霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第14巻(丑の巻)
序歌
信天翁(四)
凡例
総論歌
第1篇 五里夢中
第1章 三途川
第2章 銅木像
第3章 鷹彦還元
第4章 馬詈
第5章 風馬牛
第2篇 幽山霊水
第6章 楽隠居
第7章 難風
第8章 泥の川
第9章 空中滑走
第3篇 高加索詣
第10章 牡丹餅
第11章 河童の屁
第12章 復縁談
第13章 山上幽斎
第14章 一途川
第15章 丸木橋
第16章 返り咲
第4篇 五六七号
第17章 一寸一服
跋文
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスク完了しました
。どうもありがとうございます。
|
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい
霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第14巻(丑の巻)
> 第2篇 幽山霊水 > 第6章 楽隠居
<<< 風馬牛
(B)
(N)
難風 >>>
第六章
楽隠居
(
らくいんきよ
)
〔五五六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻
篇:
第2篇 幽山霊水
よみ(新仮名遣い):
ゆうざんれいすい
章:
第6章 楽隠居
よみ(新仮名遣い):
らくいんきょ
通し章番号:
556
口述日:
1922(大正11)年03月23日(旧02月25日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年11月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
弥次彦、与太彦、六の三人が小鹿峠を上がっていくと、路傍に大きな岩窟があった。岩窟の中には、三五教の勝公が捉えられていた。
勝公はウラル教の目付けの中に潜入していたが、音彦、弥次彦、与太彦が猿山峠に逃げる際に関所で目配せをして逃げ道を示してあげた。それが疑われて、岩窟に閉じ込められていたのであった。
三人は勝公を岩窟から出し、コーカス山に向かって祝詞を奏上した。弥次彦はこれまでの顛末を読み込んだ滑稽な宣伝歌を歌いながら、一行は小鹿峠を進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-19 01:43:57
OBC :
rm1406
愛善世界社版:
99頁
八幡書店版:
第3輯 193頁
修補版:
校定版:
103頁
普及版:
46頁
初版:
ページ備考:
001
弥次
(
やじ
)
、
002
与太
(
よた
)
、
003
六公
(
ろくこう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
004
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
して
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
を
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
005
十七八
(
じふしちはつ
)
丁
(
ちやう
)
も
来
(
き
)
たと
思
(
おも
)
ふ
頃
(
ころ
)
、
006
路傍
(
ろばう
)
に
可
(
か
)
なり
大
(
おほ
)
きな
巌窟
(
がんくつ
)
のあるのに
目
(
め
)
がついた。
007
六
(
ろく
)
『
弥次
(
やじ
)
サン、
008
与太
(
よた
)
サン、
009
非常
(
ひじやう
)
な
狭
(
せま
)
い
途
(
みち
)
になつたものだナア、
010
一方
(
いつぱう
)
は
断巌
(
だんがん
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
、
011
眼下
(
がんか
)
の
谷川
(
たにがは
)
は
激流
(
げきりう
)
飛沫
(
ひまつ
)
を
飛
(
と
)
ばし
実
(
じつ
)
に
物凄
(
ものすご
)
き
光景
(
くわうけい
)
、
012
一瞥
(
いちべつ
)
するも
肌
(
はだ
)
に
粟
(
あは
)
を
生
(
しやう
)
ずるやうだ。
013
そのまた
狭
(
せま
)
い
途
(
みち
)
に
大変
(
たいへん
)
な
巌窟
(
がんくつ
)
が
衝
(
つ
)
き
立
(
た
)
つてゐるぢやないか。
014
彼奴
(
あいつ
)
はナンデも
可笑
(
をか
)
しい
奴
(
やつ
)
だ。
015
ウラル
教
(
けう
)
の
奴
(
やつ
)
がこの
難所
(
なんしよ
)
に、
016
吾々
(
われわれ
)
を
待
(
ま
)
ち
受
(
う
)
けして
居
(
ゐ
)
るのぢやあるまいか』
017
弥
(
や
)
『ヤーホントに
馬
(
うま
)
の
背中
(
せなか
)
のやうな
細
(
ほそ
)
い
途
(
みち
)
に、
018
巌窟
(
がんくつ
)
がヌツト
突
(
つ
)
き
出
(
で
)
てゐよるワイ。
019
此奴
(
こいつ
)
は
些
(
ち
)
とをかしいぞ。
020
一
(
ひと
)
つ
ここら
から
石
(
いし
)
でも
抛
(
ほ
)
つて
瀬踏
(
せぶみ
)
して
見
(
み
)
やうかい』
021
与
(
よ
)
『よかろう、
022
一
(
ひと
)
つ
測量
(
そくりやう
)
だ』
023
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
024
手頃
(
てごろ
)
の
石
(
いし
)
を
掴
(
つか
)
んで
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
速射砲
(
そくしやはう
)
的
(
てき
)
に、
025
巌窟
(
がんくつ
)
目蒐
(
めが
)
けてパチパチパチと
打
(
う
)
ちつける。
026
