霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第一章 梅(うめ)の花香(はなか)〔一七〇三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻 篇:第1篇 美山梅光 よみ(新仮名遣い):びざんばいこう
章:第1章 梅の花香 よみ(新仮名遣い):うめのはなか 通し章番号:1703
口述日:1924(大正13)年12月19日(旧11月23日) 口述場所:教主殿 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年8月19日
概要: 舞台:オーラ山、タライの村 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:4061 OBC :rm6701
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第12輯 31頁 修補版: 校定版:7頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 オーラ山(さん)の曲(まが)の企(たく)みも大杉(おほすぎ)の怪(あや)しき夜這星(よばひぼし)は神(かみ)の伊吹(いぶき)に吹(ふき)消(け)され、002一旦(いつたん)包(つつ)みし木下暗(こしたやみ)、003晴(は)れては清(きよ)き三千(さんぜん)世界(せかい)の梅(うめ)の花香(はなか)、004峰(みね)の尾上(をのへ)を包(つつ)みし黒雲(くろくも)もサラリと散(ち)りて、005宇宙晴(うちうばれ)の大広原(だいくわうげん)、006真夜中(まよなか)の空(そら)には、007宝石(はうせき)を鏤(ちりば)めた様(やう)な一面(いちめん)の星光(せいくわう)瞬(またた)き、008鬼(おに)の囁(ささや)き、009猛獣(まうじう)の健(たけ)び、010狐狸(こり)の鳴(な)き声(ごゑ)も虫(むし)の音(ね)も、011ピタリと止(と)まつて天地(てんち)静寂(せいじやく)、012恰(あたか)もふくらむだ庭(には)の砂(すな)に、013程々(ほどほど)に水(みづ)を打(う)つたるが如(ごと)く、014一点(いつてん)の風塵(ふうぢん)もなく、015雲霧(うんむ)もなし。016微風(びふう)徐(おもむろ)に人(ひと)の面(おもて)を吹(ふ)き、017五臓(ござう)六腑(ろくぷ)に静涼(せいりやう)の気(き)浸(し)み渡(わた)る。018諸行(しよぎやう)無常(むじやう)の鐘(かね)の声(こゑ)、019是生(ぜしやう)滅法(めつぽふ)の杜鵑(とけん)の啼(な)く音(ね)、020生滅(しやうめつ)々已(めつち)の梟(ふくろ)の叫(さけ)び、021何(いづ)れも寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)の清浄界(しやうじやうかい)となり果(は)てぬ。022丹花(たんくわ)の唇(くちびる)、023木蓮(もくれん)の莟(つぼみ)の如(ごと)き鼻(はな)の格好(かくかう)、024黒豆(くろまめ)に露(つゆ)を帯(お)びたやうな優(やさ)しく床(ゆか)しく光(ひか)る二(ふた)つの眼(まなこ)、025地蔵(ぢざう)の眉(まゆ)、026所在(あらゆる)美(び)の極(きよく)、027善(ぜん)の極(きよく)、028愛嬌(あいけう)を満面(まんめん)にしたたらして、029心(こころ)に豺狼(さいらう)の爪牙(さうが)を蔵(ざう)し、030天下(てんか)を掌握(しやうあく)せむと、031昼夜(ちうや)肝胆(かんたん)を砕(くだ)いて、032外面(げめん)如(によ)菩薩(ぼさつ)内心(ないしん)如(によ)夜叉(やしや)、033羅刹(らせつ)悪鬼(あくき)の権化(ごんげ)とも譬(たと)ふべき山賊(さんぞく)の大頭目(だいとうもく)、034ヨリコ姫(ひめ)女帝(によてい)は、035梅公(うめこう)が口(くち)より迸(ほとばし)る天性(てんせい)の神気(しんき)に打(う)たれて、036忽(たちま)ち心内(しんない)に天変(てんぺん)地妖(ちえう)を起(おこ)し、037胸(むね)には革新軍(かくしんぐん)の喇叭(らつぱ)の音(ね)響(ひび)き、038五臓(ござう)六腑(ろつぷ)一度(いちど)に更生(かうせい)的(てき)活動(くわつどう)を起(おこ)して、039専制(せんせい)と強圧(きやうあつ)と尊貴(そんき)を願(ねが)ふ欲念(よくねん)と、040自己愛(じこあい)の兇党(きようたう)連(れん)は俄(にはか)に影(かげ)を潜(ひそ)め、041惟神(かむながら)の本性(ほんせい)、042生(うま)れ赤児(あかご)の真心(まごころ)に立(たち)帰(かへ)り、043一身(いつしん)の利欲(りよく)を忘(わす)れ、044神(かみ)に従(したが)ひ神(かみ)を愛(あい)し、045人(ひと)を愛(あい)し万有(ばんいう)一切(いつさい)を愛(あい)するの宇宙(うちう)的(てき)大(だい)恋愛心(れんあいしん)に往生(わうじやう)したのである。
046 斯(か)くヨリコ姫(ひめ)が心(こころ)に悔悟(くわいご)の花(はな)開(ひら)き、047愛善(あいぜん)の果実(くわじつ)みのり、048信真(しんしん)の光輝(くわうき)と、049慈味(じみ)に浴(よく)したる刹那(せつな)に於(おい)て、050其(その)真心(まごころ)は天地(てんち)に感応(かんおう)し、051天(てん)は高(たか)く清(きよ)く澄(す)み亘(わた)り、052一点(いつてん)の雲(くも)もなく、053七宝(しちほう)を鏤(ちりば)めたるが如(ごと)き星(ほし)の大空(おほぞら)をボカして、054見渡(みわた)す東(あづま)の原野(げんや)より千草(ちぐさ)を分(わ)けて昇(のぼ)り来(きた)る上弦(じやうげん)の月光(げつくわう)、055恰(あたか)も切(き)れ味(あぢ)のよい庖丁(はうちやう)を以(もつ)て、056円満(ゑんまん)具足(ぐそく)せる西瓜(すいくわ)を真中(まんなか)より二(ふた)つに手際(てぎは)能(よ)く切(き)りわけし如(ごと)き、057輪廓(りんくわく)の判然(はつきり)とした白銀(はくぎん)の半玉(はんぎよく)、058忽(たちま)ち天地(てんち)を照(て)り輝(かがや)かし、059地上(ちじやう)に往来(わうらい)する蟻(あり)の姿(すがた)さへも明瞭(めいれう)に見(み)えて来(き)た。
060 白髪(はくはつ)童顔(どうがん)の山賊(さんぞく)の巨頭(きよとう)、061修験者(しゆげんじや)と化(ば)けすまし、062三千(さんぜん)の部下(ぶか)を使役(しえき)し、063豺狼(さいらう)の欲(よく)を逞(たくま)しうし、064ヨリコ姫(ひめ)を謀師(ぼうし)と仰(あふ)ぎ、065大親分(おほおやぶん)と崇(あが)め、066大胆(だいたん)不敵(ふてき)にもハルナの都(みやこ)の大黒主(おほくろぬし)を征伐(せいばつ)し、067印度(いんど)七千(しちせん)余国(よこく)の覇権(はけん)を握(にぎ)らむと、068霜(しも)の晨(あした)雨(あめ)の夕(ゆふべ)、069夢寐(むび)にも忘(わす)れぬ胸裡(きようり)の秘密(ひみつ)深(ふか)く包(つつ)んで、070雲(くも)に聳(そび)えたオーラ山(さん)に立籠(たてこも)り、071霧(きり)を帯(おび)にし、072靄(もや)を被衣(かづき)となし、073木(こ)の葉(は)のそよぎを扇(あふぎ)の風(かぜ)と見做(みな)し、074青空(あをぞら)を天井(てんじやう)と定(さだ)め、075草(くさ)を褥(しとね)となし、076髑髏(どくろ)を仮睡(うたたね)の枕(まくら)となし、077虎(とら)狼(おほかみ)獅子(しし)熊(くま)の肉(にく)を嗜(たしな)み、078阿修羅(あしゆら)王(わう)の如(ごと)く魔王(まわう)の如(ごと)く、079時(とき)あつては彗星(すゐせい)の如(ごと)く、080妖邪(えうじや)の気(き)を四方(しはう)に吐(はき)散(ち