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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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(B)
(N)
俄狂言 >>>
第八章
高姫
(
たかひめ
)
慴伏
(
せふふく
)
〔八三〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第2篇 石心放告
よみ(新仮名遣い):
せきしんほうこく
章:
第8章 高姫慴伏
よみ(新仮名遣い):
たかひめしょうふく
通し章番号:
830
口述日:
1922(大正11)年08月11日(旧06月19日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一行はようやく滝に着いた。すでに四五人の信者が禊をしている。高姫たちも身を清め、鏡の池の前に出たときにはちょうど夜が明けていた。
池の傍らには狭依彦命のお宮が新造されていた。以前に竜国別らが住んでいた庵には、奉仕者が詰めている。諸方から献上された玉は、積み上げられていた。上方には新造の懸橋御殿が建っている。
高姫は鏡の池に拍手しながらも、すでに積み上げられた玉に気を取られ、隼のような眼で眺めいっている。すると長年の沈黙を破ってブクブクと唸り出した。池の声は、いろは歌で高姫のこれまでの所業を数え挙げ、金毛九尾の邪神に使われていると非難を始めた。
高姫もいろは歌で池の神に言い返す。池の神は月照彦神と名乗り、高姫に改心を迫った。高姫は自分は審神の第一人者だと言って言い返し、常彦がたしなめても聞かない。池の神はまたしてもいろは歌で高姫の罪を責めた。高姫は池の神をすっぽんだと罵る。
高姫は、玉は懸橋御殿に隠してあると言い出した。まだ責め立てる池の神に対して、悪口を返す高姫を常彦と春彦はなだめるが、高姫は二人に食ってかかった。
そこへ懸橋御殿の神司である国玉依別がやってきた。国玉依別は、鏡の池に詣でる前に、懸橋御殿にお参りするようにと案内した。
高姫は池の神はすっぽんだと罵って、玉のひとつを池に投げ込んだ。すると池の中から恐ろしい唸り声が大地を揺らし、高姫はその場にへたり込んでしまった。しかし高姫以外の人たちにはこの音響は音楽のように聞こえていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-25 16:56:52
OBC :
rm2908
愛善世界社版:
109頁
八幡書店版:
第5輯 505頁
修補版:
校定版:
110頁
普及版:
50頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
は
漸
(
やうや
)
くにしてアリナの
滝
(
たき
)
に
着
(
つ
)
いた。
002
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
信者
(
しんじや
)
らしき
者
(
もの
)
滝壺
(
たきつぼ
)
の
前
(
まへ
)
に
赤裸
(
まつぱだか
)
のまま
跪
(
ひざまづ
)
いて
何事
(
なにごと
)
か
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈願
(
きぐわん
)
してゐる。
003
されど
轟々
(
ぐわうぐわう
)
たる
瀑布
(
ばくふ
)
の
音
(
おと
)
に
聞
(
き
)
き
取
(
と
)
ることは
出来
(
でき
)
なかつた。
004
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
は
身
(
み
)
を
浄
(
きよ
)
め、
005
それより、
006
瀑布
(
ばくふ
)
の
右側
(
みぎがは
)
を
攀登
(
よぢのぼ
)
り、
007
漸
(
やうや
)
くにして
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
着
(
つ
)
いたのは
恰度
(
ちやうど
)
夜明
(
よあ
)
けであつた。
008
群鴉
(
むらからす
)
は
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
飛交
(
とびか
)
ひ、
009
『カアカア』と
潔
(
いさぎよ
)
く
鳴
(
な
)
いてゐる。
010
因
(
ちなみ
)
に
云
(
い
)
ふ、
011
朝
(
あさ
)
なく
烏
(
からす
)
は
最
(
もつと
)
も
冴
(
さ
)
えたる
声
(
こゑ
)
にて、
012
『カアカア』と
鳴
(
な
)
く、
013
之
(
これ
)
を
鵲
(
かささぎ
)
と
云
(
い
)
ふ、
014
少
(
すこ
)
しく
普通
(
ふつう
)
の
烏
(
からす
)
よりは
矮小
(
わいせう
)
である。
015
夕
(
ゆふ
)
べに
鳴
(
な
)
くのを
之
(
これ
)
を
真
(
しん
)
の
烏
(
からす
)
と
云
(
い
)
ふ。
016
夕
(
ゆふ
)
べの
烏
(
からす
)
は
鵲
(
かささぎ
)
に
比
(
くら
)
べては
余程
(
よほど
)
体格
(
たいかく
)
も
大
(
おほ
)
きく、
017
どこともなしに
下品
(
げひん
)
な
所
(
ところ
)
があり、
018
鳴声
(
なきごゑ
)
は『ガアガア』と
濁
(
にご
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
019
又
(
また
)
百人
(
ひやくにん
)
一首
(
いつしゆ
)
の
歌
(
うた
)
に……
鵲
(
かささぎ
)
の
渡
(
わた
)
せる
橋
(
はし
)
におく
霜
(
しも
)
の
白
(
しろ
)
きを
見
(
み
)
れば
夜
(
よ
)
ぞ
更
(
ふ
)
けにける……とある
鵲
(
かささぎ
)
の
橋
(
はし
)
は
大極殿
(
たいきよくでん
)
の
階段
(
かいだん
)
を
指
(
さ
)
したものである。
020
カ
と
云
(
い
)
ふ
言霊
(
ことたま
)
は
輝
(
かがや
)
き
照
(
て
)
る
意
(
い
)
、
021
ササギは
幸
(
さちは
)
ひと
云
(
い
)
ふ
意義
(
いぎ
)
である。
022
天津
(
あまつ
)
日継
(
ひつぎ
)
天皇
(
てんのう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
昇降
(
しようかう
)
遊
(
あそ
)
ばす、
023
行幸橋
(
みゆきはし
)
と
云
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
である。
024
又
(
また
)
帝陵
(
ていりよう
)
をみささぎと
云
(
い
)
ふのは、
025
水幸
(
みづさち
)
はふと
云
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
であつて、
026
神霊
(
しんれい
)
の
脱出
(
だつしゆつ
)
し
給
(
たま
)
ひたる
肉体
(
にくたい
)
は
即
(
すなは
)
ち
水
(
みづ
)
である。
027
それ
故
(
ゆゑ
)
、
028
崩御
(
ほうぎよ
)
して
行幸
(
みゆき
)
遊
(
あそ
)
ばす
所
(
ところ
)
を
御陵
(
みささぎ
)
と
云
(
い
)
ふのである。
029
鵲
(
かささぎ
)
のカは
火
(
ひ
)
の
意義
(
いぎ
)
であり
御陵
(
みささぎ
)
のミは
水
(
みづ
)
の
意義
(
いぎ
)
である。
030
今
(
いま
)
鳴
(
な
)
いた
烏
(
からす
)
は
即
(
すなは
)
ち
鵲
(
かささぎ
)
の
声
(
こゑ
)
であつた。
031
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
傍
(
かたはら
)
には
狭依彦
(
さよりひこの
)
命
(
みこと
)
の
神霊
(
しんれい
)
が
新
(
あたら
)
しき
宮
(
みや
)
を
立
(
た
)
てて
斎
(
まつ
)
られてあつた。
032
さうして、
033
岩窟
(
がんくつ
)
の
前方
(
ぜんぱう
)
左側
(
さそく
)
の
方
(
はう
)
に
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
向
(
むか
)
つて、
034
竜国別
(
たつくにわけ
)
等
(
ら
)
の
住
(
す
)
まつてゐた
庵
(
いほり
)
が
残
(
のこ
)
つてゐる。
035
そこには
国
(
くに
)
、
036
玉
(
たま
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
番
(
ばん
)
を
兼
(
か
)
ね、
037
狭依彦
(
さよりひこ
)
神社
(
じんじや
)
の
奉仕
(
ほうし
)
にかかつて
居
(
ゐ
)
た。
038
諸方
(
しよはう
)
より
献上
(
けんじやう
)
したる
種々
(
いろいろ
)
の
玉石
(
たまいし
)
や
瑪瑙
(
めなう
)
などの
玉
(
たま
)
は
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
くに
積
(
つ
)
み
重
(
かさ
)
ねられてある。
039
少
(
すこ
)
しく
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
には
例
(
れい
)
の
懸橋
(
かけはし
)
の
御殿
(
ごてん
)
が
新造
(
しんざう
)
され、
040
木
(
き
)
の
香
(
にほひ
)
香
(
かう
)
ばしく、
041
あたりに
漂
(
ただよ
)
ひゐたり。
042
高姫
(
たかひめ
)
は
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
043
拍手
(
はくしゆ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
044
うづ
高
(
たか
)
くつまれたる
種々
(
しゆじゆ
)
の
玉
(
たま
)
に
早
(
はや
)
くも
目
(
め
)
をつけ、
045
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
、
046
麻邇
(
まに
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
などはなきかと、
047
隼
(
はやぶさ
)
の
如
(
ごと
)
き
眼
(
まなこ
)
を
光
(
ひか
)
らせ
乍
(
なが
)
ら
眺
(
なが
)
め
入
(
い
)
つた。
048
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
は
俄
(
にはか
)
に
永年
(
ながねん
)
の
沈黙
(
ちんもく
)
を
破
(
やぶ
)
つて、
049
声
『ブクブクブク、
050
ウンウンウン』
051
と
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
した。
052
国
(
くに
)
、
053
玉
(
たま
)
の
神司
(
かむづかさ
)
は
顔色
(
がんしよく
)
を
変
(
か
)
へて、
054
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
へ
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
の
前
(
まへ
)
に
報告
(
はうこく
)
の
為
(
ため
)
に
走
(
はし
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
055
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