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より、
027
(岩窟の中より)
『ヤーイ
危
(
あぶ
)
ないわい。
028
何
(
なん
)
を
テンゴ
するのだい』
029
弥
(
や
)
『これほど
岩
(
いは
)
を
以
(
もつ
)
て
固
(
かた
)
めた
洞穴
(
ほらあな
)
に
石
(
いし
)
が
当
(
あた
)
つたつて
応
(
こた
)
へるものか。
030
一寸
(
ちよつと
)
眠
(
ねむ
)
りを
醒
(
さま
)
してやつたのだよ。
031
一体
(
いつたい
)
そこに
居
(
を
)
る
奴
(
やつ
)
は
何者
(
なにもの
)
だ』
032
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より『
俺
(
おれ
)
だ
俺
(
おれ
)
だ。
033
貴様
(
きさま
)
は
誰
(
たれ
)
だい』
034
弥
(
や
)
『
俺
(
おれ
)
も
俺
(
おれ
)
だ。
035
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
人間
(
にんげん
)
だ』
036
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より『
貴様
(
きさま
)
はウラル
教
(
けう
)
か、
037
三五教
(
あななひけう
)
か』
038
弥
(
や
)
『
三五教
(
あななひけう
)
のお
方
(
かた
)
だよ』
039
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より『オーさうか。
040
間違
(
まちが
)
ひはないか。
041
俺
(
おれ
)
も
三五教
(
あななひけう
)
だ、
042
ウラル
教
(
けう
)
の
奴
(
やつ
)
に
捉
(
つかま
)
へられて、
043
コンナ
処
(
ところ
)
へ
閉
(
と
)
ぢ
込
(
こ
)
められたのだ。
044
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れないか』
045
与
(
よ
)
『オイオイ
弥次公
(
やじこう
)
、
046
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けないといかないぞ。
047
悪神
(
あくがみ
)
の
奴
(
やつ
)
、
048
ドンナ
計略
(
けいりやく
)
をやつてゐよるか
分
(
わか
)
つたものぢやないワ。
049
オイ
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
の
代物
(
しろもの
)
、
050
貴様
(
きさま
)
は
本当
(
ほんたう
)
に
三五教
(
あななひけう
)
ならば
何
(
なん
)
といふ
名
(
な
)
だ、
051
言挙
(
ことあ
)
げせぬかい』
052
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より『
貴様
(
きさま
)
から
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れ。
053
若
(
もし
)
もウラル
教
(
けう
)
だと
駄目
(
だめ
)
だからのう』
054
与
(
よ
)
『ハー
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
此奴
(
こいつ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
らしいぞ。
055
中々
(
なかなか
)
語気
(
ごき
)
が
確
(
しつ
)
かりしてゐる
哩
(
わい
)
。
056
コンナ
穴
(
あな
)
へ
閉
(
と
)
ぢ
込
(
こ
)
められて
彼
(
あ
)
れだけの
元気
(
げんき
)
のある
奴
(
やつ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
式
(
しき
)
だ。
057
ウラル
教
(
けう
)
の
奴
(
やつ
)
ならきつと
泣声
(
なきごゑ
)
を
出
(
だ
)
しよつて、
058
「モーシモーシ、
059
上
(
のぼ
)
り
下
(
くだ
)
りのお
客
(
きやく
)
サン、
060
何卒
(
どうぞ
)
憐
(
あは
)
れと
思召
(
おぼしめ
)
し、
061
難儀
(
なんぎ
)
な
難儀
(
なんぎ
)
な
私
(
わたくし
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
を
憐
(
あは
)
れみ
下
(
くだ
)
さいませ。
062
モーシモーシ、
063
通
(
とほ
)
り
掛
(
がか
)
りのお
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
064
難儀
(
なんぎ
)
な
盲目
(
めくら
)
でございます」と
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
乞食
(
こじき
)
もどき
に
吐
(
ぬ
)
かすのだけれど、
065
何処
(
どこ
)
となく
言霊
(
ことたま
)
に
強味
(
つよみ
)
があるやうだ。
066
不自由
(
ふじゆう
)
な
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
に
閉
(
と
)
ぢ
込
(
こ
)
められて
居
(
を
)
つてさへ、
067
あれ
丈
(
だ
)
けの
元気
(
げんき
)
だから、
068
仮令
(
たとへ
)
ウラル
教
(
けう
)
にしても
少
(
すこ
)
しは
気骨
(
きこつ
)
のある
奴
(
やつ
)
だ。
069
一
(
ひと
)
つ
外
(
そと
)
から
揶揄
(
からかつ
)
て
見
(
み
)
やうかい』
070
