霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第二章 懸橋(かけはし)御殿(ごてん)〔八二四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻 篇:第1篇 玉石混来 よみ(新仮名遣い):ぎょくせきこんらい
章:第2章 懸橋御殿 よみ(新仮名遣い):かけはしごてん 通し章番号:824
口述日:1922(大正11)年08月11日(旧06月19日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
竜国別、テーリスタン、カーリンスは謹厳を装って鏡の池の前で祈願していた。そこへヒルの国のテーナの里の酋長・アールの一行がやってきた。アールは祈願する三人の姿を見て感じ入り、自らも輿を降りて鏡の池の前に向かい拝跪し合掌した。
岩窟の中よりど拍子の抜けた声で、月照彦神を名乗る託宣が響いた。託宣は、アールに国玉依別命という名を与えた。託宣は、黄金の玉を竜国別を通じて献上せよと命じた。
竜国別はテーリスタンとカーリンスに命じて、玉を受け取らせたが、二人は足元に躓いて、鏡の池の中へ箱を落としてしまった。二人は慌てて池の中に飛び込んだ。
しかし玉の箱は二人が池に飛び込んだはずみで岩窟の奥の鷹依姫の前に飛び出した。鷹依姫は参拝の人々がいるのも忘れて玉の箱を抱えて岩窟の外に出てきてしまった。竜国別は鷹依姫に注意を促したが、鷹依姫は玉が手に入った以上はもういいと言う。
酋長のアールは鷹依姫が岩窟から出てきたのを見て、神様がお姿を現してくださったと想って感じ入り、鷹依姫に丁重に喜びの意を表した。鷹依姫はにわかに荘厳な口調にて、一同にアリナの滝で一昼夜禊をなすように言い渡した。
酋長一行が滝に向かった後、鷹依姫は箱を開けて中を見てみれば、中には金色燦然と輝く玉が入っていた。黒姫が持っていた玉に比べてやや小さいように感じたが、気のせいと思い直して、これを聖地に持って帰ることとした。
竜国別の思いつきで、これまで集めた玉の中からもっとも勝れたものを取ってそこに月照彦神様の御魂をうつして酋長夫婦にその玉を守る神司を命じ、そして自分たちは神の眷属として天上に帰った、という書置きを残すことにした。
一行は鏡の池に天津祝詞を奏上して酋長たちのために祈願をこらし、闇に紛れてその場を離れ、宇都の国の櫟が原という平原にたどり着いた。
次の日、酋長たちは禊を終えて鏡の池に来てみると、庵の中に自分たちが献上した玉箱が置かれ、書置きが残してあった。酋長夫婦は書置きの文句を固く信じ、酋長は国玉依別命、妻は玉竜姫命となって、鏡の池の神司を引き継ぐこととなった。
夫婦の祈願によって、相当の御神徳を頂く者が増えてきたことにより、それほど広くない鏡の池のあたりは、参拝の信者たちで雑踏をきたすことになった。やむを得ず数多の信者の協議の上、谷から谷へ橋を渡し、橋の上に高大な八尋殿を作った。
国玉依別命夫婦が神主となって神前に使え、三五教の教えを日夜宣伝した。これを懸橋の御殿と称えられることになった。
あるときから、丑満のころに神殿に怪しい物音が聞こえてくることを不審に思い、国玉依別夫婦は神前に端座して、正体を調べようと待っていた。神殿の床下から怪しい煙が立ち上り、蛸のような禿頭の不細工な神が現れて、玉を納めた輿の周りを廻っている。
国玉依別命は怪しい神に向かって毅然として誰何した。神は、自分は狭依彦の霊体であると告げ、以前の鏡の池の司たちは鷹依姫たちであり、策略によって国玉依別命から黄金の玉を奪い取って瑪瑙の玉とすり替えたのだ、と真実を告げた。
国玉依別命は、月照彦神の御神霊が宿られていることが大切なので、形ばかりの黄金の玉は惜しくないと告げた。狭依彦は、国玉依別命夫婦の真心に感じたと告げ、この神前に幽仕して神業を助けようと約束した。
夫婦は狭依彦の御魂を祀るべく鏡の池のほとりに宮を作って朝夕奉仕することになった。懸橋の御殿は月照彦神、狭依彦命、国魂神の威徳によって光輝を放ち、国玉依別命夫婦の盛名は高砂島に隈なく喧伝されることになった。
