霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二章 思想(しさう)(なみ)〔一七〇四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻 篇:第1篇 美山梅光 よみ(新仮名遣い):びざんばいこう
章:第2章 思想の波 よみ(新仮名遣い):しそうのなみ 通し章番号:1704
口述日:1924(大正13)年12月19日(旧11月23日) 口述場所:教主殿 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年8月19日
概要: 舞台:ハルの湖を進む波切丸 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6702
愛善世界社版:17頁 八幡書店版:第12輯 35頁 修補版: 校定版:17頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 梅公(うめこう)はヨリコ(ひめ)002花香姫(はなかひめ)(ともな)(こま)(またが)(くつわ)(なら)べて照国別(てるくにわけ)(たい)(がつ)すべく、003間道(かんだう)(えら)んでオーラ(さん)谷間(たにあひ)(かは)()004昼夜(ちうや)区別(くべつ)なく猛獣(まうじう)(こゑ)(ましら)(たけ)びに(おどろ)かされつつ、005(くさ)(しとね)とし、006立木(たちき)屋根(やね)となして幾夜(いくや)(かさ)007オーラ山脈(さんみやく)東南麓(とうなんろく)無遠慮(ぶゑんりよ)展開(てんかい)せるハルの(みづうみ)岸辺(きしべ)()いた。
008 (この)湖水(こすい)高原(かうげん)地帯(ちたい)有名(いうめい)なる大湖水(だいこすい)にして東西(とうざい)二百(にひやく)()009南北(なんぽく)三百(さんびやく)()(とな)へられて()る。010湖中(こちう)には無数(むすう)大小島(だいせうたう)(ほし)(ごと)くに配置(はいち)され、011各島嶼(かくたうしよ)(いづ)れもパインの()密生(みつせい)して世界一(せかいいち)風景(ふうけい)(とな)へられて()る。
012 梅公(うめこう)数日間(すうじつかん)オーラ(さん)事件(じけん)や、013その()について()(つひや)したので、014(この)湖水(こすい)(わた)近道(ちかみち)(えら)んで()(いくさ)追付(おひつ)かむが(ため)であつた。
015 岸辺(きしべ)には七八艘(しちはつさう)渡湖船(とこせん)(うか)んでゐる。016一行(いつかう)(さん)(にん)(もつと)(あたら)しき『波切丸(なみきりまる)』と()巨船(きよせん)(のり)(うつ)つた。017波切丸(なみきりまる)には数百(すうひやく)(にん)乗客(じやうきやく)があつた。018(をり)から()()北風(きたかぜ)真帆(まほ)(はら)ませ(なが)ら、019男波(をなみ)女波(めなみ)をかき()けて船足(ふなあし)(しづ)かに(おと)もなく、0192(すす)()く。
020 (やうや)くにして(ふね)(きし)()えぬ地点(ちてん)まで(すべ)つて()た。021印象(いんしやう)(ふか)きオーラの山脈(さんみやく)(この)湖水(こすい)境界(きやうかい)として東西(とうざい)(なが)延長(えんちやう)し、022中腹(ちうふく)(かすみ)(おび)()め、023その(いただき)(くも)帽子(ばうし)(かぶ)つて、024梅公(うめこう)一行(いつかう)勇者(ゆうしや)見送(みおく)るの(がい)があつた。025船中(せんちう)無聊(むれう)(なぐさ)むるために、026数多(あまた)乗客(じやうきやく)大部分(だいぶぶん)甲板(かんばん)()で、027四方(よも)風光(ふうくわう)(うち)(なが)めて、028(うた)()んだり、029()(ぎん)じたり、030三々(さんさん)伍々(ごご)(かうべ)(あつ)めて時事談(じじだん)他愛(たあい)もなく(ふけ)つてゐる。
031 梅公(うめこう)(ほか)二人(ふたり)興味(きようみ)(もつ)て、0311素知(そし)らぬ(かほ)して032乗客(じやうきやく)各自(かくじ)(おも)(おも)ひの出鱈目(でたらめ)(ばなし)脱線(だつせん)だらけの(うはさ)(など)をニコニコし(なが)()いてゐた。033乗客(じやうきやく)(いち)(にん)は、