056
声
『アヽヽ、
057
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
をあとにして、
058
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねむと、
059
執着心
(
しふちやくしん
)
の
魔
(
ま
)
につかれ、
060
ここまで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たうろたへ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
061
イヽヽ、
062
意久地
(
いくぢ
)
なしの
常彦
(
つねひこ
)
、
063
春彦
(
はるひこ
)
を
力
(
ちから
)
と
致
(
いた
)
し、
064
海原
(
うなばら
)
を
渡
(
わた
)
り、
065
漸
(
やうや
)
うここまでやつて
来
(
き
)
た
意地悪
(
いぢわる
)
同志
(
どうし
)
の
三人
(
さんにん
)
連
(
づれ
)
のイカサマ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
066
ウヽヽ、
067
うろたへ
騒
(
さわ
)
いで
南洋
(
なんやう
)
諸島
(
しよたう
)
はまだ
愚
(
おろか
)
、
068
高砂島
(
たかさごじま
)
まで、
069
小
(
ちい
)
さき
意地
(
いぢ
)
と
欲
(
よく
)
とに
絡
(
から
)
まれて、
070
ド
迷
(
まよ
)
ひ
来
(
きた
)
る
高姫
(
たかひめ
)
のデモ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
071
エヽヽ、
072
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなく
人
(
ひと
)
の
門戸
(
もんこ
)
を
叩
(
たた
)
き、
073
沓島
(
くつじま
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
盗
(
ぬす
)
み
出
(
だ
)
し、
074
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
を
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
み、
075
ウラナイ
教
(
けう
)
を
立
(
た
)
てて
三五教
(
あななひけう
)
の
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
刃向
(
はむか
)
ひたる
没分暁漢
(
わからづや
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
。
076
オヽヽ、
077
大江山
(
おほえやま
)
の
山麓
(
さんろく
)
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
に
土窟
(
どくつ
)
を
作
(
つく
)
り、
078
又
(
また
)
庵
(
いほり
)
を
結
(
むす
)
び、
079
庵
(
いほり
)
の
火事
(
くわじ
)
を
起
(
おこ
)
してうろたへ
騒
(
さわ
)
いだ
肝
(
きも
)
の
小
(
ちい
)
さい、
080
口
(
くち
)
許
(
ばか
)
り
立派
(
りつぱ
)
なデモ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
081
カヽヽ、
082
烏
(
からす
)
の
鳴
(
な
)
かぬ
日
(
ひ
)
があつても、
083
玉
(
たま
)
に
執着心
(
しふちやくしん
)
の
離
(
はな
)
れた
日
(
ひ
)
のない
執念深
(
しふねんぶか
)
き、
084
高
(
たか
)
、
085
黒
(
くろ
)
、
086
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
。
087
キヽヽ、
088
鬼城山
(
きじやうざん
)
の
木常姫
(
こつねひめ
)
の
再来
(
さいらい
)
、
089
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
悪狐
(
あくこ
)
に
憑依
(
ひようい
)
された
外面
(
げめん
)
如
(
によ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
、
090
内心
(
ないしん
)
如
(
によ
)
夜叉
(
やしや
)
のイカサマ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
091
クヽヽ、
092
国依別
(
くによりわけ
)
の
偽
(
にせ
)
天狗
(
てんぐ
)
に
誑
(
たぶら
)
かされ、
093
三人
(
さんにん
)
連
(
づれ
)
にて
竹生島
(
ちくぶしま
)
迄
(
まで
)
玉
(
たま
)
捜
(
さが
)
しに
参
(
まゐ
)
り、
094
よい
恥
(
はぢ
)
を
曬
(
さら
)
して、
095
スゴスゴ
聖地
(
せいち
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た
高
(
たか
)
、
096
黒
(
くろ
)
、
097
宣伝使
(
せんでんし
)
。
098
ケヽヽ、
099
見当
(
けんたう
)
の
取
(
と
)
れぬ
仕組
(
しぐみ
)
ぢやと
申
(
まを
)
して、
100
行
(
ゆき
)
つまる
度
(
たび
)
に
逃
(
に
)
げを
張
(
は
)
るズルイ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
101
コヽヽ、
102
小面
(
こづら
)
憎
(
にく
)
い
程
(
ほど
)
自我心
(
じがしん
)
の
強
(
つよ
)
い、
103
困
(
こま
)
り
者
(
もの
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
。
104
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
り
直日
(
なほひ
)
の
身魂
(
みたま
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
105
我
(
が
)
を
折
(
を
)
らねば、
106
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
思惑
(
おもわく
)
は
何時
(
いつ
)
になつても
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
さぬのみか、
107
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
の
恥
(
はぢ
)
を
曬
(
さら
)
さねばならぬぞよ』
108
高姫
(
たかひめ
)
『あゝゝ、
109
何
(
いづ
)
れの
水神
(
すゐじん
)
さまか
知
(
し
)
りませぬが、
110
こう
見
(
み
)
えても
私
(
わたし
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
111
水神
(
すゐじん
)
さま
位
(
くらゐ
)
に
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
受
(
う
)
けるやうな
高姫
(
たかひめ
)
とは
一寸
(
ちよつと
)
違
(
ちが
)
ひますワイ。
112
いゝゝ、
113
意見
(
いけん
)
がましい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
威張
(
ゐば
)
らうと
思
(
おも
)
つても、
114
いつかな いつかな
其
(
その
)
様
(
やう
)
なイカサマ
宣示
(
せんじ
)
はいつになつても、
115
聞
(
き
)
きませぬぞや。
116
うゝゝ、
117
うさんな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
118
ウヨウヨと
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
から
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
くよりも、
119
天晴
(
あつぱ
)
れと
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はして
言
(
い
)
ひなされ。
120
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
審神
(
さには
)
をして、
121
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
かを
調
(
しら
)
べて
改心
(
かいしん
)
さして
上
(
あ
)
げませうぞや。
122
えゝゝ、
123
得体
(
えたい
)
の
知
(
し
)
れぬ
神
(
かみ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
124
高姫
(
たかひめ
)
の
耳
(
みみ
)
には
這入
(
はい
)
りませぬぞや。
125
おゝゝ、
126
鬼
(
おに
)
でも
蛇
(
じや
)
でも
悪魔
(
あくま
)
でも、
127
誠一
(
まことひと
)
つの
生粋
(
きつすゐ
)
の
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
で
改心
(
かいしん
)
させる
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
で
厶
(
ござ
)
いますぞ。
128
余
(
あま
)
り
見違
(
みちがひ
)
をして
下
(
くだ
)
さるなや。
129
かゝゝ、
130
かけ
構
(
かま
)
へのないことを、
131
傍
(
かたはら
)
から
干渉
(
かんせう
)
して
貰
(
もら
)
ふと
癇癪玉
(
かんしやくだま
)
が
破裂
(
はれつ
)
致
(
いた
)
しますぞ。
132
きゝゝ、
133
鬼城山
(
きじやうざん
)
だの、
134
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
だのと
何
(
なに
)
を
証拠
(
しようこ
)
に、
135
そんな
悪口
(
あくこう
)
雑言
(
ざふごん
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのです。
136
くゝゝ、
137
苦労
(
くらう
)
なしのヤクザ
神
(
かみ
)
では
誠
(
まこと
)
のお
仕組
(
しぐみ
)
は
分
(
わか
)
りませぬぞや。
138
けゝゝ、
139
気
(
け
)
もない
間
(
うち
)
から
世界
(
せかい
)
の
事
(
こと
)
を
神
(
かみ
)
、
140
仏事
(
ぶつじ
)
、
141
人民
(
じんみん
)
に
説
(
と
)
いてきかす
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
の
生宮
(
いきみや
)
で
御座
(
ござ
)
いますぞ。
142
見当違
(
けんたうちが
)
ひをして
下
(
くだ
)
さるな。
143
こゝゝ、
144
ここまで
言
(
い
)
うたら、
145
お
前
(
まへ
)
も
曲津
(
まがつ
)
か
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らねど、
146
チツとは
合点
(
がてん
)
がいつたでせう。
147
今後
(
こんご
)
はこんな
馬鹿
(
ばか
)
な
真似
(
まね
)
はなさらぬが
宜
(
よろ
)
しいぞや』
148
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
149
声
『サヽヽ、
150
逆理窟
(
さかりくつ
)
計
(
ばか
)
りこねまはす、
151
探女
(
さぐめ
)
醜女
(
しこめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
152
サアサア
今日
(
けふ
)
よりサツパリと
了見
(
れうけん
)
を
直
(
なほ
)
し、
153
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
奉
(
ほう
)
ずるか、
154
さなくば
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
職名
(
しよくめい
)
を
剥奪
(
はくだつ
)
せうか』
155
高姫
(
たかひめ
)
『さゝゝ、
156
何
(
なん
)
ぼなつと、
157
勝手
(
かつて
)
に
喋
(
しやべ
)
つておきなされ。
158
審神
(
さには
)
の
随一
(
ずゐいつ
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
、
159
指一本
(
ゆびいつぽん
)
さへる
者
(
もの
)
は、
160
神々
(
かみがみ
)
にも
人民
(
じんみん
)
にも
御座
(
ござ
)
いませぬぞえ』
161
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
162
声
『シヽヽ、
163
渋
(
しぶ
)
とい
執着心
(
しふちやくしん
)
のどこ
迄
(
まで
)
も
取
(
と
)
れぬ、
164
負
(
ま
)
けぬ
気
(
き
)
の
強
(
つよ
)
い
女
(
をんな
)
だのう。
165
何程
(
なにほど
)
言
(
い
)
うても、
166
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
耳
(
みみ
)
は
死人
(
しにん
)
も
同様
(
どうやう
)
だ。
167
叱
(
しか
)
つても
たら
しても、
168
どうにも
斯
(
か
)
うにも
仕様
(
しやう
)
のない
厄介者
(
やつかいもの
)
だ』
169
高姫
(
たかひめ
)
『しゝゝ、
170
知
(
し
)
りませぬワイナ。
171
お
前
(
まへ
)
こそ
しぶ
といぢやないか。
172
これ
丈
(
だけ
)
誠一筋
(
まことひとすぢ
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
分
(
わか
)
らぬやうなことで、
173
エラソウに
知
(
し
)
つた
顔
(
かほ
)
をなさるな。
174
百
(
ひやく
)
八十一
(
はちじふいち
)
通
(
とほ
)
りの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
階級
(
かいきふ
)
の
中
(
うち
)
でも、
175
第三番
(
だいさんばん
)
目
(
め
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
で
御座
(
ござ
)
いますぞ。
176
お
前
(
まへ
)
さまは
百八十
(
ひやくはちじふ
)
段
(
だん
)
以下
(
いか
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だから、
177
こんな
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
に
何時
(
いつ
)
までもひつ
込
(
こ
)
んで……ヘン
月照彦
(
つきてるひこ
)
なんて、
178
愛想
(
あいさう
)
が
尽
(
つ
)
きますワイ。
179
大方
(
おほかた
)
運
(
うん
)
が
つきてる
彦
(
ひこ
)
だろ。
180
オホヽヽヽ』
181
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
182
声
『スヽヽ、
183
すつたもんだと
理窟
(
りくつ
)
計
(
ばか
)
りこねまはし、
184
そこら
中
(
ぢう
)
を
飛
(
とび
)
まはり、
185
法螺
(
ほら
)
をふきまはし、
186
玉
(
たま
)
に
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かす、
187
玉抜
(
たまぬけ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
。
188
チツと
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てて
考
(
かんが
)
へたらどうだ』
189
高姫
(
たかひめ
)
『すゝゝ、
190
好
(
す
)
かんたらしい。
191
いい
加減
(
かげん
)
に
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
で
庇
(
へ
)
こいたやうな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うておきなさい。
192
こつちの
方
(
はう
)
から
愛想
(
あいさう
)
が
月照彦
(
つきてるひこ
)
だ。
193
何程
(
なにほど
)
月
(
つき
)
がエロウても
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
日
(
ひ
)
に
叶
(
かな
)
ふまい。
194
日
(
ひ
)
は
表
(
おもて
)
、
195
月
(
つき
)
は
裏
(
うら
)
ぢやぞえ。
196
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのなら、
197
モツト
外
(
ほか
)
の
没分暁漢
(
わからずや
)
の
人民
(
じんみん
)
に
言
(
い
)
つたが
宜
(
よろ
)
しい。
198
酸
(
す
)
いも
甘
(
あま
)
いも
透
(
す
)
きとほつた
程
(
ほど
)
知
(
し
)
りぬいた
高姫
(
たかひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
言
(
い
)
ふのは、
199
チツと
天地
(
てんち
)
が
逆
(
さか
)
さまになつて
居
(
を
)
る
様
(
やう
)
なものですよ』
200
常彦
(
つねひこ
)
『コレコレ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
201
余
(
あんま
)
りぢやありませぬか。
202
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
向
(
むか
)
つて
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのです。
203
チツと
心得
(
こころえ
)
なさい』
204
高姫
(
たかひめ
)
『エーお
前
(
まへ
)
は
常
(
つね
)
か、
205
こんな
所
(
ところ
)
へ
口嘴
(
くちばし
)
を
出
(
だ
)
すとこぢやない。
206
すつ
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
なさい』
207
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
208
声
『セヽヽ、
209
先生顔
(
せんせいがほ
)
を
致
(
いた
)
して、
210
何時
(
いつ
)
もエラソウに
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
るが、
211
牛童丸
(
うしどうまる
)
の
牛
(
うし
)
に
乗
(
の
)
つて、
212
常彦
(
つねひこ
)
、
213
春彦
(
はるひこ
)
がアリナの
滝
(
たき
)
へ
先
(
さき
)
へ
参
(
まゐ
)
ると
申
(
まを
)
した
時
(
とき
)
には、
214
随分
(
ずゐぶん
)
せつなかつたであらうのう。
215
せんぐりせんぐり
屁理窟
(
へりくつ
)
を
並
(
なら
)
べて、
216
ようマア
良心
(
りやうしん
)
に
恥
(
はづか
)
しいとは
思
(
おも
)
はぬか。
217
雪隠虫
(
せつちんむし
)
の
高上
(
たかあ
)
がり
奴
(
め
)
』
218
高姫
(
たかひめ
)
『せゝゝ、
219
精出
(
せいだ
)
して、
220
何
(
なん
)
なつと
仰有
(
おつしや
)
れ。
221
そんな
事
(
こと
)
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
な
暇人
(
ひまじん
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いませぬワイ。
222
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しの
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
対
(
たい
)
し、
223
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
224
チツト
改心
(
かいしん
)
して、
225
お
前
(
まへ
)
さまも
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
にカブリ
付
(
つ
)
いて
居
(
を
)
らずに、
226
私
(
わたし
)
の
尻
(
しり
)
へついて、
227
世界
(
せかい
)
の
為
(
ため
)
に
活動
(
くわつどう
)
なさつたらどうだ。
228
神
(
かみ
)
、
229
仏事
(
ぶつじ
)
、
230
人民
(
じんみん
)
、
231
餓鬼
(
がき
)
、
232
虫
(
むし
)
ケラまで
助
(
たす
)
ける
神
(
かみ
)
だぞえ』
233
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
234
声
『ソヽヽ、
235
そんな
事
(
こと
)
は
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
聞
(
き
)
かいでも、
236
よく
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
237
どこ
迄
(
まで
)
も
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
さねば
神
(
かみ
)
は
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
238
そぐり
立
(
た
)
ててツツボへ
落
(
おと
)
してやらうか』
239
高姫
(
たかひめ
)
『そゝゝ、
240
ソリヤ
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
すのだ。
241
うるささを
怺
(
こら
)
へて
相手
(
あひて
)
になつて
居
(
ゐ
)
れば、
242
どこ
迄
(
まで
)
も
伸
(
の
)
し
上
(
あが
)
つて、
243
粗相
(
そさう
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
す
厄雑神
(
やくざがみ
)
、
244
大方
(
おほかた
)
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
に
居
(
を
)
