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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第64巻(卯の巻)下
序文
総説
第1篇 復活転活
第1章 復活祭
第2章 逆襲
第3章 草居谷底
第4章 誤霊城
第5章 横恋慕
第2篇 鬼薊の花
第6章 金酒結婚
第7章 虎角
第8章 擬侠心
第9章 狂怪戦
第10章 拘淫
第3篇 開花落花
第11章 狂擬怪
第12章 開狂式
第13章 漆別
第14章 花曇
第15章 騒淫ホテル
第4篇 清風一過
第16章 誤辛折
第17章 茶粕
第18章 誠と偽
第19章 笑拙種
第20章 猫鞍干
第21章 不意の官命
第22章 帰国と鬼哭
余白歌
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> 第1篇 復活転活 > 第3章 草居谷底
<<< 逆襲
(B)
(N)
誤霊城 >>>
第三章
草居
(
くさゐ
)
谷底
(
たにぞこ
)
〔一八〇九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下
篇:
第1篇 復活転活
よみ(新仮名遣い):
ふっかつてんかつ
章:
第3章 草居谷底
よみ(新仮名遣い):
くさいたにぞこ
通し章番号:
1809
口述日:
1925(大正14)年08月19日(旧06月30日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年11月7日
概要:
舞台:
トンクたちのアジト
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-25 07:41:56
OBC :
rm64b03
愛善世界社版:
35頁
八幡書店版:
第11輯 508頁
修補版:
校定版:
36頁
普及版:
63頁
初版:
ページ備考:
001
トンク、
002
テク、
003
ツーロの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
僧院
(
そうゐん
)
ホテルの
裏口
(
うらぐち
)
から
二人
(
ふたり
)
を
担
(
かつ
)
いだ
儘
(
まま
)
、
004
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
道路
(
だうろ
)
、
005
田畑
(
たはた
)
の
嫌
(
きら
)
ひなくかけ
出
(
だ
)
し、
006
キドロンの
谷
(
たに
)
深
(
ふか
)
く
川辺
(
かはべ
)
を
伝
(
つた
)
ふて
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
き、
007
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐ
許
(
ばか
)
りの
自分
(
じぶん
)
の
借家
(
かりや
)
へと
持
(
も
)
ち
運
(
はこ
)
び、
008
手荒
(
てあら
)
く
二人
(
ふたり
)
を
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
投
(
な
)
げつけた。
009
守宮別
(
やもりわけ
)
はこの
間
(
あひだ
)
に
殆
(
ほとん
)
ど
酔
(
よひ
)
も
醒
(
さ
)
め、
010
丸
(
まる
)
い
目
(
め
)
をギヨロづかせ、
011
ウンと
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
012
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
顔
(
かほ
)
を
睨
(
ね
)
めつけて
居
(
ゐ
)
る。
013
お
寅
(
とら
)
は
勝気
(
かちき
)
の
女
(
をんな
)
とて
大地
(
だいち
)
に
投
(
な
)
げつけられた
際
(
さい
)
、
014
腰骨
(
こしぼね
)
をうち
乍
(
なが
)
ら
痛
(
いた
)
さを
耐
(
こら
)
へて、
015
お寅
『こりや、
016
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のアラブ
共
(
ども
)
、
017
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
018
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大
(
おほ
)
ミロク、
019
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
お
寅
(
とら
)
さまの
肉体
(
にくたい
)
を、
020
お
神輿
(
みこし
)
さまとして、
021
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
つれて
来
(
く
)
るのはいいが、
022
なぜ
下
(
お
)
ろす
時
(
とき
)
にも
些
(
ちつ
)
と
気
(
き
)
をつけないのか、
023
お
神輿
(
みこし
)
が
些
(
ちつ
)
と
許
(
ばか
)
り
損傷
(
いたん
)
だぞよ、
024
行儀
(
ぎやうぎ
)
も
作法
(
さはふ
)
も