弥
(
や
)
『それも
面白
(
おもしろ
)
からう。
071
オイオイ
巌窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
のご
隠居
(
いんきよ
)
サン、
072
嘸
(
さぞ
)
や
御
(
ご
)
退屈
(
たいくつ
)
でございませうナ』
073
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より『エー
滅相
(
めつさう
)
な、
074
小
(
ちい
)
さい
穴
(
あな
)
が
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
に
開
(
あ
)
いて
居
(
を
)
りますから、
075
時々
(
ときどき
)
外部
(
そと
)
を
覗
(
のぞ
)
きますと、
076
小鹿川
(
こしかがは
)
の
緑
(
みどり
)
紅
(
くれなゐ
)
こき
混
(
ま
)
ぜて、
077
春色
(
しゆんしよく
)
豊
(
ゆたか
)
に
飛沫
(
ひまつ
)
を
飛
(
と
)
ばす
川
(
かは
)
の
流
(
なが
)
れ、
078
実
(
じつ
)
に
天下
(
てんか
)
の
絶景
(
ぜつけい
)
ですよ。
079
お
前
(
まへ
)
サンも
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
つて
隠居
(
いんきよ
)
をするのならコンナ
所
(
ところ
)
を
選
(
えら
)
んで、
080
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
に
鎮座
(
ちんざ
)
するのだな』
081
弥
(
や
)
『
此奴
(
こいつ
)
は
面白
(
おもしろ
)
い
奴
(
やつ
)
だ。
082
オイオイご
隠居
(
いんきよ
)
サン、
083
お
前
(
まへ
)
の
年齢
(
とし
)
は
幾
(
いく
)
つだ』
084
巌窟
(
がんくつ
)
の
男
(
をとこ
)
『
俺
(
わし
)
かい、
085
どうやら
斯
(
こ
)
うやら
数
(
かぞ
)
へ
年
(
どし
)
の
三十
(
さんじふ
)
だよ』
086
弥
(
や
)
『それはあまり
若隠居
(
わかいんきよ
)
ぢやないか。
087
人間
(
にんげん
)
も
三十
(
さんじふ
)
といへば
元気
(
げんき
)
盛
(
ざか
)
りだ。
088
これから
五十万
(
ごじふまん
)
年
(
ねん
)
の
未来
(
みらい
)
に
於
(
おい
)
て、
089
支那
(
しな
)
に
丘
(
きう
)
とか
孟
(
まう
)
とか
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
が
現
(
あら
)
はれて、
090
三十
(
さんじふ
)
にして
立
(
た
)
つとか
吐
(
ほざ
)
くぢやないか。
091
今
(
いま
)
から
隠居
(
いんきよ
)
するのはチト
勿体
(
もつたい
)
ないぞ。
092
一体
(
いつたい
)
お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
だい』
093
巌窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より『
俺
(
おれ
)
は
元
(
もと
)
はウラル
教
(
けう
)
の
信者
(
しんじや
)
であつたが
石凝姥
(
いしこりどめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
がコーカス
山
(
ざん
)
へ
往
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
に、
094
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
の
館
(
やかた
)
に
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ふて、
095
それから
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
し
三五教
(
あななひけう
)
になつたのだが、
096
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
して
一
(
ひと
)
つの
功
(
こう
)
もよう
立
(
た
)
てないので、
097
ナントカ
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
たねばならぬと、
098
また
元
(
もと
)
のウラル
教
(
けう
)
へ
表面
(
へうめん
)
復帰
(
ふくき
)
して
捕手
(
とりて
)
の
役
(
やく
)
に
加
(
くは
)
はつて
居
(
を
)
つたのだ。
099
さうした
所
(
ところ
)
が
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
二人
(
ふたり
)
の
供
(
とも
)
を
伴
(
つ
)
れて
関所
(
せきしよ
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
た。
100
俺
(
おれ
)
たちの
同僚
(
どうれう
)
は
血
(
ち
)
のついた
出刃
(
でば
)
を
以
(
もつ
)
て
猪
(
しし
)
を
料理
(
れうり
)
して
居
(
を
)
つた
所
(
ところ
)
、
101
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
が
来
(
き
)
たので、
102
いつそのこと
荒料理
(
あられうり
)
をしてやらうかと、
103
側
(
はた
)
の
奴
(
やつ
)
が
吐
(
ぬか
)
すので
俺
(
おれ
)
も
堪
(
たま
)
らぬやうになり、
104
