霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 和歌意(わかい)〔一五一五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第59巻 真善美愛 戌の巻 篇:第3篇 地底の歓声 よみ(新仮名遣い):ちていのかんせい
章:第15章 和歌意 よみ(新仮名遣い):わかい 通し章番号:1515
口述日:1923(大正12)年04月02日(旧02月17日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年7月8日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
チルテルはホテルの従業員が三千彦とデビス姫であることを見て取っていぶかるが、デビス姫がカンナと入れ替わりで倉を脱出したことを知った。
ヘールはチルテルの企んだ悪行をすっかり明かした。そして岩窟に落ち込んだ者はバラモン軍を免職になるという規定があるため、もはや自分もチルテルも無職者だから、過去の事は水に流して打ち解けようと申し出た。
一同はお互いに述懐の歌を交わす。チルテルとヘールはしばらくいがみあっていたが、三千彦とデビス姫は二人を赦し、チルテルとヘールも三五教に従うことを誓った。三千彦は、バラモン教を捨てることは必要なく、ただ加えて三五教の道を守ればよいと諭した。四人は打ち解けて互いに意見を交換した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:2601 OBC :rm5915
愛善世界社版:201頁 八幡書店版:第10輯 557頁 修補版: 校定版:213頁 普及版: 初版: ページ備考:
001三千彦(みちひこ)伊太彦(いたひこ)デビス姫(ひめ)
002三人(みたり)は館(やかた)の広庭(ひろには)を
003暗(やみ)に紛(まぎ)れて駆(か)け出(いだ)す
004途端(とたん)に地底(ちてい)の岩窟(がんくつ)に
005スツテンコロリと辷(すべ)り落(お)ち
006此処(ここ)に一夜(いちや)を明(あ)かしつつ
007無聊(むれう)を慰(なぐさ)む其(その)為(ため)に
008伊太彦(いたひこ)司(つかさ)は口(くち)の間(ま)に
009出(い)でて胡床(あぐら)をかきながら
010思案(しあん)に暮(く)るる折(をり)もあれ
011ツルツルツルと落(おち)来(きた)る
012一人(ひとり)の男(をとこ)を見(み)るよりも
013驚(おどろ)き乍(なが)ら胸(むね)を据(す)ゑ
014新規(しんき)開業(かいげふ)の旅人宿(りよにんやど)
015気転(きてん)を利(き)かす面白(おもしろ)さ
016恋(こひ)を争(あらそ)い陥穽(かんせい)に
017投(な)げ落(おと)されたヘール司(つかさ)
018一目(ひとめ)見(み)るより仰天(ぎやうてん)し
019お前(まへ)はいづくの何者(なにもの)か
020訝(いぶ)かしさよと訊(たづ)ぬれば
021伊太彦(いたひこ)頭(あたま)をかき乍(なが)ら
022私(わたし)は伊太屋(いたや)の番頭(ばんとう)です
023何卒(なにとぞ)一夜(いちや)を吾(わが)宅(たく)で
024お泊(とま)りなされて下(くだ)さんせ
025一等(いつとう)二等(にとう)三等(さんとう)と
026区別(くべつ)がついて居(を)りますが
027貴方(あなた)の人格(じんかく)調(しら)ぶれば
028金(かね)も持(も)たない真裸体(まつぱだか)
029一等(いつとう)旅館(りよくわん)に限(かぎ)ります
030開業(かいげふ)早々(さうさう)で何事(なにごと)も
031準備(じゆんび)が整(ととの)ひおりませぬ
032鬼(おに)の蕨(わらび)か鉄拳(てつけん)か
033捻(ひね)り餅(もち)など沢山(たくさん)に
