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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第53巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 毘丘取颪
第1章 春菜草
第2章 蜉蝣
第3章 軟文学
第4章 蜜語
第5章 愛縁
第6章 気縁
第7章 比翼
第8章 連理
第9章 蛙の腸
第2篇 貞烈亀鑑
第10章 女丈夫
第11章 艶兵
第12章 鬼の恋
第13章 醜嵐
第14章 女の力
第15章 白熱化
第3篇 兵権執着
第16章 暗示
第17章 奉還状
第18章 八当狸
第19章 刺客
第4篇 神愛遍満
第20章 背進
第21章 軍議
第22章 天祐
第23章 純潔
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第53巻(辰の巻)
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(B)
(N)
余白歌 >>>
第二三章
純潔
(
じゆんけつ
)
〔一三八六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
篇:
第4篇 神愛遍満
よみ(新仮名遣い):
しんあいへんまん
章:
第23章 純潔
よみ(新仮名遣い):
じゅんけつ
通し章番号:
1386
口述日:
1923(大正12)年02月14日(旧12月29日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月8日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
治国別は城内の庭木に縛られていたハルナを助け出した。ハルナは治国別一行を殿中の王の居間に案内した。刹帝利をはじめ、左守、右守、タルマンは一生懸命に神前に祈願をこらしていた。
ハルナは刹帝利に、治国別一行のおかげで救われたことを報告した。治国別は刹帝利に丁寧にあいさつした。そして、お礼を述べる刹帝利や重臣たちに、厳の霊・瑞の霊の御神力によって悪魔が敗走したのであるから、神様にお礼を申し上げるようにと諭した。
治国別は、テームス峠で修業をしていた折り、神素盞嗚尊の御神勅によってビク国に急ぎ、刹帝利の危難を救うよう命を受けて、急ぎやってきたことを語った。そして祠の森には三五教の国治立大神様のみならず、盤古神王様、大自在天様もお祭りしているので、三五教の教えを聞いてはどうかと一同に勧めた。
刹帝利をはじめタルマンも賛成し、城内一同そろって三五教に帰順することになった。治国別をはじめ、一同は祝いの歌を交わし合った。
そこへヒルナ姫とカルナ姫が駒にまたがって表門に戻ってきた。居間に入ってきた二人を見て刹帝利は涙を流して感謝の意を表した。左守とヒルナは驚喜した。
ヒルナ姫は、シメジ峠で摩利支天が獅子を引き連れてバラモン軍を狼狽させ、そのために逃げてくることができたと経緯を説明した。刹帝利は神の御加護に感謝し、ヒルナ姫とカルナ姫に、宣伝使たちのおかげでベルツの反乱軍を撃退することができたことを語った。
ヒルナ姫は治国別に挨拶し感謝の言葉を述べた。治国別は、ヒルナ姫がベルツを召し捕ったことを知っていた。そこへ、敵の副将・シエールも生捕ったとの報告が入っていた。一同は敵軍の壊滅に沸き立った。
治国別、左守、刹帝利は神に感謝する歌を歌った。ヒルナ姫は涙を抑えながらこれまでの述懐を歌い、大神に感謝をささげた。
これより治国別一行は刹帝利の願いにより三五教の教理や儀式を城内の重役たちに教導し、神殿や教殿を新たに創立した。夏の中ごろになって、一同は鬼春別軍の後を追って、エルサレムを指して進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-03-26 17:41:34
OBC :
rm5323
愛善世界社版:
281頁
八幡書店版:
第9輯 607頁
修補版:
校定版:
290頁
普及版:
140頁
初版:
ページ備考:
001
治国別
(
はるくにわけ
)
は
先
(
ま
)
づ
城内
(
じやうない
)
の
総
(
そう
)
司令官
(
しれいくわん
)
たるハルナが
敵
(
てき
)
の
捕虜
(
ほりよ
)
となり
庭木
(
にはき
)
に
縛
(
しば
)
られて
居
(
ゐ
)
るのを
助
(
たす
)
けやり、
002
ハルナに
導
(
みちび
)
かれ
殿中
(
でんちう
)
深
(
ふか
)
く
王
(
わう
)
の
居間
(
ゐま
)
に
通
(
とほ
)
された。
003
此処
(
ここ
)
には
王
(
わう
)
を
初
(
はじ
)
め、
004
左守
(
さもり
)
、
005
右守
(
うもり
)
、
006
タルマンが
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
神前
(
しんぜん
)
に
祈願
(
きぐわん
)
して
居
(
ゐ
)
た。
007
ハルナ『
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
、
008
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
によりまして、
009
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
の
際
(
さい
)
、
010
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
一行
(
いつかう
)
に
救
(
すく
)
はれました。
011
此
(
この
)
方
(
かた
)
が
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
います』
012
と
紹介
(
せうかい
)
する。
013
王
(
わう
)
はまづまづ
此方
(
こちら
)
へと
上座
(
じやうざ
)
に
治国別
(
はるくにわけ
)
を
請
(
しやう
)
じた。
014
治国別
(
はるくにわけ
)
は
此処
(
ここ
)
で
沢山
(
たくさん
)
で
厶
(
ござ
)
いますと
辞退
(
じたい
)
して
上席
(
じやうせき
)
には
着
(
つ
)
かなかつた。
015
王
(
わう
)
はまアまアと
上座
(
じやうざ
)
をすすめ
乍
(
なが
)
ら、
016
刹帝利
(
せつていり
)
『
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
どうも
誠
(
まこと
)
に
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
017
貴方
(
あなた
)
はビクの
国
(
くに
)
を
救
(
すく
)
ふ
生神
(
いきがみ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
