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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第14巻(丑の巻)
序歌
信天翁(四)
凡例
総論歌
第1篇 五里夢中
第1章 三途川
第2章 銅木像
第3章 鷹彦還元
第4章 馬詈
第5章 風馬牛
第2篇 幽山霊水
第6章 楽隠居
第7章 難風
第8章 泥の川
第9章 空中滑走
第3篇 高加索詣
第10章 牡丹餅
第11章 河童の屁
第12章 復縁談
第13章 山上幽斎
第14章 一途川
第15章 丸木橋
第16章 返り咲
第4篇 五六七号
第17章 一寸一服
跋文
余白歌
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
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第14巻(丑の巻)
> 第2篇 幽山霊水 > 第9章 空中滑走
<<< 泥の川
(B)
(N)
牡丹餅 >>>
第九章
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
〔五五九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻
篇:
第2篇 幽山霊水
よみ(新仮名遣い):
ゆうざんれいすい
章:
第9章 空中滑走
よみ(新仮名遣い):
くうちゅうかっそう
通し章番号:
559
口述日:
1922(大正11)年03月24日(旧02月26日)
口述場所:
筆録者:
藤津久子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年11月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
与太彦、六は昼なお暗い鬱蒼とした谷間に着いて、突風に飛ばされた弥次彦と勝公を探している。
与太彦と六は、二人が死んでしまったことを心配しつつ、悲しみを抑えて捜索している。谷川を渡って一町ばかり行ったところで、六は二人が大木の上にひっかかっているのを見つけた。
弥次彦と勝彦は、二人が捜索に来たことに気がついたが、弥次彦は幽霊の真似をしてからかってやろう、と言う。勝彦がたしなめるが、弥次彦は勝彦に、芝居口上を上げるように乗せる。
勝彦は乗せられて、ここが三途の川を渡った幽界であるかのような芝居口上を述べ立てた。弥次彦はふざけているうちに踏み外して、木の下に墜落して痛がっている。勝彦は芝居の口真似をしながら、竹に飛び移って降りてきた。
一同は万歳を唱える。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-27 17:06:41
OBC :
rm1409
愛善世界社版:
148頁
八幡書店版:
第3輯 212頁
修補版:
校定版:
154頁
普及版:
70頁
初版:
ページ備考:
001
さしも
烈
(
はげ
)
しき
山颪
(
やまおろし
)
002
嵐
(
あらし
)
の
後
(
あと
)
の
静
(
しづ
)
けさと
003
天地
(
てんち
)
は
茲
(
ここ
)
に
治
(
をさ
)
まれど
004
まだ
治
(
をさ
)
まらぬ
胸
(
むね
)
の
中
(
うち
)
005
与太彦
(
よたひこ
)
、
六公
(
ろくこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
006
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
谷々
(
たにだに
)
を
007
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
分
(
わ
)
けて
探
(
さが
)
せども
008
梢
(
こづゑ
)
は
暗
(
くら
)
く
下柴
(
したしば
)
の
009
茂
(
しげ
)
り
茂
(
しげ
)
りて
道
(
みち
)
もなく
010
遂
(
つひ
)
にその
日
(
ひ
)
も
暮
(
く
)
れにけり
011
時
(
とき
)
しもあれや
東天
(
とうてん
)
に
012
雲
(
くも
)
押
(
お
)
し
分
(
わ
)
けて
昇
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
013
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
014
四辺
(
あたり
)
明
(
あか
)
るくなりければ
015
二人
(
ふたり
)
は
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
016
与太彦、六公
『オーイ、
017
オーイ、
018
弥次公
(
やじこう
)
ヤーイ、
019
勝公
(
かつこう
)
ヤーイ』
020
と
叫
(
さけ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
も
遂
(
つひ
)
に
嗄
(
か
)
れ
果
(
は
)
てて、
021
今
(
いま
)
は
心
(
こころ
)
も
皺
(
しわ
)
がれの、
022
声
(
こゑ
)
も
無
(
な
)
ければ
音
(
おと
)
もなき、
023
二人
(
ふたり
)
の
友
(
とも
)
が
消息
(
せうそく
)
を
024
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ひ
025
尋
(
たづ
)
ね
行
(
ゆ
)
くこそ
哀
(
あは
)
れなれ。
026
与太公
(
よたこう
)
、
027
六公
(
ろくこう
)
の
二人
(
ふたり
)
は
老樹
(
らうじゆ
)
鬱蒼
(
うつさう
)
として
昼
(
ひる
)
なほ
暗
(
くら
)
き
谷間
(
たにま
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
028
与
(
よ
)
『オイ
六公
(
ろくこう
)
、
029
是
(
これ
)
丈
(
だ
)
け
尋
(
たづ
)
ねても
見当
(
みあた
)
らないのだから、
030
もう
断念
(
だんねん
)
するより
仕方
(
しかた
)
があるまいなア』
031
六
(
ろく
)
『
是
(
これ
)
ほど
広
(
ひろ
)
い
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
を、
032
人間
(
にんげん
)
の
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
が
一
(
いち
)
日
(
にち
)
二日
(
ふつか
)
探
(
さが
)
して
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
が
駄目
(
だめ
)
だなア。
033
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らみすみす
友
(
とも
)
の
災難
(
さいなん
)
を
見捨
(
みす
)
てて
帰
(
かへ
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
034
吾々
(
われわれ
)
は
息
(
いき
)
の
続
(
つづ
)
く
限
(
かぎ
)
り、
035
所在
(
ありか
)
をつき
留
(
と
)
めて、
036
せめては
死骸
(
しがい
)
なりと
厚
(
あつ
)
く
葬
(
ほうむ
)
つてやり
度
(
た
)
いものだ』
037
与
(
よ
)
『これ
丈
(
だ
)
け
尋
(
たづ
)
ねて、
038
生
(
い
)
きて
居
(
を
)
つて
呉
(
く
)
れれば
結構
(
けつこう
)
だが、
039
不幸
(
ふかう
)
にして、
040
弥次
(
やじ
)
、
041
勝
(
かつ
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
042
敢
(
あへ
)
なき
最後
(
さいご
)
の
幕
(
まく
)
を
降
(
おろ
)
し、
043
死骸
(
しがい
)
となつて
横
(
よこた
)
はつて
居
(
ゐ
)
るとすれば、
044
本当
(
ほんたう
)
にそれこそ
世話
(
せわ
)
の
しがひ
が
無
(
な
)
いワ』
045
六
(
ろく
)
『
与太
(
よた
)
サン、
046
ソンナ
与太
(
よた
)
を
云
(
い
)
つてる
処
(
どころ
)
か、
047
本真剣
(
ほんしんけん
)
になつて
下
(
くだ
)
さいな』
048
与
(
よ
)
『
真剣
(
しんけん
)
とも
真剣
(
しんけん
)
とも
本真剣
(
ほんしんけん
)
だが、
049
余
(
あま
)
り
疲
(
つか
)
れたので
足
(
あし
)
がヨタヨタ、
050
与太
(
よた
)
サンだよ』
051
六
(
ろく
)
『あれ
丈
(
だ
)
け
呼
(
よ
)
んでも、
052
ウンともスンとも
答
(
こたへ
)
が
無
(
な
)
いのだから
困
(
こま
)
つたものだ。
053
余
(
あま
)
り
偉
(
えら
)
い
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
き
付
(
つ
)
けられて、
054
弥次
(
やじ
)
、
055
勝
(
かつ
)
の
両人
(
りやうにん
)
は、
056
鼓膜
(
こまく