034お食(あが)りなさつて下(くだ)されや
035お茶(ちや)は熱(あつ)うなし微温(ぬる)うなし
036魔法瓶(まはふびん)から天然(てんねん)に
037ちつと臭(くさ)いが幾何(いくら)でも
038ついで上(あ)げますサア早(はや)う
039足(あし)を洗(あら)つて奥(おく)の間(ま)へ
040お通(とほ)りなされサア早(はや)う
041今日(けふ)は目出度(めでた)き開業日(かいげふび)
042ようまア泊(とま)つて下(くだ)さつた
043何(なん)ぢやかんぢやと揶揄(からか)へば
044遉(さすが)のヘールも呆(あき)れはて
045そんならお世話(せわ)になりませう
046何分(なにぶん)宜敷(よろし)く頼(たの)むぞや
047始終(しじう)食円(くゑん)の宿料(やどれう)を
048約束(やくそく)し乍(なが)ら奥(おく)の間(ま)へ
049通(とほ)れば下女(げぢよ)のデビスさま
050料理人(いたば)擬(まが)ひの三千彦(みちひこ)が
051一間(いつけん)許(ばか)り相隔(あひへだ)て
052行儀(ぎやうぎ)正(ただ)しく坐(すわ)り居(を)る
053ヘールは二人(ふたり)に声(こゑ)をかけ
054一等客(いつとうきやく)が参(まゐ)りました
055早(はや)くお茶(ちや)でも汲(く)みなされ
056料理人(いたば)と下女(げぢよ)が奥(おく)の間(ま)で
057昼(ひる)の最中(さいちう)にぬつけりと
058内証話(ないしやうばなし)をすると云(い)ふ
059不都合(ふつがふ)な事(こと)があるものか
060アハヽヽハツハ、アハヽヽヽ
061三(さん)人(にん)一度(いちど)に声(こゑ)を上(あ)げ
062笑(わら)ひ興(きよう)ずる時(とき)もあれ
063又(また)もや入(い)り来(く)る荒男(あらをとこ)
064よくよく見(み)ればチルテルの
065此(この)家(や)の主(あるじ)キャプテンが
066眼(まなこ)怒(いか)らし睨(にら)み入(い)る
067その面貌(めんばう)の凄(すさま)じさ。
068ヘール『ヤア、069チルテルさま、070私(わたし)の後(あと)を追(お)つかけて、071よう来(き)て下(くだ)さいました。072これが女(をんな)だと、073誠(まこと)に都合(つがふ)がよからうになア、074エヘヽヽヽ』
075チルテル『そこに居(ゐ)る女(をんな)はデビスぢやないか、076あれ程(ほど)厳(きび)しく縛(しば)り上(あ)げて、077土蔵(どざう)の中(なか)に繋(つな)いでおいたに、078どうして此処(ここ)へ出(で)て来(き)たのか』
079デビス『オホヽヽヽヽ。080貴方(あなた)は関守(せきもり)のキャプテンさまぢやありませぬか。081此(この)間(あひだ)は甚(えら)いお世話(せわ)になりましたなア。082妾(わらは)の寝床(ねどこ)にわざわざお出(いで)下(くだ)さいまして083神輿(みこし)か何(なん)かのやうにワツシヨ ワツシヨと舁(か)つぎ084御(ご)丁寧(ていねい)にお倉(くら)の中(なか)にお入(い)れ下(くだ)さいまして有難(ありがた)う厶(ござ)います。085併(しか)しリュウチナントのカンナ様(さま)がお出(いで)下(くだ)さいまして、086「どうか此(この)倉(くら)は私(わたし)が住宅(ぢうたく)にしたいから早(はや)く退(の)いて下(くだ)さい」と家主(やぬし)から追(お)つ立(た)てを喰(く)ひましたので087止(や)むを得(え)ず、0871此(この)岩窟(がんくつ)ホテルに移転(いてん)し、088やつと開業(かいげふ)した所(ところ)です』
089チルテル『ナニ、090カンナと入(い)れ替(か)はつた。091ハテ合点(がてん)の行(ゆ)かぬ事(こと)を云(い)ふものぢやなア。092イヤ三千彦(みちひこ)もそこに居(ゐ)るぢやないか、093此(この)方(はう)の家敷(やしき)へ夜中(やちう)に忍(しの)び込(こ)み、094何(なに)か好(よ)からぬ事(こと)を企(たく)み095其(その)天罰(てんばつ)でこの陥穽(おとしあな)へ辷(すべ)り落(お)ちたのだらうがな』
