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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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第29巻(辰の巻)
> 第4篇 海から山へ > 第17章 途上の邂逅
<<< 波の響
(B)
(N)
天祥山 >>>
第一七章
途上
(
とじやう
)
の
邂逅
(
かいこう
)
〔八三九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第4篇 海から山へ
よみ(新仮名遣い):
うみからやまへ
章:
第17章 途上の邂逅
よみ(新仮名遣い):
とじょうのかいこう
通し章番号:
839
口述日:
1922(大正11)年08月13日(旧06月21日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ゼムの港町は相応に人口があるところであったが、高姫ら宣伝使服の一行が降り立ったのを、人々は物珍しそうに見送りながら、噂話をしている。その話には、去年船から海中に落ちた鷹依姫という宣伝使の一行が、亀に助けられてこの町に上陸したというものだった。
高姫はこれを聞きつけて、話をしていた二人の町人たちに鷹依姫らの消息を尋ねた。鷹依姫たちは天祥山の滝で身を清めた後、アマゾン河を遡って上流に向かったとのことだった。
すると町人たちは、宣伝使が高姫であることに気がついた。そして、自分の恩人である鷹依姫を自転倒島から追い出してひどい目にあわせた高姫を敵だと言って、懐から短刀を取り出し、高姫に切りつけた。
高姫はさっとよけた。ヨブは町人を押し留めて、高姫はすでに立派な人格になっていることを説き諭した。高姫に切りかかろうとした二人は、ヨブの同郷のマールとボールであった。
マールとボールは、島で無頼漢と呼ばれ、ヨブの家に空き巣に入ったところを見つかって逃げ出していたのであった。ゼムに来て二人は罪を悔い、天祥山の滝で禊をしていたところ、モールバンドの怪物がやってきて襲われそうになった。それを助けてくれたのが鷹依姫一行であったという。
ヨブは二人に対して、鷹依姫が天祥山で二人を助けることができたのも、元はと言えば、高姫が鷹依姫を自転倒島から追い出したからだと諭した。高姫も自身の行いを懺悔した。マールとボールは高姫に謝罪し、同道することになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
ハンドの滝(天祥山の滝)
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-01-05 17:20:57
OBC :
rm2917
愛善世界社版:
253頁
八幡書店版:
第5輯 557頁
修補版:
校定版:
261頁
普及版:
115頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
は、
002
海上
(
かいじやう
)
波
(
なみ
)
も
静
(
しづ
)
かに
神徳
(
しんとく
)
著
(
いちじる
)
しく、
003
漸
(
やうや
)
くにしてゼム
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
した。
004
此
(
この
)
地
(
ち
)
は
船着
(
ふなつ
)
きの
事
(
こと
)
とて
相当
(
さうたう
)
に
人家
(
じんか
)
も
稠密
(
てうみつ
)
であつた。
005
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
一同
(
いちどう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
006
物珍
(
ものめづ
)
らしげに
目送
(
もくそう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
007
口々
(
くちぐち
)
に
囁
(
ささや
)
き
合
(
あ
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
008
甲『
去年
(
きよねん
)
の
恰度
(
ちやうど
)
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
だつた。
009
婆
(
ばば
)
アの
宣伝使
(
せんでんし
)
が
一人
(
ひとり
)
と、
010
男
(
をとこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
011
尾羽
(
をは
)
打
(
うち
)
枯
(
か
)
らして、
012
淋
(
さび
)
しさうな
恰好
(
かつかう
)
で、
013
宣伝歌
(
せんでんか
)
とやらを
唄
(
うた
)
ひ、
014
ここを
通
(
とほ
)
りよつたが、
015
今年
(
ことし
)
も
又
(
また
)
廻
(
まは
)
つて
来
(
き
)
よつただないか。
016
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らあの
婆
(
ばば
)
アは
少
(
すこ
)
し
若
(
わか
)
うなつてるぢやないか。
017
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
唄
(
うた
)
つてると、
018
年寄
(
としよ
)
りでもヤツパリ
若
(
わか
)
くなると
見
(
み
)
えるなア』
019
乙『
馬鹿
(
ばか
)
言
(
い
)
ふな。
020
去年
(
きよねん
)
通
(
とほ
)
つた
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
021
三五教
(
あななひけう
)
の
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
婆
(
ばば
)
アだ。
022
一人
(
ひとり
)
は
息子
(
むすこ
)
で、
023
後
(
あと
)
二人
(
ふたり
)
はあの
婆
(
ばば
)
アの
従僕
(
しもべ
)
といふ
事
(
こと
)
だつたよ。
024
カーリン
丸
(
まる
)
