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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第29巻(辰の巻)
序
総説
端書
第1篇 玉石混来
第1章 アリナの滝
第2章 懸橋御殿
第3章 白楊樹
第4章 野辺の訓戒
第2篇 石心放告
第5章 引懸戻し
第6章 玉の行衛
第7章 牛童丸
第8章 高姫慴伏
第9章 俄狂言
第10章 国治の国
第3篇 神鬼一転
第11章 日出姫
第12章 悔悟の幕
第13章 愛流川
第14章 カーリン丸
第15章 ヨブの入信
第16章 波の響
第4篇 海から山へ
第17章 途上の邂逅
第18章 天祥山
第19章 生霊の頼
第20章 道すがら
余白歌
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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第29巻(辰の巻)
> 第2篇 石心放告 > 第9章 俄狂言
<<< 高姫慴伏
(B)
(N)
国治の国 >>>
第九章
俄
(
にはか
)
狂言
(
きやうげん
)
〔八三一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
篇:
第2篇 石心放告
よみ(新仮名遣い):
せきしんほうこく
章:
第9章 俄狂言
よみ(新仮名遣い):
にわかきょうげん
通し章番号:
831
口述日:
1922(大正11)年08月12日(旧06月20日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
国玉依別は、高姫が人事不省に陥ったので、人を呼んで懸橋御殿に運び、玉竜姫と共に何くれと介抱をなした。高姫はようやく正気に復した。
常彦と春彦は高姫に、鏡の池の神様に楯突いて人事不省になったのを、懸橋御殿の奉仕者たちが助けてくれたのだと説明し、神様に反抗しないようにと、また国玉依別と玉竜姫にお礼を言うようにと諭した。
しかし高姫は自分を助けてくれた人たちの前で、理屈をこねて自分が窮地に陥ったことを否定し、いかに日の出神の生き宮が偉大であるかを吹聴した。常彦と春彦はあきれてしまい、国玉依別らに、高姫はのぼせているから気にしないようにと説明した。
高姫は国玉依別に玉を渡すように居丈高に要求した。一同は呆れてしまい、ただ高姫の顔を打ち眺めている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-26 22:27:16
OBC :
rm2909
愛善世界社版:
134頁
八幡書店版:
第5輯 514頁
修補版:
校定版:
135頁
普及版:
62頁
初版:
ページ備考:
001
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
002
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
003
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
004
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
005
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
006
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
007
過
(
あやま
)
ちあれば
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
008
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
009
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
大八洲
(
おほやしま
)
010
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
の
又
(
また
)
の
御名
(
みな
)
011
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神霊
(
しんれい
)
は
012
随時
(
ずいじ
)
随所
(
ずいしよ
)
に
現
(
あら
)
はれて
013
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
014
信徒
(
まめひと
)
等
(
たち
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
015
四方
(
よも
)
の
民草
(
たみくさ
)
悉
(
ことごと
)
く
016
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
にうるほひつ
017
心
(
こころ
)
の
雲
(
くも
)
を
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
018
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りたる
大空
(
おほぞら
)
に
019
天
(
あめ
)
の
御柱
(
みはしら
)
つき
固
(
かた
)
め
020
掃
(
は
)
き
浄
(
きよ
)
めたる
村肝
(
むらきも
)
の
021
心
(
こころ
)
の
土
(
つち
)
に
惟神
(
かむながら
)
022
国
(
くに
)
の
御柱
(
みはしら
)
つき
固
(
かた
)
め
023
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
神人
(
しんじん
)
の
024
身魂
(
みたま
)
を
永遠
(
とは
)
に
助
(
たす
)
けむと
025
現
(
あら
)
はれますぞ
尊
(
たふと
)
けれ。
026
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御恵
(
みめぐ
)
みも
027
アリナの
滝
(
たき
)
の
上流
(
じやうりう
)
に
028
誠
(
まこと
)
を
映
(
うつ
)
す
鏡池
(
かがみいけ
)
029
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
030
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて
031
夜
(
よる
)
なきヒルの
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
032
テーナの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
の
033
誠
(
まこと
)
アールやアルナ
姫
(
ひめ
)
034
桃上彦
(
ももがみひこ
)
の
昔
(
むかし
)
より
035
三五教
(
あななひけう
