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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第14巻(丑の巻)
序歌
信天翁(四)
凡例
総論歌
第1篇 五里夢中
第1章 三途川
第2章 銅木像
第3章 鷹彦還元
第4章 馬詈
第5章 風馬牛
第2篇 幽山霊水
第6章 楽隠居
第7章 難風
第8章 泥の川
第9章 空中滑走
第3篇 高加索詣
第10章 牡丹餅
第11章 河童の屁
第12章 復縁談
第13章 山上幽斎
第14章 一途川
第15章 丸木橋
第16章 返り咲
第4篇 五六七号
第17章 一寸一服
跋文
余白歌
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霊界物語
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如意宝珠(第13~24巻)
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第14巻(丑の巻)
> 第3篇 高加索詣 > 第11章 河童の屁
<<< 牡丹餅
(B)
(N)
復縁談 >>>
第一一章
河童
(
かつぱ
)
の
屁
(
へ
)
〔五六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻
篇:
第3篇 高加索詣
よみ(新仮名遣い):
こーかすまいり
章:
第11章 河童の屁
よみ(新仮名遣い):
かつぱのへ
通し章番号:
561
口述日:
1922(大正11)年03月24日(旧02月26日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年11月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
三人は六公を追いかけて二十峠までやってきた。松屋で六公とお竹が互いの顔を見て逃げてしまったので、三人は、六公とお竹の間に何か男女の関係があるのではないかと話している。
弥次彦はにわかに腹がいたくなり、側の茂みの中に隠れて唸り出す。するとやはり茂みの中で唸っている者がいる。それが六公であった。一行はお竹とのことを訪ねるが、六公は答えない。
一行は四人に戻って道中を急ぐ。すると、傍らの草の中から覆面の男たち十七、八人が槍をしごいて現れた。男たちの頭目は、ウラル教の烏勘三郎と名乗って、四人を捕縛しようとした。
勝公は両手を組んで、指先から霊弾を発射すると、男たちは霊縛されてしまった。四人は宣伝歌を歌い、その言霊に男たちは救われて、三五教に帰順することになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-19 01:50:33
OBC :
rm1411
愛善世界社版:
181頁
八幡書店版:
第3輯 224頁
修補版:
校定版:
187頁
普及版:
85頁
初版:
ページ備考:
001
勝公
(
かつこう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
始
(
はじ
)
め
弥次彦
(
やじひこ
)
、
002
与太彦
(
よたひこ
)
は
六公
(
ろくこう
)
の
後
(
あと
)
を
追跡
(
つゐせき
)
して
漸
(
やうや
)
く
二十峠
(
はたちたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
に
着
(
つ
)
いた。
003
与
(
よ
)
『サア
又
(
また
)
之
(
これ
)
からが
危険
(
きけん
)
区域
(
くゐき
)
だ、
004
敵
(
てき
)
の
防禦網
(
ばうぎよまう
)
を
突破
(
とつぱ
)
して
善戦
(
ぜんせん
)
善闘
(
ぜんとう
)
、
005
秘術
(
ひじゆつ
)
を
尽
(
つく
)
し
神軍
(
しんぐん
)
の
威力
(
ゐりよく
)
を
示
(
しめ
)
すべき
時
(
とき
)
は
迫
(
せま
)
つた』
006
勝
(
かつ
)
『アヽさうだ、
007
各自
(
めいめい
)
に
腹帯
(
はらおび
)
をしつかりと
締
(
し
)
めて、
008
四辺
(
あたり
)
に
気
(
き
)
をつけ
登阪
(
とはん
)
する
事
(
こと
)
としよう。
009
それにしても
六公
(
ろくこう
)
は
何処
(
どこ
)
へ
磨滅
(
まめつ
)
して
仕舞
(
しま
)
つたのだらうか、
010
三
(
さん
)
人
(
にん
)
では
如何
(
どう
)
も
話
(
はな
)
し
相手
(
あひて
)
のバランスがとれない、
011
仲々
(
なかなか
)
の
慌
(
あは
)
て
者
(
もの
)
だからなア』
012
弥
(
や
)
『
何
(
なん
)
でも
彼奴
(
あいつ
)
、
013
お
竹
(
たけ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るより
猫
(
ねこ
)
のつるんだ
後
(
あと
)
の
様
(
やう
)
に
両方
(
りやうはう
)
へパツと
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
つた。
014
その
時
(
とき
)
の
可笑
(
をか
)
しさ、
015
之
(
これ
)
は
何
(
なに
)
か
込
(
こ
)
み
入
(
い
)
つたローマンスが
伏在
(
ふくざい
)
して
居
(
ゐ
)
るのかも
知
(
し
)
れないぞ』
016
与
(
よ
)
『
何
(
なに
)
、
017
ローマンスなんて、
018
アンナ
男
(
をとこ
)
にあつて
堪
(
たま
)
るものかい』
019