知
(
し
)
らない
馬鹿
(
ばか
)
野郎
(
やらう
)
だなア。
025
サア
私
(
わし
)
を
此処
(
ここ
)
まで
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
た
以上
(
いじやう
)
は、
026
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
い
計画
(
たくみ
)
があつてのことだらう。
027
きつぱりと
白状
(
はくじやう
)
したがよい。
028
何者
(
なにもの
)
に
頼
(
たの
)
まれたかその
訳
(
わけ
)
を
聞
(
き
)
かう。
029
これこれ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま
確
(
しつか
)
りせぬかいなア。
030
何
(
ど
)
の
為
(
た
)
めの
強力
(
がうりき
)
だいな。
031
それだから
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
くちや
)
に
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
みなさるなと
云
(
い
)
ふのぢや。
032
お
前
(
まへ
)
さまはお
前
(
まへ
)
さまとした
所
(
ところ
)
で、
033
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまの
生宮
(
いきみや
)
は
何
(
なに
)
をして
居
(
ゐ
)
るのだらう、
034
ても
扨
(
さ
)
ても
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かない
人足
(
にんそく
)
許
(
ばか
)
りだなア。
035
こりやアラブ、
036
早
(
はや
)
く
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
に
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
さぬか、
037
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて
脛腰
(
すねこし
)
が
立
(
た
)
たぬやうにしてもよいか』
038
トンクは、
039
トンク
『ハヽヽヽヽ。
040
気違
(
きちが
)
ひ
婆
(
ばば
)
、
041
それや
何
(
な
)
アに
吐
(
ぬか
)
してけつかる。
042
誰
(
たれ
)
にも
頼
(
たの
)
まれはせぬ。
043
貴様
(
きさま
)
の
懐中
(
ふところ
)
にもつて
居
(
ゐ
)
るお
金
(
かね
)
が
目的
(
もくてき
)
ぢや。
044
地獄
(
ぢごく
)
の
沙汰
(
さた
)
も
金
(
かね
)
次第
(
しだい
)
ぢやからキリキリちやつと
渡
(
わた
)
したらよからう。
045
グヅグヅ
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ると
生命
(
いのち
)
が
無
(
な
)
いぞよ。
046
一方
(
いつぱう
)
の
野郎
(
やらう
)
は
酒
(
さけ
)
に
喰
(
くら
)
ひ
酔
(
よ
)
つて
脛腰
(
すねこし
)
は
立
(
た
)
たず。
047
高
(
たか
)
が
婆
(
ばば
)
の
一人
(
ひとり
)
位
(
ぐらゐ
)
、
048
捻
(
ひね
)
り
漬
(
つぶ
)
すのは
宵
(
よひ
)
の
口
(
くち
)
ぢや。
049
金
(
かね
)
を
渡
(
わた
)
さにや
渡
(
わた
)
さぬでよい。
050
勝手
(
かつて
)
に
取
(
と
)
つてやる。
051
サア
覚悟
(
かくご
)
せい』
052
と
猿臂
(
ゑんぴ
)
をのばして、
053
胸倉
(
むなぐら
)
をグツと
掴
(
つか
)
む。
054
お
寅
(
とら
)
はその
刹那
(
せつな
)
足
(
あし
)
を
上
(
あ
)
げてトンクの
睾丸
(
きんたま
)
を
力一
(
ちからいつ
)
ぱい
蹴
(
け
)
つた。
055
トンクはウーンと
云
(
い
)
つた
切
(
き
)
り、
056
地上
(
ちじやう
)
に
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
となつて
了
(
しま
)
つた。
057
テク、
058
ツーロの
二人
(
ふたり
)
は
吃驚
(
びつくり
)
してトンクを
呼
(
よ
)
び
生
(
い
)
けようとする。
059
其
(
その
)
隙
(
すき
)
を
考
(
かんが
)
へて
守宮別
(
やもりわけ
)
はテクの
足
(
あし
)
をグイと
引張
(
ひつぱ
)
り
俯向
(
うつむけ
)
にドンと
倒
(
たふ
)
す。
060
お
寅
(
とら
)
はツーロの
首筋
(
くびすぢ
)
を
鷲掴
(
わしづか
)
みにしながら
挙骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて
六
(
むつ
)
つ
七
(
なな
)
つ
撲
(
なぐ
)
り
打
(
う
)
ちに
打
(
う
)
ち
据
(
す
)
ゑる。
061
ツーロはフラフラと
眼
(
め
)
が
暈
(
ま
)
