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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
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> 第3篇 神鬼一転 > 第16章 波の響
<<< ヨブの入信
(B)
(N)
途上の邂逅 >>>
第一六章
波
(
なみ
)
の
響
(
ひびき
)
〔八三八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第3篇 神鬼一転
よみ(新仮名遣い):
しんきいってん
章:
第16章 波の響
よみ(新仮名遣い):
なみのひびき
通し章番号:
838
口述日:
1922(大正11)年08月12日(旧06月20日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
引き続いてヨブは入信の喜びの歌を歌った。次に春彦が、これまでの行程で起こったことを読み込んだ歌を歌った。そして高姫が、自身の改心とヨブの入信を喜び祝う歌を歌った。
船は三日三夜海上を走り、ゼムの港に着いた。一行四人は上陸し、ゼムの町から二三里離れた天祥山の大瀑布に御禊をなすべく、宣伝歌を歌いながら進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
ハンドの滝(天祥山の大瀑布)
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-01-04 18:14:38
OBC :
rm2916
愛善世界社版:
230頁
八幡書店版:
第5輯 550頁
修補版:
校定版:
237頁
普及版:
107頁
初版:
ページ備考:
001
常彦
(
つねひこ
)
が
祝
(
いはひ
)
を
兼
(
か
)
ねたる
佯
(
いつは
)
らざる
告白歌
(
こくはくか
)
に
励
(
はげ
)
まされ、
002
ヨブは
立上
(
たちあ
)
がり、
003
入信
(
にふしん
)
の
祝歌
(
しゆくか
)
を
歌
(
うた
)
つた。
004
ヨブ『
高天原
(
たかあまはら
)
と
定
(
さだ
)
まりし
005
貴
(
うづ
)
の
聖地
(
せいち
)
のエルサレム
006
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
は
007
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
救
(
すく
)
はむと
008
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
009
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
き
玉
(
たま
)
ひつつ
010
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぽふ
)
制定
(
せいてい
)
し
011
世
(
よ
)
は
平安
(
へいあん
)
に
治
(
をさ
)
まりて
012
神人
(
しんじん
)
和楽
(
わらく
)
の
瑞祥
(
ずゐしやう
)
を
013
楽
(
たのし
)
み
玉
(
たま
)
ふも
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
の
014
隙行
(
ひまゆ
)
く
駒
(
こま
)
の
曲神
(
まがかみ
)
に
015
天
(
あめ
)
の
御柱
(
みはしら
)
国柱
(
くにはしら
)
016
転覆
(
てんぷく
)
されて
葦原
(
あしはら
)
の
017
瑞穂
(
みづほ
)
の
国
(
くに
)
の
守護権
(
しゆごけん
)
018
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
生
(
うま
)
れたる
019
曲
(
まが
)
の
頭
(
かしら
)
に
渡
(
わた
)
しつつ
020
天教山
(
てんけうざん
)
の
火坑
(
くわこう
)
より
021
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
におりまして
022
忍
(
しの
)
びて
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
守
(
まも
)
ります
023
其
(
その
)
功績
(
いさをし
)
ぞ
尊
(
たふと
)
けれ
024
斯
(
か
)
かる
尊
(
たふと
)
き
皇神
(
すめかみ
)
の
025
いかで
此
(
この
)
儘
(
まま
)
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
026
底
(
そこ
)
の
御国
(
みくに
)
にましまさむ
027
時節
(
じせつ
)
を
待
(
ま
)
つて
天教
(
てんけう
)
の
028
再
(
ふたた
)
び
山
(
やま
)
に
現
(
あら
)
はれて
029
野立
(
のだち
)
の
彦
(
ひこ
)
と
名
(
な
)
を
変
(
へん
)
じ
030
埴安彦
(
はにやすひこ
)
と
現
(
あ
)
れまして
031
迷
(
まよ
)
へる
四方
(
よも
)
の
人草
(
ひとぐさ
)
を
032
安
(
やす
)
きに
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむと
033
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
心
(
こころ
)
より
034
三五教
(
あななひけう
)
を
建設
(
けんせつ
)
し
035
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
を
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
036
間配
(
まくば
)
り
玉
(
たま
)
ひて
川
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
や
037
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
038
尊
(
たふと
)
き
御教
(
みのり
)
を
布
(
し
)
き
玉
(
たま
)
ふ
039
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
040
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
を
白波
(
しらなみ
)
の
041
天足彦
(
あだるのひこ
)
や
胞場姫
(
えばひめ
)
が
042
罪
(
つみ
)
より
現
(
あ
)
れし
醜神
(
しこがみ
)
の
043
醜
(
しこ
)
の
叫
(
さけ
)
びに
化
(
ばか
)
されて
044
世人
(
よびと
)
の
心
(
こころ
)
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
045
曇
(
くも
)
り
行
(
ゆ
)
くこそ
忌々
(
ゆゆ
)
しけれ
046
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
047
国武彦
(
くにたけひこ
)
と
現
(
あ
)
れまして
048
四尾
(
よつを
)
の
山
(
