霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一六章 返(かへ)り咲(ざき)〔五六六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻 篇:第3篇 高加索詣 よみ(新仮名遣い):こーかすまいり
章:第16章 返り咲 よみ(新仮名遣い):かえりざき 通し章番号:566
口述日:1922(大正11)年03月25日(旧02月27日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年11月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
四人はコーカス山に詣でて、小山村に帰ってきた。そして、六公とお竹の婚礼を挙げることになった。勝公が祝いの歌を歌った。
六公とお竹は、いままでの経緯を歌に歌いこんで祝宴の歌を歌った。婚礼に参列した一同みな、祝いの歌を歌って、無事に式は終わった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-01-03 02:17:20 文字数:4483 OBC :rm1416
愛善世界社版:263頁 八幡書店版:第3輯 256頁 修補版: 校定版:273頁 普及版:126頁 初版: ページ備考:
001三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
002凡(すべ)ての枉(まが)に勝彦(かつひこ)は
003三(さん)枚(まい)羽織(ばおり)に身(み)をかため
004異様(いやう)の姿(すがた)トボトボと
005十八坂(じふはちさか)を乗(の)り越(こ)えて
006十九(つづ)や二十(はたち)の山坂(やまさか)を
007気(き)も若々(わかわか)と登(のぼ)り行(ゆ)く
008弥次彦(やじひこ)、与太彦(よたひこ)両人(りやうにん)は
009掴(つか)まへ所(どころ)の無(な)い様(やう)な
010屁理屈(へりくつ)放(へ)りつつ痩馬(やせうま)の
011足(あし)もワナワナ ブウブウブウ
012屁放(へつぴ)り腰(ごし)の怪(あや)しくも
013口(くち)に法螺(ほら)吹(ふ)き尻(しり)からは
014太(ふと)き喇叭(らつぱ)の吹(ふ)きつづけ
015雷(かみなり)サンも驚(おどろ)いて
016跣足(はだし)で逃(に)げる二十山(はたちやま)
017峠(たうげ)に登(のぼ)つて一休息(ひとやすみ)
018又(また)も、のり出(だ)す膝栗毛(ひざくりげ)
019声(こゑ)も烏(からす)の勘三郎(かんざぶらう)
020数多(あまた)の手下(てした)引(ひ)き連(つ)れて
021三五教(あななひけう)の勝公(かつこう)が
022四人(よつたり)連(づ)れの行(ゆ)く先(さき)に
023怪(あや)しき姿(すがた)の大声(おほごゑ)に
024ドツコイやらじと手(て)を拡(ひろ)げ
025得物(えもの)を執(と)つて立(た)ち対(むか)ふ
026こちらは蛙(かはづ)の向(むか)ふ見(み)ず
027瑞(みづ)の御霊(みたま)の幸(さち)はひに
028稜威(いづ)の言霊(ことたま)さやさやと
029天地(てんち)に向(むか)つて詔(の)りつれば
030流石(さすが)に猛(たけ)き荒(すさ)び男(を)も
031胆(きも)を潰(つぶ)して降参(かうさん)し
032これや堪(たま)らぬと大道(だいだう)に
033犬(いぬ)つく這(ば)ひの可笑(をか)しさよ
034負(ま)けても名(な)だけは勝彦(かつひこ)の
035負(ま)けて堪(たま)ろか勝(かち)つづけ
036一同(いちどう)続(つづ)けと先(さき)に立(た)ち