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
一寸
(
ちよつと
)
目配
(
めくば
)
せしたら、
105
押戸
(
おしど
)
を
開
(
あ
)
けて
一目散
(
いちもくさん
)
に
遁
(
に
)
げて
了
(
しま
)
つた。
106
サア、
107
さうすると
同僚
(
どうれう
)
の
奴
(
やつ
)
、
108
貴様
(
きさま
)
は
変
(
へん
)
な
奴
(
やつ
)
だ。
109
やつぱり
三五教
(
あななひけう
)
の
臭味
(
しうみ
)
が
脱
(
ぬ
)
けぬと
見
(
み
)
えて、
110
何
(
なん
)
だか
妙
(
めう
)
な
合図
(
あひづ
)
をしよつた。
111
懲戒
(
こらしめ
)
のために
無期限
(
むきげん
)
に
此処
(
ここ
)
に
蟄居
(
ちつきよ
)
せよと
吐
(
ぬか
)
しよつて、
112
昨日
(
きのふ
)
から
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
められたのだ。
113
俺
(
おれ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
勝公
(
かつこう
)
といふ
男
(
をとこ
)
だよ。
114
早
(
はや
)
く
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
を
開
(
あ
)
けて
俺
(
おれ
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
して
呉
(
く
)
れないか』
115
弥
(
や
)
『
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て、
116
今
(
いま
)
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
開
(
びら
)
きをやつてやらう。
117
オイ
与太彦
(
よたひこ
)
、
118
貴様
(
きさま
)
は
大麻
(
おほぬさ
)
を
以
(
もつ
)
て
祓
(
はら
)
ふ
役
(
やく
)
だ。
119
俺
(
おれ
)
は
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
する、
120
六公
(
ろくこう
)
は
何
(
なに
)
も
供物
(
くもつ
)
が
無
(
な
)
いから
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
でも
むし
つて
御
(
お
)
供物
(
そなへもの
)
にするのだよ』
121
勝
(
かつ
)
『エー
洒落
(
しやれ
)
どころちやないワ。
122
早
(
はや
)
く
開
(
あ
)
けて
呉
(
く
)
れないか』
123
弥
(
や
)
『
定
(
きま
)
つたことよ。
124
あけ
たら
くれ
るのは
毎日
(
まいにち
)
定
(
きま
)
つてゐる。
125
あけ
ては
くれ
あけてはくれ、
126
その
日
(
ひ
)
その
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れるのだ。
127
アハヽヽヽ』
128
勝
(
かつ
)
『エー
辛気
(
しんき
)
くさい。
129
可
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
じら
して
置
(
お
)
け』
130
弥
(
や
)
『
じら
すとも、
131
貴様
(
きさま
)
はコンナ
所
(
ところ
)
に
窮窟
(
きうくつ
)
な
目
(
め
)
をして、
132
可憐
(
いじ
)
らしい
奴
(
やつ
)
だから
此方
(
こちら
)
も
意地
(
いぢ
)
で
じら
してやるのだ。
133
アハヽヽヽ』
134
与
(
よ
)
『オイオイ
弥次彦
(
やじひこ
)
、
135
ソンナ
与太
(
よた
)
を
云
(
い
)
ふな。
136
早
(
はや
)
く
開
(
あ
)
けてやらぬかい』
137
弥
(
や
)
『
開
(
あ
)
けて
悔
(
くや
)
しい
玉手箱
(
たまてばこ
)
、
138
後
(
あと
)
でコンナことだと
知
(
し
)
つたなら
開
(
あ
)
けぬが
優
(
まし
)
であつたものを、
139
会
(
あ
)
ひたい
見
(
み
)
たいと
明暮
(
あけくれ
)
に、
140
ナンテ
芝居
(
しばゐ
)
もどきに、
141
愁歎場
(
しうたんば
)
を
見
(
み
)
せつけられては
困
(
こま
)
るからなア』
142
六
(
ろく
)
『エー
碌
(
ろく
)
でもないことを
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
だナア。
143
綺麗
(
きれい
)
さつぱりと
開放
(
かいはう
)
して
上
(
あ
)
げなさい』
144
弥
(
や
)
『アヽさうださうだ、
145
開
(
あ
)
けて
上
(
あ
)
げませう。
146
ヤー
偉
(
えら
)
い
錠
(
ぢやう
)
を
下
(
おろ
)
してゐやがる
哩
(
わい
)
。
147
折悪
(
をりあし
)
く
合鍵
(
あひかぎ
)
の
持合
(
もちあは
)
せがないから、
148
オイ
勝
(
かつ
)
サンとやら、
149
仕方
(
しかた
)
がないワ。
150
まあ
悠
(
ゆつ
)
くりと
時節
(
じせつ
)
が
来
(
く
)
るまで
御
(
ご
)
逗留
(
とうりう
)
遊
(
あそ
)
ばせ』
151
勝
(
かつ
)
『
そこら
に
在
(
あ
)
る
手頃
(
てごろ
)
の
石
(
いし
)
を
以
(
もつ
)
て
錠前
(
ぢやうまへ
)
を
砕
(
くだ
)
いて
出
(
だ
)
して
呉
(
く
)
れ』
152
弥
(
や
)
『コンナ
立派
(
りつぱ
)
な
錠前
(
ぢやうまへ
)