弥
(
や
)
『さう
見絞
(
みくび
)
つたものじや
無
(
な
)
い、
020
縁
(
えん
)
は
異
(
い
)
なもの
乙
(
おつ
)
なものだ。
021
今
(
いま
)
に
六公
(
ろくこう
)
がお
竹
(
たけ
)
を
連
(
つ
)
れて「ヤア
六
(
ろく
)
サンか、
022
お
前
(
まへ
)
は
如何
(
どう
)
して
居
(
を
)
つたのだ、
023
その
袴
(
はかま
)
は
何事
(
なにごと
)
ぞ、
024
此
(
この
)
お
召物
(
めしもの
)
は」と
取
(
と
)
り
付
(
つ
)
いて
涙
(
なみだ
)
片手
(
かたて
)
に
掻
(
か
)
き
口説
(
くど
)
く、
025
そこで
六公
(
ろくこう
)
の
奴
(
やつ
)
「ヤアお
竹
(
たけ
)
、
026
如何
(
どう
)
成
(
な
)
り
行
(
ゆ
)
くも
因縁
(
いんねん
)
づくぢやと
諦
(
あきら
)
めて
呉
(
く
)
れよ、
027
昨日
(
きのふ
)
に
変
(
かは
)
る
今日
(
けふ
)
の
空
(
そら
)
、
028
定
(
さだ
)
めなき
世
(
よ
)
の
習
(
なら
)
ひに
洩
(
も
)
れぬ
二人
(
ふたり
)
が
切
(
せつ
)
ない
恋路
(
こひぢ
)
、
029
アーア、
030
天道
(
てんだう
)
様
(
さま
)
も
聞
(
きこ
)
えませぬ」
等
(
など
)
と
何処
(
どこ
)
か
途中
(
とちう
)
で
悲劇
(
ひげき
)
の
幕
(
まく
)
を
演
(
えん
)
じ、
031
ヤツト
機嫌
(
きげん
)
をとり
直
(
なほ
)
し
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
把
(
と
)
つて
二十峠
(
はたちたうげ
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り「
天下
(
てんか
)
の
色男
(
いろをとこ
)
はマアこの
通
(
とほ
)
り、
032
比翼
(
ひよく
)
連理
(
れんり
)
を
契
(
ちぎ
)
つた
仲
(
なか
)
、
033
切
(
き
)
つても
切
(
き
)
れぬ
二人
(
ふたり
)
が
恋路
(
こひぢ
)
」なんて
惚
(
のろ
)
けよつて
首
(
くび
)
を
其
(
その
)
場
(
ば
)
へヌツと
現
(
あら
)
はすかも
知
(
し
)
れないぞ、
034
アハヽヽヽ』
035
与
(
よ
)
『ウツフヽヽヽ、
036
アーア、
037
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふて
呉
(
く
)
れない、
038
臍
(
へそ
)
が
弛
(
だる
)
くなつて、
039
足
(
あし
)
がガブリガブリするワ』
040
弥
(
や
)
『
勝彦
(
かつひこ
)
サン、
041
コンナ
足
(
あし
)
が
笑
(
わら
)
ふ
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
に
構
(
かま
)
はずに
二人
(
ふたり
)
仲良
(
なかよ
)
く
進
(
すす
)
みませうかい。
042
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
道中
(
だうちう
)
と
言
(
い
)
ふものは
何
(
なん
)
だか
一人
(
ひとり
)
空手
(
あきて
)
が
出来
(
でき
)
て、
043
話
(
はな
)
しもつて
歩
(
ある
)
くのに
如何
(
どう
)
も
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
い』
044
与
(
よ
)
『ヘン
俺
(
おれ
)
を
放
(
ほ
)
つといて
二人
(
ふたり
)
先
(
さき
)
に
行
(
い
)
つたら
面白
(
おもしろ
)
からう、
045
丁度
(
ちやうど
)
四足
(
よつあし
)
の
旅行
(
りよかう
)
だから
早
(
はや
)
く
先
(
さき
)
へ
行
(
い
)
つて
路瑞
(
みちばた
)
の
草
(
くさ
)
でも
噬
(
しや
)
ぶるか、
046
石地蔵
(
いしぢざう
)
に
小便
(
せうべん
)
でもかけたが
良
(
よ
)
い
哩
(
わい
)
』
047
弥
(
や
)
『コラ、
048
馬鹿
(
ばか
)
にするない、
049
牛馬
(
ぎうば
)
か
犬
(
いぬ
)
の
様
(
やう
)
に
草
(
くさ
)
を
喰
(
く
)
への、
050
小便
(
せうべん
)
をひつかけろのと
余
(
あま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にするない』
051
与
(
よ
)
『ヤア
割
(
わり
)
とは
気
(
き
)
の
小
(
ちい
)
さい
奴
(
やつ
)
だナ、
052
コンナ
事
(
こと
)
に
腹
(
はら
)
の
立
(
た
)
つ
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
で
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
伴
(
とも
)
が
出来
(
でき
)
るかい、
053
娑婆
(
しやば
)
幽霊
(
いうれい
)
奴
(
め
)
い、
054
ツベコベ
囀
(
さへづ
)
ると
又
(
また
)
、
055
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずゑ
)
から
踏
(
ふ
)
み
外
(
はづ
)
