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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第67巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 美山梅光
第1章 梅の花香
第2章 思想の波
第3章 美人の腕
第4章 笑の座
第5章 浪の皷
第2篇 春湖波紋
第6章 浮島の怪猫
第7章 武力鞘
第8章 糸の縺れ
第9章 ダリヤの香
第10章 スガの長者
第3篇 多羅煩獄
第11章 暗狐苦
第12章 太子微行
第13章 山中の火光
第14章 獣念気
第15章 貂心暴
第16章 酒艶の月
第17章 晨の驚愕
第4篇 山色連天
第18章 月下の露
第19章 絵姿
第20章 曲津の陋呵
第21章 針灸思想
第22章 憧憬の美
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第67巻(午の巻)
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<<< 曲津の陋呵
(B)
(N)
憧憬の美 >>>
第二一章
針灸
(
しんきゆう
)
思想
(
しさう
)
〔一七二三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻
篇:
第4篇 山色連天
よみ(新仮名遣い):
さんしょくれんてん
章:
第21章 針灸思想
よみ(新仮名遣い):
しんきゅうしそう
通し章番号:
1723
口述日:
1924(大正13)年12月29日(旧12月4日)
口述場所:
祥雲閣
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年8月19日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
今回の事件で、アリナは一ケ月の謹慎を命じられる。父のガンヂーも城内を騒がせた責任を感じ、自ら謹慎を守っていた。
ガンヂーは今回の騒ぎを引き起こした息子の不思慮を責める。
アリナは、城内を騒がせ驚かせたことについて自分の罪を認めるが、父が刃傷沙汰を起こした事を逆に責める。
ガンヂーは、刃傷沙汰は右守の不忠を誅せんとしたのであり、太子の思想を蝕むアリナの方が国家にとって脅威であると責める。
アリナは父の過去の所業を挙げ、現在のタラハン国衰退の原因としてガンヂーを責める。
ガンヂーは父の権威を嵩に着るが、アリナは自分が太子の寵臣であり、左守である父でさえも自由にすることはできないと反論する。
アリナは言論の自由、個人の人格をたてとし、個性を十分発達させることが天地の分霊としての働きを十二分に発揮させることである、と論を展開する。
ガンヂーはあくまで圧迫こそが政治・支配の鉄則であると主張する。国家を一つにまとめあげるためには、王家を中心にして国民を団結させる必要がある、と説くが、アリナはあくまで譲らない。
ガンヂーは息子の態度を嘆き、国家の滅亡を心配する。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6721
愛善世界社版:
275頁
八幡書店版:
第12輯 133頁
修補版:
校定版:
278頁
普及版:
68頁
初版:
ページ備考:
001
左守
(
さもり
)
の
悴
(
せがれ
)
アリナは、
002
評議
(
ひやうぎ
)
の
結果
(
けつくわ
)
一
(
いつ
)
ケ
月
(
げつ
)
の
謹慎
(
きんしん
)
を
命
(
めい
)
ぜられ、
003
父
(
ちち
)
の
館
(
やかた
)
に
閉
(
と
)
ぢ
籠
(
こ
)
められて
居
(
ゐ
)
た。
004
左守司
(
さもりつかさ
)
のガンヂーも
別
(
べつ
)
に
王
(
わう
)
からの
咎
(
とが
)
めはなけれども、
005
殿中
(
でんちう
)
を
騒
(
さわが
)
し
右守
(
うもり
)
と
刃傷
(
にんじやう
)
した
其
(
その
)
責任
(
せきにん
)
を
負
(
お
)
ひ、
006
自
(
みづか
)
ら
門
(
もん
)
を
閉
(
と
)
ぢ
謹慎
(
きんしん
)
を
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
007
ガンヂー『オイ
悴
(
せがれ
)
、
008
貴様
(
きさま
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
不埒
(
ふらち
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
したのだ。
009
貴様
(
きさま
)
がいつも
太子
(
たいし
)
の
君
(
きみ
)
を
煽
(
おだ
)
て
上
(
あ
)
げ、
010
共産
(
きようさん
)
主義
(
しゆぎ
)
だとか、
011
人類
(
じんるい
)
愛善
(
あいぜん
)
だとか、
012
ハイカラ
的
(
てき
)
の
新思想
(
しんしさう
)
を
吹
(
ふ
)
き
込
(
こ
)
むものだから、
013
あんな
御
(
ご
)
精神
(
せいしん
)
におなり
遊
(
あそ
)
ばされ、
014
万代
(
ばんだい
)
不易
(
ふえき
)
の
王統
(
わうとう
)
を
継
(
つ
)
ぐ
事
(
こと
)
をお
嫌
(
きら
)
いなされ、
015
殿内
(
でんない
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
016
上
(
うへ
)
は
大王
(
だいわう
)
殿下
(
でんか
)
を
始
(
はじ
)
め
奉
(
たてまつ
)
り、
017
此
(
この
)
父
(
ちち
)
や
老臣
(
らうしん
)
共
(
ども
)
に
心配
(
しんぱい