018
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
は
何時
(
いつ
)
になつても
決
(
けつ
)
して
忘
(
わす
)
れは
致
(
いた
)
しませぬ。
019
サアどうぞ
御緩
(
ごゆつく
)
りと
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
下
(
くだ
)
さいませ』
020
治国別
(
はるくにわけ
)
は
叮嚀
(
ていねい
)
に
首
(
かうべ
)
を
下
(
さ
)
げ、
021
治国別
『
初
(
はじ
)
めて
御
(
おん
)
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
ります。
022
尊
(
たふと
)
き
御
(
おん
)
身
(
み
)
をもつて
吾々
(
われわれ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
に
御
(
ご
)
叮嚀
(
ていねい
)
なる
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
痛
(
いた
)
み
入
(
い
)
りまして
厶
(
ござ
)
います。
023
決
(
けつ
)
して
吾々
(
われわれ
)
は
貴方
(
あなた
)
のお
国
(
くに
)
を
救
(
すく
)
ふやうな
力
(
ちから
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
024
厳
(
いづ
)
の
霊
(
みたま
)
瑞
(
みづ
)
の
霊
(
みたま
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よ
)
りまして
悪魔
(
あくま
)
の
敵
(
てき
)
が
脆
(
もろ
)
くも
敗走
(
はいそう
)
したので
厶
(
ござ
)
いますから、
025
何卒
(
どうぞ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
礼
(
れい
)
を
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
026
刹帝利
(
せつていり
)
『ハイ、
027
何
(
なん
)
とも
御
(
お
)
礼
(
れい
)
の
申
(
まを
)
しやうが
厶
(
ござ
)
いませぬ。
028
厳
(
いづ
)
の
霊様
(
みたまさま
)
、
029
瑞
(
みづ
)
の
霊様
(
みたまさま
)
、
030
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんのう
)
様
(
さま
)
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います』
031
と
合掌
(
がつしやう
)
し、
032
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
居
(
ゐ
)
る。
033
左守
(
さもり
)
『
拙者
(
せつしや
)
は
王
(
わう
)
に
仕
(
つか
)
ふる
左守司
(
さもりのかみ
)
キユービツトで
厶
(
ござ
)
います。
034
よくまアこの
大難
(
だいなん
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
と
共
(
とも
)
にお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
035
又
(
また
)
危
(
あやふ
)
き
伜
(
せがれ
)
の
命
(
いのち
)
迄
(
まで
)
お
拾
(
ひろ
)
ひ
下
(
くだ
)
さいまして
実
(
じつ
)
に
感謝
(
かんしや
)
に
堪
(
た
)
えませぬ。
036
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
037
と
涙
(
なみだ
)
にかき
曇
(
くも
)
る。
038
治国別
(
はるくにわけ
)
『
私
(
わたくし
)
はテームス
峠
(
たうげ
)
に
於
(
おい
)
て、
039
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
修業
(
しうげふ
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります
所
(
ところ
)
へ、
040
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
が
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひ、
041
「
汝
(
なんぢ
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
道
(
みち
)
を
転
(
てん
)
じてビクの
都
(
みやこ
)
へ
参
(
まゐ
)
り、
042
刹帝利
(
せつていり
)
殿
(
どの
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
へ」との
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
、
043
取
(
と
)
るものも
取
(
と
)
り
敢
(
あへ
)
ず、
044
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
弟子
(
でし
)
と
共
(
とも
)
に
駆
(
か
)
けつけて
見
(
み
)
れば
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
045
結構
(
けつこう
)
な
御用
(
ごよう
)
をさして
頂
(
いただ
)
きました』
046
左守
(
さもり
)
『
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
思召
(
おぼしめ
)
し、
047
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
の
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
、
048
お
礼
(
れい
)
は
言葉
(
ことば
)
に
尽
(
つく
)
せませぬ』
049
と
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
にまたもや
掻
(
か
)
き
曇
(
くも
)
る。
050
右守
(
うもり
)
『
拙者
(
せつしや
)
は
右守司
(
うもりのかみ
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