ちなみに、竜国別一行が高砂島を目指したのは、鷹依姫の神懸りを信じたためである。帰神への迷信は慎むべきである。しかしながら、これによって思いもかけず海外宣伝がなされたことは、神慮と言うべきである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:櫟ケ原(櫟が原) データ凡例: データ最終更新日:2021-12-19 17:11:21 OBC :rm2902
愛善世界社版:26頁 八幡書店版:第5輯 474頁 修補版: 校定版:27頁 普及版:12頁 初版: ページ備考:昭和11年6月7日付けの付記がある
001 竜国別(たつくにわけ)002テーリスタン、003カーリンスの(さん)(にん)は、004黄金(こがね)(たま)献上(けんじやう)といふ旗印(はたじるし)を、005()()にチラとすかし()て、006(むね)(をど)らせ、007(にはか)(こころ)緊張(きんちやう)し、008謹厳振(きんげんぶり)(よそほ)うて、009祈願(きぐわん)余念(よねん)なきものの(ごと)く、010素知(そし)らぬ(かほ)にて一生(いつしやう)懸命(けんめい)(いの)つて()る。011そこへ御輿(みこし)(かつ)がせ、012数多(あまた)村人(むらびと)(ともな)ひ、013ヒルの(くに)のテーナの酋長(しうちやう)アールは盛装(せいさう)(ととの)へ、014細路(ほそみち)(やうや)くにして、015アリナの(たき)(よこ)にながめ、016この岩窟(がんくつ)(まへ)辿(たど)()き、017(さん)(にん)祈願(きぐわん)姿(すがた)()(かん)()り、018自分(じぶん)もソツと、019御輿(みこし)(かたはら)(うる)はしき(いは)(うへ)()ゑさせ、020一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて(かがみ)(いけ)打向(うちむか)ひ、021拝跪(はいき)合掌(がつしやう)してゐる。022一同(いちどう)無言(むごん)(まま)023テーナの酋長(しうちやう)背後(はいご)堵列(とれつ)し、024(ひざまづ)いて(かがみ)(いけ)(へだ)てて岩窟内(がんくつない)(をが)みゐる。
025 岩窟(がんくつ)(なか)より、026奴拍子(どびやうし)()けた(こゑ)で、
027月照彦(正体は鷹依姫)月照彦(つきてるひこの)(みこと)028此処(ここ)()り。029黄金(こがね)(たま)遥々(はるばる)持参(ぢさん)(いた)したる身魂(みたま)(うる)はしき信者(しんじや)030一時(いつとき)(はや)其処(そこ)()神司(かむづかさ)手渡(てわた)(いた)せ、031(なんぢ)()月照彦(つきてるひこの)(かみ)より国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)()(たま)ふ』
032 酋長(しうちやう)のアールはハツと平伏(へいふく)し、
033アール『(おそ)(なが)ら、034月照彦(つきてるひこの)大神(おほかみ)(さま)035(わたくし)はヒルの(くに)のテーナの(さと)酋長(しうちやう)036アールと(まを)(いや)しき(かみ)(しもべ)御座(ござ)います。037()(たび)神界(しんかい)()経綸(けいりん)(じやう)いろいろの(たま)を、038(かみ)(さま)よりお(あつ)めになると()ふことを(うけたま)はり、039(いへ)重宝(ぢうほう)として大切(たいせつ)保護(ほご)(いた)したる黄金(こがね)(たま)を、040女房(にようばう)のアルナ(ひめ)(はか)り、041只今(ただいま)此処(ここ)持参(ぢさん)(いた)しまして御座(ござ)います。042どうぞ()調(しら)べの(うへ)043()受納(うけをさ)(くだ)さいますれば、044(わたくし)(はじ)(つま)のアルナも恐悦(きようえつ)至極(しごく)(ぞん)ずることで御座(ござ)いませう』
045 岩穴(いはあな)(なか)より、