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
036
今
(
いま
)
に
伝
(
つた
)
へて
奉
(
ほう
)
じたる
037
尊
(
たふと
)
き
血筋
(
ちすぢ
)
の
酋長
(
しうちやう
)
は
038
家
(
いへ
)
の
宝
(
たから
)
と
大切
(
たいせつ
)
に
039
親
(
おや
)
の
代
(
だい
)
より
守
(
まも
)
り
居
(
ゐ
)
る
040
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
取出
(
とりいだ
)
し
041
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
納
(
をさ
)
めむと
042
数多
(
あまた
)
の
里人
(
さとびと
)
引率
(
いんそつ
)
し
043
遠
(
とほ
)
き
山坂
(
やまさか
)
打渉
(
うちわた
)
り
044
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
白旗
(
しらはた
)
に
045
玉献上
(
たまけんじやう
)
と
書
(
か
)
き
記
(
しる
)
し
046
珍
(
うづ
)
の
御輿
(
みこし
)
を
新造
(
しんざう
)
し
047
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
納
(
をさ
)
めつつ
048
縦笛
(
たてぶえ
)
横笛
(
よこぶえ
)
吹
(
ふ
)
き
鳴
(
な
)
らし
049
天然
(
てんねん
)
自然
(
しぜん
)
の
石
(
いし
)
の
鉦
(
かね
)
050
磬盤
(
けいばん
)
法螺貝
(
ほらがひ
)
鳴
(
な
)
らし
立
(
た
)
て
051
谷
(
たに
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
え
川
(
かは
)
渡
(
わた
)
り
052
山鳥
(
やまどり
)
の
尾
(
を
)
のしだり
尾
(
を
)
の
053
長々
(
ながなが
)
しくもヒルの
国
(
くに
)
054
テルの
国
(
くに
)
をば
跋渉
(
ばつせう
)
し
055
漸
(
やうや
)
く
此処
(
ここ
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
056
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
や
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
057
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
058
恭
(
うやうや
)
しくも
捧
(
ささ
)
げつつ
059
誠
(
まこと
)
か
嘘
(
うそ
)
か
知
(
し
)
らね
共
(
ども
)
060
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
神懸
(
かむがか
)
り
061
仰
(
あふ
)
せの
儘
(
まま
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
062
正直
(
しやうぢき
)
一途
(
いちづ
)
の
酋長
(
しうちやう
)
は
063
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
、
玉竜姫
(
たまたつひめ
)
の
064
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
連
(
づれ
)
065
御名
(
みな
)
を
賜
(
たま
)
はり
千丈
(
せんぢやう
)
の
066
滝
(
たき
)
の
麓
(
ふもと
)
に
御禊
(
みそぎ
)
して
067
一日
(
ひとひ
)
一夜
(
ひとよ
)
を
明
(
あ
)
かしつつ
068
アリナの
滝
(
たき
)
を
後
(
あと
)
にして
069
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
往
(
い
)
て
見
(
み
)
れば
070
豈
(
あに
)
図
(
はか
)
らむや
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
071
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
を
始
(
はじ
)
めとし
072
三人
(
みたり
)
の
司
(
つかさ
)
は
雲
(
くも
)
と
消
(
き
)
え
073
行方
(
ゆくへ
)
も
白木
(
しらき
)
の
玉筥
(
たまばこ
)
に
074
種々
(
いろいろ
)
様々
(
さまざま
)
神
(
かみ
)
の
旨
(
むね
)
075
書
(
か
)
きしるしたる
嬉
(
うれ
)
しさに
076
アール、アルナの
両人
(
りやうにん
)
は
077
草
(
くさ
)
の
庵
(
いほり
)
を
永久
(
とこしへ
)
の
078
住家
(
すみか
)
と
定
(
さだ
)
め
池
(
いけ
)
の
辺
(
べ
)
に
079
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
神言
(
かみごと
)
を
080
声
(
こゑ
)
高
(
たか
)
らかに
宣
(
の
)
りつつも
081
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
より
詣
(
まう
)
で
来
(
く
)
る
082
善男
(
ぜんなん
)
善女
(
ぜんぢよ
)
を
三五
(
あななひ
)
の
083
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
導
(
みちび
)
きつ
084
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
も
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
085
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
り
身
(
み
)
を
容
(
い
)
るる
086
所
(
ところ
)
なき
迄
(
まで
)
諸人
(
もろびと
)
の
087
姿
(
すがた
)
埋
(
うづ
)
まる
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
088
是非
(
ぜひ
)
なく
茲
(
ここ
)
に
信徒
(
まめひと
)
は
089
大峡
(
おほがひ
)
小峡
(
こがひ
)
の
木
(
き
)
を
伐
(
き
)
りて
090
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
とに
架
(
か
)
け
渡
(
わた
)
し
091
八尋