を
)
りますヱクスと
申
(
まを
)
すもの、
051
お
礼
(
れい
)
は
言葉
(
ことば
)
に
尽
(
つく
)
せませぬ。
052
何卒
(
どうぞ
)
今後
(
こんご
)
御
(
お
)
見捨
(
みすて
)
なく
御
(
ご
)
懇情
(
こんじやう
)
をお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
053
治国別
(
はるくにわけ
)
『お
互
(
たがひ
)
様
(
さま
)
に
宜敷
(
よろし
)
うお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
しませう』
054
タルマン『
拙者
(
せつしや
)
はウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
で
厶
(
ござ
)
いまして、
055
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
信任
(
しんにん
)
を
忝
(
かたじけ
)
なうし、
056
内事
(
ないじ
)
の
司
(
つかさ
)
を
兼
(
か
)
ねて
居
(
を
)
りますが、
057
この
危急
(
ききふ
)
の
場合
(
ばあひ
)
に
際
(
さい
)
し、
058
神徳
(
しんとく
)
足
(
た
)
らざる
為
(
ため
)
に
為
(
な
)
す
所
(
ところ
)
もなく
困
(
こま
)
り
果
(
は
)
てて
居
(
を
)
りました。
059
よくまアお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
060
どうか
私
(
わたくし
)
を
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
のお
弟子
(
でし
)
にお
加
(
くは
)
へ
下
(
くだ
)
さらば
実
(
じつ
)
に
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます』
061
治国別
(
はるくにわけ
)
『
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
いますか、
062
貴方
(
あなた
)
はウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
063
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
います。
064
就
(
つい
)
ては
貴方
(
あなた
)
計
(
ばか
)
りではなく、
065
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
も
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
をお
聞
(
き
)
き
遊
(
あそ
)
ばしては
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
りませう。
066
三五教
(
あななひけう
)
の
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
には、
067
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
068
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんのう
)
様
(
さま
)
、
069
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
がお
祭
(
まつ
)
り
致
(
いた
)
してありますれば、
070
教
(
をしへ
)
の
名
(
な
)
は
変
(
かは
)
れども、
071
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
には
少
(
すこ
)
しも
変
(
かは
)
りはありませぬからなア』
072
タルマン『
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろし
)
くお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します。
073
もし
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
、
074
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
いませう』
075
刹帝利
(
せつていり
)
『
申
(
まを
)
す
迄
(
まで
)
もなく
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
にお
世話
(
せわ
)
にならうぢやないか、
076
イヤ
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
何分
(
なにぶん
)
よろしくお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します。
077
就
(
つい
)
ては
左守
(
さもり
)
、
078
右守
(
うもり
)
を
初
(
はじ
)
め、
079
城内
(
じやうない
)
一同
(
いちどう
)
は
揃
(
そろ
)
うて
貴教
(
きけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
致
(
いた
)
しますから、
080
何卒
(
なにとぞ
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
にお
取
(
とり
)
なしをお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
081
治国別
(
はるくにわけ
)
『ハイ
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
りました』
082
松彦
(
まつひこ
)
『お
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
、
083
祝
(
いはひ
)
の
歌
(
うた
)
をさし
上
(
あ
)
げたら
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
いませうか』
084
治国別
(
はるくにわけ
)
『
如何
(
いか
)
にも』
085
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
086
治国別
(
はるくにわけ
)
『
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