037峠(たうげ)の数(かず)も五(いつ)つ越(こ)え
038しこけき小家(こや)に立寄(たちよ)つて
039盲目(めくら)の婆(ば)アサンに邂逅(めぐりあ)ひ
040椽(のき)に腰(こし)かけ一休息(ひとやすみ)
041爺(ぢ)サン婆(ば)サンの悲劇(ひげき)の幕(まく)を
042聞(き)いて悟(さと)りし六公(ろくこう)の
043昔(むかし)に負(お)ふた古傷(ふるきず)を
044曝(さら)け出(だ)されて六(ろく)サンは
045碌々(ろくろく)答辞(いらへ)も泣(な)く涙(なみだ)
046焼(や)け木杭(ぼつくひ)に又(また)しても
047火(ひ)が付(つ)く様(やう)な縁談(えんだん)に
048爺(ぢい)サン婆(ばば)サンは扨(さて)措(を)いて
049六公(ろくこう)サンの喜(よろこ)びは
050天(あま)の岩戸(いはと)の開(ひら)けたる
051思(おも)ひに一同(いちどう)勇(いさ)み立(た)ち
052コーカス山(ざん)の参拝(さんぱい)を
053終(をは)つて再(ふたた)び元(もと)の鞘(さや)
054をさまる縁(えにし)の目出度(めでた)やと
055ここに暇(いとま)を告(つ)げ乍(なが)ら
056登(のぼ)つて来(き)たのが名(な)にし負(お)ふ
057眺望(てうばう)絶佳(ぜつか)の二十三番(にじふさんばん)峠(たうげ)の上(うへ)
058吹(ふ)き来(く)る風(かぜ)に煽(あふ)られて
059息(いき)もせきせき進(すす)みゆく
060二五番(にごばん)峠(たうげ)の頂(いただき)に
061佇(たたず)む折(をり)しも忽(たちま)ちに
062ヘボ鎮魂(ちんこん)の神憑(かむがか)り
063乱痴気(らんちき)騒(さわ)ぎの幕(まく)を開(あ)け
064谷間(たにま)に陥(おちい)り四人(よつたり)は
065暫時(しばし)気絶(きぜつ)し幽界(かくりよ)の
066一途(いちづ)の川(かは)の渡(わたし)まで
067急(いそ)いで来(き)て見(み)れやこは如何(いか)に
068松(まつ)の並樹(なみき)の蒼々(あをあを)と
069茂(しげ)る根下(ねもと)の一軒家(ひとつや)の
070怪(あや)しき窓(まど)を覗(のぞ)き込(こ)み
071生(うま)れついたる与太助(よたすけ)の
072与太公(よたこう)と婆(ばば)の押問答(おしもんだふ)
073ブリンと押(お)して中(なか)に入(い)り
074すつたモンダの諍(いさかひ)に
075大口(おほぐち)あけて出刄(でば)(出歯(でば))を見(み)せ
076三五教(あななひけう)の身魂(みたま)をば
077抜(ぬ)いてやらうと力(りき)み立(た)つ
078可笑(をか)しい面(つら)の二人(ふたり)婆(ばば)
079三途(せうづ)川原(かはら)の鬼婆(おにばば)の
080俺(おれ)は妹(いもうと)の木常姫(こつねひめ)
081サア来(こ)い勝負(しようぶ)と常世姫(とこよひめ)
082此奴(こいつ)も出刄(でば)を振(ふ)り上(あ)げて
083四(よ)人(にん)に対(むか)つて切(き)りかかる
084茲(ここ)に四(よ)人(にん)の宣伝使(せんでんし)
085飛鳥(ひてう)の如(ごと)く翔(か)け廻(まは)り
086丁々(ちやうちやう)発止(はつし)、丁発止(ちやうはつし)
087蝶(てふ)の春野(はるの)に狂(くる)ふ如(ごと)
088汗(あせ)を流(なが)して戦(たたか)へば
089流石(さすが)の婆(ばば)も立(た)ち遅(おく)れ
090アフンとしたと思(おも)ひきや
091夢(ゆめ)か、現(うつつ)か、幻(まぼろし)か
092サツと聞(きこ)ゆる水音(みなおと)に
093眼(まなこ)を覚(さま)せば川(かは)の底(そこ)
094底(そこ)の分(わか)らぬ此(この)不思議(ふしぎ)
095泳(およ)ぎ自慢(じまん)の六公(ろくこう)が
