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第一七章 途上(とじやう)邂逅(かいこう)〔八三九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻 篇:第4篇 海から山へ よみ(新仮名遣い):うみからやまへ
章:第17章 途上の邂逅 よみ(新仮名遣い):とじょうのかいこう 通し章番号:839
口述日:1922(大正11)年08月13日(旧06月21日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ゼムの港町は相応に人口があるところであったが、高姫ら宣伝使服の一行が降り立ったのを、人々は物珍しそうに見送りながら、噂話をしている。その話には、去年船から海中に落ちた鷹依姫という宣伝使の一行が、亀に助けられてこの町に上陸したというものだった。
高姫はこれを聞きつけて、話をしていた二人の町人たちに鷹依姫らの消息を尋ねた。鷹依姫たちは天祥山の滝で身を清めた後、アマゾン河を遡って上流に向かったとのことだった。
すると町人たちは、宣伝使が高姫であることに気がついた。そして、自分の恩人である鷹依姫を自転倒島から追い出してひどい目にあわせた高姫を敵だと言って、懐から短刀を取り出し、高姫に切りつけた。
高姫はさっとよけた。ヨブは町人を押し留めて、高姫はすでに立派な人格になっていることを説き諭した。高姫に切りかかろうとした二人は、ヨブの同郷のマールとボールであった。
マールとボールは、島で無頼漢と呼ばれ、ヨブの家に空き巣に入ったところを見つかって逃げ出していたのであった。ゼムに来て二人は罪を悔い、天祥山の滝で禊をしていたところ、モールバンドの怪物がやってきて襲われそうになった。それを助けてくれたのが鷹依姫一行であったという。
ヨブは二人に対して、鷹依姫が天祥山で二人を助けることができたのも、元はと言えば、高姫が鷹依姫を自転倒島から追い出したからだと諭した。高姫も自身の行いを懺悔した。マールとボールは高姫に謝罪し、同道することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:ハンドの滝(天祥山の滝) データ凡例: データ最終更新日:2022-01-05 17:20:57 OBC :rm2917
愛善世界社版:253頁 八幡書店版:第5輯 557頁 修補版: 校定版:261頁 普及版:115頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)一行(いつかう)は、002海上(かいじやう)(なみ)(しづ)かに神徳(しんとく)(いちじる)しく、003(やうや)くにしてゼム(みなと)安着(あんちやく)した。004(この)()船着(ふなつ)きの(こと)とて相当(さうたう)人家(じんか)稠密(てうみつ)であつた。005老若(らうにやく)男女(なんによ)高姫(たかひめ)一同(いちどう)宣伝使(せんでんし)姿(すがた)()て、006物珍(ものめづ)らしげに目送(もくそう)(なが)ら、007口々(くちぐち)(ささや)()うて()る。
008甲『去年(きよねん)恰度(ちやうど)(この)(ごろ)だつた。009(ばば)アの宣伝使(せんでんし)一人(ひとり)と、010(をとこ)宣伝使(せんでんし)(さん)(にん)011尾羽(をは)(うち)()らして、012(さび)しさうな恰好(かつかう)で、013宣伝歌(せんでんか)とやらを(うた)ひ、014ここを(とほ)りよつたが、015今年(ことし)(また)(まは)つて()よつただないか。016(しか)(なが)らあの(ばば)アは(すこ)(わか)うなつてるぢやないか。017一生(いつしやう)懸命(けんめい)宣伝歌(せんでんか)(うた)つてると、018年寄(としよ)りでもヤツパリ(わか)くなると()えるなア』