)
を
破
(
やぶ
)
られて、
057
吾々
(
われわれ
)
のこの
友情
(
いうじやう
)
の
籠
(
こも
)
つた
悲哀
(
ひあい
)
的
(
てき
)
声調
(
せいてう
)
が
耳
(
みみ
)
に
徹
(
てつ
)
しないのだらうか』
058
与
(
よ
)
『
何
(
なに
)
、
059
あれ
位
(
くらゐ
)
の
風
(
かぜ
)
に、
060
耳
(
みみ
)
の
鼓膜
(
こまく
)
が
破
(
やぶ
)
れるものか、
061
縡
(
こと
)
の
糸
(
いと
)
が
切
(
き
)
れたのだよ。
062
綽
(
こと
)
切
(
き
)
れたに
間違
(
まちが
)
ひない、
063
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だワイ。
064
こと
に
草深
(
くさぶか
)
い
山中
(
さんちう
)
の
事
(
こと
)
といひ、
065
捜索
(
そうさく
)
するのも、
066
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
、
067
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れる
事
(
こと
)
だ。
068
是
(
これ
)
ほど
呼
(
よ
)
んでも
叫
(
さけ
)
んでも、
069
コト
ツとも
云
(
い
)
はぬのは、
070
どうしたものだイ。
071
この
谷
(
たに
)
のあらむ
限
(
かぎ
)
り
悉
(
こと
ごと
)
く、
072
言
(
こと
)
霊
(
たま
)
の
発射
(
はつしや
)
をやつて
見
(
み
)
やうと
思
(
おも
)
へど、
073
どうした
事
(
こと
)
か、
074
声
(
こゑ
)
は
嗄
(
か
)
れ、
075
貴重
(
きちよう
)
な
言
(
こと
)
霊
(
たま
)
は
忽
(
たちま
)
ち
停電
(
ていでん
)
と
来
(
き
)
たものだから、
076
仕様
(
しやう
)
事
(
こと
)
はない、
077
道中
(
だうちう
)
で
二人
(
ふたり
)
の
友達
(
ともだち
)
を
紛失
(
ふんしつ
)
致
(
いた
)
しましたと
云
(
い
)
つて、
078
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にどう
断
(
こと
わ
)
りが
立
(
た
)
つものか。
079
アヽ
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だ、
080
コンナ
事
(
こと
)
と
知
(
し
)
つたなら
随
(
つ
)
いて
来
(
く
)
るのぢや
無
(
な
)
かつたにと
云
(
い
)
つて、
081
慰藉
(
ゐしや
)
晴
(
ば
)
らし
愚痴
(
ぐち
)
の
繰
(
くり
)
言
(
ごと
)
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
し、
082
呼
(
よ
)
べど
叫
(
さけ
)
べど
死
(
し
)
んだ
人
(
ひと
)
は、
083
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
帰
(
かへ
)
つたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はまだ
一度
(
いちど
)
も
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がないワイ』
084
六
(
ろく
)
『
与太公
(
よたこう
)
、
085
アヽお
前
(
まへ
)
はよう
こと
ことと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
だナア、
086
生死
(
せいし
)
不明
(
ふめい
)
の
両人
(
りやうにん
)
を
捉
(
つかま
)
へて、
087
お
前
(
まへ
)
は
最早
(
もはや
)
死
(
し
)
んだ
者
(
もの
)
と
覚悟
(
かくご
)
を
決
(
き
)
めて
居
(
ゐ
)
るのか』
088
与
(
よ
)
『
耳
(
みみ
)
も
聞
(
きこ
)
えず、
089
物
(
もの
)
も
言
(
い
)
へない
奴
(
やつ
)
は
死
(
し
)
んだ
者
(
もの
)
だ。
090
アヽ
六日
(
むゆか
)
の
菖蒲
(
あやめ
)
、
091
十日
(
とをか
)
の
菊
(
きく
)
だ、
092
悔
(
くや
)
んで
返
(
かへ
)
らぬ
事
(
こと
)
乍
(
なが
)
ら、
093
恋
(
こひ
)
しい
弥次
(
やじ
)
サン
勝
(
かつ
)
サンは、
094
何処
(
どこ
)
にどうして
御座
(
ござ
)
るやら、
095
お
前
(
まへ
)
は
情
(
つれ
)
ない
情
(
なさけ
)
ない、
096
都合
(
つがふ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
道連
(
みちづ
)
れが、
097
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
目
(
め
)
に
合
(
あ
)
ふて、
098
どうして
之
(
これ
)
が
泣
(
な
)
かずに
居
(
を
)
られうか。
099
アヽ
私
(
わたし
)
も
一所
(
いつしよ
)
に
殺
(
ころ
)
して
下
(
くだ
)
さんせ、
100
死
(
し
)
に
度
(
た
)
いわいなと
許
(
ばか
)
りにて、
101
命
(
いのち
)
惜
(
をし
)
まぬ
武家
(
ぶけ
)
育
(
そだ
)
ち、
102
シヤンシヤンシヤンか』
103
六
(
ろく
)
『エヽ
与太公
(
よたこう
)
、
104
ヨタを
云
(
い
)
ふにも
程
(
ほど
)
がある
哩
(
わい
)
、
105
もつと
真面目
(
まじめ
)
にならないか』
106
与
(
よ
)
『
真面目
(
まじめ
)
になつても、
107
ならいでも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
だよ、
108
死
(
し
)
んだ
者
(
もの
)
は、
109
どうしたつて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
例
(
ためし
)
は
無
(
な
)
い、
110
俺
(
おれ
)
も
余
(
あんま
)
り
心
(
こころ
)
淋
(
さび
)
しく
悲
(
かな
)
しくなつて
来
(
き
)
たので、
111
気
(
き
)
まぐれに、
112
莫迦口
(
ばかぐち
)
を
叩
(
たた
)
いて
居
(
ゐ
)
るのだ。
113
何処
(
どこ
)
に
友達
(
ともだち
)
の
災難
(
さいなん
)
を
見
(
み
)
て
喜
(
よろこ
)
ぶ
者
(
もの
)
があらうかい。
114
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
には、
115
取越
(
とりこし
)
苦労
(
ぐらう
)
と
過越
(
すぎこし
)
苦労
(
ぐらう
)
はいたすなよ、
116
勇
(
いさ
)
んで
暮
(
くら
)
せ、
117
刹那心
(
せつなしん
)
が
大切
(
たいせつ
)
だ、
118
刹那
(
せつな
)
のその
刹那
(
せつな
)
こそ
吾々
(
われわれ
)
の
意志
(
いし
)
のまま、
119
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
の
勢力
(
せいりよく
)
範囲
(
はんゐ
)
だ。
120
一
(
いつ
)
分間
(
ぷんかん
)
前
(
まへ
)
は
最早
(
もはや
)
過去
(
くわこ
)
の
夢
(
ゆめ
)
となつて、
121
どうしても
逆転
(
ぎやくてん
)
させる
訳
(
わけ
)
には
行
(
い
)
かず、
122
一
(
いつ
)
分間
(
ぷんかん
)
後
(
あと
)
の
事
(
こと
)
は
人間
(
にんげん
)
の
自由
(
じいう
)
になるものではない、
123
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
自由
(
じいう
)
意志
(
いし
)
の
儘
(
まま
)
だ。
124
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る
間
(
ま
)
も、
125
無情
(
むじやう
)
の
風
(
かぜ
)
とやらの
悪魔
(
あくま
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
身辺
(
しんぺん
)
を
絶
(
た
)
えず
附
(
つ
)
け
狙
(
ねら
)
ふて
居
(
ゐ
)
るのだ。
126
弥次
(
やじ
)
、
127
勝
(
かつ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
友達
(
ともだち
)
は
実
(
じつ
)
に
無情
(
むじやう
)
至極
(
しごく
)
の
烈風
(
れつぷう
)
に
誘
(
さそ
)
はれて
之
(
これ
)
も
生死
(
せいし
)
の
程
(
ほど
)
は
明
(
あきら
)
かならず、
128
吾々
(
われわれ
)
はこうして
両人
(
りやうにん
)
に