096如何(いかが)はしけむブルブルと
097溺(おぼ)れて忽(たちま)ち土左衛門(どざゑもん)
098後(あと)に残(のこ)つた三(さん)人(にん)は
099兎(と)やせむ斯(か)くや線香(せんかう)の
100煙(けむり)手向(たむ)ける術(すべ)もなく
101夜(よる)の帳(とばり)は下(お)ろされて
102黒白(あやめ)も分(わ)かぬ真(しん)の闇(やみ)
103是非(ぜひ)なく此処(ここ)に夜(よ)を明(あ)かし
104涙(なみだ)を押(おさ)へシホシホと
105大野(おほの)ケ原(はら)を打渡(うちわた)り
106水音(みなおと)高(たか)き川(かは)の辺(べ)に
107辿(たど)り着(つ)くなり与太彦(よたひこ)が
108鼻息(はないき)荒(あら)く身慄(みぶる)ひし
109ロヽヽクヽヽと口(くち)をきり
110六(ろく)の生霊(いきりやう)が出(で)て来(き)たと
111吐(ほざ)いて一同(いちどう)の胆(きも)をとり
112寝言(ねごと)を吐(ほざ)く折柄(をりから)に
113現(あら)はれ出(い)でたる大男(おほをとこ)
114能(よ)く能(よ)く見(み)ればこは如何(いか)に
115声(こゑ)も烏(からす)の勘三郎(かんざぶらう)
116六(ろく)の死骸(しがい)を背(せ)に負(お)うて
117送(おく)つて来(き)たのは不思議(ふしぎ)なる
118縁(えにし)の糸(いと)の次々(つぎつぎ)に
119切(き)れぬ証(しるし)か言霊(ことたま)の
120力(ちから)に忽(たちま)ち息(いき)を吹(ふ)き
121四辺(あたり)キヨロキヨロ見渡(みわた)して
122勝彦(かつひこ)サンか与太(よた)サンか
123お前(まへ)は弥次彦(やじひこ)屁放(へこ)き虫(むし)
124此処(ここ)は冥土(めいど)か現界(うつしよ)か
125合点(がてん)が往(ゆ)かぬと思案顔(しあんがほ)
126初(はじ)めて気(き)がつきまだ俺(おれ)は
127生(い)きて居(ゐ)たかと勇(いさ)み立(た)ち
128勝彦(かつひこ)サンに従(したが)うて
129茲(ここ)に四(よ)人(にん)は急坂(きふはん)を
130辿(たど)り辿(たど)りてフサの国(くに)
131都(みやこ)を無事(ぶじ)に打(う)ち過(す)ぎて
132名(な)さへ目出度(めでた)きコーカスの
133神(かみ)のお宮(みや)に参拝(さんぱい)し
134喜(よろこ)び勇(いさ)み小山村(こやまむら)
135お竹(たけ)の家(うち)に引(ひ)き返(かへ)し
136勝彦(かつひこ)サンの媒酌(なかうど)で
137比翼(ひよく)連理(れんり)の蒸(む)し返(かへ)し
138老爺(おやぢ)も婆(ばば)も六(ろく)サンも
139兄(あに)の松公(まつこう)夫婦(ふうふ)の者(もの)も
140お竹(たけ)と共(とも)に勇(いさ)み立(た)ち
141ここに愈(いよいよ)合衾(がふきん)の
142式(しき)を行(おこな)ふ物語(ものがたり)
143聞(き)くも目出度(めでた)き次第(しだい)なり。
144 小山村(こやまむら)のお竹(たけ)の生家(せいか)は春(はる)の屋(や)と謂(ゐ)ふ。145爺(おやぢ)サンの名(な)は鶴助(つるすけ)、146婆(ばば)サンはお亀(かめ)、147息子(むすこ)の名(な)は松公(まつこう)、148女房(にようばう)はお梅(うめ)と謂(ゐ)ふ。149鶴(つる)亀(かめ)松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)の一家族(いちかぞく)に婿(むこ)を加(くは)へて六(ろく)人(にん)暮(ぐら)し、150名(な)も六(ろく)サンの婿入(むこい)り祝(いは)ひ、151媒酌(なかうど)の役(やく)は勝彦(かつひこ)の宣伝使(せんでんし)。