)
をかけ
018
上下
(
じやうげ
)
を
騒
(
さわ
)
がした
其
(
その
)
罪
(
つみ
)
は
仲々
(
なかなか
)
浅
(
あさ
)
くはないぞ。
019
是
(
これ
)
から
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
むればよし、
020
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
量見
(
りやうけん
)
で
居
(
ゐ
)
るならば
太子
(
たいし
)
のお
側付
(
そばづき
)
は
許
(
ゆる
)
されない。
021
さうして
吾
(
わが
)
家
(
や
)
にも
置
(
お
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない。
022
些
(
ちつ
)
とは
親
(
おや
)
の
心
(
こころ
)
にもなつて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れ。
023
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
宸襟
(
しんきん
)
を
悩
(
なや
)
まし
奉
(
たてまつ
)
り、
024
老臣
(
らうしん
)
共
(
ども
)
に
心配
(
しんぱい
)
をさせ、
025
殿内
(
でんない
)
を
騒
(
さわ
)
がしたぢやないか』
026
アリナ『ハイ、
027
如何
(
いか
)
にも
父上
(
ちちうへ
)
のお
言葉
(
ことば
)
の
通
(
とほ
)
り、
028
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をかけ、
029
老臣
(
らうしん
)
を
驚
(
おどろ
)
かせ
殿内
(
でんない
)
を
騒
(
さわ
)
がしましたのは
事実
(
じじつ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
030
併
(
しか
)
し
私
(
わたし
)
は
同
(
おな
)
じ
殿内
(
でんない
)
を
騒
(
さわ
)
がしても
031
父上
(
ちちうへ
)
のやうな、
0311
刃傷
(
にんじやう
)
などの
乱暴
(
らんばう
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
032
お
父
(
とう
)
さま、
033
私
(
わたし
)
に
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
下
(
くだ
)
さるのならば、
034
先
(
ま
)
づ
貴方
(
あなた
)
のお
尻
(
しり
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ひ、
035
自分
(
じぶん
)
の
顔
(
かほ
)
に
留
(
と
)
まつた
蜂
(
はち
)
を
払
(
はら
)
ひ、
036
真面目
(
まじめ
)
になつて
御
(
ご
)
教訓
(
けうくん
)
を
願
(
ねが
)
ひます。
037
此
(
この
)
親
(
おや
)
にして
此
(
この
)
子
(
こ
)
あり、
038
親子
(
おやこ
)
が
一致
(
いつち
)
して、
039
大王
(
だいわう
)
殿下
(
でんか
)
の
宸襟
(
しんきん
)
を
悩
(
なや
)
まし
奉
(
たてまつ
)
り
殿内
(
でんない
)
を
騒
(
さわ
)
がしたのも、
040
何
(
なに
)
かの
因縁
(
いんねん
)
で
厶
(
ござ
)
いませうよ』
041
ガン『エヽ、
042
ツベコベと
訳
(
わけ
)
も
知
(
し
)
らずに
屁理窟
(
へりくつ
)
を
云
(
い
)
ふな。
043
お
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
とは
同
(
おな
)
じ
殿内
(
でんない
)
を
騒
(
さわ
)
がしたにしても
訳
(
わけ
)
が
違
(
ちが
)
ふのだ。
044
天地
(
てんち
)
霄壤
(
せうじやう
)
、
045
黒白
(
こくびやく
)
、
046
月鼈
(
げつべつ
)
の
差違
(
さゐ
)
が
有
(
あ
)
るのだ。
047
彼
(
か
)
れ
右守
(
うもり
)
のサクレンス
奴
(
め
)
、
048
王家
(
わうけ
)
の
専制
(
せんせい
)
政治
(
せいぢ
)
を
廃
(
はい
)
し、
049
共和
(
きようわ
)
政治
(
せいぢ
)
を
立
(
た
)
てようなどと、
050
大
(
だい
)
それた
国賊
(
こくぞく
)
的
(
てき
)
機略
(
きりやく
)
を
弄
(
ろう
)
し、
051
殿下
(
でんか
)
の
宸襟
(
しんきん
)
を
悩
(
なや
)
ませ
奉
(
たてまつ
)
つたによつて、
052
俺
(
おれ
)
は
命
(
いのち
)
を
的
(
まと
)
に
奸賊
(
かんぞく
)
を
誅伐
(
ちうばつ
)
せむと
彼
(
かれ
)
右守
(
うもり
)
に
斬
(
き
)
りつけたのだ。
053
貴様
(
きさま
)
のやうに、
054
大切
(
たいせつ
)
な
太子
(
たいし
)
に
種々
(
いろいろ
)
のハイカラ
的
(
てき
)
思想
(
しさう
)
を
注入
(
ちうにふ
)
し、
055
太子
(
たいし
)
の
精神
(
せいしん
)
を
惑乱
(
わくらん
)
し、
056
遂
(
つひ
)
には
国家
(
こくか
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
を
惹起
(
じやくき
)
せむとするやうな
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