019乙『馬鹿(ばか)()ふな。020去年(きよねん)(とほ)つた宣伝使(せんでんし)は、021三五教(あななひけう)鷹依姫(たかよりひめ)()(ばば)アだ。022一人(ひとり)息子(むすこ)で、023(あと)二人(ふたり)はあの(ばば)アの従僕(しもべ)といふ(こと)だつたよ。024カーリン(まる)から海中(かいちう)()ちて、025(ばば)アを(はじ)()(にん)行方(ゆくへ)不明(ふめい)となつて、026大捜索(だいさうさく)をしたものだが、027何時(いつ)()にか、028(おほ)きな(かめ)背中(せなか)()つて()(にん)(とも)ゼムの(みなと)悠々(いういう)(うか)みあがり、029大勢(おほぜい)をアツと()はした()アさまに(くら)ぶれば、030余程(よほど)見劣(みおと)りがするよ。031大方(おほかた)彼奴(あいつ)ア、032あの(ばば)アの弟子(でし)(くらゐ)なものだらう。033(しか)(めう)(こと)があるものぢやないか。034丁度(ちやうど)去年(きよねん)今日(けふ)ぢやつた。035()()刻限(こくげん)(まで)チツとも(ちが)はずに、036(ばば)一人(ひとり)(をとこ)(さん)(にん)宣伝使(せんでんし)が、037(この)街道(かいだう)(とほ)ると()(こと)(じつ)不思議(ふしぎ)なものだなあ』
038甲『それが所謂(いはゆる)(かみ)因縁(いんねん)()ふものだらうかい。039(なん)でも(ばば)アのお(とも)をしてゐたテーとか、040カーとか()(をとこ)(はなし)では、041可哀相(かあいさう)(とし)()つてから、042自転倒(おのころ)(じま)()()され、043こんな所迄(ところまで)()()て、044艱難(かんなん)苦労(くらう)をしてると()(こと)だ。045(その)(また)追出(おひだ)した高姫(たかひめ)とか()(やつ)046()いても(にく)らしいよな(ばば)アだなア。047(ひと)(こと)でも(はら)()つ。048彼奴(あいつ)大方(おほかた)(その)高姫(たかひめ)()(やつ)ぢやなからうかなア』
049乙『さうかも()れぬな。050(なん)でも高姫(たかひめ)鷹依姫(たかよりひめ)より十歳(とう)(ばか)(とし)(わか)いと()いてゐたから、051ヒヨツとして、052(てき)さまかも()れぬぞ』
053(きこ)えよがしに、054(おほ)きな(こゑ)(しやべ)つてゐる。055高姫(たかひめ)はこれを()くより、056二人(ふたり)(をとこ)(そば)に、057ツカツカと(すす)()り、
058高姫(たかひめ)『モシモシ(いま)あなたの()(はなし)(みみ)にしますれば、059三五教(あななひけう)鷹依姫(たかよりひめ)さまとやらが、060ここを()(とほ)りになつたと仰有(おつしや)いましたが、061本当(ほんたう)御座(ござ)いますか』
062乙『本当(ほんたう)だとも、063本島(ほんたう)には三五教(あななひけう)高姫(たかひめ)(やう)出鱈目(でたらめ)()つたり、064都合(つがふ)(わる)ければ(うそ)をつくと()(やう)(もの)一人(ひとり)御座(ござ)いませぬワイ』
065高姫(たかひめ)『あゝ左様(さやう)御座(ござ)いますか。066有難(ありがた)御座(ござ)います。067さうして(その)鷹依姫(たかよりひめ)さまの一行(いつかう)はどちらへ()かれましたか、068御存(ごぞん)じなれば、069()()らせ(くだ)さいませぬか』
070乙『(うはさ)()けば天祥山(てんしやうざん)瀑布(ばくふ)で、071(しばら)荒行(あらぎやう)をし、072それから山越(やまご)しにチンの(みなと)()て、073(なん)でもアマゾン(がは)(さかのぼ)つて、074モールバンドの沢山(たくさん)(すま)ゐしてをる(たま)(もり)とかへ()つたとか()(はなし)だ』
075高姫(たかひめ)『あゝ左様(さやう)御座(ござ)いましたか、076どうも()邪魔(じやま)(いた)しました。077……サア(みな)さま、078(まゐ)りませう』
079甲『コレコレ()アさま、080一寸(ちよつと)()つた。081(まへ)鷹依姫(たかよりひめ)()()()した、082意地悪(いぢわる)(ばば)アの高姫(たかひめ)ではあるまいかなア』
083乙『オイそんな(こと)(たづ)ねるに(およ)ばぬぢやないか。084意地(いぢ)くねの(わる)三五教(あななひけう)高姫(たかひめ)とチヤンとあの(かほ)(しるし)()つてるぢやないか。085(まへ)余程(よほど)(さつ)しの(わる)(をとこ)だなア』