152弥次彦(やじひこ)、153与太彦(よたひこ)二人(ふたり)は六(ろく)サンの友人(いうじん)としてこの目出度(めでた)き結婚(けつこん)の席(せき)に加(くは)はつた。154三五教(あななひけう)の誠(まこと)一(ひと)つの教(をしへ)を加(くは)へて此処(ここ)に十曜(とえう)の珍(うづ)の身魂(みたま)、155目出度(めでた)き酒宴(さかもり)一度(いちど)に開(ひら)く白梅(しらうめ)の、156薫(かほ)り床(ゆか)しきお竹(たけ)の姿(すがた)、157常磐(ときは)の松(まつ)の何処(どこ)やらに、158気品(きひん)も高(たか)き松(まつ)サン夫婦(ふうふ)、159鶴(つる)の千歳(ちとせ)の末永(すえなが)く、160亀(かめ)の齢(よはひ)の万代(よろづよ)も、161五六七(みろく)の世(よ)までも変(かは)らじと、162結(むす)びの神(かみ)の御(おん)前(まへ)に、163天津(あまつ)祝詞(のりと)の太祝詞(ふとのりと)、164言挙(ことあ)げ終(をは)つて酒杯(さかづき)の、165数(かず)も芽出度(めでた)き三々(さんさん)九度(くど)、166此処(ここ)に九(く)人(にん)は勇(いさ)み立(た)ち、167千代(ちよ)を寿(ことほ)ぐ酒宴(さかもり)の、168真最中(まつさいちう)に勝彦(かつひこ)は、169千代(ちよ)を祝(しゆく)する結婚(けつこん)の、170歌(うた)を涼(すず)しく歌(うた)ひける。
171勝彦『世(よ)は久方(ひさかた)の末長(すゑなが)く
172常磐(ときは)の松(まつ)の千代(ちよ)八千代(やちよ)
173治(をさ)まる御代(みよ)を鶴(つる)の首(くび)
174まつの神代(かみよ)の廻(めぐ)り来(き)て
175名(な)さへ目出度(めでた)きお亀(かめ)サン
176九十九(つくも)の坂(さか)を幾度(いくたび)も
177上(のぼ)りつ下(くだ)りつ安々(やすやす)と
178今(いま)より越(こ)えむ老(おい)の坂(さか)
179春(はる)の野(の)の如(ごと)若(わか)やいで
180二組(ふたくみ)揃(そろ)ふた若夫婦(わかめうと)
181常磐(ときは)の松(まつ)の色(いろ)深(ふか)く
182いつも変(かは)らぬ松(まつ)サンや
183花咲(はなさ)き匂(にほ)ふお梅(うめ)サン
184園(その)のなよ竹(だけ)末長(すゑなが)く
185睦(むつ)みて暮(くら)せ六(ろく)の名(な)の
186ついた男(をとこ)の六(ろく)サンを
187一(ひ)、二(ふ)、三(み)四(よ)の五(いつ)迄(まで)も
188六(むつ)び親(した)しみ七(なな)草(くさ)の
189千代(ちよ)に八(や)千代(ちよ)に九(ここの)重(へ)の
190御空(みそら)の色(いろ)に擬(まが)ふ如(ごと)
191清(きよ)く涼(すず)しく青々(あをあを)と
192十(と)つぎの道(みち)を何時迄(いつまで)も
193百(もも)歳(とせ)、千(ち)歳(とせ)、万(よろづ)歳(とせ)
194幾(いく)億(おく)万(まん)年(ねん)の末(すゑ)までも
195互(たがひ)に変(かは)るな変(かは)らじと
196親(した)しみ暮(くら)せ神(かみ)の道(みち)
197直(なほ)く正(ただ)しくふみしめて
198天津(あまつ)御空(みそら)の星(ほし)の如(ごと)
199浜(はま)の真砂(まさご)の数(かず)の如(ごと)
200御子(みこ)を生(う)め生(う)め餅(もち)を搗(つ)け
201子(こ)餅(もち)をタント搗(つ)き並(なら)べ
202夫婦(ふうふ)仲良(なかよ)く世帯(しよたい)もち
203清(きよ)きその名(な)も大名(おほな)持(もち)
204疳癪(かんしやく)持(も)ちは止(や)めにして
205婿(むこ)持(も)ち嫁(よめ)持(も)ち金(かね)を持(も)ち