から
海中
(
かいちう
)
に
堕
(
お
)
ちて、
025
婆
(
ばば
)
アを
始
(
はじ
)
め
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
行方
(
ゆくへ
)
が
不明
(
ふめい
)
となつて、
026
大捜索
(
だいさうさく
)
をしたものだが、
027
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
028
大
(
おほ
)
きな
亀
(
かめ
)
の
背中
(
せなか
)
に
乗
(
の
)
つて
四
(
よ
)
人
(
にん
)
共
(
とも
)
ゼムの
港
(
みなと
)
に
悠々
(
いういう
)
と
浮
(
うか
)
みあがり、
029
大勢
(
おほぜい
)
をアツと
言
(
い
)
はした
婆
(
ば
)
アさまに
比
(
くら
)
ぶれば、
030
余程
(
よほど
)
見劣
(
みおと
)
りがするよ。
031
大方
(
おほかた
)
彼奴
(
あいつ
)
ア、
032
あの
婆
(
ばば
)
アの
弟子
(
でし
)
位
(
くらゐ
)
なものだらう。
033
併
(
しか
)
し
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
があるものぢやないか。
034
丁度
(
ちやうど
)
去年
(
きよねん
)
の
今日
(
けふ
)
ぢやつた。
035
日
(
ひ
)
と
云
(
い
)
ひ
刻限
(
こくげん
)
迄
(
まで
)
チツとも
違
(
ちが
)
はずに、
036
婆
(
ばば
)
ア
一人
(
ひとり
)
男
(
をとこ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
037
此
(
この
)
街道
(
かいだう
)
を
通
(
とほ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
実
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
なものだなあ』
038
甲『それが
所謂
(
いはゆる
)
神
(
かみ
)
の
因縁
(
いんねん
)
と
云
(
い
)
ふものだらうかい。
039
何
(
なん
)
でも
婆
(
ばば
)
アのお
伴
(
とも
)
をしてゐたテーとか、
040
カーとか
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
の
話
(
はなし
)
では、
041
可哀相
(
かあいさう
)
に
年
(
とし
)
が
老
(
と
)
つてから、
042
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
され、
043
こんな
所迄
(
ところまで
)
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
044
艱難
(
かんなん
)
苦労
(
くらう
)
をしてると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
045
其
(
その
)
又
(
また
)
追出
(
おひだ
)
した
高姫
(
たかひめ
)
とか
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
046
聞
(
き
)
いても
憎
(
にく
)
らしいよな
婆
(
ばば
)
アだなア。
047
人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
でも
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つ。
048
彼奴
(
あいつ
)
は
大方
(
おほかた
)
其
(
その
)
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
ぢやなからうかなア』
049
乙『さうかも
知
(
し
)
れぬな。
050
何
(
なん
)
でも
高姫
(
たかひめ
)
は
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
より
十歳
(
とう
)
計
(
ばか
)
り
年
(
とし
)
が
若
(
わか
)
いと
聞
(
き
)
いてゐたから、
051
ヒヨツとして、
052
的
(
てき
)
さまかも
知
(
し
)
れぬぞ』
053
と
聞
(
きこ
)
えよがしに、
054
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
喋
(
しやべ
)
つてゐる。
055
高姫
(
たかひめ
)
はこれを
聞
(
き
)
くより、
056
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
の
側
(
そば
)
に、
057
ツカツカと
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り、
058
高姫
(
たかひめ
)
『モシモシ
今
(
いま
)
あなたの
御
(
お
)
話
(
はなし
)
を
耳
(
みみ
)
にしますれば、
059
三五教
(
あななひけう
)
の
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまとやらが、
060
ここを
御
(
お
)
通
(
とほ
)
りになつたと
仰有
(
おつしや
)
いましたが、
061
本当
(
ほんたう
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
062
乙『
本当
(
ほんたう
)
だとも、
063
本島
(
ほんたう
)
には
三五教
(
あななひけう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
様
(
やう
)
な
出鱈目
(
でたらめ
)
を
云
(
い
)
つたり、
064
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
ければ
嘘
(
うそ
)
をつくと
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