034(かふ)『もしもしお(まへ)さまは大変(たいへん)元気(げんき)さうな(ひと)だが、035今度(こんど)(いくさ)には召集(せうしふ)されなかつたのですかい』
036(おつ)『エー、037(わたし)二十五(にじふご)(さい)男盛(をとこざか)りですが、038(かな)しいことにや不具者(かたわもの)だから徴兵(ちようへい)免除(めんぢよ)され、039(うち)(くすぶ)つてゐましたが、040どうも大抵(たいてい)のものは(みな)従軍(じゆうぐん)し、041あとに(のこ)つてゐるものは子供(こども)爺嬶(ぢぢかか)042それも綺麗(きれい)女房(にようばう)(むすめ)はバラモン(ぐん)()ツさらへて()つた(あと)だから、043(あと)(のこ)された人間(にんげん)(ばば)か、044多福(たふく)か、045不具(かたわ)男子(だんし)046独眼(めかんち)(びつこ)047腰抜(こしぬけ)048睾丸(きんたま)(つぶ)し、049いやもう(らつち)もない屑物(くづもの)(ばか)りで糞面白(くそおもしろ)くもないので、050バルガンの(みやこ)()けば、051(わたし)(あね)(うち)があつて立派(りつぱ)商売(しやうばい)して(くら)してゐるとの(こと)052一遍(いつぺん)(あそ)びに()(あそ)びに()いと()つて()たが()(ひま)がなかつたが、053()けば大足別(おほだるわけ)軍隊(ぐんたい)(みやこ)(せめ)()つたとか()(こと)054(いづ)戦場(せんぢやう)となれば住民(ぢうみん)困難(こんなん)狼狽(らうばい)055名状(めいじやう)すべからざるものが(ござ)いませう。056ついては(あね)()(うへ)(あん)じられますし、057見舞(みまひ)がてら、058避難(ひなん)がてら、059(あそ)びがてら、060()つて()ようと(おも)つて、061痩馬(やせうま)(またが)り、062オーラ(さん)間道(かんだう)(とほ)つて、063ヤツトの(こと)(この)(ふね)()にあつたのです』
064(かふ)『ア、065さうですか、066そりや大変(たいへん)(こと)ですな。067見舞(みまひ)がてら(あそ)びに()くと仰有(おつしや)つたが、068さうすると、069(まへ)さまの(かんが)へでは、070(ねえ)さまは()無事(ぶじ)だと()予想(よさう)がついてると()えますな』
071(おつ)(なに)072他家(よそ)予想(よさう))も(うち)もありませぬが、073(わたし)(あね)()(やつ)ア、0731仲々(なかなか)こすい(やつ)074(この)十年前(じふねんまへ)大戦(おほいくさ)のあつた(とき)もチヤンと一日前(いちにちまへ)(かぎ)()り、075オーラ(さん)()げて(なん)(まぬか)れた(こと)(ござ)います。076それはそれは抜目(ぬけめ)のない(あね)ですよ。077(わたし)兄弟(きやうだい)()(にん)ありましたが一人(ひとり)(はや)()に、078二人(ふたり)(いもうと)今度(こんど)のバラモン(ぐん)()ツさらはれて(しま)つたのです。079(なん)とかして大足別(おほだるわけ)陣中(ぢんちう)(うかが)ひ、080(いもうと)所在(ありか)(ひと)つは(さが)()いと(おも)つて(びつこ)(なが)らも痩馬(やせうま)(また)がり、081ヤツトここ(まで)()()次第(しだい)です。082本当(ほんたう)()(なか)は、083こんな(こと)(おも)ふと、084(いや)になつて(しま)ひますよ』
085(かふ)『かう()(とき)天地(てんち)(あひだ)(かみ)(さま)があつたなら救世主(きうせいしゆ)()(くだ)し、086人民(じんみん)塗炭(とたん)()(たす)けて(くだ)さるだらうに、087救世主(きうせいしゆ)再臨(さいりん)旱天(かんてん)雲霓(うんげい)(のぞ)(ごと)く、088()つて()つても、089こんな大国難(だいこくなん)場合(ばあひ)(あら)はれ(たま)はぬ以上(いじやう)は、090(かみ)はないものだと(みと)めるより仕方(しかた)はありませぬな』
