霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第六章 玉(たま)の行衛(ゆくゑ)〔八二八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻 篇:第2篇 石心放告 よみ(新仮名遣い):せきしんほうこく
章:第6章 玉の行衛 よみ(新仮名遣い):たまのゆくえ 通し章番号:828
口述日:1922(大正11)年08月11日(旧06月19日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
休息中も高姫は言葉を和らげて、常彦・春彦が船中で言依別一行から聞いたという玉のありかを聞き出そうとする。
常彦ははぐらかしながら、高姫のころころ変わる態度を皮肉っている。高姫はしきりにお世辞を言うが、常彦は、玉のありかを漏らしたら、高姫は手のひらを返して自分たちを見捨てるだろうからと警戒する。
常彦は高姫をからかった挙句、春彦と二人で走って逃げてしまった。高姫はそれを追いかけて転倒してしまう。高姫が血を流して倒れているところに四五人の男たちが通りかかり、高姫を気の毒がってお土で手当てをしてくれた。
高姫は、日の出神の生き宮を助けた功徳を与えてあげたのだから感謝しろ、と男たちに言う。男たちは高姫の傲慢にあきれ、早く玉を供えに行こうと言う。
高姫は玉と聞いて、男たちの一人に金を払って情報を得る。男たちは、アリナの滝の鏡の池に玉を供えに行く途中だった。高姫は、常彦が言っていた玉のありかはてっきりここだと思い定め、一目散にアリナの滝へ駆け出した。
木陰で休んでいた常彦と春彦はそれを見て、後を追いかけていく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-12-23 17:26:33 文字数:5311 OBC :rm2906
愛善世界社版:83頁 八幡書店版:第5輯 495頁 修補版: 校定版:84頁 普及版:38頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)は言葉(ことば)を軟(やは)らげ、
002高姫『コレコレ常彦(つねひこ)さま、003ヤツパリお前(まへ)は私(わたし)が三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)の中(なか)でも、004一番(いちばん)気(き)の利(き)いた立派(りつぱ)な方(かた)だと思(おも)うて連(つ)れて来(き)たが、005……ヤツパリ此(この)高姫(たかひめ)の目(め)は違(ちが)ひませぬワイ。006ようマア目敏(めざと)くも、007言依別(ことよりわけ)や、008国依別(くによりわけ)の船(ふね)に乗(の)つてるのが気(き)がつきましたなア』
009常彦(つねひこ)『蛇(じや)の道(みち)は蛇(へび)ですからなア。010どうも言依別(ことよりわけ)や国依別(くによりわけ)の臭(にほひ)が船(ふね)に乗(の)つた時(とき)から、011鼻(はな)について仕方(しかた)がないものですから、012一寸(ちよつと)考(かんが)へてゐましたが、013いよいよ此奴(こいつ)ア変(へん)だと思(おも)うてかぎつけました』
014春彦(はるひこ)『まるで犬(いぬ)の様(やう)な鼻(はな)の利(き)く男(をとこ)だなア。015蛇(じや)の道(みち)は蛇(へび)でなくて、016猪(しし)の道(みち)は犬(いぬ)ぢやないか。017さうして本当(ほんたう)に言依別(ことよりわけ)さまや国依別(くによりわけ)が立派(りつぱ)な玉(たま)を持(も)つて御座(ござ)つたのか』
018常彦(つねひこ)『貴様(きさま)が海(うみ)へ踊(をど)つて落込(おちこ)んだ時(とき)に、019綱(つな)を投(な)げて呉(く)れた船客(せんきやく)が国依別(くによりわけ)だつたのだ。020つまりお前(まへ)は国依別(くによりわけ)さまに生命(いのち)を助(たす)けて貰(もら)うたのだよ』