やま
)
の
神峰
(
しんぽう
)
に
049
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
忍
(
しの
)
び
玉
(
たま
)
ひつつ
050
五六七
(
みろく
)
の
御世
(
みよ
)
の
経綸
(
けいりん
)
を
051
行
(
おこな
)
ひ
玉
(
たま
)
ひ
素盞嗚
(
すさのを
)
の
052
神
(
かみの
)
尊
(
みこと
)
の
瑞御霊
(
みづみたま
)
053
コーカス
山
(
ざん
)
や
産土
(
うぶすな
)
の
054
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
現
(
あ
)
れまして
055
八洲
(
やしま
)
の
国
(
くに
)
にわだかまる
056
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
や
醜狐
(
しこぎつね
)
057
曲鬼
(
まがおに
)
共
(
ども
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
058
天地
(
てんち
)
にさやる
村雲
(
むらくも
)
を
059
神
(
かみ
)
の
伊吹
(
いぶき
)
に
払
(
はら
)
はむと
060
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
らせ
玉
(
たま
)
ひつつ
061
言依別
(
ことよりわけ
)
を
現
(
あら
)
はして
062
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
063
綾
(
あや
)
の
高天
(
たかま
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
064
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
に
神司
(
かむづかさ
)
065
清
(
きよ
)
き
神務
(
しんむ
)
を
命
(
めい
)
じつつ
066
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
ひ
玉
(
たま
)
ひけり。
067
旭日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
068
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
069
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
070
高砂島
(
たかさごじま
)
は
亡
(
ほろ
)
ぶ
共
(
とも
)
071
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に
072
いかでか
反
(
そむ
)
きまつらむや
073
大和田中
(
おほわだなか
)
に
浮
(
うか
)
びたる
074
カーリン
島
(
たう
)
の
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
075
ヨブは
今
(
いま
)
より
高姫
(
たかひめ
)
が
076
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
を
諾
(
うべ
)
なひて
077
仮令
(
たとへ
)
野
(
の
)
の
末
(
すゑ
)
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
078
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
獅子
(
しし
)
大蛇
(
をろち
)
079
如何
(
いか
)
なる
曲津
(
まがつ
)
の
棲処
(
すみか
)
をも
080
おめず
臆
(
おく
)
せず
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
081
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
082
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
や
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
083
青人草
(
あをひとぐさ
)
の
其
(
その
)
為
(
ため
)
に
084
仕
(
つか
)
へまつらむ
惟神
(
かむながら
)
085
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
幸
(
さち
)
はひて
086
ヨブが
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
き
上
(
あ
)
げ
087
尊
(
たふと
)
き
貴
(
うづ
)
の
御柱
(
みはしら
)
と
088
依
(
よ
)
さし
玉
(
たま
)
へよ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
089
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
八百万
(
やほよろづ
)
090
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
091
謹
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる
092
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
093
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
094
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて
座
(
ざ
)
に
着
(
つ
)
いた。
095
春彦
(
はるひこ
)
は
又
(
また
)
もや
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
したり。
096
春彦
『
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
にして
097
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
御
(
ご
)
系統
(
ひつぽう
)
098
高姫
(
たかひめ
)
さまに
従
(
したが
)
ひて
099
瀬戸
(
せと
)
内海
(
ないかい
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
100
南洋
(
なんやう
)
諸島
(
しよたう
)
を
駆
(
か
)
けめぐり
101
如意
(
によい
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
探
(
たづ
)
ねつつ
102
高砂島
(
たかさごじま
)
の
手前
(
てまへ
)
まで
103
小舟
(
をぶね
)
を
操
(
あやつ
)
り
来
(
きた
)
る
折
(
をり
)
104
隠
(
かく
)
れた
岩
(
いは
)
に
突当
(
つきあた
)
り
105
当惑
(
たうわく
)
したるをりもあれ
106
高島丸
(
たかしままる
)
に
助
(
たす