は
一人
(
ひとり
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬワイ』
065
高姫
(
たかひめ
)
『あゝ
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
いますか。
066
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
067
さうして
其
(
その
)
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまの
一行
(
いつかう
)
はどちらへ
行
(
ゆ
)
かれましたか、
068
御存
(
ごぞん
)
じなれば、
069
御
(
お
)
知
(
し
)
らせ
下
(
くだ
)
さいませぬか』
070
乙『
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
けば
天祥山
(
てんしやうざん
)
の
瀑布
(
ばくふ
)
で、
071
暫
(
しばら
)
く
荒行
(
あらぎやう
)
をし、
072
それから
山越
(
やまご
)
しにチンの
港
(
みなと
)
へ
出
(
で
)
て、
073
何
(
なん
)
でもアマゾン
河
(
がは
)
を
溯
(
さかのぼ
)
つて、
074
モールバンドの
沢山
(
たくさん
)
に
棲
(
すま
)
ゐしてをる
玉
(
たま
)
の
森
(
もり
)
とかへ
行
(
い
)
つたとか
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
だ』
075
高姫
(
たかひめ
)
『あゝ
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか、
076
どうも
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
しました。
077
……サア
皆
(
みな
)
さま、
078
参
(
まゐ
)
りませう』
079
甲『コレコレ
婆
(
ば
)
アさま、
080
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つた。
081
お
前
(
まへ
)
は
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
を
追
(
お
)
つ
放
(
ぽ
)
り
出
(
だ
)
した、
082
意地悪
(
いぢわる
)
婆
(
ばば
)
アの
高姫
(
たかひめ
)
ではあるまいかなア』
083
乙『オイそんな
事
(
こと
)
を
尋
(
たづ
)
ねるに
及
(
およ
)
ばぬぢやないか。
084
意地
(
いぢ
)
くねの
悪
(
わる
)
い
三五教
(
あななひけう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
とチヤンとあの
顔
(
かほ
)
に
印
(
しるし
)
が
入
(
い
)
つてるぢやないか。
085
お
前
(
まへ
)
も
余程
(
よほど
)
察
(
さつ
)
しの
悪
(
わる
)
い
男
(
をとこ
)
だなア』
086
甲『お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りだ。
087
いくら
頭脳
(
あたま
)
の
悪
(
わる
)
い
俺
(
おれ
)
でも、
088
一見
(
いつけん
)
して
高姫
(
たかひめ
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
分
(
わか
)
つてゐるワイ。
089
……コリヤ
高姫
(
たかひめ
)
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
て!
貴様
(
きさま
)
に
申渡
(
まをしわた
)
すべき
仔細
(
しさい
)
があるのだ』
090
高姫
(
たかひめ
)
『
御
(
お
)
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り、
091
妾
(
わたし
)
は
高姫
(
たかひめ
)
に
間違
(
まちがひ
)
ありませぬ。
092
さうして
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
は
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
に
付
(
つ
)
いて、
093
エロウ
御
(
お
)
詳
(
くは
)
しい
様
(
やう
)
だが、
094
一体
(
いつたい
)
あの
方
(
かた
)
とは、
095
如何
(
どう
)
云
(
い
)
ふ
御
(
お
)
関係
(
くわんけい
)
があるのですか』
096
甲『
有
(
あ
)
るの
無
(
な
)
いのつて、
097
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまは
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
だ。
098
あの
御
(
お
)
方
(
かた
)
が
去年
(
きよねん
)
天祥山
(
てんしやうざん
)
の
滝
(
たき
)
へ
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れなかつた
位
(
くらゐ
)
なら、
099
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
は
今頃
(
いまごろ
)
は
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
明
(
あか
)
りを
見
(
み
)
る
所
(
どころ
)
か、
100
白骨
(
はくこつ
)
になつて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
だ。
101
其
(
その
)
命
(
いのち
)
の
恩人
(
おんじん
)
を
虐待
(
ぎやくたい
)
して、
102
無理
(
むり
)
難題
(
なんだい
)
を
申
(
まを
)
し、
103
この
様
(
やう
)
な
所
(