046月照彦(正体は鷹依姫)国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)047(かみ)時節(じせつ)(まゐ)りて、048(こゑ)人民(じんみん)(まへ)(はつ)する(やう)になりたれ(ども)049(わが)姿(すがた)(あら)はすことは、050神界(しんかい)規則(きそく)として相成(あひな)らざれば、051そこに(ひか)()竜国別(たつくにわけ)審神者(さには)052月照彦(つきてるひこの)(かみ)代理(だいり)として受取(うけと)らしめむ、053左様(さやう)心得(こころえ)たがよからうぞ』
054 アール、055アルナの夫婦(ふうふ)はハツと(ばか)りに有難(ありがた)(なみだ)をこぼし、
056アール、アルナ(じつ)有難(ありがた)(かみ)()言葉(ことば)057斯様(かやう)(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませぬ。058……竜国別(たつくにわけ)神司(かむづかさ)(さま)059どうぞ()宝玉(ほうぎよく)をよく(あらた)めて()受取(うけと)りを(ねが)(たてまつ)ります』
060 竜国別(たつくにわけ)は、061(やうや)くにして(おも)たさうに(くち)(ひら)き、
062竜国別其方(そなた)(うはさ)(たか)きテーナの(さと)酋長(しうちやう)であつたか。063其方(そなた)神界(しんかい)因縁(いんねん)(ふか)身魂(みたま)であるから、064(かく)(ごと)結構(けつこう)御用(ごよう)(つと)めあがつたのであるぞよ。065有難(ありがた)(おも)へ。066……あいや、067テー、068カーの両人(りやうにん)069酋長(しうちやう)アルナの献上(たてまつ)つた黄金(こがね)宝玉(ほうぎよく)(はや)実検(あらた)めて、070(この)(はう)(まへ)差出(さしだ)せよ』
071 テー、072カー両人(りやうにん)小声(こごゑ)にて、
073テーリスタン、カーリンス(なん)ぢや、074馬鹿(ばか)々々(ばか)しい。075竜国別(たつくにわけ)(やつ)076(にはか)荘重(さうちよう)らしい言霊(ことたま)使(つか)ひよつて、077まるで(おれ)(たち)奴扱(やつこあつか)ひにしやがる。078()しからぬ(やつ)だ。079これが(はた)して吾々(われわれ)(さが)してゐる黄金(こがね)宝玉(ほうぎよく)なれば結構(けつこう)だが、080モシヤ鍍金玉(めつきだま)でもあつたら、081吾々(われわれ)両人(りやうにん)(もの)(いよいよ)馬鹿(ばか)上塗(うはぬ)りをせなならぬがなア』
082(つぶや)(なが)輿(こし)(まへ)(すす)()る。083アルナは(うやうや)しく輿(こし)()(ひら)き、084玉筥(たまばこ)取出(とりだ)し、085テー、086カーの二人(ふたり)(まへ)差出(さしだ)した。087テー、088カー両人(りやうにん)左右(さいう)より(その)玉筥(たまばこ)()()り、089頭上(づじやう)(たか)(ささ)げ、090(かに)(やう)になつて、091(よつ)つの(あし)をそろりそろりと(はこ)()した。092(あま)頭上(づじやう)玉筥(たまばこ)(こころ)()られ、093足許(あしもと)()()かず、094岩角(いはかど)にガンと(つまづ)いた途端(とたん)に、095二人(ふたり)玉筥(たまばこ)(とも)に、096(かがみ)(いけ)にドブンと(おと)()てて()()んで(しま)つた。097竜国別(たつくにわけ)(はじ)め、098酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)099(その)()一同(いちどう)総立(そうだ)ちとなり『アツ』と(さけ)んで、100(いけ)(おも)(なが)めてゐる。101(さいは)玉筥(たまばこ)は、102二人(ふたり)()()んだ(はづ)みに(はね)られて、103岩窟(がんくつ)(なか)都合(つがふ)よく()()みにけり。