(
やひろ
)
の
殿
(
との
)
を
築
(
きづ
)
きあげ
092
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
奉斎
(
ほうさい
)
し
093
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
、
玉竜姫
(
たまたつひめ
)
の
094
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
は
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
095
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
に
現
(
あら
)
はれて
096
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
折柄
(
をりから
)
に
097
玉
(
たま
)
に
心
(
こころ
)
を
奪
(
と
)
られたる
098
三五教
(
あななひけう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
が
099
自転倒
(
おのころ
)
嶋
(
じま
)
を
後
(
あと
)
にして
100
太平洋
(
たいへいやう
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
101
テルの
湊
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
102
常彦
(
つねひこ
)
、
春彦
(
はるひこ
)
伴
(
ともな
)
ひて
103
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
104
其
(
その
)
他
(
た
)
の
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
をば
105
アリナの
滝
(
たき
)
を
目当
(
めあて
)
とし
106
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り
村肝
(
むらきも
)
の
107
心
(
こころ
)
の
善悪
(
よしあし
)
映
(
うつ
)
すてふ
108
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
109
相
(
あひ
)
も
変
(
かは
)
らぬ
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
110
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
に
罵
(
ののし
)
れば
111
数千
(
すうせん
)
年
(
ねん
)
の
沈黙
(
ちんもく
)
を
112
破
(
やぶ
)
つて
鳴
(
な
)
りだす
池
(
いけ
)
の
面
(
おも
)
113
ブクブクブクと
泡
(
あわ
)
だして
114
ウンウンウンと
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
115
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神霊
(
しんれい
)
と
116
名乗
(
なの
)
らせ
玉
(
たま
)
ひて
五十韻
(
ごじふゐん
)
117
珍
(
うづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
並
(
なら
)
べつつ
118
高姫
(
たかひめ
)
一同
(
いちどう
)
を
訓戒
(
くんかい
)
し
119
身魂
(
みたま
)
を
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむと
120
計
(
はか
)
り
玉
(
たま
)
ひし
尊
(
たふと
)
さよ
121
自負心
(
じふしん
)
強
(
つよ
)
き
高姫
(
たかひめ
)
は
122
持
(
も
)
つて
生
(
うま
)
れた
能弁
(
のうべん
)
に
123
負
(
まけ
)
ず
劣
(
おと
)
らず
五十韻
(
ごじふゐん
)
124
アオウエイよりワヲウヱヰ
125
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
も
洩
(
も
)
らさずに
126
一々
(
いちいち
)
神
(
かみ
)
に
口答
(
くちごた
)
へ
127
月照彦
(
つきてるひこ
)
とは
詐
(
いつは
)
りぞ
128
ドン
亀
(
かめ
)
、
鼈
(
すつぽん
)
、
蟹神
(
かにがみ
)
と
129
頭
(
あたま
)
ごなしにけなしつつ
130
言葉
(
ことば
)
の
鉾
(
ほこ
)
を
常彦
(
つねひこ
)
や
131
春彦
(
はるひこ
)
の
上
(
うへ
)
に
相転
(
あひてん
)
じ
132
生宮
(
いきみや
)
気取
(
きど
)
りで
諄々
(
じゆんじゆん
)
と
133
脱線
(
だつせん
)
だらけの
託宣
(
たくせん
)
を
134
まくし
立
(
た
)
つれば
池中
(
いけなか
)
の
135
声
(
こゑ
)
は
益々
(
ますます
)
高
(
たか
)
くなり
136
大地
(
だいち
)
の
震動
(
しんどう
)
恐
(
おそ
)
ろしく
137
流石
(
さすが
)
頑固
(
ぐわんこ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
も
138
色
(
いろ
)
青
(
あを
)
ざめて
慴伏
(
せふふく
)
し
139
歯
(
は
)
をかみしめて
黒血
(
くろち
)
をば
140
吐
(
は
)
きつつ
爰
(
ここ
)
に
平伏
(
へいふく
)
し
141
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
息
(
いき
)
の
根
(
ね
)
は
142
細
(
ほそ
)
りて
遂
(
つひ
)
に
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
143
生命
(
いのち
)
の
糸
(
いと
)
も
細
(
ほそ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
144
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
145
善悪
(
ぜんあく
)
邪正
(
じやせい
)
を
明
(
あきら
)
かに
146
心
(
こころ
)
に
映
(
うつ
)
す
鏡池
(
かがみいけ
)
147
底
(
そこ
)
ひも
知
(
し
)
れぬ
神界
(
しんかい
)
の
148
深
(
ふか
)
き
心
(
こころ
)
ぞ
尊
(
たふ
)
とけれ
149
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
150
