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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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第29巻(辰の巻)
> 第3篇 神鬼一転 > 第11章 日出姫
<<< 国治の国
(B)
(N)
悔悟の幕 >>>
第一一章
日出姫
(
ひのでひめ
)
〔八三三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第3篇 神鬼一転
よみ(新仮名遣い):
しんきいってん
章:
第11章 日出姫
よみ(新仮名遣い):
ひのでひめ
通し章番号:
833
口述日:
1922(大正11)年08月12日(旧06月20日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫が神殿に駆け上って扉に手をかけると、狭依彦命のご神体が現れて高姫を取ると、壇上から下に放り投げた。高姫はまたもや人事不省になって唸っている。
奉仕者たちが慌てて介抱しようとするが、常彦は、神様に戒めを受けたのだから、高姫の改心のためにもしばらくは放って置いてもらうように頼んだ。
一同が別間に入って神徳話に花を咲かせていると、突然神殿の間から高姫の金切り声が聞こえてきた。驚いて皆が駆けつけると、高姫が大男に持ち上げられて放り上げられていた。
一同が駆けつけると、大男は煙のように消えてしまった。高姫は真っ青な顔で懸橋御殿を飛び出してアリナ山の方に駆け上って行った。常彦と春彦は見失っては大変と、慌てて高姫を追いかけていく。国玉依別の命により、竜と玉も一緒に高姫を追いかけた。
高姫は鷹依姫一行が野宿した白楊樹の傍らまでたどり着いた。高姫は身体が非常に重たくなって草原に横たわり、寝てしまった。高姫は目を覚ますと自分がどこにいるかわからず、独り言を言っている。
突然大きな怪物が現れて、高姫を掴んで喰おうとした。高姫は恐ろしさに震えていたが、そこへ喨々と音楽の音が聞こえてきた。すると俄かに力ついた。怪物は高姫をぱっと放した。
高姫が目を開けると、梅の花を片手に持ち、もう片方の手に白扇を持った女神が厳然として現れていた。女神は高姫のこれまでの行いが神界の邪魔をしていたことを叱り、ここで改心すればまた神界の御用を務めることができると諭した。
高姫は女神の光輝に打たれて罪を謝し、改心を約束した。女神は鷹依姫らが持ち出した黄金の玉を白楊樹から下ろすと高姫に授け、後からやってくる懸橋御殿の竜と玉に返すようにと命じた。
女神は高姫に後戻りしないように諭し、先ほどの怪物は高姫の慢心を戒める鬼神であると戒めた。そしてアマゾン河をさかのぼって鷹依姫一行と合流し、そこで修行をなしてから自転倒島に戻って神業に参加するようにと示した。日の出姫神と名乗り、高姫に懸かっているのは金毛九尾であることを気を付けると、五色の雲に乗って天上に昇っていった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-28 17:58:42
OBC :
rm2911
愛善世界社版:
165頁
八幡書店版:
第5輯 526頁
修補版:
校定版:
169頁
普及版:
77頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
矢庭
(
やには
)
に
神前
(
しんぜん
)
に
駆
(
か
)
け
上
(
のぼ
)
り、
002
扉
(
とびら
)
に
手
(
て
)
をかけた。
003
忽
(
たちま
)
ち
頭
(
あたま
)
の
光
(
ひか
)
つた
脇立
(
わきだち
)
の
狭依彦
(
さよりひこの
)
神
(
かみ
)
、
004
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
朦朧
(
まうろう
)
と
現
(
あら
)
はれ、
005
高姫
(
たかひめ
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
をグツと
握
(
にぎ
)
つて
壇上
(
だんじやう
)
より、
006
蛇
(
へび
)
を
大地
(
だいち
)
に
投
(
な
)
げつけた
様
(
やう
)
に、
007
ポイと
撥
(
は
)
ね
飛
(
と
)
ばした。
008
高姫
(
たかひめ
)
は
暫
(
しばら
)
く
虫
(
むし
)
の
息
(
いき
)
にてそこに
打倒
(
うちたふ
)
れ、
009
何事
(
なにごと
)
か
切
(
しき
)
りに
囈言
(
うさごと
)
を
言
(
い
)
つてゐる。
010
国
(
くに
)
、
011
玉
(
たま
)
は
驚
(
おどろ
)
いて『
水
(
みづ
)
ぢや
水
(
みづ
)
ぢや』と
立騒
(
たちさわ
)
ぐを、
012
常彦
(
つねひこ
)
は
制
(
せい
)
し
止
(
とど
)
め、
013
常彦
『モシモシ
皆
(
みな
)
さま、
014
構立
(
かまへだて
)
をせずに、
015
少時
(
しばらく
)
放
(
ほ
)
つといて
下
(
くだ
)
さいませ。
016
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほり
)
御
(
ご
)
神前
(
しんぜん
)
の
脇
(
わき
)
に
朦朧
(
もうろう
)
として
御
(
ご
)
神体
(
しんたい
)
が
現
(
あら
)
はれ、
017
こらしめの
為
(
ため
)
に
高姫
(
たかひめ
)
を
取
(
と
)
つて
投
(
な
)
げられたのですから、
018
余
(
あま
)
り
高姫
(
たかひめ
)
を
構
(
かま
)
うと、
019
又
(
また
)
へらず
口
(
ぐち
)
を
叩
(
たた
)
き
慢心
(
まんしん
)
を
致
(
いた
)
しますから、
020
十分
(
