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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第64巻(卯の巻)下
序文
総説
第1篇 復活転活
第1章 復活祭
第2章 逆襲
第3章 草居谷底
第4章 誤霊城
第5章 横恋慕
第2篇 鬼薊の花
第6章 金酒結婚
第7章 虎角
第8章 擬侠心
第9章 狂怪戦
第10章 拘淫
第3篇 開花落花
第11章 狂擬怪
第12章 開狂式
第13章 漆別
第14章 花曇
第15章 騒淫ホテル
第4篇 清風一過
第16章 誤辛折
第17章 茶粕
第18章 誠と偽
第19章 笑拙種
第20章 猫鞍干
第21章 不意の官命
第22章 帰国と鬼哭
余白歌
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霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第64巻(卯の巻)下
> 第4篇 清風一過 > 第21章 不意の官命
<<< 猫鞍干
(B)
(N)
帰国と鬼哭 >>>
第二一章
不意
(
ふい
)
の
官命
(
くわんめい
)
〔一八二七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下
篇:
第4篇 清風一過
よみ(新仮名遣い):
せいふういっか
章:
第21章 不意の官命
よみ(新仮名遣い):
ふいのかんめい
通し章番号:
1827
口述日:
1925(大正14)年08月21日(旧07月2日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年11月7日
概要:
舞台:
僧院ホテルの三号室
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-25 08:29:14
OBC :
rm64b21
愛善世界社版:
274頁
八幡書店版:
第11輯 598頁
修補版:
校定版:
279頁
普及版:
63頁
初版:
ページ備考:
001
カトリックの
僧院
(
そうゐん
)
ホテルの
第三号
(
だいさんがう
)
室
(
しつ
)
には、
002
ヤクが
身体
(
からだ
)
の
傷
(
きず
)
も
八九分
(
はちくぶ
)
通
(
どほ
)
り
全快
(
ぜんくわい
)
したのでチョコナンとして
一人
(
ひとり
)
留守番
(
るすばん
)
をしてゐる。
003
そこへ
慌
(
あわ
)
ただしく
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのは、
004
あやめのお
花
(
はな
)
であつた。
005
お花
『ヤ、
006
お
前
(
まへ
)
はヤク、
007
よう、
008
マア
神妙
(
しんめう
)
に
留守
(
るす
)
をしてゐて
下
(
くだ
)
さつたな。
009
私
(
わたし
)
の
留守中
(
るすちう
)
に、
010
お
寅
(
とら
)
や
綾子
(
あやこ
)
は
来
(
こ
)
なかつたかな』
011
ヤク
『ハイ
鼠
(
ねずみ
)
一匹
(
いつぴき
)
、
012
生物
(
いきもの
)
と
云
(
い
)
つては、
013
来
(
き
)
たものは
厶
(
ござ
)
いませぬ』
014
お花
『
守宮別
(
やもりわけ
)
さまは、
015
どこへ
行
(
い
)
つたのだい』
016
『ヘー』とヤクは
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
き
乍
(
なが
)
ら、
017
ヤク
『
奥様
(
おくさま
)
の
御
(
ご
)
入院中
(
にふゐんちう
)
、
018
お
寅
(
とら
)
さまがおいでになり、
019
何
(
なん
)
だか
嬉
(
うれ
)
しさうにコソコソと
話
(
はなし
)
をして
居
(
を
)
られましたよ』
020
お花
『ナーニ、
021
お
寅
(
とら
)
が
来
(
き
)
た?』
022
と
早
(
はや
)
くも
顔
(
かほ
)
に
血
(
ち
)
を
上
(
あ
)
げて
逆上
(
ぎやくじやう
)
しさうになる。
023
ヤク
『もしもし
奥
(
おく
)
さま、
024
来
(
く
)
るは
来
(
き
)
ましたがね、
025
旦那
(
だんな
)
さまに
小
(
こつ
)
ぴどく
肘鉄
(
ひぢてつ
)
を
喰
(
か
)
まされて、
026
実
(
じつ
)
は、
027
コソコソと
逃
(
に
)
げて
去
(
い
)
にましたよ。
028
ソリヤ、
029
どうも
気持
(
きもち
)
がよいの、
030
よくないのつて、
031
溜飲
(
りういん
)
が
三斗
(
さんと
)
許
(
ばか
)
り
下
(
さが
)
つたやうでしたがな』
032
お花
『イエイエ、
033
そら、
034
嘘
(
うそ
)
だよ。
035
先
(
さき
)
の
嬶
(
かか
)
は
嘘
(
うそ
)
つかぬと
云
(
い
)
つてな、
036
お
前
(
まへ
)
が
初
(
はじ
)
めに
云
(
い
)
つた
言葉
(
ことば
)
が
事実
(
じじつ
)
だらうがな。
