りを
送
(
おく
)
る
春
(
はる
)
の
風
(
かぜ
)
156
駒
(
こま
)
の
嘶
(
いなな
)
き
蹄
(
つめ
)
の
音
(
ね
)
も
157
何
(
なん
)
とはなしに
勇
(
いさ
)
ましく
158
其
(
その
)
鼻息
(
はないき
)
はフーフーと
159
頭
(
かしら
)
をあげて
勇
(
いさ
)
みゐる
160
今
(
いま
)
乗
(
の
)
る
馬
(
うま
)
は
神
(
かみ
)
の
馬
(
うま
)
161
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
赤縄
(
えにし
)
を
結
(
むす
)
ぶなる
162
馬頭
(
ばとう
)
観世音
(
くわんぜおん
)
の
化身
(
けしん
)
ぞや
163
同
(
おな
)
じ
一
(
ひと
)
つの
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
り
164
人目
(
ひとめ
)
の
関
(
せき
)
も
突破
(
とつぱ
)
して
165
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大野原
(
おほのはら
)
166
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
芽出
(
めで
)
たけれ
167
私
(
わたし
)
と
貴郎
(
あなた
)
は
昔
(
むかし
)
から
168
結
(
むす
)
びの
神
(
かみ
)
の
引合
(
ひきあは
)
せ
169
生
(
うま
)
れし
国
(
くに
)
は
隔
(
へだ
)
つとも
170
霊
(
みたま
)
は
同
(
おな
)
じ
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
171
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
172
御許
(
みゆる
)
しうけて
結
(
むす
)
ばれし
173
千代
(
ちよ
)
の
縁
(
えにし
)
に
違
(
ちがひ
)
ない
174
悪者
(
わるもの
)
共
(
ども
)
に
取巻
(
とりま
)
かれ
175
今
(
いま
)
や
操
(
みさを
)
を
汚
(
けが
)
さむと
176
責
(
せ
)
めさいなまれたる
時
(
とき
)
もあれ
177
天狗
(
てんぐ
)
のような
高
(
たか
)
い
声
(
こゑ
)
178
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
より
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
179
一度
(
いちど
)
は
驚
(
おどろ
)
き
肝
(
きも
)
つぶし
180
如何
(
いか
)
に
吾
(
わが
)
身
(
み
)
はなるかやと
181
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
きゐたりしが
182
よくよくみれば
汝
(
な
)
が
命
(
みこと
)
183
花
(
はな
)
の
顔容
(
かんばせ
)
月
(
つき
)
の
眉
(
まゆ
)
184
水際
(
みぎは
)
に
匂
(
にほ
)
ふ
梅
(
うめ
)
が
香
(
か
)
の
185
花
(
はな
)
にもまがふ
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
に
186
会
(
あ
)
うた
嬉
(
うれ
)
しさ
懐
(
なつか
)
しさ
187
凡
(
すべ
)
ての
事
(
こと
)
を
打忘
(
うちわす
)
れ
188
たつた
一人
(
ひとり
)
の
母様
(
ははさま
)
の
189
淋
(
さび
)
しくお
暮
(
くら
)
し
遊
(
あそ
)
ばすを
190
訪
(
と
)
ひまつらむと
思
(
おも
)
へ
共
(
ども
)
191
貴郎
(
あなた
)
に
心
(
こころ
)
引
(
ひ
)
かされて
192
次
(
つぎ
)
になしたる
恋
(
こひ
)
の
暗
(
やみ
)
193
憐
(
あは
)
れみ
玉
(
たま
)
へ
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
よ
194
仮令
(
たとへ
)
野
(
の
)
の
末
(
すゑ
)
山
(
やま
)
のおく
195
大海原
(
おほうなばら
)
の
底
(
そこ
)
迄
(
まで
)
も
196
吾
(
わが
)
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
のある
限
(
かぎ
)
り
197
駒
(
こま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の
続
(
つづ
)
く
迄
(
まで
)
198
御伴
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
へまつるべし
199
天
(
てん
)
に
譬
(
たとへ
)
し
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
と
200
大地
(
だいち
)
に
譬
(
たとへ
)
し
妻
(
つま
)
の
身
(
み
)
の
201
いかで
離
(
はな
)
るる
事
(
こと
)
あらむ
202
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひ
)
に
人
(
ひと
)
となり
203
まして
有情
(
うじやう
)
の
女子
(
をみなご
)
が
204
如何
(
いか
)
でか
恋
(
こひ
)
を
忘
(
わす
)
るべき
205
山野
(
やまの
)
にすだく