深
(
ふか
)
くして
087
百
(
もも
)
の
禍
(
わざはひ
)
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せにけり。
088
ビクの
国
(
くに
)
国王
(
こきし
)
の
永遠
(
とは
)
に
守
(
まも
)
ります
089
この
神城
(
かみしろ
)
は
永久
(
とこしへ
)
にあれ』
090
刹帝利
(
せつていり
)
『あら
尊
(
たふと
)
生
(
い
)
ける
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
に
遇
(
あ
)
ひ
091
涙
(
なみだ
)
こぼるる
今日
(
けふ
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ。
092
治国
(
はるくに
)
の
別
(
わけ
)
の
司
(
つかさ
)
よビクの
国
(
くに
)
093
守
(
まも
)
らせたまへ
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に』
094
タルマン『
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
目
(
ま
)
のあたり
095
聞
(
き
)
きて
心
(
こころ
)
も
栄
(
さか
)
えけるかな。
096
皇神
(
すめかみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
に
霑
(
うるほ
)
ひて
097
ビクトリヤ
城
(
じやう
)
は
生
(
い
)
きかへりける』
098
左守
(
さもり
)
『
類
(
たぐひ
)
なき
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
保
(
たも
)
ちます
099
治国別
(
はるくにわけ
)
の
司
(
つかさ
)
尊
(
たふと
)
し。
100
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
はふ
国
(
くに
)
と
聞
(
き
)
きつれど
101
かほど
迄
(
まで
)
とは
思
(
おも
)
はざりけり』
102
右守
(
うもり
)
『なやみはてし
今日
(
けふ
)
の
軍
(
いくさ
)
を
詳細
(
まつぶさ
)
に
103
幸
(
さち
)
あらしめし
君
(
きみ
)
ぞ
畏
(
かしこ
)
き。
104
今
(
いま
)
よりは
心
(
こころ
)
改
(
あらた
)
め
三五
(
あななひ
)
の
105
畏
(
かしこ
)
き
道
(
みち
)
に
仕
(
つか
)
へまつらむ』
106
ハルナ『
大君
(
おほぎみ
)
と
国
(
くに
)
と
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
助
(
たす
)
けられ
107
如何
(
いか
)
に
報
(
むく
)
はむ
吾
(
われ
)
の
身
(
み
)
をもて。
108
さりながら
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
109
いつかは
報
(
むく
)
いむ
君
(
きみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に』
110
万公
(
まんこう
)
『
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
に
従
(
したが
)
ひて
111
功
(
いさを
)
を
立
(
た
)
てし
今日
(
けふ
)
ぞ
嬉
(
うれ
)
しき。
112
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
霊
(
たま
)
と
体
(
からだ
)
を
捧
(
ささげ
)
たる
113
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
の
楽
(
たの
)
しきろかも』
114
松彦
(
まつひこ
)
『
君
(
きみ
)
が
代
(
よ
)
は
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
常磐木
(
ときはぎ
)
の
115
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
と
栄
(
さか
)
えますらむ。
116
常磐木
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
に
巣
(
す
)
ぐへる
田鶴
(
たづ
)
のごと
117
いと
清
(
きよ
)
らけき
刹帝利
(
せつていり
)
の
君
(
きみ
)
』
118
竜彦
(
たつひこ
)
『
立
(
た
)
つ
鳥
(
とり
)
も
落
(
おと
)
すやうなる
此
(
この
)
城
(
しろ
)
を
119
抜
(
ぬ
)
かむとしたる
人
(
ひと
)
の
愚
(
おろ
)
かさ。
120
皇神
(
すめかみ
)
のいや
永久
(
とこしへ
)
に
守
(
まも
)
ります
121
ビクの
国王
(
こきし
)
を
狙
(
ねら
)
ふ
愚
(
おろ
)
かさ』
122
刹帝利
(
せつていり
)
『
皇神
(
すめかみ
)
の
厳
(
いづ
)
の
力
(
ちから
)
に
救
(
たす
)
けられ
123
今
(
いま
)
は
心
(
こころ
)
も
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
りける。
124
さりながらヒルナの
姫
(
ひめ
)
は
今
(
いま
)
いづこ
125
さまよひ
居
(
ゐ
)
るぞ
尋
(
たづ
)
ねまほしき。
126
カルナ
姫
(
ひめ
)
さぞ
今頃
(
いまごろ
)
は
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
を
127
慕
(
した
)
ひて
泣
(
な
)
かむ
野辺
(
のべ
)
に
山辺
(
やまべ
)
に』
128
ハルナ『よし
妻
(
つま
)
は
屍
(
かばね
)
を
野辺
(
のべ
)
に
晒
(
さら
)
すとも
129
厭
(
いと
)
はざるらむ
君
(
きみ
)
のためには。
130
曲神
(
まががみ
)
のベルツの
軍
(
いくさ
)
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
りて
131
いとも
静
(
しづ
)
けき
城
(
しろ
)
の
中
(
なか
)
かな』
132
かく
歌
(
うた
)
を
取
(
と
)
り
交
(
か
)
はす
所
(
ところ
)
へ、
133
表門
(
おもてもん
)
に
駒
(
こま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