086甲『お(まへ)()(とほ)りだ。087いくら頭脳(あたま)(わる)(おれ)でも、088一見(いつけん)して高姫(たかひめ)だと()(こと)(わか)つてゐるワイ。089……コリヤ高姫(たかひめ)一寸(ちよつと)()て!貴様(きさま)申渡(まをしわた)すべき仔細(しさい)があるのだ』
090高姫(たかひめ)()(さつ)しの(とほ)り、091(わたし)高姫(たかひめ)間違(まちがひ)ありませぬ。092さうして(また)(まへ)鷹依姫(たかよりひめ)(さま)(こと)()いて、093エロウ()(くは)しい(やう)だが、094一体(いつたい)あの(かた)とは、095如何(どう)()()関係(くわんけい)があるのですか』
096甲『()るの()いのつて、097鷹依姫(たかよりひめ)さまは(おれ)(たち)生命(いのち)(おや)だ。098あの()(かた)去年(きよねん)天祥山(てんしやうざん)(たき)()()れなかつた(くらゐ)なら、099(おれ)(たち)二人(ふたり)今頃(いまごろ)(この)()(あか)りを()(どころ)か、100白骨(はくこつ)になつて()(ところ)だ。101(その)(いのち)恩人(おんじん)虐待(ぎやくたい)して、102無理(むり)難題(なんだい)(まを)し、103この(やう)(ところ)まで追放(つゐはう)しよつた高姫(たかひめ)こそ生命(いのち)(おや)仇敵(きうてき)だ。104サア高姫(たかひめ)105モウ()うなつた以上(いじやう)天運(てんうん)()きだ。106冥途(めいど)旅立(たびだち)をさしてやらう。107覚悟(かくご)せ』
108(ふところ)よりピカツと(ひか)(もの)取出(とりだ)し、109両方(りやうはう)から()いてかからうとする。110高姫(たかひめ)はヒラリと(たい)をかはした。111ヨブは二人(ふたり)()(なか)大手(おほで)(ひろ)げ、
112ヨブ『マア()つた()つた。113これには(ふか)(わけ)があるのだ。114(おれ)今迄(いままで)(この)高姫(たかひめ)見付(みつ)次第(しだい)115生首(なまくび)引抜(ひきぬ)かにやおかぬと、116()(ねら)うて()つたが、117事情(じじやう)()いて、118(いま)(おれ)高姫(たかひめ)さまの御弟子(みでし)となつたのだ。119マア()つてくれ。120(まへ)はカーリン(たう)のマールにボールぢやないか』
121マール『さう()ふお(まへ)はヨブさまか、122(ひさ)()りだつたなア』
123ヨブ『チツとお(まへ)()両人(りやうにん)124改心(かいしん)出来(でき)たかなア』
125 マール、126ボールの二人(ふたり)は、
127『ハイ』
128(にはか)態度(たいど)(あらた)め、
129両人(りやうにん)先年(せんねん)(まこと)()まぬ(こと)(いた)しました。130()()(ところ)でお()(かか)るのも、131ヤツパリ天罰(てんばつ)(めぐ)つて()たのでせう』
132ヨブ『イヤ過去(すぎさ)つた(こと)()ふに(およ)ばぬ。133高姫(たかひめ)さま(はじ)二人(ふたり)(かた)()られる(まへ)だから、134(おれ)(なん)にも()はぬ。135(その)(かは)りに(これ)から(おれ)高姫(たかひめ)さまの因縁(いんねん)()いて()かしてやるから、136しつかり()いてくれ。137今迄(いままで)(つみ)はスツカリと帳消(ちやうけ)しにしてやるから……』
138マール『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います』
139ボール『改心(かいしん)(いた)しまして、140()(はなし)()かして(もら)ひませう』
141ヨブ『最前(さいぜん)(まへ)鷹依姫(たかよりひめ)さまを(いのち)(おや)だと()つたが、142そりや(また)()()理由(りいう)だ。143(その)(わけ)()かしてくれ』
