十歳の頃
翌年は下等一級十歳の吾はわんぱくざかりなりけり
学校の帰りに棗の木にのぼりむしり食ひつつおやぢに叱らる
叱られたはづみに驚き梢より友と二人は地におちにけり
吾が友は足くびくじき吾れは腰石に打ちつけ痛さに泣けり
棗位取つてもかまはぬ勘忍せよとなつめの親爺は吾が腰撫でる
腰痛み動けぬままになつめ親父吾が父の家に負うて送れり
実状を聞いて吾が父怒り出しふたたび腰の辺りを打てり
乱暴なことはやめよと友助が怒れる父をなだめて居たりき
棗取り友助さんにすまぬとてまたも吾が父あたまをなぐる
逃げんとはすれど足腰たたぬままに父のしもとの下に泣き居り
ねんごろな友助爺さんの挨拶に頑強の父あやまり居たりき