霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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満俺鉄

インフォメーション
題名:満俺鉄 著者:出口王仁三郎
ページ:41 目次メモ:
概要:25歳の頃 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-05-08 00:00:00 OBC :B119800c021
二十五歳の頃
満俺砿(まんがんくわう)さぐらむとして南桑田(みなみくはだ)船井(ふなゐ)両郡の山かけまはる
赤禿(あかはげ)の山よぢのぼり黒き岩を(のみ)にてかきとり満俺(まんがん)とよろこぶ
朝夕(あさゆふ)を山かけめぐり手や足にかすり傷してなほ()まざりき
この頃の喜楽は如何(どう)かしてゐると村上(むらかみ)信夫(しのぶ)氏あやしみて問ふ
満俺砿(まんがんくわう)みつけて一つ金儲けするのといへば村上氏うなづく
喜楽さん俺も一緒に行かうよと欲にとぼけた村上氏いふ
村上氏ともなひ握飯(にぎりめし)もちてあたりの山山(やまやま)かけめぐりたり
船岡(ふなをか)満俺砿(まんがんくわう)が出るとききて妙霊教会のうらなひを乞ふ
わが叔父の主管してゐる教会は満俺(まんがん)出るとの神示なりけり
満俺(まんがん)が出るとの神示に両人はちからづよくも山かけめぐる
断岩(だんがん)をいふみはづして村上氏数十(けん)のたにそこに落つ
村上氏落ちたるさまに驚きてわれも谷間にかけ下りけり
かけ下るはづみにあわて尻もちを(とが)りし石に幾度かつきぬ
石くれに尻をきずつきちがちがといざるが如く渓間(たにま)()りゆく
よく見れば村上信夫(しのぶ)氏谷底にほほ笑みながら(やす)らひてをり
別状はないかと問へば村上氏身軽のおかげで怪我なしといふ
断岩(だんがん)ゆ落ちし村上怪我もせずわれはかへりて尻を傷つく
尻の(きず)次第次第に腫れあがり歩みもならず痛むくるしさ
谷底にわれはうごめき村上氏は救援たのむと叔父の家にゆく
三十(ちやう)山路(やまぢ)をたどる村上氏の短き足のはかどらぬかな
村上氏去りたるあとの淋しさは地獄に落ちし心地なりけり
待てど待てど村上(きた)らず救援の人声(ひとごゑ)もなく()()けわたる
村上氏叔父の家にも知らさずに馬鹿らしいとて家に帰れり
約五里の夜道(よみち)を村上てくてくと知らぬ顔して穴太(あなを)に帰る
待てど待てど人の(きた)らぬかなしさに泣きわめく声(たに)(こだま)
やむを得ず数十(ちやう)谷路(たにみち)川辺(かはべ)の道路にはひ(いだ)したり
従兄の親切
(まき)つみてゆく車あり朝あけをわれ木かげより呼びとめてみし
呼びとめし男は驚きふり返りわが顔(なが)めてあつとおどろく
よくみれば従兄(いとこ)佐野(さの)倉吉(くらきち)と知りしうれしさ涙こぼるる
わが従兄(いとこ)道のかたへに車おきて叔父のやかたに負ひてゆきけり
わが叔父の妙霊教会にこもらひて負傷(いたで)平癒(へいゆ)日夜に祈る
やや少し痛みとまればいらだちて杖つきながら帰り()につく
五里の(みち)帰りてみれば足()れて十日余りもうち伏しにけり
わが足のやまひなほりし夕暮を村上(かた)へたづね行きけり
喜楽さんお前は狐か()狸か年寄りのわしをだましたと怒る
あまりにも腹()つままに谷底に捨て帰りしと村上氏答ふ
お前こそ友の負傷(ふしやう)を知らぬがに不人情よとわれはなじれり
みせしめのために谷間に捨ておいて帰つてやつたとむちや(ばか)り言ふ
不足いふつもりで村上(たづ)ぬれば逆襲されてギヤフンとなりぬ
満俺(まんがん)の失敗ばなし村中(むらぢう)に村上の口よりひろまりにけり
村びとはわれを(まん)さん(まん)さんとあざけり半分あだ名つけたり
貧乏になやみしわれは千金を一獲せむとて尻をわりたり
満俺(まんがん)はいふも更なり金銀鉱その後はさがす気にもなれなく
わが友の和一(わいち)(きた)りてまた山へ満俺(まんがん)さがしに行こかとからかふ
満俺(まんがん)といはれる(たび)にはづかしく顔あからめてうつむきにけり
ありもせぬ(かね)を使ひて山かけり遂には尻に傷をうけたり
教会の神示もあたらずいたづらに山をかけりて怪我したるのみ
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