霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第66巻(巳の巻)
序文
総説
第1篇 月の高原
第1章 暁の空
第2章 祖先の恵
第3章 酒浮気
第4章 里庄の悩
第5章 愁雲退散
第6章 神軍義兵
第2篇 容怪変化
第7章 女白浪
第8章 神乎魔乎
第9章 谷底の宴
第10章 八百長劇
第11章 亞魔の河
第3篇 異燭獣虚
第12章 恋の暗路
第13章 恋の懸嘴
第14章 相生松風
第15章 喰ひ違ひ
第4篇 恋連愛曖
第16章 恋の夢路
第17章 縁馬の別
第18章 魔神の囁
第19章 女の度胸
第20章 真鬼姉妹
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第66巻(巳の巻)
> 第4篇 恋連愛曖 > 第20章 真鬼姉妹
<<< 女の度胸
(B)
(N)
余白歌 >>>
第二〇章
真鬼
(
まき
)
姉妹
(
じまい
)
〔一七〇二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻
篇:
第4篇 恋連愛曖
よみ(新仮名遣い):
れんれんあいあい
章:
第20章 真鬼姉妹
よみ(新仮名遣い):
まきじまい
通し章番号:
1702
口述日:
1924(大正13)年12月17日(旧11月21日)
口述場所:
祥雲閣
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年6月29日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-04-22 17:53:34
OBC :
rm6620
愛善世界社版:
278頁
八幡書店版:
第11輯 833頁
修補版:
校定版:
283頁
普及版:
67頁
初版:
ページ備考:
001
サンダー、
002
スガコの
二人
(
ふたり
)
は
玄真坊
(
げんしんばう
)
の
強圧
(
きやうあつ
)
的
(
てき
)
恋
(
こひ
)
の
請求
(
せいきう
)
に
手古摺
(
てこず
)
つて
居
(
ゐ
)
た
処
(
ところ
)
へ、
003
又
(
また
)
もや
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
が
投
(
なげ
)
込
(
こ
)
まれて
来
(
き
)
たのを
見
(
み
)
て、
004
サンダーは
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず『アツ』と
叫
(
さけ
)
んだ。
005
女
(
をんな
)
も
亦
(
また
)
サンダーやスガコの
面
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
006
『マアマア』と
言
(
い
)
つたきり、
007
口
(
くち
)
を
噤
(
つぐ
)
んだ。
008
梅公
(
うめこう
)
は
洒蛙
(
しあ
)
々々
(
しあ
)
然
(
ぜん
)
として
平気
(
へいき
)
に
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
009
梅公
(
うめこう
)
『たうとう
猿
(
さる
)
も
木
(
き
)
から
落
(
お
)
ちるの
喩
(
たとへ
)
、
010
オーラ
山
(
さん
)
の
大天狗
(
だいてんぐ
)
も
芝居
(
しばゐ
)
のやり
損
(
ぞこな
)
ひをやつて、
011
舞台
(
ぶたい
)
から
墜落
(
つゐらく
)
し、
012
名
(
な
)
もない
奴
(
やつこ
)
にふん
縛
(
じば
)
られ、
013
かやうな
女護
(
にようご
)
の
島
(
しま
)
へ
落
(
おち
)
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
た。
014
何
(
なん
)
とマア
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
もあればあるものだ。
015
人間
(
にんげん
)
万事
(
ばんじ
)
塞翁
(
さいをう
)
の
馬
(
うま
)
の
糞
(
くそ
)
とはよく
云
(
い
)
つたものだ。
016
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
うて
絶世
(
ぜつせい
)
の
美人
(
びじん
)
、
017
而
(
しか
)
し
吾
(
わが
)
妻君
(
さいくん
)
は
例外
(
れいぐわい
)
として……お
二人
(
ふたり
)
の
姫御前
(
ひめごぜ
)
、
018
貴方
(
あなた
)
は
何
(
なん
)
の
理由
(
りいう
)
あつて、
019
かやうな
所
(
ところ
)
へ
鎮座
(
ちんざ
)
ましますのですかなア』
020
サンダー『ハイ
私
(
わたし
)
はコマの
村
(
むら
)
のサンダーと
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
で
厶
(
ござ
)
います。
021
この
方
(
かた
)
は、
022
タライの
村
(
むら
)
のジャンクさまの
娘
(
むすめ
)
でスガコ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
います。
023
悪者
(
わるもの
)
に
拐
(
かどは
)
かされ、
024
日々
(
にちにち
)
苦
(
くる
)
しい
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされてゐるのです。
025
貴方
(
あなた
)
は
又
(
また
)
何
(
ど
)
うしてこんな
所
(
ところ
)
へお
越
(
こ
)
しになりましたか』
026
梅公
(
うめこう
)
はタライの
村
(
むら
)
のサンヨに
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて、