021春彦(はるひこ)『アヽさうか、022それは有難(ありがた)い。023一(ひと)つ御(お)礼(れい)を言(い)うぢやつたに、024お前(まへ)が云(い)つて呉(く)れぬものだから、025つい御(ご)無礼(ぶれい)をした。026ヤツパリ国依別(くによりわけ)さまは親切(しんせつ)だなア。027二(ふた)つ目(め)には足手纏(あしてまと)ひになるの、028エヽ加減(かげん)にまいて了(しま)はぬと、029あんなヒヨツトコは邪魔(じやま)になるとか仰有(おつしや)る生神(いきがみ)もあるなり、030世(よ)は種々(いろいろ)だ。031そして立派(りつぱ)な玉(たま)をお前(まへ)は拝見(はいけん)したのか』
032常彦(つねひこ)『天機(てんき)洩(も)らす可(べ)からずだ。033大(おほ)きな声(こゑ)で云(い)ふない。034そこに高姫(たかひめ)さまが聞(き)いて御座(ござ)るぢやないか。035高姫(たかひめ)さまの御座(ござ)らぬ所(ところ)で、036トツクリとお前(まへ)丈(だけ)に一厘(いちりん)の秘密(ひみつ)を知(し)らしてやるワ。037オツと了(しま)うた、038余(あま)り大(おほ)きな声(こゑ)でウツカリ喋(しやべ)つて了(しま)つた。039……モシ高姫(たかひめ)さま、040今(いま)私(わたし)が何(なに)を言(い)うたか聞(きこ)えましたか。041余(あま)りハツキリとは聞(きこ)えては居(ゐ)やせぬだらうな。042聞(きこ)えたら大変(たいへん)ぢやからなア。043アヽ桑原(くはばら)々々(くはばら)、044慎(つつし)むべきは言葉(ことば)なりけりぢや、045アハヽヽヽ』
046高姫(たかひめ)『コレ常彦(つねひこ)さま、047お前(まへ)、048そんなにイチヤつかすものぢやありませぬぞえ。049トツトと有体(ありてい)に仰有(おつしや)い。050そしたら此(この)高姫(たかひめ)は云(い)ふに及(およ)ばず、051錦(にしき)の宮(みや)の教主(けうしゆ)となり、052お前(まへ)を総務(そうむ)にして立派(りつぱ)な神業(しんげふ)に使(つか)つて上(あ)げます。053五六七(みろく)の世(よ)でも出(で)て来(き)て見(み)なさい。054それはそれはあんな者(もの)がこんな者(もの)になつたと云(い)ふ御(お)仕組(しぐみ)ですから、055それで神(かみ)には叶(かな)はぬと仰有(おつしや)るのぢやぞえ』
056常彦(つねひこ)『ハヽア、057さうすると最前(さいぜん)アンナ、058カナンに化(ば)けたのも、059強(あなが)ち徒労(とらう)ではありませぬな。060私(わたし)がアンナ、061春彦(はるひこ)はカナン、062私(わたし)はアンナ者(もの)がコンナ者(もの)になり、063春彦(はるひこ)は立派(りつぱ)な人間(にんげん)になつて、064高姫(たかひめ)さまでも何人(なんぴと)でも、065到底(たうてい)カナンと云(い)ふ立派(りつぱ)な人間(にんげん)になると云(い)ふ前兆(ぜんてう)ですか、066ハツハヽヽヽ。067これと云(い)ふのも国依別(くによりわけ)さまが御(ご)親切(しんせつ)に、068玉(たま)の所在(ありか)を決(けつ)して他言(たごん)はならぬと固(かた)く戒(いまし)めて仰有(おつしや)つて下(くだ)さつたのは、069本当(ほんたう)に有難(ありがた)い。070よく私(わたし)の魂(たま)を悟(さと)つて下(くだ)さつた。071士(し)は己(おのれ)を知(し)る者(もの)の為(ため)に死(し)すとか云(い)つて、072自分(じぶん)の真心(まごころ)を見(み)ぬいてくれた人(ひと)位(くらゐ)、073有難(ありがた)く思(おも)ふものはない。