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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
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海洋万里(第25~36巻)
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第29巻(辰の巻)
> 第2篇 石心放告 > 第10章 国治の国
<<< 俄狂言
(B)
(N)
日出姫 >>>
第一〇章
国治
(
くにはる
)
の
国
(
くに
)
〔八三二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第2篇 石心放告
よみ(新仮名遣い):
せきしんほうこく
章:
第10章 国治の国
よみ(新仮名遣い):
くにはるのくに
通し章番号:
832
口述日:
1922(大正11)年08月12日(旧06月20日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
皆が不思議そう自分の顔を眺めているのに気分を害し、憎まれ口を叩き出した。勝手に言依別命がここに玉を隠したと邪推し、独り悦にいって居丈高に演説をしている。
国玉依別は高姫の誤解を解こうと懸橋御殿の由来を説く。しかし高姫は、竜国別が黄金の玉を持って行ったということを聞くと、国玉依別が騙されたのだ、と言って馬鹿にする。これを聞いてさすがの国玉依別も、鷹依姫の方が高姫よりも幾倍も立派だったと言って抗弁する。
なおも憎まれ口を叩く高姫に対し、国玉依別は退去を願うが、逆に高姫は生き宮の自分が懸橋御殿に納まるから出て行けと罵る。国玉依別は、これ以上関わりあうのは自分たちの品性を落としてしまうと思い、高姫にしばらく逗留するようにと言い残して別館に去って行った。
国玉依別夫婦が退場したことで、高姫はますます口車に拍車がかかり、奉仕者たちに玉を出せと無理を言い出した。
奉仕者の一人・国は、高姫が大層な大義を掲げる割には、形のある玉に執着する点を指摘して、高姫をへこました。そして高姫の理屈のおかしさを指摘してやり合うと、いろは歌を滑稽に歌いながら高姫をやり込めた。
最後に、宝玉は自転倒島の冠島・沓島にあると告げると、ドスンと飛び上がって、神懸りから元に戻ったようになった。高姫は偽神懸りだと言ってつかつかと神殿に駆け寄った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-27 17:58:49
OBC :
rm2910
愛善世界社版:
146頁
八幡書店版:
第5輯 518頁
修補版:
校定版:
148頁
普及版:
67頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
一同
(
いちどう
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
さうな
顔
(
かほ
)
をして
高姫
(
たかひめ
)
を
見
(
み
)
つめ
居
(
ゐ
)
るに、
002
何
(
なん
)
となく
気分
(
きぶん
)
面白
(
おもしろ
)
からず、
003
又
(
また
)
もやソロソロ
憎
(
にく
)
まれ
口
(
ぐち
)
を
叩
(
たた
)
き
出
(
だ
)
した。
004
高姫
(
たかひめ
)
『あのマア
折角
(
せつかく
)
言依別
(
ことよりわけ
)
や
国依別
(
くによりわけ
)
と
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せ、
005
ウマウマとこんな
御殿
(
ごてん
)
を
造
(
つく
)
りて、
006
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
のお
宝
(
たから
)
を
隠
(
かく
)
し、
007
よもや
高姫
(
たかひめ
)
はこんな
所迄
(
ところまで
)
、
008
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひかけて
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
はないと
安心
(
あんしん
)
をして
厶
(
ござ
)
つたのに、
009
梟鳥
(
ふくろどり
)
が
夜食
(
やしよく
)
に
外
(
はづ
)
れたやうな、
010
皆
(
みな
)
さまのあのむつかしい
顔
(
かほ
)
ワイの。
011
ホヽヽヽヽ、
012
……
悪
(
あく
)
は
一旦
(
いつたん
)
は
思惑
(
おもわく
)
が
立
(
た
)
つやうなけれど、
013
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
まで
行
(
い
)
つた
所
(
ところ
)
でクレンと
返
(
かへ
)
してやるぞよと、
014
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
のお
筆先
(
ふでさき
)
に
出
(
で
)
てゐませうがな。
015
善
(
ぜん
)
は
苦労
(
くらう
)
が
永
(
なが
)
くて
分
(
わか
)
るのが
遅
(
おそ
)
いけれど、
016
分
(
わか
)
りて
来
(
き
)
たら、
017
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
しほれぬ
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
くぞよと、
018
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
のお
筆先
(
ふでさき
)
に
出
(
で
)
て
居
(
を
)
りますぞえ。
019
チツト
四股
(
しこ
)
を
入
(
い
)
れてお
筆先
(
ふでさき
)
をいただきなさい。
020
何程
(
なんぼ
)
われ
程
(
ほど
)
偉
(
えら
)
い
者
(
もの
)
はない、
021
甘
(
うま
)
く
高姫
(
たかひめ
)
を
瞞
(
だま
)
してやつた、
022
ここに
納
(
をさ
)
めておけば、
023
堅城
(
けんじやう
)
鉄壁
(
てつぺき
)
と
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つても、
024
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
遠近
(
ゑんきん
)
、
025
明暗
(
めいあん
)
、
026
広狭
(
くわうけふ
)
の
区別
(
くべつ
)
なく、
027
一目
(
ひとめ
)
に
見
(
み
)
すかして
御座
(
ござ
)
るから、
028
到底
(
たうてい
)
悪
(
あく
)
の
企
(
たく
)
みは
長続
(
ながつづ
)
きは
致
(
いた
)
しませぬぞえ。
029
素直
(
すなほ
)
に
改心
(
かいしん
)
するのが、
030
お
主
(
ぬし
)
のお
得策
(
とく
)
だ。
031
サア、
032
早
(
はや
)
く
玉番
(
たまばん
)
さま、
033
素直
(
すなほ
)
にお
出
(
だ
)
しなされ。
034
素直
(
すなほ
)
にさへすれば、
035
どう
云
(
い
)
ふ
深
(
ふか
)
い
罪科
(
つみとが
)
でも、
036
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がお
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいますぞや』
037
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
『これはこれは
存
(
ぞん
)
じもよらぬ
迷惑
(
めいわく
)
で
御座
(
ござ
)
る。
038
私
(
わたくし
)
はヒルの
国
(
くに
)
テーナの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
アール、
039
アルナと
云
(
い
)
ふ
夫婦者
(
ふうふもの
)
で
御座
(
ござ
)
いまして、
040
祖先
(
そせん
)
代々
(
だいだい
)
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
を
信
(
しん
)
じ、
041
朝夕
(
あさゆふ
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
給仕
(
きふじ
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
る
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
