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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
余白歌
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霊界物語
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<<< 日出姫
(B)
(N)
愛流川 >>>
第一二章
悔悟
(
くわいご
)
の
幕
(
まく
)
〔八三四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第3篇 神鬼一転
よみ(新仮名遣い):
しんきいってん
章:
第12章 悔悟の幕
よみ(新仮名遣い):
かいごのまく
通し章番号:
834
口述日:
1922(大正11)年08月12日(旧06月20日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
常彦、春彦、竜、玉の四人は高姫に追いつけず、アリナ山の山頂で夜を過ごした。丑三時に東の空に俄かに黒雲が起こり、大きな怪物が降ってくるのが見えた。
四人が指差し眺めていると、麗しい女神が中空に現れると、金毛九尾の悪狐が北方の常世の国の方面に逃げて行くのが見えた。その後に、空中を錦の袋が櫟ケ原に落ちていくのが見えた。
一行は夜が明けると高姫を追いかけ始め、日の暮れごろにようやく櫟ケ原の柏楊樹の下に端座している高姫のところに着いた。高姫は心魂開け、真如の日月が心の空に輝いて天眼通力を得て四人が後を追って来ているのを知り、端座して祝詞を上げながら待っていた。
高姫の様子がすっかり打って変わって高慢なところが消えているので、常彦と春彦は驚いて声をかけた。高姫は女神の戒めにあって改心した経緯を一行に話した。そして竜と玉に、黄金の玉を国玉依別に返却するようにと依頼した。
高姫の改心に常彦と春彦は涙を流し、実は自分たちは杢助の内命によって高姫を改心させようとお供になって着いて来たことを明かした。
竜と玉は黄金の玉を懸橋御殿に持って帰った。高姫一行は日の出姫が示した行路を取って大原野を越えて海岸線を北上し、アマゾン河をさかのぼる旅に出ることになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-29 17:24:23
OBC :
rm2912
愛善世界社版:
174頁
八幡書店版:
第5輯 529頁
修補版:
校定版:
178頁
普及版:
81頁
初版:
ページ備考:
001
常彦
(
つねひこ
)
、
002
春彦
(
はるひこ
)
は
後
(
あと
)
より
追
(
お
)
つかけ
来
(
きた
)
りし
玉
(
たま
)
、
003
竜
(
たつ
)
の
二人
(
ふたり
)
と
共
(
とも
)
に、
004
アリナの
高山
(
かうざん
)
を
漸
(
やうや
)
く
登
(
のぼ
)
り、
005
到底
(
たうてい
)
、
006
高姫
(
たかひめ
)
に
追付
(
おひつ
)
く
可
(
べか
)
らざるを
断念
(
だんねん
)
し、
007
高山
(
かうざん
)
の
頂
(
いただ
)
きにて
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
め、
008
其
(
その
)
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かした。
009
丑満
(
うしみつ
)
頃
(
ごろ
)
と
覚
(
おぼ
)
しき
時
(
とき
)
、
010
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
をフト
眺
(
なが
)
むれば、
011
俄
(
にはか
)
に
黒雲
(
くろくも
)
起
(
おこ
)
り、
012
満天
(
まんてん
)
の
星
(
ほし
)
は
一
(
ひと
)
つも
残
(
のこ
)
らず
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し、
013
追々
(
おひおひ
)
風
(
かぜ
)
は
烈
(
はげ
)
しく
峰
(
みね
)
の
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
を
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
り、
014
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
眠
(
ねむ
)
りもならず、
015
其
(
その
)
雲
(
くも
)
を
怪
(
あや
)
しみ
眺
(
なが
)
めつつあつた。
016
忽
(
たちま
)
ち
東
(
ひがし
)
の
天
(
てん
)
に
黒雲
(
くろくも
)
の
中
(
なか
)
より、
017
輪廓
(
りんくわく
)
明
(
あきら
)
かなる
白髪
(
はくはつ
)
の
大怪物
(
だいくわいぶつ
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
018
地上
(
ちじやう
)
に
向
(
むか
)
つて
降
(
くだ
)
る
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えた。
019
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は『アレヨアレヨ』と
指
(
さ
)
し、
020
眺
(
なが
)
めてゐた。
021
暫
(
しばら
)
くあつて
容色
(
ようしよく
)
端麗
(
たんれい
)
なる
女神
(
めがみ
)
又
(
また
)
もや
空中
(
くうちう
)
に
現
(
あら
)
はるるよと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、
022
見
(
み
)
るも
恐
(
おそ
)
ろしき
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
白面
(
はくめん
)
の
悪狐
(
あくこ
)
は
暗
(
やみ
)
を
照
(
て
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
023
北方
(
ほくぱう
)
常世国
(
とこよのくに
)
の
空
(
そら
)
を
目