074私(わたし)も男(をとこ)と見込(みこ)まれて、075大事(だいじ)の秘密(ひみつ)の玉(たま)の所在(ありか)を知(し)らされ、076実物(じつぶつ)迄(まで)拝見(はいけん)さして頂(いただ)いたのだから、077此(この)首(くび)が仮令(たとへ)千切(ちぎ)れても、078国依別(くによりわけ)さまが云(い)つてもよいと仰有(おつしや)る迄(まで)申(まを)されませぬワイ。079アヽ云(い)はな分(わか)らず、080云(い)うてはならず、081六(むつ)かしい仕組(しぐみ)であるぞよ……とお筆先(ふでさき)に神(かみ)様(さま)が仰有(おつしや)つてゐるのは、082大方(おほかた)こんな事(こと)だらう。083お筆先(ふでさき)の文句(もんく)がキタリキタリと出(で)て来(き)て、084身(み)に滲(し)みわたる様(やう)で御座(ござ)いますワイ』
085高姫(たかひめ)『お前(まへ)は言(い)はねばならぬ人(ひと)には隠(かく)して云(い)はぬなり、086言(い)うて悪(わる)い人(ひと)には言(い)はうとするから、087国依別(くによりわけ)さまが厳(きび)しく口止(くちど)めをしたのだよ。088よう考(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。089私(わたし)の供(とも)になつて来(き)て居(ゐ)るお前(まへ)に秘密(ひみつ)を明(あ)かすと云(い)ふ事(こと)は、090つまり高姫(たかひめ)に知(し)らせよと云(い)ふ謎(なぞ)ですよ。091此(この)事(こと)を詳(くは)しう高姫(たかひめ)に伝(つた)へてくれと云(い)つたら、092却(かへつ)て心易(こころやす)う思(おも)ひ、093忘(わす)れて了(しま)ふだらうから、094言(い)ふな……と云(い)つておけば、095大事(だいじ)な事(こと)と思(おも)ひ、096お前(まへ)が念頭(ねんとう)にかけ、097コッソリとお前(まへ)が私(わたし)に云(い)うだらうと、098先(さき)の先(さき)まで気(き)をまはし、099お前(まへ)に言(い)うたのだよ。100国依別(くによりわけ)も中々(なかなか)偉(えら)いワイ。101よう理窟(りくつ)を云(い)ふ男(をとこ)だが、102どこともなく香(かう)ばしい所(ところ)のある男(をとこ)だと思(おも)うた。103……コレコレ常彦(つねひこ)、104言(い)ひなさい、105キット後(あと)は私(わたし)が引受(ひきう)けますから……』
106常彦(つねひこ)『メッサウな、107そんな事(こと)言(い)うてなりますかいな。108お前(まへ)さまは私(わたし)を、109甘(うま)くたらして云(い)はさうと思(おも)ひ、110巧言(かうげん)令色(れいしよく)の限(かぎ)りを尽(つく)して、111うまく誘導(いうだう)訊問(じんもん)をなさるが、112マア止(や)めておきませうかい。113こんな所(ところ)でお前(まへ)さまに言(い)はうものなら、114あとは尻喰(しりくら)ひ観音(くわんのん)、115そこに居(を)るかとも仰有(おつしや)らせないだらう。116マア言(い)はずにおけば常彦(つねひこ)の御(ご)機嫌(きげん)を損(そこな)はぬ様(やう)に親切(しんせつ)に目(め)をかけてくれるに違(ちが)ひない。117言(い)ひさへせなきや、118桜花(おうくわ)爛漫(らんまん)と常彦(つねひこ)の身辺(しんぺん)に咲(さ)き匂(にほ)ふといふものだ。119言(い)うたが最後(さいご)、120明日(あす)ありと思(おも)ふ心(こころ)の仇桜(あだざくら)、121夜半(よは)に嵐(あらし)の吹(ふ)かぬものかは……と忽(たちま)ち高姫颪(たかひめおろし)に吹(ふ)きおろされ、122ザックバランな目(め)に遇(あ)はされるに定(きま)つてる。123花(はな)は半開(はんかい)にして、124長(なが)く梢(こずゑ)に咲(さ)き匂(にほ)ふ位(くらゐ)な所(ところ)で止(や)めておきませうかい。125イッヒヽヽヽ。126アヽこんな愉快(ゆくわい)な事(こと)が又(また)と再(ふたた)び三千(さんぜん)世界(せかい)にあらうかいな。127三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)に開(ひら)く梅(うめ)の花(はな)、128開(ひら)く時節(じせつ)が来(き)たら秘密(ひみつ)の倉(くら)を開(あ)けて見(み)せて上(あ)げませう。129それも一寸(ちよつと)でも私(わたし)の御(ご)機嫌(きげん)を損(そこ)ねたが最後(さいご)駄目(だめ)ですよ』