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
も
206
梢
(
こずゑ
)
に
囀
(
さへづ
)
る
百鳥
(
ももどり
)
も
207
恋
(
こひ
)
を
歌
(
うた
)
はぬものはなし
208
恋
(
こひ
)
し
恋
(
こひ
)
しの
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
と
209
魔風
(
まかぜ
)
恋風
(
こひかぜ
)
面
(
おも
)
にうけ
210
魔神
(
まがみ
)
の
集
(
つど
)
ふオーラ
山
(
さん
)
211
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
出
(
いで
)
て
行
(
ゆ
)
く
212
吾
(
わが
)
魂
(
たましひ
)
は
奮
(
ふる
)
ひ
立
(
た
)
ち
213
血汐
(
ちしほ
)
は
躍
(
をど
)
り
魂
(
たま
)
光
(
ひか
)
る
214
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
215
イドムの
神
(
かみ
)
よどこ
迄
(
まで
)
も
216
二人
(
ふたり
)
が
仲
(
なか
)
を
永久
(
とこしへ
)
に
217
結
(
むす
)
ばせ
玉
(
たま
)
へ
万世
(
よろづよ
)
の
218
国
(
くに
)
の
礎
(
いしずゑ
)
固
(
かた
)
めむと
219
出
(
いで
)
立
(
た
)
ち
玉
(
たま
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
220
夫
(
をつと
)
に
有
(
も
)
ちて
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
221
魔神
(
まがみ
)
の
征途
(
せいと
)
に
進
(
すす
)
むなり
222
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
223
神
(
かみ
)
かけ
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
224
大日
(
おほひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
225
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
226
魔神
(
まがみ
)
の
力
(
ちから
)
強
(
つよ
)
く
共
(
とも
)
227
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せし
此
(
この
)
身体
(
からだ
)
228
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
のある
限
(
かぎ
)
り
229
いかでひるまむ
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
230
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎまつる』
231
梅公
(
うめこう
)
『アハヽヽヽヽ、
232
天晴
(
あつぱれ
)
々々
(
あつぱれ
)
、
233
ヤ、
234
モウ
梅公
(
うめこう
)
、
235
感
(
かん
)
じ
入
(
い
)
りました。
236
かやうな
名歌
(
めいか
)
を
聞
(
き
)
かされては
怖気
(
おぢけ
)
がついて、
237
私
(
わたし
)
は
唄
(
うた
)
ふ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
なくなつて
来
(
き
)
た。
238
どうか
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りたいものだな』
239
花香
(
はなか
)
『オホヽヽヽヽ、
240
ようそんな
卑怯
(
ひけふ
)
な
事
(
こと
)
が
仰有
(
おつしや
)
られますな。
241
貴郎
(
あなた
)
男
(
をとこ
)
ぢやありませぬか、
242
サア、
243
どうか
歌
(
うた
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
244
梅公
(
うめこう
)
『
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
を
駒
(
こま
)
の
背
(
せ
)
に
245
跨
(
またが
)
り
進
(
すす
)
む
此
(
この
)
ナイス
246
月雪花
(
つきゆきはな
)
か
将
(
はた
)
神
(
かみ
)
か
247
天女
(
てんによ
)
のやうなお
姫
(
ひめ
)
さま
248
かをり
床
(
ゆか
)
しく
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
249
梅公
(
うめこう
)
さまの
腰
(
こし
)
の
辺
(
べ
)
に
250
白
(
しろ
)
きただむき
淡雪
(
あはゆき
)
の
251
若
(
わか
)
やる
胸
(
むね
)
を
素
(
そ
)
だたきつ
252
大和
(
やまと
)
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
の
雄心
(
をごころ
)
を
253
砕
(
くだ
)
き
玉
(
たま
)
ふぞ
果敢
(
はか
)
なけれ
254
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
を
出
(
い
)
でしより
255
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
