霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
>
第29巻(辰の巻)
> 第3篇 神鬼一転 > 第14章 カーリン丸
<<< 愛流川
(B)
(N)
ヨブの入信 >>>
第一四章 カーリン
丸
(
まる
)
〔八三六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第3篇 神鬼一転
よみ(新仮名遣い):
しんきいってん
章:
第14章 カーリン丸
よみ(新仮名遣い):
かーりんまる
通し章番号:
836
口述日:
1922(大正11)年08月12日(旧06月20日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
高姫一行は湖のほとりで一夜を明かすと、湖水で顔を洗って禊をし、朝拝を行った。ふと路傍を見ると、石の神像が立っている。その像の裏を見ると、鷹依姫たちがここで改心した記念に彫ったものであることがわかった。
高姫はこの奇縁に驚き、また自分が鷹依姫たちを追い出したことで苦労をかけたと嘆き、自らの過去の行いを悔いた。そして罪滅ぼしのために、この神像を自転倒島まで背負って行こうと決心した。これが地蔵の石像の濫觴だという。
一行は湖水の中に、縦筋の入っためくら魚と、横筋の入っためくら魚が泳いでいるのを見た。そこへ、縦横十文字の立派な魚が泳いできた。これを見て高姫は、三五教の中でも経・緯それぞれもののわからない信者同士がいがみあっても御神業は成就しないということを思い、反省した。
一行は旅を続け、アルの海岸に着き、船に乗り込んだ。船客たちは、鷹依姫一行の噂をしており、高姫にも話が及んでいた。高姫は恥ずかしさに小さくなっている。
さらに船客たちは、去年この船に乗った鷹依姫が誤って海中に落ち、それを助けようとした竜国別、テーリスタン、カーリンスの三人も行方が知れなくなっていることを話し出した。
船客の一人は、鷹依姫一行が海中に落ちて悲惨な目にあったのも、元はといえば自転倒島を追い出した高姫のせいだと憤っている。高姫は自ら船客の前に名乗り出て懺悔をし、船客の気が済むように自分を処分してくれと真心から謝罪した。
憤っていた船客は高姫の真心に打たれて知らずのうちに高姫に尊敬の念を抱くようになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-31 17:23:39
OBC :
rm2914
愛善世界社版:
203頁
八幡書店版:
第5輯 540頁
修補版:
校定版:
209頁
普及版:
94頁
初版:
ページ備考:
001
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
湖水
(
こすゐ
)
の
傍
(
かたはら
)
なる
椰子樹
(
やしじゆ
)
の
森
(
もり
)
に
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あ
)
かした。
002
其
(
その
)
夜
(
よ
)
は
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
風
(
かぜ
)
強
(
つよ
)
く、
003
湖水
(
こすゐ
)
の
波
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
は
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
く
時々
(
ときどき
)
ドンドンと
響
(
ひび
)
いて
来
(
き
)
た。
004
此
(
この
)
湖水
(
こすゐ
)
の
名
(
な
)
を
玉
(
たま
)
の
湖
(
うみ
)
と
云
(
い
)
ふ。
005
東西
(
とうざい
)
五十
(
ごじふ
)
里
(
り
)
、
006
南北
(
なんぽく
)
三十五
(
さんじふご
)
里
(
り
)
位
(
ぐらゐ
)
の
大湖水
(
だいこすゐ
)
であつた。
007
そして
此
(
この
)
湖水
(
こすゐ
)
の
形
(
かたち
)
は
瓢箪
(
へうたん
)
を
縦
(
たて
)
に
割
(
わ
)
つて
半分
(
はんぶん
)
を
仰向
(
あふむ
)
けにしたやうな
形
(
かたち
)
をしてゐる。
008
地平線
(
ちへいせん
)
上
(
じやう
)
より
新
(
あらた
)
に
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
で
玉
(
たま
)
ふ
真紅
(
しんく
)
の
太陽
(
たいやう
)
はニコニコとして
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
009
刻々
(
こくこく
)
に
昇天
(
しようてん
)
し
給
(
たま
)
ふ。
010
一同
(
いちどう
)
は
湖水
(
こすゐ
)
に
顔
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
ひ、
011
口
(
くち
)
を
滌
(
すす
)
ぎ
手
(
て
)
を
清
(
きよ
)
め、
012
拍手
(
はくしゆ
)
感謝
(
かんしや
)
の
詞
(
ことば
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
013
蔓苺
(
つるいちご
)
を
掌
(
たなごころ
)
に
一杯
(
いつぱい
)
むしり
取
(
と
)
つて
朝飯
(
あさめし
)
に
代
(
か
)
へた。
014
能
(
よ
)
く
能
(
よ
)
く
見
(
み
)
れば
傍
(
かたはら
)
に
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
した
石
(
いし
)
が
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
015
扨
(
さ
)
て
不思議
(
ふしぎ
)
と
裏面
(
りめん
)
を
見
(
み
)
れば、
016
軟
(
やはら
)
かき
石像
(
せきざう
)
の
裏
(
うら
)
に、
017
『
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
018
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
019
テーリスタン、
020
カーリンスの
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
、
021
改心
(
かいしん
)
記念
(
きねん
)
の
為
(
ため
)
に
此
(
この
)
石
(
せき
)
像
(
ざう
)
を
刻
(
きざ
)
み
置
(
お
)
く……』と
刻
(
ほ
)
り
附
(
つ
)
けてあつた。
022
常彦
(
つねひこ
)
は
此
(
この
)
文面
(
ぶんめん
)
を
読
(
よ
)
み
上
(
あ
)
げて
高姫
(
たかひめ
)
に
聞
(
き
)
かした。
023
高姫
(
たかひめ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
024
高姫
(
たかひめ
)
『あゝ
矢張
(
やつぱり
)
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまも
竜国別
(
たつくにわけ
)