行為
(
かうゐ
)
とは
比
(
くら
)
べものにならぬのだ。
057
確
(
しつか
)
りと
性念
(
しやうねん
)
を
据
(
す
)
ゑて
父
(
ちち
)
の
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いたらよからうぞ。
058
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
は
金枝
(
きんし
)
玉葉
(
ぎよくえふ
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
をもつて、
059
汝
(
なんぢ
)
一人
(
ひとり
)
の
為
(
ため
)
に
有
(
あ
)
るにあられぬ
御
(
ご
)
苦心
(
くしん
)
遊
(
あそ
)
ばして
厶
(
ござ
)
るのだ。
060
その
悴
(
せがれ
)
の
父
(
ちち
)
たるこのガンヂーが、
061
どうしてノメノメと
生
(
いき
)
て
居
(
を
)
られやうか。
062
お
前
(
まへ
)
がどうしても
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めて、
063
太子
(
たいし
)
の
御心
(
みこころ
)
を
翻
(
ひるがへ
)
さぬに
於
(
おい
)
ては、
064
もはや
此
(
この
)
父
(
ちち
)
は
自害
(
じがい
)
して
申
(
まを
)
し
訳
(
わけ
)
を
立
(
た
)
てねばならぬ
羽目
(
はめ
)
となつて
居
(
ゐ
)
るのだ。
065
不忠
(
ふちう
)
不義
(
ふぎ
)
の
極悪人
(
ごくあくにん
)
とは
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だ。
066
どうしてまアこんな
極悪人
(
ごくあくにん
)
が
俺
(
おれ
)
の
胤
(
たね
)
から
生
(
うま
)
れたものだらうなア』
067
アリ『アハヽヽヽ。
068
お
父
(
とう
)
さま
好
(
よ
)
く
自分
(
じぶん
)
の
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
行動
(
かうどう
)
を
顧
(
かへり
)
みて
御覧
(
ごらん
)
なさい。
069
さう、
070
堂々
(
だうだう
)
と
私
(
わたし
)
に
向
(
むか
)
つて、
071
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
072
お
父
(
とう
)
さまは
私
(
わたし
)
が
幼年
(
えうねん
)
の
時
(
とき
)
迄
(
まで
)
は、
073
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へてゐらつしやつたのでせう。
074
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
忠誠
(
ちうせい
)
無比
(
むひ
)
のシャカンナと
云
(
い
)
ふ
左守
(
さもり
)
の
司様
(
かみさま
)
が
国政
(
こくせい
)
を
料理
(
れうり
)
して
厶
(
ござ
)
つたでせう。
075
亡
(
な
)
くなられた
王妃
(
わうひ
)
様
(
さま
)
は
悪魔
(
あくま
)
に
魅
(
みい
)
られ、
076
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
残虐性
(
ざんぎやくせい
)
が
募
(
つの
)
り、
077
遂
(
つひ
)
には
無辜
(
むこ
)
の
民
(
たみ
)
を
虐
(
しひた
)
げ、
078
憐
(
あは
)
れなる
妊婦
(
にんぷ
)
の
腹
(
はら
)
を
割
(
さ
)
いて
胎児
(
たいじ
)
を
剔
(
え
)
ぐり
出
(
だ
)
し、
079
丸煮
(
まるに
)
にして
食膳
(
しよくぜん
)
に
上
(
の
)
ぼせ
舌皷
(
したつづみ
)
を
打
(
う
)
つて
厶
(
ござ
)
つたにも
拘
(
かかは
)
らず、
080
死
(
し
)
を
決
(
けつ
)
して
直諫
(
ちよくかん
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
事
(
こと
)
も
知
(
し
)
らず、
081
却
(
かへ
)
つて
王妃
(
わうひ
)
に
媚
(
こ
)
び
諂
(
へつら
)
ひ、
082
残忍性
(
ざんにんせい
)
をしてますます
増長
(
ぞうちやう
)
せしめられたぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
083
国民
(
こくみん
)
の
怨嗟
(
ゑんさ
)
の
白羽
(
しらは
)
の
矢
(
や
)
が
王妃
(
わうひ
)
の
狩
(
かり
)
の
遊
(
あそ
)
びの
砌
(
みぎり
)
、
084
天
(
てん
)
の
一方
(
いつぱう
)
より
飛
(
と
)
び
来
(
きた
)
つて
王妃
(
わうひ
)
の
額
(
ひたひ
)
を
射
(
い
)
ぬき
其
(
その
)
場
(
ば
)
で
絶命
(
ぜつめい
)
し、
085
国民
(
こくみん
)
は
是
(
これ
)
を
聞
(
き
)
いて
却
(
かへ
)
つて
喜
(
よろこ
)
んで
密
(
ひそ
)
かに
祝賀会
(
しゆくがくわい
)
を
開
(
ひら
)
いた
事
(
こと
)
があるぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
086
それ
程
(
ほど
)
国民
(
こくみん
)
の
怨嗟
(
ゑんさ
)
の
的