)らし、081一本(いつぽん)の錫杖(しやくぢやう)に四海(しかい)を征服(せいふく)し、082心(こころ)に秘(ひ)めた魔法(まはふ)の剣(つるぎ)に、083諸天(しよてん)諸善(しよぜん)を悩(なや)ませ苦(くる)しめ、084吾(わが)儘(まま)を振舞(ふるま)ひ、085天地(てんち)を自由(じいう)に攪乱(かくらん)せむものと、086夢(ゆめ)の如(ごと)き、087虹(にじ)の如(ごと)き蜃気楼(しんきろう)の如(ごと)き空中(くうちう)楼閣(ろうかく)的(てき)妄念(まうねん)を抱(いだ)いて、088得々(とくとく)として、089其(その)無謀(むぼう)なる目的(もくてき)に心身(しんしん)を傾注(けいちう)したる、0891彼(か)れシーゴーは、090三五教(あななひけう)の神司(かむつかさ)梅公(うめこう)が言霊(ことたま)に其(その)心胆(しんたん)を奪(うば)はれ、091五臓(ござう)六腑(ろつぷ)の汚濁(をじよく)を払拭(ふつしき)され、092彼(かれ)が神気(しんき)に打(う)たれ、093心気(しんき)忽(たちま)ち一転(いつてん)して、094夜嵐(よあらし)にそよぐ枯尾花(かれをばな)の手振(てぶり)にも驚(おどろ)き慄(ふる)ふ、095いとも弱(よわ)き落武者(おちむしや)とならむとする一刹那(いつせつな)、096力(ちから)と頼(たの)みしヨリコ姫(ひめ)の打(う)つて変(かは)つた言行(げんかう)に、097今(いま)は尚(なほ)更(さら)反抗(はんかう)の勇気(ゆうき)もなく、098今(いま)迄(まで)包(つつ)みし心天(しんてん)の黒雲(こくうん)はオーラ山(さん)の荒風(あらかぜ)に吹(ふき)散(ち)らされて、099心(こころ)も清(きよ)き上弦(じやうげん)の月(つき)、100忽(たちま)ち大地(だいち)に鰭(ひれ)伏(ふ)して、101其(その)慈愛(じあい)と温雅(をんが)と清楚(せいそ)なる月神(げつしん)の美影(みかげ)に渇仰(かつかう)憧憬(どうけい)し、102本然(ほんぜん)の性(せい)に立(たち)返(かへ)り、103悪魔(あくま)は忽(たちま)ち煙(けぶり)と消(き)え、104胸(むね)の奥(おく)深(ふか)き所(ところ)に神(かみ)の囁(ささや)きを聞(き)き、105其(その)霊光(れいくわう)に触(ふ)れ、106信真(しんしん)なる愛(あい)の情味(じやうみ)に接(せつ)し、107全(まつた)く別人(べつじん)の如(ごと)く成(な)り、108白(しろ)き長(なが)き彼(か)れの髪(かみ)は白金(はくきん)の色(いろ)、109益々(ますます)艶(あで)やかに、110其(その)顔色(かんばせ)は天上(てんじやう)の女神(めがみ)かと疑(うたが)はるる許(ばか)り、1101純化(じゆんくわ)遷善(せんぜん)し、111罪(つみ)もなく穢(けがれ)もなく、112一点(いつてん)の憎悪心(ぞうをしん)もなく、113欲望(よくばう)の雲霧(うんむ)もなし。114只(ただ)此(この)上(うへ)は天地(てんち)神明(しんめい)の加護(かご)に依(よ)り、115誠(まこと)の道(みち)を踏(ふ)み、116誠(まこと)の業(げふ)を行(おこな)ひ、117戦々(せんせん)恟々(きようきよう)として神(かみ)を畏(おそ)れ神(かみ)を愛(あい)し、118日夜(にちや)心力(しんりよく)を神(かみ)に捧(ささ)げむ事(こと)を希求(ききう)するに至(いた)つた。