042
所
(
ところ
)
が
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
さまが
再
(
ふたた
)
び
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
うて、
043
玉
(
たま
)
を
献
(
けん
)
じたき
者
(
もの
)
は、
044
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
持来
(
もちきた
)
れよと
御
(
ご
)
宣示
(
せんじ
)
あらせられると
聞
(
き
)
き、
045
先祖
(
せんぞ
)
代々
(
だいだい
)
より
大切
(
たいせつ
)
に
保護
(
ほご
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
つた
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
献上
(
けんじやう
)
せむと、
046
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
へ
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば、
047
竜国別
(
たつくにわけ
)
と
云
(
い
)
ふ
審神者
(
さには
)
様
(
さま
)
や、
048
テーリスタン、
049
カーリンスと
云
(
い
)
ふお
側付
(
そばつき
)
、
050
それに
又
(
また
)
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
勿体
(
もつたい
)
ない、
051
お
婆
(
ば
)
アさまの
姿
(
すがた
)
となり、
052
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
うて、
053
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
に
尊
(
たふと
)
き
名
(
な
)
を
賜
(
たま
)
はり、
054
それより
朝夕
(
あさゆふ
)
神
(
かみ
)
のお
道
(
みち
)
を
宣伝
(
せんでん
)
致
(
いた
)
し、
055
遂
(
つひ
)
には
信者
(
しんじや
)
の
真心
(
まごころ
)
に
依
(
よ
)
つて、
056
かような
立派
(
りつぱ
)
な
御殿
(
ごてん
)
迄
(
まで
)
出来上
(
できあが
)
り、
057
吾々
(
われわれ
)
は
朝夕
(
あさゆふ
)
に
真心
(
まごころ
)
をこめて
神前
(
しんぜん
)
にお
仕
(
つか
)
へいたしてをる
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
058
玉
(
たま
)
と
申
(
もう
)
せば
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
傍
(
かたはら
)
に
積
(
つ
)
み
重
(
かさ
)
ねてあるもの
許
(
ばか
)
り、
059
そして
吾々
(
われわれ
)
の
献
(
たてまつ
)
つた
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
は
竜国別
(
たつくにわけ
)
様
(
さま
)
がお
持帰
(
もちかへ
)
りになり、
060
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
瑪瑙
(
めなう
)
の
玉
(
たま
)
を
御
(
ご
)
神体
(
しんたい
)
とし、
061
此
(
この
)
御
(
ご
)
神殿
(
しんでん
)
に
祀
(
まつ
)
つて
御座
(
ござ
)
います。
062
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
とか
麻邇
(
まに
)
の
玉
(
たま
)
とかは、
063
此処
(
ここ
)
に
祭
(
まつ
)
つてをりませぬ。
064
又
(
また
)
私共
(
わたくしども
)
は
拝
(
をが
)
んだこともありませぬ。
065
もし
其
(
その
)
玉
(
たま
)
をお
捜
(
さが
)
しならば、
066
外
(
ほか
)
をお
捜
(
さが
)
し
下
(
くだ
)
さい。
067
ここには
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
左様
(
さやう
)
な
玉
(
たま
)
は
一個
(
いつこ
)
もありませぬ』
068
高姫
(
たかひめ
)
『
何
(
なに
)
、
069
竜国別
(
たつくにわけ
)
が
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
つたとは、
070
ソラ
何時
(
いつ
)
のこつて
御座
(
ござ
)
いますか。
071
そして、
072
テー、
073
カー、
074
の
両人
(
りやうにん
)
が
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
て
居
(
を
)
りましたかなア。
075
お
前
(
まへ
)
の
目
(
め
)
に
婆
(
ばば
)
アの
生神
(
いきがみ
)
と
見
(
み
)
えたのは、
076
そりやキツと
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
母親
(
ははおや
)
で
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
身魂
(
みたま
)
の
大変
(
たいへん
)
に
悪
(
わる
)
い
婆
(
ばば
)
ですよ。
077
ヨウお
前
(
まへ
)
も
騙
(
だま
)
されたものだなア。
078
オツホヽヽヽ』
079
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
『
鰯
(
いわし
)
の
頭
(
あたま
)
も
信心
(
しんじん
)
からと
申
(
まを
)
しまして、
080
何程
(
なにほど
)
だまされても、
081
神徳
(
しんとく
)
さへ
立
(
た
)
てば
結構
(
けつこう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
082
私
(
わたくし
)
の
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
は
一通
(
ひととほり
)
や
二通
(
ふたとほり
)
で
神界
(
しんかい
)
へ
入
(
い
)
れて
貰
(
もら
)
ふことは
出来
(
でき
)
ませぬから、
083
いろいろと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
人
(
ひと
)
の
手
(
て
)
をかり、
084
口
(
くち
)
をかつて
導
(
みちび
)
いて
下
(
くだ
)
さつたのだと、
085
朝夕
(
あさゆふ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
感謝
(
かんしや
)
いたしてをります。
086
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまは
悪人
(
あくにん
)
かは
知
(
し
)
りませぬが、
087
こう
申
(
まを
)
してはすみませぬが、
088
お
前
(
まへ
)
さまに
比
(
くら
)
ぶれば、
089
幾層倍
(
いくそうばい
)
と
知
(
し
)
れぬ
人格
(
じんかく
)
の
高
(
たか
)
いお
婆
(
ば
)
アさまでした。
090
あの
人
(
ひと
)
ならば、
091
私
(
わたくし
)
は
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
だと
仰有
(
おつしや
)
つても
誰一人
(
たれひとり
)
疑
(
うたが
)
ふ
者
(
もの
)
はありませぬ。
092
お
前
(
まへ
)
さまは
何程
(
なにほど
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
だと
自家
(
じか
)
広告
(
くわうこく
)
をなさつても、
093
私
(
わたし
)
のやうな
素人
(
しろうと
)
の
目
(
め
)
より
見
(
み
)
れば、
094
如何
(
どう
)
しても
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
容物
(
いれもの
)
とより
見
(
み
)
えませぬ。
095
すべて
縁
(