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ。
151
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
の
神前
(
しんぜん
)
に
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
奉仕
(
ほうし
)
する
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
、
152
テーナの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
アール、
153
アルナの
夫婦
(
ふうふ
)
は、
154
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
より、
155
国玉依別
(
くにたまよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
156
玉竜姫
(
たまたつひめの
)
命
(
みこと
)
と
名
(
な
)
を
賜
(
たま
)
ひ、
157
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
真心
(
まごころ
)
を
籠
(
こ
)
めて、
158
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
へつつありしが、
159
茲
(
ここ
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
が
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
現
(
あら
)
はれて、
160
堆
(
うづたか
)
く
供
(
そな
)
へ
奉
(
まつ
)
れる
諸々
(
もろもろ
)
の
玉
(
たま
)
を
持帰
(
もちかへ
)
らむとするを、
161
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
及
(
およ
)
び
狭依彦
(
さよりひこ
)
の
宮
(
みや
)
に
仕
(
つか
)
へたる
国
(
くに
)
と
玉
(
たま
)
との
神主
(
かむぬし
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
162
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
に
急報
(
きふはう
)
し、
163
教主
(
けうしゆ
)
夫婦
(
ふうふ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
164
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
165
来意
(
らいい
)
を
尋
(
たづ
)
ぬる
折
(
をり
)
しも、
166
傲慢
(
ごうまん
)
不遜
(
ふそん
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は、
167
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
神霊
(
しんれい
)
が
威力
(
ゐりよく
)
に
打
(
う
)
たれて
打倒
(
うちたふ
)
れ、
168
殆
(
ほとん
)
ど
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
となりければ、
169
国
(
くに
)
、
170
玉
(
たま
)
、
171
竜
(
たつ
)
、
172
別
(
わけ
)
などの
神司
(
かむづかさ
)
と
共
(
とも
)
に、
173
常彦
(
つねひこ
)
、
174
春彦
(
はるひこ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
175
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
に
担
(
かつ
)
ぎ
入
(
い
)
れ、
176
水
(
みづ
)
よ
薬
(
くすり
)
よと
介抱
(
かいほう
)
をなし、
177
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
178
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
の
神示
(
しんじ
)
の
反魂歌
(
はんこんか
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
179
漸
(
やうや
)
くにして
高姫
(
たかひめ
)
は
正気
(
しやうき
)
に
復
(
かへ
)
り、
180
稍
(
やや
)
安心
(
あんしん
)
の
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
下
(
を
)
ろしたり。
181
因
(
ちなみ
)
に
云
(
い
)
ふ。
182
アール、
183
アルナの
夫婦
(
ふうふ
)
は
其
(
その
)
実
(
じつ
)
、
184
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
185
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
故意
(
こい
)
を
以
(
もつ
)
て、
186
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神示
(
しんじ
)
と
偽
(
いつは
)
り、
187
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
、
188
玉竜姫
(
たまたつひめ
)
の
名
(
な
)
を
与
(
あた
)
へたれ
共
(
ども
)
、
189
やはり
惟神
(
かむながら
)
の
摂理
(
せつり
)
に
依
(
よ
)
つて
神
(
かみ
)
より
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
行
(
おこな
)
はしめられたるものにして、
190
決
(
けつ
)
して
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
191
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
悪戯
(
いたづら
)
にあらず、
192
全
(
まつた
)
く
神意
(
しんい
)
に
依
(
よ
)
りて、
193
両人
(
りやうにん
)
は
夫婦
(
ふうふ
)
に
神命
(
しんめい
)
[
※
校定版・八幡版では「神名」に直している。
]
を
与
(
あた
)
へた
事
(
こと
)
と、
194
神界
(
しんかい
)
より
見
(
み
)
れば
確
(
たし
)
かになつて
居
(
ゐ
)
るのである。