119 次(つぎ)に天来(てんらい)の救世主(きうせいしゆ)、120天帝(てんてい)の化身(けしん)、121オーラ山(さん)の活神(いきがみ)と揚言(やうげん)し、122毒舌(どくぜつ)を揮(ふる)つて天下(てんか)万民(ばんみん)を誑惑(けうわく)し、123悪事(あくじ)の限(かぎり)を尽(つく)さむとしたる、124奸侫(かんねい)邪智(じやち)の曲者(くせもの)、125玄真坊(げんしんばう)、126天下(てんか)唯一(ゆゐいつ)の色餓鬼(いろがき)、127情欲(じやうよく)の焔(ほのほ)に苦(くるし)められ、128煩悶(はんもん)苦悩(くなう)の結果(けつくわ)、129恥(はぢ)を忘(わす)れて獣畜(じうちく)の行為(かうゐ)に及(およ)ばむとせし、130偽(にせ)救世主(きうせいしゆ)、131偽(にせ)予言者(よげんしや)なる、132彼(か)れ売僧(まいす)は、133三五教(あななひけう)の神光(しんくわう)に打(う)たれ、134正義心(せいぎしん)の神卒(しんそつ)に攻(せ)め立(た)てられ、135遂(つひ)に悔悟(くわいご)して、136大頭目(だいとうもく)のヨリコ姫(ひめ)及(および)シーゴーと行動(かうどう)を共(とも)にせむ事(こと)を誓(ちか)ふに至(いた)つた。137オーラ河(がは)の水(みづ)は緩(ゆるやか)に流(なが)れ、138深(ふか)く青(あを)くして底(そこ)さへ見(み)えぬ河(かは)の面(おも)にきらめく星(ほし)の大空(おほぞら)を映(うつ)し、139そよと吹(ふ)く小波(さざなみ)に月光(げつくわう)如来(によらい)の千々(ちぢ)に砕(くだ)くる慈愛(じあい)の御影(みかげ)を宿(やど)して、140天地(てんち)燦爛(さんらん)光明界(くわうみやうかい)の現象(げんしやう)を泛(うか)ばせたり。141東(あづま)の大空(おほぞら)は紅(くれなゐ)の雲(くも)、142紫(むらさき)の霞(かすみ)棚引(たなび)き初(そ)め、143木々(きぎ)の百鳥(ももどり)は千代(ちよ)々々(ちよ)と永遠(ゑいゑん)無窮(むきう)の前途(ぜんと)を寿(ことほ)ぎ、144せせらぎの音(ね)は何事(なにごと)か宇宙(うちう)の神秘(しんぴ)を語(かた)るが如(ごと)く、145風(かぜ)の響(ひびき)にさへも神(かみ)の御声(みこゑ)の宿(やど)るかと疑(うたが)はる。146ヨリコ姫(ひめ)を始(はじ)め、147其(その)他(た)の兇党(きようたう)が心(こころ)の天地(てんち)忽然(こつぜん)として蓮(はちす)の花(はな)の開(ひら)くが如(ごと)く、148薫(かを)り初(そ)めたる一刹那(いつせつな)、149五色(ごしき)の雲(くも)を押(お)し分(わ)けて、150忽(たちま)ち昇(のぼ)らせ給(たま)ふ黄金鴉(こがねからす)、151旗雲(はたぐも)の中(なか)にまん丸(まる)き日(ひ)の丸(まる)を印(いん)し、152愈(いよいよ)日(ひ)の出(で)の神代(かみよ)の祥兆(しやうてう)を天地(てんち)万有(ばんいう)に示(しめ)し給(たま)ふ。153瑞祥(ずゐしやう)開(ひら)く聖(ひじり)の御代(みよ)の魁(さきがけ)とぞ、154神(かみ)も人(ひと)も、155此(この)山(やま)に集(あつ)まれる曲人(まがびと)も禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)も、156一斉(いつせい)に五六七(みろく)の御世(みよ)を寿(ことほ)ぎまつる思(おも)ひあり。157あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
158○
159 現幽神(げんいうしん)の三界(さんがい)を浄(きよ)め、160天地(てんち)開闢(かいびやく)の昔(むかし)の祥代(しやうだい)に立替(たてかへ)立直(たてなほ)し、161神人(しんじん)万有(ばんいう)を黄金(わうごん)世界(せかい)の恩恵(おんけい)に浴(よく)せしめ、162宇宙(うちう)最初(さいしよ)の大意志(だいいし)を実行(じつかう)せむと天(てん)より降(くだ)りて厳(いづ)の御霊(みたま)と現(げん)じ、163大国常立(おほくにとこたちの)尊(みこと)と現(あら)はれて神業(しんげふ)を開始(かいし)し給(たま)ひし、164宇宙(うちう)唯一(ゆゐいつ)の生神(いきがみ)、165朝(あさ)な夕(ゆふ)なに諄々(じゆんじゆん)として神人(しんじん)万有(ばんいう)を導(みちび)き給(たま)ふ。