)
けられ
107
漸
(
やうや
)
くテルの
港
(
みなと
)
まで
108
到着
(
たうちやく
)
するや
高姫
(
たかひめ
)
は
109
数多
(
あまた
)
の
船客
(
せんきやく
)
かきわけて
110
先頭一
(
せんとういち
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し
111
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
をふりまいて
112
暗間
(
くらま
)
の
山
(
やま
)
の
松林
(
まつばやし
)
113
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し
玉
(
たま
)
ひしが
114
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
に
現
(
あ
)
れませる
115
杢助
(
もくすけ
)
さまに
高姫
(
たかひめ
)
の
116
監督役
(
かんとくやく
)
を
命
(
めい
)
ぜられ
117
居乍
(
ゐなが
)
ら のめのめ
見失
(
みうしな
)
ひ
118
如何
(
どう
)
して
言訳
(
いひわけ
)
立
(
た
)
つものか
119
急
(
いそ
)
げ
急
(
いそ
)
げと
一散
(
いつさん
)
に
120
尻
(
しり
)
ひつからげ
大地
(
だいち
)
をば
121
ドンドン
威喝
(
ゐかつ
)
させ
乍
(
なが
)
ら
122
暗間
(
くらま
)
の
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
迄
(
まで
)
123
来
(
きた
)
りて
様子
(
やうす
)
を
窺
(
うかが
)
へば
124
高姫
(
たかひめ
)
さまの
独言
(
ひとりごと
)
125
常彦
(
つねひこ
)
、
春彦
(
はるひこ
)
両人
(
りやうにん
)
の
126
半鐘
(
はんしやう
)
泥棒
(
どろぼう
)
や
蜥蜴面
(
とかげづら
)
127
間抜
(
まぬけ
)
男
(
をとこ
)
を
伴
(
ともな
)
うて
128
高砂島
(
たかさごじま
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
129
軽蔑
(
けいべつ
)
されてはたまらない
130
何
(
なん
)
とか
立派
(
りつぱ
)
な
国人
(
くにびと
)
を
131
甘
(
うま
)
く
操
(
あやつ
)
り
弟子
(
でし
)
となし
132
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
一芝居
(
ひとしばゐ
)
133
打
(
う
)
つて
見
(
み
)
ようと
水臭
(
みづくさ
)
い
134
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
放棄
(
はうき
)
して
135
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
のみ
考
(
かんが
)
へる
136
其
(
その
)
蔭言
(
かげごと
)
を
灌木
(
くわんぼく
)
の
137
茂
(
しげ
)
みに
隠
(
かく
)
れて
聞
(
き
)
き
終
(
をは
)
り
138
余
(
あま
)
りに
腹
(
はら
)
の
立
(
た
)
つままに
139
ガサガサガサと
飛出
(
とびだ
)
せば
140
高姫
(
たかひめ
)
さまの
曰
(
いは
)
くには
141
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ぢや
142
仮令
(
たとへ
)
獣
(
けもの
)
といひ
乍
(
なが
)
ら
143
今
(
いま
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
聞
(
き
)
きよつた
144
神
(
かみ
)
の
霊
(
みたま
)
を
授
(
さづ
)
かりし
145
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
なれば
一言
(
ひとこと
)
も
146
聞
(
き
)
かれちや
都合
(
つがふ
)
がチト
悪
(
わる
)
い
147
天
(
てん
)
に
口
(
くち
)
あり
壁
(
かべ
)
に
耳
(
みみ
)
148
謹
(
つつし
)
むべきは
口
(
くち
)
なりと
149
後悔
(
こうくわい
)
遊
(
あそ
)
ばす
可笑
(
をか
)
しさよ
150
常彦
(
つねひこ
)
、
春彦
(
はるひこ
)
両人
(
りやうにん
)
は
151
足音
(
あしおと
)
隠
(
かく
)
して
二三丁
(
にさんちやう
)
152
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
忍
(
しの
)
び
足
(
あし
)
153
それから
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
めつつ
154
テル
[
※
校定版・八幡版では「ヒル」。オニペディアの「霊界物語第29巻の諸本相違点」を見よ
]
の
国王
(
こきし
)
のお
側役
(
そばやく
)
155
私
(
わたし
)
はカナン
[
※
御校正本・愛世版では「アンナ」。オニペディアの「霊界物語第29巻の諸本相違点」を見よ
]
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
156
暗間
(
くらま
)
の
山
(
やま
)
に
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
157
隠
(
かく
)
してあると
聞
(
き
)
いた
故
(
ゆゑ
)
158
私
(
わたし
)
は
捜
(
さが
)
しに
行
(
ゆ
)
きました
159
されど
遅
(
おく
)
れた
其
(
その
)
為
(
ため
)
に
160
後
(
あと
)
の
祭
(
まつ
)
りと
春彦
(
はるひこ
)
[
※
御校正本・愛世版では「常彦」。オニペディアの「霊界物語第29巻の諸本相違点」を見よ
]
が
161
声
(
こゑ
)
高々
(
たかだか
)
と
話
(
はなし
)
する
162
そこで
私
(
わたし
)
はヒル
[
※
校定版・八幡版では「テル」。オニペディアの「霊界物語第29巻の諸本相違点」を見よ
]
の
国
(
くに
)
163
国王
(
こくわう
)
様
(
さま
)
のお
側役
(
そばやく
)
164
アンナ
[
※
御校正本・愛世版では「カナン」。オニペディアの「霊界物語第29巻の諸本相違点」を見よ
]
と
申
(
まを
)
す
男
(
をとこ
)
ぞと
165
八百長
(
やほちやう
)
話
(
ばなし
)
を
始
(
はじ
)
むれば
166
猫
(
ねこ
)
が
松魚節
(
かつぶし
)
見
(
み
)
た
如
(
や
)
うに
167
高姫
(
たかひめ
)
さまが
飛
(
と
)
びついて
168
もうしもうし
旅
(
たび
)
の
人
(
ひと
)
169
暫
(
しばら
)
くお
待
(
ま
)
ちなされませ
170
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
で
171
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
172
世
(
よ
)
に
謳
(
うた
)
はれた
高姫
(