して
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かさなならないぞ。
056
此処
(
ここ
)
は
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
だが
後
(
さき
)
になれば
弥次彦
(
やじひこ
)
の
こしぬかし
峠
(
たうげ
)
と
名
(
な
)
がつくだらう。
057
オイ
腰抜
(
こしぬ
)
け
先生
(
せんせい
)
、
058
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
にお
越
(
こ
)
しなさい、
059
もう
貴様
(
きさま
)
とは
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り
国交
(
こくかう
)
断絶
(
だんぜつ
)
だ、
060
旅券
(
りよけん
)
を
交付
(
かうふ
)
して
与
(
や
)
るから
蒸汽
(
じようき
)
に
乗
(
の
)
つて
早
(
はや
)
く
帰国
(
きこく
)
致
(
いた
)
せ』
061
弥
(
や
)
『アハヽヽヽ、
062
与太
(
よた
)
の
奴
(
やつ
)
、
063
真面目
(
まじめ
)
になりよつて
其
(
その
)
面
(
つら
)
ア
何
(
なん
)
だ、
064
まるで
夜鷹
(
よたか
)
の
様
(
やう
)
な
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
を
剥
(
む
)
きよつて
嘴
(
くちばし
)
を
鋭
(
とが
)
らして、
065
あまり
見
(
み
)
つとも
良
(
よ
)
くないぞ。
066
之
(
これ
)
から
与太
(
よた
)
を
改名
(
かいめい
)
して
夜鷹
(
よたか
)
と
言
(
い
)
つたが
宜
(
よ
)
からう、
067
夜鷹
(
よたか
)
と
言
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
ござ
をひつかけて
暗
(
くら
)
い
辻
(
つじ
)
に
立
(
た
)
てつて
居
(
ゐ
)
よる
奴
(
やつ
)
だ』
068
与
(
よ
)
『アヽそうか(
惣嫁
(
そうか
)
)とけつかる
哩
(
わい
)
』
069
弥
(
や
)
『お
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
との
仲
(
なか
)
は
何
(
ど
)
うやら
形勢
(
けいせい
)
不穏
(
ふおん
)
になつて
来
(
き
)
かけた、
070
サア
勝公
(
かつこう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
御
(
おん
)
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
で
平和
(
へいわ
)
克復
(
こくふく
)
の
条約
(
でうやく
)
を
結
(
むす
)
ばうかい』
071
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
072
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つて、
073
弥
(
や
)
『サアサ
屁
(
へ
)
いはこく
吹
(
ふ
)
くだ』
074
与
(
よ
)
『アハヽヽヽ、
075
屁
(
へ
)
と
言
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
笑顔
(
ゑがほ
)
の
好
(
よ
)
い
奴
(
やつ
)
だな、
076
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
貴様
(
きさま
)
の
屁
(
へ
)
は、
077
あまり
牡丹餅
(
ぼたもち
)
を
沢山
(
たくさん
)
格納
(
かくなふ
)
したので
瓦斯
(
ガス
)
が
猛烈
(
まうれつ
)
に
発生
(
はつせい
)
して、
078
異様
(
いやう
)
の
臭気
(
しうき
)
紛々
(
ふんぷん
)
として
鼻
(
はな
)
を
向
(
む
)
くべからずと
言
(
い
)
ふ
臭
(
しう
)
の
臭
(
しう
)
の
醜
(
しう
)
たるものだ、
079
アハヽヽヽ、
080
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い、
081
貴様
(
きさま
)
の
尻
(
しり
)
から
行
(
ゆ
)
くと
年
(
ねん
)
が
年中
(
ねんぢう
)
雪隠
(
せんち
)
の
中
(
なか
)
で
年期
(
ねんき
)
奉公
(
ぼうこう
)
をしてる
様
(
やう
)
なものだよ、
082
真実
(
ほんと
)
に
吾輩
(
わがはい
)
も
不平
(
ふへい
)
満々
(
まんまん
)
だ』
083
弥
(
や
)
『
俺
(
おれ
)
の
屁
(
へ
)
は
臭
(
しう
)
の
臭
(
しう
)
の
秀逸
(
しういつ
)
だらう、
084
臭気
(
しうき
)
紛々
(
ふんぷん
)
として
恰
(
あたか
)
も
麝香
(
じやかう
)
の
如
(
ごと
)
しだ。
085
臭
(
くさ
)
いのが
屁
(
へ
)
の
生命
(
せいめい
)
だ、
086
臭
(
くさ
)
うない
屁
(
へ
)
は
既
(
すで
)
に
已
(
すで
)
に
屁
(
へ
)
たるの
資格
(
しかく
)
を
失
(
うしな
)
つたものだ。
087
河童
(
かつぱ
)
の
屁
(
へ
)
の
様
(
やう
)
に
匂
(
にほ
)