さまも、
025
テー、
026
カーも、
027
つまり
此
(
この
)
荒原
(
くわうげん
)
を
彷徨
(
さまよ
)
うて
御座
(
ござ
)
つたと
見
(
み
)
える。
028
ホンにお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な、
029
あるにあられぬ
苦労
(
くらう
)
をなさつたであらう。
030
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
無慈悲
(
むじひ
)
にも、
031
黒姫
(
くろひめ
)
さまが
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
紛失
(
ふんしつ
)
したと
云
(
い
)
つて、
032
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さまや、
033
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
にまで
難題
(
なんだい
)
を
云
(
い
)
ひつのり、
034
聖地
(
せいち
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
したのは、
035
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
気強
(
きづよ
)
いことをしたのであらう。
036
今
(
いま
)
になつて
過去
(
くわこ
)
を
顧
(
かへり
)
みれば、
037
私
(
わたし
)
の
犯
(
をか
)
した
罪
(
つみ
)
、
038
人
(
ひと
)
さまの
恨
(
うら
)
みが
実
(
じつ
)
に
恐
(
おそ
)
ろしくなつて
来
(
き
)
た。
039
せめては
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さま
一同
(
いちどう
)
の
苦労
(
くらう
)
なさつて
通
(
とほ
)
られた
跡
(
あと
)
を、
040
斯
(
こ
)
うして
修業
(
しうげふ
)
に
歩
(
ある
)
かして
貰
(
もら
)
ふのも、
041
私
(
わたし
)
の
罪亡
(
つみほろ
)
ぼし、
042
又
(
また
)
因果
(
いんぐわ
)
の
循
(
めぐ
)
り
循
(
めぐ
)
りて
同
(
おな
)
じ
処
(
ところ
)
を
迂路
(
うろ
)
つき
廻
(
まは
)
るやうになつたのだらう。
043
諺
(
ことわざ
)
にも……
人
(
ひと
)
を
呪
(
のろ
)
はば
穴
(
あな
)
二
(
ふた
)
つ……とやら、
044
情
(
なさけ
)
は
人
(
ひと
)
の
為
(
ため
)
ならずとやら、
045
善
(
ぜん
)
にもあれ、
046
悪
(
あく
)
にもあれ、
047
何事
(
なにごと
)
も
皆
(
みな
)
吾身
(
わがみ
)
に
報
(
むく
)
うて
来
(
く
)
るものだ……と
口
(
くち
)
にはいつも
立派
(
りつぱ
)
に
人様
(
ひとさま
)
に
向
(
むか
)
つて、
048
諭
(
さと
)
しては
居
(
ゐ
)
たものの、
049
斯
(
か
)
うして
自分
(
じぶん
)
が
実地
(
じつち
)
に
当
(
あた
)
つて
見
(
み
)
ると、
050
尚更
(
なほさら
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
が
身
(
み
)
に
沁々
(
しみじみ
)
と
沁
(
し
)
み
亘
(
わた
)
つて、
051
有難
(
ありがた
)
いやら
恐
(
おそ
)
ろしいやら、
052
何
(
なん
)
とも
申上
(
まをしあ
)
げやうが
御座
(
ござ
)
いませぬ。
053
……あゝ
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
、
054
竜国別
(
たつくにわけ
)
様
(
さま
)
、
055
テー、
056
カーの
両人
(
りやうにん
)
さま、
057
高姫
(
たかひめ
)
のあなた
方
(
がた
)
に
加
(
くは
)
へた
残虐
(
ざんぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
罪
(
つみ
)
、
058
どうぞ
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
059
あなたがこんな
遠国
(
ゑんごく
)
へ
来
(
き
)
て
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
苦労
(
くらう
)
をなさるのも、
060
皆
(
みな
)
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
に
憑依
(
ひようい
)
してゐた、
061
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
悪狐
(
あくこ
)
の
為
(
な
)
せし
業
(
わざ
)
、
062
どうぞ
赦
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
063
此
(
この
)
石像
(
せきざう
)
は、
064
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
、
065
竜国別
(
たつくにわけ
)
様
(
さま
)
の
心
(
こころ
)
を
籠
(
こ
)
められた
記念物
(
きねんぶつ
)
、
066
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
るにつけても、
067
おいとしいやら、
068
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
やら、
069
お
懐
(
なつ
)
かしいような
気
(
き
)
が
致
(
いた
)
します。
070
何程
(
なにほど
)
重
(
おも
)
たくても
罪
(
つみ
)
亡
(
ほろ
)
ぼしの
為
(
ため
)
に
此
(
この
)
石像
(
せきざう
)
を、
071
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
、
072
外
(
ほか
)
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
と
思
(
おも
)
ひ
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
まで
負
(
お
)
うて
帰
(
かへ
)
り、
073
お
宮
(
みや
)
を
建
(
た
)
てて、
074
朝夕
(
あさゆふ
)
にお
給仕
(
きふじ
)
を
致
(
いた
)
し、
075
私
(
わたし
)
の
重
(
おも
)
い
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
して
戴
(
いただ
)
かねばなりませぬ』
076
と
念
(
ねん
)
じ
乍
(
なが
)
ら、
077
四辺
(
あたり
)
の
蔓草
(
つるぐさ
)
を
綯
(
よ
)
つて
縄
(
なは