うて
又
(
また
)
もやばたりと
其処
(
そこ
)
に
倒
(
たふ
)
れて
仕舞
(
しま
)
つた。
062
お寅
『サア、
063
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
064
其処
(
そこ
)
の
藤蔓
(
ふぢつる
)
をもつて
動
(
うご
)
かないやうに、
065
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
今
(
いま
)
の
中
(
うち
)
に
縛
(
くく
)
つておきなさい。
066
これからこれ
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
厳
(
きび
)
しく
詰問
(
きつもん
)
してブラバーサの
陰謀
(
いんぼう
)
を
白状
(
はくじやう
)
さしてやらねばなりますまい。
067
何
(
なん
)
と
気味
(
きみ
)
の
善
(
よ
)
い
事
(
こと
)
、
068
遉
(
さすが
)
は
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
だけあつて
偉
(
えら
)
いものだらう。
069
これ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
070
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
には
感心
(
かんしん
)
したらうな、
071
アラブの
千匹
(
せんびき
)
万匹
(
まんびき
)
来
(
きた
)
るとも、
072
このお
寅
(
とら
)
が、
073
フンと
一
(
ひと
)
つ
鼻息
(
はないき
)
するや
否
(
いな
)
や、
074
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
もバタバタと
東京
(
とうきやう
)
のバラツクに
二百十
(
にひやくとを
)
日
(
か
)
の
大風
(
おほかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いたやうにメチヤメチヤに
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
ふのだよ。
075
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
も
聖地
(
せいち
)
へ
来
(
き
)
てから、
076
だんだん
出世
(
しゆつせ
)
を
遊
(
あそ
)
ばし
偉
(
えら
)
い
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
の
出来
(
でき
)
たものだ。
077
もう
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
と
名乗
(
なの
)
つても
誰一人
(
たれひとり
)
非難
(
ひなん
)
するものはあるまい、
078
ヘヽヽヽ。
079
てもさても
愉快
(
ゆくわい
)
の
事
(
こと
)
だわい。
080
苦
(
くるし
)
みの
果
(
はて
)
には
楽
(
たの
)
しみあり、
081
万難
(
ばんなん
)
を
排
(
はい
)
して
勝利
(
しようり
)
の
都
(
みやこ
)
に
達
(
たつ
)
するとかや。
082
お
前
(
まへ
)
さまも
些
(
ちつ
)
と
酒
(
さけ
)
をやめて
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
私
(
わし
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
くのだよ。
083
僧院
(
そうゐん
)
ホテルでお
前
(
まへ
)
さまは
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
馬鹿気
(
ばかげ
)
た
演説
(
えんぜつ
)
をするのだえ。
084
この
私
(
わたし
)
をブラバーサと
同
(
おな
)
じやうに
余
(
あま
)
り
信
(
しん
)
じないと
云
(
い
)
つたぢやないか。
085
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
参謀長
(
さんぼうちやう
)
がそんな
考
(
かんが
)
へをもつて
居
(
ゐ
)
てどうしてこんな
大望
(
たいまう
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
しますか。
086
些
(
ちつ
)
と
心得
(
こころえ
)
なされ。
087
余
(
あま
)
り
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
かないと
小北山
(
こきたやま
)
のお
寅
(
とら
)
さまぢやないが、
088
鼻
(
はな
)
を
捻
(
ねぢ
)
ますぞや』
089
守宮別
『イヤもう
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
しました。
090
朝顔形
(
あさがほがた
)
の
猪口
(
ちよく
)
がメチヤメチヤになつては
耐
(
たま
)
りませぬからな、
091