144マール『(じつ)(ところ)はカーリン(たう)では無頼漢(ぶらいかん)()はれ、145悪漢(あくかん)(ののし)られ、146誰一人(だれひとり)相手(あひて)になつてくれる(もの)もなし、147(あま)面白(おもしろ)くないのでお(まへ)(うち)夜中(よなか)(しの)()み、148三百(さんびやく)(りやう)(かね)をボツたくり、149首尾(しゆび)()(にげ)ようとする(ところ)150(まへ)(そと)から(かへ)つて()るのと門口(かどぐち)出会(であ)ひ……ヤアお(まへ)はマール、151ボールの両人(りやうにん)だないか……と()はれた(とき)(おそ)ろしさ。152コリヤきつと(しま)規則(きそく)にてらして、153明日(あす)両人(りやうにん)(とも)()(くび)(けい)()はねばならぬと、154小舟(こぶね)(ぬす)()し、155(やみ)(まぎ)れて()()()いで、156どうやら()うやら、157ゼムの(みなと)(まで)(かぜ)()きつけられ……ヤアこれで一安心(ひとあんしん)だ。158(しか)(なが)らどうも自分(じぶん)(あと)から追手(おつて)()さうで、159(おそ)ろしくてたまらないものだから、160コリヤ天祥山(てんしやうざん)(たき)()たれて、161(ひと)修行(しうぎやう)をし、162(かみ)(さま)(つみ)(ゆる)して(いただ)かうと、163それから毎晩(まいばん)(たき)にひたつて、164修業(しうげふ)をやつて()りました。165そした(ところ)が、166何時(いつ)()にか、167モールバンドがバサリバサリと(なが)()をツンと()(なが)ら、168赤裸(まつぱだか)二人(ふたり)(たき)()たれてる(まへ)へやつて()て、169(しり)をブリブリ()()てて()(さき)(けん)にて吾々(われわれ)()たうと身構(みがまへ)して()る。170此奴(こいつ)アたまらぬと一生(いつしやう)懸命(けんめい)天地(てんち)(かみ)(さま)(ねん)じて()たが、171中々(なかなか)容易(ようい)退却(たいきやく)する(どころ)か、172益々(ますます)(その)()()(うご)かし、173(いま)二人(ふたり)(からだ)尻尾(しつぽ)(つるぎ)()られて、174真二(まつぷた)つにならむとする(ところ)175(にはか)宣伝歌(せんでんか)(きこ)()した。176(その)(こゑ)()くと(とも)に、177モールバンドの(やつ)そろそろ()(ちぢ)めて(みじか)くし()した。178宣伝歌(せんでんか)(こゑ)段々(だんだん)(たか)くなつて()る。179モールバンドの怪獣(くわいじう)()()れ、180(くび)()れ、181バサリバサリと(かたはら)森林(しんりん)目蒐(めが)けて姿(すがた)(かく)して(しま)つた。182そこへやつて()られたのは三五教(あななひけう)鷹依姫(たかよりひめ)(さま)(はじ)め、183竜国別(たつくにわけ)184テー、185カーと()宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)であつた。186あの(とき)()しも、187鷹依姫(たかよりひめ)(さま)がそこへ()(くだ)さらなかつたならば、188吾々(われわれ)最早(もはや)(この)()(ひと)ではないのだ。189そこで(おれ)(たち)鷹依姫(たかよりひめ)さまを(いのち)(おや)(あふ)ぎ、190(ただち)入信(にふしん)してお弟子(でし)となつたのだ。191テー、192カーと()二人(ふたり)(をとこ)から高姫(たかひめ)鷹依姫(たかよりひめ)さまとの関係(くわんけい)(のこ)らず()かされ、193(はら)()つてたまらなくなり、194(かみ)(さま)のお指図(さしづ)()つて、195今日(けふ)はキツと高姫(たかひめ)がゼムの(みなと)上陸(じやうりく)すると()(こと)(さと)つた(ゆゑ)196(わたくし)(いのち)(たす)けて(もら)つた今日(けふ)記念日(きねんび)だ、197(いのち)(おや)(かたき)()つのは今日(けふ)だと、198刃物(はもの)用意(ようい)し、199()ぎすまして()つてゐたのだ。200そした(ところ)(かみ)のお指図(さしづ)(たが)はず、201高姫(たかひめ)一行(いつかう)がここへ()えたのだから、202如何(どう)しても(いのち)親様(おやさま)御恩(ごおん)(むく)ゆる(ため)203高姫(たかひめ)(いのち)をとり、204仇敵(きうてき)()つてお()(まを)さねばならない。205……どうぞヨブ(さま)206(わたくし)目的(もくてき)()てさせて(くだ)さいませ』