256
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
神業
(
しんげふ
)
を
257
成
(
な
)
しとぐる
迄
(
まで
)
夢
(
ゆめ
)
にだも
258
をみなに
縁
(
えにし
)
は
結
(
むす
)
ばじと
259
思
(
おも
)
ひつめしが
如何
(
いか
)
にして
260
かくも
弱
(
よわ
)
けくなりしぞや
261
岩
(
いは
)
をも
射
(
い
)
ぬく
桑
(
くは
)
の
弓
(
ゆみ
)
262
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
も
恐
(
おそ
)
れねど
263
敵
(
てき
)
しかねたるたよわ
女
(
め
)
の
264
細
(
ほそ
)
き
腕
(
うで
)
には
捲
(
ま
)
かれけり
265
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
266
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へ
いそ
の
上
(
かみ
)
267
古
(
ふる
)
き
神代
(
かみよ
)
の
古
(
いにしへ
)
は
268
天教山
(
てんけうざん
)
の
中腹
(
ちうふく
)
に
269
諾冊
(
なぎなみ
)
二尊
(
にそん
)
現
(
あ
)
れまして
270
嫁
(
とつ
)
ぎの
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
きまし
271
百
(
もも
)
の
神々
(
かみがみ
)
百人
(
ももびと
)
や
272
草木
(
くさき
)
の
種
(
たね
)
迄
(
まで
)
生
(
う
)
み
玉
(
たま
)
ふ
273
其
(
その
)
古事
(
ふるごと
)
を
思召
(
おぼしめ
)
し
274
恋
(
こひ
)
の
罪
(
つみ
)
をば
許
(
ゆる
)
しませ
275
心
(
こころ
)
の
限
(
かぎ
)
り
身
(
み
)
の
限
(
かぎ
)
り
276
恋
(
こひ
)
の
矢玉
(
やだま
)
を
防
(
ふせ
)
げ
共
(
ども
)
277
最早
(
もはや
)
力
(
ちから
)
も
尽
(
つ
)
き
果
(
は
)
てて
278
花香
(
はなか
)
の
姫
(
ひめ
)
に
玉
(
たま
)
打
(
う
)
たれ
279
恋
(
こひ
)
の
奴
(
やつこ
)
となりにけり
280
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
が
此
(
この
)
様
(
さま
)
を
281
風
(
かぜ
)
の
便
(
たよ
)
りに
聞
(
き
)
きまさば
282
嘸
(
さぞ
)
や
怒
(
いか
)
らせ
玉
(
たま
)
ふらむ
283
月日
(
つきひ
)
も
空
(
そら
)
に
照公
(
てるこう
)
や
284
タクソンさまは
嘸
(
さぞ
)
や
嘸
(
さぞ
)
285
二人
(
ふたり
)
の
間
(
なか
)
の
睦言
(
むつごと
)
を
286
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
には
呆然
(
ばうぜん
)
と
287
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
いで
歎
(
なげ
)
くだらう
288
日頃
(
ひごろ
)
こがれしエルソンの
289
君
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
はいかにぞや
290
花香
(
はなか
)
の
姫
(
ひめ
)
は
梅公
(
うめこう
)
の
291
宿
(
やど
)
の
妻
(
つま
)
よと
知
(
し
)
るならば
292
折角
(
せつかく
)
これ
迄
(
まで
)
張
(
は
)
り
詰
(
つ
)
めし
293
心
(
こころ
)
の
弓
(
ゆみ
)
はひた
曲
(
まが
)
り
294
矢
(
や
)
さへ
楯
(
たて
)
さへたまるまい
295
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
296
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
と
思
(
おも
)
へ
共
(
ども
)
297
花香
(
はなか
)
の
姫
(
ひめ
)
の
懇
(
ねもごろ
)
な
298
切
(
せつ
)
なき
恋
(
こひ
)
に
責
(
せめ
)
られて
299
逃
(
のが
)
れむ
由
(
よし
)
も
夏
(
なつ
)
の
野辺
(
のべ
)
300
馬耳
(
ばじ
)
東風
(
とうふう
)
と
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
301
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
302
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
詫
(
わび
)
まつる』
303
花香
(
はなか
)
『モシモシ
梅公
(
うめこう
)
さま、
304
大変
(
たいへん
)
に
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をかけまして
済
(
す
)
みませぬな。
305
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
御
(
お
)
察
(
さつ
)
し
申
(
まを
)
します。
306
ハルナの
都
(
みやこ
)
へ
大任
(
たいにん
)
を
帯
(
おび
)
てお
出
(
い
)
で
遊
(
あそ
)
ばす
途中
(
とちう