ウフヽヽヽ』
092
トンクはウンウンと
唸
(
うめ
)
き
出
(
だ
)
した。
093
お
寅
(
とら
)
はトンクの
髻
(
たぶさ
)
をグツと
握
(
にぎ
)
り、
094
お寅
『これやトンク、
095
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つたか。
096
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
したか。
097
どうぢや、
098
サア
誰
(
たれ
)
に
頼
(
たの
)
まれた
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
せ』
099
トンク
『ハイ、
100
ハヽ
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
します。
101
どうぞ
其
(
その
)
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
して
下
(
くだ
)
さい
髪
(
かみ
)
が
脱
(
ぬ
)
けます』
102
お寅
『ぬけたつて
何
(
なん
)
だ。
103
お
前
(
まへ
)
の
頭
(
あたま
)
ぢやないか。
104
肉
(
にく
)
と
一緒
(
いつしよ
)
にコポンと
取
(
と
)
つてやる
積
(
つも
)
りだ。
105
苦
(
くる
)
しきや
白状
(
はくじやう
)
なさい。
106
魚心
(
うをごころ
)
あれば
水心
(
みづごころ
)
だ。
107
白状
(
はくじやう
)
さへすれば
今迄
(
いままで
)
の
罪
(
つみ
)
は
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
して
許
(
ゆる
)
してやる。
108
そして
白状
(
はくじやう
)
した
褒美
(
ほうび
)
にお
金
(
かね
)
をやるから、
109
トツトと
白状
(
はくじやう
)
したがよからうぞや。
110
かう
見
(
み
)
えてもこのお
寅
(
とら
)
は、
111
虎
(
とら
)
でもなければ
狼
(
おほかみ
)
でもない、
112
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
氏子
(
うぢこ
)
を
助
(
たす
)
ける
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
だからな。
113
敵
(
てき
)
たうて
来
(
き
)
たものには
鬼
(
おに
)
か
大蛇
(
をろち
)
になるお
虎
(
とら
)
であるけれど、
114
従
(
したが
)
つて
来
(
き
)
たものには
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
大
(
だい
)
歓喜天
(
くわんきてん
)
の
女神
(
めがみ
)
様
(
さま
)
ぢやぞえ』
115
トンク
『ハイ、
116
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
します。
117
その
代
(
かは
)
りにテク、
118
ツーロの
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
いてやつて
下
(
くだ
)
さい。
119
私
(
わし
)
だけ
助
(
たす
)
かつた
所
(
ところ
)
で
仕方
(
しかた
)
がありませぬから』
120
お寅
『これこれ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
121
何
(
な
)
んぢやいな、
122
気楽
(
きらく
)
さうに
煙草
(
たばこ
)
ばかり
呑
(
の
)
みつづけて、
123
ちつとお
手伝
(
てつだ
)
ひをなさらぬか。
124
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かねえ
男
(
をとこ
)
だなア』
125
守宮別
『
到底
(
たうてい
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
手伝
(
てつだ
)
ひは
人間
(
にんげん
)
として
出来
(
でき
)
ませぬわい。
126
マア
悠
(
ゆつく
)
りと
見物
(
けんぶつ
)
でもさして
貰
(
もら
)
ひませうかい。
127
あた
阿呆
(
あはう
)
らしい。
128
酒
(
さけ
)
も
無
(
な
)
いのにこんな
事
(
こと
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
られませうか、
129
お
寅
(
とら
)
さまも
仲々
(
なかなか
)
気
(
き
)
が
荒
(
あら
)
いですなア』
130
お寅
『それや
荒
(
あら
)
いとも、
131
アラブの
荒男
(
あらをとこ
)
を
三
(
さん
)
人
(
にん
)
迄
(
まで
)
、
132
荒肝
(
あらぎも
)
を
取
(
と
)
つて
荒料理
(
あられうり
)
をせうと
云
(
い
)
ふのだもの。
133
随分
(
ずゐぶん
)
霊験
(
あらたか
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だよ。