えん
)
は
合縁
(
あひえん
)
奇縁
(
きえん
)
と
申
(
まを
)
しまして、
096
虫
(
むし
)
の
好
(
す
)
く
方
(
かた
)
と
虫
(
むし
)
の
好
(
す
)
かぬものと
御座
(
ござ
)
います。
097
アハヽヽヽ』
098
と
円滑
(
ゑんくわつ
)
な
辞令
(
じれい
)
を
以
(
もつ
)
て、
099
高姫
(
たかひめ
)
を
罵倒
(
ばたふ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
100
高姫
(
たかひめ
)
『ヘン、
101
あなたのお
目
(
め
)
は
偉
(
えら
)
いものですな。
102
悪魔
(
あくま
)
は
光明
(
くわうみやう
)
を
忌
(
い
)
み、
103
悪人
(
あくにん
)
は
善人
(
ぜんにん
)
を
嫌
(
きら
)
ふとやら、
104
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
はようしたものだ。
105
……お
前
(
まへ
)
嫌
(
いや
)
でも
又
(
また
)
好
(
す
)
く
人
(
ひと
)
が、
106
なけりや
私
(
わたし
)
の
身
(
み
)
が
立
(
た
)
たぬ、
107
捨
(
す
)
てる
神
(
かみ
)
があれば、
108
拾
(
ひろ
)
ふ
神
(
かみ
)
もある。
109
お
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らねばモウ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
居
(
を
)
つてやりませぬぞえ』
110
国玉
(
くにたま
)
『ハイどうぞお
願
(
ねが
)
ひで
御座
(
ござ
)
います。
111
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
居
(
を
)
つてやらぬ
様
(
やう
)
になさつて
下
(
くだ
)
さいませ。
112
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します』
113
高姫
(
たかひめ
)
『ナニ、
114
お
前
(
まへ
)
は
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
の
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
さうと
云
(
い
)
ふのかい。
115
此
(
この
)
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
物
(
もの
)
、
116
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
は
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
117
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
と
現
(
あら
)
はれて、
118
世界
(
せかい
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
を
遊
(
あそ
)
ばす、
119
其
(
その
)
系統
(
ひつぽう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
さうとは、
120
ソリヤ
又
(
また
)
、
121
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
心得
(
こころえ
)
違
(
ちがひ
)
だ。
122
左様
(
さやう
)
な
量見
(
れうけん
)
では
三五教
(
あななひけう
)
の
取次
(
とりつぎ
)
は
許
(
ゆる
)
すことは
出来
(
でき
)
ませぬ。
123
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
系統
(
ひつぽう
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
免職
(
めんしよく
)
を
言
(
い
)
ひつけます。
124
サアトツトと
早
(
はや
)
く、
125
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
館
(
やかた
)
を、
126
夫婦
(
ふうふ
)
共
(
とも
)
立退
(
たちの
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
127
これから
高姫
(
たかひめ
)
がここに
居
(
ゐ
)
すわり、
128
そして、
129
立派
(
りつぱ
)
に
立派
(
りつぱ
)
に
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
神力
(
しんりき
)
を
現
(
あら
)
はし、
130
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
大立替
(
おほたてかへ
)
大立直
(
おほたてなほ
)
しを
致
(
いた
)
しますぞ。
131
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬガラクタ
役員
(
やくゐん
)
が
沢山
(
たくさん
)
居
(
ゐ
)
ると、
132
足手纏
(
あしてまと
)
ひになつて
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
がはかどりませぬ。
133
誠
(
まこと
)
の
分
(
わか
)
りた
者
(
もの
)
が、
134
三
(
さん
)
人
(
にん
)
ありたら、
135
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
は
立派
(
りつぱ
)
に
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
すもので
御座
(
ござ
)
いますぞや』
136
国玉
(
くにたま
)
『
誠
(
まこと
)
の
分
(
わか
)
つた
方
(
かた
)
は、
137
モウ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
揃
(
そろ
)
ひましたか』
138
高姫
(
たかひめ
)
『
確
(
たしか
)
に
揃
(
そろ
)
ひました』
139
国玉
(
くにたま
)
『
其
(
その
)
お
方
(
かた
)
の
御
(
おん
)
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
しますか』
140
高姫
(
たかひめ
)
『
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
が
一人
(
ひとり
)
、
141
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
一人
(
ひとり
)
、
142
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
高姫
(
たかひめ
)
が
一人
(
ひとり
)
、
143
三位
(
さんみ
)
一体
(
いつたい
)
の
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
す、
144
三
(
さん
)
人
(
にん
)
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
、
145
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
神柱
(
かむばしら
)
さへあれば、
146
ガラクタ
神
(
がみ
)
は
一人
(
ひとり
)
も
居
(
ゐ
)
なくても、
147
宜
(
よろ
)
しいわいな。
148
ホヽヽヽヽ……
余
(
あま
)
り
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
で、
149
神
(
かみ
)
も
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れますワイ』
150
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
な
議論
(
ぎろん
)
に
愛想
(
あいさう
)
をつかし、
151
こんな
連中
(
れんぢう
)
に
掛
(
かか
)
り
合
(
あ
)
つてゐては、
152
却
(
かへつ
)
て
馬鹿
(
ばか
)
を
見
(
み
)
なくてはならない、