邂
(
めぐ
)
り
逅
(
あ
)
ひ、
129
ヤア
居
(
を
)
つたか
居
(
を
)
つたか、
130
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
131
豆
(
まめ
)
で
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
でお
達者
(
たつしや
)
で、
132
美
(
うる
)
はしき
御
(
ご
)
尊顔
(
そんがん
)
を
拝
(
はい
)
し
吾々
(
われわれ
)
身
(
み
)
に
取
(
と
)
つて、
133
恐悦
(
きようえつ
)
至極
(
しごく
)
に
存
(
ぞん
)
じ
奉
(
たてまつ
)
ります。
134
やア
之
(
これ
)
は
之
(
これ
)
は
与太公
(
よたこう
)
か
六公
(
ろくこう
)
か、
135
余
(
よ
)
が
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ね、
136
よくも
難路
(
なんろ
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
え、
137
探
(
さが
)
しに
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた、
138
大儀
(
たいぎ
)
々々
(
たいぎ
)
、
139
余
(
よ
)
は
満足
(
まんぞく
)
に
思
(
おも
)
ふぞよ。
140
褒美
(
ほうび
)
には、
141
これを
遣
(
つか
)
はすと
云
(
い
)
つて、
142
鼻糞
(
はなくそ
)
の
万金丹
(
まんきんたん
)
でも、
143
ヱンリンの
アンカン
丹
(
たん
)
でも
御
(
ご
)
下賜
(
かし
)
あるに
定
(
きま
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
予算
(
よさん
)
を
立
(
た
)
てて
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
が、
144
算用
(
さんよう
)
合
(
あ
)
ふて
銭
(
ぜに
)
足
(
た
)
らず、
145
予算外
(
よさんぐわい
)
の
支出
(
ししゆつ
)
超過
(
てうくわ
)
で、
146
さつぱり
二人
(
ふたり
)
の
友達
(
ともだち
)
は
破産
(
はさん
)
申請
(
しんせい
)
、
147
身代
(
しんだい
)
限
(
かぎ
)
りの
処分
(
しよぶん
)
を
受
(
う
)
けて、
148
可愛
(
かあい
)
い
妻子
(
つまこ
)
をふり
捨
(
す
)
て、
149
十万
(
じふまん
)
億土
(
おくど
)
の
冥途
(
めいど
)
とやらいふ
国
(
くに
)
へ
移住
(
いぢう
)
でもして
居
(
を
)
つたら、
150
その
時
(
とき
)
こそ、
151
折角
(
せつかく
)
張
(
は
)
り
詰
(
つ
)
めし
心
(
こころ
)
の
綱
(
つな
)
も、
152
頼
(
たの
)
みの
糸
(
いと
)
も
切
(
き
)
れ
果
(
は
)
てて、
153
泣
(
な
)
いても
悔
(
くや
)
んでも
返
(
かへ
)
らぬ
悲惨
(
ひさん
)
な
幕
(
まく
)
に
打付
(
ぶつつ
)
かるかも
知
(
し
)
れやしない。
154
その
時
(
とき
)
なにほど
失望
(
しつばう
)
落胆
(
らくたん
)
したつて
駄目
(
だめ
)
だよ。
155
アヽコンナことを
思
(
おも
)
ふよりも、
156
日頃
(
ひごろ
)
の
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
によつて
強圧
(
きやうあつ
)
的
(
てき
)
に
刹那心
(
せつなしん
)
を
発揮
(
はつき
)
し、
157
われと
吾心
(
わがこころ
)
の
駒
(
こま
)
に
慰藉
(
ゐしや
)
を
与
(
あた
)
へて
居
(
ゐ
)
るのだよ。
158
陽気
(
やうき
)
浮気
(
うはき
)
で
無駄口
(
むだぐち
)
が
云
(
い
)
へるかい。
159
啼
(
な
)
く
蝉
(
せみ
)
よりも
啼
(
な
)
かぬ
螢
(
ほたる
)
が
身
(
み
)
を
焦
(
こが
)
す。
160
嗚呼
(
ああ
)
それにしても、
161
あの
元気
(
げんき
)
な
弥次彦
(
やじひこ
)
の
顔
(
かほ
)
がもう
一度
(
いちど
)
拝
(
をが
)
みたい。
162
勝公
(
かつこう
)
も
勝公
(
かつこう
)
ぢや、
163
折角
(
せつかく
)
、
164
窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
から
助
(
たす
)
けられ、
165
僅
(
わづ
)
か
半日
(
はんにち
)
経
(
たた
)
ぬ
内
(
うち
)
に、
166
無情
(
むじやう
)
の
風
(
かぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて、
167
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
如
(
ごと
)
く
吹
(
ふ
)
き
散
(
ち
)
らされ、
168
煙
(
けむり
)
となつて
消
(
き
)
ゆるとは、
169
何
(
なん
)
たる
因果
(
いんぐわ
)
な
生
(
うま
)
れ
附
(
つき
)
だらう。
170
想
(
おも
)
へば
想
(
おも
)
へば
矢張
(
やつぱり
)
悲
(
かな
)
しいワイ。
171
刹那心
(
せつなしん
)
の
奴
(
やつ
)
、
172
どうやら
屁古垂
(
へこた
)
れさうになつて
来
(
き
)
たワイ。
173
アーンアーンアーンアーンアーン、
174
ウーンウンウンウン』
175
六
(
ろく
)
『
日天
(
につてん
)
様
(
さま
)
はニコニコと
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
好
(
よ
)
く、
176
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
をお
昇
(
のぼ
)
りなさつて
吾々
(
われわれ
)
の
頭
(
かしら
)
を
照
(
て
)
らして
下
(
くだ
)
さるが、
177
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
は
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
178
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
は
夕立
(
ゆふだち
)
と
降
(
ふ
)
りしきり、
179
何共
(
なんとも
)
云
(
い
)
へぬ
淋
(
さび
)
しい
事
(
こと
)
だ。
180
人間
(
にんげん
)
といふ
者
(
もの
)
は、
181
あかぬものだな。
182
昨日
(
きのふ
)
まで、
183
鬼
(
おに
)
でも
挫
(
ひし
)
ぐ
様
(
やう
)
な
元気
(
げんき
)
で、
184
機嫌
(
きげん
)
良
(
よ
)
う
はしやい
で
居
(
を
)
つた
二人
(
ふたり
)
の
友達
(
ともだち
)
は、
185
今
(
いま
)
は
生死
(
せいし
)
も
分
(
わか
)
らず
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
までは
彼
(
あ
)
の
世
(
よ
)
へ
行
(
い
)
つたものと
諦
(
あきら
)
めねばならぬ
破目
(
はめ
)
になつて
来
(
き
)
た、
186
俺
(
わし
)
も
昨日
(
きのふ
)
まで、
187
ウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
であつたが、
188
漸
(
やうや
)
く
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
したと
思
(
おも
)
へば、
189
弥次彦
(
やじひこ
)
、
190
勝公
(
かつこう
)
に
別
(
わか
)
れて
了
(
しま
)
ふし、
191
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが
昨日
(
きのふ
)
から
交際
(
つきあ
)
ふた
人
(
ひと
)
とは
何
(
ど
)
うしても
思
(
おも
)
はれない、
192
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
も
二十
(
にじふ
)
年
(
ねん
)
も
昔
(
むかし
)
から
交際
(
つきあ
)
ふた
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
がする。
193
知
(
し
)
り
合
(
あ
)
ひになつてから、
194
三日
(
みつか
)
も
経
(
た
)
たぬ
俺
(
おれ
)
でさへも
之丈
(
これだ
)
け
悲
(
かな
)
しいのだもの、
195
与太公
(
よたこう
)
は、
196
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