(
め
)
がけて
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
024
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
奇異
(
きゐ
)
の
思
(
おも
)
ひに
打
(
う
)
たれ、
025
目
(
め
)
も
放
(
はな
)
たず
東天
(
とうてん
)
を
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
026
不思議
(
ふしぎ
)
や
空中
(
くうちう
)
に
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
、
027
あたりを
照
(
て
)
らし
乍
(
なが
)
らこれ
又
(
また
)
フワリフワリと
櫟
(
くぬぎ
)
が
原
(
はら
)
の
上
(
うへ
)
に
落下
(
らくか
)
するのを
見
(
み
)
た。
028
漸
(
やうや
)
くにして
東天
(
とうてん
)
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
に
色
(
いろ
)
どられ、
029
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
悠々
(
いういう
)
として
昇
(
のぼ
)
らせ
給
(
たま
)
うた。
030
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
直
(
ただち
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
終
(
をは
)
つて、
031
木々
(
きぎ
)
の
果実
(
このみ
)
を
朝飯
(
あさめし
)
の
代
(
かは
)
りにむしり
喰
(
くら
)
ひ、
032
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
033
足
(
あし
)
に
任
(
まか
)
せて、
034
高姫
(
たかひめ
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
035
漸
(
やうや
)
くにして
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
るる
頃
(
ころ
)
、
036
櫟
(
くぬぎ
)
ケ
原
(
はら
)
の
高姫
(
たかひめ
)
が
端坐
(
たんざ
)
せる
白楊樹
(
はくようじゆ
)
の
下
(
もと
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
037
高姫
(
たかひめ
)
は
心魂
(
しんこん
)
開
(
ひら
)
け、
038
真如
(
しんによ
)
の
日月
(
じつげつ
)
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
き、
039
天眼通
(
てんがんつう
)
力
(
りき
)
を
得
(
え
)
て、
040
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
来
(
きた
)
る
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
り、
041
茲
(
ここ
)
に
端坐
(
たんざ
)
して
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
042
一行
(
いつかう
)
を
待
(
ま
)
つてゐたのである。
043
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
神霊
(
しんれい
)
と
044
現
(
あら
)
はれませる
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
045
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
戒
(
いまし
)
めに
046
天狗
(
てんぐ
)
の
鼻
(
はな
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は
047
高
(
たか
)
い
鼻
(
はな
)
をばめしやがれて
048
忽
(
たちま
)
ち
身体
(
しんたい
)
震動
(
しんどう
)
し
049
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
りつ
050
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
にかきこまれ
051
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
始
(
はじ
)
めとし
052
数多
(
あまた
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
ら
)
に
053
水
(
みづ
)
よ
薬
(
くすり
)
よ
祝詞
(
のりと
)
よと
054
手
(
て
)
あつき
介抱
(
かいほう
)
に
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
055
感謝
(
かんしや
)
するかと
思
(
おも
)
ひきや
056
又
(
また
)
もや
例
(
れい
)
の
逆理窟
(
さかりくつ
)
057
教主
(
けうしゆ
)
夫婦
(
ふうふ
)
も
驚
(
おどろ
)
いて
058
愛想
(
あいそ
)
をつかし
別館
(
べつくわん
)
に
059
早々
(
さうさう
)
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける
060
後
(
あと
)
に
高姫
(
たかひめ
)
傲然
(
ごうぜん
)
と
061
御殿
(
ごてん
)
に
近
(
ちか
)
く
仕
(
つか
)
へたる
062
国
(
くに
)
、
玉
(
たま
)
、
竜
(
たつ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
063
向
(
むか
)
ふに
廻
(
まは
)
して
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