195
高姫
(
たかひめ
)
はキヨロキヨロと
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
まはし、
196
木
(
き
)
の
香
(
か
)
かをれる
新
(
あたら
)
しき
殿内
(
でんない
)
に
吾身
(
わがみ
)
のある
事
(
こと
)
を
訝
(
いぶ
)
かり、
197
首
(
くび
)
を
切
(
しき
)
りに
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
198
元来
(
ぐわんらい
)
の
負惜
(
まけをし
)
み
強
(
つよ
)
き
性質
(
せいしつ
)
とて……ここは
何処
(
いづこ
)
ぞ……と
問
(
と
)
ひ
尋
(
たづ
)
ぬる
事
(
こと
)
を
恥
(
はぢ
)
の
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ひ、
199
荐
(
しき
)
りに
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
200
常彦
(
つねひこ
)
、
201
春彦
(
はるひこ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
左右
(
さゆう
)
に
寄
(
よ
)
り
添
(
そ
)
ひ、
202
常彦、春彦
『モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
203
お
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
きましたか。
204
余
(
あま
)
り
貴女
(
あなた
)
は
自我
(
じが
)
を
立通
(
たてとほ
)
しなさるものだから、
205
とうとう
池
(
いけ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
戒
(
いまし
)
められ、
206
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
り、
207
殆
(
ほとん
)
ど
息
(
いき
)
の
根
(
ね
)
も
絶
(
た
)
えむとする
所
(
ところ
)
、
208
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
にも、
209
此
(
この
)
御殿
(
ごてん
)
の
主人
(
あるじ
)
、
210
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
様
(
さま
)
、
211
玉竜姫
(
たまたつひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
介抱
(
かいほう
)
と
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
に
依
(
よ
)
り、
212
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてお
貰
(
もら
)
ひなされたのですから、
213
サア
早
(
はや
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
と、
214
お
二人
(
ふたり
)
に
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しなさいませ』
215
高姫
(
たかひめ
)
『
妾
(
わたし
)
がいつ……
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
などと、
216
汚
(
けが
)
らはしい、
217
死
(
し
)
にかけました。
218
そんな
屁泥
(
へどろ
)
い
高姫
(
たかひめ
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いませぬぞえ。
219
お
前
(
まへ
)
は
神界
(
しんかい
)
の
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
らぬから、
220
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が、
221
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
の
神
(
かみ
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
審神
(
さには
)
する
為
(
ため
)
、
222
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
を
一寸
(
ちよつと
)
立出
(
たちい
)
で、
223
幽界
(
いうかい
)
探険
(
たんけん
)
に
往
(
い
)
て
居
(
を
)
つたのですよ。
224
それだから、
225
心
(
こころ
)
の
盲
(
めくら
)
と
云
(
い
)
ふのですよ。
226
ヘン……
阿呆
(
あはう
)
らしい。
227
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
は
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
生
(
い
)
き
通
(
とほ
)
し、
228
アタ
汚
(
けが
)
らはしい、
229
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
つたなどと、
230
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
と
同
(
おな
)
じように
人間
(
にんげん
)
扱
(
あつか
)
ひをして
貰
(
もら
)
ふと、
231
チツと
困
(
こま
)
りますぞえ。
232
コレコレお
前
(
まへ
)
は
国依別
(
くによりわけ
)
、
233
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
234
竜国別
(
たつくにわけ
)
と
云
(
い
)
つたぢやないか。
235
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやらこんな
所
(
ところ
)
へ
魁
(
さきがけ
)
してやつて
来
(
き
)
て、
236
世間
(
せけん
)
をごまかさうと
思
(
おも
)
つて、
237
国
(
くに
)
と
玉
(
たま
)
とが
一
(
ひと
)
つになつて
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
だとか、
238
玉竜姫
(
たまたつひめ
)
だのと、
239
そんなカラクリをしたつて
駄目
(
だめ
)
です。
240
キツとそんな
名前
(
なまへ
)
がついてる
以上
(
いじやう
)
は、
241
此
(
この
