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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第53巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 毘丘取颪
第1章 春菜草
第2章 蜉蝣
第3章 軟文学
第4章 蜜語
第5章 愛縁
第6章 気縁
第7章 比翼
第8章 連理
第9章 蛙の腸
第2篇 貞烈亀鑑
第10章 女丈夫
第11章 艶兵
第12章 鬼の恋
第13章 醜嵐
第14章 女の力
第15章 白熱化
第3篇 兵権執着
第16章 暗示
第17章 奉還状
第18章 八当狸
第19章 刺客
第4篇 神愛遍満
第20章 背進
第21章 軍議
第22章 天祐
第23章 純潔
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霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第53巻(辰の巻)
> 第4篇 神愛遍満 > 第20章 背進
<<< 刺客
(B)
(N)
軍議 >>>
第二〇章
背進
(
はいしん
)
〔一三八三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
篇:
第4篇 神愛遍満
よみ(新仮名遣い):
しんあいへんまん
章:
第20章 背進
よみ(新仮名遣い):
はいしん
通し章番号:
1383
口述日:
1923(大正12)年02月14日(旧12月29日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月8日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ヒルナ姫とカルナ姫の活躍によってバラモン軍はビク国と和睦し、ビク国軍隊の一部は刹帝利の支配となった。左守は兵馬の権を与えられて城内の秩序を保ち、タルマンは宣伝使兼内事の司に戻り、左守の家令であったエクスが右守に任命された。
城下の陣営は、バラモン軍に大部分が貸し与えられることになり、バラモン軍のビク国侵攻は一段落した。
鬼春別と久米彦両将軍は、ランチ将軍の命令通りに黄金山に攻め込めば敗北は濃厚であり、さりとてハルナの都に帰るわけにもゆかず、付近の小国を併合してここに自分たちの王国を築こうと、ビク国内に得た陣営を増築し、兵を練っていた。
二女はひきつづき将軍たちに仕えていたが、酒と弁舌にごまかして、貞節を守り続けながら、ビク国に危害が及ばないよう将軍たちを操っていた。
兵営はほぼ完成し、ビクトル山の麓の要害の地点に本営も築かれた。そうしたところ、多数のバラモン軍の騎士たちがライオン河を渡ってくると報告が届いた。
両将軍は、ランチ将軍の本隊に何かあったのではないかと疑い、思案に暮れた。両将軍が高殿より見れば、数百の味方の騎士たちがやってくるのが見えた。鬼春別と久米彦は、ランチ将軍本隊の敗兵が逃げてきたこと悟った。二女に動揺を見透かされないよう、わざと鷹揚にしている。
敗軍を率いてきた騎士は、両将軍に、ランチ将軍と片彦将軍は三五教の宣伝使・治国別に降参し、軍隊を解散したのみならず、二将軍以下ガリヤとケースの副官まで三五教の魔法を授かって、素盞嗚尊の宣伝使となってしまったことを報告した。
敗軍の将官は、三千の軍隊を率いていたランチ将軍でさえ一たまりもなく降伏したこと、やがて治国別たちがビクトル山へもやってくるだろうことも伝えた。これを聞いた鬼春別と久米彦は顔色を変え、表には強がっていても内心はすっかり恐怖心にかられてしまった。
ヒルナ姫とカルナ姫は、鬼春別と久米彦の怯えを看破したが、何食わぬ顔をして表面を包んでいた。
鬼春別と久米彦は、黄金山出征を口実として二女や部下の前に体裁を作り、一刻も早くビクトル山を引き払おうと退却を始めた。三千の兵士たちはたちまち後ろから強敵が襲ってくるような恐怖心にかられて、我先にと陣営から逃げ去ってしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-03-22 07:48:06
OBC :
rm5320
愛善世界社版:
243頁
八幡書店版:
第9輯 593頁
修補版:
校定版:
251頁
普及版:
120頁
初版:
ページ備考:
001
鬼春別
(
おにはるわけ
)
、
002
久米彦
(
くめひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
が
連戦
(
れんせん
)
連勝
(
れんしよう
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
003
ビクの
都
(
みやこ
)
の
兵士
(
つはもの
)
迄
(
まで
)
も
従
(
したが
)
へて、
004
自分
(
じぶん
)
の
部下
(
ぶか
)
としてゐたのはホンの
暫
(
しばら
)
くの
間
(
うち
)
であつた。
005
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
006
カルナ
姫
(
ひめ
)
の
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
秘術
(
ひじゆつ
)
を
尽
(
つく
)
しての
斡旋
(
あつせん
)
に、
007
漸
(
やうや
)
くビクの
国
(
くに
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
の
一部分
(
いちぶぶん
)
は
刹帝利
(
せつていり
)
の
支配
(
しはい
)
の
下
(
もと
)
に
隷属
(
れいぞく
)
し、
008
左守
(
さもり
)
は
兵馬
(
へいば
)
の
権
(
けん
)
を
刹帝利
(
せつていり
)
より
臨時
(
りんじ
)
委任
(
ゐにん
)
され、
009
城内
(
じやうない
)
の
秩序
(
ちつじよ
)
を
保
(
たも
)
つこととなり、
010
又
(
また
)
タルマンは
依然
(
いぜん
)
として
宣伝使
(
せんでんし
)
兼
(
けん
)
内事司
(
ないじつかさ
)
を
勤
(
つと
)
め、
011
ヱクスは
抜擢
(
ばつてき
)
されて
右守
(
うもり
)
となつた。
012
そして
城下
(
じやうか
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
は
暫時
(
ざんじ
)
バラモン
軍
(
ぐん
)
に
其
(
その
)
大部分
(
だいぶぶん
)
を
貸
(
か
)
し
与
(
あた
)
へ、
013
茲
(
ここ
)
にビクトリヤ
家
(
け
)
とバラモン
軍
(
ぐん
)
とは
整然
(
せいぜん
)
たる
区劃
(
くくわく
)
がついた。
014
鬼春別
(
おにはるわけ
)
、
015
久米彦
(
くめひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
進軍
(
しんぐん
)
するのも
好
(
この
)
まず、
016
さりとてハルナへ
帰
(
かへ
)
ることも
出来
(
でき
)
ず、
017
黄金山
(
わうごんざん
)
へ
向
(
むか
)
はむか、
018
又々
(
またまた
)
敗北
(
はいぼく
)
せむは
必定
(