たかひめ
)
ぢや
173
お
前
(
まへ
)
も
中々
(
なかなか
)
偉
(
えら
)
い
人
(
ひと
)
174
私
(
わたし
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
きなされ
175
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
176
尊
(
たふと
)
き
因縁
(
いんねん
)
聞
(
き
)
かさうと
177
お
婆
(
ば
)
アの
癖
(
くせ
)
に
小娘
(
こむすめ
)
の
178
やうな
優
(
やさ
)
しい
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
179
吹出
(
ふきだ
)
すように
思
(
おも
)
へども
180
ここで
笑
(
わら
)
うては
一大事
(
いちだいじ
)
181
大事
(
だいじ
)
の
前
(
まへ
)
の
小事
(
せうじ
)
ぢやと
182
脇
(
わき
)
のあたりでキユーキユーと
183
笑
(
わら
)
ひの
神
(
かみ
)
をしめつけて
184
足音
(
あしおと
)
低
(
ひく
)
く
高
(
たか
)
くして
185
遥
(
はるか
)
向
(
むか
)
うから
後戻
(
あともど
)
り
186
して
来
(
き
)
たように
作
(
つく
)
りなし
187
どこの
何方
(
どなた
)
か
知
(
し
)
らね
共
(
ども
)
188
私
(
わたし
)
に
向
(
むか
)
つて
何
(
なに
)
御用
(
ごよう
)
189
早
(
はや
)
く
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
されと
190
吾
(
われ
)
から
可笑
(
をか
)
しい
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
191
流石
(
さすが
)
の
高姫
(
たかひめ
)
嗅
(
か
)
ぎつけて
192
お
前
(
まへ
)
はアンナと
云
(
い
)
ふけれど
193
半鐘
(
はんしよう
)
泥棒
(
どろぼう
)
の
常彦
(
つねひこ
)
だ
194
カナンと
名乗
(
なの
)
る
蜥蜴面
(
とかげづら
)
195
春彦
(
はるひこ
)
さまにきまつたり
196
余
(
あんま
)
り
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にすな
197
声
(
こゑ
)
を
尖
(
とが
)
らし
怒
(
おこ
)
り
出
(
だ
)
す
198
暴風
(
ばうふう
)
襲来
(
しふらい
)
低気圧
(
ていきあつ
)
199
二百十
(
にひやくとを
)
日
(
か
)
の
風害
(
ふうがい
)
も
200
来
(
きた
)
らむとする
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
201
私
(
わたし
)
がアンナと
云
(
い
)
うたのは
202
お
筆先
(
ふでさき
)
にもある
通
(
とほ
)
り
203
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
はアンナ
者
(
もの
)
204
こんな
者
(
もの
)
になつたかと
205
世界
(
せかい
)
の
人
(
ひと
)
がビツクリし
206
アフンとさせるお
仕組
(
しぐみ
)
ぢや
207
カナンと
云
(
い
)
うて
名乗
(
なの
)
つたは
208
春彦
(
はるひこ
)
さまの
平常
(
へいぜい
)
は
209
赤子
(
あかご
)
のやうな
人
(
ひと
)
なれど
210
神
(
かみ
)
が
憑
(
うつ
)
つた
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
211
誰
(
たれ
)
でもカナン
身魂
(
みたま
)
ぢやと
212
言
(
い
)
はして
人
(
ひと
)
を
大道
(
たいだう
)
に
213
導
(
みちび
)
くお
役
(
やく
)
と
逆理窟
(
さかりくつ
)
214
一本
(
いつぽん
)
かましてやつたれば
215
高姫
(
たかひめ
)
さまは
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て
216
私
(
わたし
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
振
(
ふり
)
すてて
217
又
(
また
)
も
逃
(
に
)
げよとする
故
(
ゆゑ
)
に
218
高島丸
(
たかしままる
)
の
船中
(
せんちう
)
で
219
国依別
(
くによりわけ
)
に
面会
(
めんくわい
)
し
220
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
221
其
(
その
)
他
(
ほか
)
珍
(
うづ
)
の
御宝
(
みたから
)
を
222
拝見
(
はいけん
)
さして
貰
(
もら
)
うたと
223
カマをかけたら
高姫
(
たかひめ
)
が
224
玉
(
たま
)
にかけたら
夢
(
ゆめ
)
うつつ
225
忽
(
たちま
)
ち
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
し
出
(
だ
)
し
226
ホンにお
前
(
まへ
)
は
偉
(
えら
)
い
人
(
ひと
)
227
気
(
き
)
の
利
(
き
)
く
男
(
をとこ
)
と
思
(
おも
)
うてゐた
228
さうして
如意
(
によい
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
は
229
国依別
(
くによりわけ
)
が
如何
(
どう
)
したか
230
知
(
し
)
らしてお
呉
(
く
)
れと
云
(
い
)
ふ
故
(
ゆゑ
)
に
231
此
(
この
)
春彦
(
はるひこ
)
は
知
(
し
)
らねども
232
狐
(
きつね
)
のやうに
常彦
(
つねひこ
)
が
233
眉毛
(
まゆげ
)
に
唾
(
つば
)
をつけ
乍
(
なが
)
ら
234
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
神宝
(
しんぱう
)
は
235
高砂島
(
たかさごじま
)
にコツソリと
236
言依別
(
ことよりわけ
)
や
国依
(
くにより
)
の
237
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
が
出
(
で
)
て
参
(
まゐ
)
り
238
何々々
(
なになになに
)
に
何々
(
なになに
)
し
239
絶対
(
ぜつたい
)
秘密
(
ひみつ
)
ぢや
云
(
い
)
はれない
240
国依別
(
くによりわけ
)
のお
言葉
(
ことば
)
に
241
お
前
(
まへ
)
を
男
(
をとこ
)
と
見込
(
みこ
)
んでの
242
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
をば
243
明
(
あ
)
かした
上
(
うへ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
に
244
決
(
けつ
)
して
云
(
い
)
ふちやならないぞ
245
私
(
わたし
)
も
常彦
(
つねひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
246
言
(
い
)
はぬと
云
(
い
)
つたらどこ
迄
(
まで
)
も
247
首
(
くび
)
がとれても
云
(
い
)
はないと
248
約束
(
やくそく
)
したから
如何
(
どう
)
しても
249
高姫
(
たかひめ
)
さまには
済
(
す
)
まないが
250
これ
許
(
ばつか
)
りは
御免
(
ごめん
)
だと
251
キ
常彦
(
つねひこ
)
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せに
252
からかひまはす
可笑
(
をか
)
しさよ
253
とうとう
喧嘩
(
けんくわ
)
に
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
254
常彦
(
つねひこ
)
私
(
わたし
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
255
高姫
(
たかひめ
)
さまを
振
(
ふり
)
すてて
256
今度
(
こんど
)
は
二人
(
ふたり
)
が
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した
257
高姫
(
たかひめ
)
さまは
驚
(
おどろ
)
いて
258
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
引捉
(
ひつとら
)
へ
259
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
白状
(
はくじやう
)
させ
260
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
に
持帰
(
もちかへ
)
り
261
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
262
天眼通
(
てんがんつう
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
263
皆
(
みな
)
さまこれから
吾々
(
われわれ
)
の
264
言葉
(
ことば
)
に
反
(
そむ
)
いちやならないと
265
法螺
(
ほら
)
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てる
御
(
ご
)
算段
(
さんだん
)
266
そんな
事
(
こと
)
には
乗
(
の
)
るものか
267
三十六
(
さんじふろく
)
計
(
けい
)
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
を
268
最極端
(
さいきよくたん
)
に
発揮
(
はつき
)
して
269
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
せば
270
高姫
(
たかひめ
)
さまは
道
(
みち
)
の
上
(
へ
)
の
271
高
(
たか
)
い
小石
(
こいし
)
に
躓
(
つまづ
)
いて
272
大地
(
だいち
)
にバタリと
打倒
(
うちたふ
)
れ
273
額
(
ひたい
)
を
打破
(
うちわ
)
り
膝
(
ひざ
)
挫
(
くじ
)
き
274
生血
(
なまち
)
を
流
(
なが
)
してアイタタと
275
頭
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でたり
膝坊主
(
ひざぼうづ
)
276
押
(
おさ
)
へて
顔
(
かほ
)
をしかめゐる
277
此
(
この
)
時
(
とき
)
四五
(
しご
)
の
若者
(
わかもの
)
は
278
どこともなしに
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り
279
高姫
(
たかひめ
)
さまを
介抱
(
かいほう
)
して
280
抱
(
いだ
)
き
起
(
おこ
)
して
助
(
たす
)
くれば
281
いつも
変
(
かは
)
らぬ
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
282
結構
(
けつこう
)
なおかげをお
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
は
283
頂
(
いただ
)
きなさつた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
284
御
(
お
)
礼
(
れい
)
なされよ
私
(
わたし
)
にも
285
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
仰有
(
おつしや
)
れ
神
(
かみ
)
の
綱
(
つな
)
286
私
(
わたし
)
がかけて
上
(
あ
)
げました
287
などと
又
(
また
)
もや
世迷言
(
よまいごと
)
288
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
ると
云
(
い
)
ふ
289
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
に
騙
(
だま
)
されて
290
アと
云
(
い
)
つては
金
(
きん
)
一
(
いち
)
両
(
りやう
)
291
リと
聞
(
き
)
いては
金
(
きん
)
一
(
いち
)
両
(
りやう
)
292
ナーと
云
(
い
)
つては
金
(
かね
)
取
(
と
)
られ
293
滝
(
たき
)
と
云
(
い
)
つては
二
(
に
)
両
(
りやう
)
取
(
と
)
られ
294
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
と
六
(
む
)
つの
口
(
くち
)
295
又
(
また
)
もや
六
(
ろく
)
両
(
りやう
)
はぎ
取
(
と
)
られ
296
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
み
顔
(
がほ
)
で
高姫
(
たかひめ
)
が
297
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
が
路端
(
みちばた
)
に
298
憩
(
いこ
)
ふ
所
(
ところ
)
をドシドシと
299
肩肱
(
かたひぢ
)
いからし
高姫
(
たかひめ
)
は
300
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
お
)
告
(
つ
)
げにて
301
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
つた
故
(
ゆゑ
)
302
これから
独
(
ひと
)
り
行
(
ゆ
)
く
程
(
ほど
)
に
303
間抜
(
まぬけ
)
男
(
をとこ
)
は
来
(
く
)
るでない
304
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
の
邪魔
(
じやま
)
になる
305
必
(
かなら
)
ず
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
てくれな
306
言葉
(
ことば
)
を
残
(
のこ
)
してドンドンと
307
テル