(
まと
)
となつて
居
(
ゐ
)
る
王妃
(
わうひ
)
を
嗾
(
そその
)
かした
上
(
うへ
)
、
087
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
に
迄
(
まで
)
いろいろの
悪
(
わる
)
い
智慧
(
ちゑ
)
を
吹
(
ふ
)
き
込
(
こ
)
み……
天誅
(
てんちう
)
の
白羽
(
しらは
)
の
矢
(
や
)
を
左守
(
さもり
)
の
部下
(
ぶか
)
が
射放
(
いはな
)
つたものだ……などと
無実
(
むじつ
)
の
罪
(
つみ
)
を
着
(
き
)
せ、
088
大王
(
だいわう
)
の
手
(
て
)
をかつて
左守
(
さもり
)
の
妻
(
つま
)
ハリスタ
姫
(
ひめ
)
を
斬
(
き
)
り
殺
(
ころ
)
し、
089
なほ
飽
(
あ
)
き
足
(
た
)
らず
左守
(
さもり
)
の
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らむとして
果
(
はた
)
さず、
090
遂
(
つひ
)
に
自分
(
じぶん
)
が
取
(
と
)
つて
代
(
かは
)
つて
洒々
(
しやあしやあ
)
然
(
ぜん
)
として
左守
(
さもり
)
の
職
(
しよく
)
につかれたぢやありませぬか。
091
夫
(
それ
)
さへあるに
左守家
(
さもりけ
)
の
巨万
(
きよまん
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
全部
(
ぜんぶ
)
没収
(
ぼつしう
)
し、
092
自分
(
じぶん
)
が
国民
(
こくみん
)
に
信用
(
しんよう
)
を
繋
(
つな
)
がんが
為
(
ため
)
に
頭
(
あたま
)
の
揉
(
も
)
めない、
093
腹
(
はら
)
の
痛
(
いた
)
まない、
094
彼
(
かれ
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
国民
(
こくみん
)
に
与
(
あた
)
へ、
095
善
(
ぜん
)
の
仮面
(
かめん
)
を
被
(
かぶ
)
り、
096
悪行
(
あくかう
)
を
遂行
(
すゐかう
)
した
極
(
ごく
)
重悪人
(
ぢうあくにん
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
097
お
父
(
とう
)
さまの
為
(
ため
)
にシャカンナは
可憐
(
かれん
)
な
娘
(
むすめ
)
と
共
(
とも
)
に
天下
(
てんか
)
漂浪
(
へうらう
)
の
旅
(
たび
)
に
出
(
い
)
で、
098
今
(
いま
)
に
其
(
その
)
行方
(
ゆくへ
)
さへ
知
(
し
)
れないと
云
(
い
)
ふぢやありませぬか。
099
貴方
(
あなた
)
の
前
(
まへ
)
にては
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
阿諛
(
あゆ
)
諂侫
(
てんねい
)
追従
(
つゐしよう
)
の
有
(
あ
)
らむ
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
し、
100
お
髯
(
ひげ
)
の
塵
(
ちり
)
を
払
(
はら
)
はむとする
役人
(
やくにん
)
許
(
ばか
)
りで
厶
(
ござ
)
いますが、
101
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
面従
(
めんじう
)
腹背
(
ふくはい
)
、
102
蔭
(
かげ
)
では、
103
いづれも
後
(
うしろ
)
向
(
む
)
いては
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
し
104
言葉
(
ことば
)
を
極
(
きは
)
めてお
父
(
とう
)
さまの
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
を
罵
(
ののし
)
り、
105
且
(
か
)
つ
憎
(
にく
)
んで
居
(
を
)
りますよ。
106
タラハン
国
(
ごく
)
が
今日
(
こんにち
)
の
如
(
ごと
)
く
乱
(
みだ
)
れかかつて
来
(
き
)
たのも
皆
(
みな
)
、
107
お
父
(
とう
)
さまの
責任
(
せきにん
)
ですよ。
108
圧制
(
あつせい
)
と
強圧
(
きやうあつ
)
と
専制
(
せんせい
)
に
便利
(
べんり
)
な
時代
(
じだい
)
不相応
(
ふさうおう
)
の
法律
(
はふりつ
)
を
作
(
つく
)
り、
109
軍隊
(
ぐんたい
)
や
警察
(
けいさつ
)
や
監獄
(
かんごく
)
の
力
(
ちから
)
で、
110
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
お
父
(
とう
)
さまは
国民
(
こくみん
)
の
頭
(
あたま
)
を
抑
(
おさ
)
へつけ、
111
思想
(
しさう
)
を
圧迫
(
あつぱく
)
し、
112
あらむ
限
(
かぎ
)
りの
吾儘
(
わがまま
)
勝手
(
かつて
)
を
振舞
(
ふるま
)
つて
来
(
き
)
たぢやありませぬか。
113
お
父
(
とう
)
さまの
悪徳
(
あくとく
)
が
子供
(
こども
)
に
報
(
むく
)
いて
遂
(
つひ
)
に
累
(
わづらい
)
を
王家
(
わうけ
)
に
及
(
およ
)
ぼし、
114
今日
(
こんにち
)
の
悲惨
(
ひさん
)
の
有様
(
ありさま
)
になつたのぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
115
お
父
(
とう
)
さまこそ
私
(
わたし
)
の
意見
(
いけん
)
を
聞
(
き
)
いて
翻然
(
ほんぜん
)
と
悔
(
く
)
い、
116
忠誠
(
ちうせい
)
の
赤心
(
まごころ
)
と
愛善
(
あいぜん
)
の
行
(
おこな
)
ひに
立
(
た
)
ちかへつて
貰
(
もら
)
ひたいものです。
117
私
(
わたし
)
はお
父
(
とう
)
さまの
口
(
くち
)
から
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
聞
(
き
)
くのは、
118
恰度
(
ちやうど
)
地獄
(
ぢごく
)
の
鬼
(
おに
)
が
擦鉦
(
すりがね
)
を
叩
(
たた
)
いて
念仏
(
ねんぶつ
)
を
唱
(
とな
)
へて
居
(
ゐ
)
るやうで
滑稽
(
こつけい
)
で
耐
(
たま
)
りませぬわ。
119
いや
寧
(
むし
)
ろ
抱腹
(
はうふく
)
絶倒
(
ぜつたう
)
の
至
(
いた
)
りで
厶
(
ござ
)
います、
120
アハヽヽヽ』
121
ガン『これや
悴
(
せがれ
)
、
122
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
口巾
(
くちはば
)
の
広
(
ひろ
)
い
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すか。
123
苟
(
かりそめ
)
にも
子
(
こ
)
として
父
(
ちち
)
の
行為
(
かうゐ
)
を
云々
(
うんぬん
)
し、
124
くだらぬ
意見口
(
いけんぐち
)
を
叩
(
たた
)
くと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
125
天地
(
てんち
)
転倒
(
てんだう
)
も
甚
(
はなは
)
だしいではないか。
126
「
親
(
おや
)
と
主人
(
しゆじん
)
は
無理
(
むり
)
を
云
(
い
)
ふものと
思
(
おも
)
へ」との
格言
(
かくげん
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
て
居
(
ゐ
)
るか。
127
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふても
親父
(
おやぢ
)
ぢやないか。
128
善悪
(
ぜんあく
)
正邪
(
せいじや
)
に
拘
(
かかは
)
らず、
129
親
(
おや
)
に
反抗
(
はんかう
)
する
奴
(
やつ
)
は
天下
(
てんか
)
の
不孝者
(
ふかうもの
)
だ。
130
貴様
(
きさま
)
も
最早
(
もはや
)
十八
(
じふはち
)
、
131
些
(
ちつ
)
とは
孝行
(
かうかう
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
れ。
132
否
(
いな
)
忠義
(
ちうぎ
)
の
道
(
みち
)
を
弁
(
わきま
)
へねばなるまいぞ』
133
アリ『お
父
(
とう
)
さま、
134
貴方
(
あなた
)
は
親
(
おや
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
の
下
(
もと
)
に
私
(
わたし
)
を
圧迫
(
あつぱく
)
するのですか。
135
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
になればどんな
無理
(
むり
)
難題
(
なんだい
)
を
吹
(
ふ
)
きかけても、
136
それで
道理
(
だうり
)
が
立
(
た
)
つと
思
(
おも
)
ひますか。
137
そんな
古
(
ふる
)
い
道徳
(
だうとく
)
主義
(
しゆぎ
)
は
三百
(
さんびやく
)
年
(
ねん
)
も
過去
(
くわこ
)
の
事
(
こと
)
ですよ。
138
こんな
流儀
(
りうぎ
)
で
国政
(
こくせい
)
に
当
(
あた
)
られては、
139
数多
(
あまた
)
の
役人
(
やくにん
)
や
国民
(
こくみん
)
共
(
ども
)
の
迷惑
(
めいわく
)
が
思
(
おも
)
ひやられます。
140
私
(
わたし
)
はお
父
(
とう
)
さまの
所謂
(
いはゆる
)
、
141
不孝者
(
ふかうもの
)
、
142
不忠者
(
ふちうもの
)
になり
度
(
た
)
う
厶
(
ござ
)
います。
143
……
大孝
(
だいかう
)
は
不孝
(
ふかう
)
に
似
(
に
)
たり。
144
大忠
(
だいちう
)
は
大逆
(
だいぎやく
)
に
似
(
に
)
たり。
1441
……と
古
(
いにしへ
)
の
聖人
(
せいじん
)
も
云
(
い
)
つたぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
145
大義
(
たいぎ
)
親
(
しん
)
を
滅
(
めつ
)
するとか
云
(
い
)
ふ
諺
(
ことわざ
)
も
厶
(
ござ
)
います。
146
私
(
わたし
)
は
大義
(
たいぎ
)
明分
(
めいぶん
)
の
為
(
ため
)
には
親
(
おや
)
を
捨
(
す
)
てます。
147
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
其
(
その
)
精神
(
せいしん
)
をお
変
(
か
)
へ
下
(
くだ
)
さらぬ
以上
(
いじやう
)
は、
148
親
(
おや
)
でも
無
(
な
)
ければ
子
(
こ
)