)
を
作
(
つく
)
り、
078
背中
(
せなか
)
に
括
(
くく
)
りつけ、
079
其
(
その
)
上
(
うへ
)
から
蓑
(
みの
)
を
被
(
かぶ
)
り、
080
持重
(
もちおも
)
りのする
石像
(
せきざう
)
を
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うて、
081
たうとうアマゾン
河
(
がは
)
の
森林
(
しんりん
)
迄
(
まで
)
帰
(
かへ
)
つて
了
(
しま
)
つたのである。
082
これが
家々
(
いへいへ
)
に、
083
小
(
ちい
)
さき
地蔵
(
ぢざう
)
を
造
(
つく
)
り、
084
屋敷
(
やしき
)
の
隅
(
すみ
)
に、
085
石
(
いし
)
を
畳
(
たた
)
み、
086
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
祀
(
まつ
)
ることとなつた
濫觴
(
らんしやう
)
である。
087
さて
高姫
(
たかひめ
)
は
石像
(
せきざう
)
を
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
ひ、
088
エチエチし
乍
(
なが
)
ら
草野
(
くさの
)
を
分
(
わ
)
けて
湖畔
(
こはん
)
を
東
(
ひがし
)
へ
東
(
ひがし
)
へと
二人
(
ふたり
)
の
同行
(
どうぎやう
)
と
共
(
とも
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
089
高姫
(
たかひめ
)
は
玉
(
たま
)
の
湖畔
(
こはん
)
を
進
(
すす
)
み
乍
(
なが
)
ら、
090
湖中
(
こちう
)
に
溌溂
(
はつらつ
)
として
泳
(
およ
)
げる、
091
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
美
(
うつく
)
しき
五色
(
ごしき
)
の、
092
縦筋
(
たてすぢ
)
や
横筋
(
よこすぢ
)
の
通
(
とほ
)
つた
魚
(
うを
)
を
眺
(
なが
)
め、
093
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレ、
094
一寸
(
ちよつと
)
御覧
(
ごらん
)
なさい、
095
常彦
(
つねひこ
)
、
096
不思議
(
ふしぎ
)
な
魚
(
さかな
)
が
居
(
を
)
ります。
097
これが
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
いた、
098
玉
(
たま
)
の
湖
(
うみ
)
の
錦魚
(
にしきのうを
)
といふのでせう。
099
一名
(
いちめい
)
金魚
(
きんぎよ
)
とか
云
(
い
)
ふさうですが、
100
本当
(
ほんたう
)
に
綺麗
(
きれい
)
なものぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか』
101
常彦
(
つねひこ
)
『
成程
(
なるほど
)
、
102
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すい
)
地
(
ち
)
結
(
むすび
)
と
青
(
あを
)
赤
(
あか
)
紫
(
むらさき
)
白
(
しろ
)
黄
(
き
)
、
103
順序
(
じゆんじよ
)
能
(
よ
)
く
縦筋
(
たてすぢ
)
がはいつて
居
(
を
)
りますな。
104
之
(
これ
)
が
所謂
(
いはゆる
)
縦魚
(
たてうを
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
105
あゝ
此処
(
ここ
)
にも
横
(
よこ
)
に
又
(
また
)
同
(
おな
)
じ
如
(
や
)
うな
五色
(
ごしき
)
の
斑
(
もん
)
の
附
(
つ
)
いた
魚
(
うを
)
が
泳
(
およ
)
いでゐます。
106
どちらが
雄
(
をん
)
で、
107
どちらが
雌
(
めん
)
でせうかなア』
108
春彦
(
はるひこ
)
『
定
(
き
)
まつた
事
(
こと
)
よ。
109
縦筋
(
たてすぢ
)
の
方
(
はう
)
が
雄
(
をん
)
で、
110
横筋
(
よこすぢ
)
のはいつた
方
(
はう
)
が
雌
(
めん
)
だ。
111
経
(
たて
)
と
緯
(
よこ
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
揃
(
そろ
)
うて
錦
(
にしき
)
の
機
(
はた
)
を
織
(
お
)
ると
云
(
い
)
ふのだから、
112
錦魚
(
にしきのうを
)
と
云
(
い
)
ふのだ。
113
此
(
この
)
鰭
(
はた
)
を
見
(
み
)
よ、
114
随分
(
ずゐぶん
)
立派
(
りつぱ
)
な
鰭
(
はた
)
ぢやないか』
115
常彦
(
つねひこ
)
『
併
(
しか
)
し
此
(
この
)
魚
(
うを
)
には
目
(
め
)
が
無
(
な
)
いぢやないか。
116
此奴
(
こいつ
)
アどうも
不思議
(
ふしぎ
)
ぢやないか』
117
春彦
(
はるひこ
)
『
此
(
この
)
縦筋
(
たてすぢ
)
のはいつた
盲魚
(
めくらうを
)
は
一名
(
いちめい
)
高姫魚
(
たかひめうを
)
と
云
(
い
)
ひ、
118
横筋
(
よこすぢ
)
のはいつたのは
春彦魚
(
はるひこうを
)
と
云
(
い
)
ふのだ。
119
どちらも
盲
(
めくら
)
だから、
120
マタイものだ。
121
それ
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
逃
(
に
)
げも
何
(
なに
)
もせぬぢやないか。
122
併
(
しか
)
し
手
(
て
)
に
取
(
と
)
ると、
123
やつぱりピンピン
撥
(
は
)
ねよるワ。
124
ヤア
其処
(
そこ
)
へ
本当
(
ほんたう
)
の
錦魚
(
にしきうを
)
がやつて
来
(
き
)
たぞ。
125
此奴
(
こいつ
)
ア
縦横
(
たてよこ
)
十文字
(
じふもんじ
)
、
126
素的
(
すてき
)
滅法界
(
めつぽふかい
)
、
127
綺麗
(
きれい
)
な
筋
(
すぢ
)
がはいつて、
128
ピカピカ
光
(
ひか
)
つてゐる。
129
目
(
め
)
も
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
があいてゐる。
130
……なア
高姫
(
たかひめ
)
さま、
131
これを
見
(
み
)
ても
経
(
たて
)
と
緯
(
よこ
)
と
揃
(
そろ
)
はねば、
132
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
ばかりでも
見
(
み
)
えず、
133
女子
(
によし
)
の
行方
(
やりかた
)
ばかりでも
後先
(
あとさき
)
が
見
(
み
)
えぬと
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
教訓
(
けうくん
)