027
花香
(
はなか
)
を
救
(
すく
)
はむとの
決心
(
けつしん
)
を
起
(
おこ
)
した
事
(
こと
)
や、
028
ジャンクの
家
(
いへ
)
に
泊
(
とま
)
つて、
029
スガコ
姫
(
ひめ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
不明
(
ふめい
)
になつた
事
(
こと
)
、
030
サンダーの
失踪
(
しつそう
)
した
事
(
こと
)
などを
聞
(
き
)
き、
031
義勇軍
(
ぎゆうぐん
)
に
従
(
したが
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
032
どうしても
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
したいといふ
真心
(
まごころ
)
から、
033
師匠
(
ししやう
)
に
別
(
わか
)
れて、
034
私
(
ひそ
)
かにオーラ
山
(
さん
)
へ
向
(
むか
)
つて
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むちう
)
ち
駆
(
かけ
)
込
(
こ
)
む
途中
(
とちう
)
、
035
花香
(
はなか
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ひ、
036
相
(
あひ
)
伴
(
ともな
)
うて
当山
(
たうざん
)
に
登
(
のぼ
)
り、
037
大杉
(
おほすぎ
)
に
攀
(
よ
)
ぢ、
038
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
が
魔術
(
まじゆつ
)
の
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
たる
灯火
(
ともしび
)
を
吹
(
ふき
)
消
(
け
)
し、
039
天狗
(
てんぐ
)
の
声色
(
こはいろ
)
を
使
(
つか
)
ひ、
040
化
(
ばけ
)
が
現
(
あら
)
はれて、
041
取
(
と
)
つ
捉
(
つかま
)
へられた
事
(
こと
)
などを、
042
逐一
(
ちくいち
)
話
(
はな
)
し
聞
(
き
)
かせた。
043
サンダー、
044
スガコの
両人
(
りやうにん
)
は
此
(
この
)
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて、
045
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
に
袖
(
そで
)
を
搾
(
しぼ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
046
サンダー『
見
(
み
)
ず
知
(
し
)
らずの
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
が、
047
それ
程
(
ほど
)
まで
吾々
(
われわれ
)
を
助
(
たす
)
けようと
思召
(
おぼしめ
)
し、
048
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
下
(
くだ
)
さいました
事
(
こと
)
は、
049
何
(
なん
)
とも
御
(
お
)
礼
(
れい
)
の
申上
(
まをしあ
)
げやうが
厶
(
ござ
)
いませぬ。
050
実
(
じつ
)
は
私
(
わたし
)
は、
051
お
聞
(
きき
)
及
(
およ
)
びでも
厶
(
ござ
)
いませうが、
052
女
(
をんな
)
に
化
(
ば
)
けてゐますが、
053
男
(
をとこ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
054
之
(
これ
)
なるスガコと
夫婦
(
ふうふ
)
となるべく、
055
両親
(
りやうしん
)
の
許嫁
(
いひなづけ
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
056
スガコの
行方
(
ゆくへ
)
を
尋
(
たづ
)
ねむ
為
(
ため
)
に
当山
(
たうざん
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
致
(
いた
)
し、
057
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
玄真坊
(
げんしんばう
)
の
為
(
ため
)
に
閉
(
と
)
ぢ
込
(
こ
)
められて
居
(
を
)
つたので
厶
(
ござ
)
います。
058
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
ご
)
推量
(
すゐりやう
)
下
(
くだ
)
さいませ』
059
と
力
(
ちから
)
なげに
云
(
い
)
ふ。
060
梅公
(
うめこう
)
『ヤ、
061
それで
何
(
なに
)
もかも
判
(
わか
)
りました。
062
ナアニ
心配
(
しんぱい
)
いりませぬ。
063
こんな
岩窟
(
いはや
)
位
(
ぐらゐ
)
、
064
叩
(
たた
)
きわるかつて、
065
朝飯前
(
あさめしまへ
)
ですワ。
066
モシモシ スガコさまとやら、
067
必
(
かなら
)
ず
心配
(
しんぱい
)
なされますな。
068
キツと
私
(
わたし
)
が
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
して
上
(
あ
)
げますよ』
069
スガコ『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