勇
(
いさ
)
ましく
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
つたのは、
134
刹帝利
(
せつていり
)
、
135
ハルナの
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
も
忘
(
わす
)
るる
事
(
こと
)
能
(
あた
)
はざる、
136
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
137
カルナ
姫
(
ひめ
)
であつた。
138
二人
(
ふたり
)
はベルツの
体
(
からだ
)
を
門内
(
もんない
)
に
卸
(
おろ
)
し、
139
守兵
(
しゆへい
)
をして
之
(
これ
)
を
守
(
まも
)
らせ
置
(
お
)
き、
140
馬
(
うま
)
を
飛
(
と
)
びおり、
141
王
(
わう
)
の
居間
(
ゐま
)
にイソイソとして
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
142
王
(
わう
)
は
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
驚喜
(
きやうき
)
し、
143
刹帝利
(
せつていり
)
『ヤア
其方
(
そなた
)
はヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
144
よくまア
無事
(
ぶじ
)
で
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
やつた。
145
まアまア
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
随分
(
ずいぶん
)
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
らしたなア、
146
ヤア
其方
(
そなた
)
はカルナ
姫
(
ひめ
)
、
147
よくも
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
忍
(
しの
)
んで
王家
(
わうけ
)
の
為
(
ため
)
、
148
国
(
くに
)
の
為
(
た
)
め
尽
(
つく
)
して
呉
(
く
)
れた。
149
何
(
なに
)
も
云
(
い
)
はぬ
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
りだ』
150
と、
151
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
して
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
したり。
152
二人
(
ふたり
)
は
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
をポロポロと
流
(
なが
)
して
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
泣
(
な
)
き
伏
(
ふ
)
した。
153
左守司
(
さもりのかみ
)
、
154
ハルナは
気
(
き
)
も
狂
(
くる
)
はむばかりに
驚喜
(
きやうき
)
し、
155
立
(
た
)
つたり
坐
(
すわ
)
つたり、
156
火鉢
(
ひばち
)
を
提
(
さげ
)
て
室内
(
しつない
)
を
右左
(
みぎひだり
)
と
駆
(
か
)
け
廻
(
まは
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
157
喜
(
よろこ
)
びの
極
(
きよく
)
に
達
(
たつ
)
した
時
(
とき
)
は、
158
如何
(
いか
)
なる
賢者
(
けんじや
)
と
雖
(
いへど
)
も
度
(
ど
)
を
失
(
うしな
)
ひ
狼狽
(
うろた
)
へるものである。
159
タルマン『
左守殿
(
さもりどの
)
、
160
ハルナ
殿
(
どの
)
、
161
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
きなされ』
162
と
注意
(
ちうい
)
され、
163
提
(
さ
)
げて
居
(
ゐ
)
た
火鉢
(
ひばち
)
をそつと
卸
(
おろ
)
し、
164
ハルナ『
貴女
(
あなた
)
はヒルナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
165
其方
(
そなた
)
はカルナであつたか、
166
どうして
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たか』
167
と
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
沈
(
しづ
)
む。
168
カルナは
余
(
あま
)
りの
嬉
(
うれ
)
しさに
涙
(
なみだ
)
をハラハラと
流
(
なが
)
し
俯向
(
うつむ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
169
刹帝利
(
せつていり
)
『
其方
(
そなた
)
はどうして
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た、
170
定
(
さだ
)
めし
難儀
(
なんぎ
)
を
致
(
いた
)
したであらうのう』
171
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
172
シメジ
峠
(
たうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました
所
(
ところ
)
、
173
摩利支天
(
まりしてん
)
様
(
さま
)
が
現
(
あら
)
はれて、
174
数百頭
(
すうひやくとう
)
の
獅子
(
しし
)
となり、
175
バラモン
軍
(
ぐん
)
を
狼狽
(
らうばい
)
させ
給
(
たま
)
うた
為
(
た
)
めに、
176
都合
(
つがふ
)
よく
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ました』
177
刹帝利
(
せつていり
)
『
成程
(
なるほど
)
、
178
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
助
(
たす
)
けだなア。
179
ああ
有難
(
ありがた
)
し
有難
(
ありがた
)
し
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