064
いろは
匂
(
にほ
)
へど
散
(
ち
)
りぬるを
065
四十八
(
しじふや
)
文字
(
もじ
)
で
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
066
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
高姫
(
たかひめ
)
が
067
解決
(
かいけつ
)
すると
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
き
068
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
069
麻邇
(
まに
)
の
宝
(
たから
)
を
国依別
(
くによりわけ
)
の
070
教司
(
をしへつかさ
)
や
玉治別
(
たまはるわけ
)
071
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
等
(
ら
)
が
072
広
(
ひろ
)
き
御殿
(
ごてん
)
を
拵
(
こしら
)
へて
073
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
神宝
(
しんぱう
)
を
074
隠
(
かく
)
してゐるに
違
(
ちがひ
)
ない
075
高姫
(
たかひめ
)
ここへ
来
(
き
)
た
上
(
うへ
)
は
076
最早
(
もはや
)
逃
(
のが
)
れぬ
百年目
(
ひやくねんめ
)
077
綺麗
(
きれい
)
サツパリ
渡
(
わた
)
せよと
078
無理
(
むり
)
難題
(
なんだい
)
を
吹
(
ふ
)
きかける
079
常彦
(
つねひこ
)
、
春彦
(
はるひこ
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
080
御殿
(
ごてん
)
に
仕
(
つか
)
ふる
司
(
つかさ
)
等
(
ら
)
も
081
猜疑
(
さいぎ
)
の
深
(
ふか
)
き
高姫
(
たかひめ
)
に
082
顔
(
かほ
)
見合
(
みあは
)
せて
当惑
(
たうわく
)
し
083
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
をば
084
出発
(
た
)
つて
欲
(
ほ
)
しいと
促
(
うなが
)
せば
085
高姫
(
たかひめ
)
眼
(
まなこ
)
を
怒
(
いか
)
らして
086
悪言
(
あくげん
)
暴語
(
ぼうご
)
を
連発
(
れんぱつ
)
し
087
遂
(
つひ
)
には
清
(
きよ
)
き
神殿
(
しんでん
)
に
088
阿修羅
(
あしゆら
)
王
(
わう
)
の
如
(
ごと
)
駆上
(
かけあが
)
り
089
扉
(
とびら
)
に
両手
(
りやうて
)
をかくる
折
(
をり
)
090
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
守護神
(
まもりがみ
)
091
狭依
(
さより
)
の
彦
(
ひこ
)
が
現
(
あら
)
はれて
092
高姫司
(
たかひめつかさ
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
を
093
グツと
掴
(
つか
)
んで
階段
(
かいだん
)
の
094
真下
(
ました
)
にきびしく
投
(
な
)
げつける
095
流石
(
さすが
)
の
高姫
(
たかひめ
)
目
(
め
)
をまはし
096
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
有様
(
ありさま
)
を
097
以後
(
いご
)
の
見
(
み
)
せしめ
捨
(
す
)
ておけと
098
常彦
(
つねひこ
)
、
春彦
(
はるひこ
)
両人
(
りやうにん
)
は
099
国
(
くに
)
、
玉
(
たま
)
、
依
(
より
)
や
竜
(
たつ
)
などの
100
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
親切
(
しんせつ
)
を
101
暫
(
しば
)
しとどめて
別館
(
べつくわん
)
に
102
到
(
いた
)
りて
神酒
(
みき
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
し
103
世間話
(
せけんばなし
)
に
耽
(
ふけ
)
る
折
(
をり
)
104
御殿
(
ごてん
)
に
怪
(
あや
)
しき
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
105
何事
(
なにごと
)
ならむと
一同
(
いちどう
)
は
106
駆
(
かけ
)
より
見
(
み
)
れば
此
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に
107
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
を
108
手玉
(
てだま
)
に
取
(
と
)
つてさいなみつ
109
其
(
その
)
儘
(
まま
)
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける
110
高姫
(
たかひめ
)
驚
(
おどろ
)
き
立上
(
たちあが
)
り
111
玄関口
(
げんくわんぐち
)
に
立出
(
たちい
)
でて
112
手早
(
てばや
)
く
草鞋
(
わらぢ
)
を
足
(
あし
)
にかけ
113
アリナの
山
(
やま
)
の
急坂
(
きふはん
)
を
114
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
115
高姫
(
たかひめ
)
やうやう
大野原
(
おほのはら
)
116
芒
(
すすき
)
の
茂
(
しげ
)
り
白楊樹
(
はくようじゆ
)
117
並
(
なら
)
びて
立
(
た
)
てる
櫟
(
くぬぎ
)
ケ
原
(
はら
)
の
118
大木
(
おほき
)
の
根元
(
ねもと
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
き
119
草臥
(
くたびれ
)
果
(
は
)
てて
腰
(
こし
)
おろし