る
神
(
かみ
)
だから、
245
ドン
亀
(
かめ
)
か、
246
スツポンがめ、
247
ズ
蟹
(
かに
)
の
劫
(
がふ
)
経
(
へ
)
た
奴
(
やつ
)
だろ。
248
其奴
(
そいつ
)
が
神
(
かみ
)
の
真似
(
まね
)
して、
249
昔
(
むかし
)
の
月照彦
(
つきてるひこ
)
さまの
芝居
(
しばゐ
)
をしてをるのだろ。
250
グヅグヅ
申
(
まを
)
すと
此
(
この
)
団子石
(
だんごいし
)
を
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んでやらうか』
251
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
252
声
『タヽヽ、
253
玉
(
たま
)
盗
(
ぬす
)
みの
高姫
(
たかひめ
)
、
254
又
(
また
)
玉
(
たま
)
を
隠
(
かく
)
されて、
255
玉
(
たま
)
騒
(
さわ
)
ぎを
致
(
いた
)
す
魂抜
(
たまぬけ
)
女
(
をんな
)
、
256
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
尋
(
たづ
)
ねる
玉
(
たま
)
は
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
に
隠
(
かく
)
してあるぞえ。
257
其
(
その
)
方
(
はう
)
が
改心
(
かいしん
)
さへ
致
(
いた
)
せば
麻邇
(
まに
)
の
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
が
知
(
し
)
らして
貰
(
もら
)
へるのだが、
258
まだ
中々
(
なかなか
)
其
(
その
)
方
(
はう
)
へ
教
(
をし
)
へてやる
所
(
ところ
)
へは
行
(
ゆ
)
かぬワイ。
259
早
(
はや
)
く
魂
(
たま
)
を
研
(
みが
)
いて
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
せよ』
260
高姫
(
たかひめ
)
『たゝゝ、
261
叩
(
たた
)
くな
叩
(
たた
)
くな
頬桁
(
ほほげた
)
を、
262
高天原
(
たかあまはら
)
の
神司
(
かむづかさ
)
、
263
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
264
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
楯
(
たて
)
つかうと
思
(
おも
)
うても
駄目
(
だめ
)
だから、
265
お
前
(
まへ
)
こそ
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
し、
266
高姫
(
たかひめ
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
を
神妙
(
しんめう
)
に
聞
(
き
)
きなされ。
267
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
は
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心
(
ちうしん
)
にあるなんて、
268
……ヘン
知
(
し
)
らぬ
者
(
もの
)
の
半分
(
はんぶん
)
も
知
(
し
)
らぬ
癖
(
くせ
)
に、
269
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
270
此
(
こ
)
んな
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
にすつ
込
(
こ
)
んでゐるスツポンのお
化
(
ばけ
)
に、
271
そんな
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
つて
堪
(
たま
)
るものかい』
272
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
273
声
『チヽヽ、
274
血筋
(
ちすぢ
)
だ
系統
(
ひつぽう
)
だと
申
(
まを
)
して、
275
それを
鼻
(
はな
)
にかけ、
276
威張
(
ゐば
)
りちらすものだから、
277
お
山
(
やま
)
の
大将
(
たいしやう
)
おれ
一人
(
ひとり
)
式
(
しき
)
だ。
278
誰一人
(
たれひとり
)
として
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
力
(
ちから
)
になる
者
(
もの
)
は
一人
(
ひとり
)
もあるまいがな。
279
ツヽヽ、
280
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
が
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
、
281
心
(
こころ
)
の
波
(
なみ
)
を
静
(
しづ
)
めてよつく
承
(
うけたま
)
はれ。
282
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
心
(
こころ
)
の
海
(
うみ
)
の
波
(
なみ
)
さへ
静
(
しづ
)
まらば、
283
真如
(
しんによ
)
の
月
(
つき
)
は
皎々
(
かうかう
)
として、
284
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
照
(
て
)
りわたり、
285
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
位
(
くらゐ
)
は
一目
(
ひとめ
)
に
見
(
み
)
え
透
(
す
)
き、
286
天晴
(
あつぱ
)
れ
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
が
出来
(
でき
)
るやうになるのだ。
287
テヽヽ、
288
天狗
(
てんぐ
)
の
様
(
やう
)
に
鼻
(
はな
)
許
(
ばか
)
り
高
(
たか
)
くして、
289
天狗
(
てんぐ
)
の
鼻
(
はな
)
の
高姫
(
たかひめ
)
と
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
が
譏
(
そし
)
つてゐるが、
290
気
(
き
)
がつかぬか。
291
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
をチツとは
弁
(
わきま
)
へて
見
(
み
)
よ。
292
トヽヽ、
293
トボケ
面
(
づら
)
して
遠
(
とほ
)
い
国
(
くに
)
迄
(
まで
)
玉
(
たま
)
捜
(
さが
)
しにウロツキ
廻
(
まは
)
り、
294
何時
(
いつ
)
も
失敗
(
しつぱい
)
計
(
ばか
)
り
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
るではないか』
295
高姫
(
たかひめ
)
『ちちち、
296
近
(
ちか
)
くの
者
(
もの
)
より
遠
(
とほ
)
くから
分
(
わか
)
りてくる
仕組
(
しぐみ
)
だ。
297
燈台
(
とうだい
)
下暗
(
もとくら
)
がりと
云
(
い
)
ふことを、
298
お
前
(
まへ
)
さまは
井中
(
せいちう
)
の
蛙
(
かはず
)
……ではない…スツポンだから、
299
世間
(
せけん
)
が
分
(
わか
)
らぬので、
300
そんな
時代
(
じだい
)
遅
(
おく
)
れのことを
云
(
い
)
ふのだよ。
301
つゝゝ、
302
月並式
(
つきなみしき
)
のそんな
屁理窟
(
へりくつ
)
を
並
(
なら
)
べたつて、
303
聞
(
き
)
くやうな
者
(
もの
)
は
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
一人
(
ひとり
)
もありませぬぞえ。
304
てゝゝ、
305
テンで
物
(
もの
)
にならぬ
天地
(
てんち
)
顛倒
(
てんどう
)
のお
前
(
まへ
)
の
世迷言
(
よまひごと
)
。
306
とゝゝ、
307
トンボリ
返
(
かへ
)
りを
打
(
う
)
たねばならぬことが
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ますぞや。
308
チト
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
を
聞
(
き
)
きなさい。
309
途方
(
とはう
)
もない
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ、
310
トツボケ
神
(
かみ
)
だな』
311
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
312
声
『ナヽヽ、
313
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
を
楯
(
たて
)
に
取
(
と
)
り、
314
何
(
なん
)
でもかでも
無理
(
むり
)
を
押
(
お
)
し
通
(
とほ
)
し、
315
人
(
ひと
)
に
難題
(
なんだい
)
を
吹
(
ふ
)
つかけ、
316
何遍
(
なんべん
)
も
何遍
(
なんべん
)
も
人
(
ひと
)
に
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けられて、
317
反対
(
はんたい
)
に
不足
(
ふそく
)
を
申
(
まを
)
す
難錯者
(
なんさくもの
)
。
318
ニヽヽ、
319
西
(
にし
)
東
(
ひがし
)
北
(
きた
)
南
(
みなみ
)
と
駆
(
かけ
)
まはり、
320
憎
(
うら
)
まれ
口
(
ぐち
)
の
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
し、
321
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
もゆかぬ
様
(
やう
)
になつては
改心
(
かいしん
)
を
標榜
(
へうぼう
)
し、
322
又
(
また
)
しても
執着心
(
しふちやくしん
)
の
悪魔
(
あくま
)
に
縛
(
しば
)
られて、
323
悪
(
あく
)
に
逆転
(
ぎやくてん
)
し、
324
ヌヽヽ、
325
糠喜
(
ぬかよろこ
)
びばかり
致
(
いた
)
して、
326
一度
(
いちど
)
も
満足
(
まんぞく
)
に
思惑
(
おもわく
)
の
立
(
た
)
つた
事
(
こと
)
はあるまいがな。
327
ネヽヽ、
328
年
(
ねん
)
が
年中
(
ねんぢう
)
、
329
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
楯
(
たて
)
に
取
(
と
)
り、
330
ねぢけ
曲
(
まが
)
つた
小理窟
(
こりくつ
)
を
云
(
い
)
うて、
331
人
(
ひと
)
を
困
(
こま
)
らす
奸佞
(
かんねい
)
邪智
(
じやち
)
の
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
行方
(
やりかた
)
。
332
ノヽヽ、
333
野天狗
(
のてんぐ
)
に
脅
(
おびや
)
かされ、
334
安眠
(
あんみん
)
も
能
(
よ
)
うせず、
335
テル
街道
(
かいだう
)