130高姫(たかひめ)『コレ常彦(つねひこ)、131情(なさけ)ない事(こと)を云(い)うておくれな。132なんぼ私(わたし)だつてさう現金(げんきん)な女(をんな)ぢやありませぬぞえ。133今(いま)の人間(にんげん)は思惑(おもわく)さへ立(た)ちや、134後(あと)は見向(みむ)きもせぬのが多(おほ)いが、135苟(いやし)くも、136善一筋(ぜんひとすぢ)の誠生粋(まこときつすゐ)の大和(やまと)魂(だましひ)の根本(こつぽん)の性来(しやうらい)の、137而(しか)も日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)、138変性(へんじやう)男子(なんし)の系統(ひつぽう)、139これ丈(だけ)何(なに)もかも資格(しかく)の揃(そろ)うた高姫(たかひめ)がそんな人間(にんげん)臭(くさ)い心(こころ)を持(も)ち、140行(おこな)ひを致(いた)さうものなら、141第一(だいいち)神(かみ)様(さま)のお道(みち)が潰(つぶ)れるぢやありませぬか。142変性(へんじやう)男子(なんし)の身魂(みたま)に対(たい)しても、143お顔(かほ)に泥(どろ)を塗(ぬ)るやうなものなり、144日(ひ)の出神(でのかみ)さまに対(たい)しても申訳(まをしわけ)がありませぬ。145さうだから大丈夫(だいぢやうぶ)ですよ。146先(さき)で云(い)ふも今(いま)云(い)ふも同(おな)じことだ。147さう出(だ)し惜(をし)みをせずと、148お前(まへ)の腹(はら)の痛(いた)む事(こと)ぢやなし、149一口(ひとくち)、150かうだとお前(まへ)の口(くち)に出(だ)して呉(く)れたら良(よ)いぢやないか。151サア常彦(つねひこ)、152ホンにお前(まへ)は気(き)の良(よ)い人(ひと)だ。153そんなにピンとすねずにチヤツと仰有(おつしや)つて下(くだ)さいナ』
154常彦(つねひこ)『猫(ねこ)があれ程(ほど)好(すき)な鼠(ねずみ)を生捕(いけどり)にしても中々(なかなか)さうムシヤムシヤと食(く)ひはしますまい。155くはへては放(ほ)り上(あ)げ、156くはへては放(ほ)り上(あ)げ、157追(お)ひかけたり押(おさ)へたり、158何遍(なんべん)も何遍(なんべん)もイチヤつかして、159終局(しまひ)には嬲殺(なぶりごろし)にして、160楽(たのし)んで食(く)ふように、161此(この)話(はなし)もさう直々(ぢきぢき)に申上(まをしあ)げると、162大事件(だいじけん)だから値打(ねうち)がなくなる。163マア楽(たの)しんで私(わたし)に従(つ)いて来(き)なさい。164其(その)代(かは)りに或(ある)時期(じき)が来(き)たら知(し)らして上(あ)げますから、165一(ひと)つ約束(やくそく)をしておかねばなりませぬ。166高姫(たかひめ)さま、167物(もの)を教(をし)へて貰(もら)ふ者(もの)が弟子(でし)で、168教(をし)へる者(もの)が先生(せんせい)ですなア』
169高姫(たかひめ)『きまつた事(こと)だよ。170教(をし)へる者(もの)が先生(せんせい)だ。171さうだからお前(まへ)達(たち)は私(わたし)の弟子(でし)になつて居(を)るぢやないか』