120
前後
(
ぜんご
)
も
知
(
し
)
らず
眠入
(
ねい
)
りけり。
121
高姫
(
たかひめ
)
夜中
(
よなか
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし
122
耳
(
みみ
)
をすませばコハ
如何
(
いか
)
に
123
獅子
(
しし
)
狼
(
おほかみ
)
や
虎
(
とら
)
熊
(
くま
)
の
124
幾百千
(
いくひやくせん
)
とも
限
(
かぎり
)
なく
125
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
唸
(
うな
)
るよな
126
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
もよだつ
物凄
(
ものすご
)
さ
127
黒雲
(
くろくも
)
四方
(
よも
)
に
塞
(
ふさ
)
がりて
128
足許
(
あしもと
)
さへも
見
(
み
)
えかぬる
129
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
を
押
(
おし
)
あけて
130
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
白髪
(
はくはつ
)
の
131
雲
(
くも
)
つく
許
(
ばか
)
りの
大男
(
おほをとこ
)
132
耳
(
みみ
)
まで
裂
(
さ
)
けた
大口
(
おほぐち
)
に
133
血
(
ち
)
をにじませて
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り
134
アハヽヽヽと
大笑
(
おほわら
)
ひ
135
時節
(
じせつ
)
は
待
(
ま
)
たねばならぬもの
136
生々
(
いきいき
)
したる
人間
(
にんげん
)
の
137
肉
(
にく
)
を
食
(
く
)
ひたい
食
(
く
)
ひたいと
138
今迄
(
いままで
)
飢
(
う
)
ゑて
居
(
ゐ
)
た
爺
(
おやぢ
)
139
天
(
てん
)
の
恵
(
めぐみ
)
か
有難
(
ありがた
)
や
140
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
年
(
とし
)
を
老
(
と
)
り
141
少
(
すこ
)
しく
肉
(
にく
)
は
固
(
かた
)
けれど
142
腹
(
はら
)
の
空
(
す
)
いたる
吾身
(
わがみ
)
には
143
決
(
けつ
)
して
不味
(
まづ
)
うはあるまいぞ
144
あゝ
有難
(
ありがた
)
や
有難
(
ありがた
)
や
145
これから
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しませうと
146
高姫司
(
たかひめつかさ
)
の
前
(
まへ
)
に
寄
(
よ
)
り
147
グツと
髻
(
たぶさ
)
を
握
(
にぎ
)
りしめ
148
笑
(
わら
)
うた
時
(
とき
)
の
厭
(
いや
)
らしさ
149
廿日鼠
(
はつかねずみ
)
が
大猫
(
おほねこ
)
に
150
掴
(
つか
)
まへられた
時
(
とき
)
のよに
151
身
(
み
)
をビリビリと
震
(
ふる
)
はして
152
戦
(
をのの
)
く
折
(
をり
)
しも
嚠喨
(
りうりやう
)
と
153
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に
音楽
(
おんがく
)
の
154
響
(
ひび
)
き
聞
(
きこ
)
えて
一道
(
いちだう
)
の
155
光明
(
くわうみやう
)
大地
(
だいち
)
を
射照
(
ゐて
)
らせば
156
さも
恐
(
おそ
)
ろしき
怪物
(
くわいぶつ
)
は
157
煙
(
けぶり
)
と
消
(
き
)
えて
美
(
うる
)
はしき
158
女神
(
めがみ
)
の
姿
(
すがた
)
忽然
(
こつぜん
)
と
159
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
出現
(
しゆつげん
)
し
160
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
天地
(
あめつち
)
の
161
真
(
まこと
)
の
道理
(
だうり
)
を
高姫
(
たかひめ
)
に
162
諭
(
さと
)
し
玉
(
たま
)
へば
頑強
(
ぐわんきやう
)
な
163
高姫司
(
たかひめつかさ
)
も
村肝
(
むらきも
)
の
164
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
悔悟
(
くわいご
)
して
165
玉
(
たま
)
に
対
(
たい
)
する
執着
(
しふちやく
)
の
166
迷
(
まよ
)
ひは
爰
(
ここ
)
に
速川
(
はやかは
)
の
167
清
(
きよ
)
き
流
(
なが
)
れに
落
(
おと
)
しける
168
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
169
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ。
170
常彦
(
つねひこ
)
、
171
春彦
(
はるひこ
)
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
今迄
(
いままで
)
の
如
(
ごと
)
き
高慢面
(
かうまんづら
)
に
引替
(
ひきか
)
へ、
172
極
(
きは
)
めて
温順
(
おんじゆん
)
な
顔色
(
かほいろ
)
となり、
173
行儀
(
ぎやうぎ
)
よくつつましやかに、
174
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
して、
175
小声
(
こごゑ
)
に
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
居
(
ゐ
)
る
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
めて、
176
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
177