を
むざ
むざと
潰
(
つぶ
)
すのは
勿体
(
もつたい
)
ないぢやないか』
153
勝
(
かつ
)
『
勿体
(
もつたい
)
ないも
糞
(
くそ
)
もあつたものか。
154
ウラル
教
(
けう
)
の
錠前
(
ぢやうまへ
)
だ、
155
木葉
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
に
砕
(
くだ
)
いて
出
(
だ
)
して
呉
(
く
)
れ』
156
弥
(
や
)
『
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て、
157
折角
(
せつかく
)
出来
(
でき
)
たものを
破壊
(
はくわい
)
するといふことは、
158
一寸
(
ちよつと
)
考
(
かんが
)
へ
物
(
もの
)
だ。
159
過激
(
くわげき
)
主義
(
しゆぎ
)
のやうになつては、
160
天道
(
てんだう
)
様
(
さま
)
へ
申訳
(
まをしわけ
)
がない。
161
何
(
なん
)
とか
完全
(
くわんぜん
)
に
原形
(
げんけい
)
を
存
(
そん
)
して、
162
開
(
あ
)
ける
工夫
(
くふう
)
があるまいかな』
163
六
(
ろく
)
『もし
此処
(
ここ
)
にコンナものがある。
164
これは
屹度
(
きつと
)
何
(
なに
)
かの
合図
(
あひづ
)
でせうで』
165
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
小指
(
こゆび
)
のやうな
形
(
かたち
)
をした
巌壁
(
がんぺき
)
の
細長
(
ほそなが
)
き
巌片
(
がんぺん
)
をグツと
押
(
お
)
した
途端
(
とたん
)
に、
166
岩
(
いは
)
の
戸
(
と
)
は
苦
(
く
)
もなくパツと
開
(
ひら
)
いた。
167
弥
(
や
)
、
168
与
(
よ
)
『アハヽヽヽ、
169
ナアンダ、
170
鼻糞
(
はなくそ
)
で
的
(
まと
)
を
貼
(
は
)
つたやうなことしよつて、
171
何処
(
どこ
)
までもウラル
教
(
けう
)
式
(
しき
)
だワイ。
172
オイ
勝
(
かつ
)
サン、
173
早
(
はや
)
く
出
(
で
)
ないか』
174
勝
(
かつ
)
『この
日
(
ひ
)
の
長
(
なが
)
いのに、
175
さう
狼狽
(
あはて
)
るものぢやない。
176
まア、
177
悠
(
ゆつ
)
くりと
皆
(
みな
)
サンも
此処
(
ここ
)
へ
這入
(
はい
)
りなさい。
178
持寄
(
もちよ
)
り
話
(
ばなし
)
でもして
春
(
はる
)
の
日長
(
ひなが
)
を
暮
(
くら
)
しませうかい』
179
弥
(
や
)
『ヨー
此奴
(
こやつ
)
はまた
法
(
はふ
)
外
(
はづ
)
れの
呑気者
(
のんきもの
)
だ。
180
類
(
るゐ
)
を
以
(
もつ
)
て
集
(
あつ
)
まるとは、
181
よく
云
(
い
)
つたものだナア。
182
馬
(
うま
)
は
馬
(
うま
)
連
(
づ
)
れ、
183
牛
(
うし
)
は
牛
(
うし
)
連
(
づ
)
れだ。
184
いよいよ
此処
(
ここ
)
に
四魂
(
しこん
)
揃
(
そろ
)
つたりだ。
185
オー
勝
(
かつ
)
サン、
186
どうぞ
御
(
ご
)
昵懇
(
じつこん
)
に
願
(
ねが
)
ひますよ。
187
私
(
わたくし
)
は
弥次彦
(
やじひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
剽軽
(
へうきん
)
な
生
(
うま
)
れ
付
(
つ
)
き、
188
此奴
(
こいつ
)
は
天下
(
てんか
)
一品
(
いつぴん
)
の
与太
(
よた
)
だから
与太彦
(
よたひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
がついてゐます。
189
モー
一匹
(
いつぴき
)
の
奴
(
やつ
)
は
あまり
碌
(
ろく
)
な
奴
(
やつ
)
ぢやないから
六
(
ろく
)
と
云
(
い
)
ひますよ。
190
アハヽヽヽ』
191
勝
(
かつ
)
『アヽよい
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
192
御
(
お
)
かげで
密室
(
みつしつ
)
監禁
(
かんきん
)
の
憂目
(
うきめ
)
を
免
(
のが
)
れました。
193
お
前
(
まへ
)
サンは
何処
(
どこ
)
かで
見
(
み
)
たことのあるやうな
顔
(
かほ
)
だな』
194
弥
(
や
)
、
195
与
(
よ
)
『
有
(
あ
)
るとも
有
(
あ
)
るとも、
196
彼
(
あ
)
の
出刃
(
でば
)
の
災難
(
さいなん
)
に
遭
(
あ
)
はうとした
時
(
とき
)
、
197
目
(
め
)
で
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れたのはお
前
(
まへ
)
だつたよ。
198
敵
(
てき
)
の
中
(
なか
)
にも
味方
(
みかた
)
があると
云
(
い
)
つて
非常
(
ひじやう
)
に
感謝
(
かんしや
)
して
居
(
を
)
つたのだ。
199
その
時
(
とき
)
の
恩人
(
おんじん
)
はお
前
(
まへ
)
だつたか、
200
妙
(
めう
)
なものだな。
201
お
前
(
まへ
)
に
助
(
たす
)
けられて
又
(
また
)
此処
(
ここ
)
で
助
(
たす
)
けられた
俺
(
わし
)
達
(
たち
)
が、
202
お
前
(
まへ
)
を
助
(
たす
)
けるとは
不思議
(
ふしぎ
)
なことだ。
203
これだから
人間
(
にんげん
)
は
善
(
よ
)
いことをして