ひつぢやう
)
である。
019
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
ビクトル
山
(
さん
)
を
中心
(
ちうしん
)
に
仮陣営
(
かりぢんえい
)
を
築
(
きづ
)
き、
020
此処
(
ここ
)
にて
兵力
(
へいりよく
)
を
練
(
ね
)
り、
021
附近
(
ふきん
)
の
小国
(
せうこく
)
を
切
(
きり
)
なびけ、
022
一王国
(
いちわうこく
)
を
建設
(
けんせつ
)
せむと
兵営
(
へいえい
)
の
増築
(
ぞうちく
)
に
全力
(
ぜんりよく
)
を
尽
(
つく
)
し、
023
未来
(
みらい
)
に
希望
(
きばう
)
を
抱
(
いだ
)
いてゐた。
024
そしてヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
025
カルナ
姫
(
ひめ
)
は
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
く
将軍
(
しやうぐん
)
に
仕
(
つか
)
へてゐた。
026
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
種々
(
いろいろ
)
の
辞柄
(
じへい
)
を
設
(
まう
)
けて、
027
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
は
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せなかつた。
028
何時
(
いつ
)
も
弁舌
(
べんぜつ
)
と
表情
(
へうじやう
)
と
酒
(
さけ
)
とにて
誤魔化
(
ごまくわ
)
し、
029
殆
(
ほとん
)
ど
同衾
(
どうきん
)
の
暇
(
いとま
)
をなからしむべく、
030
両女
(
りやうぢよ
)
が
互
(
たがひ
)
に
入
(
い
)
り
乱
(
みだ
)
れて
助
(
たす
)
け
合
(
あ
)
ひつつあつた。
031
ビクトリヤ
王
(
わう
)
もハルナも
両女
(
りやうぢよ
)
の
心
(
こころ
)
を
能
(
よ
)
く
察知
(
さつち
)
し、
032
少
(
すこ
)
しも
素行
(
そかう
)
上
(
じやう
)
に
付
(
つ
)
いては
疑
(
うたがひ
)
をさし
挟
(
はさ
)
まなかつたのである。
033
只々
(
ただただ
)
両女
(
りやうぢよ
)
が
身
(
み
)
を
犠牲
(
ぎせい
)
にして、
034
我
(
わが
)
国家
(
こくか
)
の
安泰
(
あんたい
)
を
守
(
まも
)
る
其
(
その
)
苦心
(
くしん
)
を
感謝
(
かんしや
)
するのみであつた。
035
大急
(
おほいそ
)
ぎで
作
(
つく
)
られた
兵営
(
へいえい
)
は
大半
(
たいはん
)
落成
(
らくせい
)
した。
036
鬼春別
(
おにはるわけ
)
はビクトル
山
(
さん
)
の
麓
(
ふもと
)
の
最
(
もつと
)
も
要害
(
えうがい
)
よき
地点
(
ちてん
)
に
本営
(
ほんえい
)
を
築
(
きづ
)
き、
037
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
と
軒
(
のき
)
を
並
(
なら
)
べて
兵
(
へい
)
を
練
(
ね
)
ることにのみ
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
し、
038
一方
(
いつぱう
)
には
最愛
(
さいあい
)
のナイスを
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
み、
039
未来
(
みらい
)
には
晴
(
は
)
れて
完全
(
くわんぜん
)
なる
夫婦
(
ふうふ
)
たるべしと
期待
(
きたい
)
してゐたのである。
040
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
慌
(
あわ
)
ただしく
入来
(
いりきた
)
るは
河守
(
かはもり
)
の
雑兵
(
ざふひやう
)
甲
(
かう
)
乙
(
おつ
)
丙
(
へい
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
である。
041
シヤムは
受付
(
うけつけ
)
に
事務
(
じむ
)
を
執
(
と
)
つてゐると、
042
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
息
(
いき
)
を
喘
(
はづ
)
ませ
乍
(
なが
)
ら、
043
『
申上
(
まをしあ
)
げます。
044
只今
(
ただいま
)
、
045
ライオン
河
(
がは
)
を
渡
(
わた
)
つて、
046
数多
(
あまた
)
の
騎士
(
きし
)
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
ひ
驀地
(
まつしぐら
)
に
駆
(
か
)
けつけて
参
(
まゐ
)
る
様子
(
やうす
)
で
厶
(
ござ
)
います。
047
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
御
(
ご
)
注進
(
ちうしん
)
申上
(
まをしあ
)
げます』
048
シヤム『ナニ、
049
沢山
(
たくさん
)
のナイトが
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
つて
来
(
く
)
るとは、
050
ハテ
心得
(
こころえ
)
ぬ
何者
(
なにもの
)
であらうかなア』
051
と
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
ける。
052
甲
(
かふ
)
は、
053
甲
(
かふ
)
『エエ
察
(
さつ
)
する
所
(
ところ
)
、
054
旗印
(
はたじるし
)
を
見
(
み
)
れば、
055
どれもこれも
三葉葵
(
みつばあふひ
)
の
紋所
(
もんどころ
)
を
染
(
そ
)
めなし
居
(
を
)
りますれば、
056
正
(
まさ
)
しくバラモン
教
(
けう
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
かと
存
(
ぞん
)
じます』
057
シヤム『ハテ、
058
バラモン
教
(
けう
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
が、
059
さう
沢山
(
たくさん
)
に
此方
(
こちら
)
に
渡
(
わた
)
る
筈
(
はず
)
はない。
060
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
に
控
(
ひか
)
へ
居
(
を
)
れば、
061
三五教
(
あななひけう
)
の
奴輩
(
やつばら
)
が
佯
(
いつは
)
つて、
062
三葉葵
(
みつばあふひ
)
の
旗
(
はた
)
を
立
(
た
)
て、
063