104 岩窟内(がんくつない)鷹依姫(たかよりひめ)(わが)足許(あしもと)(いきほひ)よく飛込(とびこ)んで()玉筥(たまばこ)(こころ)(うば)はれ、105(そと)酋長(しうちやう)(その)()人々(ひとびと)()るのも(わす)れ、106玉筥(たまばこ)引抱(ひつかか)へ、107ツカツカと岩窟内(がんくつない)(はし)()で、108竜国別(たつくにわけ)(まへ)持来(もちきた)り、
109鷹依姫『コレコレ竜国別(たつくにわけ)110よく(あらた)めて御覧(ごらん)なさい。111(まつた)くこれは本物(ほんもの)相違(さうゐ)ありませぬぞよ』
112竜国別(たつくにわけ)『お()アさま、113こんな(とこ)()られちや(こま)るぢやありませぬか。114モウ(しばら)幸抱(しんぼう)して()つて(くだ)さらぬと(ばけ)(あら)はれますよ』
115鷹依姫(たかよりひめ)『モウ(あら)はれたつて()いぢやないか。116()うして此方(こちら)()(はい)つた以上(いじやう)は、117(たれ)(なん)()つても(かま)はぬぢやないか』
118 ()くする(うち)テー、119カーの両人(りやうにん)体中(からだぢう)120青藻(あをも)(かぶ)つて()(あが)(きた)り、
121テーリスタン、カーリンス『アーア、122(たま)のおかげで、123ドテライ()()ひ、124肝玉(きもだま)(つぶ)し、125面目玉(めんぼくだま)をなくして(しま)つた』
126 酋長(しうちやう)鷹依姫(たかよりひめ)姿(すがた)()て、127(かみ)(さま)御意(ぎよい)(かな)ひしと()え、128大神(おほかみ)(さま)(ばば)姿(すがた)(へん)じ、129此処(ここ)生神(いきがみ)となつて出現(しゆつげん)(たま)ひしものと(ふか)(しん)じ、130有難(ありがた)(なみだ)をこぼし、131(おそ)(おそ)拍手(かしはで)()ち、
132アール『コレはコレは月照彦(つきてるひこの)(かみ)(さま)133よくも()神体(しんたい)(あら)はして、134(わたくし)(ごと)身魂(みたま)(くも)つた(もの)(まへ)(あら)はれ(くだ)さいました。135どうぞ(この)(たま)をお(をさ)(くだ)さいますれば、136夫婦(ふうふ)(もの)(よろこ)び、137里人(さとびと)(よろこ)びは(この)(うへ)御座(ござ)いませぬ』
138 鷹依姫(たかよりひめ)はヤツと安心(あんしん)したものの(ごと)く、139(にはか)荘重(さうちよう)口調(くてう)にて、
140鷹依姫(その)(はう)141国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)142(かみ)(なんぢ)至誠(しせい)満足(まんぞく)(おも)ふぞよ。143(しか)(なが)(なんぢ)()(わた)したき(こと)あれ(ども)144まだ身魂(みたま)(あか)()れざれば、145四五丁(しごちやう)(くだ)つて、146アリナの(たき)一日(いちにち)一夜(いちや)147夫婦(ふうふ)(とも)身魂(みたま)(きよ)め、148(また)(したが)(きた)れる者共(ものども)149(のこ)らず赤裸(まつぱだか)となつて御禊(みそぎ)をなし、150(あらた)めて(わが)(まへ)(のぼ)(きた)れ。151大切(たいせつ)なる使命(しめい)(なんぢ)(あふ)()けるぞよ』
152 アール、153アルナの夫婦(ふうふ)(はじ)め、154供人(ともびと)一同(いちどう)は、155(この)言葉(ことば)に、
156アール、アルナ、供人一同『ハイ(かしこ)まりました』
157(おそ)(おそ)(あと)しざりし(なが)ら、158岩窟(がんくつ)(まへ)退(しりぞ)きアリナの(たき)一昼夜(いつちうや)御禊(みそぎ)をなすべく、159(くだ)つて()く。
160 (ひぐらし)(こゑ)谷間(たにま)木々(きぎ)にけたたましく(きこ)えて()た。