ところ
)
まで
追放
(
つゐはう
)
しよつた
高姫
(
たかひめ
)
こそ
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
の
仇敵
(
きうてき
)
だ。
104
サア
高姫
(
たかひめ
)
、
105
モウ
斯
(
こ
)
うなつた
以上
(
いじやう
)
は
天運
(
てんうん
)
の
尽
(
つ
)
きだ。
106
冥途
(
めいど
)
の
旅立
(
たびだち
)
をさしてやらう。
107
覚悟
(
かくご
)
せ』
108
と
懐
(
ふところ
)
よりピカツと
光
(
ひか
)
る
物
(
もの
)
を
取出
(
とりだ
)
し、
109
両方
(
りやうはう
)
から
突
(
つ
)
いてかからうとする。
110
高姫
(
たかひめ
)
はヒラリと
体
(
たい
)
をかはした。
111
ヨブは
二人
(
ふたり
)
の
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
に
大手
(
おほで
)
を
拡
(
ひろ
)
げ、
112
ヨブ『マア
待
(
ま
)
つた
待
(
ま
)
つた。
113
これには
深
(
ふか
)
い
訳
(
わけ
)
があるのだ。
114
俺
(
おれ
)
も
今迄
(
いままで
)
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
を
見付
(
みつ
)
け
次第
(
しだい
)
、
115
生首
(
なまくび
)
引抜
(
ひきぬ
)
かにやおかぬと、
116
附
(
つ
)
け
狙
(
ねら
)
うて
居
(
を
)
つたが、
117
事情
(
じじやう
)
を
聞
(
き
)
いて、
118
今
(
いま
)
は
俺
(
おれ
)
も
高姫
(
たかひめ
)
さまの
御弟子
(
みでし
)
となつたのだ。
119
マア
待
(
ま
)
つてくれ。
120
お
前
(
まへ
)
はカーリン
島
(
たう
)
のマールにボールぢやないか』
121
マール『さう
云
(
い
)
ふお
前
(
まへ
)
はヨブさまか、
122
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りだつたなア』
123
ヨブ『チツとお
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
、
124
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
たかなア』
125
マール、
126
ボールの
二人
(
ふたり
)
は、
127
『ハイ』
128
と
俄
(
にはか
)
に
態度
(
たいど
)
を
改
(
あらた
)
め、
129
両人
(
りやうにん
)
『
先年
(
せんねん
)
は
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まぬ
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました。
130
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
に
係
(
かか
)
るのも、
131
ヤツパリ
天罰
(
てんばつ
)
が
循
(
めぐ
)
つて
来
(
き
)
たのでせう』
132
ヨブ『イヤ
過去
(
すぎさ
)
つた
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばぬ。
133
高姫
(
たかひめ
)
さま
始
(
はじ
)
め
二人
(
ふたり
)
の
方
(
かた
)
が
居
(
を
)
られる
前
(
まへ
)
だから、
134
俺
(
おれ
)
は
何
(
なん
)
にも
言
(
い
)
はぬ。
135
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
是
(
これ
)
から
俺
(
おれ
)
が
高姫
(
たかひめ
)
さまの
因縁
(
いんねん
)
を
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かしてやるから、
136
しつかり
聞
(
き
)
いてくれ。
137
今迄
(
いままで
)
の
罪
(
つみ
)
はスツカリと
帳消
(
ちやうけ
)
しにしてやるから……』
138
マール『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います』
139
ボール『
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
しまして、
140
御
(
お
)
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひませう』
141
ヨブ『
最前
(
さいぜん
)
お
前
(
まへ
)
は
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまを
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
だと
云
(
い
)
つたが、
142
そりや
又
(
また
)
如
(
ど
)
う
云
(
い
)
ふ
理由
(
りいう
)
だ。
143
其
(
その
)
訳
(
わけ
)
を
聞
(
き
)
かしてくれ』
144
マール『
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はカーリン
島
(
たう
)
では
無頼漢
(
ぶらいかん
)
と
言
(
い
)
はれ、
145
悪漢
(
あくかん
)
と
罵
(
ののし
)
られ、
146
誰一人
(
だれひとり
)
相手
(
あひて
)
になつてくれる
者
(
もの
)
もなし、
147
余
(
あま
)
り
面白
(
おもしろ
)
くないのでお
前
(
まへ
)
の
内
(
うち
)
へ
夜中
(
よなか
)
に
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
み、
148
三百
(
さんびやく
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
をボツたくり、
149
首尾
(
しゆび
)
克