)
に、
307
悪
(
わる
)
い
虫
(
むし
)
がつきまして
嘸
(
さぞ
)
お
困
(
こま
)
りで
厶
(
ござ
)
いませう。
308
大根
(
だいこん
)
の
葉
(
は
)
にネチがついたやうに
思召
(
おぼしめ
)
すでせうが、
309
之
(
これ
)
も
因縁
(
いんねん
)
と
諦
(
あきら
)
めて、
310
私
(
わたし
)
をどこ
迄
(
まで
)
も
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
311
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
厭
(
いや
)
でも
除虫液
(
ぢよちうえき
)
などかけないやうに
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まをし
)
ますよ、
312
ホヽヽヽヽ』
313
梅公
(
うめこう
)
『
何
(
なん
)
だか
大変
(
たいへん
)
な
罪悪
(
ざいあく
)
を
犯
(
をか
)
したやうな
気
(
き
)
がしてなりませぬが、
314
私
(
わたし
)
も
因果腰
(
いんぐわごし
)
を
定
(
き
)
めました。
315
モウ
斯
(
かく
)
なる
以上
(
いじやう
)
は
互
(
たがひ
)
に
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せ、
316
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
に、
317
あらむ
限
(
かぎ
)
りの
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
しませう』
318
花香
(
はなか
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う。
319
それを
承
(
うけたま
)
はつて、
3191
甦
(
よみがへ
)
りました。
320
どうやら
麓
(
ふもと
)
の
森林
(
しんりん
)
へ
近
(
ちか
)
づきましたやうです。
321
之
(
これ
)
から
上
(
うへ
)
は
険峻
(
けんしゆん
)
で
駒
(
こま
)
も
進
(
すす
)
みますまい。
322
サア、
323
下
(
お
)
りませう』
324
と
花香
(
はなか
)
はヒラリと
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
りた。
325
梅公
(
うめこう
)
も
次
(
つ
)
いで
飛
(
とび
)
降
(
お
)
り、
326
駒
(
こま
)
の
首
(
くび
)
を
撫
(
な
)
で
乍
(
なが
)
ら、
327
梅公
(
うめこう
)
『オイ
馬
(
うま
)
さま、
328
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だつた。
329
サア
休
(
やす
)
んで
下
(
くだ
)
さい。
330
お
前
(
まへ
)
はジャンクさまの
内
(
うち
)
の
馬
(
うま
)
だから、
331
余
(
あま
)
り
遠
(
とほ
)
くもないし、
332
道
(
みち
)
は
知
(
し
)
つてゐるだらう。
333
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
乍
(
なが
)
ら
独
(
ひと
)
り
帰
(
かへ
)
つてくれ。
334
之
(
これ
)
でお
別
(
わか
)
れする。
335
お
前
(
まへ
)
の
鬣
(
たてがみ
)
に
手紙
(
てがみ
)
をつけておくから、
336
主人
(
しゆじん
)
は
不在
(
ふざい
)
でも
番頭
(
ばんとう
)
がゐるだらう。
337
キツと
之
(
これ
)
を
渡
(
わた
)
してくれ』
338
と
人
(
ひと
)
に
云
(
い
)
ふ
如
(
ごと
)
く
話
(
はな
)
し
乍
(
なが
)
ら、
339
『
自分
(
じぶん
)
はどうしてもオーラ
山
(
さん
)
に、
340
嬢
(
ぢやう
)
さまが
捉
(
とら
)
はれてるやうだから、
341
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
しに、
342
危険
(
きけん
)
を
冒
(
をか
)
して
上
(
のぼ
)
つた。
343
何
(
いづ
)
れ
近
(
ちか
)
い
内
(
うち
)
に
吉左右
(
きちさう
)
を
報告
(
はうこく
)
する』
344
と
記
(
しる
)
した
儘
(
まま
)
、
345
駒
(
こま
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げ、
346
花香
(
はなか
)
と
共
(
とも
)
に、
347
成
(
な
)
るべく
人通
(
ひとどほ
)
りのない、
348
夕暗
(
ゆふやみ
)
の
路
(
みち
)
を
大杉
(
おほすぎ
)
の
上
(
うへ
)
に
輝
(
かがや
)
く
光
(
ひかり
)
を
目当
(
めあて
)
に
辿
(
たど
)
り
行
(
ゆ
)
く。
349
馬
(
うま
)
は
後
(
あと
)
ふり
返
(
かへ
)
りふり
返
(
かへ
)
り、
350
二人
(
ふたり
)
に
名残
(
なごり
)
を
惜
(
をし
)
むが
如
(
ごと
)
くヒンヒンヒンと
高
(
たか
)
く
嘶
(
いなな
)
いて
一目散
(
いちもくさん
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
351
(
大正一三・一二・一七
旧一一・二一
松村真澄
録)
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