攻
(
せ
)
めよせ
来
(
きた
)
る
筈
(
はず
)
もない、
064
ハテ
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬことだなア。
065
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げむ、
066
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
川端
(
かはばた
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
067
敵
(
てき
)
か
味方
(
みかた
)
か
取調
(
とりしら
)
べた
上
(
うへ
)
報告
(
はうこく
)
せい』
068
といひすて、
069
鬼春別
(
おにはるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
んだ。
070
そこには
折
(
をり
)
よく
久米彦
(
くめひこ
)
が
来
(
き
)
て
居
(
を
)
つた。
071
スパール、
072
エミシも
側
(
そば
)
に
侍
(
じ
)
して
何事
(
なにごと
)
か
嬉
(
うれ
)
しげに
話
(
はな
)
してゐる。
073
そこへ
現
(
あら
)
はれたシヤムは
鬼春別
(
おにはるわけ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
074
一寸
(
ちよつと
)
目礼
(
もくれい
)
し
乍
(
なが
)
ら、
075
シヤム『
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げます。
076
只今
(
ただいま
)
川守
(
かはもり
)
の
報告
(
はうこく
)
に
依
(
よ
)
れば、
077
数百
(
すうひやく
)
のナイトが
三葉葵
(
みつばあふひ
)
の
旗
(
はた
)
を
振
(
ふ
)
り
立
(
た
)
て
振
(
ふ
)
り
立
(
た
)
てライオン
河
(
がは
)
を
渡
(
わた
)
り
来
(
く
)
る
様子
(
やうす
)
で
厶
(
ござ
)
います、
078
如何
(
いかが
)
取計
(
とりはか
)
らひませうかな』
079
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『ハテナ、
080
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
旗印
(
はたじるし
)
、
081
まさかランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
たのではあるまい。
082
久米彦
(
くめひこ
)
殿
(
どの
)
、
083
貴殿
(
きでん
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
は
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
るか』
084
久米彦
(
くめひこ
)
『
察
(
さつ
)
する
所
(
ところ
)
、
085
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
のランチ
将軍
(
しやうぐん
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
の
言霊戦
(
ことたません
)
とやらに
敗
(
はい
)
を
取
(
と
)
り、
086
血路
(
けつろ
)
を
開
(
ひら
)
いて
逃
(
に
)
げて
参
(
まゐ
)
つたのでせう。
087
三五教
(
あななひけう
)
ならば、
088
左様
(
さやう
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
同勢
(
どうぜい
)
は
伴
(
つ
)
れては
居
(
を
)
りますまい。
089
ハテ
困
(
こま
)
つたことだなア』
090
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
091
スパール、
092
シヤム、
093
汝
(
なんぢ
)
は
駒
(
こま
)
に
跨
(
また
)
がり、
094
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
敵
(
てき
)
か
味方
(
みかた
)
か
様子
(
やうす
)
を
窺
(
うかが
)
ひ
報告
(
はうこく
)
いたせ』
095
と
下知
(
げち
)
すれば、
096
『ハツ』と
答
(
こた
)
へて
両人
(
りやうにん
)
は
直
(
ただち
)
に
駒
(
こま
)
の
用意
(
ようい
)
をなし、
097
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
も
勇
(
いさ
)
ましく、
098
川縁
(
かはべり
)
さして
一目散
(
いちもくさん
)
に
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
099
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み、
100
さし
俯
(
うつむ
)
いて、
101
稍
(
やや
)
思案
(
しあん
)
にくれてゐた。
102
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
103
カルナ
姫
(
ひめ
)
はニコニコし
乍
(
なが
)
ら、
104
あどけなき
態
(
てい
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
105
琴
(
こと
)
などをいぢつてゐる。
106
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『ヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
107
暫
(
しばら
)
く
琴
(
こと
)
の
手
(
て
)
を
止
(
や
)
めてくれ、
108
一大事
(
いちだいじ
)
が
起
(
おこ
)
つたからなア、
109
カルナ
殿
(
どの
)
も
同様
(
どうやう
)
だ、
110
琴
(
こと
)
所
(
どころ
)
の
騒
(
さわ
)
ぎぢやあるまいぞ』
111
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『ハイ、
112
何
(
なに
)
か
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なことが
突発
(
とつぱつ
)
致
(
いた
)
しましたか。
113
それは
気
(
き
)
の
揉
(
も
)
めたことで
厶
(
ござ
)
いますねえ』
114
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『ウーン、
115
別
(
べつ
)
に
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