070
不運
(
ふうん
)
な
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
071
貴方
(
あなた
)
のお
助
(
たす
)
けを
頂
(
いただ
)
かねば
到底
(
たうてい
)
遁
(
のが
)
れる
道
(
みち
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ』
072
花香
(
はなか
)
『モシ、
073
お
嬢様
(
ぢやうさま
)
、
074
私
(
わたし
)
はサンヨの
娘
(
むすめ
)
花香
(
はなか
)
で
厶
(
ござ
)
います。
075
お
嬢様
(
ぢやうさま
)
が
何者
(
なにもの
)
にか
攫
(
さら
)
はれ、
076
御
(
お
)
行方
(
ゆくへ
)
が
分
(
わか
)
らぬと
云
(
い
)
うて、
077
村中
(
むらぢう
)
の
大騒動
(
おほさうどう
)
で
厶
(
ござ
)
いましたが、
078
少時
(
しばらく
)
すると、
079
バラモンの
軍人
(
いくさびと
)
が
参
(
まゐ
)
りまして、
080
私
(
わたし
)
を
掻
(
か
)
つ
攫
(
さら
)
へ、
081
母
(
はは
)
に
手疵
(
てきず
)
を
負
(
お
)
はせ、
082
ホラが
丘
(
をか
)
の
森林
(
しんりん
)
へ
連
(
つ
)
れ
込
(
こ
)
み、
083
其所辺
(
そこら
)
中
(
ぢう
)
を
引
(
ひ
)
きまはし、
084
操
(
みさを
)
を
破
(
やぶ
)
らむと
致
(
いた
)
しましたなれど、
085
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
によつて、
086
漸
(
やうや
)
く
其
(
その
)
難
(
なん
)
を
免
(
まぬが
)
れ、
087
最後
(
さいご
)
に
至
(
いた
)
つて
今
(
いま
)
や
辱
(
はづかしめ
)
られむとする
所
(
ところ
)
へ、
088
此
(
この
)
お
方
(
かた
)
がお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
されましてお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さつたので
厶
(
ござ
)
います。
089
因縁
(
いんねん
)
と
申
(
まを
)
すものは
妙
(
めう
)
なもので
厶
(
ござ
)
いますなア。
090
私
(
わたし
)
には
一人
(
ひとり
)
の
姉
(
あね
)
が
厶
(
ござ
)
いましたが、
091
或
(
ある
)
夜
(
よ
)
のこと
修験者
(
しゆげんじや
)
と
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて、
092
家
(
いへ
)
を
脱
(
ぬけ
)
出
(
だ
)
し、
093
最早
(
もはや
)
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
にもなりますが、
094
どうしてゐる
事
(
こと
)
やら、
095
皆目
(
かいもく
)
行方
(
ゆくへ
)
が
分
(
わか
)
らぬのです。
096
それに
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
には、
097
あの
玄真坊
(
げんしんばう
)
といふ
男
(
をとこ
)
、
098
何処
(
どこ
)
かに
見覚
(
みおぼ
)
えがあるやうに
思
(
おも
)
へてなりませぬ。
099
暗
(
くら
)
がりでハツキリ
分
(
わか
)
りませぬが、
100
身体
(
からだ
)
の
格好
(
かくかう
)
といひ
101
声
(
こゑ
)
といひ、
102
どうも
彼奴
(
あいつ
)
ぢやないかと
思
(
おも
)
ふので
厶
(
ござ
)
います』
103
梅公
(
うめこう
)
『あーあ、
104
話
(
はなし
)
が
理
(
り
)
におちて
気
(
き
)
が
欝
(
ふさ
)
いで
仕方
(
しかた
)
がない。
105
どうです
皆
(
みな
)
さま、
106
二男
(
になん
)
二女
(
にぢよ
)
がよつて
此
(
この
)
岩窟
(
いはや
)
が
割
(
わ
)
れるやうな
声
(
こゑ
)
で
歌
(
うた
)
でも
唄
(
うた
)
つてやりませうか。
107
私
(
わたし
)
が……
何
(
なん
)
なら
歌
(
うた
)
ひますから
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
囃
(
はや
)
して
下
(
くだ
)
さい』
108
サンダー『どうか
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
109
梅公
(
うめこう
)
はヤケクソになり、
110
大声
(
おほごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
唄
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
111
梅公
(
うめこう
)
『
歌
(
うた
)
へよ
歌
(
うた
)
へよく
唄
(
うた
)
へ
112
岩戸
(
いはと
)
の
唐戸
(
からと
)
の
割
(
わ
)
れる
迄
(
まで
)
113
玄真坊
(
げんしんばう
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
114
シーゴーとかいふ
親玉
(
おやだま
)
も
115
之
(
これ
)
に
従
(
したが
)
ふ
三千
(
さんぜん
)
の
116
泥棒
(
どろばう
)
の
頭
(
あたま
)
が
割
(
わ
)
れる
迄
(
まで
)
117
歌
(