をスタスタと
痛
(
いた
)
い
足
(
あし
)
を
引
(
ひき
)
ずつてここまで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
口
(
くち
)
の
大
(
おほ
)
きい、
336
肝
(
きも
)
の
小
(
ちい
)
さいデモ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
337
ハヽヽ、
338
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
さぬと、
339
誰
(
たれ
)
も
相手
(
あひて
)
がなくなるぞよ。
340
ヒヽヽ、
341
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
も、
342
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
がウンザリして
居
(
ゐ
)
るぞよ。
343
モウそんな
黴
(
かび
)
の
生
(
は
)
えたコケおどしは
使
(
つか
)
はぬが
能
(
よ
)
からう。
344
フヽヽ、
345
古臭
(
ふるくさ
)
つた
文句
(
もんく
)
を
百万
(
ひやくまん
)
ダラ
並
(
なら
)
べて
新
(
あたら
)
しがつてゐる
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
心根
(
こころね
)
が
愛
(
いと
)
しいワイ。
346
ヘヽヽ、
347
下手
(
へた
)
に
魔誤付
(
まごつ
)
くと
命
(
いのち
)
がなくなるぞよ。
348
ホヽヽ、
349
時鳥
(
ほととぎす
)
喉
(
のど
)
から
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
きもつて、
350
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
は
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
慢心
(
まんしん
)
を
朝夕
(
あさゆふ
)
直
(
なほ
)
したいと
思
(
おも
)
つて
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
を
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るぞよ。
351
マヽヽ、
352
曲津
(
まがつ
)
の
容物
(
いれもの
)
となつて
居乍
(
ゐなが
)
ら、
353
誠
(
まこと
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
ぢやと
思
(
おも
)
うて
見
(
み
)
たり、
354
時
(
とき
)
には
疑
(
うたが
)
つて
見
(
み
)
たりし
乍
(
なが
)
ら、
355
どこ
迄
(
まで
)
も
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
でつつぱらうと
致
(
いた
)
す
横着者
(
わうちやくもの
)
。
356
ミヽヽ、
357
蚯蚓
(
みみづ
)
の
這
(
は
)
うた
様
(
やう
)
な
文字
(
もんじ
)
を
列
(
つら
)
ねて、
358
長
(
なが
)
たらしい
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
筆先
(
ふでさき
)
だと
申
(
まを
)
して、
359
紙
(
かみ
)
食
(
く
)
ひ
虫
(
むし
)
の
墨
(
すみ
)
泥棒
(
どろぼう
)
をいたし、
360
世界
(
せかい
)
の
経済界
(
けいざいかい
)
を
紊
(
みだ
)
す
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らず
奴
(
め
)
。
361
ムヽヽ、
362
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
の
去
(
さ
)
る
昔
(
むかし
)
、
363
まだも
昔
(
むかし
)
のその
昔
(
むかし
)
、
364
ま
一
(
ひと
)
つ
昔
(
むかし
)
のまだ
昔
(
むかし
)
、
365
大先祖
(
おほせんぞ
)
の
根本
(
こつぽん
)
の、
366
誠一
(
まことひと
)
つの
生粋
(
きつすゐ
)
の
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
御
(
おん
)
種
(
たね
)
、
367
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
、
368
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
とは、
369
能
(
よ
)
うも
云
(
い
)
へたものぢやぞよ。
370
メヽヽ、
371
冥土
(
めいど
)
の
鬼
(
おに
)
迄
(
まで
)
が
愛想
(
あいさう
)
をつかし、
372
腹
(
はら
)
を
抱
(
かか
)
へて、
373
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
脱線
(
だつせん
)
振
(
ぶ
)
りを
笑
(
わら
)
つてゐるぞよ。
374
モヽヽ、
375
百千万
(
ももちよろづ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
借銭
(
しやくせん
)
を、
376
日日
(
ひにち
)
毎日
(
まいにち
)
つみ
重
(
かさ
)
ね、
377
地獄
(
ぢごく
)
行
(
ゆ
)
きの
用意
(
ようい
)
許
(
ばか
)
り
致
(
いた
)
してをる
其
(
その
)
方
(
はう
)
、
378
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
に
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
すことを
聞
(
き
)
いて、
379
心
(
こころ
)
を
洗
(
あら
)
ひ
替
(
か
)
へ
立直
(
たてなほ
)
さぬと、
380
未来
(
みらい
)
が
恐
(
おそ
)
ろしいぞよ。
381
ヤヽヽ、
382
ヤツサモツサと
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
、
383
騒
(
さわ
)
ぎまはり、
384
イヽヽ、
385
意久地
(
いくぢ
)
を
立通
(
たてとほ
)
し、
386
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らし、
387
己
(
おのれ
)
一了見
(
いちれうけん
)
で
教主
(
けうしゆ
)
の
意見
(
いけん
)
も
聞
(
き
)
かず、
388
可愛相
(
かあいさう
)
に
黒姫
(
くろひめ
)
や
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
389
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
390
テーリスタン、
391
カーリンスに
対
(
たい
)
し、
392
国外
(
こくぐわい
)
に
放逐
(
はうちく
)
致
(
いた
)
した
横暴
(
わうばう
)
極
(
きは
)
まる
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
行方
(
やりかた
)
。
393
ユヽヽ、
394
雪
(
ゆき
)
と
墨
(
すみ
)
と
程
(
ほど
)
違
(
ちが
)
つてゐる
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
を、
395
酢
(
す
)
につけ
味噌
(
みそ
)
につけ
悪
(
わる
)
く
申
(
まを
)
し、
396
自分
(
じぶん
)
の
勢力
(
せいりよく
)
を
植付
(
うゑつ
)
けようと
致
(
いた
)
す
横着者
(
わうちやくもの
)
。
397
エヽヽ、
398
エライ
慢心
(
まんしん
)
を
致
(
いた
)
したものぢやのう。
399
ヨヽヽ、
400
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
吾
(
われ
)
程
(
ほど
)
エライ
者
(
もの
)
はない
様
(
やう
)
に
申
(
まを
)
して
独
(
ひと
)
り
燥
(
はしや
)
いでも、
401
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
割
(
わり
)
とは
広
(
ひろ
)
いぞよ。
402
お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふやうな
事
(
こと
)
は
二十
(
にじつ
)
世紀
(
せいき
)
の
豆人間
(
まめにんげん
)
の
没分暁漢
(
わからずや
)
の
中
(
うち
)
には、
403
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
は
一度
(
いちど
)
や
二度
(
にど
)
は
聞
(
き
)
いて
呉
(
く
)
れるであらうが、
404
四五遍
(
しごへん
)
聞
(
き
)
くと、
405
誰
(
たれ
)
も
彼
(
か
)
れも
内兜
(
うちかぶと
)
をみすかし、
406
愛想
(
あいさう
)
をつかして
逃
(
に
)
げて
了
(
しま
)
うぞよ。
407
ラヽヽ、
408
楽
(
らく
)
な
道
(
みち
)
へ
行
(
ゆ
)
きよると
道
(
みち
)
がテンと
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
つて、
409
後戻
(
あともど
)
りを
致
(
いた
)
さねばならぬ
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
行方
(
やりかた
)
を
見
(
み
)
よれ、
410
人
(
ひと
)
の
苦労
(
くらう
)
で
徳
(
とく
)
を
取
(
と
)
らうと
致
(
いた
)
し、
411
楽
(
らく
)
な
方
(
はう
)
を
行
(
ゆ
)
きよるから、
412
あの
通
(
とほ
)
りだと、
413
自分
(
じぶん
)
が
後
(
あと
)
から
潰
(
つぶ
)
しに
廻
(
まは
)
つておいては、
414
愉快相
(
ゆくわいさう
)
にふれ
歩
(
ある
)
く、
415
悪垂
(
あくた
)
れ
婆
(
ばば
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
。
416
リヽヽ、
417
悧巧相
(
りかうさう
)
な
事
(
こと
)
ばかり
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
るが、
418
テンで
理窟
(
りくつ
)
にも
何
(
なん
)
にも、
419
お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はなつて
居
(
を
)
らぬぢやないか。
420
ルヽヽ、
421
留守
(
るす
)
の
家
(
うち
)
へ
剛情
(
がうじやう
)
ばつて
押入
(
おしい
)
らうとし、
422
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
に
剣突
(
けんつく
)
をくわされて
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