すやうな
事
(
こと
)
ではないが、
116
どうも
怪
(
あや
)
しい
報告
(
はうこく
)
に
接
(
せつ
)
したのだ、
117
都合
(
つがふ
)
に
仍
(
よ
)
つては、
118
吾々
(
われわれ
)
も
防備
(
ばうび
)
の
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
さねばなるまい』
119
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『ホホホホホ、
120
防備
(
ばうび
)
なんか
必要
(
ひつえう
)
はありませぬ。
121
妾
(
わらは
)
にお
暇
(
ひま
)
を
下
(
くだ
)
さいますれば、
122
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
つて、
123
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
軍隊
(
ぐんたい
)
と
折衝
(
せつしよう
)
致
(
いた
)
しませう』
124
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『イヤイヤ、
125
お
前
(
まへ
)
を
左様
(
さやう
)
な
所
(
ところ
)
へ
差向
(
さしむ
)
けては、
126
案
(
あん
)
じられる。
127
又
(
また
)
将軍
(
しやうぐん
)
に
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
られては、
128
聊
(
いささ
)
か
気
(
き
)
が
揉
(
も
)
めるからなア』
129
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『オホホホホ、
130
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
仰有
(
おつしや
)
ること、
131
そんな
柔弱
(
にうじやく
)
な
女
(
をんな
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
132
ねえカルナさま、
133
妾
(
わらは
)
と
二人
(
ふたり
)
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
り、
134
紅裙隊
(
こうくんたい
)
を
指揮
(
しき
)
して、
135
群
(
むら
)
がる
敵
(
てき
)
をアツと
云
(
い
)
はせてやりたいものですね』
136
カルナ
姫
(
ひめ
)
『
本当
(
ほんたう
)
にさうですワ。
137
妾
(
わらは
)
も
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
のお
許
(
ゆる
)
しさへあれば、
138
一働
(
ひとはたら
)
き
致
(
いた
)
したいもので
厶
(
ござ
)
いますわ』
139
と
両女
(
りやうぢよ
)
はうまく
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立出
(
たちい
)
で、
140
……もしバラモン
軍
(
ぐん
)
なれば
是非
(
ぜひ
)
なく
首将
(
しゆしやう
)
を
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
141
鬼春別
(
おにはるわけ
)
に
会
(
あ
)
はしてやらうが、
142
万々一
(
まんまんいち
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
又
(
また
)
は
軍隊
(
ぐんたい
)
であつたなれば
之
(
これ
)
幸
(
さいは
)
ひに
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
し、
143
暫
(
しばら
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
さむ……かと
期
(
き
)
せずして
両人
(
りやうにん
)
の
心
(
こころ
)
に
閃
(
ひらめ
)
いたのである。
144
されど
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は、
145
可愛
(
かあい
)
い
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
に
疵
(
きず
)
をさせては
大変
(
たいへん
)
だと
案
(
あん
)
じ
過
(
す
)
ごして
容易
(
ようい
)
に
出陣
(
しゆつぢん
)
を
許
(
ゆる
)
さなかつた。
146
かかる
所
(
ところ
)
へ
法螺貝
(
ほらがひ
)
の
響
(
ひびき
)
ブーブーと
聞
(
きこ
)
えくる。
147
鬼春別
(
おにはるわけ
)
はつツ
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
148
眼下
(
がんか
)
を
見渡
(
みわた
)
せば、
149
数百
(
すうひやく
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
、
150
列
(
れつ
)
を
乱
(
みだ
)
して、
151
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
走
(
はし
)
り
来
(
く
)
る
其
(
その
)
様子
(
やうす
)
、
152
どうも
敵軍
(
てきぐん
)
とは
思
(
おも
)
はれない、
153
敗兵
(
はいへい
)
が
逃亡
(
たうばう
)
して
来
(
き
)
たと
見
(
み
)
て
取
(
と
)
つた
鬼春別
(
おにはるわけ
)
はヤツと
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
でおろし、
154
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『アハハハハ、
155
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
、
156
あれを
見
(
み
)
られよ。
157
数百
(
すうひやく
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
が
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
様子
(
やうす
)
、
158
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
吾々
(
われわれ
)
は
仁義
(
じんぎ
)
を
以
(
もつ
)
て
主義
(
しゆぎ
)
と
致
(
いた
)
すもの、
159
決
(
けつ
)
して
一兵卒
(
いつぺいそつ
)
も
動
(
うご
)
かしてはなりませぬぞ。
160
只
(
ただ
)
吾々
(
われわれ
)
が
愛
(
あい
)
の
徳
(
とく
)
に
仍
(
よ
)
つて
敵