161 鷹依姫(たかよりひめ)一同(いちどう)をうまくアリナの(たき)(むか)はせおき、162(ねこ)(やう)(のど)()らし、163玉筥(たまばこ)飛付(とびつ)き、164(なか)(ひら)いて()れば、165金色(こんじき)燦然(さんぜん)たる黄金(こがね)(たま)166されど、167黒姫(くろひめ)保管(ほくわん)せし(たま)(くら)べては、168(やや)(ちい)さき(かん)じがした。169されどこれも(こころ)(せい)であらうと、170無理(むり)得心(とくしん)し、171手早(てばや)(もと)(ごと)(ふた)()ぢ、
172鷹依姫『サア(この)(たま)さへ()(はい)れば、173吾々(われわれ)願望(ぐわんもう)成就(じやうじゆ)したのだ。174(しか)(なが)らテーナの(さと)酋長(しうちやう)(たい)し、175(なに)(ひと)つの神徳(しんとく)(わた)しておかねば()むまい。176(なん)とか()工夫(くふう)はあるまいかな』
177竜国別(たつくにわけ)『お()アさま、178そんなら()(いた)しませう。179(この)玉筥(たまばこ)(なか)黄金(こがね)(たま)(にしき)(この)(ふくろ)(をさ)吾々(われわれ)持帰(もちかへ)ることと(いた)し、180(あと)此処(ここ)にある沢山(たくさん)(たま)(うち)181(もつと)(すぐ)れたるものに、182月照彦(つきてるひこの)(かみ)(さま)御霊(みたま)をうつし……『テーナの酋長(しうちやう)アールを(もつ)国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)()(たま)ひ、183アルナを(もつ)玉竜姫(たまたつひめの)(みこと)()(たま)ふ。184(なんぢ)はこれより(この)(いほり)永住(えいぢう)し、185月照彦(つきてるひこの)(かみ)神司(かむづかさ)となり、186(あまね)万民(ばんみん)(すく)へよ。187(この)(なんぢ)(たてまつ)りし黄金(こがね)(たま)万劫(まんがふ)末代(まつだい)(ひら)()からず。188万一(まんいち)(この)玉筥(たまばこ)(ひら)(とき)神霊(しんれい)(たちま)(あら)はれ、189(なんぢ)()夫婦(ふうふ)()大災厄(だいさいやく)(きた)り、190高砂島(たかさごじま)は、191地震(ぢしん)洪水(こうずい)(やく)()ひ、192海底(かいてい)沈没(ちんぼつ)するの(おそれ)あり、193(かなら)(かなら)(かみ)言葉(ことば)(そむ)(なか)れ。194月照彦(つきてるひこの)(かみ)(この)黄金(こがね)(たま)御霊(みたま)をうつし、195(さん)(にん)眷属(けんぞく)引連(ひきつ)れ、196(くも)()つて天上(てんじやう)(かへ)るべし』……(とスラスラと玉筥(たまばこ)のぐるりに烏羽玉(うばたま)()(しる)もて()(しる)し)……サア()うしておけば、197酋長(しうちやう)結構(けつこう)なお(かげ)(いただ)き、198()神徳(しんとく)世界(せかい)(かがや)くであらう』
199 これから御校正本も「これから」になっている。「それから」の誤りか?(この)(かがみ)(いけ)にお暇乞(いとまごひ)(ため)天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、200(あと)をよく()(ねが)(まを)し、
201国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)202玉竜姫(たまたつひめの)(みこと)宏大(くわうだい)無辺(むへん)なる()神徳(しんとく)をお(さづ)(くだ)され、203(つひ)には高砂島(たかさごじま)生神(いきがみ)となつて、204人望(じんばう)一身(いつしん)(あつ)むる(やう)()守護(しゆご)(くだ)さいませ』
205一生(いつしやう)懸命(けんめい)祈願(きぐわん)し、206一行(いつかう)()(にん)(やみ)(まぎ)れて、207(くも)(かすみ)と、208(やま)()え、209()()()いで、210(やうや)宇都(うづ)(くに)(くぬぎ)(はら)()平原(へいげん)辿(たど)()きけり。