153
又
(
また
)
国
(
くに
)
、
154
玉
(
たま
)
、
155
竜
(
たつ
)
、
156
別
(
わけ
)
、
157
依
(
より
)
などの
幹部
(
かんぶ
)
に
対
(
たい
)
しても、
158
信用
(
しんよう
)
を
落
(
おと
)
す
訳
(
わけ
)
だと、
159
玉竜姫
(
たまたつひめ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
160
国玉
(
くにたま
)
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
161
暫
(
しばら
)
く
失礼
(
しつれい
)
を
致
(
いた
)
します。
162
どうぞユルリと
遊
(
あそ
)
ばしませ。
163
御
(
ご
)
思案
(
しあん
)
が
付
(
つ
)
きましたら、
164
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
御
(
ご
)
退場
(
たいぢやう
)
を
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します。
165
……
常彦
(
つねひこ
)
さま、
166
春彦
(
はるひこ
)
さま、
167
あなたも
大抵
(
たいてい
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いますまいが、
168
どうぞそこは
宜
(
よろ
)
しき
様
(
やう
)
に
御
(
お
)
取計
(
とりはか
)
らひを
願
(
ねが
)
ひます』
169
と
云
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
て、
170
逃
(
に
)
げる
様
(
やう
)
にして、
171
玉竜姫
(
たまたつひめ
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
り、
172
睦
(
むつま
)
じげに
別館
(
べつくわん
)
に
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
173
高姫
(
たかひめ
)
は
少
(
すこ
)
しく
目
(
め
)
の
上
(
うへ
)
の
瘤
(
こぶ
)
の
様
(
やう
)
に
迷惑
(
めいわく
)
がつてゐた
夫婦
(
ふうふ
)
が
別館
(
べつくわん
)
に
姿
(
すがた
)
をかくしたのに、
174
ヤツと
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
でおろし、
175
ソロソロ
言霊
(
ことたま
)
の
連発
(
れんぱつ
)
を
始
(
はじ
)
めかけた。
176
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレ
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
に
御
(
ご
)
奉公
(
ほうこう
)
致
(
いた
)
す
皆
(
みな
)
さま
達
(
たち
)
、
177
是
(
こ
)
れから
誠生粋
(
まこときつすゐ
)
の
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
因縁
(
いんねん
)
を
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かしますから、
178
私
(
わたし
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
つたら、
179
此
(
この
)
館
(
やかた
)
に
隠
(
かく
)
してある
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふえ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
始
(
はじ
)
め、
180
麻邇
(
まに
)
の
宝
(
たから
)
の
所在
(
ありか
)
を
綺麗
(
きれい
)
サツパリと、
181
素直
(
すなほ
)
に
白状
(
はくじやう
)
しなされや。
182
……アレ
御覧
(
ごらん
)
なさい、
183
宮番
(
みやばん
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
ご
)
威勢
(
ゐせい
)
に
恐
(
おそ
)
れて、
184
別館
(
べつくわん
)
へコソコソと
逃
(
に
)
げてゐたぢやありませぬか』
185
常彦
(
つねひこ
)
『モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
186
自惚
(
うぬぼれ
)
するにも
程
(
ほど
)
がありますよ。
187
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
方々
(
かたがた
)
は
貴女
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
威勢
(
ゐせい
)
に
恐
(
おそ
)
れて
逃
(
に
)
げられたのぢやありませぬ。
188
余
(
あま
)
り
脱線
(
だつせん
)
だらけの
事
(
こと
)
を、
189
ベラベラと
際限
(
さいげん
)
もなく、
190
お
前
(
まへ
)
さまがまくし
立
(
た
)
てるので、
191
うるさがつて
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
かしやつたのですよ。
192
慢心
(
まんしん
)
すると
嫌
(
きら
)
はれて
居
(
を
)
つても、
193
恐
(
おそ
)
れて
逃
(
に
)
げられた
様
(
やう
)
に
見
(
み
)
えますかいな。
194
いかに
善意
(
ぜんい
)
に
解
(
かい
)
する
教
(
をしへ
)
だと
云
(
い
)
つても、
195
高姫
(
たかひめ
)
さまの
善意
(
ぜんい
)
は
一寸
(
ちよつと
)
趣
(
おもむき
)
が
違
(
ちが
)
ふ。
196
……コレコレ
皆様
(
みなさま
)
方
(
がた
)
、
197
必
(
かなら
)
ず
気
(
き
)
にさへて
下
(
くだ
)
さいますな、
198
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほり
)
の
代物
(
しろもの
)
ですから……』
199
高姫
(
たかひめ
)
『コレ
常
(
つね
)
、
200
ソラ
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふのだ。
201
人民
(
じんみん
)
のゴテゴテ
云
(
い
)
ふ
幕
(
まく
)
ぢやありませぬぞや。
202
世界
(
せかい
)
のことは
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
まで、
203
イロハ
四十八
(
しじふはち
)
文字
(
もじ
)
で
解決
(
かいけつ
)
のつく
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
ですよ。
204
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は、
205
人民
(
じんみん
)
共
(
ども
)
の
作
(
つく
)
つた
学
(
がく
)
は
知
(
し
)
りませぬが、
206
正真
(
しやうしん
)
正銘
(
しやうめい
)
の
神
(
かみ
)
直々
(
ぢきぢき
)
の
知慧
(
ちゑ
)
が、
207
無尽蔵
(
むじんざう
)
に
湧
(
わ
)
いてくるのだから、
208
皆
(
みな
)
さま、
209
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め
身
(
み
)
を
謹
(
つつし
)
んでお
聞
(
き
)
きなさい。
210
いゝゝ
一番
(
いちばん
)
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
で
尊
(
たふと
)
い
宝
(
たから
)
は
誠
(
まこと
)
と
云
(
い
)
ふ
一
(
ひと
)
つの
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
ですよ。
211
それさへあれば
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
物事
(
ものごと
)
はキタリキタリと
何
(
なに
)
の
躊躇
(
ちうちよ
)
もなく、
212