(
てき
)
を
悦服
(
えつぷく
)
さす
方法
(
はうはふ
)
あるのみですから』
161
久米彦
(
くめひこ
)
は
又
(
また
)
高欄
(
かうらん
)
より
打眺
(
うちなが
)
め、
162
ヤツと
安心
(
あんしん
)
したものの
如
(
ごと
)
く、
163
久米彦
(
くめひこ
)
『アハハハハ、
164
仰
(
おほ
)
せには
及
(
およ
)
ぶべき、
165
如何
(
いか
)
なる
巨万
(
きよまん
)
の
敵
(
てき
)
、
166
一斉
(
いつせい
)
に
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
る
共
(
とも
)
、
167
愛
(
あい
)
の
善徳
(
ぜんとく
)
を
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
に
対
(
たい
)
し、
168
決
(
けつ
)
して
殺伐
(
さつばつ
)
の
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
は
致
(
いた
)
さぬ
覚悟
(
かくご
)
で
厶
(
ござ
)
る。
169
戦
(
たたか
)
はずして
敵
(
てき
)
を
悦服
(
えつぷく
)
さすは、
170
勇将
(
ゆうしやう
)
の
能
(
よ
)
くなす
所
(
ところ
)
、
171
どうだ、
172
カルナ
姫
(
ひめ
)
、
173
某
(
それがし
)
の
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
、
174
博愛
(
はくあい
)
主義
(
しゆぎ
)
は
実
(
じつ
)
に
徹底
(
てつてい
)
したものだらうがなア』
175
としたり
面
(
がほ
)
にいふ。
176
カルナ
姫
(
ひめ
)
『
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
います、
177
仁義
(
じんぎ
)
の
軍
(
いくさ
)
に
敵
(
てき
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
178
何卒
(
どうぞ
)
、
179
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
を
抱持
(
はうぢ
)
遊
(
あそ
)
ばすやう
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します。
180
暴
(
ばう
)
に
対
(
たい
)
するに
暴
(
ばう
)
を
以
(
もつ
)
てするは、
181
所謂
(
いはゆる
)
下賤
(
げせん
)
の
人民
(
じんみん
)
の
致
(
いた
)
す
所
(
ところ
)
、
182
実
(
じつ
)
に
見上
(
みあ
)
げた
立派
(
りつぱ
)
な
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
志
(
こころざし
)
には、
183
カルナも
益々
(
ますます
)
感服
(
かんぷく
)
仕
(
つかまつ
)
りました』
184
と
表
(
おもて
)
には
云
(
い
)
つたものの、
185
……
万一
(
まんいち
)
敵
(
てき
)
が
押
(
おし
)
よせて
来
(
き
)
て、
186
此
(
この
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
を
何
(
なん
)
とかしてくれれば
都合
(
つがふ
)
が
好
(
い
)
いがなア。
187
さうすれば
根本
(
こんぽん
)
的
(
てき
)
にビクの
国
(
くに
)
が
安全
(
あんぜん
)
に
治
(
をさ
)
まるだらう……と
考
(
かんが
)
へてゐた。
188
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
も
亦
(
また
)
カルナと
同様
(
どうやう
)
の
考
(
かんが
)
へを
持
(
も
)
つてゐた。
189
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へスパール、
190
エミシに
導
(
みちび
)
かれ、
191
息
(
いき
)
せき
切
(
き
)
つて
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
りしは、
192
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
へし、
193
テルンスであつた。
194
テルンスは
数百
(
すうひやく
)
のナイトを
引率
(
いんそつ
)
して、
195
此処
(
ここ
)
に
遁走
(
とんそう
)
し
来
(
き
)
たものである。
196
久米彦
(
くめひこ
)
『ヤ、
197
其
(
その
)
方
(
はう
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
部下
(
ぶか
)
テルンスではないか、
198
何
(
なに
)
か
様子
(
やうす
)
のあることと
察
(
さつ
)
する。
199
ランチ
殿
(
どの
)
は
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
るかな』
200
テルンス『これはこれは
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
様
(
さま
)
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
にて、
201
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づお
目出
(
めで
)
たう
存
(
ぞん
)
じます。
202
申上
(
まをしあ
)
ぐるも
詮
(
せん
)
なきこと
乍
(
なが
)
ら、
203
ランチ、
204
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
治国別
(
はるくにわけ
)
の
為
(
ため
)
に、
205
スツカリ
兜
(
かぶと
)
をぬぎ、
206
今
(
いま
)
は
軍隊
(
ぐんたい
)
を
解散
(
かいさん
)
致
(
いた
)
し、
207
自
(
みづか
)
らは
三五教
(
あななひけう
)
の
魔法
(
まはふ
)
を
授
(
さづ
)
かり、
208
宣伝使
(
せんでんし
)
となつて
了
(
しま
)
ひました。
209
ランチ、
210
片彦
(
かたひこ
)
、
211
ガリヤ、
212
ケースの
錚々
(
さうさう
)
たる
幹部
(
かんぶ
)
が
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
相成
(
あひな
)
りました
以上
(
いじやう
)
は、
213
やがて
治国別
(
はるくにわけ
)
を
先頭
(
せんとう
)
にビクトル
山
(
さん
)
へも
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
るで
厶
(