国
(
くに
)
街道
(
かいだう
)
を
走
(
は
)
せて
行
(
ゆ
)
く
308
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
高姫
(
たかひめ
)
が
309
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひつつ
駆出
(
かけだ
)
して
310
牛
(
うし
)
のお
尻
(
えど
)
に
衝突
(
しようとつ
)
し
311
ヤツサモツサと
争
(
あらそ
)
ひつ
312
牛童丸
(
うしどうまる
)
に
横笛
(
よこぶえ
)
で
313
首
(
くび
)
が
飛
(
と
)
ぶ
程
(
ほど
)
横
(
よこ
)
ツ
面
(
つら
)
314
やられた
時
(
とき
)
の
其
(
その
)
痛
(
いた
)
さ
315
常彦
(
つねひこ
)
さまが
行
(
や
)
つた
事
(
こと
)
316
私
(
わたし
)
は
傍杖
(
そばづゑ
)
くわされて
317
あんなつまらぬ
事
(
こと
)
はない
318
牛童丸
(
うしどうまる
)
に
牛
(
うし
)
貰
(
もら
)
うて
319
常彦
(
つねひこ
)
さまは
牛
(
うし
)
の
背
(
せな
)
320
私
(
わたし
)
は
綱
(
つな
)
を
曳
(
ひ
)
き
乍
(
なが
)
ら
321
小川
(
をがは
)
を
伝
(
つた
)
うて
杉林
(
すぎばやし
)
322
十間
(
じつけん
)
許
(
ばか
)
り
遡
(
さかのぼ
)
り
323
高姫
(
たかひめ
)
さまが
他愛
(
たあい
)
なく
324
休
(
やす
)
んで
厶
(
ござ
)
る
其
(
その
)
前
(
まへ
)
に
325
牛
(
うし
)
引
(
ひき
)
つれて
往
(
い
)
て
見
(
み
)
れば
326
モウモウモウと
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
す
327
其
(
その
)
大声
(
おほごゑ
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし
328
高姫
(
たかひめ
)
さまはうるさがり
329
又
(
また
)
も
二人
(
ふたり
)
を
振棄
(
ふりす
)
てて
330
アリナの
滝
(
たき
)
に
只一人
(
ただひとり
)
331
玉
(
たま
)
を
占領
(
せんりやう
)
せむものと
332
行
(
ゆ
)
かうとしたので
吾々
(
われわれ
)
は
333
お
前
(
まへ
)
はアリナの
滝
(
たき
)
の
上
(
うへ
)
334
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
行
(
ゆ
)
くのだろ
335
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
牛
(
うし
)
に
乗
(
の
)
り
336
お
前
(
まへ
)
さまより
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
337
先
(
さき
)
にアリナへ
到着
(
たうちやく
)
し
338
玉
(
たま
)
を
手
(
て
)
にして
帰
(
かへ
)
ります
339
左様
(
さやう
)
ならばと
立出
(
たちい
)
づる
340
高姫
(
たかひめ
)
さまは
又
(
また
)
しても
341
猫撫声
(
ねこなでごゑ
)
と
早変
(
はやがは
)
り
342
コレコレ
常公
(
つねこう
)
春公
(
はるこう
)
へ
343
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
を
知
(
し
)
らぬのか
344
海山
(
うみやま
)
越
(
こ
)
えてはるばると
345
こんな
所迄
(
とこまで
)
やつて
来
(
き
)
て
346
お
前
(
まへ
)
に
別
(
わか
)
れて
如何
(
どう
)
ならう
347
一緒
(
いつしよ
)
に
行
(
ゆ
)
かうぢやないかいと
348
相談
(
さうだん
)
かけて
呉
(
く
)
れた
故
(
ゆゑ
)
349
モウモウモーさん
帰
(
い
)
んでよと
350
牛
(
うし
)
に
向
(
むか
)
つて
言霊
(
ことたま
)
を
351
発射
(
はつしや
)
致
(
いた
)
せばアラ
不思議
(
ふしぎ
)
352
煙
(
けぶり
)
となつて
消
(
き
)
えにける
353
夫
(
そ
)
れより
三
(
さん
)
人
(
にん
)
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
354
テルの
街道
(
かいだう
)
ドシドシと
355
大西洋
(
たいせいやう
)
を
眺
(
なが
)
めつつ
356
アリナの
滝
(
たき
)
のほとりなる
357
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
358
数千
(
すうせん
)
年
(
ねん
)
の
沈黙
(
ちんもく
)
を
359
破
(
やぶ
)
りて
池
(
いけ
)
はブクブクと
360
泡
(
あわ
)
を
立
(
た
)
てたりウンウンと
361
厭
(
いや
)
らし
声
(
こゑ
)
にて
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
す
362
高姫
(
たかひめ
)
さまは
玉
(
たま
)
どこか
363
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
魂抜
(
たまぬ
)
かれ
364
焼糞
(
やけくそ
)
気味
(
ぎみ
)
になりまして
365
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
さまと
366
いろはにほへとちりぬるの
367
四十八
(
しじふや
)
文字
(
もじ
)
の
掛合
(
かけあひ
)
に
368
奴肝
(
どぎも
)
を
抜
(
ぬ
)
かれて
失心
(
しつしん
)
し
369
人事
(
じんじ
)
不覚
(
ふかく
)
となられける
370
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
の
神司
(
かむづかさ
)
371
現
(
あら
)
はれまして
高姫
(
たかひめ
)
を
372
助
(
たす
)
け
玉
(
たま
)
へば
高姫
(
たかひめ
)
は
373
相
(
あひ
)
も
変
(
かは
)
らぬ
憎
(
にく
)
い
事
(
こと
)
374
百万
(
ひやくまん
)
ダラリと
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
375
側
(
そば
)
に
控
(
ひか
)
えた
吾々
(
われわれ
)
も
376
余
(
あま
)
り
憎
(
にく
)
うて
横
(
よこ
)
ツ
面
(
つら
)
377
擲
(
なぐ
)
つてやりたいよに
思
(
おも
)
うた
378
夫程
(
それほど
)
分
(
わか
)
らぬ
度
(
ど
)
し
太
(
ぶと
)
い
379
高姫
(
たかひめ
)
さまもどうしてか
380
櫟
(
くぬぎ
)
ケ
原
(
はら
)
の
真中
(
まんなか
)
で
381
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あ
)
れませる
382