でもありませぬ。
149
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
から
貴方
(
あなた
)
に
向
(
むか
)
つて
勘当
(
かんだう
)
を
致
(
いた
)
しますよ』
150
ガン『これ
悴
(
せがれ
)
、
151
云
(
い
)
はしておけば
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
もつけ
上
(
あが
)
り
親
(
おや
)
を
親
(
おや
)
とも
思
(
おも
)
はぬ
其
(
その
)
暴言
(
ばうげん
)
、
152
手打
(
てう
)
ちに
致
(
いた
)
して
呉
(
く
)
れるぞ』
153
アリ『お
父
(
とう
)
さま、
154
よいかげんに
血迷
(
ちまよ
)
つておきなさいませ。
155
何
(
なに
)
を
狼狽
(
らうばい
)
して
居
(
を
)
られるのです。
156
アリナの
身体
(
からだ
)
は
最早
(
もはや
)
貴方
(
あなた
)
の
自由
(
じいう
)
にはなりませぬ。
157
私
(
わたし
)
の
身体
(
からだ
)
は
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
の
杖柱
(
つゑはしら
)
とお
頼
(
たの
)
み
遊
(
あそ
)
ばす、
158
タラハン
城
(
じやう
)
に
無
(
な
)
くてはならない
国宝
(
こくほう
)
ですよ。
159
もしお
手打
(
てうち
)
に
遊
(
あそ
)
ばす
御
(
ご
)
所存
(
しよぞん
)
ならば、
160
大王
(
だいわう
)
殿下
(
でんか
)
及
(
およ
)
び
太子
(
たいし
)
殿下
(
でんか
)
のお
許
(
ゆる
)
しを
得
(
え
)
た
上
(
うへ
)
になさいませ。
161
太子
(
たいし
)
殿下
(
でんか
)
の
寵臣
(
ちようしん
)
を、
162
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
左守
(
さもり
)
だつて
自由
(
じいう
)
にする
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
163
それこそ
貴方
(
あなた
)
は
不忠
(
ふちゆう
)
不義
(
ふぎ
)
の
大逆賊
(
だいぎやくぞく
)
となるでせう』
164
ガン『
不忠
(
ふちゆう
)
不義
(
ふぎ
)
とは
何
(
なん
)
たる
暴言
(
ぼうげん
)
ぞ。
165
貴様
(
きさま
)
こそ
万代
(
ばんだい
)
不易
(
ふえき
)
の
王家
(
わうけ
)
を
覆
(
くつが
)
へさむとする
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
曲者
(
くせもの
)
だ。
166
不忠
(
ふちゆう
)
不義
(
ふぎ
)
の
逆賊
(
ぎやくぞく
)
だ。
167
共産
(
きやうさん
)
主義
(
しゆぎ
)
や
平民
(
へいみん
)
主義
(
しゆぎ
)
を
太子
(
たいし
)
殿下
(
でんか
)
に
日夜
(
にちや
)
吹
(
ふ
)
き
込
(
こ
)
んだ
売国奴
(
ばいこくど
)
め、
168
黙言
(
だまり
)
おろう』
169
アリ『お
父
(
とう
)
さま、
170
天帝
(
てんてい
)
より
賦与
(
ふよ
)
された
私
(
わたし
)
の
言論
(
げんろん
)
機関
(
きくわん
)
を
行使
(
かうし
)
するのは
171
私
(
わたし
)
の
自由
(
じいう
)
の
権利
(
けんり
)
で
厶
(
ござ
)
います。
172
今日
(
こんにち
)
の
不完全
(
ふくわんぜん
)
極
(
きは
)
まる
貴方
(
あなた
)
の
作
(
つく
)
つた
法律
(
はふりつ
)
でさへも
173
言論
(
げんろん
)
集会
(
しふくわい
)
の
自由
(
じいう
)
を
認
(
みと
)
めて
居
(
ゐ
)
るぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
174
左様
(
さやう
)
な
解
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いましては
175
耄碌爺
(
まうろくおやぢ
)
と
云
(
い
)
はれても
弁解
(
べんかい
)
の
辞
(
じ
)
はありますまい。
176
矛盾
(
むじゆん
)
混沌
(
こんとん
)
、
177
自家
(
じか
)
撞着
(
どうちやく
)
も
茲
(
ここ
)
に
至
(
いた
)
つて
極
(
きは
)
まれりと
云
(
い
)
ふべしです。
178
貴方
(
あなた
)
は
一体
(
いつたい
)
個人
(
こじん
)
の
人格
(
じんかく
)
を
無視
(
むし
)
せむとして
居
(
ゐ
)
られますが、
179
国民
(
こくみん
)
としても、
180
個人
(
こじん
)
としても
其
(
その
)
個性
(
こせい
)
を
十分
(
じふぶん
)
発達
(
はつたつ
)
させ、
181
天地
(
てんち
)
の
分霊
(
わけみたま
)
としての
働
(
はたら
)
きを
十二分
(
じふにぶん
)
に
発揮
(
はつき
)
させ、
182
其
(
その
)
自由
(
じいう
)
の
権
(
けん
)
を
十分
(
じふぶん
)
行使
(
かうし
)
させねばならぬぢやありませぬか。
183
夫
(
そ
)
れだのに、
184
貴方
(
あなた
)
は
圧迫
(
あつぱく
)
や
威喝
(
ゐかつ
)
をもつて
之
(
これ
)
を
妨
(
さまた
)
げむとするのは
185
時代
(
じだい
)
に
疎
(
うと
)
い
癲狂
(
てんきやう
)