091(おつ)()末法(まつぱふ)(ちか)づき、092悪魔(あくま)益々(ますます)横行(わうかう)濶歩(くわつぽ)し、093良民(りやうみん)()(つき)(しひた)げられ、094まるつきり阿鼻(あび)叫喚(けふくわん)095地獄(ぢごく)のやうなものです。096(にせ)(すく)(ぬし)097(にせ)弥勒(みろく)098(にせ)キリスト(など)所々(ところどころ)(あら)はれますが、099(かれ)()(えう)するに(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)つた悪魔(あくま)ですからな。100バラモン(ぐん)よりも山賊(さんぞく)よりも一層(いつそう)(おそ)ろしい代物(しろもの)だから、101うつかり相手(あひて)になれませぬ』
102(へい)(しか)し、1021貴方(あなた)(がた)103(わたし)はヒルナの(みやこ)(ほとり)()むものですが、104途々(みちみち)(うけたま)はれば、105あのオーラ(さん)には天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)106天帝(てんてい)()化身(けしん)107玄真坊(げんしんばう)とか()活神(いきがみ)(さま)出現(しゆつげん)(あそ)ばし、108(ほし)(さま)までが、109(あり)がたい()説教(せつけう)毎晩(まいばん)聴聞(ちやうもん)のため、110有名(いうめい)大杉(おほすぎ)にお(くだ)(あそ)ばし、111燦爛(さんらん)たる光明(くわうみやう)(はな)つてゐると()(こと)ぢやありませぬか。112貴方(あなた)(がた)はオーラのお(かた)()きましたが、113()参詣(さんけい)なさつたのぢやありませぬか。114随分(ずいぶん)ヒルナの(へん)まで(えら)評判(ひやうばん)ですよ』
115(おつ)(なに)116あいつは(にせ)救主(すくひぬし)で、117売僧(まいす)坊主(ばうず)山子(やまこ)をやつてるに(ちが)ひないです。118大方(おほかた)バラモン(ぐん)間諜(まわしもの)かも()れないと()(うはさ)です。119(わたし)(むら)(もの)(いち)()(たれ)(かれ)(しん)じて(まゐ)りましたが、120あまり()利益(りやく)がないので(たれ)(まゐ)らなくなりました。121(かへつ)遠国(ゑんごく)(はう)信仰心(しんかうしん)(つよ)く、122何十(なんじふ)()123何百(なんびやく)()()(ところ)から、124(うま)(うし)沢山(たくさん)穀物(こくもつ)()んでゾロゾロやつて(まゐ)りますが、125(めう)なものですわ。126(みな)(とほ)くから(まゐ)つて()るものはお神徳(かげ)(いただ)くと()(こと)です』
127(へい)『「燈台(とうだい)(もと)(くら)し」と()つて、128どうも(ちか)くの(ひと)本当(ほんたう)信仰(しんかう)()らないものです。129大体(だいたい)人間(にんげん)(かみ)(をしへ)をする(ひと)(にせ)(すく)(ぬし)とか売主(まいす)だとか、130廃品(ばち)ものだとか()つて批評(ひひやう)するのは、131信仰(しんかう)そのものの生命(せいめい)(すで)(すで)(うしな)はれてゐるのですから()神徳(かげ)のありさうな(こと)はありませぬよ。132(いわし)(あたま)信心(しんじん)からと()(たとへ)(とほ)り、133仮令(たとへ)オーラ(さん)(すく)(ぬし)(にせ)であらうが、134泥棒(どろばう)()けたものであらうが、135信仰(しんかう)するものは、136つまり、137その神柱(かむばしら)(つう)じて(まこと)(かみ)(すが)つてゐるのですから、138仮令(たとへ)取次(とりつぎ)曲神(まがかみ)であらうと139信仰(しんかう)そのものが()きて()(かぎ)り、140キツト(その)(まこと)(てん)(つう)()利益(りやく)のあるものと(ぞん)じます。141取次(とりつぎ)善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)批評(ひひやう)してる(あひだ)は、142まだ研究(けんきう)(てき)態度(たいど)143批判(ひはん)(てき)144調査(てうさ)(てき)態度(たいど)ですから、145信仰(しんかう)規範(きはん)一歩(いつぽ)()つてゐないのです。146それで(わたし)売主(まいす)(あら)はれて天帝(てんてい)化身(けしん)()のらうとも、147天帝(てんてい)化身(けしん)」と()ふ、148その()(しん)じさへすれば()いのです。149さうでなくちや、150絶対(ぜつたい)(てき)帰依心(きえしん)(おこ)らないものです。