したヘボ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
423
レヽヽ、
424
連木
(
れんぎ
)
で
腹
(
はら
)
を
切
(
き
)
れと
云
(
い
)
ふやうな、
425
脅
(
おど
)
し
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べて
信者
(
しんじや
)
を
引込
(
ひきこ
)
まうと
致
(
いた
)
しても、
426
そんな
事
(
こと
)
を
食
(
く
)
ふやうな
馬鹿者
(
ばかもの
)
は
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
只
(
ただ
)
の
一人
(
ひとり
)
もありはせぬぞよ。
427
ロヽヽ、
428
碌
(
ろく
)
でもない
真似
(
まね
)
をするよりも、
429
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
聖地
(
せいち
)
へ
立帰
(
たちかへ
)
り、
430
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して
神妙
(
しんめう
)
に
神
(
かみ
)
の
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
すがよからう。
431
ワヽヽ、
432
分
(
わか
)
り
切
(
き
)
つたる
団子
(
だんご
)
理窟
(
りくつ
)
を
並
(
なら
)
べて、
433
人
(
ひと
)
を
煙
(
けぶり
)
に
巻
(
ま
)
く
434
ヰヽヽ、
435
イカサマ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
436
そこら
中
(
ぢう
)
を
437
ウヽヽ、
438
ウロつき
廻
(
まは
)
つて、
439
いつも
糞
(
ばば
)
をたれ
440
ヱヽヽ、
441
枝
(
えだ
)
の
神
(
かみ
)
と
知
(
し
)
らずに、
442
根本
(
こつぽん
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
ぢやと
誤解
(
ごかい
)
を
致
(
いた
)
し
443
ヲヽヽ、
444
おめも
恐
(
おそ
)
れも
致
(
いた
)
さず、
445
世界
(
せかい
)
を
股
(
また
)
にかけて、
446
法螺
(
ほら
)
吹
(
ふ
)
きまはる、
447
ガラクタ
宣伝使
(
せんでんし
)
、
448
口
(
くち
)
の
悪
(
わる
)
い
神
(
かみ
)
ぢやと
申
(
まを
)
すであらうが、
449
昔
(
むかし
)
からスツポンに
尻
(
しり
)
を
抜
(
ぬ
)
かれた
様
(
やう
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があらうがな。
450
其
(
その
)
方
(
はう
)
が
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
のスツポンと
認
(
みと
)
めた
此
(
この
)
方
(
はう
)
が、
451
其
(
その
)
方
(
はう
)
が
悪事
(
あくじ
)
の
一切
(
いつさい
)
をスツポ
抜
(
ぬ
)
いてやりたぞよ。
452
ウヽヽ、
453
ブルブルブルブル』
454
高姫
(
たかひめ
)
『なゝゝ、
455
何
(
なん
)
でも
碌
(
ろく
)
な
奴
(
やつ
)
ぢやないと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたら、
456
とうとう
鼈
(
すつぽん
)
ぢやと
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
しよつた。
457
にゝゝ、
458
二
(
に
)
人
(
にん
)
の
家来
(
けらい
)
共
(
ども
)
、
459
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
眼力
(
がんりき
)
を
見
(
み
)
て
感心
(
かんしん
)
したであらうなア。
460
ぬゝゝ、
461
抜
(
ぬ
)
かつた
面付
(
つらつき
)
では
到底
(
たうてい
)
こんな
時
(
とき
)
に
出会
(
でつくは
)
したら、
462
到底
(
たうてい
)
審神
(
さには
)
は
出来
(
でき
)
ませぬぞえ。
463
ねゝゝ、
464
熱心
(
ねつしん
)
にお
筆先
(
ふでさき
)
を
研究
(
けんきう
)
なさいと
云
(
い
)
ふのは、
465
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
に
間
(
ま
)
に
合
(
あは
)
す
為
(
ため
)
ぢやぞえ。
466
常公
(
つねこう
)
、
467
春公
(
はるこう
)
、
468
どうだえ、
469
分
(
わか
)
つたかなア。
470
のゝゝ、
471
野天狗
(
のてんぐ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
仕
(
し
)
られておつてはサツパリ
駄目
(
だめ
)
ですよ。
472
はゝゝ、
473
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して、
474
高姫
(
たかひめ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りにしなさいや。
475
ひゝゝ、
476
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
間違
(
まちが
)
ひないぞえ。
477
ふゝゝ、
478
不足
(
ふそく
)
があるなら、
479
何
(
なん
)
ぼなつと
仰有
(
おつしや
)
れ、
480
どんな
事
(
こと
)
でも
説
(
と
)
き
聞
(
き
)
かして、
481
得心
(
とくしん
)
さして
上
(
あ
)
げる。
482
へゝゝ、
483
返答
(
へんたふ
)
は
如何
(
どう
)
だえ、
484
常公
(
つねこう
)
、
485
春公
(
はるこう
)
。
486
ほゝゝ、
487
呆
(
はう
)
け
面
(
づら
)
して
何
(
なに
)
うつそりして
居
(
を
)
るのだ。
488
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
のスツポン
神
(
がみ
)
がそれ
程
(
ほど
)
恐
(
おそ
)
ろしいのかい。
489
まゝゝ、
490
まさかの
時
(
とき
)
の
杖
(
つゑ
)
となり、
491
力
(
ちから
)
となるのは
誠
(
まこと
)
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
ぢやぞえ。
492
みゝゝ、
493
身欲
(
みよく
)
信心
(
しんじん
)
計
(
ばか
)
り
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ると、
494
肝腎
(
かんじん
)
の
時
(
とき
)
になりて、
495
アフンと
致
(
いた
)
さねばならぬぞえ。
496
むゝゝ、
497
昔
(
むかし
)
からの
根本
(
こつぽん
)
の
因縁
(
いんねん
)
を
知
(
し
)
つた
者
(
もの
)
は、
498
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
高姫
(
たかひめ
)
丈
(
だけ
)
よりないのだから、
499
今日
(
けふ
)
からスツパリと
心
(
こころ
)
を
立直
(
たてなほ
)
して、
500
絶対
(
ぜつたい
)
に
服従
(
ふくじゆう
)
するのだよ。
501
めゝゝ、
502
めつたに
神
(
かみ
)
は
嘘
(
うそ
)
は
申
(
まを
)
さぬぞえ。
503
これが
違
(
ちが
)
うたら、
504
神
(
かみ
)
は
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
居
(
を
)
らぬぞえ。
505
世
(
よ
)
の
変
(
かは
)
り
目
(
め
)
、
506
世界
(
せかい
)
の
事
(
こと
)
を
人民
(
じんみん
)
に
説
(
と
)
いてきかさねばならぬから、
507
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
昔
(
むかし
)
からの
尊
(
たふと
)
い
因縁
(
いんねん
)
があつて
筆先
(
ふでさき
)
を
書
(
か
)
かせ、
508
口
(
くち
)
で
言
(
い
)
はせ、
509
人民
(
じんみん
)
を
改心
(
かいしん
)
さす
役
(
やく
)
に、
510
神
(
かみ
)
がお
使
(
つか
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るのだ。
511
しつかり
聞
(
き
)
いておきなされや。
512
メヽヽ、
513
目
(
め
)
から
鼻
(
はな
)
迄
(
まで
)
つきぬけるやうな、
514
先
(
さき
)
の
見
(
み
)
えすく
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
515
メツタに
間違
(
まちがひ
)
はありませぬぞえ。
516
もゝゝ、
517
盲碌神
(
まうろくがみ
)
を
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
と
信
(
しん
)
じて
盲従
(
まうじゆう
)
して
居
(
を
)
ると、
518
取返
(
とりかへ
)
しのならぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ますぞえ。
519
やゝゝ、
520
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
に
一事
(
ひとこと
)
でも
横槍
(
よこやり
)
を
入
(
い
)
れて
見
(
み
)
よれ、
521
其
(
その
)
場
(
ば
)
で
見
(
み
)
せしめを
致
(
いた
)
すとお
筆
(
ふで
)
に
現
(
あら
)
はれて
居
(
を
)
るぞえ。
522
ゐゝゝ、
523
幾
(
いく
)
ら
云
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かしても、
524
生
(
うま
)
れ
付
(
つき
)
の
魂
(
たま
)
が
悪
(
わる
)
いのだから、
525
云
(
い
)
ひごたへがないけれど、
526
云
(
い
)
ふは
云
(
い
)
はぬにいやまさる。
527
お
前
(
まへ
)
が
可愛相
(
かあいさう
)
だから、
528
チツト
計
(
ばか
)
り
改心
(
かいしん
)
の
為
(
ため
)
に
言
(
い
)
うておくぞえ。
529
ゆゝゝ、
530
幽霊
(
いうれい
)
のやうにあちらへブラブラ、
531
此方
(
こちら
)
へブラブラと
能
(
よ
)
う
気
(
き
)
の
変
(
かは
)
る、
532
落
(
おち
)
つかぬ
身魂
(
みたま
)
では
到底
(
たうてい
)
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
の
一端
(
いつたん
)
に
加
(
くは
)
へて
貰
(
もら
)
ふ
事
(
こと
)
は
六
(
むつ
)
かしいから、
533
余程
(
よほど
)
腹帯
(
はらおび
)
をしつかりしめなされ。
534
ゑゝゝ、
535
えぐたらしい、
536
高姫
(
たかひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
と
思
(
おも
)