180
カルナ
其方
(
そなた
)
もヒルナと
共
(
とも
)
に
随分
(
ずいぶん
)
苦労
(
くらう
)
をしたであらうなア。
181
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
の
心
(
こころ
)
は、
182
私
(
わたし
)
もハルナもよく
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
183
本当
(
ほんたう
)
に
貞女
(
ていぢよ
)
烈婦
(
れつぷ
)
の
亀鑑
(
きかん
)
だ』
184
カルナ
姫
(
ひめ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う』
185
と
僅
(
わづ
)
かに
云
(
い
)
つたきり、
186
これ
又
(
また
)
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
袖
(
そで
)
を
濡
(
ぬ
)
らしてゐる。
187
刹帝利
(
せつていり
)
『ヒルナ
其女
(
そなた
)
が
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
つて
呉
(
く
)
れたお
蔭
(
かげ
)
で、
188
バラモン
軍
(
ぐん
)
が
退却
(
たいきやく
)
して
呉
(
く
)
れたと
思
(
おも
)
へば、
189
ベルツ、
190
シエールの
両人
(
りやうにん
)
、
191
数千
(
すうせん
)
の
兵
(
へい
)
をもつて
吾
(
わが
)
城
(
しろ
)
を
囲
(
かこ
)
み、
192
たつた
今
(
いま
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
一行
(
いつかう
)
のお
蔭
(
かげ
)
によつて
退却
(
たいきやく
)
致
(
いた
)
した
所
(
ところ
)
だ。
193
どうか
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
にお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
して
呉
(
く
)
れ』
194
ヒルナは
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
195
次
(
つ
)
いで
治国別
(
はるくにわけ
)
の
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
196
恭
(
うやうや
)
しく
両手
(
りやうて
)
を
支
(
つか
)
へ、
197
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
援助
(
ゑんじよ
)
により、
198
ビクトリヤ
城
(
じやう
)
も
無事
(
ぶじ
)
に
保
(
たも
)
てました。
199
有難
(
ありがた
)
く
感謝
(
かんしや
)
を
致
(
いた
)
します』
200
と
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
さへもはや
涙
(
なみだ
)
になつて
居
(
ゐ
)
る。
201
治国別
(
はるくにわけ
)
『
初
(
はじ
)
めてお
目
(
め
)
にかかります。
202
貴女
(
あなた
)
はヒルナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか、
203
よく
王家
(
わうけ
)
の
為
(
た
)
め
国家
(
こくか
)
のためお
骨折
(
ほねを
)
りなさいました。
204
実
(
じつ
)
に
感服
(
かんぷく
)
致
(
いた
)
します。
205
併
(
しか
)
し
貴女
(
あなた
)
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
て
何
(
なに
)
か
拾
(
ひろ
)
ひものを
遊
(
あそ
)
ばしたでせう』
206
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『ハイお
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り
敵
(
てき
)
の
大将
(
たいしやう
)
ベルツを
生擒
(
いけど
)
り、
207
厳
(
きび
)
しく
縛
(
しば
)
り
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
つて
参
(
まゐ
)
りました』
208
治国別
(
はるくにわけ
)
『さうで
厶
(
ござ
)
いませう、
209
お
手柄
(
てがら
)
なさいましたねえ』
210
刹帝利
(
せつていり
)
『
何
(
なに
)
、
211
ベルツを
生擒
(
いけどり
)
にしたと
申
(
まを
)
すか、
212
何
(
なん
)
と
偉
(
えら
)
い
功名
(
こうみやう
)
を
現
(
あら
)
はして
呉
(
く
)
れたものだなア、
213
カルナ
姫
(
ひめ
)
其女
(
そなた
)
もこの
手柄
(
てがら
)
は
半分
(
はんぶん
)
は
分
(
わか
)
つべきものだ。
214
きつと
其女
(
そなた
)
には
改
(
あらた
)
めてお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
すぞや』
215
カルナ
姫
(
ひめ
)
『
勿体
(
もつたい
)
ない
臣
(
しん
)
が
君
(
きみ
)
のために
働
(
はたら
)
くのは
当然
(
たうぜん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
216
何卒
(
どうぞ
)
お
気遣
(
きづか
)
ひ
下
(
くだ
)
さいますな、
217
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
を
承
(
うけたま
)
はりますれば
十分
(
じふぶん
)
で
厶
(
ござ
)
います』
218
と
又
(
また
)
もや
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
絞
(
しぼ
)
る。
219
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へカントは
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
220
カント『
申上
(
まをしあ
)
げまする、
221
敵
(
てき
)
の
副将軍
(
ふくしやうぐん
)
、
222
シエールを
生擒
(
いけどり
)
まして
厶
(
ござ
)
いまする』
223
刹帝利
(
せつていり
)