ひのせぬ
奴
(
やつ
)
は
屁
(
へ
)
の
腐
(
くさ
)
つたのだよ。
088
屁
(
へ
)
をこくなら
生
(
い
)
きた
屁
(
へ
)
をこけ、
089
死屁
(
しべ
)
は
縁起
(
えんぎ
)
が
悪
(
わる
)
いぞ』
090
与
(
よ
)
『
貴様
(
きさま
)
の
屁
(
へ
)
は
伊勢
(
いせ
)
参宮
(
さんぐう
)
の
道中屁
(
だうちうべ
)
だ、
091
堅
(
かた
)
い
堅
(
かた
)
い
屁
(
へ
)
を
放
(
ひ
)
るから
石部
(
いしべ
)
だ、
092
音
(
おと
)
は
大
(
おほ
)
津
(
つ
)
で
後
(
あと
)
は
草
(
くさ
)
津
(
つ
)
だ、
093
真実
(
ほんと
)
に
威勢
(
ゐせ
い
)
(
伊勢
(
いせ
)
)の
良
(
よ
)
い
事
(
こと
)
だ、
094
アハヽヽヽ』
095
弥『
軍学
(
ぐんがく
)
の
名人
(
めいじん
)
、
096
兵
(
へい
)
法
(
はふ
)
の
達人
(
たつじん
)
とは
弥次彦
(
やじひこ
)
の
事
(
こと
)
だよ。
097
今
(
いま
)
に
砲兵
(
はうへい
)
工廠
(
こうしやう
)
でも
建設
(
けんせつ
)
して
大砲
(
たいはう
)
を
製造
(
せいざう
)
し
盛
(
さかん
)
に
砲列
(
はうれつ
)
を
敷
(
し
)
いて
戦闘
(
せんとう
)
準備
(
じゆんび
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
する
考
(
かんが
)
へだよ、
098
アハヽヽヽヽ』
099
与
(
よ
)
『オイ
弥次屁衛
(
やじべゑ
)
、
100
貴様
(
きさま
)
はこれから
兵
(
へい
)
助
(
すけ
)
、
101
文
(
ぶん
)
助
(
すけ
)
、
102
久
(
きう
)
助
(
すけ
)
と、
103
尊名
(
そんめい
)
を
奉
(
たてまつ
)
らう。
104
有難
(
ありがた
)
く
頂載
(
ちやうだい
)
せい』
105
弥
(
や
)
『ヘイヘイ
有難
(
ありがた
)
う、
106
確
(
たしか
)
に
頂戴
(
ちやうだい
)
仕
(
つかまつ
)
りませう、
107
マア
斯
(
こ
)
うなれば
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
も
へ
な
戸
(
ど
)
の
風
(
かぜ
)
に
へ
解
(
と
)
き
放
(
はな
)
ち
艫
(
とも
)
解
(
と
)
き
放
(
はな
)
ちて
大海
(
おほわだ
)
の
原
(
はら
)
に、
108
大津
(
おほつ
)
べ
に
居
(
を
)
る
大船
(
おほふね
)
を
押
(
お
)
し
放
(
はな
)
つ
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く
へ
い
和
(
わ
)
の
風
(
かぜ
)
はソヨソヨと
春
(
はる
)
の
海面
(
かいめん
)
を
撫
(
な
)
でて
天下
(
てんか
)
泰
(
たい
)
へ
い
最後
(
さいご
)
屁和
(
へいわ
)
こく
土
(
ど
)
成就
(
じやうじゆ
)
だ。
109
愈
(
いよいよ
)
へ
い
和
(
わ
)
克復
(
こくふく
)
の
曙光
(
しよくわう
)
を
認
(
みと
)
めた、
110
へこく
(
四国
(
しこく
)
)
へち
十
(
じふ
)
へつか
所
(
しよ
)
(
八十八
(
はちじふはち
)
ケ
所
(
しよ
)
)
何
(
な
)
んぼ(
南無
(
なむ
)
)
放
(
こ
)
いても
大師
(
だいし
)
遍照
(
へんぜう
)
金剛
(
こんがう
)
だ、
111
アハヽヽヽ』
112
与
(
よ
)
『モシモシ
勝彦
(
かつひこ
)
サン、
113
貴方
(
あなた
)
はよつぽど
真面目
(
まじめ
)
な
人
(
ひと
)
ですな、
114
コンナ
可笑
(
をか
)
しい
事
(
こと
)
が
貴方
(
あなた
)
は
何
(
なん
)
ともありませぬか』
115
勝
(
かつ
)
『お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
屁
(
へ
)
でもない
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
が
可笑
(
をか
)
しいのか、
116
水中
(
すゐちう
)
に
放屁
(
はうひ
)
した
様
(
やう
)
な
下
(
くだ
)
らぬ
喧嘩
(
けんくわ
)
をオツ
始
(
ぱじ
)
めて
平和
(
へいわ
)
克復
(
こくふく
)
もあつたものか、
117
人
(
ひと
)
を
屁煙
(
へけむり
)
に
捲
(
ま
)
いて、
118
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
聊
(
いささ
)
か
閉口
(
へいこう
)
頓首
(
とんしゆ
)
の
至
(
いた
)
りだ』
119
弥
(
や
)
『この
与太公
(
よたこう
)
は
屁放
(
へつぴ
)
り
腰
(
ごし
)
の
屁古垂
(
へこたれ
)
男
(
をとこ
)
だから、
120
もちつと
向
(
むか
)
ふへ
行
(
い
)
つたら
屹度
(
きつと
)
屁古垂
(
へこた
)
れますぜ、
121
アハヽヽヽ』
122
与
(
よ
)
『お
前
(
まへ
)
は
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
の
弥次郎
(
やじらう
)
兵衛
(
べゑ
)
と
云
(
い
)
ふ
屁
(
へ
)
こき
爺
(
おやぢ
)