じふぶん
)
改心
(
かいしん
)
する
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
放
(
ほ
)
つといてやつて
下
(
くだ
)
さいませ。
021
高姫
(
たかひめ
)
の
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
ですから……
一人前
(
いちにんまへ
)
の
誠
(
まこと
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
にしてやらうと
思召
(
おぼしめ
)
さば、
022
十分
(
じふぶん
)
に
苦
(
くるし
)
ましておく
方
(
はう
)
が
高姫
(
たかひめ
)
に
対
(
たい
)
する
慈悲
(
じひ
)
になりまする』
023
と
真心
(
まごころ
)
から
語
(
かた
)
り
出
(
だ
)
したるを、
024
一同
(
いちどう
)
は
常彦
(
つねひこ
)
の
言
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
ひ、
025
高姫
(
たかひめ
)
が
自然
(
しぜん
)
正気
(
しやうき
)
に
復
(
かへ
)
る
迄
(
まで
)
、
026
そこに
放任
(
はうにん
)
しておき、
027
各自
(
めいめい
)
別間
(
べつま
)
に
入
(
い
)
つて、
028
神徳
(
しんとく
)
を
戴
(
いただ
)
き、
029
昼飯
(
ちうはん
)
などを
喫
(
きつ
)
し、
030
悠々
(
いういう
)
として
世間話
(
せけんばなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐた。
031
暫
(
しばら
)
くすると
神殿
(
しんでん
)
に
於
(
おい
)
て、
032
高姫
(
たかひめ
)
の
金切声
(
かなきりごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
033
常彦
(
つねひこ
)
、
034
春彦
(
はるひこ
)
、
035
国
(
くに
)
、
036
玉
(
たま
)
等
(
ら
)
一同
(
いちどう
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
037
神殿
(
しんでん
)
に
駆
(
か
)
けつけ
見
(
み
)
れば、
038
高姫
(
たかひめ
)
は
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
大
(
おほ
)
きな
男
(
をとこ
)
に、
039
毬
(
まり
)
つく
様
(
やう
)
に、
040
放
(
はう
)
り
上
(
あ
)
げられたり、
041
おとされたり、
042
なぶりものに
会
(
あ
)
はされ、
043
悲鳴
(
ひめい
)
を
上
(
あ
)
げゐたりける。
044
常彦
(
つねひこ
)
、
045
春彦
(
はるひこ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより、
046
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
は
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
くに
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
047
此
(
この
)
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
と
見
(
み
)
えしは、
048
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
現
(
あら
)
はれました
月照彦
(
つきてるひこの
)
命
(
みこと
)
の
出現
(
しゆつげん
)
であつたとの
事
(
こと
)
なり。
049
高姫
(
たかひめ
)
は
真青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
050
懸橋
(
かけはし
)
の
御殿
(
ごてん
)
を
表
(
おもて
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
し、
051
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
にアリナの
山
(
やま
)
を
指
(
さ
)
して
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
052
常彦
(
つねひこ
)
、
053
春彦
(
はるひこ
)
は
見失
(
みうしな
)
うては
大変
(
たいへん
)
と、
054
高姫
(
たかひめ
)
の
後
(
あと
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
追
(
お
)
つかけて
行
(
ゆ
)
く。
055
国玉依別
(
くにたまよりわけの
)
命
(
みこと
)
の
命令
(
めいれい
)
によつて、
056
竜
(
たつ
)
、
057
玉
(
たま
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
常彦
(
つねひこ
)
、
058
春彦
(
はるひこ
)
の
後
(
うしろ
)
より、
059
『オーイ オーイ』と
呼
(
よ
)
ばはり
乍
(
なが
)
ら、
060
アリナの
峰
(
みね
)
を
駆
(
か
)
け
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
061
高姫
(
たかひめ
)
は
漸
(