206宝(たから)を持(も)ちて望(もち)の夜(よ)の
207月(つき)の鏡(かがみ)の照(て)ら照(て)らと
208輝(かがや)き渡(わた)れ若夫婦(わかふうふ)
209千(せん)年(ねん)万(まん)年(ねん)暮(く)れるとも
210今(いま)の姿(すがた)で若々(わかわか)と
211神(かみ)の恵(めぐみ)を味(あぢは)へよ
212恵(めぐみ)の露(つゆ)に潤(うるほ)へよ
213アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
214霊(みたま)幸倍(さちはへ)坐(ま)しませよ
215アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
216霊(みたま)幸倍(さちはへ)坐(ま)しませよ』
217と歌(うた)つて酒杯(さかづき)を六公(ろくこう)にさした。218六公(ろくこう)は恭(うやうや)しく押(お)し頂(いただ)いてお竹(たけ)に渡(わた)した。219茲(ここ)に親子(おやこ)夫婦(ふうふ)の杯(さかづき)は無事(ぶじ)に済(す)みける。
220弥(や)『ヤアお目出度(めでた)いお目出度(めでた)い、221サア之(これ)から六(ろく)サンの番(ばん)だ、222一(ひと)つ歌(うた)つて下(くだ)さい』
223六公(ろくこう)『思(おも)ひ廻(まは)せば三年(みとせ)の昔(むかし)
224恋(こひ)に焦(こが)れたお竹(たけ)サン
225天(あめ)と地(つち)とのその中(なか)に
226コンナ綺麗(きれい)な娘子(むすめご)は
227又(また)とあるまいあるまいと
228慕(した)うて通(かよ)ふ坂道(さかみち)の
229数(かず)重(かさ)なりて漸(やうや)うに
230ヤツと願(ねがひ)を掛巻(かけま)くも
231畏(かしこ)き神(かみ)の引合(ひきあは)せ
232比翼(ひよく)連理(れんり)の楽(たのし)みを
233寝物語(ねものがたり)に喜(よろこ)びし
234日数(ひかず)もあらしの風(かぜ)強(つよ)く
235心(こころ)の駒(こま)の狂(くる)ひ出(だ)し
236魂(たま)は荒(すさ)びてウラル彦(ひこ)
237神(かみ)の教(をしへ)の道(みち)に入(い)り
238飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)は
239闇(やみ)の世界(せかい)ぢやクヨクヨするな
240太(ふと)う短(みじか)う暮(くら)してやろと
241悪胴(わるどう)据(す)ゑて夜昼(よるひる)の
242区別(くべつ)も知(し)らず深酒(ふかざけ)に
243酔(よ)うて可愛(かあ)いい女房(にようばう)を
244打(う)つやら蹴(け)るやら殴(なぐ)るやら
245夜昼(よるひる)喧嘩(けんくわ)の絶(た)え間(ま)なく
246お竹(たけ)の顔(かほ)は生疵(なまきず)の
247絶(た)えた間(ま)もなき憐(あは)れさを
248屁(へ)とも思(おも)はず暮(くら)して来(き)たが
249お竹(たけ)は怒(おこ)つて知(し)らぬ間(ま)に
250吾家(わがや)を出(い)でて親里(おやざと)に
251逃(に)げて帰(かへ)つて知(し)らぬ顔(かほ)
252ここに私(わたし)も目(め)が醒(さ)めて
253ま一度(いちど)お竹(たけ)に添(そ)ひ度(た)いと
254心(こころ)焦(あせ)れど手(て)も口(くち)も
255かかる由(よし)なく冷(ひや)やかな
256肱鉄砲(ひぢでつぱう)の続(つづ)け打(う)ち
257男(をとこ)と生(うま)れた六公(ろくこう)も
258女房(にようばう)の方(はう)から見捨(みす)てられ
259何(なん)の顔(かんばせ)あら男(をとこ)
260仕様事(しやうこと)なさにウラル教(けう)