134
これアラブのトンク、
135
大略
(
あらまし
)
でよいから
早
(
はや
)
く
誰
(
たれ
)
に
頼
(
たの
)
まれたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
白状
(
はくじやう
)
せぬか。
136
命
(
いのち
)
取
(
と
)
られるのが
好
(
よ
)
いか。
137
お
金
(
かね
)
を
貰
(
もら
)
ふのがよいか、
138
どうぢや』
139
トンク
『
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はお
前
(
まへ
)
さま
所
(
とこ
)
へ
始終
(
しじう
)
出入
(
でいり
)
して
居
(
ゐ
)
るヤクさまに
頼
(
たの
)
まれました。
140
ヤクさまが
金
(
かね
)
を
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
二十
(
にじふ
)
両
(
りやう
)
宛
(
づつ
)
下
(
くだ
)
さいました。
141
そしてお
寅
(
とら
)
さまが
剣呑
(
けんのん
)
になつて
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
は
掻攫
(
かつさら
)
へて
僧院
(
そうゐん
)
の
裏
(
うら
)
から
何処
(
どこ
)
かへ
逃
(
に
)
げて
呉
(
く
)
れと
仰有
(
おつしや
)
つたのです』
142
お寅
『ホヽヽヽヽ、
143
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
、
144
どこ
迄
(
まで
)
も
云
(
い
)
ひ
含
(
ふく
)
めたものだなア。
145
ブラバーサの
奴
(
やつ
)
、
146
反間
(
はんかん
)
苦肉
(
くにく
)
の
策
(
さく
)
をつかひよつて、
147
ヤクに
頼
(
たの
)
まれたなぞと、
148
熱心
(
ねつしん
)
の
信者
(
しんじや
)
とこのお
寅
(
とら
)
と
喧嘩
(
けんくわ
)
させようと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
やがるのだな。
149
どこどこ
迄
(
まで
)
も
油断
(
ゆだん
)
のならぬど
倒
(
たふ
)
しものだ。
150
これやトンク
本当
(
ほんたう
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
へ。
151
ヤクさまぢやあるまいがな』
152
トンク
『イエ
滅相
(
めつさう
)
な
有体
(
ありてい
)
の
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
します。
153
御
(
ご
)
霊城
(
れいじやう
)
の
受付
(
うけつけ
)
をして
厶
(
ござ
)
るヤクさまが、
154
お
前
(
まへ
)
さまが
僧院
(
そうゐん
)
で
演説
(
えんぜつ
)
をしられた
時
(
とき
)
、
155
聴衆
(
ちやうしう
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
はい
)
つて
厶
(
ござ
)
つて、
156
あまり
聴衆
(
ちやうしう
)
の
人気
(
にんき
)
が
悪
(
わる
)
く
殺気
(
さつき
)
が
立
(
た
)
ち、
157
お
前
(
まへ
)
さまを
殺
(
ころ
)
してやらうと
迄
(
まで
)
ひそびそ
相談
(
さうだん
)
して
居
(
ゐ
)
たものが
有
(
あ
)
つたので、
158
ヤクさまが
心配
(
しんぱい
)
して、
159
傍
(
そば
)
に
居
(
を
)
つた
私
(
わたし
)
等
(
たち
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
大枚
(
たいまい
)
二十
(
にじふ
)
円
(
ゑん
)
宛
(
づつ
)
をそつと
懐中
(
ふところ
)
に
入
(
い
)
れ、
160
どうかお
寅
(
とら
)
さまと
守宮別
(
やもりわけ
)
さまを
担
(
かつ
)
いで
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
逃
(
に
)
げて
呉
(
く
)
れ。
161
さうせぬとお
二人
(
ふたり
)
の
命
(
いのち
)
が
危
(
あやふ
)
いと
囁
(
ささや
)
きましたので、
162
二十
(
にじふ
)
円
(
ゑん
)
のお
金
(
かね
)
まうけにお
二人
(
ふたり
)
さまを
担
(
かつ
)
ぎ
出
(
だ
)
しました。
163
さうするとお
前
(
まへ
)
さまの
懐中
(
くわいちう
)
に、
164
ガチヤガチヤと
余
(
あま
)
り
沢山
(
たくさん
)
の
金
(
かね
)
が
入
(
はい
)
つて
居
(
ゐ
)
さうなので、
165
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
来
(
き
)
てから
二重
(
にぢう
)
儲
(
まう
)
けをせうと
思
(
おも
)
つて、
166
一寸
(
ちよつと
)
ごろついて
見
(
み
)
たのですよ。
167
何
(
ど
)
うか
耐
(
こら