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
しますぞや』
213
国
(
くに
)
『いゝゝ
一番
(
いちばん
)
尊
(
たふと
)
いお
宝
(
たから
)
が
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
なら、
214
なぜお
前
(
まへ
)
さまは
無形
(
むけい
)
の
魂
(
たましひ
)
を
尊重
(
そんちよう
)
せずに、
215
高砂島
(
たかさごじま
)
三界
(
さんかい
)
まで
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
捜
(
さが
)
しに
来
(
き
)
たのだい。
216
ヤツパリ
形
(
かたち
)
ある
宝
(
たから
)
の
方
(
はう
)
がお
前
(
まへ
)
さまにはお
気
(
き
)
に
入
(
い
)
ると
見
(
み
)
えますな』
217
高姫
(
たかひめ
)
『ろゝゝ
碌
(
ろく
)
でもない
理窟
(
りくつ
)
を
云
(
い
)
ふものでない。
218
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふえ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
は、
219
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
宝
(
たから
)
、
220
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
は
人間
(
にんげん
)
の
宝
(
たから
)
だよ。
221
神
(
かみ
)
と
人
(
ひと
)
とを
一緒
(
いつしよ
)
にしてはなりませぬぞえ』
222
国
(
くに
)
『ろゝゝ
論
(
ろん
)
より
証拠
(
しようこ
)
、
223
お
前
(
まへ
)
さまは
何時
(
いつ
)
も
神人
(
しんじん
)
合一
(
がふいつ
)
と
云
(
い
)
ふことを
称
(
とな
)
へてゐるぢやありませぬか。
224
神人
(
しんじん
)
合一
(
がふいつ
)
は
神
(
かみ
)
さまと
人
(
ひと
)
と
一緒
(
いつしよ
)
になつた
事
(
こと
)
ぢやありませぬか』
225
高姫
(
たかひめ
)
『はゝゝはしたない
人間
(
にんげん
)
の
知慧
(
ちゑ
)
を
以
(
もつ
)
て、
226
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
をゴテゴテと
云
(
い
)
ふものぢやありませぬワイ。
227
花
(
はな
)
は
桜木
(
さくらぎ
)
人
(
ひと
)
は
武士
(
ぶし
)
と
云
(
い
)
つて、
228
潔
(
いさぎよ
)
うするものだ。
229
女
(
をんな
)
の
腐
(
くさ
)
つた
様
(
やう
)
に
何
(
なに
)
をツベコベと
小理窟
(
こりくつ
)
を
云
(
い
)
ひなさる。
230
何
(
なん
)
とか、
231
彼
(
か
)
とか
云
(
い
)
つて、
232
如意
(
によい
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
渡
(
わた
)
そまいとしても
駄目
(
だめ
)
ですよ』
233
国
(
くに
)
『はゝゝゝゝ
腹
(
はら
)
がよれるワイ。
234
これ
丈
(
だけ
)
脱線
(
だつせん
)
されては、
235
安心
(
あんしん
)
して
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
る
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ませぬワイ』
236
高姫
(
たかひめ
)
『にゝゝ
日本
(
にほん
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
さへ
歩
(
ある
)
いてをれば
脱線
(
だつせん
)
する
気遣
(
きづか
)
ひはありませぬ。
237
……
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く
汽車
(
きしや
)
の
足許
(
あしもと
)
眺
(
なが
)
むれば、
238
ヤハリ
にほん
の
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
くなり。
239
……
日本
(
にほん
)
の
道
(
みち
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
守
(
まも
)
り、
240
外国
(
ぐわいこく
)
の
教
(
をしへ
)
をほかしさへすれば
脱線
(
だつせん
)
所
(
どころ
)
か
一瀉
(
いつしや
)
千里
(
せんり
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
希望
(
きばう
)
の
都
(
みやこ
)
へ
達
(
たつ
)
しますぞや。
241
外国
(
ぐわいこく
)
とは
外
(
はづ
)
れた
国
(
くに
)
と
書
(
か
)
きませうがな。
242
脱線
(
だつせん
)
は
即
(
すなは
)
ち
外
(
はづ
)
れるのだ。
243
分
(
わか
)
つたかなア』
244
国
(
くに
)
『にゝゝ
二本
(
にほん
)
の
道
(
みち
)
か
四本
(
しほん
)
の
道
(
みち
)
か
知
(
し
)
らぬが、
245
お
前
(
まへ
)
さまの
仰有
(
おつしや
)
る
事
(
こと
)
は、
246
どうも
四本足
(
しほんあし
)
が
云
(
い
)
うとる
様
(
やう
)
に
聞
(
きこ
)
えますぞや。
247
四本足
(
しほんあし
)
は
所謂
(
いはゆる
)
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
だ。
248
ゴテゴテと
六
(
ろく
)
でない
事
(
こと
)
を
七
(
しち
)
むつかしく、
249
八
(
や
)
かましう、
250
九
(
く
)
ちから
出任
(
でまか
)
せにこきちらし、
251
十
(
と
)
りとめもなく、
252
百
(
ひやく
)
千
(
せん
)
万
(
まん
)
遍
(
べん
)
喋
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
てる、
253
百舌鳥
(
もず
)
か
雲雀
(
ひばり
)
の
親方
(
おやかた
)
が
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
一匹
(
いつぴき
)
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
たと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
254
百舌鳥
(
もず
)
かと
思
(
おも
)
へば
小鳥
(
こどり
)
を
取
(
と
)
つて
食
(
く
)
ふ
目玉
(
めだま
)
の
鋭
(
するど
)
い
鷹
(
たか
)
ぢやさうな。
255
ワツハヽヽヽ』
256
高姫
(
たかひめ
)
『ほゝゝ
吐
(
ほざ
)
くな
吐
(
ほざ
)
くな、
257
深遠
(
しんゑん
)
無量
(
むりやう
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
がお
前
(
まへ
)
たちに
分
(
わか
)
るものか。
258
不言
(
ふげん
)
実行
(
じつかう
)
だ、
259
ゴテゴテ
云
(
い
)
はずに、
260
ホヽヽ
宝玉
(
ほうぎよく
)
を
早
(
はや
)
く
渡
(
わた
)
して、
261
素直
(
すなほ
)
に
改心
(
かいしん
)
なさるが
第一
(
だいいち
)
の
得策
(
とく
)
ぢやぞえ。
262
お
前
(
まへ
)
はここの
総取締
(
そうとりしまり
)
ぢやないか。
263
お
前
(
まへ
)
から
改心
(
かいしん
)
せねば
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
が
助
(
たす
)
かりませぬぞや。
264
一人
(
ひとり
)
さへ
改心
(
かいしん
)
いたしたら
外
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
は
皆
(
みな
)
一度
(
いちど
)
に
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
す
仕組
(
しぐみ
)
だから、
265
人間界
(
にんげんかい
)
の
理窟
(
りくつ
)
はやめて、