だ。
123
あまり
調子
(
てうし
)
に
乗
(
の
)
ると
社会
(
しやくわい
)
の
弊
(
へい
)
害
(
がい
)
になるから
良
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
筒口
(
つつぐち
)
を
閉
(
へい
)
門
(
もん
)
した
方
(
はう
)
が
宜
(
よ
)
からうぞ、
124
アハヽヽヽ』
125
勝
(
かつ
)
『まるで
鼬
(
いたち
)
や
馬
(
うま
)
や
屁
(
へ
)
こぎぶんぶと
道連
(
みちづ
)
れの
様
(
やう
)
だワイ、
126
オツホヽヽヽ』
127
弥
(
や
)
『ヨーヨー
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
話
(
はなし
)
につられて
頂上
(
ちやうじやう
)
へやつて
来
(
き
)
ました。
128
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
此処
(
ここ
)
にも
平
(
へい
)
坦
(
たん
)
な
道
(
みち
)
が
開平
(
かいへい
)
されてあるですな。
129
遠
(
とほ
)
く
彼方
(
あなた
)
を
見渡
(
みわた
)
せば
目
(
め
)
も
届
(
とど
)
かぬ
許
(
ばか
)
りの
之
(
これ
)
も
大
(
だい
)
平
(
へい
)
原
(
げん
)
、
130
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
天下
(
てんか
)
太
(
たい
)
平
(
へい
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だワイ、
131
アハヽヽヽ』
132
勝
(
かつ
)
、
133
与
(
よ
)
『ウツホヽヽヽ』
134
弥
(
や
)
『
何
(
なん
)
だか、
135
チツと
腹
(
はら
)
が
変
(
へん
)
になつて
来
(
き
)
ました、
136
一寸
(
ちよつと
)
そこ
迄
(
まで
)
失礼
(
しつれい
)
いたします、
137
ここらに
屁太張
(
へたば
)
つて
待
(
ま
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さいませ、
138
ヘイ
御免
(
ごめん
)
なさいませよ』
139
とチヨコチヨコ
走
(
はし
)
り、
140
樹
(
き
)
の
繁
(
しげ
)
みに
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
141
与
(
よ
)
『ハツハヽヽヽ、
142
何処
(
どこ
)
かに
芋
(
いも
)
を
植
(
う
)
ゑに
行
(
ゆ
)
きよつたな、
143
太
(
ふと
)
い
奴
(
やつ
)
を、
144
アハヽヽヽ。
145
アーア
胸
(
むね
)
が
悪
(
わる
)
くなつた、
146
折角
(
せつかく
)
喰
(
く
)
つた
牡丹餅
(
ぼたもち
)
もどうやら
嘔吐
(
あが
)
り
相
(
さう
)
になつて
来
(
き
)
た
哩
(
わい
)
』
147
一方
(
いつぱう
)
の
森林
(
しんりん
)
の
中
(
なか
)
よりウンウンと
言
(
い
)
ふ
呻
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
、
148
弥次彦
(
やじひこ
)
の
隠
(
かく
)
れた
方
(
はう
)
にも
亦
(
また
)
もやウンウンといふ
呻
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
149
与
(
よ
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
堪
(
た
)
まらぬ、
150
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
より、
151
敵
(
てき
)
に
挟撃
(
けふげき
)
されてる
様
(
やう
)
なものだ、
152
オイオイ、
153
ウンウン
吐
(
ぬ
)
かす
奴
(
やつ
)
は
何処
(
どこ
)
の
糞奴
(
くそやつこ
)
だい』
154
忽
(
たちま
)
ちガサガサと
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
がある、
155
見
(
み
)
れば
何
(
なん
)
だか
見覚
(
みおぼ
)
えのある
顔
(
かほ
)
だ。
156
与
(
よ
)
『ヤア
六公
(
ろくこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
157
何
(
なに
)
をしてゐたのだい』
158
六
(
ろく
)
『
何
(
なに
)
…………、
159
一寸
(
ちよつと
)
…………ホンノ…………
僅
(
わづ
)
かなものだよ…………、
160
俄
(
にはか
)
に
陣痛
(
しきり
)
が
来
(
き
)
たので
産婆
(
さんば
)
は
居
(
を
)
らぬけれど
一人
(
ひとり
)
でトツクリお
産
(
さん
)
をやつてゐたのだ』
161
与
(
よ
)
『
フン
さうかい、
162
彼方
(
あなた
)
にも
此方
(
こちら
)
にも
子
(
こ
)
を
生
(
う
)
みよつて
吾々
(
われわれ
)
は
糞
(
くそ
)
攻
(
ぜ
)
めに
遭
(
あ
)
ふて、
163
実
(
じつ
)
に
糞慨
(
ふんがい
)
の
至
(
いた
)
りだ。
164
オイ
弥次兵衛
(
やじべゑ
)
、
165
よい
加減
(