ござ
)
いませう。
214
三千
(
さんぜん
)
人
(
にん
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
を
抱
(
かか
)
へたランチ
将軍
(
しやうぐん
)
でさへも、
215
一
(
ひと
)
たまりもなく
降服
(
かうふく
)
致
(
いた
)
したので
厶
(
ござ
)
います。
216
実
(
じつ
)
に
恐
(
おそ
)
るべき
強敵
(
きやうてき
)
で
厶
(
ござ
)
います』
217
久米彦
(
くめひこ
)
は
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
いて
胸
(
むね
)
を
躍
(
をど
)
らし、
218
面
(
かほ
)
を
蒼白
(
まつさを
)
に
変
(
か
)
へて
了
(
しま
)
つた、
219
忽
(
たちま
)
ち
声
(
こゑ
)
を
慄
(
ふる
)
はせ
乍
(
なが
)
ら、
220
久米彦
(
くめひこ
)
『
鬼春別
(
おにはるわけ
)
殿
(
どの
)
、
221
タタ
大変
(
たいへん
)
で
厶
(
ござ
)
る。
222
コリヤ
斯
(
か
)
うしては
居
(
を
)
られますまい。
223
何
(
なん
)
とか
工夫
(
くふう
)
をめぐらさうぢやありませぬか』
224
鬼春別
(
おにはるわけ
)
も
此
(
この
)
報告
(
はうこく
)
にハツと
驚
(
おどろ
)
いたが、
225
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
の
手前
(
てまへ
)
、
226
余
(
あま
)
り
卑怯
(
ひけふ
)
な
醜態
(
しうたい
)
も
見
(
み
)
せられないので、
227
ワザと
平気
(
へいき
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
228
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『アハハハハ、
229
猪口才
(
ちよこざい
)
千万
(
せんばん
)
な、
230
仮令
(
たとへ
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
幾百万
(
いくひやくまん
)
押
(
おし
)
よせ
来
(
きた
)
る
共
(
とも
)
、
231
拙者
(
せつしや
)
は
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
より
授
(
さづ
)
けられたる
妙法
(
めうはふ
)
を
心得
(
こころえ
)
居
(
を
)
れば
只
(
ただ
)
一息
(
ひといき
)
に
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばさむは
目
(
ま
)
の
当
(
あた
)
りで
厶
(
ござ
)
る、
232
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさるな、
233
アハハハハ』
234
とワザとに
身体
(
からだ
)
をゆすり、
235
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
より
起
(
おこ
)
つて
来
(
く
)
る
小慄
(
こぶる
)
ひを
紛
(
まぎ
)
らさうとする
可笑
(
をか
)
しさ。
236
ヒルナ、
237
カルナ
両女
(
りやうぢよ
)
は、
238
早
(
はや
)
くも
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
の
恐怖心
(
きようふしん
)
にかられてゐることを
看破
(
かんぱ
)
したが、
239
何食
(
なにく
)
はぬ
面
(
かほ
)
して、
240
表面
(
うはべ
)
を
包
(
つつ
)
んでゐた。
241
久米彦
(
くめひこ
)
『イヤ
将軍殿
(
しやうぐんどの
)
左様
(
さやう
)
な
楽観
(
らくくわん
)
も
出来
(
でき
)
ますまい、
242
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
軍隊
(
ぐんたい
)
を
整
(
ととの
)
へ、
243
黄金山
(
わうごんざん
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せようぢやありませぬか。
244
吾々
(
われわれ
)
の
使命
(
しめい
)
は、
245
元
(
もと
)
よりかやうな
所
(
ところ
)
に
籠城
(
ろうじやう
)
致
(
いた
)
すべき
者
(
もの
)
では
厶
(
ござ
)
らぬ。
246
治国別
(
はるくにわけ
)
が
押
(
お
)
しよせ
来
(
きた
)
るとすれば、
247
彼
(
かれ
)
に
先立
(
さきだ
)
つて、
248
黄金山
(
わうごんざん
)
を
攻落
(
せめおと
)
し、
249
砦
(
とりで
)
によつて
治国別
(
はるくにわけ
)
の
寄
(
よ
)
せ
手
(
て
)
を
防
(
ふせ
)
ぎ、
250
殲滅
(
せんめつ
)
致
(
いた
)
さうでは
厶
(
ござ
)
らぬか』
251
と
口
(
くち
)
では
立派
(
りつぱ
)
に
云
(
い
)
つてゐるが、
252
其
(
その
)
内心
(
ないしん
)
は
黄金山
(
わうごんざん
)
へ
攻
(
せ
)
めよせるのは、
253
最
(
もつと
)
も
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
の
恐
(
おそ
)
るる
所
(
ところ
)
である。
254
さりとて、
255
ここにグヅグヅしてゐては、
256
何時
(
いつ
)
治国別
(
はるくにわけ
)
が
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
るかも
計
(
はか
)
り
難
(
がた
)
い、
257
ブザマな
敗軍
(
はいぐん
)
をなし、
258
ヒルナやカルナに
内兜
(
うちかぶと
)
を
見
(
み
)
すかされ、
259
卑怯
(
ひけふ
)
な
男
(
をとこ
)
と
思
(
おも
)
はれ、
260
愛想
(
あいさう
)
をつかされては
大変
(
たいへん
)
だと、
261
それ
計
(
ばか
)
りに
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
んでゐる。
262
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『
成程
(
なるほど
)
……
言
(
い
)
はばビクトル
山
(
さん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
はホンの
休養所
(
きうやうしよ
)
で
厶
(
ござ
)
る、
263
ここには
立派
(
りつぱ
)
に
刹帝利
(
せつていり
)
もゐますことなれば、
264
吾々
(
われわれ
)
がお
節介
(
せつかい
)
を
致
(
いた
)
す
必要
(
ひつえう
)
も
厶
(
ござ
)
るまい。
265
貴殿