はずに、
537
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
救
(
すく
)
ひの
言葉
(
ことば
)
だと
有難
(
ありがた
)
く
思
(
おも
)
つて
戴
(
いただ
)
きなさい。
538
よゝゝ、
539
余程
(
よつぽど
)
お
前
(
まへ
)
は
身魂
(
みたま
)
が
曇
(
くも
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
540
一寸
(
ちよつと
)
やソツとに
研
(
みが
)
きかけが
致
(
いた
)
さぬので、
541
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
も
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れるぞえ。
542
らゝゝ、
543
楽
(
らく
)
の
方
(
はう
)
へ
行
(
ゆ
)
かうとお
前
(
まへ
)
はするから、
544
牛童丸
(
うしどうまる
)
とやらに
気
(
き
)
を
引
(
ひ
)
かれて、
545
牛
(
うし
)
に
乗
(
の
)
せられたのだよ。
546
りゝゝ、
547
理窟
(
りくつ
)
云
(
い
)
ふのは
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
止
(
や
)
めなされや。
548
これ
丈
(
だけ
)
、
549
神力
(
しんりき
)
を
受
(
う
)
けた
能弁家
(
のうべんか
)
の
高姫
(
たかひめ
)
に
対
(
たい
)
しては、
550
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
うても
駄目
(
だめ
)
だからなア。
551
るゝゝ、
552
累卵
(
るゐらん
)
の
如
(
ごと
)
く
危
(
あやふ
)
くなつた
此
(
この
)
暗雲
(
やみくも
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を、
553
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
潰
(
つぶ
)
れぬ
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
に
立直
(
たてなほ
)
さねばならぬ
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
だから、
554
並
(
なみ
)
や
大抵
(
たいてい
)
の
艱難
(
かんなん
)
や
苦労
(
くらう
)
では
勤
(
つと
)
め
上
(
あが
)
りませぬぞえ。
555
れゝゝ、
556
蓮華
(
れんげ
)
の
花
(
はな
)
はあの
汚
(
きたな
)
い
泥
(
どろ
)
の
中
(
なか
)
から、
557
パツと
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
いて、
558
香
(
かう
)
ばしい
香
(
にほひ
)
を
現
(
あら
)
はすぢやないか。
559
それに
能
(
よ
)
く
似
(
に
)
た
身魂
(
みたま
)
は
誰
(
たれ
)
ぢやと
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
なさる。
560
ろゝゝ、
561
論
(
ろん
)
より
証拠
(
しようこ
)
、
562
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
のスツポン
神
(
がみ
)
でもへこました、
563
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
さまの
事
(
こと
)
ぢやぞえ。
564
わゝゝ、
565
吾身
(
わがみ
)
良
(
よ
)
かれの
信心
(
しんじん
)
許
(
ばか
)
り
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ると、
566
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
きかんに
叶
(
かな
)
はぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
て、
567
ジリジリ
舞
(
まひ
)
を
致
(
いた
)
して
逆
(
さか
)
トンボリを
打
(
う
)
たねばならぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るから、
568
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
なされよ。
569
ゐゝゝ、
570
威張
(
ゐば
)
りちらして、
571
意地
(
いぢ
)
くね
悪
(
わる
)
く、
572
国依別
(
くによりわけ
)
から
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
をきかして
貰
(
もら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
573
いつ
迄
(
まで
)
もイチヤイチヤと
申
(
まを
)
して、
574
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
報告
(
はうこく
)
せぬ
様
(
やう
)
ないけ
好
(
す
)
かない、
575
奴根性
(
どこんじやう
)
は
綺麗
(
きれい
)
サツパリと
立直
(
たてなほ
)
して、
576
これから
素直
(
すなほ
)
に
白状
(
はくじやう
)
するのだぞえ。
577
うゝゝ、
578
売言葉
(
うりことば
)
に
買言葉
(
かひことば
)
と
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
に、
579
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
一口
(
ひとくち
)
お
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
事
(
こと
)
を
申
(
もう
)
せば、
580
すぐに
何
(
なん
)
だかんだと
小理窟
(
こりくつ
)
を
申
(
まを
)
すが、
581
これから
其
(
その
)
態度
(
たいど
)
をスツクリと
改
(
あらた
)
めなされや。
582
ゑゝゝ、
583
偉相
(
えらさう
)
に
云
(
い
)
ふぢやなけれど、
584
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
585
ヤツパリ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
楯
(
たて
)
つく
者
(
もの
)
は、
586
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
一人
(
ひとり
)
もなからうがな。
587
をゝゝ、
588
お
前
(
まへ
)
も、
589
今日
(
けふ
)
が
善
(
ぜん
)
になるか、
590
悪
(
あく
)
になるかの
境目
(
さかひめ
)
だ。
591
善
(
ぜん
)
になりたければ、
592
国依別
(
くによりわけ
)
から
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
つた
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
をチヤツと
言
(
い
)
ひなされ。
593
渋
(
しぶ
)
とう
致
(
いた
)
すと
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
帳面
(
ちやうめん
)
につけておきますぞえ。
594
常彦
(
つねひこ
)
はこれこれの
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
し、
595
神
(
かみ
)
に
叛
(
そむ
)
いた
悪人
(
あくにん
)
だと、
596
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
筆先
(
ふでさき
)
に
末代
(
まつだい
)
書残
(
かきのこ
)
しますぞや』
597
常彦
(
つねひこ
)
『アハヽヽヽ、
598
黙
(
だま
)
つて
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
れば、
599
随分
(
ずゐぶん
)
あなたも
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
の
神
(
かみ
)
の
真似
(
まね
)
が
上手
(
じやうづ
)
ですな。
600
とうとう
五十音
(
ごじふおん
)
を
並
(
なら
)
べなさつた。
601
それ
程
(
ほど
)
の
頬桁
(
ほほげた
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
れば、
602
世界中
(
せかいぢう
)
に
阿呆
(
あほ
)
らしうて、
603
一人
(
ひとり
)
も
楯突
(
たてつ
)
く
者
(
もの
)
はありませぬワ。
604
ウツフヽヽヽ、
605
……のう
春彦
(
はるひこ
)
、
606
お
前
(
まへ
)
も
感心
(
かんしん
)
しただらうのう』
607
春彦
(
はるひこ
)
『イヤもう、
608
ズツトズツト
感心
(
かんしん
)
しました。
609
ホンに
能
(
よ
)
うまはる
口車
(
くちぐるま
)
だなア。
610
……
時
(
とき
)
に
高姫
(
たかひめ
)
さま、
611
これ
丈
(
だけ
)
沢山
(
たくさん
)
のお
玉
(
たま
)
がつみ
上
(
あ
)
げてあるのに、
612
目的
(
もくてき
)
の
御
(
お
)
宝
(
たから
)
はないやうですな』
613
高姫
(
たかひめ
)
『ここはホンの
露店
(
ろてん
)
だから、
614
どうで
良
(
よ
)
い
物
(
もの
)
はこんな
所
(
ところ
)
に
雨曬
(
あまざら
)
しにしてあるものか。
615
キツと
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
の
中
(
なか
)
に
隠
(
かく
)
してあるにきまつてゐる。
616
これから
高姫
(
たかひめ
)
が
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
へ
行
(
い
)
つて
取調
(
とりしら
)
べて
来
(
く
)
るのだ』
617
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
618
『ブクブクブクブク』
619
と
泡立
(
あわた
)
ち
上
(
あが
)
り、
620
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で、
621
声
『アツハヽヽ、
622
阿呆
(
あほ
)
らしい、
623
そんな
物
(
もの
)
があつてたまるかい。
624
イヒヽヽ、
625
何時
(
いつ
)
までも
何時
(
いつ
)
までも
執念深
(
しふねんぶか
)
い
婆
(
ばば
)
アだなア。
626
ウフヽヽ、
627
うるさい
婆
(
ばば
)
アだ。
628
モウいゝ
加減
(
かげん
)
に
此処
(
ここ
)
を
立退
(
たちの
)
かぬか』
629
高姫
(
たかひめ
)
『エー、
630
やかましいワイナ。
631
スツポンはスツポンらしくスツ
込
(
こ
)
んでゐなさい。
632