やうや
)
くにして、
062
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
一行
(
いつかう
)
が
野宿
(
のじゆく
)
したる
白楊樹
(
はくようじゆ
)
の
傍
(
かたはら
)
まで
駆
(
か
)
け
着
(
つ
)
いた。
063
何
(
なん
)
とはなしに
身体
(
しんたい
)
非常
(
ひじやう
)
に
重
(
おも
)
たくなり、
064
疲労
(
ひらう
)
を
感
(
かん
)
じ、
065
グタリと
横
(
よこ
)
になつて、
066
大蜥蜴
(
おほとかげ
)
の
沢山
(
たくさん
)
に
爬行
(
はかう
)
して
居
(
ゐ
)
る
草原
(
くさはら
)
に
横
(
よこ
)
たはり、
067
他愛
(
たあい
)
もなく
寝
(
ね
)
て
了
(
しま
)
つた。
068
夜半
(
やはん
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし、
069
そこらあたりをキヨロキヨロと
見廻
(
みまは
)
し、
070
高姫
(
たかひめ
)
『ハテナア、
071
ここは
何処
(
どこ
)
だつたいなア。
072
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
の
中
(
なか
)
だと
思
(
おも
)
つてゐたのに、
073
そこら
中
(
ぢう
)
が
萱野原
(
かやのはら
)
、
074
人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
一匹
(
いつぴき
)
居
(
を
)
りはせぬ。
075
アハー、
076
やつぱり
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
のスツポン
奴
(
め
)
、
077
此
(
この
)
野原
(
のはら
)
を、
078
あんな
立派
(
りつぱ
)
な
御殿
(
ごてん
)
と
見
(
み
)
せて、
079
騙
(
だま
)
しよつたのだな。
080
悪神
(
あくがみ
)
と
云
(
い
)
ふものは
油断
(
ゆだん
)
のならぬものだ。
081
禿頭
(
はげあたま
)
の
神
(
かみ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
082
取
(
と
)
つて
放
(
ほ
)
かしたり、
083
大
(
おほ
)
きな
男
(
をとこ
)
が
現
(
あら
)
はれて、
084
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
を
毬
(
まり
)
つくやうにさいなめよつたと
思
(
おも
)
つたが、
085
ヤツパリ
騙
(
だま
)
されて
居
(
ゐ
)
たのかなア。
086
昔
(
むかし
)
常世
(
とこよ
)
会議
(
くわいぎ
)
の
時
(
とき
)
にも、
087
八百
(
はつぴやく
)
八十八
(
はちじふや
)
柱
(
はしら
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
国魂神
(
くにたまがみ
)
が、
088
泥田
(
どろた
)
の
中
(
なか
)
で
狐
(
きつね
)
に
魅
(
つま
)
まれ、
089
末代
(
まつだい
)
の
恥
(
はぢ
)
をかいたと
云
(
い
)
ふことだが、
090
ヤツパリ
此
(
この
)
高砂島
(
たかさごじま
)
も
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
陸
(
おか
)
つづきだから、
091
居
(
を
)
ると
見
(
み
)
えるワイ。
092
アヽドレドレ
眉毛
(
まゆげ
)
に
唾
(
つばき
)
でも
付
(
つ
)
けて、
093
しつかり
致
(
いた
)
しませう。
094
……
時
(
とき
)
に
常
(
つね
)
や
春
(
はる
)
の
周章者
(
あわてもの
)
は、
095
どこへ
沈没
(
ちんぼつ
)
しよつたのか、
096
テンで
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
も
見
(
み
)
えなくなつて
了
(
しま
)
つた』
097
と
独語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
098
俄
(
にはか
)
に
大粒
(
おほつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
パラパラパラと
降
(
ふ
)
り
出
(
だ
)
して
来
(
き
)
た。
099
満天
(
まんてん
)
黒雲
(
こくうん
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
100
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
足許
(
あしもと
)
さへ
見
(
み
)
えなくなつて
来
(
き
)
た。
101
獅子
(
しし
)
、
102
虎
(
とら
)
、
103
狼
(
おほかみ
)
の
吼
(
ほ
)
えたける
様
(
やう
)
な
怪
(
あや
)
しき
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
は、
104
暴風
(
ばうふう
)
の
如
(
ごと
)
く
耳
(
みみ
)
をつんざく。
105
寂寥
(
せきれう
)
刻々
(
こくこく
)
に
加
(
くは
)
はり、
106
流石
(
さすが
)
の
高姫
(
たかひめ
)
も
茫々
(
ばうばう
)
として
際限
(
さいげん
)
もなき
原野
(
げんや
)
の
中
(
なか
)
に
只一人
(
ただひとり