151何程(なにほど)(えら)(かみ)(さま)でも、152不完全(ふくわんぜん)人間(にんげん)使(つか)つて宇宙(うちう)全体(ぜんたい)意志(いし)伝達(でんたつ)(あそ)ばし、153(また)神徳(しんとく)幾部分(いくぶぶん)仲介者(ちうかいしや)(つう)じて(くだ)さるのです。154吾々(われわれ)(はし)なき(かは)(わた)れぬ道理(だうり)155どこ(まで)信仰(しんかう)信仰(しんかう)ですから(しん)じなくては駄目(だめ)です。156絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)()()(おい)(はじ)めて(かみ)神徳(しんとく)(さづ)かり、157(あたた)かき(かみ)(ふところ)(いだ)かれ()るのだと(かんが)へます』
158(かふ)成程(なるほど)159さう(うけたま)はれば、160いかにもと合点(がつてん)(まゐ)りました。161(いま)()(なか)物質(ぶつしつ)主義(しゆぎ)学説(がくせつ)主義(しゆぎ)(さかん)流行(りうかう)しますので、162仮令(たとへ)(かみ)(さま)だつて(げん)吾々(われわれ)凡夫(ぼんぷ)()(まへ)姿(すがた)(あら)はし、163(あるひ)奇蹟(きせき)(げん)じ、164即座(そくざ)霊験(れいけん)()せて(くだ)さらねば(しん)じないと()極悪(ごくあく)()(なか)になつてゐるのですからな。165(しか)しながら(この)(ごろ)学者(がくしや)鼻高(はなだか)(れん)も、166(すこ)(まなこ)()めかけたと()えて、167太霊道(たいれいだう)とか霊学(れいがく)研究会(けんきうくわい)だとか、168(あるひ)神霊(しんれい)科学(くわがく)研究会(けんきうくわい)だとか、169いろいろの幽霊(いうれい)研究(けんきう)(おこ)りかけましたが、170(これ)時勢(じせい)(ちから)でせう。171ここ十年前(じふねんぜん)(まで)如何(いか)なる大新聞(だいしんぶん)にも大雑誌(だいざつし)にも単行本(たんかうぼん)にも172(れい)とか、173(かみ)とか()()一字(いちじ)(あら)はれてゐなかつたのですが、174斎苑(いそ)(やかた)とかの生神(いきがみ)(さま)(この)()(あら)はれ、175()神徳(しんとく)世間(せけん)(かがや)(わた)るにつれ、176(れい)とか(かみ)とか()文字(もじ)がチヨコチヨコ(あら)はれて()ました。177それがダンダンと()()ふて濃厚(のうこう)()(まし)178流石(さすが)物質(ぶつしつ)学者(がくしや)もソロソロ()()つて179神霊(しんれい)科学(くわがく)研究会(けんきうくわい)()ふやうになつたのでせう。180(しか)(なが)科学(くわがく)神霊学(しんれいがく)とは出発点(しゆつぱつてん)(ちが)ひ、181()(はたけ)(ちが)ふのですから、182茄子畑(なすばたけ)南瓜(かぼちや)西瓜(すいくわ)()ようとしても駄目(だめ)ですわ。183ダンダン人間(にんげん)学者(がくしや)()()めて、184(れい)とか(かみ)とかを云々(うんぬん)するやうになりましたが、185(えう)するに学問(がくもん)()(つま)(めし)()(づめ)となつて、186しやう(こと)なしに有名(いうめい)学者(がくしや)一二(いちに)(にん)187霊学(れいがく)とか神霊(しんれい)とかを唱道(しやうだう)()すと、188(わけ)(わか)らぬくせに(さき)(あらさ)ふて、189自分(じぶん)(れい)()(かみ)(かた)らねば()(おく)れた(ふる)(あたま)()はれるだらう、190社会(しやくわい)嗜好(しこう)(とう)じないだらうと曲学(きよくがく)阿世(あせい)()が、191極力(きよくりよく)アセツた結果(けつくわ)だらうと(おも)ひますわ』
192(へい)()(せつ)(とほ)りです。193本当(ほんたう)現代(げんだい)学者(がくしや)(ぐらゐ)194没分暁漢(わからずや)はありませぬな。195三百(さんびやく)年前(ねんぜん)外国(ぐわいこく)流行(りうかう)した学説(がくせつ)翻訳(ほんやく)して、196それを(あたら)しい学者(がくしや)のやうに(おも)つて憶面(おくめん)もなく堂々(だうだう)発表(はつぺう)するのですから(たま)りませぬわ』