096三千彦(みちひこ)『アハヽヽヽ、097オイ、098チルテルさま、099女房(にようばう)が甚(えら)いお世話(せわ)になりました。100有難(ありがた)う厶(ござ)います。101併(しか)し貴方(あなた)はどうして此処(ここ)へお出(いで)になりました』
102チルテル『これは拙者(せつしや)の管轄内(くわんかつない)だから、103一寸(ちよつと)巡検(じゆんけん)に来(き)たのだ。104それが何(なん)と致(いた)した』
105ヘール『ハヽヽヽヽ。106甘(うま)い事(こと)仰有(おつしや)いますわい、107これ三千彦(みちひこ)さま、108実(じつ)は初稚姫(はつわかひめ)さまの色香(いろか)に迷(まよ)ひ、109鼻(はな)の下(した)を長(なが)うして吾々(われわれ)両人(りやうにん)が口説(くど)き立(た)てた所(ところ)、110初稚姫(はつわかひめ)さまは、111角力(すまふ)をとつて勝(かつ)た人(ひと)の女房(にようばう)にならうと云(い)つたのです。112さうした所(ところ)、1121運(うん)悪(わる)くも足(あし)踏(ふ)み外(はづ)し113真先(まつさき)に私(わたし)が落(お)ち込(こ)むで仕舞(しま)つたのです。114後(あと)ではテクとこの大将(たいしやう)が勝負(しようぶ)する事(こと)になつて居(ゐ)ましたが115矢張(やつぱり)負(まけ)たと見(み)えてこの岩窟(がんくつ)に落(お)ちて来(き)たのです。116このキヨの関所守(せきしよもり)は117この岩窟(いはや)に一度(いちど)でもおち込(こ)むで来(き)たら免職(めんしよく)になるのですから118今日(けふ)のチルテルは最早(もはや)、119キャプテンではありませぬ。120ユゥンケル位(ぐらゐ)なら棒(ぼう)に振(ふ)つても宜敷(よろし)いが、121折角(せつかく)茲(ここ)迄(まで)捏(こ)ね上(あ)げたキャプテンの職名(しよくめい)を棒(ぼう)に振(ふ)るのは聊(いささ)かお気(き)の毒(どく)ですわい、122ウフヽヽヽ。123もし三千彦(みちひこ)さま、124もう斯(か)うなれば、125吾々(われわれ)はバラモンの軍人(ぐんじん)でも何(なん)でもありませぬ、126何卒(どうぞ)四海(しかい)同胞(どうはう)の精神(せいしん)をもつて可愛(かあい)がつて下(くだ)さい。127貴方(あなた)の奥(おく)さまを担(かつ)ぎ出(だ)したのは吾々(われわれ)ぢやありませぬ。128皆(みな)このチルテルが兵士(へいし)を連(つ)れて行(い)つて盗(ぬす)み出(だ)したのですよ。129さうして初稚姫(はつわかひめ)様(さま)を自分(じぶん)の妻(つま)となし、130リュウチナントのカンナさまに口(くち)ふさぎのため、131デビスさまを宛(あて)がうためにあんな事(こと)をやつたのですよ。132御(ご)迷惑(めいわく)はお察(さつ)し致(いた)します』
133デビス姫(ひめ)『吾(わが)身(み)をば担(かつ)ぎ出(だ)したる其(その)人(ひと)と
134今(いま)打(う)ち解(とけ)て向(むか)い合(あ)ふかな。
135何事(なにごと)も皆(みな)神(かみ)様(さま)のお仕組(しぐみ)と
136悟(さと)れる身(み)には恨(うらみ)だになし』
137チルテル『恋(こひ)と云(い)ふ醜(しこ)の魔神(まがみ)に眩(くら)まされ
138思(おも)はぬ罪(つみ)を重(かさ)ねけるかな。
139此(この)上(うへ)は心(こころ)の罪(つみ)を委細(まつぶさ)に
140君(きみ)の御前(みまへ)にさらけて詫(わび)む』
141デビス姫(ひめ)『赤心(まごころ)の未(いま)だ失(う)せざる君(きみ)こそは