211 アール、212アルナの酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)月照彦(つきてるひこ)神示(しんじ)確信(かくしん)し、213一昼夜(いつちうや)御禊(みそぎ)(をは)り、214(うやうや)しく(かがみ)(いけ)(まへ)()()れば、215(いほり)(なか)藻抜(もぬ)けの(から)216(かみ)(さま)(こゑ)もなければ、217(さん)(にん)(をとこ)姿(すがた)()えぬ。218……ハテ不思議(ふしぎ)……と(いほり)(なか)(くま)なく(さが)()れば、219(うる)はしき(いし)()(かさ)ね、220(その)(うへ)自分(じぶん)持来(もちきた)りし玉筥(たまばこ)がキチンと()つて()る。221よくよく()れば以前(いぜん)文句(もんく)()(しる)してある。222酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)(おく)(きた)りし御輿(みこし)(かがみ)(いけ)(むか)(がは)223岩窟(がんくつ)入口(いりぐち)安置(あんち)し、224玉筥(たまばこ)(ふたた)(その)(なか)(をさ)め、225書置(かきお)きの文句(もんく)(かた)(しん)じ、226自分(じぶん)国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)227(つま)玉竜姫(たまたつひめの)(みこと)となり()まし、228御輿(みこし)(まへ)朝夕(あさゆふ)祈願(きぐわん)()らし、229()(いほり)()りて、230夫婦(ふうふ)はここを住処(すみか)とし、231(あまね)四方(しはう)より(まゐ)(きた)人々(ひとびと)(ため)福徳(ふくとく)円満(ゑんまん)232寿命(じゆみやう)長久(ちやうきう)233病気(びやうき)平癒(へいゆ)などの祈願(きぐわん)()らし()たりける。
234 テー、235カー二人(ふたり)宣伝(せんでん)(おほい)(こう)(そう)したと()え、236日々(にちにち)絡繹(らくえき)として、237(たま)(かたち)したる石塊(いしころ)(たづさ)へ、238(あるひ)はいろいろの()()持来(もちきた)りて神前(しんぜん)(きよう)し、239国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)夫婦(ふうふ)祈願(きぐわん)依頼(いらい)し、240相当(さうたう)()神徳(しんとく)(かうむ)つて(かへ)(もの)241()(つき)()えて()た。242(つひ)には(あま)多数(たすう)参詣者(さんけいしや)にて、243()()るる(ところ)なく、244(あま)(ひろ)からざる(かがみ)(いけ)のあたりは、245身動(みうご)きならぬ(ばか)りの雑閙(ざつたう)(きた)すこととなり、246()むを()ず、247数多(あまた)信者(しんじや)協議(けふぎ)(うへ)248(たに)から(たに)(はし)(わた)し、249宏大(くわうだい)なる八尋殿(やひろどの)(つく)り、250ここに(あらた)めて玉筥(たまばこ)奉斎(ほうさい)し、251夫婦(ふうふ)神主(かむぬし)として神前(しんぜん)(つか)へ、252(くに)253(たま)254(より)255(たつ)256(わけ)などの人々(ひとびと)幹部(かんぶ)とし、257三五(あななひ)(かみ)(をしへ)日夜(にちや)宣伝(せんでん)することとなりぬ。258(この)八尋殿(やひろどの)(たに)(うへ)(ふさ)いで(はし)(ごと)(つく)られたるを(もつ)て、259懸橋(かけはし)御殿(ごてん)(とな)へられける。