ですな』
134
高姫
(
たかひめ
)
頻
(
しき
)
りに
首
(
くび
)
を
振
(
ふ
)
り、
135
高姫
(
たかひめ
)
『ウーン、
136
なんとまア
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
と
云
(
い
)
ふものは
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つたもので
御座
(
ござ
)
います。
137
これを
見
(
み
)
て
改心
(
かいしん
)
せねばなりませぬワイ。
138
今迄
(
いままで
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
様
(
やう
)
に、
139
経緯
(
たてよこ
)
の
盲
(
めくら
)
同士
(
どうし
)
が
盲縞
(
めくらじま
)
を
織
(
お
)
つて
居
(
を
)
つては、
140
何時迄
(
いつまで
)
も
錦
(
にしき
)
の
機
(
はた
)
は
織
(
お
)
り
上
(
あ
)
がりませぬ。
141
夫
(
それ
)
に
就
(
つ
)
いては
私
(
わたし
)
が
第一
(
だいいち
)
悪
(
わる
)
かつた。
142
経糸
(
たていと
)
はヂツとさへして
居
(
を
)
れば
良
(
よ
)
いのに、
143
緯糸
(
よこいと
)
以上
(
いじやう
)
に
藻掻
(
もが
)
くものだから、
144
薩張
(
さつぱり
)
ワヤになつて
了
(
しま
)
うたのぢや。
145
あゝ
何
(
なに
)
を
見
(
み
)
ても
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教訓
(
けうくん
)
許
(
ばか
)
り、
146
何故
(
なにゆゑ
)
今迄
(
いままで
)
こんな
見易
(
みやす
)
い
道理
(
だうり
)
が
分
(
わか
)
らなんだのだらう。
147
ヤツパリ
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
に
眼
(
まなこ
)
を
眩
(
くら
)
まされてゐたのだ』
148
と
長大
(
ちやうだい
)
嘆息
(
たんそく
)
をしてゐる。
149
是
(
こ
)
れより
一行
(
いつかう
)
は
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
継
(
つ
)
ぎ、
150
漸
(
やうや
)
くにしてアルの
海岸
(
かいがん
)
に
着
(
つ
)
いた。
151
幸
(
さいは
)
ひ
船
(
ふね
)
はゼムの
港
(
みなと
)
に
向
(
むか
)
つて
出帆
(
しゆつぱん
)
せむとする
間際
(
まぎは
)
であつた。
152
高姫
(
たかひめ
)
は
慌
(
あわただ
)
しく『オーイオーイ』と
呼止
(
よびと
)
めた。
153
船頭
(
せんどう
)
は
今
(
いま
)
纜
(
ともづな
)
を
解
(
と
)
いて
港
(
みなと
)
を
少
(
すこ
)
しばかり
離
(
はな
)
れた
船
(
ふね
)
を
引返
(
ひきかへ
)
し、
154
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
乗
(
の
)
らしめ、
155
折
(
をり
)
からの
南風
(
なんぷう
)
に
帆
(
ほ
)
を
孕
(
はら
)
ませ、
156
ゼムの
港
(
みなと
)
を
指
(
さ
)
して
波上
(
はじやう
)
ゆるやかに
辷
(
すべ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
157
長
(
なが
)
き
海上
(
かいじやう
)
の
退屈
(
たいくつ
)
紛
(
まぎ
)
れに
船客
(
せんきやく
)
の
間
(
あひだ
)
にあちらこちらと
雑談
(
ざつだん
)
が
始
(
はじ
)
まつた。
158
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
は
船
(
ふね
)
の
片隅
(
かたすみ
)
に
小
(
ちい
)
さくなつて
控
(
ひか
)
へてゐる。
159
甲『
去年
(
きよねん
)
の
事
(
こと
)
だつたか、
160
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つてゼムの
港
(
みなと
)
へ
渡
(
わた
)
る
時
(
とき
)
の
船客
(
せんきやく
)
の
話
(
はな
)
しに、
161
テルの
国
(
くに
)
のアリナの
滝
(
たき
)
とやらに
大変
(
たいへん
)
な
玉取神
(
たまとりがみ
)
さまが
現
(
あら
)
はれ、
162
彼方
(
あちら
)
からも
此方
(
こちら
)
からも、
163
種々雑多
(
たくさん
)
の
玉
(
たま
)
をお
供
(
そな
)
へに
行
(
い
)
つて、
164
いろいろの
願事
(
ねがひごと
)
を
叶
(
かな
)
へて
貰
(
もら
)
はうと、
165
欲
(
よく
)
な
連中
(
れんぢう
)
が
引
(
ひき
)
も
切
(
き
)
らず
参拝
(
さんぱい
)
してゐたさうぢや。
166
さうすると
何
(
なん
)
でもヒルとか
夜
(
よる
)
とか
云
(
い
)
ふ
国
(
くに
)
の
偉
(
えら
)
いお
方
(
かた
)
が
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
をお
供
(
そな
)
へになつた。
167
玉取神
(
たまとりがみ
)
さまはその
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
つたと
見
(
み
)
えて、
168
夜
(
よ
)
さりの
間
(
あひだ
)
に
玉
(
たま
)
を
引
(
ひ
)
つ
担
(
かつ
)
ぎ、
169
何処
(
どつか
)
へ
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
し、
170
ウヅの
国
(
くに
)
の
櫟
(
くぬぎ
)
ケ
原
(
はら
)
とかで、
171
折角
(
せつかく
)
持出
(
もちだ
)
した
玉
(
たま
)
を、
172
天狗
(
てんぐ
)
に
取上
(
とりあ
)
げられ、
173
這々
(
はうはう
)
の
体
(
てい
)
でウヅの
国
(
くに
)
(アルゼンチン)の
大原野
(
だいげんや
)
を
横断
(
わうだん
)
し、
174
アルの
港
(
みなと
)
から
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて、
175
アマゾン
川
(
がは
)
の
河上
(
かはかみ
)
まで
行
(
い
)
つたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
176
併
(
しか
)
し
神
(
かみ
)
さまの
中
(
なか
)
にもいろいろあつて、
177
欲
(
よく
)
な
神
(
かみ
)
さまもあればあるものぢやなア。
178
其
(
その
)
玉取神
(
たまとりがみ
)
さまの
大将
(
たいしやう
)
は、
179
何
(
なん
)
でも