166愛善(あいぜん)と信真(しんしん)の大神教(だいしんけう)を天下(てんか)に布衍(ふえん)し、167五六七(みろく)神政(しんせい)出現(しゆつげん)の実行(じつかう)に着手(ちやくしゆ)せむと、168ウブスナ山(やま)に聖蹟(せいせき)を垂(た)れ、169瑞(みづ)の御霊(みたま)と現(げん)じて三界(さんがい)の不浄(ふじやう)を払拭(ふつしき)し、170清浄(しやうじやう)無垢(むく)の新天地(しんてんち)を樹立(じゆりつ)せむと、171神(かむ)素盞嗚(すさのを)の大神(おほかみ)は、172世界(せかい)各山(かくざん)各地(かくち)の霊場(れいぢやう)に御霊(みたま)を止(とど)め、173数多(あまた)の宣伝使(せんでんし)を教養(けうやう)し、174之(これ)を天下(てんか)四方(しはう)に派遣(はけん)し給(たま)ひぬ。175派遣(はけん)されたる神柱(かむばしら)の一(いち)人(にん)、176照国別(てるくにわけ)の宣伝使(せんでんし)の従者(じゆうしや)となり、177ハルナの都(みやこ)の魔神(まがみ)の言向戦(ことむけせん)に従軍(じゆうぐん)したる梅公司(うめこうつかさ)は、178勇気(ゆうき)凛々(りんりん)たる壮者(さうしや)にして、179其(その)心鏡(しんきやう)は惶々(くわうくわう)として照(て)り亘(わた)り、180能(よ)く神(かみ)に通(つう)じ、181万民(ばんみん)が心(こころ)の奥底(おくそこ)迄(まで)、182玻璃(はり)を通(とほ)して伺(うかが)ふが如(ごと)く、183通観(つうくわん)して過(あやま)らず、184且(かつ)心(こころ)は清浄(しやうじやう)潔白(けつぱく)にして神律(しんりつ)を弁(わきま)へ、185道理(だうり)に通(つう)じ、186挙措(きよそ)常(つね)に軽快(けいくわい)にして且(か)つ軽(かる)からず重(おも)からず、187中庸(ちうよう)を得(え)たる好漢(かうかん)なり。188彼(か)れの行(ゆ)く所(ところ)、189百花(ひやくくわ)爛漫(らんまん)として咲(さ)き満(み)ち、190地獄(ぢごく)は忽(たちま)ち天国(てんごく)と化(くわ)し、191猛獣(まうじう)の猛(たけ)る原野(げんや)は鳥(とり)唄(うた)ひ蝶(てふ)舞(ま)ふ百花(ひやくくわ)爛漫(らんまん)の天国(てんごく)と化(くわ)するの慨(がい)あり。192精神(せいしん)剛直(がうちよく)にして富貴(ふうき)に阿(おもね)らず威武(ゐぶ)に屈(くつ)せず、193常(つね)に其(その)職(しよく)に甘(あま)んじ、194何事(なにごと)も神意(しんい)と解(かい)して、195如何(いか)なる境遇(きやうぐう)に在(あ)るも不平(ふへい)を洩(も)らさず、196悲(かな)しまず、197如何(いか)なる悲境(ひきやう)に沈淪(ちんりん)するも悲観(ひくわん)せず、198悠々(いういう)閑々(かんかん)として自(みづか)ら楽(たのし)み、199自(みづか)ら喜(よろこ)び、200災(わざはひ)の来(きた)る時(とき)は、201之(こ)れ天(てん)の恩恵(おんけい)の鞭(むち)となし、202喜(よろこ)びの来(きた)る時(とき)は天(てん)の誡(いましめ)と警戒(けいかい)し、203寸毫(すんがう)も油断(ゆだん)なく、204且(か)つ楽天(らくてん)主義(しゆぎ)を以(もつ)て世(よ)に処(しよ)す。205実(じつ)に神人(しんじん)の典型(てんけい)、206宣伝使(せんでんし)の模範(もはん)、207言心行(げんしんかう)何(いづ)れの方面(はうめん)より見(み)るも、208一点(いつてん)の批評(ひひやう)をさしはさむの間隙(かんげき)だになし。209彼(か)れは照国別(てるくにわけ)に従(したが)つて、210能(よ)く師弟(してい)の情誼(じやうぎ)を守(まも)り、211自分(じぶん)の師(し)に優(すぐ)れる数多(あまた)の美点(びてん)を隠(かく)して、212其(その)徳(とく)を長上(ちやうじやう)に譲(ゆづ)り、213同情(どうじやう)に富(と)み、214僚友(れういう)を能(よ)く愛(あい)し、215目(め)にふるる者(もの)、216耳(みみ)に入(い)る物(もの)、217何(いづ)れも彼(かれ)が感化(かんくわ)の徳(とく)に浴(よく)せざるはなし。