)
へて
下
(
くだ
)
さい。
168
しかし
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
無
(
な
)
かつたらお
前
(
まへ
)
さまの
生命
(
いのち
)
が
無
(
な
)
かつたかも
知
(
し
)
れませぬよ。
169
これが
正直
(
しやうぢき
)
正銘
(
しやうめい
)
一文
(
いちもん
)
の
掛値
(
かけね
)
のない
所
(
ところ
)
の
白状
(
はくじやう
)
で
厶
(
ござ
)
います』
170
お寅
『フーン、
171
さうかいな。
172
ても
扨
(
さ
)
てもブラバーサと
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
剣呑
(
けんのん
)
な
奴
(
やつ
)
だな。
173
矢張
(
やつぱ
)
り
彼奴
(
あいつ
)
が
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
を
殺
(
ころ
)
さうと
思
(
おも
)
つて、
174
聴衆
(
ちやうしう
)
の
中
(
なか
)
に
暴漢
(
ばうかん
)
を
匿
(
かく
)
まひ
置
(
お
)
きよつたのだなア。
175
これトンクさま、
176
お
前
(
まへ
)
さまはブラバーサをどう
思
(
おも
)
ひますか』
177
トンク
『さうですな、
178
どうか
頭
(
あたま
)
を
放
(
はな
)
して
下
(
くだ
)
さい
痛
(
いた
)
くて
仕方
(
しかた
)
がありませぬわ。
179
アイタヽヽヽヽ、
180
痛
(
いた
)
いがな』
181
お寅
『
余
(
あま
)
り
話
(
はなし
)
に
身
(
み
)
が
入
(
い
)
つてお
前
(
まへ
)
の
頭
(
あたま
)
をブラバーサだと
思
(
おも
)
ひ、
182
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
痛
(
いた
)
めたのは
悪
(
わる
)
かつた、
183
まア
耐
(
こら
)
へてお
呉
(
く
)
れ。
184
これも
時
(
とき
)
の
災難
(
さいなん
)
だからな。
185
これこれ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
186
話
(
はなし
)
が
分
(
わか
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
187
テク、
188
ツーロの
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
いて
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
189
話
(
はなし
)
を
聴
(
き
)
いて
見
(
み
)
ねば
分
(
わか
)
らぬものだ、
190
ほんに
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だつたな。
191
とは
云
(
い
)
ふものの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
乍
(
なが
)
ら、
192
俄
(
にはか
)
にこのお
寅
(
とら
)
を
脅迫
(
けふはく
)
した
罪
(
つみ
)
は
許
(
ゆる
)
されないから、
193
痛
(
いた
)
い
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
つたからといつて
怒
(
おこ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
まい、
194
これで
帳消
(
ちやうけし
)
だ。
195
サアこれから
改
(
あらた
)
めてお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
と
篤
(
とつくり
)
と
相談
(
さうだん
)
をしよう』
196
トンク
『
悪
(
あく
)
にかけたら
抜目
(
ぬけめ
)
のない
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
197
金
(
かね
)
になる
事
(
こと
)
ならドンナ
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
にも
乗
(
の
)
ります。
198
私
(
わたし
)
だつてあのブラバーサには
深
(
ふか
)
い
深
(
ふか
)
い
意恨
(
いこん
)
が
厶
(
ござ
)
います。
199
マリヤの
奴
(
やつ
)
を
三
(
さん
)
人
(
にん
)
寄
(
よ
)
つて
手籠
(
てごめ
)
になし、
200
念仏講
(
ねんぶつかう
)
でもやり、
201
楽
(
たの
)
しもうと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
へ
彼
(
あ
)
のブラバーサが、
202
仕様
(
しやう
)
も
無
(
な
)
い
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
つて
来
(
き
)
たものだから、
203
折角
(
せつかく
)
仕組
(
しぐん
)
だ