)
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
され、
107
足許
(
あしもと
)
さへ
見
(
み
)
えなくなり、
108
心細
(
こころぼそ
)
さに
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
109
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
み、
110
大地
(
だいち
)
に
胡坐
(
あぐら
)
をかき
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
111
パツと
雷光
(
いなづま
)
の
如
(
ごと
)
き
光
(
ひかり
)
が
現
(
あら
)
はれたと
思
(
おも
)
ふ
途端
(
とたん
)
に、
112
雲突
(
くもつ
)
く
計
(
ばか
)
りの
白髪
(
はくはつ
)
の
怪物
(
くわいぶつ
)
、
113
耳
(
みみ
)
迄
(
まで
)
引裂
(
ひきさ
)
けた
口
(
くち
)
から、
114
血
(
ち
)
をタラタラと
垂
(
た
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
115
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
にのそりのそりと
浮
(
う
)
いた
様
(
やう
)
に
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
り、
116
怪物
(
くわいぶつ
)
『アハヽヽヽ、
117
人肉
(
じんにく
)
の
温
(
あたた
)
かいのが
一度
(
いちど
)
食
(
く
)
つて
見
(
み
)
たいと、
118
常
(
つね
)
がね
希望
(
きばう
)
して
居
(
ゐ
)
たが、
119
アヽ
時節
(
じせつ
)
は
待
(
ま
)
たねばならぬものだ。
120
少
(
すこ
)
し
古
(
ふる
)
うて
皺
(
しわ
)
がより、
121
肉
(
にく
)
が
固
(
かた
)
くなり、
122
骨
(
ほね
)
も
余
(
あま
)
り
軟
(
やわら
)
かくないが、
123
これでもひだるい
時
(
とき
)
にまづい
物
(
もの
)
なし、
124
辛抱
(
しんばう
)
して
食
(
く
)
つてやらうかな。
125
イヒヽヽヽ、
126
ウフヽヽヽ、
127
エハヽヽヽ、
128
オホヽヽヽ。
129
甘
(
うま
)
いぞ
甘
(
うま
)
いぞ』
130
とニコニコし
乍
(
なが
)
ら、
131
高姫
(
たかひめ
)
の
髻
(
たぶさ
)
をグツと
握
(
にぎ
)
つた。
132
高姫
(
たかひめ
)
は
猫
(
ねこ
)
に
掴
(
つか
)
まつた
鼠
(
ねずみ
)
の
如
(
や
)
うに、
133
五体
(
ごたい
)
萎縮
(
ゐしゆく
)
し、
134
ビリビリと
震
(
ふる
)
ひ
戦
(
おのの
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
135
此
(
この
)
時
(
とき
)
何処
(
どこ
)
ともなく、
136
嚠喨
(
りうりやう
)
たる
音楽
(
おんがく
)
の
音
(
ね
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
137
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
の
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
ると
共
(
とも
)
に、
138
高姫
(
たかひめ
)
は
俄
(
にはか
)
に
心
(
こころ
)
晴
(
は
)
れ
晴
(
ば
)
れしくなり、
139
強力
(
きやうりよく
)
なる
味方
(
みかた
)
を
得
(
え
)
たやうな
気分
(
きぶん
)
に
充
(
みた
)
された。
140
怪物
(
くわいぶつ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
髻
(
たぶさ
)
を
握
(
にぎ
)
つた
手
(
て
)
をパツと
放
(
はな
)
した。
141
目
(
め
)
をあけて
見
(
み
)
れば、
142
容色
(
ようしよく
)
花
(
はな
)
の
如
(
ごと
)
く、
143
水
(
みづ
)
のしたたる
様
(
やう
)
な
黒髪
(
くろかみ
)
を
背後
(
はいご
)
に
垂
(
た
)
らし、
144
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
を
片手
(
かたて
)
に
持
(
も
)
ち、
145
片手
(
かたて
)
に
白扇
(
はくせん
)
を
拡
(
ひろ
)
げて
持
(
も
)
つた
女神
(
めがみ
)
、
146
厳然
(
げんぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ、
147
言葉
(
ことば
)
静
(
しづ
)
かに
宣
(
の
)
り
玉
(
たま
)
ふやう、
148
女神
(
めがみ
)
『
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
高姫
(
たかひめ
)
であらうがな。
149
今迄
(
いままで
)
我情
(
がじやう
)
我欲
(
がよく
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
150
少
(
すこ
)
しも
反省
(
はんせい
)
の
念
(
ねん
)
なく、
151
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