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
御
(
おん
)
化身
(
けしん
)
383
日
(
ひ
)
の
出姫
(
でのひめ
)
の
訓戒
(
くんかい
)
に
384
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
改心
(
かいしん
)
し
385
虎
(
とら
)
と
思
(
おも
)
うた
高姫
(
たかひめ
)
が
386
サツパリ
猫
(
ねこ
)
と
早変
(
はやがは
)
り
387
それから
段々
(
だんだん
)
おとなしく
388
もの
言
(
い
)
ひさへも
改
(
あらた
)
まり
389
誠
(
まこと
)
に
可愛
(
かあい
)
うなつて
来
(
き
)
た
390
玉
(
たま
)
の
湖水
(
こすい
)
の
畔
(
ほとり
)
にて
391
椰子樹
(
やしじゆ
)
の
森
(
もり
)
に
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かし
392
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
や
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
393
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
やテー、カーの
394
姿
(
すがた
)
を
刻
(
きざ
)
んだ
石地蔵
(
いしぢざう
)
395
眺
(
なが
)
めて
高姫
(
たかひめ
)
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
し
396
コレコレ
四
(
よ
)
人
(
にん
)
のお
方
(
かた
)
さま
397
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
悪
(
わる
)
かつた
398
どうぞ
勘忍
(
かんにん
)
しておくれ
399
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
過
(
あやま
)
ちを
400
お
前
(
まへ
)
さま
等
(
ら
)
に
無理
(
むり
)
云
(
い
)
うて
401
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
いだ
)
し
402
苦労
(
くらう
)
をかけたは
済
(
す
)
みませぬ
403
罪亡
(
つみほろぼ
)
しに
今日
(
けふ
)
からは
404
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
をば
405
刻
(
きざ
)
んだ
重
(
おも
)
たい
此
(
この
)
石
(
いし
)
を
406
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うて
自転倒
(
おのころ
)
の
407
島
(
しま
)
迄
(
まで
)
大事
(
だいじ
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り
408
祠
(
ほこら
)
を
建
(
た
)
てて
奉斎
(
ほうさい
)
し
409
朝晩
(
あさばん
)
お
給仕
(
きふじ
)
致
(
いた
)
します
410
どうぞ
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
されと
411
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
善心
(
ぜんしん
)
に
412
立返
(
たちかへ
)
られた
健気
(
けなげ
)
さよ
413
余
(
あんま
)
り
早
(
はや
)
い
変
(
かは
)
りよで
414
私
(
わたし
)
も
一寸
(
ちよつと
)
疑
(
うたが
)
うた
415
アルの
港
(
みなと
)
で
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り
416
高姫
(
たかひめ
)
さまが
偽
(
いつは
)
らぬ
417
其
(
その
)
告白
(
こくはく
)
に
感歎
(
かんたん
)
し
418
ヨブさま
迄
(
まで
)
が
驚
(
おどろ
)
いて
419
高姫
(
たかひめ
)
さまの
弟子
(
でし
)
となり
420
入信
(
にふしん
)
されたお
目出度
(
めでた
)
さ
421
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
422
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
目
(
ま
)
のあたり
423
こんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
はない
424
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
改心
(
かいしん
)
425
入信
(
にふしん
)
なされたヨブさまの
426
前途
(
ぜんと
)
益々
(
ますます
)
健全
(
けんぜん
)
に
427
渡
(
わた
)
らせ
玉
(
たま
)
ひて
神徳
(
しんとく
)
を
428
世界
(
せかい
)
に
照
(
て
)
らし
玉
(
たま
)
ふ
日
(
ひ
)
を
429
指折
(
ゆびをり
)
数
(
かぞ
)
へ
待
(
ま
)
ちまする
430
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
431
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
432
最後
(
さいご
)
に
高姫
(
たかひめ
)
は
改心
(
かいしん
)
と
入信
(
にふしん
)
の
悦
(
よろこ
)
びの
歌
(
うた
)
を
唄
(
うた
)
ひけり。
433
高姫
『あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
434
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
に
435
常夜
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
も
晴
(
は
)
れわたり
436
真如
(
しんによ
)
の
月
(
つき
)
は
村肝
(
むらきも
)
の
437
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
きて
438
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
曲神
(
まがかみ
)
に
439
すぐはれ
居
(
ゐ
)
たる
吾
(
わが
)
身魂
(
みたま
)
440
今
(
いま
)
は
漸
(
やうや
)
く
夢
(
ゆめ
)
醒
(
さ
)
めて
441
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
影
(
かげ
)
もなく
442
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひし
伊都能売
(
いづのめ
)
の
443
霊
(
みたま
)
の
光
(
ひかり
)
輝
(
かがや
)
きて
444
心
(
こころ
)
の
悩
(
なや