の
馴染
(
なじみ
)
、
197
お
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
も
察
(
さつ
)
するよ』
198
与
(
よ
)
『アヽ
仕方
(
しかた
)
がない。
199
此処
(
ここ
)
で
屁古垂
(
へこた
)
れずに、
200
もう
一遍
(
いつぺん
)
、
201
大捜索
(
だいさうさく
)
をやつて
見
(
み
)
やうか、
202
因縁
(
いんねん
)
があれば、
203
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
両人
(
りやうにん
)
に
逢
(
あ
)
はして
下
(
くだ
)
さるだらう、
204
たとへ
死骸
(
しがい
)
なり
共
(
とも
)
、
205
もう
一目
(
ひとめ
)
逢
(
あ
)
ふて、
206
二人
(
ふたり
)
の
先途
(
せんど
)
を
見届
(
みとど
)
けて
置
(
お
)
かねばならない。
207
エヽ
怪体
(
けたい
)
の
悪
(
わる
)
い
烏
(
からす
)
の
鳴
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
だ、
208
益々
(
ますます
)
気
(
き
)
に
懸
(
かか
)
るワイ』
209
六
(
ろく
)
『オーほんにほんに
向
(
むか
)
ふの
谷間
(
たにま
)
の
大木
(
たいぼく
)
の
枝
(
えだ
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
烏
(
からす
)
が
止
(
と
)
まつて
鳴
(
な
)
いてゐるなア。
210
ハテ、
211
こいつは
怪
(
あや
)
しいぞ、
212
何
(
なん
)
だか
人間
(
にんげん
)
の
着物
(
きもの
)
らしい
物
(
もの
)
が、
213
梢
(
こづゑ
)
に
見
(
み
)
えるぢやないか、
214
見
(
み
)
てみよ』
215
与太公
(
よたこう
)
は
両手
(
りやうて
)
の
親指
(
おやゆび
)
と
人差指
(
ひとさしゆび
)
にて
輪
(
わ
)
を
拵
(
こしら
)
へ
乍
(
なが
)
ら
眼鏡
(
めがね
)
の
如
(
ごと
)
くに、
216
左右
(
さいう
)
の
目
(
め
)
にピタリと
当
(
あて
)
がひ、
217
烏
(
からす
)
の
群
(
むら
)
がり
居
(
を
)
る
樹木
(
じゆもく
)
の
枝
(
えだ
)
に
目
(
め
)
を
注
(
そそ
)
いだ。
218
与
(
よ
)
『ヤアあれは
的切
(
てつきり
)
、
219
弥次公
(
やじこう
)
、
220
勝公
(
かつこう
)
の
着物
(
きもの
)
だぞ。
221
天狗
(
てんぐ
)
の
奴
(
やつ
)
、
222
股
(
また
)
から
引裂
(
ひきさ
)
きよつて、
223
着物
(
きもの
)
を
木
(
き
)
に
掛
(
か
)
けて
置
(
お
)
きよつたな、
224
エヽ
忌々
(
いまいま
)
しい、
225
しかしながら
着物
(
きもの
)
でも
構
(
かま
)
はぬ、
226
友達
(
ともだち
)
の
形見
(
かたみ
)
だと
思
(
おも
)
へば
宜
(
よ
)
い、
227
一
(
ひと
)
つ
彼
(
あ
)
の
木
(
き
)
の
根元
(
ねもと
)
へ
行
(
い
)
つて
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
やう、
228
あの
下
(
した
)
辺
(
あた
)
りに、
229
死骸
(
しがい
)
となつて
横
(
よこた
)
はつて
居
(
ゐ
)
まいものでもないワ、
230
彼
(
あ
)
れが
第一
(
だいいち
)
、
231
生
(
い
)
きて
居
(
ゐ
)
るのだつたら、
232
烏
(
からす
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えるだらうから、
233
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
言霊
(
ことたま
)
も
聞
(
きこ
)
える
道理
(
だうり
)
だ。
234
一
(
ひと
)
つ
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
り
叫
(
さけ
)
んで
見
(
み
)
やうか』
235
六
(
ろく
)
『
叫
(
さけ
)
ばうと
云
(
い
)
つたつて
声
(
こゑ
)
の
原料
(
げんれう
)
が
根絶
(
こんぜつ
)
したのだから
仕方
(
しかた
)
がない。
236
向
(
むか
)
ふが
烏
(
からす
)
よりもこちらが
声
(
こゑ
)
を
からす
だ、
237
二人
(
ふたり
)
で
此様
(
こん
)
な
処
(
ところ
)
で、
238
とり
留
(
と
)
めもない、
239
とり
どりの
噂
(
うはさ
)
をして
居
(
ゐ
)
るよりも、
240
とり
敢
(
あへ
)
ず、
241
手取早
(
てつとりばや
)
く、
242
彼
(
あ
)
の
木
(
き
)
の
元
(
もと
)
に
とり
付
(
つ
)
いて
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
やうかい。
243
万一
(
まんいち
)
あの
木
(
き
)
の
元
(
もと
)
に、
244
死骸
(
しがい
)
が
一人
(
ひとり
)
でも
二人
(
ふたり
)
でもあつたならば、
245
俺
(
おれ
)
は
彼
(
あ
)
の
女房
(
にようばう
)
の
代
(
かは
)
り
役者
(
やくしや
)
となつて、
246
これこれ
弥次
(
やじ
)
サン
勝
(
かつ
)
サンヘ、
247
逢
(
あ
)
ひたかつた、
248
見
(
み
)
たかつた、
249
と
顔
(
かほ
)
や
手足
(
てあし
)
に
取付
(
とりつ
)
いて、
250
前後
(
ぜんご
)
不覚
(
ふかく
)
に
嘆
(
なげ
)
きつつ、
251
取乱
(
とりみだ
)
したるその
哀
(
あは
)
れさ、
252
ヂヤンヂヤンヂヤンヂヤン』
253
与
(
よ
)
『
俺
(
おれ
)
の
真似
(
まね
)
許
(
ばか
)
りするない。
254
ソンナ
処
(
どころ
)
かい、
255
さア
駆足
(
かけあし
)
だ』
256
樹木
(
じゆもく
)
茂
(
しげ
)
れる
中
(
なか
)
を、
257
茨
(
いばら
)
に
引掛
(
ひつかか
)
り、
258
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
にまとはれ
乍
(
なが
)
ら、
259
漸
(
やうや
)
くにして
谷川
(
たにがは
)
の
縁
(
ふち
)
に
着
(
つ
)
いた。
260
与
(
よ
)
『ヤア、
261
折悪
(
をりあ
)
しく、
262
川
(
かは
)
向
(
むか
)
ふの
松
(
まつ
)
の
大木
(
たいぼく
)
だ、
263
この
急潭
(
きふたん
)
をどうして
渡
(
わた
)
らうかな、
264
アヽ
昨日
(
きのふ
)
や
今日
(
けふ
)
の
飛鳥川
(
あすかがは
)
、
265
変
(
かは
)
る
浮世
(
うきよ
)
といひ
乍
(
なが
)
ら、
266
有為
(
うゐ
)
転変
(
てんぺん
)
も、
267
ここまで
往
(
い
)
つたら、
268
徹底
(
てつてい
)
して
居
(
ゐ
)
る
哩
(
わい
)
、
269
この
川
(
かは
)
の
淵瀬
(
ふちせ
)
がどうして
渡
(
わた
)
られやうぞ。
270
オイ
六公
(
ろくこう
)
、
271
何
(
なん
)
とか
好
(
い
)
い
考
(
かんが
)
へは
出
(
で
)
ないかいのう』
272
六
(
ろく
)
『
俺
(
おれ
)
の
考
(
かんが
)
へは
只
(
ただ
)
刹那心
(
せつなしん
)
あるのみだ。
273
この
谷川
(
たにがは
)
へ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで、
274
土左衛門
(
どざゑもん
)
になつたら、
275
その
時
(
とき
)
はもう
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い。
276
弥次公
(
やじこう
)
、
277
勝公
(
かつこう
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ふて
一所
(
いつしよ
)
に
仲宜
(
なかよ
)
く、
278
死出
(
しで
)
三途
(
さんづ
)
同行
(
どうぎやう
)
四
(
し
)
人
(
にん
)
だ』
279
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
280
六公
(
ろくこう
)
は
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
た
儘
(
まま
)
、
281
ザンブと
許
(
ばか
)
り
谷川
(
たにがは
)
へ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだ。
282
与
(
よ
)
『アツ
六公
(
ろくこう
)
め、
283
気
(
き
)
の
早