標榜
(
へうぼう
)
し、
152
随分
(
ずゐぶん
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
対
(
たい
)
し
妨害
(
ばうがい
)
を
加
(
くは
)
へ
来
(
きた
)
りし
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
つて
居
(
ゐ
)
るか。
153
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
を
努
(
つと
)
めた
積
(
つも
)
りで、
154
極力
(
きよくりよく
)
神界
(
しんかい
)
の
妨害
(
ばうがい
)
を
致
(
いた
)
し、
155
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
教主
(
けうしゆ
)
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
に
対
(
たい
)
し、
156
悪言
(
あくげん
)
暴語
(
ぼうご
)
を
以
(
もつ
)
て
向
(
むか
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
り、
157
黒姫
(
くろひめ
)
を
頤使
(
いし
)
して
今迄
(
いままで
)
聖地
(
せいち
)
を
混乱
(
こんらん
)
致
(
いた
)
した
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
罪
(
つみ
)
、
158
山
(
やま
)
よりも
高
(
たか
)
く、
159
海
(
うみ
)
よりも
深
(
ふか
)
し。
160
さり
乍
(
なが
)
ら、
161
汝
(
なんぢ
)
今
(
いま
)
茲
(
ここ
)
にて
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めなば、
162
今
(
いま
)
一度
(
いちど
)
其
(
その
)
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
し、
163
身魂
(
みたま
)
研
(
みが
)
きし
上
(
うへ
)
、
164
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
に
使
(
つか
)
うてやらう。
165
高姫
(
たかひめ
)
、
166
返答
(
へんたふ
)
は
如何
(
いかが
)
であるか』
167
と
宣
(
の
)
らせ
玉
(
たま
)
ひ、
168
高姫
(
たかひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
熟視
(
じゆくし
)
し
給
(
たま
)
ふ。
169
高姫
(
たかひめ
)
は
女神
(
めがみ
)
のどこともなく
身体
(
しんたい
)
より
発
(
はつ
)
する
光輝
(
くわうき
)
に
打
(
う
)
たれ、
170
高姫
『ハイハイ、
171
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
り
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
しまする。
172
どうぞ
今迄
(
いままで
)
の
罪
(
つみ
)
はお
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
173
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
でも、
174
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
仰
(
あふ
)
せとあらば
承
(
うけた
)
まはりませう』
175
女神
(
めがみ
)
『
然
(
しか
)
らば
汝
(
なんぢ
)
に
申
(
まを
)
し
付
(
つ
)
くる
事
(
こと
)
がある。
176
此
(
この
)
白楊樹
(
はくようじゆ
)
の
空
(
そら
)
に、
177
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
止
(
と
)
まりあり、
178
其
(
その
)
中
(
なか
)
には、
179
テーナの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
が
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
献
(
たてまつ
)
りたる
黄金
(
こがね
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
あり。
180
今
(
いま
)
これを
汝
(
なんぢ
)
の
手
(
て
)
に
相渡
(
あひわた
)
す。
181
汝
(
なんぢ
)
が
手
(
て
)
より
明朝
(
みやうてう
)
茲
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
の
神司
(
かむづかさ
)
、
182
玉
(
たま
)
、
183
竜
(
たつ
)
の
両人
(
りやうにん
)
に
相渡
(
あひわた
)
し、
184
持帰
(
もちかへ
)
らしめよ。
185
金色
(
きんしよく
)
燦爛
(
さんらん
)
たる
此
(
この
)
玉
(
たま
)
を
眺
(
なが
)
めて、
186
再
(
ふたた
)
び
執着心
(
しふちやくしん
)
を
起
(
おこ
)
す
如
(
ごと
)
きことあらば、
187
最早
(
もはや
)
汝
(
なんぢ
)
は