かげん
)
に
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ないか、
166
汽笛
(
きてき
)
が
鳴
(
な
)
つたぞ、
167
発車
(
はつしや
)
時間
(
じかん
)
に
乗
(
の
)
り
遅
(
おく
)
れても
知
(
し
)
らぬぞよ』
168
弥
(
や
)
『
八釜
(
やかま
)
しう
言
(
い
)
ふな、
169
今
(
いま
)
発射
(
はつしや
)
の
最中
(
さいちう
)
だ。
170
貴様
(
きさま
)
も
其処
(
そこ
)
でお
山
(
やま
)
の
大将
(
たいしやう
)
俺
(
おれ
)
一人
(
ひとり
)
と
言
(
い
)
ふ
調子
(
てうし
)
でハシヤイで
居
(
を
)
れ、
171
糞
(
くそ
)
八釜
(
やかま
)
しい』
172
与
(
よ
)
『オイ
六公
(
ろくこう
)
、
173
貴様
(
きさま
)
ア
一体
(
いつたい
)
、
174
お
竹
(
たけ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
175
血相
(
けつさう
)
を
変
(
か
)
へて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
したのは、
176
あらア
何
(
なん
)
だ』
177
六
(
ろく
)
『ヤア
何卒
(
どうぞ
)
それ
丈
(
だ
)
けは
聞
(
き
)
いて
呉
(
く
)
れな、
178
後生
(
ごしやう
)
だから』
179
与
(
よ
)
『
ご
生
(
しやう
)
でも
六升
(
ろくしやう
)
でも
構
(
かま
)
はぬ、
180
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一同
(
いちどう
)
(
一斗
(
いつと
)
)の
者
(
もの
)
に
一石
(
いつこく
)
(
一刻
(
いつこく
)
)も
早
(
はや
)
く
事情
(
じじやう
)
逐一
(
ちくいち
)
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げぬかい』
181
六
(
ろく
)
『ヤアお
竹
(
たけ
)
の
事
(
こと
)
思
(
おも
)
へば
一石
(
いつこく
)
どころか
万斛
(
ばんこく
)
の
涙
(
なみだ
)
が
零
(
こぼ
)
れる
哩
(
わい
)
、
182
それはそれは
歯
(
は
)
の
浮
(
う
)
く
様
(
やう
)
なローマンスがあるのだ、
183
アーア』
184
与
(
よ
)
『アーアとは
何
(
なん
)
だい』
185
六
(
ろく
)
『アーアは
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
りアーアだ』
186
弥次彦
(
やじひこ
)
はガサリガサリと
笹原
(
ささはら
)
を
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
けて
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
187
弥
(
や
)
『
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
188
お
待
(
ま
)
たせ
申
(
まを
)
しました。
189
ヨウ
六公
(
ろくこう
)
、
190
其処
(
そこ
)
に
居
(
を
)
るのか、
191
能
(
よ
)
うマア
鼠
(
ねずみ
)
にも
引
(
ひ
)
かれずに
無事
(
ぶじ
)
で
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた、
192
偉
(
えら
)
い
偉
(
えら
)
い、
193
ヤレヤレ
二十峠
(
はたちたうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
で
愈
(
いよいよ
)
四魂
(
しこん
)
が
揃
(
そろ
)
ふた、
194
サア
之
(
これ
)
からは
原
(
はら
)
(
腹
(
はら
)
)の
下
(
くだ
)
り
阪
(
ざか
)
ぢや、
195
鵯
(
ひよどり
)
の
谷渡
(
たにわた
)
りぢや、
196
ピーピーだ、
197
全隊
(
ぜんたい
)
進
(
すす
)
め、
198
オ
一
(
いち
)
、
199
二
(
に
)
、
200
三
(
さん
)
、
201
四
(
し
)
』
202
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
急阪
(
きふはん
)
を
飛
(
と
)
ぶが
如
(
ごと
)
くに
自然
(
しぜん
)
的
(
てき
)
に
足
(
あし
)
に
任
(
まか
)
せて
速度
(
そくど
)
を
加
(
くは
)
へ
雪崩
(
なだれ
)
の
如
(
ごと
)
く
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
き、
203
漸
(
やうや
)
く
麓
(
ふもと
)
に
着
(
つ
)
いた。
204
弥
(
や
)
『サア、
205
上
(
のぼ
)
る
身魂
(
みたま
)
と
下
(
くだ
)
る
身魂
(
みたま
)
で
世界
(
せかい
)
は
一旦
(
いつたん
)
騒
(
さわ
)
がしくなるぞよ、
206
後
(
あと
)
は
結構
(
けつこう
)
な
神世
(
かみよ
)
となるぞよ、
207
松
(
まつ
)
のミロ
九
(
く
)
の
世
(
よ
)
が
参
(
まゐ
)
るぞよ、
208