『
何
(
なに
)
!シエールを
生擒
(
いけど
)
つたとな、
224
ヤ
天晴
(
あつぱれ
)
々々
(
あつぱれ
)
、
225
後
(
のち
)
程
(
ほど
)
褒美
(
ほうび
)
を
遣
(
つかは
)
すから
逃
(
に
)
げないやうに
大切
(
たいせつ
)
に
保護
(
ほご
)
して
呉
(
く
)
れ』
226
タルマン『
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
227
お
目出
(
めで
)
たう
厶
(
ござ
)
います。
228
これにてビクトリヤ
王家
(
わうけ
)
も
無事
(
ぶじ
)
安泰
(
あんたい
)
、
229
ビクの
国
(
くに
)
も
泰平
(
たいへい
)
に
治
(
をさ
)
まりませう』
230
左守
(
さもり
)
『
斯
(
か
)
くなるも
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
で
厶
(
ござ
)
いまする。
231
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
、
232
よくまア
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいましたなア』
233
治国別
(
はるくにわけ
)
『
皇神
(
すめかみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
の
糸
(
いと
)
に
操
(
あやつ
)
られ
234
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずに
上
(
のぼ
)
り
来
(
き
)
ましぬ。
235
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せば
何事
(
なにごと
)
も
236
いと
安々
(
やすやす
)
と
治
(
をさ
)
まりてゆく』
237
左守
(
さもり
)
『いすくはし
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
を
238
目
(
ま
)
のあたり
見
(
み
)
る
吾
(
われ
)
ぞ
嬉
(
うれ
)
しき。
239
大君
(
おほぎみ
)
も
嘸
(
さぞ
)
や
嬉
(
うれ
)
しみ
給
(
たま
)
ふらむ
240
今日
(
けふ
)
の
戦
(
いくさ
)
の
治
(
をさ
)
まりを
見
(
み
)
て』
241
刹帝利
(
せつていり
)
『
有難
(
ありがた
)
し
忝
(
かたじけ
)
なしと
云
(
い
)
ふよりも
242
外
(
ほか
)
に
言葉
(
ことば
)
は
無
(
な
)
かりけるかな』
243
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
は
涙
(
なみだ
)
を
押
(
おさ
)
へ
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
244
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
千早
(
ちはや
)
振
(
ふ
)
る
古
(
ふる
)
き
神代
(
かみよ
)
を
造
(
つく
)
らしし
245
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
現
(
あ
)
れまして
246
八十
(
やそ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
猛
(
たけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
247
ビクトリヤの
城
(
しろ
)
を
248
守
(
まも
)
らせたまひ
249
傾
(
かたむ
)
きかけし
城
(
しろ
)
の
中
(
なか
)
を
250
もとの
如
(
ごと
)
くに
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
し
251
救
(
すく
)
はせたまひし
嬉
(
うれ
)
しさよ
252
妾
(
わらは
)
は
君
(
きみ
)
に
見出
(
みい
)
だされ
253
后
(
きさき
)
の
宮
(
みや
)
と
任
(
ま
)
けられて
254
御側
(
みそば
)
に
近
(
ちか
)
く
仕
(
つか
)
へしが
255
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
のベルツ
司
(
つかさ
)
が
256
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
を
計
(
はか
)
りかね
257
試
(
た
)
めして
見
(
み
)
むと
思
(
おも
)
ふ
中
(
うち
)
258
醜
(
しこ
)
の
魔風
(
まかぜ
)
に
煽
(
あふ
)
られて
259
情
(
なさけ
)
なや
女
(
をんな
)
として
260
行
(
ゆ
)
くべからざる
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
き
261
深
(
ふか
)
き
罪
(
つみ
)
をば
重
(
かさ
)
ねたる
262
其
(
その
)
償
(
つぐな
)
ひをなさむものと
263
バラモン
軍
(
ぐん
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
り
264
カルナの
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
265
千々
(
ちぢ
)
に
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
きつつ
266
素性
(
すじやう
)
卑
(
いや
)
しき
荒男
(
あらをとこ
)
267
鬼春別
(
おにはるわけ
)
や
久米彦
(
くめひこ
)
の
268
軍
(
いくさ
)
の
司
(
つかさ
)
の
心
(
こころ
)
を
奪
(
うば
)
ひ
269
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
にあやなして
270
君
(
きみ
)
の
禍
(
わざはひ
)
国
(
くに
)
の
仇
(
あだ
)
271
遠
(
とほ
)
く
追
(
お
)
ひそけ
奉
(
たてまつ
)
り
272
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御使
(
みつかひ
)
に
273
守
(
まも
)
られ
乍
(
なが
)
ら
漸々
(
やうやう
)
に
274
都路
(
みやこぢ
)
近
(
ちか
)
く
帰
(
かへ
)
り
見
(
み
)
れば
275
俄
(
にはか