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
鷹
(
たか
)
とか
鳶
(
とび
)
とか
烏
(
からす
)
の
様
(
やう
)
な
名
(
な
)
のつく、
180
矢釜
(
やかま
)
しい
女神
(
をんながみ
)
があつて、
181
大切
(
たいせつ
)
に
守
(
まも
)
つて
居
(
を
)
つた
玉
(
たま
)
を
玉取神
(
たまとりがみ
)
が
失
(
うしな
)
うたので
怒
(
おこ
)
つて
叩
(
たた
)
き
出
(
だ
)
し、
182
其
(
その
)
玉
(
たま
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れる
迄
(
まで
)
、
183
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
な……と
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
玉
(
たま
)
の
一
(
ひと
)
つ
位
(
ぐらゐ
)
、
184
何程
(
なんぼ
)
捜
(
さが
)
したつて、
185
分
(
わか
)
りさうなことがないのに、
186
無茶
(
むちや
)
を
言
(
い
)
うて、
187
いぢり
倒
(
たふ
)
したと
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いたが、
188
随分
(
ずゐぶん
)
悪
(
わる
)
い
神
(
かみ
)
もあればあるものだなア。
189
屹度
(
きつと
)
其奴
(
そいつ
)
には
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
やら、
190
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
狐
(
きつね
)
が
憑
(
つ
)
いてをつて、
191
そんな
無茶
(
むちや
)
なことを
言
(
い
)
はしたり、
192
さしたりすると
云
(
い
)
ふ
話
(
はな
)
しだ。
193
本当
(
ほんたう
)
に
神
(
かみ
)
さまだと
云
(
い
)
つても、
194
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
くちや
)
に
信神
(
しんじん
)
出来
(
でき
)
ぬものだ。
195
鷹鳶姫
(
たかとびひめ
)
とか
玉取姫
(
たまとりひめ
)
とか
云
(
い
)
ふケチな
神
(
かみ
)
もある
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だからなア』
196
乙『
玉取姫
(
たまとりひめ
)
位
(
くらゐ
)
なら
屁
(
へ
)
どろいこつちやが、
197
世間
(
せけん
)
には
沢山
(
たくさん
)
、
198
嬶取彦
(
かかとりひこ
)
や
爺取姫
(
おやぢとりひめ
)
が
現
(
あら
)
はれて、
199
随分
(
ずゐぶん
)
社会
(
しやくわい
)
の
秩序
(
ちつじよ
)
を
紊
(
みだ
)
し、
200
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
悪
(
あく
)
の
種
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
く
神
(
かみ
)
も、
201
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
大分
(
だいぶん
)
に
出来
(
でき
)
て
来
(
き
)
たぞよ。
202
アハヽヽヽ』
203
と
他愛
(
たあい
)
なく
笑
(
わら
)
ふ。
204
高姫
(
たかひめ
)
は
真赤
(
まつか
)
な
顔
(
かほ
)
して
小
(
ちい
)
さくなつて、
205
甲乙
(
かふおつ
)
の
談
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
206
常彦
(
つねひこ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
耳
(
みみ
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ、
207
常彦
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
208
どうも
世間
(
せけん
)
は
広
(
ひろ
)
いやうで
狭
(
せま
)
いものですな。
209
海洋
(
かいやう
)
万里
(
ばんり
)
の
斯
(
こ
)
んな
所
(
ところ
)
まで、
210
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
出来事
(
できごと
)
が、
211
仮令
(
たとへ
)
間違
(
まちが
)
ひにもせよ、
212
大体
(
だいたい
)
が
行渡
(
ゆきわた
)
つて
居
(
を
)
るとは
実
(
じつ
)
に
驚
(
おどろ
)
きましたねえ。
213
玉野原
(
たまのはら
)
の
玉
(
たま
)
の
湖
(
うみ
)
の
椰子樹
(
やしじゆ
)
の
下
(
した
)
に、
214
竜国別
(
たつくにわけ
)
さまが
刻
(
きざ
)
んでおいた
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
石像
(
せきざう
)
、
215
仮令
(
たとへ
)
何万
(
なんまん
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つたつて、
216
貴女
(
あなた
)
や
私
(
わたし
)
達
(
たち
)
の
目
(
め
)
にとまる
筈
(
はず
)
がないのに、
217
何百
(
なんびやく
)
里
(
り
)
とも
際限
(
さいげん
)
のない
野
(
の
)
の
中
(
なか
)
に、
218
こんな
小
(
ち
)
つぽけな
物
(
もの
)
が
只
(
ただ
)
の
一
(
ひと
)
つ、
219
それが
斯
(
か
)
うして
貴女
(
あなた
)
の
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
はれる
様
(
やう
)
になると
云
(
い
)
ふも、
220
不思議
(
ふしぎ
)
ぢやありませぬか。
221
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
うと
人間
(
にんげん
)
も
余程
(
よほど
)
心得
(
こころえ
)
なくてはなりませぬなア』
222
高姫
(
たかひめ
)
『サアそれについて、
223
私
(
わたし
)
は
胸
(
むね
)
も
何
(
なに
)
も
引裂
(
ひきさ
)
けるやうになつて
来
(
き
)
ました。
224
私
(
わたし
)
が
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
の
系統
(
ひつぽう
)
々々
(
ひつぽう
)
と
云
(
い
)
つて、
225
それを
鼻
(
はな
)
にかけ、
226
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
に
誑惑