172常彦(つねひこ)『あゝそれで分(わか)りました。173其(その)御(お)考(かんが)へなれば、174行(ゆ)く行(ゆ)くは玉(たま)の所在(ありか)を教(をし)へて上(あ)げませう。175其(その)代(かは)り今日(けふ)から私(わたし)が先生(せんせい)でお前(まへ)さまは弟子(でし)だよ。176サア荷物(にもつ)を持(も)つて従(つ)いて来(き)なさい』
177高姫(たかひめ)『コレ常彦(つねひこ)、178おまへは何(なに)と云(い)ふ事(こと)を云(い)ふのだい。179天地(てんち)顛倒(てんたう)も甚(はなはだ)しいぢやないか。180誰(たれ)がお前(まへ)の弟子(でし)になる者(もの)があるものか。181苟(いやしく)も日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)ですよ。182余(あま)り馬鹿(ばか)にしなさるな』
183常彦(つねひこ)『これはこれは失礼(しつれい)な事(こと)を申(まを)し上(あ)げました。184そんならどうぞ何(なに)もかも教(をし)へて下(くだ)さいませ。185私(わたし)は教(をし)へる資格(しかく)がありませぬから、186モウ此(こ)れ限(かぎ)り何(なに)も申上(まをしあ)げませぬ。187教(をし)へて上(あ)げやうと云(い)へばお目玉(めだま)を頂戴(ちやうだい)するなり、188其(その)方(はう)が宜(よろ)しい。189モウ此(こ)れ限(かぎ)り、190夜前(やぜん)あなたの仰有(おつしや)つた様(やう)に此(この)国(くに)の人(ひと)を弟子(でし)にして、191半鐘(はんしよう)泥棒(どろぼう)や蜥蜴面(とかげづら)の吾々(われわれ)に離(はな)れて活動(くわつどう)して下(くだ)さい。192……なア春彦(はるひこ)、193半鐘(はんしよう)泥棒(どろぼう)や蜥蜴面(とかげづら)が従(つ)いて居(ゐ)ると高姫(たかひめ)さまのお邪魔(じやま)になるから、194これでお別(わか)れせうかい』
195春彦(はるひこ)『何(なに)が何(なん)だか、196俺(おれ)やモウサツパリ訳(わけ)が分(わか)らぬ様(やう)になつて来(き)たワイ。197……オイ常彦(つねひこ)、198そんな意地(いぢ)の悪(わる)い事(こと)言(い)はずに、199男(をとこ)らしう薩張(さつぱり)と高姫(たかひめ)さまに申(まを)し上(あ)げたら如何(どう)だ』
200高姫(たかひめ)『コレコレ春彦(はるひこ)、201流石(さすが)はお前(まへ)は見上(みあ)げたものだ。202さうなくては宣伝使(せんでんし)とは言(い)へませぬワイ。203……コレ常彦(つねひこ)、204言(い)はな言(い)はぬで宜(よろ)しい。205お前(まへ)の行(ゆ)く所(ところ)へ従(つ)いて行(ゆ)きさへすればキット分(わか)るのだから……』
206常彦(つねひこ)『ソラ分(わか)りませう。207併(しか)し乍(なが)ら私(わたし)は出直(でなほ)してくる共(とも)、208お前(まへ)さまの従(つ)いて厶(ござ)る限(かぎ)りは、209玉(たま)の在(あ)る方面(はうめん)へは決(けつ)して足(あし)は向(む)けませぬワ。210そしたら如何(どう)なさる。211オホヽヽヽ』
212高姫(たかひめ)『エヽ気色(きしよく)の悪(わる)い、213しぶとい奴(やつ)だなア。214ヨシヨシ今(いま)に神界(しんかい)に奏上(そうじやう)して、215口(くち)も何(なに)も利(き)けぬ様(やう)に金縛(かなしば)りをかけてやるから、216それでも宜(よろ)しいか』
217常彦(つねひこ)『どうぞ早(はや)うかけて下(くだ)さい。218お前(まへ)さまに玉(たま)の所在(ありか)を言(い)へ言(い)へと云(い)うて迫(せま)られるのが、219辛(つら)うてたまらぬから、220物(もの)が言(い)へぬようにして下(くだ)されば、221それで私(わたし)の責任(せきにん)が逃(のが)れると云(い)ふものだ。222どうぞ早(はや)うかけて下(くだ)さいな。223不動(ふどう)の金縛(かなしば)りを……』