207ヨブ『お(まへ)(いのち)(たす)けてくれたのはそりや鷹依姫(たかよりひめ)であらう。208(しか)(なが)(その)鷹依姫(たかよりひめ)高砂島(たかさごじま)()()るようにしたのは(たれ)だと(おも)うてゐるか。209ここに御座(ござ)高姫(たかひめ)さまぢやないか、210そうすれば直接(ちよくせつ)間接(かんせつ)(ちがひ)こそあれ、211高姫(たかひめ)さまがお(まへ)(いのち)(たす)けてくれたも同様(どうやう)ぢやないか』
212マール『さう()けばさうですなア』
213ボール『如何(いか)にもヨブさまの仰有(おつしや)(とほ)り、214高姫(たかひめ)さまが鷹依姫(たかよりひめ)さまを、215無茶(むちや)()うて追出(おひだ)さなかつたら、216こんな(ところ)へお()でになる気遣(きづかひ)はなし、217(また)(おれ)(たち)(たす)けて(もら)(わけ)にも()かなかつたのだ。218さう(おも)へば(あま)高姫(たかひめ)さまを(わる)(おも)(わけ)には()かぬワイ』
219ヨブ『何事(なにごと)もすべて(かみ)(さま)御心(みこころ)から出来(でけ)()るのだから、220人間(にんげん)(かんが)へで(ある)一部分(いちぶぶん)(つか)まへて、221(ぜん)だの(あく)だの、222(てき)だの味方(みかた)だのと()ふのは第一(だいいち)間違(まちがひ)ぢや。223(ただ)何事(なにごと)も、224人間(にんげん)は、225(かみ)(さま)()意思(いし)(まか)すより仕方(しかた)がないのだよ。226高姫(たかひめ)(さま)()無礼(ぶれい)(はたら)かうとした、227(その)(つみ)をお(わび)するがよからう』
228マール『コレハコレハ高姫(たかひめ)(さま)229(まこと)にエライ取違(とりちがひ)(いた)しまして、230どうぞ(にく)(やつ)ぢやと思召(おぼしめ)さずに、231神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、232(ゆる)(くだ)さいませ。233(いま)ヨブさまの()意見(いけん)によりましてスツカリ改心(かいしん)(いた)しました。234貴女(あなた)こそ鷹依姫(たかよりひめ)(さま)にも(まさ)(わたくし)()(たい)しての、235生命(いのち)()恩人(おんじん)御座(ござ)います』
236ボール『高姫(たかひめ)(さま)237何卒(どうぞ)()(ゆる)しを(ねが)ひます。238……ヨブさま、239どうぞあなた(さま)から、240(よろ)しくお執成(とりな)しを()(ねがひ)(いた)します』
241高姫(たかひめ)『あゝ(みな)さま有難(ありがた)う。242()うそこ(まで)鷹依姫(たかよりひめ)(さま)(たい)し、243(こころ)(かけ)(くだ)さいます。244(わたし)(なに)よりあなた(がた)(その)(うる)はしきお(こころ)(うれ)しう御座(ござ)います。245(わたし)もあなたの()(きき)(とほ)随分(ずゐぶん)我情(がじやう)我慢(がまん)(つよ)(をんな)御座(ござ)いました。246さうして鷹依姫(たかよりひめ)(さま)(その)(ほか)方々(かたがた)(たい)し、247(じつ)無残(むざん)仕方(しかた)(いた)しましたが、248今日(こんにち)では最早(もはや)スツカリと改心(かいしん)(いた)しまして、249真心(まごころ)(ひと)つで(かみ)(さま)御用(ごよう)をさして(いただ)いて()りますから、250どうぞ今後(こんご)(よろ)しく、251()(たがひ)()世話(せわ)(ねが)ひます』
252マール『有難(ありがた)御座(ござ)いました。253(これ)にて(わたくし)もヤツと安心(あんしん)(いた)しました』
254ボール『高姫(たかひめ)さま、255ヨブさま、256()一同(いちどう)(さま)257どうぞ(わたくし)(やう)愚者(おろかもの)258何卒(なにとぞ)()見捨(みす)てなく、259今後(こんご)()指導(しだう)()(ねがひ)(まを)します』
260 常彦(つねひこ)261春彦(はるひこ)両人(りやうにん)奇妙(きめう)なる因縁(いんねん)寄合(よりあ)ひに今更(いまさら)(ごと)(かん)()り、262(とぼ)けたやうな(かほ)をして、263(この)光景(くわうけい)をまんじりともせず(なが)めて()る。
264大正一一・八・一三 旧六・二一 松村真澄録)

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