痴呆者
(
ちはうしや
)
と
云
(
い
)
はねばなりますまい』
186
ガン『お
前
(
まへ
)
は
年
(
とし
)
が
若
(
わか
)
いから
政治
(
せいぢ
)
の
枢機
(
すうき
)
に
参加
(
さんか
)
した
事
(
こと
)
が
無
(
な
)
いから、
187
左様
(
さやう
)
な
小理窟
(
こりくつ
)
をこねるのだ。
188
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
理論
(
りろん
)
と
実際
(
じつさい
)
とは
大
(
おほい
)
に
違
(
ちが
)
ふものだ。
189
今
(
いま
)
頃
(
ごろ
)
の
政治家
(
せいぢか
)
を
見
(
み
)
よ、
190
野
(
や
)
にある
時
(
とき
)
は
時
(
とき
)
の
政府
(
せいふ
)
の
施設
(
しせつ
)
に
対
(
たい
)
し、
191
どうのかうのと
極力
(
きよくりよく
)
反対
(
はんたい
)
を
試
(
こころ
)
み、
192
民衆
(
みんしう
)
を
煽
(
おだ
)
て
上
(
あ
)
げ
遂
(
つひ
)
に
政府
(
せいふ
)
を
乗
(
の
)
つ
取
(
と
)
り、
193
扨
(
さ
)
て
国政
(
こくせい
)
を
執
(
と
)
つて
見
(
み
)
ると
俄然
(
がぜん
)
と
調子
(
てうし
)
が
変
(
かは
)
つて
来
(
き
)
て、
194
野
(
や
)
にあつて
咆哮
(
はうかう
)
した
主義
(
しゆぎ
)
主張
(
しゆちやう
)
もケロリと
捨
(
す
)
て、
195
否
(
いな
)
放擲
(
はうてき
)
せなくてはならぬやうになるものだ。
196
それだから
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
議論
(
ぎろん
)
と
実際
(
じつさい
)
とは
大
(
おほい
)
に
径庭
(
けいてい
)
のあるものだ。
197
其
(
その
)
間
(
かん
)
の
消息
(
せうそく
)
も
知
(
し
)
らずに、
1971
青二才
(
あをにさい
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
198
小田
(
をだ
)
の
蛙
(
かわづ
)
の
鳴
(
な
)
くやうにゴタゴタ
云
(
い
)
ふても
納
(
をさ
)
まらないぞ。
199
総
(
すべ
)
て
政治
(
せいぢ
)
の
秘訣
(
ひけつ
)
は
圧迫
(
あつぱく
)
に
限
(
かぎ
)
るのだ』
200
アリ『どこ
迄
(
まで
)
もお
父
(
とう
)
さまは
解
(
わか
)
らないのですな。
201
理窟
(
りくつ
)
はどんなにでもつくものですよ。
202
専制
(
せんせい
)
と
圧迫
(
あつぱく
)
を
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
武器
(
ぶき
)
として
治
(
をさ
)
めて
居
(
ゐ
)
たスラブはどうです。
203
チヤイナはどうですか。
204
既
(
すで
)
に
已
(
すで
)
に
滅亡
(
めつぼう
)
したではありませぬか。
205
世界
(
せかい
)
各国
(
かくこく
)
競
(
きそ
)
ふて
共和
(
きようわ
)
主義
(
しゆぎ
)
をもつて
治国
(
ちこく
)
の
主義
(
しゆぎ
)
となし、
206
次
(
つぎ
)
から
次
(
つぎ
)
へと
王政
(
わうせい
)
が
亡
(
ほろ
)
びてゆく
趨勢
(
すうせい
)
を
見
(
み
)
ても、
207
時代
(
じだい
)
の
潮流
(
てうりう
)
は
共和
(
きようわ
)
主義
(
しゆぎ
)
に
向
(
むか
)
つて、
208
急速力
(
きふそくりよく
)
を
以
(
も
)
つて
進
(
すす
)
んで
居
(
ゐ
)
るぢやありませぬか、
209
個人
(
こじん
)
、
2091
個人
(
こじん
)
を
無視
(
むし
)
するやうで、
210
どうして
国家
(
こくか
)
を
治
(
をさ
)
める
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませうか。
211
賢明
(
けんめい
)
なる
太子
(
たいし
)
殿下
(
でんか
)
は
早
(
はや
)
くも
此
(
この
)
点
(
てん
)
に
気付
(
きづ
)
かれ、
212
王位
(
わうゐ
)
を
去
(
さ
)
つて
庶民
(
しよみん
)
となり、
213
個人
(
こじん
)
として
214
人間
(
にんげん
)
らしい
生活
(
せいくわつ
)
をやつて
見度
(
みた
)
いと
望
(
のぞ
)
んでゐらつしやるのですよ。
215
もうお
父
(
とう
)
さま、
216
貴方
(
あなた
)
も
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
骸骨
(
がいこつ
)
をお
乞
(
こ
)
ひなさい。
217
貴方
(
あなた
)
が
一
(
いち
)
日
(
にち
)
国政
(
こくせい
)
を
料理
(
れうり
)
さるればさるるだけ、
218
それだけ
国家
(
こくか
)
は
滅亡
(
めつぼう
)
に
向
(
むか
)
ふのです。
219
国民
(
こくみん
)
の
多
(
おほ
)
くは……
頑迷
(
ぐわんめい
)
固陋
(
ころう
)
の
左守
(
さもり
)
が
220
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く、
2201
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
れば
221
一
(
いち
)
日
(
にち
)