261捕手(とりて)の群(むれ)に加(くは)はつて
262三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
263信者(しんじや)と見(み)れば容赦(ようしや)なく
264片(かた)つ端(ぱし)から引捉(ひつとら)へ
265ウラルの神(かみ)の立(た)て籠(こも)る
266ウラルの山(やま)へ連(つ)れ行(ゆ)きて
267褒美(ほうび)の金(かね)に腸(はらわた)も
268腐(くさ)る許(ばか)りに酒(さけ)を飲(の)み
269調子(てうし)にのつて此処(ここ)彼処(かしこ)
270尋(たづ)ねて廻(まは)る目付役(めつけやく)
271小鹿峠(こしかたうげ)に来(き)て見(み)れば
272三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
273夢(ゆめ)に牡丹餅(ぼたもち)食(く)た様(やう)に
274心(こころ)の裡(うち)に雀躍(こおどり)し
275当(あた)つて見(み)ればこは如何(いか)に
276神徳(しんとく)強(つよ)き三五(あななひ)の
277神(かみ)の司(つかさ)の言霊(ことたま)に
278ガラリと心(こころ)を立直(たてなほ)し
279前非(ぜんぴ)を悔(く)いて神(かみ)の道(みち)
280教司(をしへつかさ)に伴(ともな)はれ
281此処(ここ)に誠(まこと)の教(のり)を知(し)り
282二十峠(はたちたうげ)を乗(の)り越(こ)えて
283山田(やまだ)の村(むら)の松(まつ)の屋(や)に
284牡丹餅(ぼたもち)食(く)はうと立寄(たちよ)れば
285思(おも)ひ掛(が)けなきお竹(たけ)奴(め)に
286パツと出会(でつく)はす顔(かほ)と顔(かほ)
287お前(まへ)はお竹(たけ)と一言葉(ひとことば)
288聞(き)くより早(はや)く驚(おどろ)いて
289お竹(たけ)は忽(たちま)ち雲霞(くもかすみ)
290裏口(うらぐち)さして逃(に)げて行(ゆ)く
291アヽ残念(ざんねん)や残念(ざんねん)や
292又(また)もお竹(たけ)に嫌(きら)はれて
293如何(どう)して男(をとこ)の顔(かほ)が立(た)つ
294勝彦(かつひこ)サンや弥次(やじ)与太(よた)の
295二人(ふたり)の手前(てまへ)も恥(はづか)しく
296一目散(いちもくさん)にトントンと
297峠(たうげ)を指(さ)して立(た)ち向(むか)ひ
298林(はやし)の中(なか)に身(み)を潜(ひそ)め
299息(いき)をこらして待(ま)つ程(ほど)に
300放(ほ)つ屁(ぴ)問答(もんだふ)の臭(くさ)い仲(なか)
301また三(さん)人(にん)に廻(めぐ)り会(あ)ひ
302鎮魂(ちんこん)帰神(きしん)の神術(かむわざ)に
303魂(たま)の洗濯(せんたく)サラサラと
304地獄(ぢごく)の川(かは)まで進(すす)み出(い)で
305九死(きうし)一生(いつしやう)の目(め)に会(あ)うて
306人(ひと)の情(なさけ)に助(たす)けられ
307フサの都(みやこ)を乗(の)り越(こ)えて
308コーカス山(ざん)の参詣(まゐまう)で
309両手(りやうて)を合(あは)せて神前(しんぜん)に
310額(ぬかづ)き祝詞(のりと)の奏上(そうじやう)し
311何卒(どうぞ)お竹(たけ)と末永(すえなが)う
312親子(おやこ)夫婦(ふうふ)は睦(むつま)じう
313暮(くら)させ給(たま)へと願(ぐわん)をかけ
314目出度(めでたく)此処(ここ)に立帰(たちかへ)り
315千代(ちよ)の契(ちぎり)を結(むす)び昆布(こぶ)
316苦労(くらう)するめや酒杯(さかづき)の
317数(かず)を重(かさ)ねて勇(いさ)み立(た)ち