(
はや
)
い
奴
(
やつ
)
だ、
284
エヽ
俺
(
おれ
)
も
破
(
やぶ
)
れかぶれだ』
285
と
又
(
また
)
もや、
286
ザンブと
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして、
287
青淵
(
あをふち
)
目蒐
(
めが
)
けて
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだ。
288
折
(
をり
)
よく
流
(
なが
)
れ
渡
(
わた
)
りに
向岸
(
むかふがは
)
に
無事
(
ぶじ
)
に
這
(
は
)
ひ
上
(
あが
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
た。
289
六
(
ろく
)
『アヽお
蔭
(
かげ
)
で
川
(
かは
)
渡
(
わた
)
りは
成功
(
せいこう
)
した。
290
与太公
(
よたこう
)
もやつたのか、
291
偉
(
えら
)
いなア』
292
与
(
よ
)
『
偉
(
えら
)
いの
偉
(
えら
)
くないのつて、
293
鼻
(
はな
)
から
口
(
くち
)
から、
294
水
(
みづ
)
を
充満
(
いつぱい
)
飲
(
の
)
んだものだから、
295
息
(
いき
)
が
止
(
と
)
まりさうにあつたよ、
296
然
(
しかし
)
ながら、
297
斯
(
こ
)
うぬれねずみでは、
298
着物
(
きもの
)
が
足
(
あし
)
に
巻
(
まく
)
り
付
(
つ
)
いて
歩
(
ある
)
く
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
はしない、
299
一
(
ひと
)
つ
大圧搾
(
だいあつさく
)
をやつて、
300
荒水
(
あらみづ
)
を
取
(
と
)
つて
着替
(
きか
)
へて
行
(
ゆ
)
かうか。
301
ヤア
六公
(
ろくこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
302
早
(
はや
)
何処
(
どこ
)
かへ
行
(
ゆ
)
きよつたナ』
303
六公
(
ろくこう
)
は
一丁
(
いつちやう
)
許
(
ばか
)
り
向
(
むか
)
ふの
樹
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みから、
304
六
(
ろく
)
『オーイ、
305
与太公
(
よたこう
)
、
306
此処
(
ここ
)
だ
此処
(
ここ
)
だ、
307
オーイ、
308
弥次公
(
やじこう
)
、
309
勝公
(
かつこう
)
、
310
俺
(
おれ
)
は
此処
(
ここ
)
だヨウ』
311
与
(
よ
)
『
何
(
なん
)
だ
幽霊
(
いうれい
)
の
名
(
な
)
まで
呼
(
よ
)
んでゐよる。
312
冥土
(
めいど
)
へ
行
(
い
)
つた
弥次
(
やじ
)
、
313
勝
(
かつ
)
と
交
(
ま
)
ぜて
俺
(
おれ
)
の
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
ばれて
堪
(
たま
)
るものかい。
314
顕幽
(
けんいう
)
混交
(
こんかう
)
だ、
315
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い。
316
併
(
しか
)
しながら、
317
俺
(
おれ
)
は
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
へ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで、
318
最早
(
もは
)
や
娑婆
(
しやば
)
の
人
(
ひと
)
ではないのかな。
319
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
320
六公
(
ろくこう
)
は
頻
(
しき
)
りに
呼
(
よ
)
び
居
(
を
)
るから、
321
ともかく
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
やう』
322
と
独
(
ひと
)
り
言
(
ご
)
ちつつ
声
(
こゑ
)
を
目当
(
めあ
)
てに
上
(
のぼ
)
つて
来
(
く
)
る。
323
与
(
よ
)
『ヤア
六公
(
ろくこう
)
、
324
どうだ、
325
目的
(
もくてき
)
の
主
(
ぬし
)
は
御
(
ご
)
健全
(
けんぜん
)
かな』
326
六
(
ろく
)
『どうやら、
327
姿
(
すがた
)
だけは
残
(
のこ
)
つてゐるらしいぞ。
328
何
(
なん
)
ぼ
呼
(
よ
)
んでも、
329
返事
(
へんじ
)
はせないから、
330
生死
(
せいし
)
の
程
(
ほど
)
は
確
(
たし
)
かにそれとは
計
(
はか
)
り
兼
(
か
)
ねる。
331
上
(
あが
)
つて
見
(
み
)
やうと
思
(
おも
)
つた
処
(
ところ
)
で、
332
コンナ
大木
(
たいぼく
)
で、
333
どうする
事
(
こと
)
も、
334
斯
(
こ
)
うする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
やしない、
335
末期
(
まつご
)
の
水
(
みづ
)
もよう
汲
(
く
)
んで
貰
(
もら
)
はずに
死
(
し
)
んだかと
思
(
おも
)
へば
今更
(
いまさら
)
の
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれて、
336
俺
(
おれ
)
はもう
悲
(
かな
)
しいわいやい、
337
アーンアーンアーンアーン』
338
与
(
よ
)
『
何
(
なに
)
メソメソ
吠面
(
ほえづら
)
かわくのだい、
339
末期
(
まつご
)
の
水
(
みづ
)
はなく
共
(
とも
)
、
340
松ケ枝
(
まつがえ
)
で
死
(
し
)
んだのだもの
松
(
まつ
)
の
露
(
つゆ
)
位
(
くらゐ
)
は
飲
(
の
)
んで
死
(
し
)
んだらう、
341
死
(
し
)
んで
了
(
しま
)
つてから
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つたつて
仕方
(
しかた
)
がない。
342
これからは、
343
二人
(
ふたり
)
で
弥次
(
やじ
)
、
344
勝
(
かつ
)
の
弔
(
とむら
)
ひ
合戦
(
がつせん
)
をやるのだ、
345
二人
(
ふたり
)
寄
(
よ
)
つて
四人前
(
よにんまへ
)
の
働
(
はたら
)
きをすれば、
346
二人
(
ふたり
)
の
亡者
(
まうじや
)
も、
347
冥
(
めい
)
するであらう。
348
もう
斯
(
こ
)
うなれば、
349
追善
(
つゐぜん
)
の
為
(
た
)
めに、
350
各自
(
めいめい
)
が
二人前
(
ににんまへ
)
の
働
(
はたら
)
きをするより、
351
二人
(
ふたり
)
の
霊
(
れい
)
を
慰
(
なぐさ
)
めてやる
方法
(
はうはふ
)
は
無
(
な
)
いワ』
352
松
(
まつ
)
の
上
(
うへ
)
より
幽
(
かす
)
かな
声
(
こゑ
)
で、
353
弥
(
や
)
『オーイ
与太公
(
よたこう
)
か、
354
六公
(
ろくこう
)
か、
355
与太六
(
よたろく
)
』
356
与
(
よ
)
『ヤア、
357
お
前
(
まへ
)
は
弥次彦
(
やじひこ
)
か、
358
勝公
(
かつこう
)
か、
359
死
(
し
)
んだらもう
仕方
(
しかた
)
がない、
360
後
(
あと
)
は
俺
(
おれ
)
が
引受
(
ひきう
)
けて
女房
(
にようばう
)
までも
都合
(
つがふ
)
宜
(
よ
)
う
世話
(
せわ
)
してやるワ。
361
迷
(
まよ
)
ふな
迷
(
まよ
)
ふな。
362
娑婆
(
しやば
)
の
執着心
(
しふちやくしん
)
をサラリと
去
(
さ
)
つて
極楽
(
ごくらく
)
参
(
まゐ
)
りをしてくれ』
363
弥
(
や
)
『(
小声
(
こごゑ
)
で)オイ
勝公
(
かつこう
)
、
364
お
蔭
(
かげ
)
でこの
松
(
まつ
)
の
大木
(
たいぼく
)
に
助
(
たす
)
けられて
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
いたと
思
(
おも
)
へば、
365
与太
(
よた
)
、
366
六
(
ろく
)
の
奴
(
やつ
)
、
367
俺
(
おれ
)
たちを
亡者
(
まうじや
)
と
間違
(
まちが
)
へよつて、
368
アンナ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
よる。
369
一
(
ひと
)
つ
此処
(
ここ
)
まで、
370
軽業
(
かるわざ
)
の
芸当
(
げいたう
)
をやつたのだから、
371
このまま
下
(
お
)
りるのも
何
(
なん
)
だか、
372
変哲
(
へんてつ
)
がない、
373
一
(
ひと
)
つ
亡者
(
まうじや
)
の
真似
(
まね
)
でもして、