(
きやうわく
)
されて、
227
今迄
(
いままで
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
御
(
お
)
徳
(
とく
)
を
落
(
お
)
とすこと
許
(
ばか
)
りやつて
来
(
き
)
たかと
思
(
おも
)
へば、
228
如何
(
どう
)
して
此
(
この
)
罪
(
つみ
)
が
贖
(
あがな
)
へやうかと、
229
誠
(
まこと
)
に
恐
(
おそ
)
ろしく、
230
悲
(
かな
)
しくなつて
来
(
き
)
ました』
231
と
涙
(
なみだ
)
ぐむ。
232
船客
(
せんきやく
)
は
又
(
また
)
もや
盛
(
さか
)
んに
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
した。
233
丙
(ヨブ)
『オイお
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
うて
居
(
を
)
つた
鷹鳶姫
(
たかとびひめ
)
と
云
(
い
)
ふのは、
234
ソリヤ
高姫
(
たかひめ
)
の
間違
(
まちが
)
ひだらう。
235
そして
玉取姫
(
たまとりひめ
)
と
云
(
い
)
ふのは
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
間違
(
まちが
)
ひだらう。
236
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
はなア、
237
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
我慢
(
がまん
)
の
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
で、
238
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
とか
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
なお
方
(
かた
)
の
腹
(
はら
)
から
生
(
うま
)
れて、
239
それはそれは
意地
(
いぢ
)
の
悪
(
わる
)
い
頑固者
(
ぐわんこもの
)
の、
240
利己主義
(
われよし
)
の
口達者
(
くちたつしや
)
の、
241
論
(
ろん
)
にも
杭
(
くひ
)
にも
掛
(
かか
)
らぬ
化物
(
ばけもの
)
ださうな。
242
そして
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
とか
云
(
い
)
ふお
宝物
(
ほうもつ
)
を
腹
(
はら
)
に
呑
(
の
)
んだり、
243
出
(
だ
)
したり、
244
丸
(
まる
)
で
手品師
(
てじなし
)
のやうなことをやる、
245
悪神
(
あくがみ
)
の
容物
(
いれもの
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
246
噂
(
うはさ
)
を
聞
(
き
)
いて
憎
(
にく
)
らしうなつて
来
(
く
)
る。
247
どうで
遠
(
とほ
)
い
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
話
(
はな
)
しだから、
248
到底
(
たうてい
)
吾々
(
われわれ
)
には
一代
(
いちだい
)
に
会
(
あ
)
ふことは
出来
(
でき
)
まいが、
249
若
(
も
)
しも
出会
(
であ
)
うたが
最後
(
さいご
)
、
250
世界
(
せかい
)
の
為
(
ため
)
に
俺
(
おれ
)
は
素首
(
そつくび
)
引抜
(
ひきぬ
)
いてやらうと
思
(
おも
)
つてゐるのだ。
251
何
(
なん
)
だか
高姫
(
たかひめ
)
の
話
(
はな
)
しが
出
(
で
)
ると、
252
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
からむかついて
来
(
き
)
て
堪
(
たま
)
らないワ。
253
去年
(
きよねん
)
の
今頃
(
いまごろ
)
だつた。
254
高姫
(
たかひめ
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
を
)
つた
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
255
其
(
その
)
息子
(
むすこ
)
の
鼻
(
はな
)
の
素的
(
すてき
)
滅法界
(
めつぽふかい
)
に
高
(
たか
)
い
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
256
それに
一寸
(
ちよつと
)
人種
(
じんしゆ
)
の
変
(
かは
)
つた、
257
鼻
(
はな
)
の
高
(
たか
)
い
細長
(
ほそなが
)
い、
258
色
(
いろ
)
の
少
(
すこ
)
し
白
(
しろ
)
いテーリスタンとかカーリンスとか
云
(
い
)
ふ
四人
(
よにん
)
連
(
づ
)
れが、
259
アリナの
滝
(
たき
)
の……
何
(
なん
)
でも
近所
(
きんじよ
)
に
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
とか
云
(
い
)
ふ
不思議
(
ふしぎ
)
な
池
(
いけ
)
があつて、
260
そこに
長
(
なが
)
らく
居
(
を
)
つた
所
(
ところ
)
、
261
俄
(
にはか
)
にどんな
事情
(
じじやう
)
か
知
(
し
)
らぬが、
262
居
(
を
)
れなくなつて、
263
たうとうアリナ
山脈
(
さんみやく
)
を
越
(
こ
)
えて、
264
ウヅの
国
(
くに
)
の
櫟
(
くぬぎ
)
ケ
原
(
はら
)
を
横断
(
わうだん
)
し、
265
アルの
港
(
みなと
)
からヒルへ
行
(
ゆ
)
く
途中
(
とちう
)
、
266
誤
(
あやま
)
つて
婆
(
ばば
)
アはデツキの
上
(
うへ
)
から
海中
(
かいちう
)
へ
陥没
(
かんぼつ
)
し、
267
皆目
(
かいもく
)
姿
(
すがた
)
がなくなつて
了
(
しま
)
つた。
268
そこで
息子
(
むすこ
)
の
竜国別
(
たつくにわけ
)
が、
269
婆
(
ば
)
アさまを
助
(
たす
)
けようとドブンと
計
(
ばか
)
り
飛込
(
とびこ
)
んだが、
270
これも
亦
(
また
)
波
(
なみ
)
に
捲
(
ま
)
かれて
行
(
ゆ
)
き
方
(
がた
)
知
(
し
)
れず、
271
テ、
272
カの
二人
(
ふたり
)
も
続
(
つづ
)
いてドブンとやつたが、
273
此奴
(
こいつ
)
もテンで
行方
(
ゆくへ
)
が
知
(
し
)
れなくなつて
了
(
しま
)
つた。
274
彼奴
(
あいつ
)
は
悪人
(
あくにん
)
か
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らぬが
随分
(
ずゐぶん
)
親孝行
(
おやかうかう
)
者
(
もの
)
だ。
275
母親