うた
)
へよ
唄
(
うた
)
へよく
唄
(
うた
)
へ
118
歌
(
うた
)
うて
器量
(
きりやう
)
は
下
(
さが
)
りやせぬ
119
美人
(
びじん
)
のまします
岩
(
いは
)
の
中
(
なか
)
120
ここは
竜宮
(
りうぐう
)
か
天国
(
てんごく
)
か
121
丹花
(
たんくわ
)
の
唇
(
くちびる
)
月
(
つき
)
の
眉
(
まゆ
)
122
月日
(
つきひ
)
に
等
(
ひと
)
しき
目
(
め
)
の
光
(
ひかり
)
123
こんなナイスと
一夜
(
ひとよ
)
さの
124
宴
(
うたげ
)
をするのも
面白
(
おもしろ
)
い
125
酒
(
さけ
)
はなけれど
美人
(
びじん
)
さへ
126
前
(
まへ
)
にゐませば
満足
(
まんぞく
)
だ
127
玄真坊
(
げんしんばう
)
奴
(
め
)
が
涎
(
よだれ
)
くり
128
何
(
なん
)
だかんだと
朝夕
(
あさゆふ
)
に
129
口説
(
くど
)
き
立
(
た
)
てたがザマを
見
(
み
)
よ
130
肱鉄砲
(
ひぢてつぱう
)
や
後足
(
あとあし
)
の
131
砂
(
すな
)
の
礫
(
つぶて
)
を
浴
(
あ
)
びせられ
132
口
(
くち
)
アングリと
悄気
(
せうげ
)
返
(
かへ
)
り
133
又
(
また
)
もや
天狗
(
てんぐ
)
に
肝
(
きも
)
潰
(
つぶ
)
し
134
弱腰
(
よわごし
)
抜
(
ぬ
)
かした
可笑
(
をか
)
しさよ
135
ここの
大将
(
たいしやう
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
136
確
(
たしか
)
にヨリコと
云
(
い
)
ひよつた
137
もしや
姉
(
あね
)
ではあるまいか
138
花香
(
はなか
)
の
姉
(
あね
)
も
又
(
また
)
ヨリコ
139
同
(
おな
)
じ
名前
(
なまへ
)
は
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
140
沢山
(
たくさん
)
あれ
共
(
とも
)
どこやらに
141
彼奴
(
あいつ
)
の
声
(
こゑ
)
がよく
似
(
に
)
てる
142
あゝ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い
143
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
で
此
(
この
)
岩窟
(
いはや
)
144
やつて
来
(
き
)
たのは
天地
(
あめつち
)
の
145
神々
(
かみがみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
だ
146
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けてくれ
147
玄真坊
(
げんしんばう
)
よシーゴーよ
148
一
(
ひと
)
つの
秘密
(
ひみつ
)
を
云
(
い
)
うてやろ
149
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
きつつ
150
天下
(
てんか
)
を
狙
(
ねら
)
つて
見
(
み
)
たとこで
151
お
前
(
まへ
)
の
智慧
(
ちゑ
)
では
及
(
およ
)
ばない
152
肝心要
(
かんじんかなめ
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
153
此処
(
ここ
)
に
厶
(
ござ
)
るを
知
(
し
)
らないか
154
玄真坊
(
げんしんばう
)
やシーゴーの
155
腰抜
(
こしぬけ
)
身魂
(
みたま
)
ぢや
駄目
(
だめ
)
だぞよ
156
俺
(
おれ
)
のいふ
事
(
こと
)
分
(
わか
)
らねば
157
女帝
(
によてい
)
のヨリコを
招
(
よ
)
んで
来
(
こ
)
い
158
女帝
(
によてい
)
であらうが
何
(
なん
)
だろが
159
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
の
一節
(
ひとふし
)
に
160
言向和
(
ことむけやは
)
して
見
(
み
)
せてやろ
161
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
倶
(
とも
)
にあり
162
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
163
いかなる
曲
(
まが
)
の
健
(
たけ
)
びさへ
164
おめず
恐
(
おそ
)
れぬ
神司
(
かむづかさ
)
165
見違
(
みちが
)
へするな
早
(
はや
)
あけよ
166
スガコの
姫
(
ひめ
)
や
吾
(
わが
)
ワイフ
167
女
(
をんな
)
に
化
(
ば
)
けたサンダーさま
168
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
うて
美
(
うつく
)
しい
169
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
が
待
(
ま
)
つてゐる
170
俺
(
おれ
)
は
梅公
(
うめこう
)
宣伝使
(
せんでんし
)
171
どんな
事
(
こと
)
でも
聞
(
き
)
いてやろ
172
安全
(
あんぜん
)
無事
(
ぶじ
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
のり
)
173
こんな
悪事
(
あくじ
)
が
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
174
続
(