)
みも
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せぬ
445
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
るとも
446
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
447
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
448
一旦
(
いつたん
)
改心
(
かいしん
)
した
上
(
うへ
)
は
449
身魂
(
みたま
)
の
此
(
この
)
世
(
よ
)
にある
限
(
かぎ
)
り
450
天地
(
てんち
)
に
誓
(
ちか
)
うて
変
(
かは
)
らまじ
451
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
改心
(
かいしん
)
が
452
一
(
いち
)
日
(
にち
)
遅
(
おく
)
れて
居
(
を
)
つたなら
453
此
(
この
)
船中
(
せんちう
)
でヨブさまに
454
命
(
いのち
)
取
(
と
)
らるるとこだつた
455
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
筆先
(
ふでさき
)
に
456
何
(
なに
)
よりかより
改心
(
かいしん
)
が
457
一番
(
いちばん
)
結構
(
けつこう
)
と
云
(
い
)
うてある
458
改心
(
かいしん
)
すれば
其
(
その
)
日
(
ひ
)
から
459
敵
(
てき
)
もなければ
苦労
(
くらう
)
もない
460
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
なされよと
461
幾度
(
いくたび
)
となく
書
(
か
)
いてある
462
あゝ
改心
(
かいしん
)
か
改心
(
かいしん
)
か
463
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
で
464
始
(
はじ
)
めて
悟
(
さと
)
つた
改心
(
かいしん
)
の
465
誠
(
まこと
)
の
味
(
あぢ
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
466
私
(
わたし
)
を
仇
(
かたき
)
と
狙
(
ねら
)
うたる
467
カーリン
島
(
たう
)
のヨブさまが
468
打
(
う
)
つて
変
(
かは
)
つて
高姫
(
たかひめ
)
を
469
師匠
(
ししやう
)
と
仰
(
あふ
)
いで
入信
(
にふしん
)
し
470
無事
(
ぶじ
)
に
此
(
この
)
場
(
ば
)
の
治
(
をさ
)
まりし
471
其
(
その
)
原因
(
げんいん
)
を
尋
(
たづ
)
ぬれば
472
ヤツパリ
私
(
わたし
)
の
改心
(
かいしん
)
ぢや
473
改心
(
かいしん
)
入信
(
にふしん
)
一時
(
ひととき
)
に
474
善
(
よ
)
い
事
(
こと
)
計
(
ばか
)
りが
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
た
475
こんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
はない
476
さはさり
乍
(
なが
)
ら
海中
(
かいちう
)
に
477
陥
(
おちい
)
り
玉
(
たま
)
ひし
四人
(
よにん
)
連
(
づれ
)
478
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へばいぢらしい
479
せめては
霊
(
みたま
)
を
慰
(
なぐさ
)
めて
480
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
奉斎
(
ほうさい
)
し
481
叮嚀
(
ていねい
)
にお
給仕
(
きふじ
)
致
(
いた
)
しませう
482
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
や
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
483
広
(
ひろ
)
き
心
(
こころ
)
に
見直
(
みなほ
)
して
484
私
(
わたし
)
の
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
しませ
485
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
486
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
慎
(
つつし
)
みて
487
今日
(
けふ
)
の
慶
(
よろこ
)
び
永久
(
とこしへ
)
に
488
感謝
(
かんしや
)
しまつり
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
489
教
(
のり
)
の
司
(
つかさ
)
や
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
490
冥福
(
めいふく
)
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
491
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
492
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
493
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
りて、
494
莞爾
(
くわんじ
)
として
座
(
ざ
)
に
着
(
つ
)
いた。
495
船
(
ふね
)
は
三日
(
みつか
)
三夜
(
みよ
)
さ
海上
(
かいじやう
)
を
逸走
(
いつそう
)
し、
496
漸
(
やうや
)
くゼムの
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
した。
497
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
はここに
上陸
(
じやうりく
)
し、
498
ゼムの
町
(
まち
)
を
二三
(
にさん
)
里
(
り
)
許
(
ばか
)
り
隔
(
へだ
)
てたる
天祥山
(
てんしやうざん
)
の
大瀑布
(
だいばくふ
)
に
御禊
(
みそぎ
)
をなすべく、
499
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として、
500
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
山
(
やま
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
りにける。
501
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
502
(
大正一一・八・一二
旧六・二〇
松村真澄
録)
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