(
きでん
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
に
共鳴
(
きようめい
)
致
(
いた
)
し、
266
然
(
しか
)
らば
軍隊
(
ぐんたい
)
を
全部
(
ぜんぶ
)
引率
(
ひきつ
)
れ、
267
進軍
(
しんぐん
)
の
用意
(
ようい
)
にかかりませう』
268
と
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
き
払
(
はら
)
つて
言
(
い
)
つてゐるものの、
269
已
(
すで
)
に
治国別
(
はるくにわけ
)
はライオン
河
(
がは
)
を
渡
(
わた
)
つて、
270
此方
(
こちら
)
へ
来
(
き
)
て
居
(
を
)
るのではあるまいかと
気
(
き
)
が
気
(
き
)
でなかつた。
271
併
(
しか
)
し
治国別
(
はるくにわけ
)
は
部下
(
ぶか
)
を
引
(
ひき
)
つれ、
272
クルスの
森
(
もり
)
やテームス
峠
(
たうげ
)
で
悠々
(
いういう
)
閑々
(
かんかん
)
と
講演会
(
かうえんくわい
)
を
開
(
ひら
)
き
子弟
(
してい
)
を
教育
(
けういく
)
してゐたのは
読者
(
どくしや
)
の
知
(
し
)
る
所
(
ところ
)
である。
273
水鳥
(
みづどり
)
の
羽音
(
はおと
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
274
脆
(
もろ
)
くも
遁走
(
とんそう
)
した
平家
(
へいけ
)
の
弱武者
(
よわむしや
)
其
(
その
)
儘
(
まま
)
の
心理
(
しんり
)
状態
(
じやうたい
)
に、
275
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は
襲
(
おそ
)
はれてゐた。
276
それ
故
(
ゆゑ
)
に
何
(
なん
)
となく
落
(
おち
)
つかない
風
(
ふう
)
が
見
(
み
)
える。
277
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
は
落着
(
おちつ
)
き
払
(
はら
)
つて、
278
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『モシ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
、
279
折角
(
せつかく
)
此処
(
ここ
)
まで
兵営
(
へいえい
)
を
築
(
きづ
)
き
上
(
あ
)
げ、
280
如何
(
いか
)
なる
敵
(
てき
)
も
防
(
ふせ
)
ぐ
丈
(
だけ
)
の
準備
(
じゆんび
)
が
整
(
ととの
)
つてるぢやありませぬか。
281
かやうな
風景
(
ふうけい
)
の
佳
(
よ
)
い
所
(
ところ
)
で、
282
貴方
(
あなた
)
と
一生
(
いつしやう
)
暮
(
くら
)
したう
厶
(
ござ
)
いますワ。
283
進軍
(
しんぐん
)
なんかおやめになつたら
何
(
ど
)
うですか』
284
鬼春別
(
おにはるわけ
)
はシドロモドロの
口調
(
くてう
)
にて、
285
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『ウンウン、
286
それもさうだが、
287
機
(
き
)
に
臨
(
のぞ
)
み
変
(
へん
)
に
応
(
おう
)
ずるは、
288
三軍
(
さんぐん
)
に
将
(
しやう
)
たる
者
(
もの
)
の
行
(
おこな
)
ふべき
道
(
みち
)
だ。
289
さう
心配
(
しんぱい
)
は
致
(
いた
)
すな、
290
どこ
迄
(
まで
)
も
其方
(
そなた
)
を
伴
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つてやるから、
291
仮令
(
たとへ
)
進軍
(
しんぐん
)
したと
云
(
い
)
つても、
292
吾々
(
われわれ
)
は
将軍
(
しやうぐん
)
だ。
293
矢玉
(
やだま
)
の
来
(
く
)
るやうな
所
(
ところ
)
へは
決
(
けつ
)
しておかないから……サ、
294
其方
(
そなた
)
も
覚悟
(
かくご
)
をして
拙者
(
せつしや
)
に
跟
(
つ
)
いて
来
(
く
)
るのだ。
295
キツと
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
らないよ』
296
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『それでも
何
(
なん
)
だか、
297
殺伐
(
さつばつ
)
の
気
(
き
)
に
襲
(
おそ
)
はれるやうでなりませぬワ、
298
ねえカルナさま、
299
貴女
(
あなた
)
どう
思
(
おも
)
ひますか』
300
カルナ
姫
(
ひめ
)
『
妾
(
わらは
)
も
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
此
(
この
)
陣営
(
ぢんえい
)
において
頂
(
いただ
)
きたう
厶
(
ござ
)
いますがねえ、
301
モシ
久米彦
(
くめひこ
)
さま、
302
どうかさうして
下
(
くだ
)
さいますまいかね』
303
久米彦
(
くめひこ
)
『
左様
(
さやう
)
な
気楽
(
きらく
)
なことが
言
(
い
)
つて
居
(
を
)
れるか。
304
敵
(
てき
)
は
間近
(
まぢか
)
く
押
(
おし
)
よせたり、
305
時
(
とき
)
遅
(
おく
)
れては
味方
(
みかた
)
の
非運
(
ひうん
)
、
306
サ、
307
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
くここを
引上
(
ひきあ
)
げ
進軍
(
しんぐん
)
致
(
いた
)
すで
厶
(
ござ
)
らう』
308
カルナ
姫
(
ひめ
)
『モシ、
309
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
、
310
進軍
(
しんぐん
)
とは
真赤
(
まつか
)
な
詐
(
いつは
)
り、
311
予定
(
よてい
)
の
退却
(
たいきやく
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか』
312
久米彦
(
くめひこ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
を
言
(
い
)
へ、
313
敵
(
てき
)
は
黄金山
(
わうごんざん
)
に
在
(
あ
)
り、
314
かうなる
上
(
うへ
)
は
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
神謀
(
しんぼう
)
鬼策
(
きさく
)
を
廻
(
めぐ
)
らし、
315
黄金山
(
わうごんざん
)
を
占領
(
せんりやう
)
すべき