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して
下
(
くだ
)
されよ、
209
改心
(
かいしん
)
ほど
結構
(
けつこう
)
は
無
(
な
)
いぞよ、
210
改心
(
かいしん
)
すればその
日
(
ひ
)
から
屁
(
へ
)
をこいた
様
(
やう
)
に
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
までスツと
致
(
いた
)
して
気楽
(
きらく
)
に
暮
(
く
)
らされる
様
(
やう
)
になるぞよ、
211
この
世
(
よ
)
の
鬼
(
おに
)
を
往生
(
わうじやう
)
さして
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
に
安心
(
あんしん
)
をさせるぞよ』
212
与
(
よ
)
『そら、
213
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふのだい、
214
勿体
(
もつたい
)
無
(
な
)
いぞ』
215
弥
(
や
)
『
三五教
(
あななひけう
)
のお
筆先
(
ふでさき
)
だ、
216
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
のホヤホヤ
信者
(
しんじや
)
に
分
(
わか
)
つて
堪
(
た
)
まらうかい』
217
与
(
よ
)
『
屁
(
へ
)
をこいた
様
(
やう
)
に
腹
(
はら
)
が
空
(
す
)
いて
楽
(
らく
)
になるぞよなぞと、
218
ソンナ
事
(
こと
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
るものかい、
219
大方
(
おほかた
)
貴様
(
きさま
)
の
入
(
い
)
れ
事
(
ごと
)
だらう』
220
勝
(
かつ
)
、
221
六
(
ろく
)
『アハヽヽヽヽヽ』
222
傍
(
かたはら
)
の
丈
(
たけ
)
なす
雑草
(
ざつさう
)
の
中
(
なか
)
より
覆面
(
ふくめん
)
の
男
(
をとこ
)
十七八
(
じふしちはち
)
人
(
にん
)
、
223
ムクムクと
現
(
あら
)
はれ
手槍
(
てやり
)
を
扱
(
しご
)
き
乍
(
なが
)
ら、
224
男
(
をとこ
)
『ヨー
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
一行
(
いつかう
)
、
225
吾
(
われ
)
こそはウラル
教
(
けう
)
の
大目付役
(
おほめつけやく
)
、
226
鷲掴
(
わしづかみ
)
源五郎
(
げんごらう
)
の
身内
(
みうち
)
に
於
(
おい
)
て
三羽烏
(
さんばがらす
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
烏
(
からす
)
勘三郎
(
かんざぶらう
)
だ。
227
サア
斯
(
こ
)
うなる
上
(
うへ
)
はジタバタ
藻
(
も
)
がいてもモウ
駄目
(
だめ
)
だ、
228
神妙
(
しんめう
)
に
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
せ』
229
弥
(
や
)
『ハヽヽヽ、
230
吐
(
ほざ
)
くな
吐
(
ほざ
)
くな、
231
抑
(
そもそ
)
も
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
野立彦
(
のだちひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
232
木花姫
(
このはなひめの
)
命
(
みこと
)
、
233
まつた
黄金山
(
わうごんざん
)
に
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
埴安彦
(
はにやすひこ
)
、
234
埴安姫
(
はにやすひめ
)
、
235
コーカス
山
(
ざん
)
に
時
(
とき
)
めき
給
(
たま
)
ふ
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
名代
(
みやうだい
)
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
家来
(
けらい
)
の
弥次彦
(
やじひこ
)
とは
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だ、
236
吾名
(
わがな
)
を
聞
(
き
)
いて
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
すなウフヽヽヽ』
237
勘
(
かん
)
『ワツハツハヽヽヽ、
238
この
場
(
ば
)
に
及
(
およ
)
んで
切端
(
せつぱ
)
つまり、
239
コケ
嚇
(
おど
)
しの
豪傑
(
がうけつ
)
笑
(
わら
)
ひ、
240
今
(
いま
)
に
吼
(
ほ
)
え
面
(
づら
)
かわかして
見
(
み
)
せう、
241
ヤア
者共
(
ものども
)
、
242
彼奴
(
きやつ
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
に
一度
(
いちど
)
にかかれ』
243
勝
(
かつ
)
『ワツハヽヽヽ、
244
洒落
(
しやれ
)
な
洒落
(
しやれ
)
な、
245
今
(
いま
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