224と云(い)ひ乍(なが)ら、225舌(した)を一寸(ちよつと)上下(うへした)の唇(くちびる)の間(あひだ)に挟(はさ)んで高姫(たかひめ)の前(まへ)に頤(あご)をしやくり、226突(つ)き出(だ)して見(み)せる。
227高姫(たかひめ)『エヽどうもかうも仕方(しかた)のない、228上(あ)げも下(お)ろしもならぬ動物(どうもの)ぢやなア』
229常彦(つねひこ)『オイ春彦(はるひこ)、230駆足(かけあし)々々(かけあし)。231高姫(たかひめ)さまをまくのだよ』
232と尻引(しりひき)まくり、233一生(いつしやう)懸命(けんめい)に地響(ぢひび)きさせ乍(なが)ら、234降(くだ)り坂(ざか)を駆出(かけだ)した。235高姫(たかひめ)は後(あと)より一生(いつしやう)懸命(けんめい)に二人(ふたり)の姿(すがた)を見失(みうしな)はじと追(お)つかけて行(ゆ)く。
236 高姫(たかひめ)は高(たか)い石(いし)に躓(つまづ)きパタリと大地(だいち)に倒(たふ)れ、237額(ひたい)をしたたか打(う)ち、238血(ち)をタラタラ流(なが)し、239且(か)つ膝頭(ひざがしら)を打(う)つて、240頭(あたま)を撫(な)で足(あし)を撫(な)で、241身(み)を藻掻(もが)いてゐる。242二人(ふたり)は高姫(たかひめ)が必(かなら)ず追(お)つかけ来(く)るものと信(しん)じて、243一生(いつしやう)懸命(けんめい)に南(みなみ)へ南(みなみ)へと走(はし)り行(ゆ)く。
244 ここを通(とほ)りかかつた四五(しご)人(にん)の男(をとこ)、245高姫(たかひめ)の疵(きず)を見(み)て気(き)の毒(どく)がり、246傍(かたはら)の交(まじ)り気(け)のない土(つち)を水(みづ)に溶(と)かし、247額(ひたい)と足(あし)とに塗(ぬ)りつける。248高姫(たかひめ)は、
249高姫『何方(どなた)か知(し)りませぬが、250ようマア助(たす)けて下(くだ)さいました。251これも全(まつた)く日(ひ)の出神(でのかみ)さまのお神徳(かげ)で厶(ござ)います。252貴方(あなた)方(がた)も結構(けつこう)なお神徳(かげ)を頂(いただ)きなさつたな。253高姫(たかひめ)と云(い)ふお方(かた)は、254誠(まこと)に結構(けつこう)な身魂(みたま)であるから、255此(この)身魂(みたま)に水(みづ)一杯(いつぱい)でも、256茶(ちや)一滴(ひとしづく)でも供養(くやう)した者(もの)は、257大神(おほかみ)様(さま)のお喜(よろこ)びによつて、258家(いへ)は代々(だいだい)富貴(ふうき)繁昌(はんじやう)、259子孫(しそん)長久(ちやうきう)、260五穀(ごこく)豊饒(ほうぜう)、261病気(びやうき)平癒(へいゆ)、262千客(せんきやく)万来(ばんらい)の瑞祥(ずゐしやう)が出(で)て参(まゐ)ります。263皆(みな)さま、264結構(けつこう)な御用(ごよう)をさして貰(もら)ひなさつた。265サア、266是(これ)から、267三五教(あななひけう)の神(かみ)様(さま)に御(お)礼(れい)をなさい。268私(わたし)も一緒(いつしよ)に御(お)礼(れい)をしてあげます』
269甲『何(なん)と妙(めう)な事(こと)を言(い)ふ婆(ばば)アぢやのう。270人(ひと)に世話(せわ)になつておいて、271反対(あべこべ)にお礼(れい)をせい、272御(お)礼(れい)をして上(あ)げるのと、273訳(わけ)が分(わか)らぬぢやないか。274大方(おほかた)これはキ印(じるし)かも知(し)れぬぞ。275うつかり相手(あひて)にならうものなら大変(たいへん)だ。276イヽ加減(かげん)にして行(ゆ)かうぢやないか』
277高姫(たかひめ)『コレコレ若(わか)い衆(しう)、278キ印(じるし)ですよ。279三千(さんぜん)世界(せかい)の大狂者(おほきちがひ)の大化物(おほばけもの)の変性(へんじやう)男子(なんし)の系統(ひつぽう)の生神(いきがみ)様(さま)ぢや』