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
276
唯事
(
ただごと
)
ならじと
気
(
き
)
を
焦
(
いら
)
ち
277
駒
(
こま
)
に
鞭打
(
むちう
)
ちとうとうと
278
カルナの
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
279
馳
(
は
)
せ
帰
(
かへ
)
り
見
(
み
)
れば
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
に
280
いとも
無残
(
むざん
)
に
倒
(
たふ
)
れたる
281
目
(
め
)
に
見覚
(
みおぼ
)
えの
荒男
(
あらをとこ
)
282
逃
(
に
)
げ
往
(
ゆ
)
く
軍
(
いくさ
)
に
目
(
め
)
も
呉
(
く
)
れず
283
直
(
ただ
)
ちに
駒
(
こま
)
より
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
りて
284
其
(
その
)
面
(
おも
)
ざしを
調
(
しら
)
ぶれば
285
思
(
おも
)
ひがけなきベルツの
軍君
(
いくさぎみ
)
286
何
(
なに
)
はともあれ
駒
(
こま
)
に
乗
(
の
)
せ
287
帰
(
かへ
)
らむものと
心
(
こころ
)
を
定
(
さだ
)
め
288
帰
(
かへ
)
りて
見
(
み
)
れば
御
(
おん
)
館
(
やかた
)
289
激
(
はげ
)
しき
軍
(
いくさ
)
の
痕跡
(
こんせき
)
は
290
黄金
(
こがね
)
の
城
(
しろ
)
や
鉄
(
くろがね
)
の
壁
(
かべ
)
に
291
いとありありと
現
(
あら
)
はれぬ
292
唯事
(
ただごと
)
ならじと
駒
(
こま
)
を
下
(
お
)
り
293
ベルツの
魔神
(
まじん
)
を
地
(
ち
)
に
捨
(
す
)
てて
294
衛兵
(
ゑいへい
)
共
(
ども
)
に
守
(
まも
)
らせ
置
(
お
)
き
295
カルナと
共
(
とも
)
にいそいそと
296
帰
(
かへ
)
りて
見
(
み
)
れば
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
は
297
いと
健
(
すこや
)
かに
坐
(
ましま
)
しぬ
298
其
(
その
)
外
(
ほか
)
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
ら
)
も
299
常
(
つね
)
に
変
(
かは
)
らず
健
(
すこやか
)
に
300
君
(
きみ
)
のめぐりを
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
いて
301
左
(
さ
)
も
嬉
(
うれ
)
しげに
坐
(
ましま
)
しぬ
302
ああ
有難
(
ありがた
)
や
有難
(
ありがた
)
や
303
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
と
喜
(
よろこ
)
びて
304
心
(
こころ
)
に
感謝
(
かんしや
)
の
折
(
をり
)
もあれ
305
治国別
(
はるくにわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
306
現
(
あら
)
はれまして
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
の
307
軍
(
いくさ
)
を
救
(
すく
)
ひたまひしと
308
聞
(
き
)
きたる
時
(
とき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
309
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
310
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
311
罪
(
つみ
)
に
汚
(
けが
)
れしヒルナ
姫
(
ひめ
)
が
312
御前
(
みまへ
)
を
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
みて
313
大御恵
(
おほみめぐみ
)
の
尊
(
たふと
)
さを
314
喜
(
よろこ
)
び
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
315
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
316
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
幸倍
(
さちは
)
ひて
317
これの
館
(
やかた
)
は
永久
(
とこしへ
)
に
318
ビクの
国王
(
こきし
)
はいつ
迄
(
まで
)
も
319
寿
(
ことぶき
)
長
(
なが
)
く
栄
(
さか
)
えまし
320
百
(
もも
)
の
国人
(
くにびと
)
平
(
たひら
)
けく
321
いと
安
(
やす
)
らかに
栄
(
さか
)
ゆべく
322
守
(
まも
)
らせたまへ
大御神
(
おほみかみ
)
323
赤心
(
まごころ
)
籠
(
こ
)
めて
願
(
ね
)
ぎまつる』
324
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
りける。
325
これより
治国別
(
はるくにわけ
)
初
(
はじ
)
め、
326
万公
(
まんこう
)
、
327
松彦
(
まつひこ
)
、
328
竜彦
(
たつひこ
)
は、
329
刹帝利
(
せつていり
)
の
懇情
(
こんじやう
)
により、
330
三五
(
あななひ
)
の
教理
(
けうり
)
や
儀式
(
ぎしき
)
を
城内
(
じやうない
)
の
重役
(
ぢうやく
)
その
他
(
た
)
に
教導
(
けうだう
)
し、
331
神殿
(
しんでん
)
や
教殿
(
けうでん
)
を
新
(
あらた
)
に
創立
(
さうりつ
)
し、
332
夏
(
なつ
)
の
中
(
なか
)
頃
(
ごろ
)
一同
(
いちどう
)
は
鬼春別
(
おにはるわけ
)
以下
(
いか
)
の
跡
(
あと
)
を
追
(
おひ
)
かけエルサレムを
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
333
(
大正一二・二・一四
旧一一・一二・二九
於竜宮館
加藤明子
録)
334
(昭和一〇・六・一二 王仁校正)
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