037
ソンナ
気休
(
きやす
)
め
文句
(
もんく
)
にごまかされて、
038
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
すやうなお
花
(
はな
)
ですかいな。
039
ヘン、
040
お
前
(
まへ
)
迄
(
まで
)
がグルになつて、
041
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にして
下
(
くだ
)
さるなや』
042
ヤク
『ハイ、
043
トツト、
044
モウ、
045
ネツカラ、
046
ハイ、
047
何
(
なん
)
ですな。
048
ソノ、
049
アノ、
050
それそれ、
051
あの
何
(
なん
)
ですわい』
052
お花
『これ、
053
ヤク』
054
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
らお
花
(
はな
)
は、
055
煙管
(
きせる
)
で
火鉢
(
ひばち
)
の
框
(
かまち
)
をカンと
叩
(
たた
)
き、
056
お花
『お
前
(
まへ
)
のやうなガラクタ
人間
(
にんげん
)
はトツトと
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
057
月給
(
げつきふ
)
をやる
所
(
どころ
)
か、
058
ここの
支払
(
しはら
)
ひもチヤンとして
帰
(
かへ
)
りなさいや。
059
もうお
前
(
まへ
)
には
用
(
よう
)
はないからなア』
060
とツンとして
横
(
よこ
)
を
向
(
む
)
く。
061
ヤクは
俯向
(
うつむ
)
いて
頭
(
あたま
)
をガシガシとかいてゐると、
062
階段
(
かいだん
)
をトントンと
響
(
ひび
)
かせ
乍
(
なが
)
ら、
063
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのは
守宮別
(
やもりわけ
)
である。
064
お
花
(
はな
)
は
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
るより
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつきグツと
胸倉
(
むなぐら
)
を
取
(
と
)
り、
065
声
(
こゑ
)
をふるはせ
乍
(
なが
)
ら、
066
お花
『コヽヽこりや、
067
真極道
(
しんごくだう
)
奴
(
め
)
、
068
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にするにも
程
(
ほど
)
があるぢやないか。
069
こりやガラクタ、
070
今日
(
けふ
)
は、
071
どこへ、
072
うろついて
居
(
を
)
つた。
073
あからさまに
白状
(
はくじやう
)
せぬかい』
074
守宮別
『こりやこりや、
075
お
花
(
はな
)
、
076
さうやかましう
云
(
い
)
つても
仕様
(
しやう
)
がないぢやないか。
077
マアそこ
放
(
はな
)
してくれ。
078
俺
(
おれ
)
やお
前
(
まへ
)
が
橄欖山
(
かんらんざん
)
へ
詣
(
まゐ
)
つたと
聞
(
き
)
いて、
079
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つかけて
来
(
き
)
たのだが、
080
ネツカラ
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えないので、
081
ここへ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのだ。
082
それより
外
(
ほか
)
は、
083
どつこへも
行
(
い
)
つては
居
(
ゐ
)
ないのだからな』
084
お
花
(
はな
)
は
胸倉
(
むなぐら
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
掴
(
つか
)
み、
085
こつき
乍
(
なが
)
ら、
086
お花
『こりや
極道
(
ごくだう
)
、
087
人
(
ひと
)
を
盲
(
めくら
)
にするにも
程
(
ほど
)
がある。
088
お
寅
(
とら
)
と
自動車
(
じどうしや
)
に
乗
(
の
)
り、
089
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つてけつかつたぢやないか。
090
エーエ、
091
辛気
(
しんき
)
臭
(
くさ
)
い、
092
私
(
わし
)
やもう
之
(
これ
)
から
国許
(
くにもと
)
へ
帰
(
かへ
)
る。
093
お
寅
(
とら
)
と
意茶
(
いちや
)
ついてお
暮
(
くら
)
しなさい』
094
守宮別
『そら、
095
さうだ。
096
俺
(
おれ
)
も
実
(
じつ
)
は
自動車
(
じどうしや
)
に
乗
(
の
)
る
事
(
こと
)
は
乗
(