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
けねばならない。
204
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
実地
(
じつち
)
教育
(
けういく
)
を
受
(
う
)
けたのだ。
205
あゝ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い、
206
四
(
よ
)
人
(
にん
)
一同
(
いちどう
)
揃
(
そろ
)
つて
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
しませうか』
207
と
巌窟前
(
がんくつぜん
)
の
細道
(
ほそみち
)
を
向方
(
むかふ
)
へ
渡
(
わた
)
りやや
広
(
ひろ
)
き
道
(
みち
)
に
出
(
い
)
で、
208
四
(
よ
)
人
(
にん
)
はコーカス
山
(
ざん
)
の
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて、
209
恭
(
うやうや
)
しく
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
210
弥
(
や
)
『
此処
(
ここ
)
はウラル
教
(
けう
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
の
勢力
(
せいりよく
)
範囲
(
はんゐ
)
ともいふべき
区域
(
くゐき
)
だから、
211
一
(
ひと
)
つ
元気
(
げんき
)
を
出
(
だ
)
し
宣伝歌
(
せんでんか
)
でも
謳
(
うた
)
つて
行
(
ゆ
)
きませうかい。
212
音頭
(
おんど
)
取
(
と
)
りは
私
(
わたくし
)
が
致
(
いた
)
しませう』
213
一同
(
いちどう
)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
214
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
215
この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
216
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
217
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
218
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
219
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
詔
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
220
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
221
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
音彦
(
おとひこ
)
の
222
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
223
猿山峠
(
さるやまたうげ
)
を
右
(
みぎ
)
に
見
(
み
)
て
224
荒野
(
あれの
)
ケ
原
(
はら
)
を
駆
(
かけ
)
めぐり
225
見
(
み
)
ても
危
(
あやふ
)
き
丸木橋
(
まるきばし
)
226
やつと
渡
(
わた
)
つて
川岸
(
かはぎし
)
に
227
憩
(
やす
)
む
折
(
をり
)
しも
傍
(
かたはら
)
の
228
草
(
くさ
)
の
しげみ
を
掻
(
か
)
き
分
(
わ
)
けて
229
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でし
黒頭巾
(
くろづきん
)
230
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
231
その
他
(
た
)
の
奴輩
(
やつばら
)
一々
(
いちいち
)
に
232
何
(
なん
)
の
容赦
(
ようしや
)
も
荒縄
(
あらなは
)
の
233
縛
(
しば
)
つてくれむと
雄健
(
をたけ
)
びの
234
その
見幕
(
けんまく
)
に
怖
(
おぢ
)
け
立
(
た
)
ち
235
力限
(
ちからかぎ
)
りに
遁
(
に
)
げ
出
(
だ
)
せば
236
豈
(
あに
)
図
(
はか
)
らむや
突
(
つ
)
き
当
(
あた
)
る
237
途
(
みち
)
の
真中
(
まなか
)
に
醜
(
しこ
)
が
住
(
す
)
む
238
関所
(
せきしよ
)
の
中
(
なか
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
み
239
如何
(
いかが
)
はせむと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
240
花
(
はな
)
も
実
(
み
)
も
有
(
あ
)
る
勝彦
(
かつひこ
)
が
241
深
(
ふか
)
き
情
(
なさけ
)
に
救
(
すく
)
はれて
242
虎口
(
ここう
)
をのがれ
息急
(
いきせ
)
きと
243
駆出
(
かけだ
)
す
途端
(
とたん
)
に
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の
244
泥田
(
どろた
)
の
中
(
なか
)
に
辷
(
すべ
)
り
込
(
こ
)
み
245
二人
(
ふたり
)
諸共
(
もろとも
)
泥
(
どろ
)
まぶれ
246
後
(
あと
)
より
敵
(