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
には
立
(
た
)
つ
可
(
べか
)
らず。
188
能
(
よ
)
く
余
(
よ
)
が
言葉
(
ことば
)
を
胸
(
むね
)
に
畳
(
たた
)
みて
忘
(
わす
)
るるな』
189
高姫
(
たかひめ
)
『ハイ、
190
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
忘
(
わす
)
れは
致
(
いた
)
しませぬ。
191
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
り、
192
玉
(
たま
)
に
対
(
たい
)
する
執着心
(
しふちやくしん
)
は
放棄
(
はうき
)
致
(
いた
)
します』
193
女神
(
めがみ
)
は
白楊樹
(
はくようじゆ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
194
女神
『
来
(
きた
)
れ
来
(
きた
)
れ』
195
と
招
(
まね
)
き
玉
(
たま
)
へば、
196
不思議
(
ふしぎ
)
や、
197
白楊樹
(
はくようじゆ
)
は
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
に
輪廓
(
りんくわく
)
明
(
あか
)
く
現
(
あら
)
はれ、
198
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
はフワリフワリと
女神
(
めがみ
)
の
前
(
まへ
)
に
降
(
くだ
)
り
来
(
き
)
たりぬ。
199
女神
(
めがみ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
、
200
此
(
この
)
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
の
中
(
なか
)
には
黄金
(
こがね
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
が
包
(
つつ
)
まれあり。
201
披見
(
ひけん
)
を
許
(
ゆる
)
す。
202
早
(
はや
)
く
撿
(
あらた
)
め
見
(
み
)
よ』
203
高姫
(
たかひめ
)
は、
204
高姫
『ハイ』
205
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
206
袋
(
ふくろ
)
の
紐
(
ひも
)
を
解
(
と
)
き、
207
中
(
なか
)
を
覗
(
のぞ
)
き
見
(
み
)
てハツと
計
(
ばか
)
り、
208
其
(
その
)
光
(
ひかり
)
に
打
(
う
)
たれ
居
(
ゐ
)
る。
209
女神
(
めがみ
)
『どうぢや、
210
其
(
その
)
玉
(
たま
)
は
欲
(
ほ
)
しくはないか』
211
高姫
(
たかひめ
)
『イエもう
決
(
けつ
)
して、
212
何程
(
なにほど
)
立派
(
りつぱ
)
な
玉
(
たま
)
でも、
213
形
(
かたち
)
ある
宝
(
たから
)
には
少
(
すこ
)
しの
未練
(
みれん
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬ。
214
無形
(
むけい
)
の
心
(
こころ
)
の
玉
(
たま
)
こそ、
215
最
(
もつと
)
も
大切
(
たいせつ
)
だと
御
(
お
)
神徳
(
かげ
)
をとらして
頂
(
いただ
)
きました。
216
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
今後
(
こんご
)
は、
217
玉
(
たま
)
に
対
(
たい
)
して、
218
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ます
様
(
やう
)
なことは
致
(
いた
)
しませぬ』
219
女神
(
めがみ
)
『
又
(
また
)
後戻
(
あともど
)
りを
致
(
いた
)
さぬ
様
(
やう
)
に
気
(
き
)
をつけて
置
(
お
)
く。
220
就
(
つ
)
いては、
221
汝
(
なんぢ
)
これより
常彦
(
つねひこ
)
、
222
春彦
(
はるひこ
)
と
共
(
とも
)
に
此
(
この
)
原野
(
げんや
)
を
東
(
ひがし
)
へ
渉
(
わた
)
り、
223
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
の
艱難
(
かんなん
)
を
嘗
(
な
)
め、
224
アルの
港
(
みなと
)
より
海岸線
(
かいがんせん
)
を
舟
(
ふね
)
にて
北方
(
ほくぱう
)
に
渡
(
わた
)
り、
225
ゼムの
港
(
みなと
)
に
立寄
(
たちよ
)
り、
226
そこに
上陸
(
じやうりく
)
して、
227
神業
(
しんげふ
)
を
修
(
しう
)
し、
228
再
(
ふたた
)
び
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り、
229
チンの
港
(
みなと
)
より
再
(
ふたた
)
び
上陸
(
じやうりく
)
して、
230
アマゾン
河
(
がは
)
の
口
(
くち
)
に
出
(
い
)
で、
231
船
(
ふね
)
にて
河
(
かは
)
を
遡
(
さかのぼ
)
り、
232
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
233
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