260 国玉依別(くにたまよりわけ)夫婦(ふうふ)は、261毎夜(まいよ)丑満(うしみつ)(ころ)に、262神殿(しんでん)(あや)しき物音(ものおと)(きこ)ゆるに不審(ふしん)(おこ)し、263十五(じふご)(つき)()(かがや)()264幹部(かんぶ)にも()らさず、265夫婦(ふうふ)(ただ)二人(ふたり)266神前(しんぜん)端坐(たんざ)して、267(あや)しき物音(ものおと)正体(しやうたい)調(しら)べむと待構(まちかま)へてゐた。268神殿(しんでん)床下(ゆかした)より(あや)しき(けむり)ポーツと立昇(たちのぼ)り、269朦朧(もうろう)として(たこ)(やう)禿頭(はげあたま)不細工(ぶさいく)一柱(ひとはしら)(かみ)270(こし)()()げて、271(けぶり)(なか)より(あら)はれ、272輿(こし)のぐるりを幾回(いくくわい)となく、273クルクルと(まは)つてゐる、274(その)(あや)しさ、275(いや)らしさ。276玉竜姫(たまたつひめ)(きも)(つぶ)し『キヤツ』と悲鳴(ひめい)をあげて(その)()(たふ)れた。277国玉依別(くにたまよりわけ)流石(さすが)気丈(きぢやう)男子(だんし)とて、278(あや)しき(かげ)(むか)ひ、279言葉(ことば)(おごそ)かに、
280国玉依別(われ)こそは月照彦(つきてるひこの)(かみ)(めい)(ほう)じ、281()神霊(しんれい)玉筥(たまばこ)(をさ)め、282朝夕(あさゆふ)(この)八尋殿(やひろどの)(つく)りて奉仕(ほうし)する神司(かむづかさ)なるぞ。283(なんぢ)何者(なにもの)なるか、284吾々(われわれ)(ゆる)しもなく、285神聖(しんせい)なる神殿(しんでん)()()(あら)はれ(きた)り、286()神宝(しんぱう)(あた)りに附纏(つきまと)曲者(くせもの)287()名乗(なの)れ、288返答(へんたふ)次第(しだい)()つては容赦(ようしや)(いた)さぬぞ』
289とキツとなつて身構(みがま)へした。290(あや)しき(かげ)追々(おひおひ)濃厚(のうこう)()()し、291そこに(たふ)れたる玉竜姫(たまたつひめ)(かたはら)足音(あしおと)()てず寄添(よりそ)ひ、292(ほそ)()()べて、293二三回(にさんくわい)(むね)のあたりを()でさすれば、294(ひめ)(たちま)正気(しやうき)づき、295両手(りやうて)(あは)せて怪物(くわいぶつ)(むか)ひ、296(おそ)()もなく感謝(かんしや)()(へう)()たりける。
297 国玉依別(くにたまよりわけ)合点(がつてん)()かず、298黙然(もくねん)として怪物(くわいぶつ)姿(すがた)(なが)めて()た。299怪物(くわいぶつ)(すず)しき、300(ほそ)(こゑ)にて、
301怪物(くわいぶつ)()れこそはアリナの(たき)水上(みなかみ)302(かがみ)(いけ)岩窟(がんくつ)三五(あななひ)(をしへ)宣伝(せんでん)()たる狭依彦(さよりひこ)(かみ)霊体(れいたい)である。303()帰幽後(きいうご)は、304一人(ひとり)として(わが)霊魂(れいこん)(まつ)(もの)なく、305御供(ごく)(ひと)(そな)()るる(もの)もなし。306(しか)るに(いち)(ねん)以前(いぜん)307三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)鷹依姫(たかよりひめ)308竜国別(たつくにわけ)二人(ふたり)供人(ともびと)引連(ひきつ)れ、309(かがみ)(いけ)岩窟(がんくつ)(きた)り、310玉集(たまあつ)めをなし、311(つひ)(なんぢ)(いへ)重宝(ぢうほう)黄金(こがね)(たま)(うば)()(かへ)りたり。312()れは(この)(こと)(なんぢ)()らさむが(ため)()()出現(しゆつげん)するものなり。313(その)玉筥(たまばこ)(なか)瑪瑙(めなう)(たま)摺替(すりか)へおき、314黄金(こがね)(たま)(ひつ)さらへて、315()(にん)(もの)(いま)宇都(うづ)(くに)(くぬぎ)(はら)()で、316草原(くさはら)をあちらこちらとさまよひつつあり。317(なんぢ)(その)(たま)取返(とりかへ)所存(しよぞん)なきか』