てき
)
は
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
く
)
る
247
何
(
なん
)
の
容赦
(
ようしや
)
も
荒肝
(
あらぎも
)
を
248
取
(
と
)
られて
泥田
(
どろた
)
を
這
(
は
)
ひ
上
(
あが
)
り
249
一行
(
いつかう
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一筋
(
ひとすぢ
)
の
250
田圃
(
たんぼ
)
の
道
(
みち
)
を
遁
(
に
)
げ
出
(
だ
)
せば
251
怪
(
あや
)
しき
奴
(
やつ
)
が
唯一人
(
ただひとり
)
252
目
(
め
)
をば
ぎよろ
ぎよろ
睨
(
にら
)
み
居
(
ゐ
)
る
253
此奴
(
こいつ
)
的切
(
てつき
)
りウラル
教
(
けう
)
254
目付
(
めつけ
)
の
奴
(
やつ
)
と
全身
(
ぜんしん
)
の
255
力
(
ちから
)
をこめて
傍
(
かたはら
)
の
256
泥田
(
どろた
)
の
中
(
なか
)
へ
突
(
つ
)
き
落
(
おと
)
し
257
後
(
あと
)
をも
見
(
み
)
ずにトントンと
258
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
259
思
(
おも
)
ひもかけぬ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
260
鬼
(
おに
)
をも
欺
(
あざむ
)
く
荒男
(
あらをとこ
)
261
前
(
まへ
)
と
後
(
うしろ
)
に
数百
(
すうひやく
)
の
262
ウラルの
彦
(
ひこ
)
の
捕手
(
とりて
)
共
(
ども
)
263
雲霞
(
うんか
)
の
如
(
ごと
)
く
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
264
進退
(
しんたい
)
茲
(
ここ
)
に
谷
(
きは
)
まりて
265
忽
(
たちま
)
ち
谷間
(
たにま
)
へ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
266
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
の
曲芸
(
きよくげい
)
を
267
演
(
えん
)
じて
河中
(
かちう
)
に
着陸
(
ちやくりく
)
し
268
ウンと
一声
(
いつせい
)
気絶
(
きぜつ
)
して
269
十万
(
じふまん
)
億土
(
おくど
)
の
幽界
(
いうかい
)
の
270
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
渡場
(
わたしば
)
で
271
怪体
(
けたい
)
な
婆
(
ばば
)
アに
出会
(
でくは
)
して
272
何
(
なん
)
ぢや
彼
(
かん
)
ぢやと
かけ
合
(
あ
)
ひの
273
其
(
そ
)
の
最中
(
さいちう
)
に
珍
(
めづ
)
らしや
274
ウラルの
彦
(
ひこ
)
の
目付役
(
めつけやく
)
275
源五郎
(
げんごらう
)
奴
(
め
)
がやつて
来
(
き
)
て
276
要
(
い
)
らざる
繰言
(
くりごと
)
吐
(
ほざ
)
きつつ
277
ここにいよいよ
真裸
(
まつぱだか
)
278
川
(
かは
)
と
見
(
み
)
えたる
荒野原
(
あれのはら
)
279
トントントンと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
280
行
(
ゆ
)
けば
程
(
ほど
)
なく
禿山
(
はげやま
)
の
281
麓
(
ふもと
)
に
ぴたり
と
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
り
282
行手
(
ゆくて
)
を
塞
(
ふさ
)
がれ
是非
(
ぜひ
)
も
無
(
な
)
く
283
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
声
(
こゑ
)
清
(
きよ
)
く
284
奏上
(
そうじやう
)
するや
忽
(
たちま
)
ちに
285
地
(
ち
)
から
湧
(
わ
)
き
出
(
で
)
た
銅木像
(
どうもくざう
)
286
からくり
人形
(
にんぎやう
)
の
曲芸
(
きよくげい
)
を
287
一寸
(
ちよつと
)
演
(
えん
)
じたご
愛嬌
(
あいけう
)
288
煤
(
すす
)
を
吐
(
は
)
くやらミヅバナを
289
頻
(
しき
)
りに
浴
(
あ
)
びせかけるやら
290
茶色
(
ちやいろ
)
のやうな
小便
(
せうべん
)
の
291
虹
(
にじ
)
の
雨
(
あめ
)
やら
針
(
はり
)
の
雨
(
あめ
)
292
こりや
堪
(
たま
)
らぬと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
293
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
別
(
わけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
294
数多
(
あまた
)
の
弟子
(
でし
)
をば
引連
(
ひきつ
)
れて
295
やつて
来
(
き
)
たかと
思
(
おも
)
ひきや
296
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
は
嘘
(
うそ
)
の
皮
(
かは
)
297
流
(
なが
)
れも
清
(
きよ
)
き
小鹿川
(
こしかがは
)
298
川
(
かは
)
の
真砂
(
まさご
)
に
横臥
(
わうぐわ
)
して
299