218元来(ぐわんらい)梅公(うめこう)は大神(おほかみ)より特(とく)に選(えら)まれたる神柱(かむばしら)にして、219無限(むげん)の秘密(ひみつ)を蔵(ざう)し、220神妙(しんめう)秘門(ひもん)の鍵(かぎ)を授(さづ)かり、221宇宙間(うちうかん)一(いつ)の怖(おそ)るる者(もの)なき大神人(だいしんじん)なり。222夫(そ)れ故(ゆゑ)彼(かれ)は平然(へいぜん)として悪魔(あくま)の巣窟(さうくつ)に単騎(たんき)出入(しゆつにふ)し、223豺狼(さいらう)の群(むれ)に入(い)つて、224機(き)に臨(のぞ)み変(へん)に処(しよ)し、225一男(いちなん)二女(にぢよ)の危難(きなん)を救(すく)ひ、226且(か)つ他(た)の宣伝使(せんでんし)の如(ごと)く、227千言(せんげん)万語(ばんご)を費(つひや)すの要(えう)なく、228さしも兇悪(きようあく)なる悪神(あくがみ)の巨頭(きよとう)、229ヨリコ姫(ひめ)等(ら)の一派(いつぱ)を翻然(ほんぜん)として悔悟(くわいご)せしめたる英雄(えいゆう)なり。230彼(かれ)が師(し)の照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)も231彼(かれ)が神格(しんかく)の一部分(いちぶぶん)を窺知(きち)する事(こと)さへ出来(でき)なかつた。232併(しか)し乍(なが)ら彼(かれ)は和光(わくわう)同塵(どうぢん)的(てき)態度(たいど)を以(もつ)て、233愛善(あいぜん)の徳(とく)と信真(しんしん)の光(ひかり)の劣(おと)れる照国別(てるくにわけ)を神(かみ)の経綸(けいりん)として、234吾(わが)師(し)の君(きみ)と尊敬(そんけい)し、235照公(てるこう)其(その)他(た)の同僚(どうれう)に対(たい)しても、236常(つね)に後輩者(こうはいしや)として行動(かうどう)せむ事(こと)を望(のぞ)んでゐた。237果(はた)して梅公司(うめこうつかさ)は魔(ま)か神(かみ)か真人(しんじん)か、238但(ただ)しは大神(おほかみ)の化身(けしん)か、239今後(こんご)の物語(ものがたり)に依(よ)つて読者(どくしや)の自(みづか)ら判知(はんち)されむ事(こと)を望(のぞ)む。
240 之(これ)よりヨリコ姫(ひめ)は梅公(うめこう)241花香(はなか)の勧(すす)めにより、242タライの村(むら)に立(たち)帰(かへ)り、243母(はは)のサンヨに面会(めんくわい)し、244今(いま)迄(まで)の不孝(ふかう)不始末(ふしまつ)の罪(つみ)を謝(しや)し、245今後(こんご)は悔(く)い改(あらた)めて、246老後(らうご)の母(はは)の心(こころ)を安(やす)んじ、247且(か)つ神(かみ)の御(おん)為(ため)世(よ)の為(ため)に、248愛善(あいぜん)の道(みち)に生涯(しやうがい)を投(とう)ぜむ事(こと)を誓(ちか)つた。249母(はは)のサンヨは二人(ふたり)の姉妹(しまい)が梅公司(うめこうつかさ)の艱難(かんなん)辛苦(しんく)の結果(けつくわ)と慈愛心(じあいしん)の発露(はつろ)に仍(よ)つて、250無事(ぶじ)母子(おやこ)の対面(たいめん)が出来(でき)た事(こと)を涙(なみだ)片手(かたて)に感謝(かんしや)し、251梅公(うめこう)を真(まこと)の生神(いきがみ)として尊敬(そんけい)して止(や)まなかつた。252次(つぎ)にシーゴー坊(ばう)や玄真坊(げんしんばう)の両人(りやうにん)はサンダーの家(いへ)に至(いた)り、253彼(かれ)が両親(りやうしん)に向(むか)つて、254今日(こんにち)迄(まで)の悪業(あくごふ)を謝(しや)し、255且(かつ)悔(くひ)改(あらた)めて天下(てんか)万民(ばんみん)の為(ため)に神業(しんげふ)の一部(いちぶ)に奉仕(ほうし)せむ事(こと)を誓(ちか)つた。