の
)
つた。
097
然
(
しか
)
し、
098
之
(
これ
)
には
曰
(
いは
)
く
因縁
(
いんねん
)
があるのだ。
099
お
寅
(
とら
)
の
奴
(
やつ
)
、
100
失敬
(
しつけい
)
千万
(
せんばん
)
な、
101
俺
(
おれ
)
とお
前
(
まへ
)
が
結婚
(
けつこん
)
したのを
遺恨
(
ゐこん
)
に
持
(
も
)
ちよつてな、
102
お
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
との
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
作
(
つく
)
つて、
103
歌
(
うた
)
つてるので、
104
業腹
(
ごふはら
)
で
堪
(
た
)
まらぬから、
105
自動車
(
じどうしや
)
からつき
落
(
おと
)
してやらうとヒラリと
乗
(
の
)
つた
所
(
ところ
)
、
106
お
前
(
まへ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
たものだから、
107
町
(
まち
)
をあちこちと
探
(
さが
)
して
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのだよ。
108
さう
悪気
(
わるぎ
)
をまはしちや、
109
俺
(
おれ
)
だつてやりきれないぢやないか』
110
お花
『
成程
(
なるほど
)
、
111
さう
聞
(
き
)
きやさうかも
知
(
し
)
れませぬね』
112
とパツと
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
す。
113
守宮別
『ア、
114
これで
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
無罪
(
むざい
)
放免
(
はうめん
)
だ。
115
お
花
(
はな
)
大明神
(
だいみやうじん
)
、
116
否々
(
いないな
)
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
117
ようマア
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいました。
118
有難
(
ありがた
)
う
感謝
(
かんしや
)
致
(
いた
)
します』
119
お花
『オホヽヽヽ、
120
そしてその
宣伝
(
せんでん
)
ビラは、
121
お
前
(
まへ
)
さま
持
(
も
)
つてゐるのかい』
122
守宮別
『イヤ、
123
慌
(
あわ
)
てて
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
も、
124
ヨウ、
125
とつて
来
(
こ
)
なかつたのだ。
126
然
(
しか
)
し
歌
(
うた
)
の
文句
(
もんく
)
は
覚
(
おぼ
)
えてゐるよ』
127
お花
『
何分
(
なにぶん
)
記憶
(
きおく
)
のよい
守宮別
(
やもりわけ
)
さまだから、
128
覚
(
おぼ
)
えてゐらつしやるのでせう。
129
一寸
(
ちよつと
)
ここで
歌
(
うた
)
ふて
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいな』
130
守宮別
『よしよし、
131
腹
(
はら
)
立
(
た
)
てなよ』
132
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
133
口
(
くち
)
から
出鱈目
(
でたらめ
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
つて
見
(
み
)
せる。
134
守宮別
『
打
(
う
)
てよ
懲
(
こら
)
せよ
守宮別
(
やもりわけ
)
を、
135
打
(
う
)
てよ
懲
(
こら
)
せよ、あやめのお
花
(
はな
)
136
彼奴
(
あいつ
)
二人
(
ふたり
)
のガラクタは
137
この
世
(
よ
)
を
乱
(
みだ
)
す
悪神
(
あくがみ
)
だ
138
と、
139
このやうな
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだよ。
140
怪
(
け
)
しからぬぢやないか。
141
一体
(
いつたい
)
お
寅
(
とら
)
の
奴
(
やつ
)
、
142
半狂乱
(
はんきやうらん
)
になつてゐるのだからなア』
143
お花
『
成程
(
なるほど
)
、
144
ひどい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひますね、
145
サアその
次
(
つぎ
)
を
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいな』
146
守宮別
『
守宮別
(
やもりわけ
)
の
大広木
(
おほひろき
)
147
偽乙姫
(
にせおとひめ
)
のお
花
(
はな
)
奴
(
め
)
が
148
大
(
おほ
)
きな
山子
(
やまこ
)
を
企
(
たく
)
らみて
149
新
(
しん
)
ウラナイの
教
(
をしへ
)
をば
150
立
(
た
)
てて
誠
(
まこと
)
のウラナイ
教
(
けう
)
151
この
霊城
(
れいじやう
)
を
覆
(
くつが
)
へし
152
天下
(
てんか
)
を
取
(
と
)
らうと
企
(
たく
)
みゐる
153
鬼
(
おに
)
より
蛇
(
じや
)
よりひどい
奴
(
やつ
)
154
覚
(
さ
)
めよ
悟
(
さと
)
れよエルサレム
155
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
人々
(
ひとびと
)
よ
156
誠
(
まこと
)
の
誠
(
まこと
)
の
神柱
(
かむばしら
)
157
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
より
外
(
ほか
)
にない
158
と、
159
コンナ
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
しよつてな、
160
本当
(
ほんたう
)
に
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つたものだから、
161
一寸
(
ちよつと
)
自動車
(
じどうしや
)
に
乗
(
の
)
りこみ
談判
(
だんぱん
)
してゐたのだ。
162
お
寅
(
とら
)
の
奴
(
やつ
)
、
163
挺
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でもいく
奴
(
やつ
)
ぢやないわ』
164
お花
『
挺
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも、
165
いかぬ、
166
そのお
寅
(
とら
)
さまが
恋
(
こひ
)
しいのだもの、
167
私
(
わたし
)
が
知
(
し
)
らぬかと
思
(
おも
)
つてコツソリと
密約
(
みつやく
)
を
締結
(
ていけつ
)
したのでせう。
168
何程
(
なにほど
)
孫呉
(
そんご
)
の
兵法
(
へいはふ
)
を
用
(
もち
)
ゐて、
169
お
花
(
はな
)
さまをちよろまかさうと
思
(
おも
)
つても、
170
此
(
この
)
一万
(
いちまん
)
円
(
ゑん
)
は
一文
(
いちもん
)
の
生中
(
きなか
)
も
渡
(
わた
)
しませぬよ。
171
ホヽヽヽ。
172
この
宣伝
(
せんでん
)
ビラはどうです』
173
と
懐
(
ふところ
)
から
四五
(
しご
)
枚
(
まい
)
、
174
放
(
ほう
)
り
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せる。
175
守宮別
『
成程
(
なるほど
)
、
176
こりや……お
寅
(
とら
)
の……
撒
(
ま
)
いたのぢやなからう、
177
文句
(
もんく
)
が
違
(
ちが
)
ふぢやないか』
178
お花
『お
寅
(
とら
)
が
撒
(
ま
)
いたのぢやありませぬよ。
179
守宮別
(
やもりわけ
)
と
云
(
い
)
ふガラクタが
撒
(
ま
)
いたのですよ。
180
サアこれでも
返答
(
へんたふ
)
が
厶
(
ござ
)
いますかな、
181
イヒヽヽヽヽ』
182
守宮別
『イヤ、
183
降参
(
かうさん
)
した、
184
お
前
(
まへ
)
にやもう
叶
(
かな
)
はぬわい。
185
堪
(
こら
)
へてくれ、
186
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
改心
(
かいしん
)
するからな』
187
お花
『ヘン、
188
どうなつと、
189
勝手
(
かつて
)
になさいませ。
190
改心
(
かいしん
)
せうと
慢心
(
まんしん
)
せうと、
191
お
前
(
まへ
)
さまの
魂
(
たましひ
)
だもの、
192
私
(
わたし
)
はもう
愛憎
(
あいそ
)
が
尽
(
つ
)
きました。
193
以後
(
いご
)
はモウ
関係
(
くわんけい
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
194
これから
国
(
くに
)
へ
帰
(
かへ
)
つて、
195
お
前
(
まへ
)
やお
寅
(
とら
)
さまの
脱線振
(
だつせんぶり
)
を、
196
傘
(
かさ
)
に
傘
(
かさ
)
をかけて
吹聴
(
ふいちやう
)
しますから、
197
その
積
(
つも
)
りで
居
(
を
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
198
ホヽヽヽヽ』
199
守宮別
(
やもりわけ
)
は
言句
(
げんく
)
も
出
(
いで
)
ず、
200
当惑
(
たうわく
)
してゐると、
201
そこへ
自動車
(
じどうしや
)
を
横
(
よこ
)
づけにして
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
たのは、
202
お
寅
(
とら
)
である。
203
お
寅
(
とら
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
気絶
(
きぜつ
)
してゐたが、
204
医師
(
いし
)
の
看護
(
かんご
)
によつて
忽
(
たちま
)
ち
全快
(
ぜんくわい
)
し、
205
又
(
また
)
もやお
花
(
はな
)
が
守宮別
(
やもりわけ
)
を
捉
(
とら
)
へて、
206
脂下
(
やにさが
)
つてゐないかと、
207
取
(
と
)
る
物
(
もの
)
もとり
敢
(
あへ
)
ず、
208
やつて
来
(
き
)
たのである。
209
お
寅
(
とら
)
は
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
210
お寅
『これはこれはお
花
(
はな
)
さまで
厶
(
ござ
)
いますか、
211
何
(
なん
)
とマアお
仲
(
なか
)
のよいこと、
212
ホヽヽヽ、
213
実
(
じつ
)
にお
羨
(
うらや
)
ましう
厶
(
ござ
)
いますわいな』
214
お
花
(
はな
)
は
悪胴
(
わるどう
)
を
据
(
す
)
ゑ、
215
お
寅
(
とら
)
を
尻目
(
しりめ
)
にかけ
乍
(
なが
)
ら、
216
お花
『お
寅
(
とら
)
さま、
217
何程
(
なにほど
)
愛嬌
(
あいけう
)
をふりまいて
下
(
くだ
)
さつても
駄目
(
だめ
)
ですよ。
218
一万
(
いちまん
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
は
私
(
わたし
)
のものですから、
219
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
てる
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬわい。
220
ようマア
守宮別
(
やもりわけ
)
さまと、
221
ここ
迄
(
まで
)
深
(
ふか
)
く
企
(
たく
)
んで
下
(
くだ
)
さいましたね。
222
流石
(
さすが
)
は
私
(
わたし
)
の
師匠
(
ししやう
)
に
一旦
(
いつたん
)
なつて
下
(
くだ
)
さつた
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
丈
(
だけ
)
あつて、
223
凄
(
すご
)
い
腕前
(
うでまへ
)
、
224
実
(
じつ
)
に
感服
(
かんぷく
)
致
(
いた
)
しました。
225
サアサアこの
動物
(
どうぶつ
)
を、
226
勝手
(
かつて
)
に
喰
(
く
)
わへて
帰
(
かへ
)
りて
下
(
くだ
)
さい、
227
私
(
わたし
)
には、
228
チツとも
未練
(
みれん
)
が
厶
(
ござ
)
いませぬから』
229
守宮別
(
やもりわけ
)
は「この
動物
(
どうぶつ
)
」と
云
(
い
)
はれたのを
耳
(
みみ
)
に、
230
はさみ、
231
ムツト
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て、
232
守宮別
『コーリヤ、
233
従順
(
おとなし
)
くしてゐればつけあがり、
234
一人前
(
いちにんまへ
)
の
男子
(
だんし
)
をば、
235
動物
(
どうぶつ
)
とは
何
(
なん
)
だ』
236
と
拳固
(
げんこ
)
をかためて
打
(
う
)
つてかからむとする。
237
お
花
(
はな
)
は
平然
(
へいぜん
)
として、
238
お花
『ホヽヽヽ、
239
弥之助
(
やのすけ
)
人形
(
にんぎやう
)
の
空踊
(
からおど
)
り、
240
鬼
(
おに
)
の
面
(
めん
)
を
被
(
かぶ
)
つて
人
(
ひと
)
を
驚
(
おどろ
)
かすやうな
下手
(
へた
)
な
真似
(
まね
)
はなさいますなや。
241
アタ
阿呆
(
あはう
)
らしい。
242
ソンナ
事
(
こと
)
でヘコたれるお
花
(
はな
)
ですかいな。
243
お
寅
(
とら
)
婆
(
ばば
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
企
(
たく
)
みた
芝居
(
しばゐ
)
も、
244
かう
楽屋
(
がくや
)
が
見
(
み
)
えては、
245
ヘン、
246
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さま。
247
むしろ
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
から
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
を
注
(
そそ
)
ぎますわいな。
248
イヒヽヽヽヽ』
249
お寅
『これ、
250
お
花
(
はな
)
さま、
251
あまりぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
252
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
も
私
(
わたし
)
の
側
(
そば
)
に
居
(
を
)
つて、
253
まだ、
254
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
が
分
(
わか
)
らないのですか』
255
お花
『どうも
分
(
わか
)
りませぬな。
256
手練
(
てれん
)
手管
(
てくだ
)
のあり
丈
(
だけ
)
を
尽
(
つく
)
し、
257
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
にヘグレてヘグレておへぐれ
遊
(
あそ
)
ばすヘグレ
武者
(
むしや
)
、
258
へぐれのへぐれのヘグレ
神社
(
じんじや
)
の
生宮
(
いきみや
)
さまだもの』
259
斯
(
か
)
く
互
(
たがひ
)
に
毒
(
どく
)
ついてゐる
所
(
ところ
)
へ、
260
エルサレム
署
(
しよ
)
の
高等係
(
かうとうがかり
)
が
二人
(
ふたり
)
の
巡査
(
じゆんさ
)
と
共
(
とも
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
261
高等係(警察)
『
守宮別
(
やもりわけ
)
さまに、
262
一寸
(
ちよつと
)
お
目
(
め
)
にかかり
度
(
た
)
いから
取次
(
とりつ
)
いで
下
(
くだ
)
さい』
263
階下
(
かいか
)
にシヤガンでゐたボーイは、
264
米搗
(
こめつき
)
バツタ
宜
(
よろ
)
しく、
265
もみ
手
(
て
)
をしたり、
266
腰
(
こし
)
を
幾度
(
いくど
)
も
屈
(
かが
)
め
乍
(
なが
)
ら、
267
ボーイ
『ハイ、
268
畏
(
かしこ
)
まりました』
269
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち
三号室
(
さんがうしつ
)
へ
案内
(
あんない
)
した。
270
高等係
『エー、
271
ン、
272
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら
本署
(
ほんしよ
)
より
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
273
お
寅
(
とら
)
さま、
274
お
花
(
はな
)
さまに
対
(
たい
)
し、
275
聖地
(
せいち
)
の
退去
(
たいきよ
)
命令
(
めいれい
)
が
出
(
で
)
ましたから、
276
どうか
此
(
この
)
書面
(
しよめん
)
に
受印
(
うけいん
)
をして
下
(
くだ
)
さい』
277
守宮別
『コリヤ
怪
(
け
)
しからぬ、
278
退去
(
たいきよ
)
命令
(
めいれい
)
を
受
(
う
)
けるやうな
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をした
覚
(
おぼ
)
えは
厶
(
ござ
)
いませぬがな』
279
高等係
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
280
この
指令書
(
しれいしよ
)
を
読
(
よ
)
んで
御覧
(
ごらん
)
なさい。
281
……
聖地
(
せいち
)
の
風儀
(
ふうぎ
)
を
紊
(
みだ
)
し、
282
治安
(
ちあん
)
に
妨害
(
ばうがい
)
ありと
認
(
みと
)
むるを
以
(
もつ
)
て、
283
三日
(
みつか
)
以内
(
いない
)
に
聖地
(
せいち
)
を
退却
(
たいきやく
)
すべし。
284
万一
(
まんいち
)
拒
(
こば
)
むに
於
(
おい
)
ては
刑務所
(
けいむしよ
)
に
三
(
さん
)
年間
(
ねんかん
)
投入
(
とうにふ
)
すべきものなり。
285
……と
記
(
しる
)
されてあります。
286
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら
用意
(
ようい
)
をして
貰
(
もら
)
はねばなりませぬ』
287
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
から
受印
(
うけいん
)
を
取
(
と
)
り、
288
靴音
(
くつおと
)
高
(
たか
)
く
階段
(
かいだん
)
を
下
(
くだ
)
りかへり
行
(
ゆ
)
く。
289
(
大正一四・八・二一
旧七・二
於由良秋田別荘
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
帰国と鬼哭 >>>
霊界物語
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