)
館
(
やかた
)
に
国
(
くに
)
、
242
玉
(
たま
)
、
243
竜
(
たつ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
潜
(
ひそ
)
んでるに
違
(
ちがひ
)
ない。
244
又
(
また
)
言依別
(
ことよりわけ
)
も
隠
(
かく
)
れて
居
(
を
)
るだらう。
245
モウ
斯
(
こ
)
うなつたら
百年目
(
ひやくねんめ
)
だ。
246
サア
女
(
をんな
)
の
一心
(
いつしん
)
岩
(
いは
)
でも
通
(
とほ
)
す。
247
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
神宝
(
しんぱう
)
を
撿
(
あらた
)
めて、
248
自転倒
(
おのころ
)
嶋
(
じま
)
の
聖地
(
せいち
)
へ
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
らねばおきませぬぞえ。
249
コレコレ
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
とやら、
250
お
前
(
まへ
)
は
国
(
くに
)
や
玉
(
たま
)
や
竜
(
たつ
)
の、
251
蔭
(
かげ
)
から
糸
(
いと
)
を
引
(
ひ
)
く
操
(
あやつ
)
り
人形
(
にんぎやう
)
だらう。
252
そんなこたア、
253
チヤンと、
254
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
黒
(
くろ
)
い
眼
(
め
)
で
睨
(
にら
)
んだら
一分
(
いちぶ
)
一厘
(
いちりん
)
間違
(
まちが
)
ひはありませぬぞや。
255
ここに
三五教
(
あななひけう
)
の
神館
(
かむやかた
)
を、
256
お
前
(
まへ
)
さま
等
(
ら
)
が
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
建
(
た
)
てたやうに
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
257
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
の
御
(
お
)
指図
(
さしづ
)
で、
258
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
片腕
(
かたうで
)
となり、
259
竜宮
(
りうぐう
)
さまの
御
(
お
)
手伝
(
てつだひ
)
ひで
出来上
(
できあが
)
つたのですよ。
260
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
だからチヤンと
分
(
わか
)
つてる。
261
ここの
神司
(
かむづかさ
)
はそれが
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
ますかな』
262
常彦
(
つねひこ
)
『ナント
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
にどしぶとい
婆
(
ばば
)
だなア、
263
これ
丈
(
だけ
)
お
世話
(
せわ
)
になつておき
乍
(
なが
)
らヨーモ ヨーモ、
264
こんな
憎
(
にく
)
たれ
口
(
ぐち
)
が
叩
(
たた
)
けたものだ。
265
喃
(
のう
)
春彦
(
はるひこ
)
、
266
穴
(
あな
)
でもあつたらモグリ
込
(
こ
)
みたいやうな
気
(
き
)
がするぢやないか』
267
春彦
(
はるひこ
)
『
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
がすぼまりませぬワイ』
268
と
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
269
余
(
あま
)
りの
事
(
こと
)
に
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
ててポカンとしてゐる。
270
常彦
(
つねひこ
)
『イヤもうし、
271
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
様
(
さま
)
、
272
かくの
通
(
とほ
)
りの
没分暁漢
(
わからずや
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
273
自転倒
(
おのころ
)
嶋
(
じま
)
の
聖地
(
せいち
)
に
於
(
おい
)
ても、
274
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
が
腫物
(
はれもの
)
にさはるやうに
取扱
(
とりあつか
)
つて
居
(
を
)
るので
御座
(
ござ
)
います。
275
吾々
(
われわれ
)
だつてこんな
腫物
(
はれもの
)
に
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
たい
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬが、
276
気違
(
きちがひ
)
を
一人
(
ひとり
)
おつ
放
(
ぱな
)
しておきますと、
277
どんな
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
すやら
分
(
わか
)
りませぬ。
278
虎
(
とら
)
を
野
(
の
)
に
放
(
はな
)
つやうな
危険
(
きけん
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
279
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
は
世界
(
せかい
)
の
為
(
ため
)
に
犠牲
(
ぎせい
)
となつて、
280
精神
(
せいしん
)
病者
(
びやうしや
)
看護人
(
かんごにん
)
の
積
(
つも
)
りで、
281
はるばるとやつて
参
(
まゐ
)
りました。
282
何
(
いづ
)
れ
癲狂院
(
てんきやうゐん
)
代物
(
しろもの
)
ですから、
283
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
御
(
お
)
心
(
こころ
)
にさえて
下
(
くだ
)
さいますな。
284
何卒
(
なにとぞ
)
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
285
高姫
(
たかひめ
)
の
無礼
(
ぶれい
)
をお
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
286
と