(
ははおや
)
が
陥
(
はま
)
つたのを
助
(
たす
)
けようと
思
(
おも
)
うて、
276
伜
(
せがれ
)
の
竜国別
(
たつくにわけ
)
が
飛込
(
とびこ
)
んで
殉死
(
じゆんし
)
し、
277
又
(
また
)
弟子
(
でし
)
の
二人
(
ふたり
)
が
助
(
たす
)
けようと
思
(
おも
)
つたか、
278
殉死
(
じゆんし
)
の
覚悟
(
かくご
)
だつたか
知
(
し
)
らぬが、
279
共
(
とも
)
に
水泡
(
みなわ
)
と
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
280
随分
(
ずゐぶん
)
此
(
この
)
航路
(
かうろ
)
では
有名
(
いうめい
)
な
話
(
はな
)
しだ。
281
お
前
(
まへ
)
まだ
耳
(
みみ
)
にして
居
(
を
)
らぬのか』
282
乙『
成程
(
なるほど
)
、
283
親子
(
おやこ
)
主従
(
しゆじゆう
)
の
心中
(
しんちう
)
とか
云
(
い
)
つて、
284
随分
(
ずゐぶん
)
有名
(
いうめい
)
な
話
(
はなし
)
だが、
285
其
(
その
)
……
何
(
なん
)
だなア、
286
宣伝使
(
せんでんし
)
の
一行
(
いつかう
)
のことか、
287
俺
(
おれ
)
や
又
(
また
)
どつかの
親子
(
おやこ
)
主従
(
しゆじゆう
)
の
心中
(
しんちう
)
かと
思
(
おも
)
つてゐた。
288
ホンに
可哀相
(
かあいさう
)
なこつたナア』
289
丙
(ヨブ)
『それと
云
(
い
)
ふのも
元
(
もと
)
を
糺
(
ただ
)
せば、
290
ヤツパリ
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
が
悪
(
わる
)
いからだ。
291
彼奴
(
あいつ
)
が
無理
(
むり
)
難題
(
なんだい
)
を
云
(
い
)
ひかけて、
292
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
から
高砂島
(
たかさごじま
)
(
南米
(
なんべい
)
)
三界
(
さんがい
)
迄
(
まで
)
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
したものだから、
293
たうとうあんなことになつて
了
(
しま
)
つたのだ。
294
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
可哀相
(
かあいさう
)
でたまらぬ。
295
俺
(
おれ
)
やモウ
其
(
その
)
話
(
はな
)
しを
聞
(
き
)
いてから、
296
空
(
そら
)
を
翔
(
た
)
つてる
鷹
(
たか
)
を
見
(
み
)
ても
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
つて
堪
(
たま
)
らぬのだ。
297
人間
(
にんげん
)
にでも
鷹
(
たか
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
の
附
(
つ
)
いてる
奴
(
やつ
)
に
会
(
あ
)
うと、
298
其奴
(
そいつ
)
が
憎
(
にく
)
らしくなつて
来
(
き
)
て、
299
擲
(
なぐ
)
りつけたいやうな
気
(
き
)
がするのだよ。
300
赤
(
あか
)
の
他人
(
たにん
)
の
俺
(
おれ
)
が、
301
何故
(
なぜ
)
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
や
竜国別
(
たつくにわけ
)
の、
302
それ
丈
(
だけ
)
贔屓
(
ひいき
)
をせにやならぬかと
思
(
おも
)
うと、
303
不思議
(
ふしぎ
)
でたまらないワ。
304
大方
(
おほかた
)
あの
陥
(
はま
)
る
時
(
とき
)
に、
305
アヽ
可哀相
(
かあいさう
)
だと
思
(
おも
)
うて
見
(
み
)
てゐたものだから、
306
其
(
その
)
亡魂
(
ばうこん
)
でも
憑依
(
ひようい
)
したのか……。
307
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
だか
其
(
その
)
タカと
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
のついた
奴
(
やつ
)
が
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
やせぬかなア。
308
何
(
なん
)
だかむかついてむかついて
仕方
(
しかた
)
がないのだ』
309
と
目
(
め
)
を
真赤
(
まつか
)
にし、
310
歯噛
(
はが
)
みし、
311
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
り、
312
形相
(
ぎやうさう
)
凄
(
すさま
)
じく
息
(
いき
)
を
喘
(
はづ
)
ませてゐる。
313
甲『ハヽヽヽヽ、
314
他人
(
たにん
)
の
疝気
(
せんき
)
を
頭痛
(
づつう
)
に
病
(
や
)
むと
云
(
い
)
ふのはお
前
(
まへ
)
のことだ。
315
そんなことはイヽ
加減
(
かげん
)
にしておけ。
316
何程
(
なにほど
)
力
(
りき
)
んでみた
所
(
ところ
)
で、
317
肝腎
(
かんじん
)
の
本人
(
ほんにん
)
は
海洋
(
かいやう
)
万里
(
ばんり
)
の
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
に
居
(
を
)
るのだから
駄目
(
だめ
)
だよ』
318
丙
(ヨブ)
『
何
(
なん
)
だか
俄
(
にはか
)
に
体
(
からだ
)
が
震
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
した。
319
何
(
なん
)
でも
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
320
乗
(
の
)
つてゐるのぢやあるまいかな。
321
オイ
一寸
(
ちよつと
)
女客
(
をんなきやく
)
の
名
(
な
)
を、
322
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
323
一々
(
いちいち
)
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れぬか』
324
甲『
馬鹿
(
ばか
)
を
言
(
い
)
ふない、
325
おれが
尋
(
たづ
)
ねなくても、
326
船長
(
せんちやう
)
さまに
聞
(
き
)
けば、
327
チヤンと
帳面
(
ちやうめん
)
に
附
(
つ
)
けてあるワ』
328
丙
(ヨブ)
『それもさうだ、
329
そんなら
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
やうかな』
330
と
立上
(
たちあ
)
がらうとする。
331
高姫
(