つづ
)
くと
思
(
おも
)
つちや
間違
(
まちがひ
)
だ
175
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
するがよい
176
女帝
(
によてい
)
のヨリコを
始
(
はじ
)
めとし
177
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
もやつて
来
(
き
)
て
178
吾
(
わが
)
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
にひれ
伏
(
ふ
)
せよ
179
吾
(
われ
)
は
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
なるぞ
180
天教山
(
てんけうざん
)
にあれませる
181
木花姫
(
このはなひめ
)
のみことのり
182
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
183
教
(
をしへ
)
を
畏
(
かしこ
)
み
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
184
ハルナの
都
(
みやこ
)
に
出向
(
いでむか
)
ふ
185
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
珍柱
(
うづばしら
)
186
早
(
はや
)
くも
迎
(
むか
)
へ
奉
(
たてまつ
)
れ
187
開
(
あ
)
けよ
開
(
あ
)
けよ
早
(
はや
)
開
(
あ
)
けよ
188
開
(
あ
)
けるが
厭
(
いや
)
ならブチ
割
(
わ
)
ろか
189
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
の
神力
(
しんりき
)
に
190
オーラの
山
(
やま
)
も
野
(
の
)
つ
原
(
ぱら
)
も
191
忽
(
たちま
)
ちガタガタ ビシヤビシヤと
192
顛覆
(
てんぷく
)
させるは
夢
(
ゆめ
)
の
間
(
ま
)
だ
193
俺
(
おれ
)
の
力
(
ちから
)
が
解
(
わか
)
つたら
194
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
開
(
あ
)
けに
来
(
こ
)
い
195
最早
(
もはや
)
夜明
(
よあけ
)
に
近
(
ちか
)
づいた
196
あけて
嬉
(
うれ
)
しい
玉手箱
(
たまてばこ
)
197
竜宮海
(
りうぐうかい
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
が
198
三
(
さん
)
人
(
にん
)
ここにまつて
居
(
ゐ
)
る
199
お
面
(
かほ
)
が
拝
(
をが
)
みたうないのかい
200
唐変木
(
たうへんぼく
)
にも
程
(
ほど
)
がある
201
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
202
叶
(
かな
)
はぬからあけてくれ
203
アツハヽヽヽヽ オツホヽヽヽ』
204
と
魔神
(
まがみ
)
の
岩窟
(
いはや
)
に
閉
(
と
)
ぢ
込
(
こ
)
められたのを
知
(
し
)
らず
面
(
がほ
)
に
笑
(
わら
)
つてゐる。
205
玄真坊
(
げんしんばう
)
は
戸口
(
とぐち
)
にソツと
耳
(
みみ
)
を
当
(
あ
)
て、
206
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へてゐたが……、
207
『
梅公
(
うめこう
)
の
歌
(
うた
)
の
中
(
なか
)
に、
208
どうやら
今
(
いま
)
やつて
来
(
き
)
た
女
(
をんな
)
は
女帝
(
によてい
)
の
妹
(
いもうと
)
らしい。
209
コリヤうつかりしては
居
(
を
)
れない。
210
又
(
また
)
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
は
女帝
(
によてい
)
の
妹
(
いもうと
)
が
眤懇
(
じつこん
)
な
奴
(
やつ
)
と
見
(
み
)
える。
211
あの
天狗
(
てんぐ
)
のマネをして
失敗
(
しくじ
)
つた
男
(
をとこ
)
は、
212
妹
(
いもうと
)
の
婿
(
むこ
)
らしいぞ。
213
何
(
なん
)
とかして
大切
(
たいせつ
)
に
扱
(
あつか
)
はねば、
214
姉妹
(
きやうだい
)
の
対面
(
たいめん
)
が
事実
(
じじつ
)
になつたならば、
215
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
俺
(
おれ
)
もサツパリ、
216
ワヤ
苦茶
(
くちや
)
だ。
217
忠義
(
ちうぎ
)
を
尽
(
つく
)
すは
今
(
いま
)
の
時
(
とき
)
だ。
218
旗色
(
はたいろ
)
のよい
方
(
はう
)
へつく
方
(
はう
)
が
当世
(
たうせい
)
だ。
219
シーゴーとは
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
が、
220
どうやら
旗色
(
はたいろ
)
が
悪
(
わる
)
くなつたやうだ。
221
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
に
勢力
(
せいりよく
)
のある
方
(
はう
)
へ
加担
(
かたん
)
するのが
最善
(
さいぜん
)
の
行方
(
やりかた
)
だ……』
222
と
独語
(
ひとりごち
)
乍
(
なが
)
ら
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