280乙『それ程(ほど)エライ生神(いきがみ)さまが、281何(なん)で又(また)道(みち)に倒(たふ)れて怪我(けが)をなさるのだらう。282此(この)点(てん)が一寸(ちよつと)合点(がつてん)が行(ゆ)かぬぢやないか』
283高姫(たかひめ)『そこが神(かみ)様(さま)の御(お)仕組(しぐみ)だ。284縁(えん)なき衆生(しうじやう)は度(ど)し難(がた)しと云(い)ふ事(こと)がある。285日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)が、286一寸(ちよつと)此(この)肉体(にくたい)を道(みち)に倒(たふ)してみせて、287ワザとお前(まへ)等(ら)に世話(せわ)をさせて、288手柄(てがら)をさして、289因縁(いんねん)の綱(つな)を掛(か)け、290結構(けつこう)にして助(たす)けてやらうと遊(あそ)ばすのだ。291分(わか)りましたかなア』
292乙『根(ね)つから分(わか)りませぬワイ。293……オイ皆(みな)の連中(れんぢう)、294早(はや)く玉(たま)を御(お)供(そな)へに往(ゆ)かうぢやないか。295結構(けつこう)の玉(たま)を供(そな)へたら、296結構(けつこう)にしてやらうと云(い)ふ神(かみ)があるから、297早(はや)く何々(なになに)迄(まで)急(いそ)がうぢやないか』
298丙『随分(ずゐぶん)沢山(たくさん)にお参(まゐ)りだから、299ヤツと玉(たま)もいろいろと寄(よ)つて居(ゐ)るだらうなア』
300乙『ソリヤお前(まへ)、301一遍(いつぺん)俺(おれ)も参(まゐ)つて来(き)たが、302それはそれは立派(りつぱ)な玉(たま)が山(やま)の如(ごと)くに神(かみ)さまの前(まへ)に積(つ)んであつたよ。303金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)に黄金(こがね)の玉(たま)、304竜宮(りうぐう)の麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)の玉(たま)とか云(い)つて、305紫(むらさき)、306青(あを)、307白(しろ)、308赤(あか)、309黄(き)、310立派(りつぱ)な玉(たま)が目醒(めざま)しい程(ほど)供(そな)へてあつたよ』
311高姫(たかひめ)『コレコレお前(まへ)、312其(その)玉(たま)はどこに供(そな)へてあるのだ。313一寸(ちよつと)云(い)つて下(くだ)さらぬか』
314乙『其(その)玉(たま)の所在(ありか)ですかいな。315ソリヤ一寸(ちよつと)何々(なになに)して貰(もら)はぬと、316何々(なになに)に何々(なになに)が納(をさ)まつて居(ゐ)ると云(い)ふ事(こと)は云(い)はれませぬなア』
317高姫(たかひめ)『そんならお金(かね)を上(あ)げるから仰有(おつしや)つて下(くだ)さい』
318乙『私(わたし)も実(じつ)は貧乏(びんばふ)で困(こま)つてをるのだ。319金儲(かねまう)けになる事(こと)なら云(い)つてあげようかな。320ここに五(ご)人(にん)も居(を)るけれど、321玉(たま)の場所(ばしよ)を知(し)つた者(もの)は俺(おれ)丈(だけ)だから儲(まう)け放題(はうだい)だ。322一口(ひとくち)にナンボ金(かね)を出(だ)しますか』
323高姫(たかひめ)『一口(ひとくち)に一(いち)両(りやう)づつ上(あ)げよう。324成(な)る可(べ)く二口(ふたくち)位(くらゐ)に詳(くは)しう云(い)つて下(くだ)さいや』
325乙『中々(なかなか)一口(ひとくち)や二口(ふたくち)には云(い)ひませぬで、326一口(ひとくち)云(い)うたら一(いち)両(りやう)づつ引替(ひきかへ)に致(いた)しませう。327それも先銭(さきせん)ですよ』