318尉(じやう)と姥(うば)との契(ちぎり)をば
319結(むす)ぶ今宵(こよひ)ぞ楽(たの)しけれ
320アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
321霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ
322朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
323月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
324仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
325親子(おやこ)夫婦(ふうふ)のこの契(ちぎり)
326千代(ちよ)も八千代(やちよ)も変(かは)らざれ
327この世(よ)を救(すく)ふ三五(あななひ)の
328神(かみ)の教(をしへ)を畏(かしこ)みて
329家門(かもん)長久(ちやうきう)子孫(しそん)の繁栄(はんゑい)
330魂(たま)の生命(いのち)の末永(すえなが)く
331鶴(つる)と亀(かめ)との勇(いさ)ましく
332松(まつ)、竹(たけ)、梅(うめ)の何処迄(どこまで)も
333栄(さか)えに栄(さか)えよ神(かみ)の国(くに)
334千秋(せんしう)万歳(ばんざい)万々歳(ばんばんざい)
335千秋(せんしう)万歳(ばんざい)万々歳(ばんばんざい)』
336と歌(うた)ひ終(をは)つて酒杯(さかづき)をとり勝彦(かつひこ)に恭(うやうや)しく献(さ)した。337お竹(たけ)は起(た)つて歌(うた)ひ始(はじ)めた。
338お竹『三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
339醜(しこ)の魔神(まがみ)を言向(ことむ)けて
340誠(まこと)の道(みち)も勝彦(かつひこ)の
341神(かみ)の恵(めぐみ)も三(み)つ栗(ぐり)の
342仲(なか)とり役(やく)に救(すく)はれて
343今日(けふ)は芽出度(めでた)き望月(もちづき)の
344虧(か)けては盈(み)つる吾(わが)思(おも)ひ
345思(おも)ひきつたる夫婦仲(めうとなか)
346枯木(かれき)に花(はな)の咲(さ)き出(い)でて
347又(また)もや交(かは)す夢枕(ゆめまくら)
348夢(ゆめ)ではないか現(うつつ)では
349あるまいかなと思(おも)ふ程(ほど)
350喜(よろこ)び胸(むね)に迫(せま)り来(き)て
351常世(とこよ)の闇(やみ)も晴(は)れ渡(わた)り
352天(あま)の岩戸(いはと)の忽(たちま)ちに
353開(ひら)けし如(ごと)き今日(けふ)の首尾(しゆび)
354アヽ嬉(うれ)しやな嬉(うれ)しやな
355世(よ)は垂乳根(たらちね)の父母(ちちはは)の
356名(な)さへ目出度(めでた)き鶴(つる)と亀(かめ)
357松(まつ)と梅(うめ)との兄(あに)夫婦(ふうふ)
358千代(ちよ)の睦(むつ)びの六(ろく)サンと
359心(こころ)の丈(た)けを語(かた)りつつ
360強(つよ)き悪魔(あくま)に勝彦(かつひこ)の
361神(かみ)の恵(めぐみ)に助(たす)けられ
362会(あ)うて嬉(うれ)しき相生(あひおひ)の
363松(まつ)の木蔭(こかげ)の尉(じやう)と姥(うば)
364幾久(いくひさ)しくも末長(すゑなが)く
365愛(いと)しき妻(つま)よ夫(をつと)よと
366勇(いさ)む心(こころ)の玉椿(たまつばき)
367八千代(やちよ)の春(はる)に会(あ)ふ心地(ここち)
368花(はな)と匂(にほ)へよ永久(とこしへ)に
369色(いろ)は褪(あ)せざれ何時迄(いつまで)も