に
出会
(
であ
)
ひ、
234
そこにて
再
(
ふたた
)
び
大修業
(
だいしうげふ
)
をなし、
235
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
236
国依別
(
くによりわけの
)
命
(
みこと
)
の
命
(
めい
)
に
従
(
したが
)
ひ、
237
直様
(
すぐさま
)
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
238
沓島
(
くつじま
)
、
239
冠島
(
かむりじま
)
に
隠
(
かく
)
されてある、
240
青
(
あを
)
、
241
赤
(
あか
)
、
242
白
(
しろ
)
、
243
黄
(
き
)
の
麻邇
(
まに
)
の
珠
(
たま
)
を
取出
(
とりいだ
)
し、
244
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
に
納
(
をさ
)
めて、
245
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
の
心
(
こころ
)
となり、
246
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
せよ。
247
少
(
すこ
)
しにても
慢神心
(
まんしんごころ
)
あらば、
248
最前
(
さいぜん
)
の
如
(
ごと
)
く、
249
鬼神
(
おにがみ
)
現
(
あら
)
はれて、
250
汝
(
なんぢ
)
が
身魂
(
みたま
)
に
戒
(
いまし
)
めを
致
(
いた
)
すぞよ。
251
ゆめゆめ
疑
(
うたが
)
ふ
勿
(
なか
)
れ。
252
余
(
わ
)
れこそは
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
を
守護
(
しゆご
)
致
(
いた
)
す、
253
日
(
ひ
)
の
出姫
(
でひめの
)
神
(
かみ
)
であるぞよ。
254
今日迄
(
こんにちまで
)
其
(
その
)
方
(
はう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
申
(
まを
)
して
居
(
ゐ
)
たが、
255
其
(
その
)
実
(
じつ
)
は
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
白面
(
はくめん
)
の
悪狐
(
あくこ
)
の
霊
(
れい
)
、
256
汝
(
なんぢ
)
の
体内
(
たいない
)
に
憑
(
かか
)
りて、
257
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
の
経綸
(
けいりん
)
を
妨害
(
ばうがい
)
致
(
いた
)
さむと、
258
汝
(
なんぢ
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
使用
(
しよう
)
してゐたのであるぞや』
259
高姫
(
たかひめ
)
『ハイあなた
様
(
さま
)
から、
260
さう
承
(
うけたま
)
はりますと、
261
何
(
なん
)
だか、
262
其
(
その
)
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
が
致
(
いた
)
して
参
(
まゐ
)
りました。
263
それに
間違
(
まちがひ
)
は
御座
(
ござ
)
いますまい』
264
女神
(
めがみ
)
『
最早
(
もはや
)
夜明
(
よあ
)
けにも
近
(
ちか
)
ければ、
265
妾
(
わらは
)
は
天教山
(
てんけうざん
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
266
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
、
267
木花姫
(
このはなひめの
)
神
(
かみ
)
に
汝
(
なんぢ
)
が
改心
(
かいしん
)
の
次第
(
しだい
)
を
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げむ。
268
高姫
(
たかひめ
)
さらば……』
269
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
270
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り、
271
天上
(
てんじやう
)
高
(
たか
)
く
昇
(
のぼ
)
らせ
玉
(
たま
)
うた。
272
高姫
(
たかひめ
)
はホツと
一息
(
ひといき
)
し
乍
(
なが
)
ら、
273
あたりを
見
(
み
)
れば、
274
夜
(
よ
)
は
既
(
すで
)
に
明
(
あ
)
け
放
(
はな
)
れ、
275
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
は
麗
(
うるは
)
しき
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
靉
(
たなび
)
き、
276
太陽
(
たいやう
)
は
地平線
(
ちへいせん
)
を
離
(
はな
)
れて、
277
清
(
きよ
)
き
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はし
給
(
たま
)
ふ
間際
(
まぎわ
)
なりけり。
278
(
大正一一・八・一二
旧六・二〇
松村真澄
録)
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