266
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
に
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
しなさい。
267
ゴテゴテと
理窟
(
りくつ
)
の
云
(
い
)
ひたい
間
(
あひだ
)
は、
268
まだ
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
が
充実
(
じゆうじつ
)
してゐないのだよ』
269
国
(
くに
)
『ほゝゝ
放
(
ほ
)
つといて
下
(
くだ
)
され、
270
私
(
わたし
)
には
立派
(
りつぱ
)
な
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
様
(
さま
)
と
云
(
い
)
ふお
師匠
(
ししやう
)
さまが
御座
(
ござ
)
います。
271
別
(
べつ
)
にお
前
(
まへ
)
さまに
下
(
くだ
)
らぬ
事
(
こと
)
を
教
(
をし
)
へて
貰
(
もら
)
ふ
必要
(
ひつえう
)
もなければ、
272
仮令
(
たとへ
)
宝玉
(
ほうぎよく
)
が
有
(
あ
)
つたとしても、
273
お
前
(
まへ
)
さまに
渡
(
わた
)
す
義務
(
ぎむ
)
がありませぬ。
274
オツホヽヽヽ』
275
高姫
(
たかひめ
)
『へゝゝ
屁理窟
(
へりくつ
)
許
(
ばか
)
り、
276
能
(
よ
)
く
垂
(
た
)
れる
男
(
をとこ
)
ぢやな。
277
流石
(
さすが
)
は
国依別
(
くによりわけ
)
の
仕込
(
しこ
)
み
丈
(
だけ
)
あつて、
278
偉
(
えら
)
いものだワイ』
279
国
(
くに
)
『へゝゝ
臍
(
へそ
)
が
茶
(
ちや
)
を
沸
(
わ
)
かしますワイ。
280
如何
(
いか
)
に
私
(
わたし
)
の
名
(
な
)
が
国
(
くに
)
ぢやと
云
(
い
)
つて、
281
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
もない
国依別
(
くによりわけ
)
さまとやらの
仕込
(
しこ
)
みぢやなどとは、
282
能
(
よ
)
くも
当推量
(
あてすいりやう
)
したものだ。
283
私
(
わたし
)
の
国
(
くに
)
は
国依別
(
くによりわけ
)
さまの
国
(
くに
)
ぢやありませぬぞ。
284
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
御
(
ご
)
先祖
(
せんぞ
)
の
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
国
(
くに
)
で
御座
(
ござ
)
いますワイナ。
285
ヘン……ちつと
済
(
す
)
みませぬが、
286
秀妻国
(
ほつまのくに
)
と
常世国
(
とこよのくに
)
と
程
(
ほど
)
国
(
くに
)
が
違
(
ちが
)
うのだから、
287
余
(
あま
)
り
人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
まで
クニ
病
(
や
)
んで
下
(
くだ
)
さいますな。
288
余
(
あま
)
り
クニ
クニ
思
(
おも
)
うと
寿命
(
じゆみやう
)
がちぢまりますぞえ。
289
早
(
はや
)
く
クニ
替
(
が
)
へをせにやならぬ
事
(
こと
)
がないように
クニ
クニも
気
(
き
)
をつけておきますぞよ』
290
高姫
(
たかひめ
)
『とゝゝとへうもない
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひなさるな。
291
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
国
(
くに
)
ぢやなんて、
292
慢心
(
まんしん
)
するにも
程
(
ほど
)
がある。
293
慢心
(
まんしん
)
は
大怪我
(
おほけが
)
の
元
(
もと
)
ぢやぞえ』
294
国
(
くに
)
『とゝゝ
途方
(
とはう
)
途徹
(
とてつ
)
もない
駄法螺
(
だぼら
)
を
吹
(
ふ
)
く、
295
唐変木
(
たうへんぼく
)
、
296
トチ
呆
(
ばう
)
けの
尻切
(
しりきり
)
蜻蛉
(
とんぼ
)
の
捉
(
とら
)
へ
所
(
どころ
)
のない、
297
団子
(
だんご
)
理窟
(
りくつ
)
を
囀
(
さへづ
)
る、
298
常世姫
(
とこよひめ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
性来
(
しやうらい
)
を
受
(
う
)
けた
罪人
(
とがにん
)
の
身魂
(
みたま
)
の
宿
(
やど
)
つた
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
を
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
ぢやなんて、
299
とつけもない
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
いてをると、
300
今
(
いま
)
に
化
(
ばけ
)
が
現
(
あら
)
はれて、
301
栃麺棒
(
とちめんぼう
)
を
振
(
ふ
)
り、
302
途方
(
とはう
)
に
暮
(
くれ
)
て
吠面
(
ほえづら
)
かわかねばならぬことが
出来
(
しゆつたい
)
致
(
いた
)
しますぞや。
303
ちゝゝちつと
胸
(
むね
)
を
手
(
て
)
を
当
(
あて
)
て
考
(
かんが
)
へて
御覧
(
ごらん
)
。
304
りゝゝ
理窟
(
りくつ
)
許
(
ばか
)
り
並
(
なら
)
べたつて、
305
神徳
(
しんとく
)
のない
者
(
もの
)
に
誰
(
たれ
)
が
往生
(
わうじやう
)
するものか。
306
ぬゝゝ
糠
(
ぬか
)
に
釘
(
くぎ
)
、
307
豆腐
(
とうふ
)
に
鎹
(
かすがひ
)
だ。
308
るゝゝるるとして
千万言
(
せんまんげん
)
を
連
(
つ
)
らねても
誰
(
たれ
)
も
聞
(
き
)
き
手
(
て
)
がありませぬぞや。
309
をゝゝをどし
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
てて、
310
我意
(
がい
)
を
立通
(
たてとほ
)
し、
311
玉
(
たま
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
さそうとしても、
312
お
前
(
まへ
)
さま
等
(
ら
)
の
口車
(
くちぐるま
)
に
乗
(
の
)
る
馬鹿
(
ばか
)
はありませぬワイ』
313
高
(
たか
)
『わゝゝ
吾
(
われ
)
よしの
守護神
(
しゆごじん
)
奴
(
め
)
、
314
人
(
ひと
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
横取
(
よこどり
)
して、
315
先言
(
さきい
)
うと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるものか。
316
今
(
いま
)
言
(
い
)
うたチリヌルヲ
如何
(
どう
)
して
呉
(
く
)
れるのだ。
317
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬと
云
(
い
)
うても
程
(
ほど
)
があるぢやないか、
318
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
言
(
い
)
うた
後
(
あと
)
で
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
、
319
辻褄
(
つじつま
)
の
合
(
あ
)
はぬ
言訳
(
いひわけ
)
を
致
(
いた
)
すのならまだしもだが、
320
人
(
ひと
)
より
先
(
さき
)
へ
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
かうと
致
(
いた
)
す、
321
其
(
その
)
我慢心
(
がまんしん
)
が
所謂
(
いはゆる
)
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
根性
(
こんじやう
)
ぢやぞえ。
322
本当
(
ほんたう
)
に
性来
(
たち
)
の
悪
(
わる
)
い
男
(
をとこ
)
だなア』
323
国
(
くに
)