丈
(
だけ
)
国家
(
こくか
)
の
利益
(
りえき
)
だ……と
云
(
い
)
ふて
居
(
を
)
りますよ』
222
ガン『お
前
(
まへ
)
は
個人
(
こじん
)
々々
(
こじん
)
と
云
(
い
)
ふて
盛
(
さかん
)
に
個人
(
こじん
)
主義
(
しゆぎ
)
をまくし
立
(
た
)
てるが、
223
個人
(
こじん
)
主義
(
しゆぎ
)
が
発達
(
はつたつ
)
すればする
程
(
ほど
)
専制
(
せんせい
)
政治
(
せいぢ
)
が
必要
(
ひつえう
)
ぢやないか。
224
完全
(
くわんぜん
)
なる
個人
(
こじん
)
主義
(
しゆぎ
)
が
発達
(
はつたつ
)
し、
225
生活
(
せいくわつ
)
し
得
(
う
)
る
力
(
ちから
)
が
出来
(
でき
)
た
所
(
ところ
)
で、
226
ほんの
小
(
ちい
)
つぽけな
砂
(
すな
)
のやうなものだ。
227
二十万
(
にじふまん
)
の
国民
(
こくみん
)
が、
228
二十万
(
にじふまん
)
粒
(
つぶ
)
の
砂
(
すな
)
になつたやうなものだ。
229
個々
(
ここ
)
別々
(
べつべつ
)
になつた
砂
(
すな
)
は
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
堅固
(
けんご
)
でも
団結力
(
だんけつりよく
)
は
有
(
あ
)
るまい。
230
個人
(
こじん
)
としてはよからうが、
231
国家
(
こくか
)
及
(
および
)
団体
(
だんたい
)
としては
実
(
じつ
)
につまらぬものぢや。
232
そこで、
233
カラピン
王家
(
わうけ
)
と
云
(
い
)
ふ
大
(
おほ
)
きな
革袋
(
かはぶくろ
)
が
必要
(
ひつえう
)
なのだ。
234
この
革袋
(
かはぶくろ
)
に
二十万
(
にじふまん
)
粒
(
りう
)
の
砂
(
すな
)
を
入
(
い
)
れ
袋
(
ふくろ
)
の
口
(
くち
)
を
固
(
かた
)
く
縛
(
しば
)
り
235
横槌
(
よこづち
)
などで
強
(
つよ
)
く
叩
(
たた
)
きつけてこそ
初
(
はじ
)
めて
一
(
ひと
)
つの
国家
(
こくか
)
団体
(
だんたい
)
が
固
(
かた
)
まるのぢやないか。
236
革包
(
かはづつみ
)
の
破
(
やぶ
)
れた
袋
(
ふくろ
)
は
所謂
(
いはゆる
)
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
何
(
なん
)
の
力
(
ちから
)
もない。
237
それを
貴様
(
きさま
)
は
破
(
やぶ
)
らうとする
極
(
ごく
)
重悪人
(
ぢうあくにん
)
だ。
238
賢明
(
けんめい
)
なる
殿下
(
でんか
)
のそれ
位
(
くらゐ
)
の
道理
(
だうり
)
のお
解
(
わか
)
りにならない
筈
(
はず
)
は
無
(
な
)
いのだが、
239
貴様
(
きさま
)
が
常
(
つね
)
に
悪
(
わる
)
い
思想
(
しさう
)
を
吹
(
ふ
)
き
込
(
こ
)
むものだから、
240
あのやうな
悪
(
わる
)
い
精神
(
せいしん
)
におなりなされたのだ。
241
云
(
い
)
はば
貴様
(
きさま
)
はタラハン
国
(
ごく
)
を
覆
(
くつが
)
へす
悪魔
(
あくま
)
の
張本
(
ちやうほん
)
だ。
242
あゝもう
仕方
(
しかた
)
がない。
243
死
(
し
)
ぬにも
死
(
し
)
なれず、
244
悴
(
せがれ
)
は
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
説
(
と
)
き
聞
(
き
)
かしても
頑迷
(
ぐわんめい
)
不霊
(
ふれい
)
にして
時代
(
じだい
)
を
解
(
かい
)
せず、
245
政治
(
せいぢ
)
を
知
(
し
)
らず、
246
何
(
なん
)
とした
苦
(
くる
)
しい
立場
(
たちば
)
であらう』
247
アリ『お
父
(
とう
)
様
(
さま
)
、
248
煩悶
(
はんもん
)
苦悩
(
くなう
)
の
今日
(
こんにち
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
、
249
私
(
わたし
)
も
同情
(
どうじやう
)
致
(
いた
)
しますが、
250
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
心
(
こころ
)
の
持
(
も
)
ちやう
一
(
ひと
)
つで
厶
(
ござ
)
いますよ。
251
些
(
ちつ
)
と
郊外
(
かうぐわい
)
の
散歩
(
さんぽ
)
でもして、
252
天地
(
てんち
)
の
芸術
(
げいじゆつ
)
を
御覧
(
ごらん
)
なさいませ、
253
さうすれば
些
(
ちつ
)
とは
胸
(
むね
)
も
開
(
ひら
)
けて
新
(
あたら
)
しい
思想
(
しさう
)
が
生
(
うま
)
れて
来
(
く
)
るでせう』
254
左守
(
さもり
)
は
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
しながら、
255
『あゝあゝ
兎
(
と
)
やせむ
角
(
かく
)
や
線香
(
せんかう
)
の
煙
(
けむり
)
となつて、
256
タラハンの
国家
(
こくか
)
は
滅
(
ほろ
)
ぶのかなア』
257
(
大正一三・一二・四
新一二・二九
於祥雲閣
加藤明子
録)
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