142神(かみ)の救(すく)ひの門口(かど)に入(い)るなり』
143チルテル『有難(ありがた)し汝(なれ)が言葉(ことば)は皇神(すめかみ)の
144深(ふか)き情(なさけ)と涙(なみだ)ぐまるる。
145仇人(あだびと)を憎(にく)みたまはず懇(ねもごろ)に
146いたはりたまふ君(きみ)は神(かみ)なり』
147ヘール『キャプテンの口(くち)の車(くるま)に乗(の)せられな
148苦(くる)しさ故(ゆゑ)の吟(すさ)みなりせば。
149又(また)しても十八番(じふはちばん)の奥(おく)の手(て)を
150出(だ)した男(をとこ)の憎(にく)らしきかな。
151チルテルはいとしき妻(つま)を追(お)ひ出(いだ)し
152仇(あだ)し女(をんな)を娶(めと)らむとせり。
153吾(われ)は未(ま)だ妻(つま)を持(も)たざるセリバシー
154憐(あは)れみたまへ無垢(むく)の体(からだ)を』
155チルテル『横町(よこちやう)の床屋(とこや)の嬶(かか)に眦(めじり)さげ
156はぢかれたりし時(とき)のをかしさ。
157お多福(たふく)に肱鉄砲(ひぢてつぼう)を食(く)はされて
158めそめそ泣(な)きしヘールぞ可笑(をか)しき』
159ヘール『人(ひと)の非(ひ)を大勢(おほぜい)の前(まへ)に素破抜(すつぱぬ)く
160汝(な)は曲神(まがつみ)の器(うつは)なるらむ』
161チルテル『曲神(まがかみ)か誠(まこと)の神(かみ)か知(し)らねども
162ありし誠(まこと)を吾(われ)は云(い)ふなり』
163三千彦(みちひこ)『面白(おもしろ)し人(ひと)の情(なさけ)は唐(から)日本(やまと)
164いづくの果(はて)も変(かは)らざりけり。
165伊太彦(いたひこ)は如何(いか)になしけむ姿(すがた)をも
166今(いま)だにみせず心(こころ)もとなや』
167ヘール『口(くち)の間(ま)に伊太屋(いたや)の番頭(ばんとう)と納(をさ)まりて
168帳面(ちやうめん)片手(かたて)に算盤(そろばん)持(も)たせり。
169面白(おもしろ)い男(をとこ)もあればあるものよ
170岩窟(いはや)におちて宿屋(やどや)気取(きど)れる』
171三千彦(みちひこ)『此(この)上(うへ)は心(こころ)の垣(かき)を取(と)り払(はら)ひ
172助(たす)け合(あ)ひつつ神(かみ)の道(みち)行(ゆ)かむ』
173チルテル『有難(ありがた)し誠(まこと)の道(みち)を宣(の)り伝(つた)ふ
174君(きみ)の心(こころ)の分(わ)けへだてなき』
175ヘール『バラモンのこれが司(つかさ)であつたなら
176こんな訳(わけ)にはとても行(ゆ)くまい』
177デビス姫(ひめ)『古(いにしへ)ゆ縁(えにし)の糸(いと)に繋(つな)がれて
178睦(むつ)び合(あ)ふたる今日(けふ)ぞ床(ゆか)しき』
179チルテル『此(この)上(うへ)は心(こころ)清(きよ)めて三五(あななひ)の
180神(かみ)の大道(おほぢ)に進(すす)み行(ゆ)くべし』
181三千彦(みちひこ)『バラモンの神(かみ)の教(をしへ)を捨(す)てずして
182我(わが)三五(あななひ)の道(みち)を守(まも)れよ』
183 斯(か)く四(よ)人(にん)は打(う)ち解(と)け、184互(たがひ)に意見(いけん)を交換(かうくわん)して185兄弟(きやうだい)の如(ごと)く、1851睦(むつ)び合(あ)ふ事(こと)となつた。186あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
187(大正一二・四・二 旧二・一七 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)
188(昭和九・一一・三〇 王仁校正)
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