(
よ
)
く
逃
(
にげ
)
ようとする
所
(
ところ
)
、
150
お
前
(
まへ
)
が
外
(
そと
)
から
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るのと
門口
(
かどぐち
)
で
出会
(
であ
)
ひ……ヤアお
前
(
まへ
)
はマール、
151
ボールの
両人
(
りやうにん
)
だないか……と
言
(
い
)
はれた
時
(
とき
)
の
恐
(
おそ
)
ろしさ。
152
コリヤきつと
島
(
しま
)
の
規則
(
きそく
)
にてらして、
153
明日
(
あす
)
は
両人
(
りやうにん
)
共
(
とも
)
締
(
し
)
め
首
(
くび
)
の
刑
(
けい
)
に
遇
(
あ
)
はねばならぬと、
154
小舟
(
こぶね
)
を
盗
(
ぬす
)
み
出
(
だ
)
し、
155
暗
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
継
(
つ
)
いで、
156
どうやら
斯
(
こ
)
うやら、
157
ゼムの
港
(
みなと
)
迄
(
まで
)
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
きつけられ……ヤアこれで
一安心
(
ひとあんしん
)
だ。
158
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らどうも
自分
(
じぶん
)
の
後
(
あと
)
から
追手
(
おつて
)
が
来
(
き
)
さうで、
159
恐
(
おそ
)
ろしくてたまらないものだから、
160
コリヤ
天祥山
(
てんしやうざん
)
の
滝
(
たき
)
に
打
(
う
)
たれて、
161
一
(
ひと
)
つ
修行
(
しうぎやう
)
をし、
162
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
して
戴
(
いただ
)
かうと、
163
それから
毎晩
(
まいばん
)
滝
(
たき
)
にひたつて、
164
修業
(
しうげふ
)
をやつて
居
(
を
)
りました。
165
そした
所
(
ところ
)
が、
166
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
167
モールバンドがバサリバサリと
長
(
なが
)
い
尾
(
を
)
をツンと
立
(
た
)
て
乍
(
なが
)
ら、
168
赤裸
(
まつぱだか
)
で
二人
(
ふたり
)
が
滝
(
たき
)
に
打
(
う
)
たれてる
前
(
まへ
)
へやつて
来
(
き
)
て、
169
尻
(
しり
)
をブリブリ
振
(
ふ
)
り
立
(
た
)
てて
尾
(
を
)
の
先
(
さき
)
の
剣
(
けん
)
にて
吾々
(
われわれ
)
を
打
(
う
)
たうと
身構
(
みがまへ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
170
此奴
(
こいつ
)
アたまらぬと
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
念
(
ねん
)
じて
見
(
み
)
たが、
171
中々
(
なかなか
)
容易
(
ようい
)
に
退却
(
たいきやく
)
する
所
(
どころ
)
か、
172
益々
(
ますます
)
其
(
その
)
尾
(
を
)
を
振
(
ふ
)
り
動
(
うご
)
かし、
173
今
(
いま
)
や
二人
(
ふたり
)
の
体
(
からだ
)
は
尻尾
(
しつぽ
)
の
剣
(
つるぎ
)
に
切
(
き
)
られて、
174
真二
(
まつぷた
)
つにならむとする
所
(
ところ
)
、
175
俄
(
にはか
)
に
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
聞
(
きこ
)
え
出
(
だ
)
した。
176
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くと
共
(
とも
)
に、
177
モールバンドの
奴
(
やつ
)
そろそろ
尾
(
を
)
を
縮
(
ちぢ
)
めて
短
(
みじか
)
くし
出
(
だ
)
した。
178
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
は
段々
(
だんだん
)
と
高
(
たか
)
くなつて
来
(
く
)
る。
179
モールバンドの
怪獣
(
くわいじう
)
は
尾
(
を
)
を
垂
(
た
)
れ、
180
首
(
くび
)
を
垂
(
た
)
れ、
181
バサリバサリと
傍
(
かたはら
)
の
森林
(
しんりん
)
目蒐
(
めが
)
けて
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
了
(
しま
)
つた。
182
そこへやつて
来
(
こ
)
られたのは
三五教
(
あななひけう
)
の
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
を
始
(
はじ
)
め、
183
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
184
テー、
185
カーと
云
(
い
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
の
一行
(
いつかう
)
であつた。
186
あの
時
(
とき
)
に
若
(
も
)
しも、
187
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
がそこへ
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さらなかつたならば、
188
吾々
(
われわれ
)
は
最早
(
もはや
)
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
ではないのだ。
189
そこで
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまを
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
と
仰
(
あふ
)
ぎ、
190
直
(
ただち
)
に
入信
(
にふしん
)
してお
弟子
(
でし
)
となつたのだ。
191
テー、
192
カーと
云
(
い
)
ふ
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
から
高姫
(
たかひめ
)
と
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまとの
関係
(
くわんけい
)
を
残
(
のこ
)
らず
聞
(
き
)
かされ、
193
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つてたまらなくなり、
194
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
指図
(
さしづ
)
に
依
(
よ
)
つて、
195
今日
(
けふ
)
はキツと
高姫
(
たかひめ
)
がゼムの
港
(
みなと
)
へ
上陸
(
じやうりく
)
すると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
つた
故
(
ゆゑ
)
、
196
私
(
わたくし
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
つた
今日
(
けふ
)
は
記念日
(
きねんび
)
だ、
197
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
の
敵
(
かたき
)
を
討
(
う
)
つのは
今日
(
けふ
)
だと、
198
刃物
(
はもの
)
を
用意
(
ようい
)
し、
199
研
(
と
)
ぎすまして
待
(
ま
)
つてゐたのだ。
200
そした
所
(
ところ
)
神
(
かみ
)
のお
指図
(
さしづ
)
に
違
(
たが
)
はず、
201
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
がここへ
見
(
み
)
えたのだから、
202
如何
(
どう
)
しても
命
(
いのち
)
の
親様
(
おやさま
)
の
御恩
(
ごおん
)
に
酬
(
むく
)
ゆる
為
(
ため
)
、
203
高姫
(
たかひめ
)
の
命
(
いのち
)
をとり、
204
仇敵
(
きうてき
)
を
討
(
う
)
つてお
上
(
あ
)
げ
申
(
まを
)
さねばならない。
205
……どうぞヨブ
様
(
さま
)
、
206
私
(
わたくし
)
の
目的
(
もくてき
)
を
立
(
た
)
てさせて
下
(
くだ
)
さいませ』
207
ヨブ『お
前
(
まへ
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてくれたのはそりや
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
であらう。
208
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
其
(
その
)
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
を
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るようにしたのは
誰
(
たれ
)
だと
思
(
おも
)
うてゐるか。
209
ここに
御座
(
ござ
)
る
高姫
(
たかひめ
)
さまぢやないか、
210
そうすれば
直接
(
ちよくせつ
)
間接
(
かんせつ
)
の
違
(
ちがひ
)
こそあれ、
211
高姫
(
たかひめ
)
さまがお
前
(
まへ
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてくれたも
同様
(
どうやう
)
ぢやないか』
212
マール『さう
聞
(
き
)
けばさうですなア』
213
ボール『
如何
(
いか
)
にもヨブさまの
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
り、
214
高姫
(
たかひめ
)
さまが
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまを、
215
無茶
(
むちや
)
を
云
(
い
)
うて
追出
(
おひだ
)
さなかつたら、
216
こんな
所
(
ところ
)
へお
出
(
い
)
でになる
気遣
(
きづかひ
)
はなし、
217
又
(
また
)
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
も
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
ふ
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かなかつたのだ。
218
さう
思
(
おも
)
へば
余
(
あま
)
り
高姫
(
たかひめ
)
さまを
悪
(
わる
)
く
思
(
おも
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬワイ』
219
ヨブ『
何事
(
なにごと
)
もすべて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
から
出来
(
でけ
)
て
来
(
く
)
るのだから、
220
人間
(
にんげん
)
の
考
(
かんが
)
へで
或
(
ある
)
一部分
(
いちぶぶん
)
を
掴
(
つか
)
まへて、
221
善
(
ぜん
)
だの
悪
(
あく
)
だの、
222
敵
(
てき
)
だの
味方
(
みかた
)
だのと
云
(
い
)
ふのは
第一
(
だいいち
)
間違
(
まちがひ
)
ぢや。
223
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も、
224
人間
(
にんげん
)
は、
225
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
意思
(