常彦
(
つねひこ
)
『モシモシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
178
如何
(
どう
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
179
貴女
(
あなた
)
のお
姿
(
すがた
)
を
見失
(
みうしな
)
つては
大変
(
たいへん
)
だと、
180
吾々
(
われわれ
)
はお
後
(
あと
)
を、
181
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
附
(
つ
)
けて
走
(
はし
)
つて
参
(
まゐ
)
りましたが、
182
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
つても、
183
アリナの
高山
(
かうざん
)
……とうとう
貴女
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
健脚
(
けんきやく
)
には
追
(
お
)
ひ
付
(
つ
)
き
得
(
え
)
ず、
184
峰
(
みね
)
の
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
で、
185
とうとう
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
し、
186
一夜
(
ひとよ
)
を
明
(
あ
)
かして、
187
漸
(
やうや
)
く
此処
(
ここ
)
に
参
(
まゐ
)
りました。
188
ようマア
待
(
ま
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さいました。
189
アヽ、
190
これで
肩
(
かた
)
の
重荷
(
おもに
)
が
下
(
お
)
りた
様
(
やう
)
で
御座
(
ござ
)
います』
191
高姫
(
たかひめ
)
『
常彦
(
つねひこ
)
に
春彦
(
はるひこ
)
、
192
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
のお
役人
(
やくにん
)
様
(
さま
)
、
193
嶮
(
けは
)
しき
道
(
みち
)
を
遥々
(
はるばる
)
と、
194
能
(
よ
)
うマア
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
195
私
(
わたくし
)
もおかげで、
196
長
(
なが
)
い
夢
(
ゆめ
)
が
醒
(
さ
)
めました。
197
只今
(
ただいま
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は
昨日
(
きのふ
)
迄
(
まで
)
の
様
(
やう
)
な、
198
自我心
(
じがしん
)
の
強
(
つよ
)
い、
199
猜疑心
(
さいぎしん
)
の
深
(
ふか
)
い、
200
高慢坊
(
かうまんばう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬ。
201
スツカリと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
訓戒
(
くんかい
)
を
受
(
う
)
けて
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
しましたから、
202
どうぞ
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
をして
下
(
くだ
)
さいませ。
203
さうして
茲
(
ここ
)
に
御座
(
ござ
)
います
此
(
この
)
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
に
這入
(
はい
)
つて
居
(
を
)
る
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
は、
204
テーナの
里
(
さと
)
から
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
がワザワザ
持
(
も
)
つて
来
(
こ
)
られた
御
(
ご
)
神宝
(
しんぱう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
205
どうぞ
玉公
(
たまこう
)
、
206
竜公
(
たつこう
)
、
207
あなた
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ですが、
208
此
(
この
)
お
宝
(
たから
)
を
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
へお
供
(
とも
)
をしてお
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
209
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
神殿
(
しんでん
)
へ
納
(
をさ
)
めて
戴
(
いただ
)
いて
下
(
くだ
)
さいませ。
210
此
(
この
)
お
宝
(
たから
)
は
夜前
(
やぜん
)
まで
白楊樹
(
はくようじゆ
)
の
梢
(
しん
)
に
引
(
ひつ
)
かかつてあつたので
御座
(
ござ
)
いますが、
211
天教山
(
てんけうざん
)
の
日
(
ひ
)
の
出姫
(
でひめの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よ
)
りて、
212
無事
(
ぶじ
)
に
私
(
わたくし
)
の
前
(
まへ
)
に
降
(
ふ
)
つて
来
(
こ
)
られた、
213
大切
(
たいせつ
)
な
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
神宝
(
しんぱう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
214
一寸
(
ちよつと
)
御覧
(
ごらん
)
なさいませ。
215
金色
(
こんじき
)
燦爛
(
さんらん
)
として
目
(
め
)
の
眩
(
まばゆ
)
き
計
(