223
酒
(
さけ
)
や
煙草
(
たばこ
)
や
珍
(
めづ
)
らしき
果物
(
くだもの
)
などを
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
し
来
(
きた
)
り、
224
面色
(
かほいろ
)
を
和
(
やは
)
らげて、
225
玄真
(
げんしん
)
『ハア、
226
これはこれはお
客様
(
きやくさま
)
方
(
がた
)
、
227
山奥
(
やまおく
)
の
茅屋
(
あばらや
)
へ
能
(
よ
)
くも
御
(
ご
)
入来
(
じゆらい
)
下
(
くだ
)
さいました。
228
何
(
なに
)
か
差上
(
さしあ
)
げたいので
厶
(
ござ
)
いますけれど、
229
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り
不便
(
ふべん
)
の
土地
(
とち
)
。
230
これが
私
(
わたくし
)
の
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
の
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
です。
231
どうか
精一杯
(
せいいつぱい
)
おあがり
下
(
くだ
)
さいませ。
232
私
(
わたし
)
もヨリコ
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
になつてるツマらぬ
男
(
をとこ
)
ですから、
233
どうか、
234
末永
(
すえなが
)
く
可愛
(
かあい
)
がつて
頂
(
いただ
)
きたう
厶
(
ござ
)
います』
235
梅公
(
うめこう
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う。
236
思召
(
おぼしめ
)
しは
受
(
う
)
けますが、
237
今
(
いま
)
はお
肚
(
なか
)
が
膨
(
ふく
)
れて
居
(
を
)
りますから
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しませぬ』
238
玄真
(
げんしん
)
『
何
(
なに
)
かお
腹立
(
はらだち
)
でも
厶
(
ござ
)
いませうかなれど、
239
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
して、
240
私
(
わたくし
)
の
心
(
こころ
)
をおあがり
下
(
くだ
)
さいませ。
241
メツタに
天然
(
てんねん
)
の
果物
(
くだもの
)
に
毒
(
どく
)
などは
入
(
はい
)
つて
居
(
を
)
りませぬから……』
242
梅公
(
うめこう
)
『それでも
余
(
あま
)
り、
243
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だから、
244
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
致
(
いた
)
しませう』
245
玄真
(
げんしん
)
『
滅相
(
めつさう
)
もない。
246
気
(
き
)
が
毒
(
どく
)
になりましたら、
247
箸
(
はし
)
で
飯
(
めし
)
はくへませぬ。
248
どうか、
249
キの
毒
(
どく
)
とか
灰
(
はひ
)
の
毒
(
どく
)
だとか
云
(
い
)
はず、
250
キ
能
(
よ
)
うおあがり
下
(
くだ
)
さいませ。
251
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
は
水
(
みづ
)
入
(
い
)
らずの
間柄
(
あひだがら
)
と
思
(
おも
)
ひますから』
252
梅公
(
うめこう
)
『
水
(
みづ
)
入
(
い
)
らず…ではなくて、
253
猫
(
ねこ
)
入
(
い
)
らずかも
知
(
し
)
れませぬぞ、
254
アハヽヽヽ。
255
沢山
(
たくさん
)
な
鼠賊
(
そぞく
)
が
横行
(
わうかう
)
して
居
(
を
)
りますから。
256
チツタ
猫
(
ねこ
)
入
(
い
)
らずも
当家
(
たうけ
)
には
買
(
かひ
)
込
(
こ
)
んで
厶
(
ござ
)
いませうね』
257
花香
(
はなか
)
『ア、
258
お
前
(
まへ
)
さまは、
259
三年前
(
さんねんまへ
)
に
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
泊
(
とま
)
り、
260
姐
(
ねえ
)
さまを
拐
(
かどは
)
かしていんだ
修験者
(
しゆげんじや
)
ぢやありませぬか。
261
マア マア マア マアよく
似
(
に
)
てる
事
(
こと
)
……』
262
玄真
(
げんしん
)
『ハヽヽヽ、
263
ヤ、
264
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
其
(
その
)
時
(
とき
)
にお
前
(
まへ
)
の
内
(
うち
)
に
泊
(
とま
)
つたのは
私
(
わたし
)
だ。
265
何
(
なん
)
とマア
大
(
おほ
)
きくなつたね。
266
どこともなくヨリコさまに
似
(
に
)
てるワイ。
267
お
母
(
か
)
アさまも
随分
(
ずいぶん
)
面立
(
かほだち
)
のよい
人
(
ひと
)
だつたが、
268
お
前
(
まへ
)
さまも
姉
(
ねえ
)
さまに
劣
(
おと
)
らぬ
美人
(
びじん
)
だ。
269
之
(
これ
)
も
何
(
なに
)
かの
因縁
(
いんねん
)
だらう。
270
マア
能
(
よ
)
う