たかひめ
)
は、
332
丙
(
へい
)
の
袖
(
そで
)
を
控
(
ひか
)
へて、
333
高姫
(
たかひめ
)
『モシモシ
何処
(
どこ
)
の
方
(
かた
)
かは
知
(
し
)
りませぬが、
334
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
335
竜国別
(
たつくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
の
為
(
ため
)
に、
336
能
(
よ
)
うそこ
迄
(
まで
)
一心
(
いつしん
)
に
思
(
おも
)
うてやつて
下
(
くだ
)
さいます。
337
定
(
さだ
)
めて
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
も
冥土
(
めいど
)
から
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
を
)
ることで
御座
(
ござ
)
いませう。
338
あなたは
最前
(
さいぜん
)
から
承
(
うけたま
)
はれば、
339
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
海
(
うみ
)
へ
落
(
お
)
ちたのを
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
なさつたさうですが、
340
後
(
あと
)
に
何
(
なに
)
か
残
(
のこ
)
つてゐませなんだか。
341
私
(
わたし
)
があなたの
憎
(
にく
)
いと
思召
(
おぼしめ
)
す
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
から
来
(
き
)
た
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
いますよ。
342
罪
(
つみ
)
の
深
(
ふか
)
い
私
(
わたし
)
、
343
サアどうぞ
貴方
(
あなた
)
の
存分
(
ぞんぶん
)
にして
下
(
くだ
)
さいませ。
344
さうすれば、
345
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
も
定
(
さだ
)
めし
浮
(
う
)
かぶことで
御座
(
ござ
)
いませう。
346
今
(
いま
)
私
(
わたし
)
の
負
(
お
)
うて
居
(
を
)
ります
石
(
いし
)
には、
347
右
(
みぎ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
が
刻
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んで
御座
(
ござ
)
います。
348
かやうなことがあらうとて
虫
(
むし
)
が
知
(
し
)
らしたのか、
349
チヤンと
自分
(
じぶん
)
から
石碑
(
せきひ
)
を
拵
(
こしら
)
へて
残
(
のこ
)
しておいたと
見
(
み
)
えます。
350
あゝ
因縁
(
いんねん
)
と
云
(
い
)
ふものは
恐
(
おそ
)
ろしいものだ。
351
天網
(
てんまう
)
恢々
(
くわいくわい
)
疎
(
そ
)
にして
漏
(
も
)
らさず、
352
こんなことと
知
(
し
)
つたら、
353
あんな
酷
(
むご
)
いことを
云
(
い
)
ふのぢやなかつたに』
354
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
355
背中
(
せなか
)
の
石像
(
せきざう
)
を
前
(
まへ
)
に
据
(
す
)
ゑ、
356
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ、
357
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレ
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
御
(
お
)
方
(
かた
)
、
358
どうぞ
怺
(
こら
)
へて
下
(
くだ
)
さい。
359
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
せなくてはならぬ
大切
(
たいせつ
)
な
体
(
からだ
)
なれど、
360
私
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
此
(
この
)
御
(
お
)
方
(
かた
)
に
生首
(
なまくび
)
を
引抜
(
ひきぬ
)
かれて
国替
(
くにがへ
)
を
致
(
いた
)
し、
361
お
前
(
まへ
)
さまの
側
(
そば
)
へ
行
(
い
)
つて、
362
更
(
あらた
)
めてお
詫
(
わび
)
を
致
(
いた
)
します。
363
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
364
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
365
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
366
テーリスタンにカーリンス、
367
頓生
(
とんしやう
)
菩提
(
ぼだい
)
、
368
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
369
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
念
(
ねん
)
じてゐる。
370
丙
(
へい
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
真心
(
まごころ
)
より
悔悟
(
くわいご
)
した
其
(
その
)
言葉
(
ことば
)
と
挙動
(
きよどう
)
とに、
371
今迄
(
いままで
)
張
(
は
)
り
切
(
き
)
つた
勢
(
いきほひ
)
もどこへか
抜
(
ぬ
)
け、
372
今
(
いま
)
は
却
(
かへつ
)
て、
373
高姫
(
たかひめ
)
崇拝者
(
すうはいしや
)
と
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
で
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずの
間
(
あひだ
)
になつてしまつてゐた。
374
(
大正一一・八・一二
旧六・二〇
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 愛流川
(B)
(N)
ヨブの入信 >>>
霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
>
第29巻(辰の巻)
> 第3篇 神鬼一転 > 第14章 カーリン丸
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第14章 カーリン丸|第29巻|海洋万里|霊界物語|/rm2914】
合言葉「みろく」を入力して下さい→