ばか
)
りの
御光
(
ごくわう
)
がさして
居
(
を
)
ります』
216
とニコニコし
乍
(
なが
)
ら、
217
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
の
紐
(
ひも
)
を
解
(
と
)
き、
218
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
玉
(
たま
)
を
現
(
あら
)
はして
見
(
み
)
せた。
219
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
稀代
(
きたい
)
の
神宝
(
しんぱう
)
に
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
220
只
(
ただ
)
茫然
(
ばうぜん
)
として
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
き、
221
目
(
め
)
を
見張
(
みは
)
り、
222
少時
(
しばし
)
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
感歎
(
かんたん
)
を
続
(
つづ
)
けてゐる。
223
暫
(
しばら
)
くあつて
常彦
(
つねひこ
)
は
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らせ
乍
(
なが
)
ら、
224
常彦
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
225
貴女
(
あなた
)
は
今迄
(
いままで
)
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さ
)
めても、
226
玉々
(
たまたま
)
と
玉
(
たま
)
気違
(
きちがひ
)
の
様
(
やう
)
に
仰有
(
おつしや
)
つて
御座
(
ござ
)
つたが、
227
こんな
結構
(
けつこう
)
な
玉
(
たま
)
が
手
(
て
)
に
入
(
い
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
228
さぞ
御
(
ご
)
満足
(
まんぞく
)
と
思
(
おも
)
ひの
外
(
ほか
)
、
229
玉公
(
たまこう
)
や
竜公
(
たつこう
)
にお
渡
(
わた
)
しなさると
云
(
い
)
ふ
其
(
その
)
見上
(
みあ
)
げたお
心
(
こころ
)
は、
230
私
(
わたし
)
も
感心
(
かんしん
)
しましたが、
231
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
も
余
(
あんま
)
り
早
(
はや
)
いぢやありませぬか』
232
高姫
(
たかひめ
)
『イヤ
早
(
はや
)
い
所
(
どころ
)
ぢや
御座
(
ござ
)
りませぬ。
233
妾
(
わたし
)
の
改心
(
かいしん
)
が
丁度
(
ちやうど
)
十二
(
じふに
)
年
(
ねん
)
遅
(
おく
)
れました。
234
それが
為
(
ため
)
に
聖地
(
せいち
)
の
方々
(
かたがた
)
に
対
(
たい
)
し、
235
いろいろの
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
をかけ、
236
神業
(
しんげふ
)
のお
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
し、
237
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
しても
申訳
(
まをしわけ
)
のない
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
計
(
ばか
)
りを
致
(
いた
)
しました。
238
妾
(
わたし
)
の
様
(
やう
)
な
身魂
(
みたま
)
の
曇
(
くも
)
つた
神界
(
しんかい
)
の
邪魔者
(
じやまもの
)
を、
239
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はお
気
(
き
)
の
長
(
なが
)
い、
240
改心
(
かいしん
)
さして
使
(
つか
)
うてやらうと
思召
(
おぼしめ
)
して、
241
能
(
よ
)
うマア
茲
(
ここ
)
まで
辛抱
(
しんばう
)
して
下
(
くだ
)
されたと
思
(
おも
)
へば、
242
妾
(
わたし
)
は
勿体
(
もつたい
)
なうて、
243
お
詫
(
わび
)
の
申様
(
まをしやう
)
も、
244
御
(
お
)
礼
(
れい
)
の
致
(
いた
)
し
様
(
やう
)
も
分
(
わか
)
りませぬ。
245
是
(
これ
)
から
妾
(
わたし
)
は
此
(
この
)
櫟
(
くぬぎ
)
ケ
原
(
はら
)
を
東
(
ひがし
)
へ
渡
(
わた
)
り、
246
いろいろと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
に
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
し、
247
今迄
(
いままで
)
の
深
(
ふか
)
い
罪
(
つみ
)
を
除
(
と
)
つて
貰
(
もら
)
ひ、
248
アマゾン
川
(
がは
)
を
溯
(
さかのぼ
)
り、
249
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
や
竜国別
(
たつくにわけ
)
様
(
さま
)
、
250
あわよくば、
251
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
にも
面会
(
めんくわい
)
し、
252
今迄
(
いままで
)
の
深
(
ふか
)
い
罪
(
つみ
)
のお
詫
(
わび
)
を
致
(
いた
)
した
上
(
うへ
)
、
253
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
254
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