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
271
お
前
(
まへ
)
さまが
御
(
ご
)
姉妹
(
きやうだい
)
と
分
(
わか
)
つた
以上
(
いじやう
)
、
272
女帝
(
によてい
)
さまに
黙
(
だま
)
つてる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かぬ。
273
之
(
これ
)
から
一
(
ひと
)
つ
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げて
来
(
く
)
る。
274
又
(
また
)
何
(
なに
)
か
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
をして
下
(
くだ
)
さるだらうから』
275
花香
(
はなか
)
『
一寸
(
ちよつと
)
、
276
玄真坊
(
げんしんばう
)
さまにお
断
(
こた
)
へ
致
(
いた
)
しておきますが、
277
此
(
この
)
凛々
(
りり
)
しい
男
(
をとこ
)
らしい
方
(
かた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
梅公別
(
うめこうわけ
)
さまと
云
(
い
)
つて
宣伝使
(
せんでんし
)
ですよ。
278
そして
私
(
わたし
)
の
大事
(
だいじ
)
の
大事
(
だいじ
)
の
夫
(
をつと
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
279
大切
(
たいせつ
)
に
扱
(
あつか
)
つて
下
(
くだ
)
さいや。
280
私
(
わたし
)
が
姉
(
ねえ
)
さまの
姉妹
(
きやうだい
)
とあれば、
281
ここの
女帝
(
によてい
)
さまの
弟
(
おとうと
)
ですから、
282
粗略
(
そりやく
)
な
扱
(
あつかひ
)
は
出来
(
でき
)
ますまい、
283
ホヽヽヽヽ』
284
と
稍
(
やや
)
顔
(
かほ
)
を
赤
(
あか
)
くし、
285
袖
(
そで
)
に
隠
(
かく
)
す。
286
玄真坊
(
げんしんばう
)
は
倉皇
(
さうくわう
)
として
女帝
(
によてい
)
の
居間
(
ゐま
)
に
駆
(
か
)
けつけ、
287
声
(
こゑ
)
まであわただしく、
288
玄真
(
げんしん
)
『
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
に
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げます。
289
タヽ
大変
(
たいへん
)
なお
悦
(
よろこ
)
びが
出来
(
でき
)
ました』
290
ヨリコ『
大変
(
たいへん
)
なお
悦
(
よろこ
)
びとは、
291
どんな
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たのだえ』
292
玄真
(
げんしん
)
『ハイ、
293
貴女
(
あなた
)
のお
妹御
(
いもうとご
)
の
花香
(
はなか
)
さまが、
294
お
婿
(
むこ
)
さまを
連
(
つ
)
れてお
出
(
いで
)
になつたのですよ。
295
あの
大杉
(
おほすぎ
)
の
上
(
うへ
)
から
落
(
お
)
ちて
来
(
き
)
た
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
が
其
(
その
)
方
(
かた
)
です。
296
何
(
なん
)
と
驚
(
おどろ
)
くぢやありませぬか』
297
ヨリコ『オホヽヽ、
298
あのマア
玄真坊
(
げんしんばう
)
殿
(
どの
)
の
慌
(
あわ
)
て
方
(
かた
)
ワイの。
299
妾
(
わらは
)
は
杉
(
すぎ
)
の
木
(
き
)
から
落
(
お
)
ちた
時
(
とき
)
、
300
已
(
すで
)
に
妹
(
いもうと
)
だと
看破
(
かんぱ
)
してゐたのだ。
301
仕様
(
しやう
)
もない
者
(
もの
)
がやつて
来
(
き
)
て、
302
折角
(
せつかく
)
の
仕組
(
しぐみ
)
が
破
(
やぶ
)
れはせぬかと
心配
(
しんぱい
)
してるのだ。
303
而
(
しか
)
し
妹
(
いもうと
)
と
分
(
わか
)
つては
手
(
て
)
にかける
訳
(
わけ
)
にもいかず、
304
同
(
おな
)
じ
母
(
はは
)
の
体内
(
たいない
)
から
出
(
で
)
た、
305
同
(
おな
)
じ
血筋
(
ちすぢ
)
だから、
306
何
(
なん
)
とかしてやらねばなるまい。
307
そしてあの
男
(
をとこ
)
は
妹
(
いもうと
)
の
婿
(
むこ
)
らしいが、
308
中々
(
なかなか
)
あれはシーゴーやお
前
(
まへ
)
のやうな
弱虫
(
よわむし
)
ではない。
309
グヅグヅしてゐると
岩窟
(
いはや
)
退治
(
たいぢ
)
をやられるか
知
(
し
)
れませぬよ。
310
併
(
しか
)
し
打
(
うち
)
やつておく
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
くまいから、
311
女帝
(
によてい
)
自
(
みづか
)
ら
出馬
(
しゆつば
)
して、
312
姉妹
(
きやうだい
)
の
名乗
(
なのり
)
をしてやりませう、
313
ホヽヽヽヽ』
314
玄真
(
げんしん
)
『サ、
315
お
伴
(
とも
)
致
(
いた
)
しませう。
316
エ、
317
シーゴーの
奴
(
やつ
)
どこへ
行
(
い
)
きやがつたのだらう。
318
右守司
(
うもりのかみ
)
許
(
ばか
)
り
居
(
を
)
つても、
319
左守
(
さもり
)
が
居
(