374
一芝居
(
ひとしばい
)
やつて
見
(
み
)
やうかな』
375
勝
(
かつ
)
『お
前
(
まへ
)
、
376
よつぽど
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
だナ、
377
可愛想
(
かあいさう
)
に
二人
(
ふたり
)
の
友達
(
ともだち
)
が、
378
泣声
(
なきごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
探
(
さが
)
しに
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのに
罪
(
つみ
)
な
事
(
こと
)
をするものぢやないワ』
379
弥
(
や
)
『それでも
勝公
(
かつこう
)
、
380
既
(
すんで
)
に
既
(
すんで
)
に、
381
俺
(
おれ
)
たちを
亡者
(
まうじや
)
扱
(
あつか
)
ひにして
居
(
ゐ
)
るのだもの、
382
このまま
済
(
すま
)
しちや、
383
折角
(
せつかく
)
の
芝居
(
しばゐ
)
のハネ
口
(
ぐち
)
が
悪
(
わる
)
いぢやないか。
384
ハネ
太鼓
(
だいこ
)
が
鳴
(
な
)
るまで
一寸
(
ちよつと
)
演劇
(
えんげき
)
気分
(
きぶん
)
になつたらどうだ、
385
オイ
勝公
(
かつこう
)
、
386
お
前
(
まへ
)
芝居
(
しばゐ
)
が
下手
(
へた
)
なら
口上
(
こうじやう
)
言
(
い
)
ひにならぬか、
387
拍子木
(
へうしぎ
)
の
代
(
かは
)
りに、
388
両手
(
りやうて
)
を
叩
(
たた
)
いて、
389
お
客様
(
きやくさま
)
に
口上
(
こうじやう
)
を
申上
(
まをしあ
)
げるのだ』
390
勝
(
かつ
)
『さうだ、
391
一寸
(
ちよつと
)
口上
(
こうじやう
)
を
云
(
い
)
つて
見様
(
みやう
)
かな。
392
東西
(
とうざい
)
々々
(
とうざい
)
、
393
今晩
(
こんばん
)
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れまする
狂言
(
きやうげん
)
芸題
(
げいだい
)
の
儀
(
ぎ
)
は、
394
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
大風
(
おほかぜ
)
の
段
(
だん
)
より
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
、
395
死出
(
しで
)
の
山
(
やま
)
、
396
脱衣婆
(
だついばば
)
に
弥次彦
(
やじひこ
)
が
談判
(
だんぱん
)
を
試
(
こころ
)
みる
一条
(
いちでう
)
より
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
つた、
397
与太
(
よた
)
、
398
六
(
ろく
)
といふ
二人
(
ふたり
)
の
腰抜
(
こしぬ
)
け
野郎
(
やらう
)
が、
399
泣面
(
なきづら
)
かはいてその
後
(
あと
)
を
尋
(
たづ
)
ね、
400
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
向岸
(
むかう
)
で
松
(
まつ
)
の
大木
(
たいぼく
)
の
根元
(
ねもと
)
において
嘆
(
なげ
)
き
狂
(
くる
)
ふ
愁歎場
(
しうたんば
)
を、
401
大切
(
おほぎり
)
と
致
(
いた
)
しまして
御
(
ご
)
高覧
(
かうらん
)
に
供
(
きよう
)
しまする。
402
何分
(
なにぶん
)
遽
(
にはか
)
芝居
(
しばゐ
)
の
事
(
こと
)
にございますれば、
403
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し、
404
あれは
彼
(
あ
)
れ
位
(
くらゐ
)
の
者
(
もの
)
、
405
之
(
これ
)
は
之
(
こ
)
れ
位
(
くらゐ
)
の
者
(
もの
)
とお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
406
お
爺
(
ぢい
)
サンもお
媼
(
ばあ
)
サンもお
子供
(
こども
)
衆
(
しう
)
も、
407
近所
(
きんじよ
)
隣
(
となり
)
誘
(
さそ
)
ひ
合
(
あは
)
せ
賑々
(
にぎにぎ
)
しく、
408
御
(
ご
)
来場
(
らいぢやう
)
御
(
ご
)
観覧
(
くわんらん
)
下
(
くだ
)
さらむ
事
(
こと
)
を、
409
偏
(
ひとへ
)
に
希
(
こひねが
)
ひ
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります、
410
チヤンチヤン』
411
与
(
よ
)
『オイ
六公
(
ろくこう
)
、
412
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
変
(
かは
)
れば
変
(
かは
)
るものだな、
413
芝居
(
しばゐ
)
といふものは
娑婆
(
しやば
)
丈
(
だ
)
けのことかと
思
(
おも
)
へば、
414
幽界
(
いうかい
)
に
来
(
き
)
ても、
415
やつぱり
芝居
(
しばゐ
)
があると
見
(
み
)
える
哩
(
わい
)
、
416
なにほど
幽界
(
いうかい
)
は
淋
(
さび
)
しいと
云
(
い
)
つても、
417
芝居
(
しばゐ
)
さへ
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れれば、
418
ちつとは
気保養
(
きほやう
)
も
出来
(
でき
)
るといふものだ、
419
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
閻魔
(
えんま
)
サンが
御
(
お
)
代
(
かは
)
りになつてからと
云
(
い
)
ふものは、
420
地獄
(
ぢごく
)
の
中
(
なか
)
も、
421
余程
(
よつぽど
)
寛大
(
くわんだい
)
になつたといふ
事
(
こと
)
を、
422
神憑
(
かむがかり
)
の
口
(
くち
)
を
通
(
つう
)
じて
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
たが、
423
如何
(
いか
)
にも
変
(
かは
)
つたものだ、
424
民権
(
みんけん
)
発達
(
はつたつ
)
といふものは、
425
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
まで
影響
(
えいきやう
)
を
及
(
およ
)
ぼし、
426
今度
(
こんど
)
の
閻魔
(
えんま
)
サンは、
427
民主
(
みんしゆ
)
主義
(
しゆぎ
)
になられたと
見
(
み
)
えるな』
428
六
(
ろく
)
『
与太公
(
よたこう
)
、
429
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふてゐるのだい、
430
ここは
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
じやないぞ、
431
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
谷間
(
たにあひ
)
ぢやないかい、
432
勝
(
かつ
)
の
奴
(
やつ
)
、
433
好
(
い
)
い
気
(
き
)
になつて、
434
アンナ
亡者
(
まうじや
)
芝居
(
しばゐ
)
の
真似
(
まね
)
をさらしよるのだよ。
435
莫迦
(
ばか
)
莫迦
(
ばか
)
しい
哩
(
わい
)
』
436
与
(
よ
)
『
否々
(
いやいや
)
そう
早合点
(
はやがつてん
)
をするものぢやない、
437
俺
(
おれ
)
も
一旦
(
いつたん
)
、
438
谷底
(
たにそこ
)
へ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだ
時
(
とき
)
に
沢山
(
たくさん
)
な
水
(
みづ
)
を
飲
(
の
)
んで、
439
気
(
き
)
が
遠
(
とほ
)
くなり、
440
大
(
おほ
)
きな
川
(
かは
)
を
泳
(
およ
)
いだ
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
がする、
441
婆
(
ばば
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えなかつたが
何
(
なん
)
でも
深
(
ふか
)
い
大
(
おほ
)
きな
川
(
かは
)
だつたよ』
442
六
(
ろく
)
『
惚
(
とぼ
)
けない、
443
今
(
いま
)
この
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
つたとこぢやないか、
444
俺
(
おれ
)
は
決
(
けつ
)
して
亡者
(
まうじや
)
ではないぞ。
445
貴様
(
きさま
)
も
俺
(
おれ