328高姫(たかひめ)『サア一(いち)両(りやう)』
329と突(つ)き出(だ)す。
330乙『ア……』
331高姫(たかひめ)『後(あと)を言(い)はぬかいな』
332乙『モウ一(いち)両(りやう)だけ、333一口(ひとくち)がとこ云(い)つたぢやないか。334モ一(いち)両(りやう)下(くだ)さい。335其(その)次(つぎ)を云(い)うて上(あ)げよう』
336高姫(たかひめ)『あゝ仕方(しかた)がない、337……それ一(いち)両(りやう)』
338と又(また)突(つ)き出(だ)す。
339乙『リ……』
340と云(い)ひ乍(なが)ら、341又(また)一(いち)両(りやう)を呉(く)れと手(て)を突(つ)き出(だ)す。
342高姫(たかひめ)『何(なん)と高(たか)い案内料(あんないれう)ぢやなア。343モチト長(なが)く言(い)うてお呉(く)れぬかいな』
344乙『元(もと)からの約束(やくそく)だ、345ア……と云(い)へば一口(ひとくち)かかる。346リ……といへば又(また)一口(ひとくち)ぢやないか』
347高姫(たかひめ)『エヽ欲(よく)な男(をとこ)ぢや。348……それ一(いち)両(りやう)、349今度(こんど)はチト長(なが)く言(い)うて呉(く)れ』
350 乙(おつ)は又(また)一(いち)両(りやう)懐(ふところ)にねぢ込(こ)み、
351乙『今度(こんど)は長(なが)く言(い)ひますよ。352……ナーー……』
353 かう云(い)ふ調子(てうし)に『アリナの滝(たき)の水上(みなかみ)、354鏡(かがみ)の池(いけ)の前(まへ)に沢山(たくさん)の宝玉(ほうぎよく)が供(そな)へてある』と云(い)ふ事(こと)を教(をし)へられ、355高姫(たかひめ)は勢(いきほひ)込(こ)んでテルの国(くに)のアリナの滝(たき)を指(さ)して、356一生(いつしやう)懸命(けんめい)に駆(か)けり行(ゆ)く。
357 道傍(みちばた)の木蔭(こかげ)に休(やす)んで居(ゐ)た常彦(つねひこ)、358春彦(はるひこ)は、359高姫(たかひめ)の血相(けつさう)変(か)へて行(ゆ)く姿(すがた)を眺(なが)め、
360常彦、春彦『オイオイ高姫(たかひめ)さま、361一寸(ちよつと)待(ま)つて下(くだ)さいなア』
362と呼(よ)びかけた。363高姫(たかひめ)は後(あと)を一寸(ちよつと)振向(ふりむ)き、364上下(うへした)の歯(は)を密着(みつちやく)させ、365ニユツと口(くち)から現(あら)はし、366頤(あご)を二三遍(にさんぺん)しやくつて、
367高姫(たかひめ)『イヽヽ、368大(おほ)きに憚(はばか)りさま。369玉(たま)の所在(ありか)は日(ひ)の出神(でのかみ)さまから知(し)らして貰(もら)ひました。370必(かなら)ず従(つ)いて来(き)て下(くだ)さるなや』
371と一生(いつしやう)懸命(けんめい)に走(はし)り行(ゆ)く。372常彦(つねひこ)は、
373常彦(つねひこ)『本当(ほんたう)に玉(たま)が此(この)国(くに)に隠(かく)してあるのかな。374こりや一(ひと)つ高姫(たかひめ)さまの後(あと)から従(つ)いて行(い)つて、375白玉(しろたま)でも黄玉(きだま)でも、376一(ひと)つ拾(ひろ)はぬと、377はるばる出(で)て来(き)た甲斐(かひ)がないワ。378……オイ春彦(はるひこ)、379急(いそ)げ』
380と尻(しり)ひつからげ大股(おほまた)にドンドン、381髪(かみ)振(ふ)り乱(みだ)し砂煙(すなけぶり)を立(た)て乍(なが)ら、382高姫(たかひめ)の通(とほ)つた後(あと)を一目散(いちもくさん)に走(はし)り行(ゆ)く。
383(大正一一・八・一一 旧六・一九 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→