『わゝゝ
悪
(
わる
)
かろが
善
(
よ
)
かろが
自由
(
じいう
)
の
権
(
けん
)
、
324
放
(
ほ
)
つといて
下
(
くだ
)
され。
325
かゝゝ
構立
(
かまへだて
)
にはして
下
(
くだ
)
さるなや。
326
よヽヽ
善
(
よ
)
からうが
悪
(
わる
)
かろが、
327
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
裁
(
さば
)
いて
下
(
くだ
)
さるぞや。
328
たゝゝ
高姫
(
たかひめ
)
の
干渉
(
かんせう
)
する
問題
(
もんだい
)
ぢやありませぬぞ。
329
れゝゝ
礼儀
(
れいぎ
)
も
作法
(
さほふ
)
も
知
(
し
)
らずに
330
そゝゝそそつかしい、
331
人
(
ひと
)
の
館
(
やかた
)
へ
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
て、
332
挨拶
(
あいさつ
)
も
碌
(
ろく
)
に
致
(
いた
)
さず
333
つゝゝ
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
戒
(
いまし
)
めをくひ
乍
(
なが
)
ら
334
ねゝゝねぢけ
曲
(
まが
)
つた
魂
(
たましひ
)
は
何時
(
いつ
)
までも
直
(
なほ
)
らず
335
なゝゝ
何
(
なに
)
も
分
(
わか
)
らぬ
癖
(
くせ
)
に、
336
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
事
(
こと
)
はどんな
事
(
こと
)
でも
知
(
し
)
つてをるとか、
337
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
らぬとか、
338
駄法螺
(
だぼら
)
を
吹
(
ふ
)
き、
339
らゝゝ
乱脈振
(
らんみやくぶり
)
と
云
(
い
)
つたら、
340
到底
(
たうてい
)
御
(
お
)
話
(
はな
)
しのしかけが
出来
(
でき
)
ませぬ。
341
むゝゝ
六
(
むつ
)
かしい
面
(
つら
)
をして、
342
人
(
ひと
)
が
聞
(
き
)
いても
343
うゝゝウンザリする
様
(
やう
)
な、
344
身勝手
(
みがつて
)
な
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
り
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
345
ゐゝゝ
意地
(
いぢ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
りまくし
立
(
た
)
て
346
のゝゝ
野天狗
(
のてんぐ
)
、
347
野狐
(
のぎつね
)
、
348
野狸
(
のだぬき
)
の
囀
(
さへづ
)
る
様
(
やう
)
な
脱線
(
だつせん
)
理窟
(
りくつ
)
を
喋々
(
てふてふ
)
と
弁
(
べん
)
じ
349
おゝゝ
恐
(
おそ
)
ろしい
執着心
(
しふちやくしん
)
を
極端
(
きよくたん
)
に
発揮
(
はつき
)
し
350
くゝゝ
国
(
くに
)
さまに
向
(
むか
)
つて
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
らせと
何程
(
なんぼ
)
云
(
い
)
つても、
351
駄目
(
だめ
)
ですよ。
352
そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
は
353
やゝゝ
止
(
や
)
めておきませうかい。
354
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
の
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
狐
(
きつね
)
の
霊
(
れい
)
の
憑
(
かか
)
つた、
355
どこやらのお
方
(
かた
)
には、
356
仮令
(
たとへ
)
天地
(
てんち
)
がかへる
共
(
とも
)
、
357
此
(
この
)
玉
(
たま
)
許
(
ばか
)
りは
渡
(
わた
)
す
事
(
こと
)
は
罷
(
まか
)
りなりませぬワイ。
358
まゝゝ
誠一
(
まことひと
)
つの
心
(
こころ
)
の
持様
(
もちやう
)
で、
359
手
(
て
)
に
入
(
い
)
らぬ
玉
(
たま
)
も
手
(
て
)
に
入
(
い
)
る
事
(
こと
)
があり、
360
罷
(
まか
)
り
誠
(
まこと
)
をふみ
外
(
はづ
)
せば、
361
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にある
玉
(
たま
)
でも
握
(
にぎ
)
れぬやうな
事
(
こと
)
が
出
(
で
)
てくるし、
362
けゝゝ
毛筋
(
けすぢ
)
の
横巾
(
よこはば
)
でも、
363
此
(
この
)
国
(
くに
)
さまの
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
損
(
そこ
)
ねたら、
364
立派
(
りつぱ
)
な
玉
(
たま
)
を
上
(
あ
)
げたいと
思
(
おも
)
うても、
365
中途
(
ちうと
)
でひつこめて
了
(
しま
)
ひますぞ。
366
ふゝゝふくれ
面
(
づら
)
して
威張
(
ゐば
)
つてをる
間
(
あひだ
)
は、
367
高姫
(
たかひめ
)
さまも
駄目
(
だめ
)
ですよ。
368
こゝゝ
是丈
(
これだけ
)
道理
(
だうり
)
を
解
(
と
)
き
聞
(
き
)
かしても
分
(
わか
)
らぬやうな
御
(
お
)
方
(
かた
)
なら、
369
トツトと
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
され。
370
えゝゝ
枝
(
えだ
)
の
神
(
かみ
)
や
末
(
すゑ
)
の
神
(
かみ
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
371
此
(
この
)
御殿
(
ごてん
)
に
納
(
をさ
)
まつてをる
御
(
ご
)
神宝
(
しんぱう
)
を、
372
持帰
(
もちかへ
)
らうとは
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らずと
云
(
い
)
ふものだ。
373
てゝゝテンから
物
(
もの
)
にならぬ
企
(
たく
)
みをするより
374
あゝゝアツサリと
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
375
さゝゝサツサと
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
376
きゝゝ
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
なつて
来
(
き
)
た。
377
アハヽヽヽ、
378
イヒヽヽヽ、
379
ウフヽヽヽ、
380
エヘヽヽヽ、
381
オホヽヽヽ』
382
と
体
(
からだ
)
を
面白
(
おもしろ
)
くゆすつて、
383
キヨくつて
見
(
み
)
せる。
384
高姫
(
たかひめ
)
『ゆゝゝ
言
(
い
)
はしておけばベラベラと
際限
(
さいげん
)
もなく、
385
こけ
徳利
(
どつくり
)
のよに、
386
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せに、
387
泥水
(
どろうみ
)
を
吐
(
は
)
く
醜魂
(
しこだま
)
だな。
388
めゝゝ
盲
(
めくら
)
の
垣覗
(
かきのぞ
)
きと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だ。
389
盲
(
めくら
)
万
(
まん
)
人
(
にん
)
目明
(
めあき
)
一人
(
ひとり
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから、
390
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
様
(
やう
)
な
目明
(
めあき
)
は
又
(
また
)
と
二人
(
ふたり
)
、
391
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
にないのだから、
392
無理
(
むり
)
はないけれど、
393
盲
(
めくら
)
なら
盲
(
めくら
)