370心(こころ)の色(いろ)も紅(くれなゐ)の
371露(つゆ)の唇(くちびる)、月(つき)の眉(まゆ)
372花(はな)咲(さ)き匂(にほ)ふ花(はな)の山(やま)
373月日(つきひ)に擬(まが)ふ二(ふた)つの目(め)
374手足(てあし)もまめに健(すこや)かに
375日々(ひび)の生業(なりはひ)励(いそ)しみて
376家(いへ)富(と)み栄(さか)え三五(あななひ)の
377神(かみ)の教(をしへ)を四方(よも)の国(くに)
378海(うみ)の内外(うちと)に輝(かがや)かし
379天(あま)の岩戸(いはと)の神業(しんげふ)に
380仕(つか)へまつらむ夫婦(ふうふ)連(づ)れ
381神(かみ)が表(おもて)に現(あ)れまして
382善(ぜん)と悪(あく)とを立別(たてわ)ける
383この世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
384心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
385只(ただ)何事(なにごと)も今迄(いままで)の
386悪戯事(いたづらごと)は宣(の)り直(なほ)し
387善(よ)きに見直(みなほ)し聞直(ききなほ)し
388神(かみ)の教(をしへ)に服従(まつろ)ひて
389幾千代(いくちよ)までも真心(まごころ)を
390神(かみ)の御前(みまへ)に捧(ささ)ぐべし
391朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
392月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
393仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
394千代(ちよ)に動(うご)かぬ夫婦仲(ふうふなか)
395何時(いつ)も変(かは)らぬ常磐木(ときはぎ)の
396松(まつ)の操(みさを)の青々(あをあを)と
397五六七(みろく)の御代(みよ)の来(きた)る迄(まで)
398父(ちち)と母(はは)との御(おん)生命(いのち)
399男子(をのこ)女子(をみな)の睦(むつ)み合(あ)ひ
400守(まも)らせ給(たま)へ三五(あななひ)の
401教(をしへ)を立(た)つる大御神(おほみかみ)
402百千万(ももちよろづ)の神々(かみがみ)の
403御前(みまへ)に頸根(うなね)突抜(つきぬ)きて
404拝(をろが)み仕(つか)へ奉(たてまつ)る
405アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
406霊(みたま)幸倍(さちはへ)坐(ま)しませよ
407アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
408霊(みたま)幸倍(さちはへ)坐(ま)しませよ』
409と歌(うた)ひ終(をは)つた。410ここに鶴亀(つるかめ)の両親(りやうしん)を始(はじ)め、411松(まつ)、412梅(うめ)の兄(あに)夫婦(ふうふ)および弥次彦(やじひこ)、413与太彦(よたひこ)の祝(いはひ)の歌(うた)節(ふし)面白(おもしろ)く歌(うた)ひ終(をは)つて目出度(めでた)く合衾(がふきん)の式(しき)も相済(あひす)み、414千代(ちよ)も八千代(やちよ)も変(かは)らじと神(かみ)の御前(みまへ)にことほぎまつりぬ。
415(大正一一・三・二五 旧二・二七 北村隆光録)
416(昭和一〇・三・一七 於嘉義ホテル 王仁校正)
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