256サンダーの両親(りやうしん)は夢(ゆめ)かと許(ばか)り喜(よろこ)んで、257梅公(うめこう)其(その)他(た)に対(たい)し、258百味(ひやくみ)の飲食(おんじき)を調理(てうり)して之(これ)を饗応(きやうおう)し、259且(か)つシーゴーには数多(あまた)の所有地(しよいうち)を与(あた)へ260開拓(かいたく)の事業(じげふ)に従事(じうじ)せしむる事(こと)となつた。261彼(か)れシーゴーはサンダー、262スガコ姫(ひめ)に従(したが)ひ、263両人(りやうにん)を主人(しゆじん)と仰(あふ)ぎ、264スガコ姫(ひめ)が父(ちち)のジャンクが所有(しよいう)せる無限(むげん)の山林(さんりん)田畑(でんばた)を開墾(かいこん)し、265三千(さんぜん)の部下(ぶか)をして之(これ)に従事(じうじ)せしめ、266大都会(だいとくわい)を造(つく)つて………………新(あたら)しき村(むら)を経営(けいえい)し、267タライの村(むら)の真人(しんじん)と謳(うた)はれて生涯(しやうがい)を送(おく)つた。268父(ちち)のジャンクは遥(はるか)にサンダー、269スガコの無事(ぶじ)に帰宅(きたく)せし事(こと)、270梅公司(うめこうつかさ)に救(すく)はれし事(こと)、271及(および)シーゴーを一(いち)の番頭(ばんとう)となし、272数千(すうせん)の部下(ぶか)を使役(しえき)して開墾(かいこん)の業(げふ)に従事(じゆうじ)せしめ、273日々(にちにち)事業(じげふ)の発展(はつてん)しつつある事(こと)を聞知(ぶんち)し、274大(おほい)に喜(よろこ)んで、275全(まつた)く神(かみ)の恩恵(おんけい)となし、276一生(いつしやう)を神(かみ)に捧(ささ)げ、277神業(しんげふ)に参加(さんか)し、278屍(かばね)をさらす迄(まで)、279吾(わが)郷里(きやうり)に帰(かへ)らなかつた。280そしてジャンクは義勇軍(ぎゆうぐん)の勇士(ゆうし)としてバルガン城下(じやうか)に驍名(げうめい)を走(は)せた。
281 一旦(いつたん)悔(く)い改(あらた)めたる玄真坊(げんしんばう)は再(ふたた)び悪化(あくくわ)して、282シーゴーと論争(ろんそう)し、283三千(さんぜん)の部下(ぶか)の中(うち)、284不平組(ふへいぐみ)三百(さんびやく)余(よ)名(めい)を引率(いんそつ)し、285オーラの峰(みね)を渉(わた)つて民家(みんか)を掠奪(りやくだつ)し乍(なが)ら、286地教山(ちけうざん)方面(はうめん)指(さ)して姿(すがた)を隠(かく)したのである。
287惟神(かむながら)神(かみ)の心(こころ)は白梅(しらうめ)の
288旭(あさひ)に匂(にほ)ふ姿(すがた)なりけり。
289梅(うめ)の花(はな)香(にほ)ひ初(そ)めたる如月(きさらぎ)の
290空(そら)に瞬(またた)く珍(うづ)の星影(ほしかげ)。
291何事(なにごと)も神(かみ)の教(をしへ)にヨリコ姫(ひめ)
292世(よ)の神柱(みはしら)となりし雄々(をを)しさ。
293現世(うつしよ)の罪(つみ)をば恐(おそ)れシーゴー(死後(しご))を
294思(おも)ひて神(かみ)に帰(かへ)るつはもの。
295サンダーやスガコは生(うま)れし己(お)のが村(むら)に
296帰(かへ)りて新村(にひむら)永久(とは)に開(ひら)きぬ。
297光(ひかり)暗(やみ)行(ゆ)きかふ曲(まが)の玄真(げんしん)は
298心(こころ)変(かは)りて鬼(おに)となりぬる。
299村肝(むらきも)の心(こころ)曇(くも)りし曲人(まがびと)と
300山野(やまの)に迷(まよ)ふ玄真(げんしん)の果(はて)。
301(大正一三・一一・二三 新一二・一九 於教主殿 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→