必要
(
ひつえう
)
が
起
(
おこ
)
つたのだ、
316
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
進軍
(
しんぐん
)
の
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
さねばならぬ』
317
とモジモジしてゐる。
318
カルナ
姫
(
ひめ
)
『
貴方
(
あなた
)
の
進軍
(
しんぐん
)
は
背進
(
はいしん
)
で
厶
(
ござ
)
いませうね、
319
どうでも
理窟
(
りくつ
)
はつくものですね』
320
久米彦
(
くめひこ
)
『
何
(
なん
)
とまあ
口
(
くち
)
のいい
女
(
をんな
)
だなア』
321
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『サ、
322
早
(
はや
)
く
馬
(
うま
)
の
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
せ、
323
そして
姫
(
ひめ
)
には
牝馬
(
ひんば
)
の
用意
(
ようい
)
だ。
324
スパール、
325
エミシ、
326
テルンスは
全軍
(
ぜんぐん
)
を
指揮
(
しき
)
して
後
(
あと
)
よりつづけツ、
327
いざ
久米彦
(
くめひこ
)
殿
(
どの
)
、
328
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
を
仕
(
つかまつ
)
らう』
329
と
態
(
てい
)
のよい
辞令
(
じれい
)
で、
330
早
(
はや
)
くも
逃仕度
(
にげじたく
)
にかかつてゐる。
331
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『モシ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
、
332
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
は
斥候
(
せきこう
)
の
役
(
やく
)
ぢやありませぬか。
333
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
総
(
そう
)
司令官
(
しれいくわん
)
、
334
最後
(
さいご
)
に
御
(
ご
)
ゆつくりとお
進
(
すす
)
みになつた
方
(
はう
)
が
安全
(
あんぜん
)
で
厶
(
ござ
)
いませう』
335
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『それもさうだが、
336
先
(
さき
)
んずれば
人
(
ひと
)
を
制
(
せい
)
すといふことがある、
337
之
(
これ
)
が
兵法
(
へいはふ
)
の
奥義
(
おくぎ
)
だ。
338
頭
(
かしら
)
が
廻
(
まは
)
らねば
尾
(
を
)
が
廻
(
まは
)
らぬといふからな。
339
長蛇
(
ちやうだ
)
の
陣
(
ぢん
)
を
張
(
は
)
つて
行
(
ゆ
)
くのだから、
340
蛇
(
へび
)
の
歩
(
ある
)
く
如
(
ごと
)
く
頭
(
あたま
)
を
先
(
さき
)
に
尾
(
を
)
が
後
(
あと
)
から
行
(
ゆ
)
くのだ、
341
それで
長蛇
(
ちやうだ
)
の
陣
(
ぢん
)
といふのだ』
342
と
姫
(
ひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
体裁
(
ていさい
)
を
作
(
つく
)
り、
343
自分
(
じぶん
)
の
卑怯
(
ひけふ
)
をかくすことにのみ
努
(
つと
)
めてゐる。
344
鬼春別
(
おにはるわけ
)
、
345
久米彦
(
くめひこ
)
はヒルナ、
346
カルナの
両美人
(
りやうびじん
)
と
駒
(
こま
)
を
並
(
なら
)
べ、
347
一目散
(
いちもくさん
)
に
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
駆
(
か
)
けり
行
(
ゆ
)
く。
348
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
つたスパール、
349
エミシは
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
の
余
(
あま
)
り、
350
軍隊
(
ぐんたい
)
を
整理
(
せいり
)
する
暇
(
いとま
)
もなく『
退却
(
たいきやく
)
々々
(
たいきやく
)
』と
呼
(
よ
)
ばはり
乍
(
なが
)
ら、
351
尻
(
しり
)
に
帆
(
ほ
)
かけて、
352
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
り、
353
軍帽
(
ぐんばう
)
を
後前
(
うしろまへ
)
に
被
(
かぶ
)
つたり、
354
靴
(
くつ
)
を
片足
(
かたあし
)
はいたり、
355
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
馬
(
うま
)
の
尻
(
けつ
)
を
叩
(
たた
)
いて、
356
敗軍
(
はいぐん
)
同様
(
どうやう
)
の
為体
(
ていたらく
)
で
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した。
357
一匹
(
いつぴき
)
の
馬
(
うま
)
が
狂
(
くる
)
へば
千匹
(
せんびき
)
の
馬
(
うま
)
が
狂
(
くる
)
ふとやら、
358
後
(
うしろ
)
から
強敵
(
きやうてき
)
が
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
きた
)
るやうな
恐怖心
(
きようふしん
)
に
駆
(
か
)
られて、
359
三千
(
さんぜん
)
の
兵士
(
へいし
)
は
人
(
ひと
)
を
突倒
(
つきたふ
)
し
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
えて、
360
吾
(
わ
)
れ
先
(
さき
)
にと
西方
(
せいはう
)
さして、
361
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
つて
了
(
しま
)
つた。
362
ビクトル
山
(
さん
)
の
森
(
もり
)
の
繁
(
しげ
)
みに
数十羽
(
すうじつぱ
)
の
梟
(
ふくろ
)
がとまつて、
363
『ウツフーウツフーオツホホ、
364
アホーアホーアホー』
365
と
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
鳴
(
な
)
き
出
(
だ
)
したり。
366
(
大正一二・二・一四
旧一一・一二・二九
於竜宮館
松村真澄
録)
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