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
にも
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
る
300
怪体
(
けたい
)
な
幕
(
まく
)
を
切
(
き
)
り
上
(
あ
)
げて
301
木株
(
こかぶ
)
を
力
(
ちから
)
に
元
(
もと
)
の
道
(
みち
)
302
登
(
のぼ
)
つて
見
(
み
)
れば
数百
(
すうひやく
)
の
303
馬
(
うま
)
が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
牛
(
うし
)
が
来
(
く
)
る
304
馬
(
うま
)
と
牛
(
うし
)
との
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
る
305
やつと
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
306
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ
巌窟
(
がんくつ
)
に
307
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
308
負
(
まけ
)
ても
名
(
な
)
だけは
勝
(
かつ
)
サンが
309
三十
(
さんじふ
)
男
(
をとこ
)
の
楽隠居
(
らくいんきよ
)
310
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
巡
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
ひ
311
互
(
たがひ
)
に
見合
(
みあ
)
はす
顔
(
かほ
)
と
顔
(
かほ
)
312
善
(
ぜん
)
と
善
(
ぜん
)
との
引合
(
ひきあは
)
せ
313
コンナ
嬉
(
うれ
)
しいことあろか
314
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
315
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
のわれわれは
316
前途
(
ぜんと
)
益々
(
ますます
)
有望
(
いうばう
)
だ
317
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
318
四魂
(
しこん
)
揃
(
そろ
)
つて
堂々
(
だうだう
)
と
319
曲
(
まが
)
の
砦
(
とりで
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
320
ウラルの
彦
(
ひこ
)
の
目付
(
めつけ
)
等
(
ら
)
を
321
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
打
(
う
)
ちのめし
322
勝鬨
(
かちどき
)
挙
(
あ
)
げて
高架索
(
コーカサス
)
山
(
ざん
)
の
323
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
復
(
かへ
)
り
言
(
ごと
)
324
申
(
まを
)
すも
左
(
さ
)
まで
遠
(
とほ
)
からじ
325
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
326
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
327
たとへ
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
328
三五教
(
あななひけう
)
には
離
(
はな
)
れなよ
329
ウラルの
教
(
をしへ
)
に
迷
(
まよ
)
ふなよ
330
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
331
悪魔
(
あくま
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
の
滅
(
ほろ
)
ぶまで
332
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
失
(
う
)
するまで』
333
と
倒
(
こ
)
け
徳利
(
どつくり
)
の
様
(
やう
)
に
口
(
くち
)
から
出放題
(
ではうだい
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謳
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
334
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
を
勢
(
いきほ
)
ひよく
脚
(
あし
)
踏
(
ふ
)
み
鳴
(
な
)
らして
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
335
(
大正一一・三・二三
旧二・二五
外山豊二
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 風馬牛
(B)
(N)
難風 >>>
霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第14巻(丑の巻)
> 第2篇 幽山霊水 > 第6章 楽隠居
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第6章 楽隠居|第14巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1406】
合言葉「みろく」を入力して下さい→