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帰郷

インフォメーション

題名：帰郷著者：出口王仁三郎

ページ：97 目次メモ：

概要：備考：『故山の夢』p168-170 タグ：データ凡例：データ最終更新日：2023-11-01 08:14:11 OBC ：B121808c45

─二十三四歳の頃─

南陽寺(なんやうじ)和尚(をしやう)仲人(なかうど)にて口人(くちうど)で西田のむすめ縫子(ぬひこ)をもらふ［※「口人（くちうど）」は地名。現・京都府南丹市園部町口人。］

二三日すれば新婦のおしろいはげて頬のあたりに黒あざが出る

くづものをつきつけられたと井上がぼやくことぼやくこと気の毒なりけり

井上は離婚なさむとあせれども早くも妻は懐胎(くわいたい)してをり

やむを得ず妊娠のため泣き寝入り抱(いだ)き寝入りて終(つひ)に相(あひ)和(わ)す

新嫁(にひよめ)の書生(しよせい)あつかひしよるのが癪(しやく)にさはつて水桶(みづをけ)かやす

狭(せま)き庭(には)水に浸(ひた)りてはき物(もの)をぬらしたりとて新嫁(にひよめ)泣き出す

井上の徳(とく)帰り来て乱暴なことをしよつた俺もするといふ

この嬶(かか)は大体(だいたい)おれの気に喰はぬ兄の妻でもいねといふ徳(とく)

往診ゆ帰り来(きた)りし井上に縫子(ぬひこ)は泣きつきうつたへて居(ゐ)る

弟の徳(とく)を打たずに井上はわが頭辺(かしらべ)を杖(つゑ)にて三(み)つ打つ

前額(ぜんがく)に凸凹(でこぼこ)出来たそのままに故郷に五里の道(みち)逃げかへる

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