246
目
(
め
)
に
物
(
もの
)
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れむ』
247
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
食指
(
ひとさしゆび
)
の
先
(
さき
)
より
五色
(
ごしき
)
の
霊光
(
れいくわう
)
を
発射
(
はつしや
)
し、
248
勘三郎
(
かんざぶらう
)
初
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
の
捕手
(
とりて
)
に
対
(
むか
)
つて
速射砲
(
そくしやはう
)
的
(
てき
)
に
霊弾
(
れいだん
)
をさし
向
(
む
)
けたれば、
249
勘三郎
(
かんざぶらう
)
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は
俄
(
にはか
)
に
頭
(
かしら
)
痛
(
いた
)
み、
250
胸
(
むね
)
裂
(
さ
)
くる
許
(
ばか
)
りウンウンと
苦悶
(
くもん
)
を
始
(
はじ
)
め
柄物
(
えもの
)
を
大地
(
だいち
)
に
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
て
七転
(
しちてん
)
八倒
(
ばつたう
)
、
251
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
えむ
許
(
ばか
)
りの
光景
(
くわうけい
)
となりぬ。
252
勝
(
かつ
)
『アハヽヽヽ、
253
脆
(
もろ
)
いものだワイ、
254
一
(
ひと
)
つ
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて
一同
(
いちどう
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
を
帰順
(
きじゆん
)
させ、
255
コーカス
山
(
ざん
)
に
伴
(
ともな
)
ひ
行
(
ゆ
)
きて
吾
(
わが
)
手柄
(
てがら
)
を
表
(
あら
)
はし
呉
(
く
)
れむ。
256
ヤアヤア、
257
弥次彦
(
やじひこ
)
、
258
与太彦
(
よたひこ
)
、
259
六公
(
ろくこう
)
、
260
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
吾
(
われ
)
と
共
(
とも
)
に
声
(
こゑ
)
高々
(
たかだか
)
と
歌
(
うた
)
ふのだぞ』
261
勝彦
(
かつひこ
)
外
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
262
一同
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
263
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
264
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
265
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
266
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
267
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
268
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
詔
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
269
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
詔
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ』
270
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つた。
271
勘三郎
(
かんざぶらう
)
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
はこの
言霊
(
ことたま
)
の
神徳
(
しんとく
)
に
救
(
すく
)
はれて、
272
さしも
厳
(
きび
)
しき
霊縛
(
れいばく
)
は
解
(
と
)
かれ
涙声
(
なみだごゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
り
乍
(
なが
)
ら
茲
(
ここ
)
に
一同
(
いちどう
)
帰順
(
きじゆん
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
し
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
するに
至
(
いた
)
りたり。
273
(
大正一一・三・二四
旧二・二六
北村隆光
録)
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【第11章 河童の屁|第14巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1411】
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