オヽヽお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
嘴
(
くち
)
を
容
(
い
)
れる
所
(
ところ
)
ぢやありませぬぞえ』
633
常彦
(
つねひこ
)
『モシモシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
634
いゝ
加減
(
かげん
)
にしておきなさらぬかいな。
635
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
怒
(
おこ
)
られたら
仕方
(
しかた
)
がありませぬで』
636
高姫
(
たかひめ
)
『
怒
(
いか
)
る
勿
(
なか
)
れと
云
(
い
)
ふ
神界
(
しんかい
)
の
律法
(
りつぽふ
)
がチヤンとありますワイナ。
637
ここで
怒
(
おこ
)
る
様
(
やう
)
な
神
(
かみ
)
なら、
638
それこそ
悪神
(
あくがみ
)
ですよ』
639
常彦
(
つねひこ
)
『さうすると、
640
貴女
(
あなた
)
はヤツパリ、
641
悪神
(
あくがみ
)
ですか』
642
高姫
(
たかひめ
)
は
目
(
め
)
を
釣
(
つ
)
り
上
(
あ
)
げ
面
(
つら
)
をふくらし、
643
高姫
(
たかひめ
)
『コレ、
644
常彦
(
つねひこ
)
、
645
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
る。
646
私
(
わたし
)
がどこが
悪神
(
あくがみ
)
だ。
647
モウ
了見
(
れうけん
)
しませぬぞえ』
648
と
胸倉
(
むなぐら
)
をグツと
掴
(
つか
)
む。
649
常彦
(
つねひこ
)
『それだから
悪神
(
あくがみ
)
ぢやと
云
(
い
)
ふのですよ。
650
直
(
すぐ
)
に
怒
(
おこ
)
るぢやありませぬか』
651
高姫
(
たかひめ
)
『
私
(
わたし
)
がどこに
怒
(
おこ
)
りました。
652
チート
体
(
からだ
)
を
急
(
きふ
)
に
動
(
うご
)
かしたり、
653
声
(
こゑ
)
を
高
(
たか
)
うした
丈
(
だけ
)
の
事
(
こと
)
ぢやありませぬか。
654
これでもお
前
(
まへ
)
の
目
(
め
)
から
見
(
み
)
ると
怒
(
おこ
)
つたやうに
見
(
み
)
えますかな』
655
春彦
(
はるひこ
)
『アハヽヽヽ』
656
高姫
(
たかひめ
)
『コレ
春彦
(
はるひこ
)
、
657
何
(
なに
)
が
可笑
(
をか
)
しいのだ。
658
チト
心得
(
こころえ
)
なされ』
659
春彦
(
はるひこ
)
『アハヽヽヽ、
660
イヒヽヽヽ、
661
ウフヽヽヽ、
662
エヘヽヽヽ、
663
オホヽヽヽ、
664
怒
(
おこ
)
つた
怒
(
おこ
)
つた。
665
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い。
666
恐
(
おそ
)
ろしい
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
だ』
667
高姫
(
たかひめ
)
『コレ
春彦
(
はるひこ
)
、
668
シツカリしなさらぬかいな。
669
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
のスツポン
神
(
がみ
)
の
世迷言
(
よまいごと
)
が
伝染
(
でんせん
)
しかけましたよ』
670
春彦
(
はるひこ
)
『タヽヽヽヽ、
671
高姫
(
たかひめ
)
さまの
世迷言
(
よまいごと
)
が、
672
チヽヽチツと
計
(
ばか
)
り
伝染
(
でんせん
)
致
(
いた
)
しました、
673
ウフヽヽヽ』
674
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ、
675
国
(
くに
)
、
676
玉
(
たま
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
を
守
(
まも
)
りつつ、
677
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれた。
678
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
『お
前
(
まへ
)
さまは
何処
(
どこ
)
の
方
(
かた
)
か
知
(
し
)
りませぬが、
679
此
(
この
)
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
へお
参
(
まゐ
)
りになるのならば、
680
一応
(
いちおう
)
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
に
伺
(
うかが
)
つた
上
(
うへ
)
の
事
(
こと
)
にして
下
(
くだ
)
さらぬと、
681
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が、
682
大変
(
たいへん
)
に
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
遊
(
あそ
)
ばしては
困
(
こま
)
りますから、
683
チト
心得
(
こころえ
)
て
下
(
くだ
)
されや』
684
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
は
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
とやらの
神司
(
かむづかさ
)
だと、
685
今
(
いま
)
仰有
(
おつしや
)
つたが、
686
此
(
この
)
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
の
神
(
かみ
)
が、
687
それ
程
(
ほど
)
恐
(
おそ
)
ろしいのかい。
688
此奴
(
こいつ
)
アお
前
(
まへ
)
、
689
偉相
(
えらさう
)
に
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
だなんて
言
(
い
)
つて
居
(
を
)
るが、
690
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
の
劫
(
がふ
)
を
経
(
へ
)
たスツポンのお
化
(
ば
)
けだよ。
691
いゝ
加減
(
かげん
)
に
迷信
(
めいしん
)
しておきなさい。
692
これから
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
へ
行
(
い
)
つて、
693
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
を、
694
昔
(
むかし
)
の
根本
(
こつぽん
)
から
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かして
上
(
あ
)
げませうぞ。
695
コレ
御覧
(
ごらん
)
なさい。
696
今
(
いま
)
此
(
この
)
石
(
いし
)
を
一
(
ひと
)
つ
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
へぶち
込
(
こ
)
んで
見
(
み
)
ませうか。
697
キツとスツポンが
浮上
(
うきあが
)
つて
来
(
き
)
ますよ』
698
国玉依
(
くにたまより
)
『
何
(
な
)
んと
云
(
い
)
ふ
乱暴
(
らんばう
)
なことを、
699
お
前
(
まへ
)
さまは
宣伝使
(
せんでんし
)
であり
乍
(
なが
)
ら
言
(
い
)
ふのですか。
700
チツと
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
ではありませぬか』
701
高姫
(
たかひめ
)
『マア
論
(
ろん
)
より
証拠
(
しようこ
)
だ。
702
御覧
(
ごらん
)
なさい』
703
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
704
堆
(
うづたか
)
く
積
(
つ
)
みあげたる
玉
(
たま
)
の
形
(
かたち
)
したる
石
(
いし
)
を
右手
(
めて
)
に
握
(
と
)
り、
705
ドブンと
計
(
ばか
)
り
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだ。
706
忽
(
たちま
)
ち
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
より
烈
(
はげ
)
しき
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
、
707
大地
(
だいち
)
は
大地震
(
だいぢしん
)
の
如
(
ごと
)
く
震
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
し、
708
高姫
(
たかひめ
)
は
真青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
になり、
709
ビリビリと
慄
(
ふる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
710
叶
(
かな
)
はぬ
時
(
とき
)
の
神頼
(
かみだの
)
みと
云
(
い
)
つた
様
(
やう
)
に、
711
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
712
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
平太張
(
へたば
)
つて
了
(
しま
)
つた。
713
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
を
始
(
はじ
)
め、
714
国
(
くに
)
、
715
玉
(
たま
)
の
従者
(
じゆうしや
)
並
(
ならび
)
に
常彦
(
つねひこ
)
、
716
春彦
(
はるひこ
)
は
平気
(
へいき
)
の
平左
(
へいざ
)
で、
717
此
(
この
)
音響
(
おんきやう
)
を
音楽
(
おんがく
)
を
聞
(
き
)
く
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
で、
718
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
し
感謝
(
かんしや
)
し
居
(
ゐ
)
たり。
719
高姫
(
たかひめ
)
は
益々
(
ますます
)
慄
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
し、
720
歯
(
は
)
を
喰
(
く
)
ひ
締
(
し
)
め、
721
歯
(
は
)
の
間
(
あい
)
から
赤
(
あか
)
い
血
(
ち
)
をにじり
出
(
だ
)
し、
722
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
き
居
(
ゐ
)
たりける。
723
(
大正一一・八・一一
旧六・一九
松村真澄
録)
724
(昭和一〇・六・八 王仁校正)
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【第8章 高姫慴伏|第29巻|海洋万里|霊界物語|/rm2908】
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