の
一端
(
いつたん
)
に
奉仕
(
ほうし
)
する
妾
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へ、
255
……コレ
常彦
(
つねひこ
)
、
256
春彦
(
はるひこ
)
、
257
お
前
(
まへ
)
も
妾
(
わたし
)
に
従
(
つ
)
いてこれから
先
(
さき
)
は
真面目
(
まじめ
)
に
御用
(
ごよう
)
を
勤
(
つと
)
め
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
されや』
258
常彦
(
つねひこ
)
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
しながら、
259
常彦
(
つねひこ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う、
260
能
(
よ
)
うそこ
迄
(
まで
)
なつて
下
(
くだ
)
さいました。
261
今
(
いま
)
になつて
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
しますが、
262
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
は
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
の
内々
(
ないない
)
の
御
(
お
)
頼
(
たの
)
みで、
263
貴女
(
あなた
)
のお
供
(
とも
)
に
参
(
まゐ
)
り、
264
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
に
改心
(
かいしん
)
をして
頂
(
いただ
)
かねばならない
使命
(
しめい
)
を
受
(
う
)
けて
来
(
き
)
て
居
(
を
)
つたので
御座
(
ござ
)
います。
265
アヽそれを
承
(
うけたま
)
はつて、
266
私
(
わたくし
)
も
何
(
なん
)
となく
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
が
澪
(
こぼ
)
れます。
267
……なア
春彦
(
はるひこ
)
、
268
有難
(
ありがた
)
いぢやないか』
269
春彦
(
はるひこ
)
『ウン
有難
(
ありがた
)
いなア』
270
と
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
271
涙
(
なみだ
)
を
隠
(
かく
)
して
俯
(
うつ
)
むいて
居
(
ゐ
)
る。
272
これより
玉
(
たま
)
、
273
竜
(
たつ
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
に
納
(
をさ
)
めたる
黄金
(
こがね
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
を
高姫
(
たかひめ
)
の
手
(
て
)
より
受取
(
うけと
)
り、
274
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて、
275
アリナ
山
(
さん
)
を
越
(
こ
)
え、
276
懸橋
(
かけはし
)
の
御殿
(
ごてん
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
277
教主
(
けうしゆ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
始
(
はじ
)
め、
278
役員
(
やくゐん
)
信徒
(
しんと
)
の
前
(
まへ
)
にこれを
据
(
す
)
ゑ、
279
御禊
(
みそぎ
)
を
修
(
しう
)
し、
280
教主
(
けうしゆ
)
自
(
みづか
)
ら
斎主
(
さいしゆ
)
となり、
281
神殿
(
しんでん
)
に
奉按
(
ほうあん
)
する
事
(
こと
)
となつた。
282
これより
懸橋
(
かけはし
)
の
御殿
(
ごてん
)
の
神徳
(
しんとく
)
は
益々
(
ますます
)
四方
(
よも
)
に
輝
(
かがや
)
き、
283
遂
(
つひ
)
には
高砂島
(
たかさごじま
)
の
西半部
(
せいはんぶ
)
を
風靡
(
ふうび
)
する
事
(
こと
)
となつた。
284
又
(
また
)
高姫
(
たかひめ
)
は
常彦
(
つねひこ
)
、
285
春彦
(
はるひこ
)
と
共
(
とも
)
に、
286
大蜥蜴
(
おほとかげ
)
や
蜈蚣
(
むかで
)
、
287
蛇
(
へび
)
、
288
蜂
(
はち
)
、
289
虻
(
あぶ
)
などの
群
(
むら
)
がれる
原野
(
げんや
)
を
越
(
こ
)
え、
290
アルの
港
(
みなと
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み、
291
それより
海岸
(
かいがん
)
伝
(
つた
)
ひに、
292
便船
(
びんせん
)
に
乗
(
じやう
)
じ、
293
ゼムの
港
(
みなと
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し、
294
又
(
また
)
もやチンの
港
(
みなと
)
よりアマゾン
川
(
がは
)
の
河口
(
かはぐち
)
に
出
(
い
)
でて、
295
船
(
ふね
)
を
溯
(
さかのぼ
)
らせ、
296
玉
(
たま
)
の
森林
(
しんりん
)
に
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
となつた。
297
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
の
道中
(
だうちう
)
の
記事
(
きじ
)
は
別項
(
べつかう
)
に
述
(
の
)
ぶる
考
(
かんが
)
へであります。
298
(
大正一一・八・一二
旧六・二〇
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
愛流川 >>>
霊界物語
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