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
渡
(
わた
)
つたのだから、
446
矢張
(
やつぱ
)
り
娑婆
(
しやば
)
の
人間
(
にんげん
)
だ。
447
オイ、
448
松葉
(
まつば
)
天狗
(
てんぐ
)
の
弥次公
(
やじこう
)
、
449
勝公
(
かつこう
)
、
450
早
(
はや
)
く
下
(
お
)
りて
来
(
こ
)
ないかい、
451
ソンナ
処
(
とこ
)
で
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
き、
452
鼻
(
はな
)
を
剥
(
む
)
き、
453
芝居
(
しばゐ
)
をやつて
居
(
ゐ
)
ると、
454
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
顛倒
(
てんたふ
)
して、
455
それこそ
今度
(
こんど
)
は、
456
真正
(
ほんとう
)
の
亡者
(
まうじや
)
にならねばならぬぞ。
457
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
下
(
お
)
りて
来
(
こ
)
ないかい。
458
貴様
(
きさま
)
が
仕様
(
しやう
)
もない
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
すものだから、
459
与太公
(
よたこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
460
亡者
(
まうじや
)
気分
(
きぶん
)
になりよつて
困
(
こま
)
つて
了
(
しま
)
ふワ』
461
弥
(
や
)
『(
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
して)ウラメシヤー、
462
無情
(
むじやう
)
の
風
(
かぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて、
463
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
十八坂
(
じふはちさか
)
の
上
(
うへ
)
まで
来
(
き
)
た
処
(
ところ
)
が、
464
無惨
(
むざん
)
やナー、
465
花
(
はな
)
は
半開
(
はんかい
)
にして
散
(
ち
)
り、
466
月
(
つき
)
は
半
(
はん
)
円
(
ゑん
)
にして
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まる、
467
有為
(
うゐ
)
転変
(
てんぺん
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
とは
謂
(
ゐ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
468
思
(
おも
)
ひもよらぬ
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
、
469
ま
一度
(
いちど
)
女房
(
にようばう
)
の
顔
(
かほ
)
が
見
(
み
)
たい
哩
(
わい
)
のー。
470
それに
就
(
つ
)
いても
恨
(
うら
)
めしいのは、
471
なぜ
与太公
(
よたこう
)
や
六公
(
ろくこう
)
を
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
に
連
(
つ
)
れて
来
(
こ
)
なかつただらう。
472
三途川
(
せうづがは
)
の
鬼婆
(
おにばば
)
奴
(
め
)
の
吐
(
ぬか
)
す
事
(
こと
)
には、
473
貴様
(
きさま
)
は
友達
(
ともだち
)
甲斐
(
がひ
)
のない
奴
(
やつ
)
ぢや、
474
なぜ
与太公
(
よたこう
)
、
475
六公
(
ろくこう
)
を
見捨
(
みす
)
てて
来
(
き
)
たか、
476
水臭
(
みづくさ
)
い
奴
(
やつ
)
ぢや、
477
も
一度
(
いちど
)
帰
(
かへ
)
つて
誘
(
さそ
)
ふて
来
(
こ
)
いと
吐
(
ぬか
)
しよつた。
478
アヽ
仕方
(
しかた
)
がない………
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
つた
与太公
(
よたこう
)
や
六公
(
ろくこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
479
弥次彦
(
やじひこ
)
勝彦
(
かつひこ
)
は
情
(
つれ
)
ない
奴
(
やつ
)
ぢや、
480
何故
(
なぜ
)
に
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
残
(
のこ
)
して
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をしたのかー、
481
この
恨
(
うら
)
みは
死
(
し
)
んでも
忘
(
わす
)
れは
致
(
いた
)
さぬと、
482
小鹿山
(
こしかやま
)
の
森林
(
しんりん
)
で
娑婆
(
しやば
)
の
亡者
(
まうじや
)
となつて
迷
(
まよ
)
ふてゐるぞよ。
483
早
(
はや
)
く
貴様
(
きさま
)
は
娑婆
(
しやば
)
の
入口
(
いりぐち
)
まで
引返
(
ひきかへ
)
し、
484
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
から、
485
招
(
まね
)
いて
来
(
こ
)
いと
云
(
い
)
ひ
居
(
を
)
つた。
486
アンナ
頑固
(
ぐわんこ
)
な
腰抜
(
こしぬ
)
け
野郎
(
やらう
)
と、
487
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をしたなれば、
488
嘸
(
さぞ
)
や
嘸
(
さぞ
)
厄介
(
やくかい
)
のかかる
事
(
こと
)
であらう
程
(
ほど
)
に、
489
エヽ
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
鬼婆
(
おにばば
)
も
聞
(
きこ
)
えぬわいのー、
490
ホーイ ホーイ』
491
六
(
ろく
)
『コラ
弥次公
(
やじこう
)
、
492
何
(
なに
)
を
誣戯
(
ふざ
)
けた
真似
(
まね
)
をしよるのだい、
493
死
(
し
)
に
損
(
ぞこな
)
ひ
奴
(
め
)
が、
494
早
(
はや
)
く
下
(
お
)
りぬかい』
495
与
(
よ
)
『オーイ
弥次公
(
やじこう
)
、
496
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
婆
(
ばば
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふたのか
知
(
し
)
らないけれど、
497
与太公
(
よたこう
)
は
娑婆
(
しやば
)
で
大病
(
たいびやう
)
に
罹
(
かか
)
つて
足
(
あし
)
が
立
(
た
)
たぬから
暫
(
しば
)
らく
猶予
(
いうよ
)
をしてやつて
下
(
くだ
)
さいと
頼
(
たの
)
んで
呉
(
く
)
れえやい。
498
俺
(
おれ
)
はその
代
(
かは
)
りに、
499
貴様
(
きさま
)
の
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
つて、
500
朝晩
(
あさばん
)
に
鄭重
(
ていちよう
)
な
弔
(
とむら
)
ひをしてやる
程
(
ほど
)
に、
501
何卒
(
どうぞ
)
お
婆
(
ば
)
アサンにその
処
(
ところ
)
は
宜
(
よろ
)
しう
取做
(
とりな
)
しを
願
(
ねが
)
ふぞやー、
502
ホーイ ホイホイ』
503
六
(
ろく
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
また
怪
(
あや
)
しうなつて
来
(
き
)
たぞ、
504
与太公
(
よたこう
)
は
丸
(
まる
)
で
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
見
(
み
)
た
様
(
やう
)
なものだ、
505
エヽ
糞
(
くそ
)
ツ、
506
面白
(
おもしろ
)
くもない、
507
娑婆
(
しやば
)
の
幽霊
(
いうれい
)
の
奴
(
やつ
)
が。
508
オイ
弥次公
(
やじこう
)
、
509
勝公
(
かつこう
)
よい
加減
(
かげん
)
に
下
(
お
)
りぬかい』
510
勝
(
かつ
)
『ポンポン、
511
東西
(
とうざい
)
々々
(
とうざい
)
ただ
今
(
いま
)
御
(
ご
)
高覧
(
かうらん
)
に
入
(
い
)
れましたる
一条
(
いちでう
)
は、
512
冥土
(
めいど
)
より
娑婆
(
しやば
)
の
亡者
(
まうじや
)
迎
(
むか
)
への
段
(
だん
)
、
513
首尾
(
しゆび
)
よくお
目
(
め
)
に
止
(
と
)