318国玉依(くにたまより)(いづ)れの(かみ)(さま)かと(おも)へば、319(むかし)(かがみ)(いけ)(かみ)として有名(いうめい)なる狭依彦(さよりひこ)(さま)御座(ござ)いましたか。320()親切(しんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)いまするが、321何事(なにごと)因縁(いんねん)づくと(あきら)めて()りますれば、322仮令(たとへ)黄金(こがね)(たま)瑪瑙(めなう)(たま)(かは)ればとて、323(すこ)しも(くる)しうは御座(ござ)いませぬ。324月照彦(つきてるひこ)()神霊(しんれい)(うつ)らせ(たま)以上(いじやう)は、325仮令(たとへ)団子石(だんごいし)(たま)にても、326(わたくし)()つては、327それの(はう)何程(なにほど)重宝(ちようほう)だか()れませぬ。328黄金(こがね)(たま)などには(すこ)しも執着(しふちやく)はかけませぬ』
329狭依彦(さよりひこ)(じつ)(かん)()つたる(その)(はう)心掛(こころが)け、330それでこそ三五教(あななひけう)(かみ)(をしへ)天下(てんか)(ひろ)まり、331万民(ばんみん)(すく)(こと)出来(でき)るであらう。332狭依彦(さよりひこ)(なんぢ)夫婦(ふうふ)(たつと)き、333(きよ)真心(まごころ)(かん)じ、334これより(この)神前(しんぜん)幽仕(いうし)して、335(なんぢ)神業(しんげふ)(たす)けむ。336ゆめゆめ(うたが)(こと)(なか)れ』
337(また)もやパツと立上(たちのぼ)(けぶり)(なか)に、338(あや)しき姿(すがた)()しにける。339これより夫婦(ふうふ)狭依彦(さよりひこ)(みたま)(まつ)るべく(かがみ)(いけ)(かたはら)(みや)(つく)り、340朝夕(あさゆふ)種々(くさぐさ)供物(くもつ)(けん)じ、341崇敬(すうけい)(おこた)らざりき。342月照彦(つきてるひこの)(かみ)霊力(れいりよく)狭依彦(さよりひこ)守護(しゆご)と、343国魂(くにたまの)(かみ)威徳(ゐとく)()つて、344懸橋(かけはし)御殿(ごてん)奥深(おくふか)(いつ)(まつ)れる神壇(しんだん)()(つき)神徳(しんとく)(かがや)き、345(つひ)には高砂島(たかさごじま)全部(ぜんぶ)国玉依別(くにたまよりわけ)夫婦(ふうふ)盛名(せいめい)(くま)なく喧伝(けんでん)さるるに(いた)りける。
346 (いわし)(あたま)信心(しんじん)からとやら、347黄金(こがね)(たま)()(かへ)られ、348()ても()つかぬ瑪瑙(めなう)(たま)(かみ)神霊(しんれい)(ちから)と、349信仰(しんかう)(まこと)()つて無限(むげん)絶大(ぜつだい)なる光輝(くわうき)(はな)つに(いた)りしを()れば、350形体(けいたい)(じやう)(たから)の、351(あま)尊重(そんちよう)すべき(もの)にあらざるを(さと)()らるるなるべし。352あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
353大正一一・八・一一 旧六・一九 松村真澄録)
354
355 (ちなみ)()ふ。356竜国別(たつくにわけ)一行(いつかう)遥々(はるばる)海洋(かいやう)万里(ばんり)(なみ)(わた)りて、357(たま)所在(ありか)(たづ)ねむとしたるは、358(じつ)鷹依姫(たかよりひめ)帰神(かむがかり)盲信(まうしん)したるが(ゆゑ)なり。359帰神(かむがかり)迷信(めいしん)したるもの(ほど)360(あは)れむべきは()かるべし。361()(なが)(また)一方(いつぱう)には、362(これ)によりて海外(かいぐわい)布教(ふけう)宣伝(せんでん)()()たるは神慮(しんりよ)()ふべき(なり)「因に曰ふ」からの文章は王仁三郎が校正の際に付け加えたものである。校定版・八幡版では「帰神」ではなく「神憑」に直されている。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki