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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第64巻(卯の巻)下
序文
総説
第1篇 復活転活
第1章 復活祭
第2章 逆襲
第3章 草居谷底
第4章 誤霊城
第5章 横恋慕
第2篇 鬼薊の花
第6章 金酒結婚
第7章 虎角
第8章 擬侠心
第9章 狂怪戦
第10章 拘淫
第3篇 開花落花
第11章 狂擬怪
第12章 開狂式
第13章 漆別
第14章 花曇
第15章 騒淫ホテル
第4篇 清風一過
第16章 誤辛折
第17章 茶粕
第18章 誠と偽
第19章 笑拙種
第20章 猫鞍干
第21章 不意の官命
第22章 帰国と鬼哭
余白歌
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霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第64巻(卯の巻)下
> 第2篇 鬼薊の花 > 第9章 狂怪戦
<<< 擬侠心
(B)
(N)
拘淫 >>>
第九章
狂怪戦
(
けうくわいせん
)
〔一八一五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下
篇:
第2篇 鬼薊の花
よみ(新仮名遣い):
おにあざみのはな
章:
第9章 狂怪戦
よみ(新仮名遣い):
きょうかいせん
通し章番号:
1815
口述日:
1925(大正14)年08月20日(旧07月1日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年11月7日
概要:
舞台:
橄欖山の坂道
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2017-11-26 18:23:46
OBC :
rm64b09
愛善世界社版:
113頁
八幡書店版:
第11輯 537頁
修補版:
校定版:
114頁
普及版:
63頁
初版:
ページ備考:
001
お
花
(
はな
)
『
有為
(
うゐ
)
転変
(
てんぺん
)
は
世
(
よ
)
の
習
(
なら
)
ひ
002
天
(
てん
)
が
地
(
ち
)
となり
地
(
ち
)
は
天
(
てん
)
と
003
変
(
かは
)
る
浮世
(
うきよ
)
の
有様
(
ありさま
)
は
004
お
花
(
はな
)
と
貴方
(
あなた
)
の
事
(
こと
)
だらう
005
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さ
)
めても
夢現
(
ゆめうつつ
)
006
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
007
頭
(
あたま
)
の
先
(
さき
)
から
爪
(
つめ
)
の
端
(
はし
)
008
身
(
み
)
も
魂
(
たましひ
)
も
打
(
う
)
ちこみて
009
惚
(
ほ
)
れて
厶
(
ござ
)
つたお
前
(
まへ
)
さま
010
どうした
風
(
かぜ
)
の
吹廻
(
ふきまは
)
しか
011
私
(
わたし
)
とコンナ
仲
(
なか
)
となり
012
二世
(
にせ
)
を
契
(
ちぎ
)
つた
夫婦
(
ふうふ
)
連
(
づ
)
れ
013
此
(
この
)
聖場
(
せいじやう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
014
嘸
(
さぞ
)
や
御
(
ご
)
嘉納
(
かなふ
)
なさるだらう
015
何程
(
なにほど
)
神
(
かみ
)
ぢや
仏
(
ほとけ
)
ぢやと
016
高尚
(
かうしやう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つたとて
017
人
(
ひと
)
は
肉体
(
にくたい
)
ある
限
(
かぎ
)
り
018
湧
(
わ
)
いて
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
性
(
せい
)
の
欲
(
よく
)
019
満
(
み
)
たす
事
(
こと
)
をば
知
(
し
)
らずして
020
可惜
(
あたら
)
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
るのは
021
天
(
てん
)
の
与
(
あた
)
へた
快楽
(
くわいらく
)
を
022
蹂躪
(
じうりん
)
すると
云
(
い
)
ふものだ
023
ラブ・イズ・ベストをふり
廻
(
まは
)
し
024
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
性
(
せい
)
の
欲
(
よく
)
025
遂
(
と
)
げた
処
(
ところ
)
で
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
026
干渉
(
かんせう
)
すべき
理由
(
りいう
)
はない
027
あゝ
面白
(
おもしろ
)
やたのもしや
028
コンナ
尊
(
たふと
)
き
歓楽
(
くわんらく
)
を
029
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまにだまされて
030
竜宮海
(
りうぐうかい
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
の
031
身魂
(
みたま
)
ぢや
改心
(
かいしん
)
せにやならぬ
032
もしも
男
(
をとこ
)
に
触
(
さは
)
つたら
033
八万劫
(
はちまんごふ
)
の
罪咎
(
つみとが
)
が
034
一度
(
いちど
)
に
現
(
あら
)
はれ
日
(
ひ
)
に
三度
(
さんど
)
035
極寒
(
ごくかん
)
極暑
(
ごくしよ
)
の
苦
(
くる
)
しみを
036
受
(
う
)
けると
甘
(
うま
)
く
騙
(
だま
)
かして
037
私
(
わたし
)
を
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
釣
(
つ
)
つて
呉
(
く
)
れた
038
ほんに
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
ふ
程
(
ほど
)
039
妾
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
馬鹿
(
ばか
)
だらう
040
恋
(
こひ
)
に
目醒
(
めざ
)
めた
此
(
この
)
お
花
(
はな
)
041
もはや
弓
(
ゆみ
)
でも
鉄砲
(
てつぱう
)
でも
042
びくとも
動
(
うご
)
かぬ
磐石心
(
ばんじやくしん
)
043
固
(
かた
)
めた
上
(
うへ
)
はお
前
(
まへ
)
さま
044
浮気心
(
うはきごころ
)
を
払拭
(
ふつしき
)
し
045
どこどこ
迄
(
まで
)
も
偕老
(
かいらう
)
の
046
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
んで
下
(
くだ
)
されや
047
命
(
いのち
)
も
宝
(
たから
)
もなげ
捨
(
す
)
てて
048
お
前
(
まへ
)
に
任
(
まか
)
した
此
(
この
)
身体
(
からだ
)
049
焼
(
や
)
いて
喰
(
く
)
はふと
煮
(
に
)
て
喰
(
く
)
はふと
050
決
(
けつ
)
して
不足
(
ふそく
)
は
云
(
い
)
ひませぬ
051
さはさりながら
旦那
(
だんな
)
さま
052
貴方
(
あなた
)
は
本当
(
ほんたう
)
に
水
(
みづ
)
くさい
053
二世
(
にせ
)
を
契
(
ちぎ
)
つた
女房
(
にようばう
)
の
054
ある
身
(
み
)
で
居
(
ゐ
)
ながらうかうかと
055
義侠心
(
ぎけふしん
)
をば
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して
056
トロッキーさまの
身替
(
みがは
)
りに
057
警察署
(
けいさつしよ
)
の
門戸
(
もんこ
)
をば
058
潜
(
くぐ
)
つてやらうと
仰有
(
おつしや
)
つた
059
義侠
(
ぎけふ
)
も
仁侠
(
じんけふ
)
もよいけれど
060
ソンナ
無益
(
むえき
)
な
犠牲
(
ぎせい
)
をば
061
払
(
はら
)
つて
居
(
を
)
つては
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
062
生
(
いき
)
て
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
ア
出来
(
でき
)
ませぬ
063
これ
許
(
ばか
)
りは
旦那
(
だんな
)
さま
064
私
(
わたし
)
が
可愛
(
かあい
)
と
思
(
おも
)
ふなら
065
思
(
おも
)
ひとまつて
下
(
くだ
)
されや
066
人気
(
にんき
)
の
悪
(
わる
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
067
何時
(
いつ
)
騒動
(
さうだう
)
が
起
(
おこ
)
るやら
068
分
(
わか
)
つたものではありませぬ
069
其
(
その
)
度毎
(
たびごと
)
に
犠牲者
(
ぎせいしや
)
と
070
なつて
行
(
ゆ
)
かれちや
此
(
この
)
お
花
(
はな
)
071
どうして
立
(
た
)
つ
瀬
(
せ
)
がありませう
072
軍人
(
ぐんじん
)
さまを
夫
(
つま
)
にもち
073
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
む
間
(
ま
)
も
非
(
あら
)
ず
074
コンナ
苦
(
くる
)
しい
思
(
おも
)
ひをば
075
させられやうとは
知
(
し
)
らナンだ
076
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
か
知
(
し
)
らねども
077
今後
(
こんご
)
は
止
(
や
)
めて
下
(
くだ
)
されや
078
可愛
(
かあい
)
女房
(
にようばう
)
が
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ
079
涙
(
なみだ
)
流
(
なが
)
して
頼
(
たの
)
みます
080
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
081
ウラナイ
教
(
けう
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
082
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
に
移動
(
いどう
)
する
083
夫
(
をつと
)
の
心
(
こころ
)
を
喰
(
く
)
ひ
止
(
や
)
めて
084
私
(
わたし
)
の
身魂
(
みたま
)
にピツタリと
085
釘
(
くぎ
)
鎹
(
かすがひ
)
を
打
(
う
)
つたやうに
086
離
(
はな
)
れないやう
願
(
ねが
)
ひます
087
これが
一生
(
いつしやう
)
のお
願
(
ねが
)
ひだ
088
縁
(
えん
)
と
云
(
い
)
ふもの
妙
(
めう
)
なもの
089
海外
(
かいぐわい
)
万里
(
ばんり
)
の
此
(
この
)
国
(
くに
)
で
090
何
(
なん
)
とも
思
(
おも
)
ふて
居
(
ゐ
)
なかつた
091
守宮別
(
やもりわけ
)
さまが
恋
(
こひ
)
しうなり
092
足許
(
あしもと
)
さへも
見
(
み
)
えぬ
迄
(
まで
)
093
恋
(
こひ
)
の
暗路
(
やみぢ
)
に
迷
(
まよ
)
ひました
094
私
(
わたし
)
は
心
(
こころ
)
が
狂
(
くる
)
ふたのか
095
吾
(
われ
)
と
吾
(
わが
)
身
(
み
)
が
怪
(
あや
)
しうなり
096
合点
(
がつてん
)
行
(
ゆ
)
かぬよになりました
097
ホンに
女
(
をんな
)
と
云
(
い
)
ふものは
098
男
(
をとこ
)
にかけたら
脆
(
もろ
)
いもの
099
男
(
をとこ
)
の
一嚬
(
いつぴん
)
一笑
(
いつせう
)
が
100
胸
(
むね
)
に
五寸釘
(
ごすんぐぎ
)
打
(
う
)
つやうに
101
苦
(
くる
)
しい
思
(
おも
)
ひがして
来
(
き
)
ます
102
頭
(
あたま
)
に
霜
(
しも
)
をちらちらと
103
戴
(
いただ
)
く
身
(
み
)
ながら
村肝
(
むらきも
)
の
104
心
(
こころ
)
は
元
(
もと
)
の
二八空
(
にはちぞら
)
105
胸
(
むね
)
はどきどき
息
(
いき
)
つまり
106
恥
(
はぢ
)
も
外聞
(
ぐわいぶん
)
も
何
(
なん
)
のその
107
コンナ
心
(
こころ
)
になつたのも
108
罪
(
つみ
)
なお
前
(
まへ
)
がある
故
(
ゆゑ
)
だ
109
広
(
ひろ
)
い
天地
(
てんち
)
の
其
(
その
)
間
(
あひ
)
に
110
たつた
一人
(
ひとり
)
のお
前
(
まへ
)
さま
111
私
(
わたし
)
の
命
(
いのち
)
ぞ
力
(
ちから
)
ぞや
112
もしもお
前
(
まへ
)
が
死
(
し
)
んだなら
113
さつぱり
此
(
この
)
世
(
よ
)
は
地獄
(
ぢごく
)
ぞや
114
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
の
底
(
そこ
)
迄
(
まで
)
も
115
好
(
す
)
きな
貴方
(
あなた
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
116
落
(
お
)
ちて
行
(
ゆ
)
くなら
厭
(
いと
)
やせぬ
117
これ
程
(
ほど
)
思
(
おも
)
ふて
居
(
ゐ
)
る
私
(
わし
)
を
118
すげなう
見捨
(
みす
)
てて
下
(
くだ
)
さるな
119
見捨
(
みす
)
てられたる
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
120
地震
(
ぢしん
)
雷
(
かみなり
)
火
(
ひ
)
の
雨
(
あめ
)
も
121
まだまだおろか
鬼
(
おに
)
となり
122
大蛇
(
をろち
)
となりて
素首
(
そつくび
)
を
123
引
(
ひ
)
きぬきますよ
旦那
(
だんな
)
さま
124
先
(
さき
)
に
気
(
き
)
をつけおきまする
125
あゝ
頼
(
たの
)
もしや
頼
(
たの
)
もしや
126
処
(
ところ
)
は
世界
(
せかい
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
127
貴
(
たつと
)
き
神
(
かみ
)
のあれませる
128
橄欖山
(
かんらんざん
)
の
聖城
(
せいじやう
)
で
129
三四十
(
さんしじふ
)
年
(
ねん
)
も
若返
(
わかがへ
)
り
130
嶮
(
けは
)
しき
御山
(
みやま
)
を
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて
131
詣
(
まゐ
)
る
心
(
こころ
)
は
天国
(
てんごく
)
の
132
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
楽園
(
らくゑん
)
を
133
百
(
もも
)
のエンゼルに
導
(
みちび
)
かれ
134
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
くやうな
心地
(
ここち
)
ぞや
135
あゝあゝ
長生
(
ながい
)
きすればこそ
136
年
(
とし
)
を
取
(
と
)
つてから
恋愛
(
れんあい
)
の
137
本当
(
ほんたう
)
の
本当
(
ほんたう
)
の
味
(
あぢは
)
ひが
138
分
(
わか
)
つて
来
(
き
)
たのだ
有難
(
ありがた
)
い
139
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
や
大
(
おほ
)
ミロク
140
生宮
(
いきみや
)
さまの
前
(
まへ
)
だとて
141
コンナ
楽
(
たの
)
しい
潔
(
いさぎよ
)
い
142
思
(
おもひ
)
を
今迄
(
いままで
)
せなかつた
143
ホンに
貴方
(
あなた
)
は
救世主
(
きうせいしゆ
)
144
天津
(
あまつ
)
御国
(
みくに
)
のエンゼルよ
145
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
146
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ。
147
ホヽヽヽヽヽ、
148
これ
守宮別
(
やもりわけ
)
の
旦那
(
だんな
)
さま、
149
私
(
わたし
)
の
思
(
おも
)
ひを
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
つて
下
(
くだ
)
さつたら、
150
余
(
あま
)
り
憎
(
にく
)
ふは
厶
(
ござ
)
いますまい。
151
どうかイターナルに
愛
(
あい
)
を
注
(
そそ
)
いで
下
(
くだ
)
さいな。
152
道草
(
みちぐさ
)
を
喰
(
く
)
つたり
横
(
よこ
)
を
向
(
む
)
ひたりしちや
嫌
(
きら
)
ひですよ。
153
私
(
わたし
)
と
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
な
奥
(
おく
)
さまがあるのに
元
(
もと
)
が
軍人
(
ぐんじん
)
気質
(
かたぎ
)
だから
要
(
い
)
らざる
義侠心
(
ぎけふしん
)
を
出
(
だ
)
し、
154
暴悪
(
ばうあく
)
無頼
(
ぶらい
)
のトロッキーなどの
身替
(
みがは
)
りにアタ
阿呆
(
あはう
)
らしい
警察
(
けいさつ
)
へ
縛
(
しば
)
られ
行
(
ゆ
)
くナンテ、
155
そんな
事
(
こと
)
は
止
(
や
)
めて
下
(
くだ
)
されや。
156
何程
(
なにほど
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
救
(
すくふ
)
と
云
(
い
)
つたとてキリストさまのやうに
磔刑
(
はりつけ
)
になつちやたまりませぬよ』
157
守宮別
『お
前
(
まへ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
磔刑
(
はりつけ
)
になつたらよいぢやないか、
158
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
名
(
な
)
が
残
(
のこ
)
るぞよ。
159
お
前
(
まへ
)
とお
寅
(
とら
)
さまと
口癖
(
くちぐせ
)
のやうに、
160
世界
(
せかい
)
の
万民
(
ばんみん
)
を
助
(
たす
)
けたら
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
結構
(
けつこう
)
な
名
(
な
)
が
残
(
のこ
)
るといつて
居
(
ゐ
)
たぢやないか。
161
昔
(
むかし
)
キリストが
十字架
(
じふじか
)
にかかつて
万民
(
ばんみん
)
の
罪
(
つみ
)
を
贖
(
あがな
)
つたと
云
(
い
)
ふこのエルサレムで
世界
(
せかい
)
の
犠牲者
(
ぎせいしや
)
となり
末代
(
まつだい
)
の
名
(
な
)
を
残
(
のこ
)
すのも
人間
(
にんげん
)
としては
痛快事
(
つうくわいじ
)
だよ。
162
なアお
花
(
はな
)
さま』
163
お花
『
嫌
(
いや
)
ですよ、
164
お
花
(
はな
)
さまなんて
他人
(
たにん
)
らしいソンナ
言葉
(
ことば
)
おいて
下
(
くだ
)
さい、
165
何程
(
なにほど
)
名
(
な
)
が
残
(
のこ
)
ると
云
(
い
)
つたつて
命
(
いのち
)
が
無
(
な
)
くなつて
了
(
しま
)
へば
肉体
(
にくたい
)
的
(
てき
)
歓楽
(
くわんらく
)
を
味
(
あぢ
)
はふ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬぢやありませぬか』
166
守宮別
『
死
(
し
)
んで
未来
(
みらい
)
で
仲
(
なか
)
よく
添
(
そ
)
ふたら
好
(
よ
)
いぢやないか、
167
さうすれやお
前
(
まへ
)
もお
寅
(
とら
)
さまに
取
(
と
)
りかへされる
心配
(
しんぱい
)
も
要
(
い
)
らず、
168
宇宙
(
うちう
)
第一
(
だいいち
)
の
安全
(
あんぜん
)
地帯
(
ちたい
)
だよ。
169
俺
(
おれ
)
だつてトロッキーなどの
身替
(
みがは
)
りになるやうな
馬鹿
(
ばか
)
ぢやないが、
170
一寸
(
ちよつと
)
お
前
(
まへ
)
に
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は……
義侠心
(
ぎけふしん
)
の
強
(
つよ
)
い
男
(
をとこ
)
だなア……とこのやうに
思
(
おも
)
はし
度
(
た
)
いので
芝居
(
しばゐ
)
をやつて
見
(
み
)
たのだ。
171
其
(
その
)
上
(
うへ
)
沢山
(
たくさん
)
の
農民
(
のうみん
)
団体
(
だんたい
)
や
労働
(
らうどう
)
団体
(
だんたい
)
が
傍
(
そば
)
にごろついて
居
(
ゐ
)
たものだから、
172
日
(
ひ
)
の
出島
(
でじま
)
の
守宮別
(
やもりわけ
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
は
義侠心
(
ぎけふしん
)
に
富
(
と
)
んだ
男
(
をとこ
)
だ、
173
彼
(
あ
)
れこそ
真当
(
ほんたう
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
だと
世界中
(
せかいぢう
)
に
名
(
な
)
を
広
(
ひろ
)
めやうと
思
(
おも
)
つた
私
(
わたし
)
の
策略
(
さくりやく
)
だよ。
174
兎角
(
とかく
)
人間
(
にんげん
)
は
広
(
ひろ
)
く
名
(
な
)
を
知
(
し
)
られないと
仕事
(
しごと
)
が
出来
(
でき
)
ないからなア。
175
あのウズンバラ・チヤンダーだつて
実際
(
じつさい
)
に
交際
(
つき
)
あつて
見
(
み
)
ればコンマ
以下
(
いか
)
の
人間
(
にんげん
)
だ。
176
俺
(
おれ
)
から
見
(
み
)
れば
小指
(
こゆび
)
の
端
(
はし
)
にも
足
(
た
)
らないやうな
小人物
(
せうじんぶつ
)
だ。
177
そいつがふとした
事
(
こと
)
から
事件
(
じけん
)
を
捲
(
ま
)
き
起
(
おこ
)
し
世界中
(
せかいぢう
)
に
名
(
な
)
が
響
(
ひび
)
いたものだから、
178
世界
(
せかい
)
の
阿呆
(
あはう
)
共
(
ども
)
がキリストの
再来
(
さいらい
)
だ、
179
ミロクの
出現
(
しゆつげん
)
だ、
180
メシヤだ、
181
などと
担
(
かつ
)
ぐやうになつたのだ。
182
売名策
(
ばいめいさく
)
には
労働者
(
らうどうしや
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
つて
一寸
(
ちよつと
)
味
(
あぢ
)
をやるのが
一番
(
いちばん
)
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
だよ、
183
ハヽヽヽ』
184
お花
『ホヽヽヽヽ、
185
何
(
なん
)
とまア
抜
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
の
無
(
な
)
いお
方
(
かた
)
だ
事
(
こと
)
。
186
それ
丈
(
だけ
)
の
知恵
(
ちゑ
)
がある
癖
(
くせ
)
に
今迄
(
いままで
)
どうしてお
寅
(
とら
)
さまのやうな、
187
没分暁漢
(
わからずや
)
に
食
(
くら
)
ひついて
入
(
い
)
らつしやつたのですか』
188
守宮別
『お
寅
(
とら
)
さまは
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
ぢやないか、
189
脱線
(
だつせん
)
だらけの
分
(
わか
)
らない
事
(
こと
)
を
喋
(
しや
)
べり
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
ても、
190
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふても
系統
(
ひつぽう
)
だから、
191
三五教
(
あななひけう
)
の
没分暁漢
(
わからずや
)
連
(
れん
)
がコソコソとひつつきに
来
(
き
)
よる。
192
そいつを
利用
(
りよう
)
して、
193
つまり
要
(
えう
)
するに
三五教
(
あななひけう
)
の
転覆
(
てんぷく
)
を
企
(
くはだ
)
て、
194
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
取
(
と
)
つて
代
(
かは
)
らうと
云
(
い
)
ふ
大野心
(
だいやしん
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
たからだ』
195
お花
『
何
(
なん
)
とまア
人
(
ひと
)
は
見
(
み
)
かけによらぬものだ
事
(
こと
)
、
196
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
の
守宮別
(
やもりわけ
)
さまと
播陽
(
ばんやう
)
さまでさへ
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
られた
位
(
くらゐ
)
だから、
197
酒
(
さけ
)
さへ
呑
(
の
)
ましておけばいい
男
(
をとこ
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たに、
198
聞
(
き
)
けば
聞
(
き
)
く
程
(
ほど
)
頼
(
たの
)
もしい
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
だらう。
199
併
(
しか
)
しそれも
無理
(
むり
)
もない、
200
世界
(
せかい
)
の
事
(
こと
)
にかけたら
酸
(
すい
)
も
甘
(
あま
)
いも
辛
(
から
)
いも
悟
(
さと
)
りきつた
蹴爪
(
けづめ
)
の
生
(
は
)
えた、
201
コケコツコウか、
202
尾
(
を
)
が
二
(
ふた
)
つに
分
(
わか
)
れた
山猫
(
やまねこ
)
のやうなアヤメのお
花
(
はな
)
を
蕩
(
とろ
)
かすと
云
(
い
)
ふ
腕
(
うで
)
があるのだもの、
203
ホヽヽヽヽ。
204
油断
(
ゆだん
)
も
隙
(
すき
)
もならない
主人
(
しゆじん
)
だわ。
205
一
(
ひと
)
つ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
206
否
(
いな
)
旦那
(
だんな
)
さま
貴方
(
あなた
)
の
得意
(
とくい
)
な
鈴虫
(
すずむし
)
のやうな
声
(
こゑ
)
で
詩吟
(
しぎん
)
でもやつて
下
(
くだ
)
さいな。
207
私
(
わたし
)
ばつかりに
歌
(
うた
)
はしてあまり
平衡
(
へいかう
)
が
取
(
と
)
れませぬわ』
208
守宮別
『よしよしお
望
(
のぞ
)
みとあれば
詩吟
(
しぎん
)
でも
何
(
なん
)
でもやらう』
209
と
銅羅声
(
どらごゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ
大口
(
おほぐち
)
をあけ、
210
守宮別
『
月
(
つき
)
落
(
お
)
ち
烏
(
からす
)
啼
(
な
)
いて
霜
(
しも
)
天
(
てん
)
に
満
(
み
)
つ
211
暁
(
あかつき
)
に
見
(
み
)
る
千兵
(
せんぺい
)
の
大河
(
たいが
)
を
擁
(
よう
)
するを…… ゼスト……』
212
お花
『これ
旦那
(
だんな
)
さま、
213
ソンナ
旧
(
ふる
)
めかしい
詩吟
(
しぎん
)
ならもう
止
(
や
)
めて
下
(
くだ
)
さい。
214
どうか
私
(
わたし
)
の
事
(
こと
)
を
謡
(
うた
)
つて
貰
(
もら
)
ひたいのですがなア』
215
守宮別
『よしよし、
216
それぢや
新派
(
しんぱ
)
で
一
(
ひと
)
つやつて
見
(
み
)
やう。
217
歯
(
は
)
の
浮
(
う
)
くやうな
艶
(
つや
)
つぽい
歌
(
うた
)
だよ、
218
オホン。
219
天
(
てん
)
を
背景
(
はいけい
)
となし
220
地
(
ち
)
を
舞台
(
ぶたい
)
となし
221
雲
(
くも
)
の
袖
(
そで
)
をふるつて
222
大宇宙
(
だいうちう
)
に
活躍
(
くわつやく
)
す
223
あゝ
吾
(
われ
)
人
(
ひと
)
と
生
(
うま
)
れて
人
(
ひと
)
に
非
(
あら
)
ず
224
さりとて
獣
(
けもの
)
にも
非
(
あら
)
ず
225
又
(
また
)
神
(
かみ
)
でもなければ
仏
(
ほとけ
)
にも
非
(
あら
)
ず
226
広
(
ひろ
)
い
宇宙
(
うちう
)
に
只
(
ただ
)
一点
(
いつてん
)
の
肉塊
(
にくくわい
)
として
227
忽然
(
こつぜん
)
として
住
(
す
)
めるのみ
228
あゝ
天
(
てん
)
の
時
(
とき
)
今
(
いま
)
や
到
(
いた
)
りて
229
世界
(
せかい
)
の
中心
(
ちうしん
)
地点
(
ちてん
)
230
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
島
(
しま
)
の
又
(
また
)
中心
(
ちうしん
)
231
浪花
(
なには
)
の
遊里
(
いうり
)
に
初声
(
うぶごゑ
)
をあげたまひし
232
あやめの
君
(
きみ
)
と
懇親
(
こんしん
)
を
結
(
むす
)
ぶ
233
吾
(
わが
)
現世
(
げんせ
)
に
生誕
(
せいたん
)
して
初
(
はじ
)
めての
歓喜
(
くわんき
)
を
知
(
し
)
る
234
医者
(
いしや
)
と
南瓜
(
かぼちや
)
はヒネたのがよい
235
色
(
いろ
)
は
年増
(
としま
)
が
艮
(
とど
)
め
刺
(
さ
)
す
236
あゝ
何
(
なん
)
たる
幸福
(
かうふく
)
ぞや
237
お
寅
(
とら
)
の
如
(
ごと
)
きは
物
(
もの
)
の
数
(
かず
)
ならず
238
其
(
その
)
面貌
(
めんばう
)
はアトラスの
如
(
ごと
)
く
239
其
(
その
)
臀肉
(
でんにく
)
は
搗臼
(
ひきうす
)
の
如
(
ごと
)
し
240
アヤメの
君
(
きみ
)
とお
寅
(
とら
)
婆
(
ばば
)
を
比較
(
ひかく
)
すれば
241
天空
(
てんくう
)
に
輝
(
かがや
)
く
月光
(
げつくわう
)
菩薩
(
ぼさつ
)
と
242
地中
(
ちちう
)
に
潜
(
ひそ
)
む
泥亀
(
どろがめ
)
の
如
(
ごと
)
し
243
加
(
くは
)
ふるにお
寅
(
とら
)
の
懐中
(
くわいちう
)
には
244
僅
(
わづ
)
かに
千金
(
せんきん
)
を
剰
(
あま
)
すのみ
245
黄金
(
わうごん
)
万能
(
ばんのう
)
の
現世
(
げんせ
)
に
於
(
おい
)
て
246
万金
(
まんきん
)
を
懐中
(
くわいちう
)
する
247
アヤメの
君
(
きみ
)
こそは
248
富
(
とみ
)
においても
最大
(
さいだい
)
優者
(
いうしや
)
なり
249
この
夫人
(
ふじん
)
にしてこの
金
(
かね
)
あり
250
この
夫人
(
ふじん
)
にしてこの
夫
(
をつと
)
あり
251
俗
(
ぞく
)
に
所謂
(
いはゆる
)
鬼
(
おに
)
に
金棒
(
かなぼう
)
とは
252
這般
(
しやはん
)
の
消息
(
せうそく
)
を
物語
(
ものがた
)
るものか
253
あゝ
愉快
(
ゆくわい
)
なりカンランの
山
(
やま
)
254
夫
(
をつと
)
となり
妻
(
つま
)
となつて
此
(
この
)
艶姿
(
えんし
)
を
天地
(
てんち
)
の
万物
(
ばんぶつ
)
に
観覧
(
くわんらん
)
せしむ
255
宇宙
(
うちう
)
の
幸福
(
かうふく
)
を
吾
(
われ
)
と
汝
(
なんぢ
)
と
独占
(
どくせん
)
して
256
生
(
いき
)
乍
(
なが
)
ら
幸福
(
かうふく
)
の
神
(
かみ
)
となり
257
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
生通
(
いきどほ
)
しの
仙術
(
せんじゆつ
)
を
学
(
まな
)
び
258
天地
(
てんち
)
と
共
(
とも
)
に
悠久
(
いうきう
)
に
生
(
いき
)
むとす
259
あゝたのもしきかな たのもしきかな
260
カンランの
神山
(
みやま
)
の
夕
(
ゆふべ
)
261
月
(
つき
)
は
皎々
(
かうかう
)
として
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
の
階段
(
かいだん
)
を
昇
(
のぼ
)
り
262
星
(
ほし
)
は
燦爛
(
さんらん
)
として
金銀
(
きんぎん
)
の
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
つ
263
天
(
てん
)
清
(
きよ
)
く
地
(
ち
)
又
(
また
)
清
(
きよ
)
し
264
吾
(
われ
)
清
(
きよ
)
く
汝
(
なんぢ
)
又
(
また
)
清
(
きよ
)
し
265
半日
(
はんにち
)
の
清遊
(
せいいう
)
実
(
じつ
)
に
心胆
(
しんたん
)
を
洗
(
あら
)
ふの
思
(
おも
)
ひあり
266
喝
(
かつ
)
。
267
』
268
お花
『あゝ
吃驚
(
びつくり
)
しましたよ、
269
狸
(
たぬき
)
のやうな
口
(
くち
)
あけて、
270
喝
(
かつ
)
なんて
何
(
なん
)
ですか。
271
喰
(
く
)
ひつかれるかと
思
(
おも
)
ひましたよ』
272
守宮別
『あまりお
前
(
まへ
)
が
可愛
(
かあい
)
ので
頭
(
あたま
)
から
噛
(
か
)
ぶつてやらうと
思
(
おも
)
つたのだ、
273
アハヽヽ』
274
お花
『オホヽヽヽ、
275
あのまア
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
のほどのよい
事
(
こと
)
哩
(
わい
)
のう。
276
その
声
(
こゑ
)
で
蜥蜴
(
とかげ
)
喰
(
くら
)
ふか
杜鵑
(
ほととぎす
)
式
(
しき
)
だから
一寸
(
ちよつと
)
も
油断
(
ゆだん
)
は
出来
(
でき
)
ないわ』
277
守宮別
『おいお
花
(
はな
)
、
278
もう
黙
(
だま
)
つて
行
(
ゆ
)
かう、
279
どうやら、
280
あの
木蔭
(
こかげ
)
に
人
(
ひと
)
が
居
(
ゐ
)
るやうだ、
281
些
(
ちつ
)
と
許
(
ばか
)
り
見
(
み
)
つともないからなア。
282
お
前
(
まへ
)
は
二三間
(
にさんげん
)
離
(
はな
)
れてついて
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れ。
283
さうして
人
(
ひと
)
の
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
で
旦那
(
だんな
)
さまなぞと
云
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
困
(
こま
)
るよ』
284
お花
『ハイ、
285
旦那
(
だんな
)
さまつて
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
申
(
まをし
)
ませぬ。
286
よう
気
(
き
)
の
変
(
かは
)
るお
方
(
かた
)
ですな』
287
と
早
(
は
)
や
悋気
(
りんき
)
の
角
(
つの
)
を
生
(
はや
)
して
居
(
ゐ
)
る。
288
守宮別
(
やもりわけ
)
は
小声
(
こごゑ
)
で、
289
守宮別
『あゝ
女子
(
ぢよし
)
と
小人
(
せうじん
)
は
養
(
やしな
)
ひ
難
(
がた
)
しとは
能
(
よ
)
くいつたものだな。
290
柔
(
やさ
)
しく
云
(
い
)
つたら
自惚
(
うぬぼれ
)
る、
291
強
(
きつ
)
く
云
(
い
)
へば
吠
(
ほ
)
える、
292
殺
(
ころ
)
せば
化
(
ば
)
けて
出
(
で
)
ると
云
(
い
)
ふ
魔物
(
まもの
)
だからなア、
293
アーア』
294
お
花
(
はな
)
は
小声
(
こごゑ
)
でハツキリわからねどアーアの
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
き、
295
こいつは
又
(
また
)
例
(
れい
)
の
心境
(
しんきやう
)
変化
(
へんくわ
)
の
境界線
(
きやうかいせん
)
ではないかと
心配
(
しんぱい
)
のあまりサツト
顔色
(
かほいろ
)
変
(
かは
)
り
蟇蛙
(
ひきがへる
)
の
鳴
(
な
)
き
損
(
そこ
)
ねたやうな
面
(
つら
)
をさらし
居
(
ゐ
)
る。
296
路傍
(
みちばた
)
の
五六
(
ごろく
)
間先
(
けんさき
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
から
瓦
(
かはら
)
をぶちやけたやうな
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
りける。
297
(
大正一四・八・二〇
旧七・一
於由良
加藤明子
録)
298
(昭和一〇・三・一〇 於台湾別院蓬莱殿 王仁校正)
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