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さうに
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
てる。
287
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
は、
288
国玉依別
『
実
(
じつ
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ですなア。
289
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
気
(
き
)
にはかけて
居
(
を
)
りませぬ。
290
あなた
方
(
がた
)
こそ、
291
本当
(
ほんたう
)
に
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
お
察
(
さつ
)
し
申
(
まを
)
します』
292
高姫
(
たかひめ
)
『コレ
常
(
つね
)
、
293
天教山
(
てんけうざん
)
より
現
(
あ
)
れませる
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を、
294
天教山
(
てんけうざん
)
代物
(
しろもの
)
とは
何
(
なん
)
だい。
295
余
(
あんま
)
り
無礼
(
ぶれい
)
ぢやないか。
296
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しなさい』
297
常彦
(
つねひこ
)
『
癲狂院
(
てんきやうゐん
)
に
現
(
あ
)
れませる、
298
鼻高姫
(
はなたかひめの
)
命
(
みこと
)
か、
299
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あら
)
はれませる
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめの
)
神
(
かみ
)
のお
使
(
つかい
)
、
300
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
か、
301
但
(
ただし
)
は
二世
(
にせ
)
か
三代
(
さんだい
)
か、
302
男
(
をとこ
)
か
女
(
をんな
)
か、
303
凡夫
(
ぼんぷ
)
の
吾々
(
われわれ
)
にはテンと
判断
(
はんだん
)
が
付
(
つ
)
きませぬワイ。
304
アハヽヽヽ』
305
高姫
(
たかひめ
)
『アヽさうだらうさうだらう。
306
テンと
判断
(
はんだん
)
がつかぬと
云
(
い
)
ふのは
道理
(
だうり
)
ぢや。
307
偽
(
いつは
)
らざるお
前
(
まへ
)
の
告白
(
こくはく
)
だ。
308
此
(
この
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
正体
(
しやうたい
)
が、
309
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
に
分
(
わか
)
るやうな
事
(
こと
)
なら、
310
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
も
万里
(
ばんり
)
の
波
(
なみ
)
を
越
(
こ
)
えて、
311
こんな
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
来
(
き
)
は
致
(
いた
)
しませぬわいな。
312
お
前
(
まへ
)
のやうな
没分暁漢
(
わからずや
)
が
世界
(
せかい
)
にウヨウヨして
居
(
ゐ
)
るから、
313
実地
(
じつち
)
の
行
(
おこな
)
ひを
見
(
み
)
せて
改心
(
かいしん
)
させる
為
(
ため
)
に
神
(
かみ
)
の
御用
(
ごよう
)
で
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのだぞえ。
314
サアこれから
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
言依別
(
ことよりわけ
)
の
盗
(
ぬす
)
み
出
(
だ
)
した
宝玉
(
ほうぎよく
)
を
受取
(
うけと
)
つて
帰
(
かへ
)
りませう。
315
お
前
(
まへ
)
もここ
迄
(
まで
)
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
たのだから、
316
玉
(
たま
)
のお
供
(
とも
)
位
(
くらい
)
はさしてあげるぞえ。
317
有難
(
ありがた
)
く
思
(
おも
)
ひなさい。
318
……コレコレ
茲
(
ここ
)
の
宮番
(
みやばん
)
夫婦
(
ふうふ
)
、
319
早
(
はや
)
く
玉
(
たま
)
を
渡
(
わた
)
す
手続
(
てつづき
)
を
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
くしなされや。
320
グヅグヅしてゐなさると、
321
神界
(
しんかい
)
の
規則
(
きそく
)
に
照
(
てら
)
し、
322
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
の
制敗
(
せいばい
)
[
*
御校正本のママ
]
に
会
(
あ
)
はさねばなりませぬぞえ』
323
国玉依別
(
くにたまよりわけ
)
は
藪
(
やぶ
)
から
棒
(
ぼう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
合点
(
がつてん
)
行
(
ゆ
)
かず、
324
国玉依別
『ヘー』
325
と
云
(
い
)
つたきり、
326
穴
(
あな
)
のあく
程
(
ほど
)
、
327
高姫
(
たかひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
打
(
うち
)
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
328
国
(
くに
)
、
329
玉
(
たま
)
、
330
竜
(
たつ
)
、
331
別
(
わけ
)
、
332
依
(
より
)
の
幹部
(
かんぶ
)
を
始
(
はじ
)
め、
333
常彦
(
つねひこ
)
、
334
春彦
(
はるひこ
)
迄
(
まで
)
が
高姫
(
たかひめ
)
の
顔
(
かほ
)
をジツと
打眺
(
うちなが
)
め
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
き
居
(
ゐ
)
たりける。
335
(
大正一一・八・一二
旧六・二〇
松村真澄
録)
336
(昭和一〇・六・八 王仁校正)
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