らしうして
居
(
ゐ
)
なさい。
394
盲
(
めくら
)
蛇
(
へび
)
におぢずと
云
(
い
)
うて、
395
恐
(
こわ
)
い
事
(
こと
)
知
(
し
)
らぬ
奴
(
やつ
)
になつたら、
396
仕方
(
しかた
)
のないものだ。
397
お
前
(
まへ
)
さまの
様
(
やう
)
な
盲
(
めくら
)
に、
398
手引
(
てびき
)
せられる
盲
(
めくら
)
信者
(
しんじや
)
こそ
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものだ。
399
今
(
いま
)
の
取次
(
とりつぎ
)
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
許
(
ばか
)
り、
400
其
(
その
)
又
(
また
)
盲
(
めくら
)
が
暗雲
(
やみくも
)
で、
401
世界
(
せかい
)
の
盲
(
めくら
)
の
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて、
402
盲
(
めくら
)
めつぽに
地獄
(
ぢごく
)
の
暗
(
やみ
)
へおちて
行
(
ゆ
)
く……と
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
筆
(
ふで
)
に
出
(
で
)
てをりますぞえ。
403
チツとしつかり
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
ましなさい。
404
みゝゝ
見
(
み
)
えもせぬ
節穴
(
ふしあな
)
の
様
(
やう
)
な
団栗目
(
どんぐりめ
)
をキヨロつかしても、
405
足許
(
あしもと
)
の
溝
(
どぶ
)
が
分
(
わか
)
りますまいがな。
406
しゝゝしぶとい
どうくづ
の
身魂
(
みたま
)
程
(
ほど
)
、
407
改心
(
かいしん
)
さしてやりたいと
思
(
おも
)
うて
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をなさる、
408
其
(
その
)
お
心根
(
こころね
)
がおいとしいわいの、
409
勿体
(
もつたい
)
ないわいの。
410
オンオンオン』
411
国
(
くに
)
『ゑゝゝゑらう
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
遊
(
あそ
)
ばして
下
(
くだ
)
さいますな。
412
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
413
泣
(
な
)
くの
丈
(
だけ
)
は
止
(
や
)
めて
下
(
くだ
)
さいませ。
414
ひゝゝ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
ともあらうものが、
415
余
(
あま
)
り
見
(
み
)
つともよくありませぬぞ。
416
もゝゝ
諸々
(
もろもろ
)
の
邪念
(
じやねん
)
を
去
(
さ
)
つて、
417
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
此
(
この
)
館
(
やかた
)
に
納
(
をさ
)
めてある、
418
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
神宝
(
しんぱう
)
に
対
(
たい
)
する
執着心
(
しふちやくしん
)
を
綺麗
(
きれい
)
サツパリと
脱却
(
だつきやく
)
なさいませ。
419
せゝゝ
雪隠
(
せんち
)
で
饅頭
(
まんぢう
)
食
(
く
)
うたよな
顔
(
かほ
)
をして、
420
人
(
ひと
)
の
苦労
(
くらう
)
で
得
(
とく
)
をとり、
421
自分
(
じぶん
)
が
発見
(
はつけん
)
したやうな
顔
(
かほ
)
して
聖地
(
せいち
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
422
威張
(
ゐば
)
りちらさうと
思
(
おも
)
うても
駄目
(
だめ
)
ですよ。
423
すゝゝ
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
る
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
、
424
能
(
よ
)
く
耳
(
みみ
)
へ
入
(
い
)
れて、
425
高砂島
(
たかさごじま
)
を
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
立去
(
たちさ
)
り、
426
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
、
427
冠島
(
をしま
)
沓島
(
めしま
)
に
麻邇
(
まに
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
隠
(
かく
)
しあれば、
428
其
(
その
)
方
(
はう
)
は、
429
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
430
竜国別
(
たつくにわけ
)
等
(
ら
)
と
共
(
とも
)
に
其
(
その
)
玉
(
たま
)
を
掘出
(
ほりだ
)
し、
431
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
に
持帰
(
もちかへ
)
り、
432
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
の
留守番
(
るすばん
)
を
神妙
(
しんめう
)
に
致
(
いた
)
すがよからう。
433
ウンウンウン』
434
ドスンと
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
り……
435
国
『あゝ
何
(
なん
)
だか
随分
(
ずゐぶん
)
、
436
喧
(
やかま
)
しう
囀
(
さへづ
)
つた
様
(
やう
)
ですなア。
437
皆
(
みな
)
さま、
438
私
(
わたし
)
はどんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひましたな。
439
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
つて
下
(
くだ
)
さいますやらうねエ』
440
高姫
(
たかひめ
)
『コレ、
441
国
(
くに
)
さまとやら、
442
人
(
ひと
)
を
盲
(
めくら
)
にしなさるのか。
443
本当
(
ほんたう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
か
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
でないか、
444
世界一
(
せかいいち
)
の
此
(
この
)
審神者
(
さには
)
が
見届
(
みとど
)
けたら
間違
(
まちが
)
ひありませぬぞえ。
445
そんな
嘘
(
うそ
)
の
神懸
(
かむがかり
)
をして、
446
国依別
(
くによりわけ
)
が
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
で
私
(
わたし
)
を
騙
(
だま
)
さうとしたやうな、
447
古
(
ふる
)
い
手
(
て
)
は
食
(
く
)
ひませぬぞえ。
448
ホヽヽヽヽ、
449
若
(
も
)
し
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
是
(
これ
)
から
家探
(
やさが
)
しして、
450
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
捜
(
さが
)
すのだ。
451
……サア
常
(
つね
)
、
452
春
(
はる
)
、
453
ここが
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
性念場
(
しやうねんば
)
だ』
454
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
455
つかつかと
神殿
(
しんでん
)
目
(
め
)
がけて
走
(
は
)
せ
上
(
のぼ
)
りけり。
456
(
大正一一・八・一二
旧六・二〇
松村真澄
録)
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