を
)
らなくちや、
320
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
の
権式
(
けんしき
)
が
上
(
あが
)
らない。
321
どつかへ
潜伏
(
せんぷく
)
してゐるだらう』
322
と
呟
(
つぶや
)
いてゐる。
323
シーゴーは
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
からヌーツと
面
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
し、
324
シーゴー『アハヽヽ、
325
オイ
玄真
(
げんしん
)
、
326
何
(
なに
)
を
慌
(
あわ
)
てて
居
(
ゐ
)
るのだ。
327
もう
斯
(
か
)
うなりや、
328
毒
(
どく
)
を
以
(
もつ
)
て
毒
(
どく
)
を
制
(
せい
)
する
法
(
はふ
)
を
講
(
かう
)
じなくちや
仕方
(
しかた
)
がないよ。
329
巧
(
うま
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
を
抱
(
だき
)
込
(
こ
)
んで
吾々
(
われわれ
)
の
味方
(
みかた
)
となし、
330
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
の
謀師
(
ぼうし
)
と
仰
(
あふ
)
ぎ、
331
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
や
一段
(
いちだん
)
下
(
した
)
へさがつて、
332
日頃
(
ひごろ
)
の
大望
(
たいまう
)
を
成就
(
じやうじゆ
)
することに
努
(
つと
)
めねばなるまいぞ。
333
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
に
余
(
あま
)
り
口
(
くち
)
を
叩
(
たた
)
かしちや
権威
(
けんゐ
)
がおちるから、
334
そこは
能
(
よ
)
く
心得
(
こころえ
)
てをるのだ。
335
併
(
しか
)
し
貴様
(
きさま
)
は
肝心
(
かんじん
)
の
時
(
とき
)
になると、
336
慌
(
あわ
)
てるから、
337
すぐに
内兜
(
うちかぶと
)
を
見透
(
みす
)
かされる。
338
此
(
この
)
談判
(
だんぱん
)
の
衝
(
しよう
)
にはシーゴーが
当
(
あた
)
るから、
339
寧
(
むしろ
)
お
前
(
まへ
)
は
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
つてる
方
(
はう
)
が
奥床
(
おくゆか
)
しくてよからう。
340
そしてサンダーといふお
前
(
まへ
)
の
恋
(
こひ
)
してゐた
女
(
をんな
)
は、
341
コマの
村
(
むら
)
の
里庄
(
りしやう
)
の
息子
(
むすこ
)
だ、
342
一人
(
ひとり
)
は
彼
(
かれ
)
の
許嫁
(
いひなづけ
)
のスガコ
姫
(
ひめ
)
だ。
343
主
(
ぬし
)
ある
花
(
はな
)
を
手折
(
たを
)
らうと
思
(
おも
)
つたつて
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
だから
今
(
いま
)
の
中
(
うち
)
にスツパリ
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つておくがよからう。
344
妙
(
めう
)
な
目遣
(
めづか
)
ひをして
貰
(
もら
)
うと
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
面
(
かほ
)
にかかる。
345
第一
(
だいいち
)
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
の
権威
(
けんゐ
)
に
係
(
かか
)
はる。
346
エヽか、
347
心得
(
こころえ
)
たか』
348
玄真坊
(
げんしんばう
)
はスツカリ
恋
(
こひ
)
の
夢
(
ゆめ
)
も
醒
(
さ
)
め、
349
豆狸
(
まめだぬき
)
が
小便壺
(
せうべんつぼ
)
におちたやうな
面
(
つら
)
をして
膨
(
ふく
)
れてゐる。
350
此
(
この
)
時
(
とき
)
一天
(
いつてん
)
を
包
(
つつ
)
みし
黒雲
(
くろくも
)
は、
351
折柄
(
をりから
)
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
山嵐
(
やまあらし
)
に
晴
(
は
)
れ、
352
大空
(
おほぞら
)
は
梨地色
(
なしぢいろ
)
に
星光
(
せいくわう
)
燦爛
(
さんらん
)
として
輝
(
かがや
)
き
初
(
そ
)
めて
来
(
き
)
た。
353
吁
(
あゝ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
354
(
大正一三・一二・一七
旧一一・二一
松村真澄
録)
355
(昭和一〇・六・一七 王仁校正)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 女の度胸
(B)
(N)
余白歌 >>>
霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第66巻(巳の巻)
> 第4篇 恋連愛曖 > 第20章 真鬼姉妹
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第20章 真鬼姉妹|第66巻|山河草木|霊界物語|/rm6620】
合言葉「みろく」を入力して下さい→