いし
)
に
任
(
まか
)
すより
仕方
(
しかた
)
がないのだよ。
226
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
を
働
(
はたら
)
かうとした、
227
其
(
その
)
罪
(
つみ
)
をお
詫
(
わび
)
するがよからう』
228
マール『コレハコレハ
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
229
誠
(
まこと
)
にエライ
取違
(
とりちがひ
)
を
致
(
いた
)
しまして、
230
どうぞ
憎
(
にく
)
い
奴
(
やつ
)
ぢやと
思召
(
おぼしめ
)
さずに、
231
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し、
232
お
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
233
今
(
いま
)
ヨブさまの
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
によりましてスツカリ
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
しました。
234
貴女
(
あなた
)
こそ
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
にも
優
(
まさ
)
る
私
(
わたくし
)
等
(
ら
)
に
対
(
たい
)
しての、
235
生命
(
いのち
)
の
御
(
ご
)
恩人
(
おんじん
)
で
御座
(
ござ
)
います』
236
ボール『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
237
何卒
(
どうぞ
)
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
しを
願
(
ねが
)
ひます。
238
……ヨブさま、
239
どうぞあなた
様
(
さま
)
から、
240
宜
(
よろ
)
しくお
執成
(
とりな
)
しを
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します』
241
高姫
(
たかひめ
)
『あゝ
皆
(
みな
)
さま
有難
(
ありがた
)
う。
242
能
(
よ
)
うそこ
迄
(
まで
)
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
243
お
心
(
こころ
)
を
掛
(
かけ
)
て
下
(
くだ
)
さいます。
244
妾
(
わたし
)
は
何
(
なに
)
よりあなた
方
(
がた
)
の
其
(
その
)
美
(
うる
)
はしきお
心
(
こころ
)
が
嬉
(
うれ
)
しう
御座
(
ござ
)
います。
245
妾
(
わたし
)
もあなたの
御
(
お
)
聞
(
きき
)
の
通
(
とほ
)
り
随分
(
ずゐぶん
)
我情
(
がじやう
)
我慢
(
がまん
)
の
強
(
つよ
)
い
女
(
をんな
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
246
さうして
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
方々
(
かたがた
)
に
対
(
たい
)
し、
247
実
(
じつ
)
に
無残
(
むざん
)
な
仕方
(
しかた
)
を
致
(
いた
)
しましたが、
248
今日
(
こんにち
)
では
最早
(
もはや
)
スツカリと
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
しまして、
249
真心
(
まごころ
)
一
(
ひと
)
つで
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
をさして
頂
(
いただ
)
いて
居
(
を
)
りますから、
250
どうぞ
今後
(
こんご
)
は
宜
(
よろ
)
しく、
251
御
(
お
)
互
(
たがひ
)
に
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
252
マール『
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
いました。
253
是
(
これ
)
にて
私
(
わたくし
)
もヤツと
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
しました』
254
ボール『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
255
ヨブさま、
256
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
257
どうぞ
私
(
わたくし
)
の
様
(
やう
)
な
愚者
(
おろかもの
)
、
258
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
お
)
見捨
(
みす
)
てなく、
259
今後
(
こんご
)
の
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
します』
260
常彦
(
つねひこ
)
、
261
春彦
(
はるひこ
)
両人
(
りやうにん
)
は
奇妙
(
きめう
)
なる
因縁
(
いんねん
)
の
寄合
(
よりあ
)
ひに
今更
(
いまさら
)
の
如
(
ごと
)
く
感
(
かん
)
じ
入
(
い
)
り、
262
呆
(
とぼ
)
けたやうな
顔
(
かほ
)
をして、
263
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
をまんじりともせず
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
264
(
大正一一・八・一三
旧六・二一
松村真澄
録)
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