芝居
(
しばゐ
)
も
肝腎
(
かんじん
)
の
所
(
ところ
)
でおジヤンになり、
204
オチコ ウツトコ、
205
ハテナの
願望
(
ぐわんまう
)
も
遂
(
と
)
げず、
206
すごすごと
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
帰
(
かへ
)
つたものだから
仲々
(
なかなか
)
伜
(
せがれ
)
のやつ
承知
(
しようち
)
をしませぬ、
207
オチコ、
208
コテノとなつて、
209
マストを
立
(
た
)
てそれはそれは
夜半
(
やはん
)
大騒動
(
おほさうどう
)
五人組
(
ごにんぐみ
)
が
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
すやら、
210
泥水
(
どろみづ
)
が
出
(
で
)
るやら、
211
ヘヽヽヽヽン、
212
いやもうラツチもない
事
(
こと
)
でした、
213
アハヽヽヽ』
214
守宮別
『ウフヽヽヽ、
215
ソンナ
厚
(
あつ
)
い
唇
(
くちびる
)
で、
216
真黒
(
まつくろ
)
な
顔
(
かほ
)
して
居
(
を
)
つて
色
(
いろ
)
の
こひ
の
鮒
(
ふな
)
のつて、
217
些
(
ちつ
)
と
食
(
く
)
ひ
過
(
す
)
ぎて
居
(
ゐ
)
るわい。
218
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らブラバーサとマリヤに
対
(
たい
)
し、
219
さう
云
(
い
)
ふ
経緯
(
いきさつ
)
があり
意恨
(
いこん
)
が
残
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
るとすれば
何
(
ど
)
うだ、
220
反対派
(
はんたいは
)
の
吾々
(
われわれ
)
の
仲間
(
なかま
)
に
入
(
はい
)
り、
221
幾何
(
いくら
)
でも
金
(
かね
)
はやるからエルサレムの
町
(
まち
)
に
出
(
で
)
て、
222
ブラバーサ
攻撃
(
こうげき
)
の
大演説
(
だいえんぜつ
)
をやる
気
(
き
)
は
無
(
な
)
いか』
223
トンク
『ハイそれは
合
(
あ
)
ふたり
叶
(
かな
)
ふたり、
224
大
(
おほい
)
にやります。
225
のうテク、
226
ツーロお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
も
賛成
(
さんせい
)
だらう』
227
テク
『ウン
尤
(
もつと
)
もだ、
228
テクさまの
恋
(
こひ
)
の
敵
(
かたき
)
のブラバーサ、
229
力一
(
ちからいつ
)
ぱい
面皮
(
めんぴ
)
を
剥
(
む
)
いてやり、
230
此
(
この
)
エルサレム
町
(
まち
)
に
居
(
を
)
れないやうにしてやるのも
痛快
(
つうくわい
)
だ、
231
腹癒
(
はらい
)
せだ、
232
溜飲
(
りういん
)
が
下
(
さが
)
るやうだ。
233
ようし
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
234
面白狸
(
おもしろたぬき
)
の
腹鼓
(
はらつづみ
)
だ。
235
喃
(
のう
)
、
236
ツーロ、
237
何程
(
なにほど
)
辛
(
つら
)
うても、
238
エルサレムの
通路
(
つうろ
)
を
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
テク
ついてブラバーサの
罪状
(
ざいじやう
)
をトンクと
市民
(
しみん
)
に
分
(
わか
)
るやうに、
239
布留那
(
ふるな
)
の
弁
(
べん
)
を
揮
(
ふる
)
つて
吹聴
(
ふいちやう
)
仕
(
し
)
やうぢやないか』
240
トンク
『ヤア
面白
(
おもしろ
)
い、
241
大
(
おほ
)
ミロクの
生宮
(
いきみや
)
、
242
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
のお
寅
(
とら
)
さまを
大将軍
(
だいしやうぐん
)
と
仰
(
あふ
)
ぎ、
243
守宮別
(
やもりわけ
)
様
(
さま
)
を
参謀
(
さんぼう
)
総長
(
そうちやう
)
とし、
244
エルサレムの
町
(
まち
)
を
三方
(
さんぱう
)
四方
(
しはう
)
から
突撃
(
とつげき
)
と
出
(
で
)
かけようかい』
245
お寅
『これこれトンクさま、
246
決
(
けつ
)
してヤクに
頼
(
たの
)
まれたなどと
云
(
い
)
ふちやなりませぬよ。
247
ブラバーサに
頼
(
たの
)
まれて、
248
あんな
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しましたが、
249
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
に
怖
(
おそ
)
れて
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしに
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
しましたと
大声
(
おほごゑ
)
に
云
(
い
)
ふのだよ。
250
分
(
わか
)
つたかな』
251
トンク
『ハイ、
252
事実
(
じじつ
)
を
曲
(
ま
)
げて
云
(
い
)
ふのは
間違
(
まちが
)
ひやすうて
些
(
ちつ
)
と
許
(
ばか
)
りやり
悪
(
にく
)
くて
困
(
こま
)
りますが、
253
マア
成可
(
なるべ
)
く
貴女
(
あなた
)
の
為
(
ため
)
になるやうブラバーサを
攻撃
(
こうげき
)
致
(
いた
)
しませう』
254
お
寅
(
とら
)
『ブラバーサ
憎
(
にく
)
む
心
(
こころ
)
はなけれども
255
世人
(
よびと
)
のために
葬
(
はうむ
)
らむとぞ
思
(
おも
)
う。
256
聖場
(
せいじやう
)
を
色
(
いろ
)
で
汚
(
けが
)
したマリヤ
姫
(
ひめ
)
を
257
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
外
(
そと
)
に
逐
(
おひ
)
やりて
見
(
み
)
む』
258
守宮
(
やもり
)
『
吾
(
われ
)
は
唯
(
ただ
)
薬師
(
やくし
)
如来
(
によらい
)
がましまさば
259
如何
(
いか
)
な
悩
(
なや
)
みも
苦
(
くる
)
しからまじ。
260
酒
(
さけ
)
呑
(
の
)
めばいつも
心
(
こころ
)
は
春
(
はる
)
の
山
(
やま
)
261
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
らに
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
くなり。
262
お
寅
(
とら
)
さまお
花
(
はな
)
さまでは
気
(
き
)
が
行
(
い
)
かぬ
263
蒲萄酒
(
ぶだうしゆ
)
ビール
酒
(
さけ
)
が
好物
(
かうぶつ
)
。
264
キリストも
釈迦
(
しやか
)
も
孔子
(
こうし
)
も
神
(
かみ
)
さまも
265
酒
(
さけ
)
に
比
(
くら
)
べりやしやうもない
奴
(
やつ
)
』
266
お
寅
(
とら
)
『
又
(
また
)
しても
守宮別
(
やもりわけ
)
さまの
罰当
(
ばちあた
)
り
267
腸
(
はらわた
)
までが
腐
(
くさ
)
つて
居
(
を
)
るぞや』
268
守宮
(
やもり
)
『くさつても
酒
(
さけ
)
と
鯛
(
たひ
)
とは
味
(
あぢ
)
がよい
269
腐
(
くさ
)
らぬ
先
(
さき
)
に
呑
(
の
)
めばなほよし。
270
ドブ
貝
(
がひ
)
の
腐
(
くさ
)
つたやうな
香
(
にほ
)
ひより
271
酒
(
さけ
)
の
腐
(
くさ
)
つた
香
(
にほひ
)
がよろしい』
272
お
寅
(
とら
)
『
虫
(
むし
)
の
喰
(
く
)
た
松茸
(
まつたけ
)
股
(
また
)
にぶらさげて
273
腐
(
くさ
)
れ
貝
(
がひ
)
とは
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふぞや』
274
トンク『くさいやつ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
集
(
あつ
)
まつて
275
臭
(
くさ
)
い
相談
(
さうだん
)
谷底
(
たにそこ
)
でするも』
276
テク『お
寅
(
とら
)
さま
手管
(
てくだ
)
の
糸
(
いと
)
を
繰返
(
くりかへ
)
し
277
マリヤの
腹
(
はら
)
を
突
(
つ
)
かむとぞする』
278
ツーロ『つらうても
彼
(
かれ
)
の
為
(
た
)
めなら
町
(
まち
)
に
出
(
で
)
て
279
嫌
(
いや
)
な
演説
(
えんぜつ
)
せねばなるまい』
280
お
寅
(
とら
)
は、
281
お寅
『さア
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
つて
帰
(
かへ
)
りませう
282
お
花
(
はな
)
が
霊城
(
れいじやう
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るだろ』
283
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
284
吾
(
わが
)
営所
(
たむろ
)
を
指
(
さ
)
して
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
285
(
大正一四・八・一九
旧六・三〇
於由良秋田別荘
加藤明子
録)
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<<< 逆襲
(B)
(N)
誤霊城 >>>
霊界物語
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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【第3章 草居谷底|第64巻下|山河草木|霊界物語|/rm64b03】
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