まりますれば、
514
次
(
つぎ
)
なる
一幕
(
ひとまく
)
を
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れ
奉
(
たてまつ
)
りまーす』
515
六
(
ろく
)
『エヽ、
516
陰気
(
いんき
)
臭
(
くさ
)
い。
517
下
(
お
)
りな
下
(
お
)
りいで
宜
(
よ
)
いワ、
518
此処
(
ここ
)
に
都合
(
つがふ
)
の
好
(
よ
)
い
竹竿
(
たけざを
)
がある、
519
之
(
これ
)
で
貴様
(
きさま
)
の
尻
(
しり
)
をグサと
芋
(
いも
)
ざしに
刺
(
さ
)
してやるから
左様
(
さう
)
思
(
おも
)
へ。
520
オイ
与太公
(
よたこう
)
、
521
貴様
(
きさま
)
も
手伝
(
てつだ
)
はぬかい、
522
たとへ
亡者
(
まうじや
)
にした
処
(
ところ
)
で
余
(
あま
)
りな
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
す
奴
(
やつ
)
だ、
523
突
(
つ
)
いてやるのだ、
524
恰度
(
ちやうど
)
竿
(
さを
)
も
二本
(
にほん
)
ある、
525
誂
(
あつら
)
へ
向
(
むき
)
に
二本
(
にほん
)
置
(
お
)
いてあるワ、
526
オイあの
尻
(
けつ
)
を
目蒐
(
めが
)
けてグサツと
突
(
つ
)
くのだぞ』
527
弥
(
や
)
『
アナ
オソロシヤナー、
528
アナ
オカシヤナー、
529
突
(
つ
)
かれたら
アナ
痛
(
いた
)
やナー、
530
あな
畏
(
かしこ
)
あな
かしこ。
531
ヒユードロドロドロドロドロ』
532
手
(
て
)
を
腰
(
こし
)
の
辺
(
あた
)
りにブラリと
下
(
さ
)
げ、
533
調子
(
てうし
)
に
乗
(
の
)
つて
松
(
まつ
)
の
小枝
(
こえだ
)
をスルスルと
歩
(
ある
)
いた
途端
(
とたん
)
に
踏
(
ふ
)
み
外
(
はづ
)
してズル ズル ズル ズル ズル ドターン。
534
弥
(
や
)
『イヽヽイツターイ』
535
六
(
ろく
)
『
流石
(
さすが
)
は
弥次彦
(
やじひこ
)
だ、
536
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
をやつて、
537
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
御
(
ご
)
着陸
(
ちやくりく
)
、
538
今度
(
こんど
)
はお
次
(
つぎ
)
の
番
(
ばん
)
だよ。
539
勝公
(
かつこう
)
も
滑走
(
くわつそう
)
だ
滑走
(
くわつそう
)
だ』
540
勝
(
かつ
)
『
東西
(
とうざい
)
々々
(
とうざい
)
、
541
只今
(
ただいま
)
は
弥次彦
(
やじひこ
)
が
幽霊
(
いうれい
)
となつて
中空
(
ちうくう
)
を
浮遊
(
ふいう
)
し
松
(
まつ
)
の
根元
(
ねもと
)
に
着陸
(
ちやくりく
)
いたしました。
542
滑走
(
くわつそう
)
の
芸当
(
げいたう
)
、
543
お
目
(
め
)
に
止
(
と
)
まりましたなれば、
544
皆
(
みな
)
サンお
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
御
(
ご
)
喝采
(
かつさい
)
を
願
(
ねが
)
ひまーす』
545
六
(
ろく
)
『コラ
勝公
(
かつこう
)
、
546
弥次彦
(
やじひこ
)
が
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
冥土
(
めいど
)
旅行
(
りよかう
)
をしかけて
居
(
ゐ
)
るのに
何
(
なに
)
をグズグズやつて
居
(
ゐ
)
るのだ。
547
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
下
(
お
)
りて
来
(
こ
)
ぬかい』
548
勝
(
かつ
)
『
東西
(
とうざい
)
々々
(
とうざい
)
、
549
これから
第三段
(
だいさんだん
)
目
(
め
)
も
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れまーす。
550
飛行機
(
ひかうき
)
に
乗
(
の
)
つて
勝彦
(
かつひこ
)
の
無事
(
ぶじ
)
着陸
(
ちやくりく
)
、
551
お
目
(
め
)
に
止
(
と
)
まりますれば
今晩
(
こんばん
)
は
之
(
こ
)
れにて、
552
千秋楽
(
せんしうらく
)
と
致
(
いた
)
しまする』
553
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
554
コンモリとした
松
(
まつ
)
の
小枝
(
こえだ
)
より
傍
(
かたはら
)
の
竹
(
たけ
)
の
心
(
しん
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
飛
(
と
)
び
付
(
つ
)
いた。
555
竹
(
たけ
)
は
満月
(
まんげつ
)
の
如
(
ごと
)
く
弓
(
ゆみ
)
となつてフウワリと
大地
(
だいち
)
に
勝公
(
かつこう
)
を
下
(
お
)
ろした。
556
勝
(
かつ
)
『お
蔭
(
かげ
)
で
命
(
いのち
)
だけは、
557
どうやら、
558
此方
(
こつち
)
の
者
(
もの
)
になつたらしいと
思
(
おも
)
ひます。
559
藪竹
(
やぶたけ
)
サン、
560
左様
(
さやう
)
なら』
561
と
掴
(
つか
)
んだ
竹
(
たけ
)
を
離
(
はな
)
せば、
562
竹
(
たけ
)
は
唸
(
うな
)
りを
立
(
た
)
てて
立
(
た
)
ち
直
(
なほ
)
る。
563
弥
(
や
)
『オイ
与太公
(
よたこう
)
、
564
貴様
(
きさま
)
こそ
本真物
(
ほんまもの
)
か』
565
与
(
よ
)
『
何
(
なん
)
だか
生死
(
せいし
)
不明
(
ふめい
)
の
境涯
(
きやうがい
)
だ』
566
六
(
ろく
)
『エヽ
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
と
道連
(
みちづ
)
れをしたものだワイ』
567
弥
(
や
)
『アヽどうやら
腰
(
こし
)
が
抜
(
ぬ
)
けたのでは
無
(
な
)
かつたさうだ、
568
アハヽヽヽヽヽ』
569
勝
(
かつ
)
『
吾々
(
われわれ
)
は
不都合
(
ふつがふ
)
な
芸当
(
げいたう
)
を
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れましたにも
抱
(
かか
)
はらず、
570
神妙
(
しんめう
)
に
御覧
(
ごらん
)
下
(
くだ
)
さいまして、
571
勧進元
(
くわんじんもと
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず
役者
(
やくしや
)
一同
(
いちどう
)
有難
(
ありがた
)
く
御
(
おん
)
礼
(
れい
)
申上
(
まをしあ
)
げます、
572
また
御
(
お
)
暇
(
ひま
)
がございましたら、
573
来年
(
らいねん
)
の
春
(
はる
)
、
574
また
一座
(
いちざ
)
を
引
(
ひ
)
きつれて
皆
(
みな
)
サンにお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
らうやも
知
(
し
)
れませぬから、
575
永当
(
えいたう
)
々々
(
えいたう
)
、
576
倍旧
(
ばいきう
)
の
御
(
ご
)
贔屓
(
ひいき
)
を
偏
(
ひとへ
)
に
二重
(
ふたへ
)
に
七重
(
ななへ
)
の
膝
(
ひざ
)
を
八重
(
やへ
)
に
折
(
を
)
り、
577
かしこみかしこみ
願
(
ねが
)
ひ
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ると
申
(
まを
)
す、
578
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
579
一同
(
いちどう
)
『アハヽヽヽヽ、
580
お
目出度
(
めでた
)
いお
目出度
(
めでた
)
い、
581
甦
(
よみがへ
)
つた
甦
(
よみがへ
)
つた、
582
千秋
(
せんしう
)
万歳
(
ばんざい
)
万々歳
(
ばんばんざい
)
』
583
(
大正一一・三・二四
旧二・二六
藤津久子
録)
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(B)
(N)
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【第9章 空中滑走|第14巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1409】
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