197(おつ)『そら、198貴方(あなた)(たち)のお(せつ)(もつと)もだが、199(なん)()つても、200(いま)証拠(しようこ)がなければ一切(いつさい)人民(じんみん)承知(しようち)せない()(なか)です。201さうして、202証拠(しようこ)物体(ぶつたい)無視(むし)して、203無声(むせい)無形(むけい)(れい)とか(かみ)とかに精神(せいしん)集中(しふちう)する(くらゐ)204(この)()(なか)危険(きけん)(だい)なるものはなからうかと(おも)ひます。205(げん)に、206オーラ(さん)救世主(きうせいしゆ)()つて()つた玄真坊(げんしんばう)()(やつ)ア、207(わたし)(むら)後家(ごけ)()アさまの(むすめ)208ヨリコ(ひめ)(かど)はかし、209それを女帝(によてい)として、210自分(じぶん)生神(いきがみ)さまと()りすまし、211沢山(たくさん)山賊(さんぞく)()れて、212(わる)(こと)ばかり仕出(しで)かし、213一方(いつぱう)(かみ)さまとなつて(ひと)(ふところ)(ねら)つて()(ところ)214三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)とかに看破(かんぱ)され、215手品(てじな)をあばかれ、216到頭(たうとう)何処(どこ)かへ()()つたと()(こと)です。217こんな代物(しろもの)()(なか)沢山(たくさん)(あら)はれて、218神仏(しんぶつ)()をかり、219人民(じんみん)をごまかすのだから、220(かみ)ならぬ()吾々(われわれ)人間(にんげん)221(たしか)なる証拠(しようこ)(つか)まぬ(こと)にや安心(あんしん)して信仰(しんかう)出来(でき)ませぬからな。222それで(やや)常識(じやうしき)()んだ人間(にんげん)(ども)が、223(いま)(まで)宗教(しうけう)では(あきた)らず、224それだと()つて(あたら)しい信憑(しんぴよう)すべき宗教(しうけう)(あら)はれず、225やむを()ずして、226どこかに慰安(ゐあん)(みち)(もと)めむとし、227科学(くわがく)立脚(りつきやく)したる神霊(しんれい)研究(けんきう)をなさむと焦慮(あせ)るのも、228(あなが)無理(むり)ではありませぬよ』
229(へい)(いま)()(なか)人間(にんげん)(むかし)(ひと)とは(ちが)つて、230外面(ぐわいめん)非常(ひじやう)(ひら)けてゐるやうですが、231肝腎要(かんじんかなめ)霊界(れいかい)知識(ちしき)()ふものは、232からつきし駄目(だめ)ですから、233(しん)救世主(きうせいしゆ)(あら)はれてゐるのですけど234自分(じぶん)暗愚(あんぐ)(こころ)邪曲(じやきよく)なる(おも)ひに(くら)べて(まこと)(かみ)(まこと)とせないですからな。235それ(ゆゑ)236チヨコチヨコと偽神(にせがみ)(あざむ)かれ、237大変(たいへん)(わざはひ)()238(しま)ひの(はて)にや(かみ)()()いても恐怖(きようふ)戦慄(せんりつ)するやうに、239いぢけて(しま)ふのです。240(あつもの)にこりて(なます)()く」の(たとへ)241(しん)救世主(きうせいしゆ)()(まへ)出現(しゆつげん)して(ござ)つても、242(また)偽神(にせがみ)ではなからうか、243(だま)すのではあるまいか、244(さは)らぬ(かみ)(たた)りなし、245近寄(ちかよ)つては大変(たいへん)だ」と()つて(まこと)(かみ)(さま)悪魔(あくま)(あつか)ひになし、246一生(いつしやう)懸命(けんめい)反抗(はんかう)(こころ)みるやうになるものです。247(しか)(なが)(わたし)(まこと)生神(いきがみ)(さま)のもはや(この)()降臨(かうりん)された(こと)(みと)めてゐます。248今度(こんど)(たたか)(など)(じふ)(ねん)(まへ)から(かみ)(さま)から(さと)らして(もら)つて()ましたよ。249(くに)(みだ)れて忠臣(ちうしん)(あら)はれ、250(いへ)(まづ)しうして孝子(かうし)()で、251天下(てんか)(みち)なくして真人(しんじん)(あら)はる」と(まを)しますが、252暗黒(あんこく)無道(ぶだう)(この)()(なか)大慈(だいじ)大悲(だいひ)(かみ)(さま)(けつ)してお見捨(みす)(あそ)ばす(はず)はありませぬ。253今日(こんにち)学者(がくしや)(ども)(まこと)三五(あななひ)大神(おほかみ)(さま)(たい)し、254邪神(じやしん)だとか、255大国賊(だいこくぞく)だとか、256大色魔(だいしきま)だとか、257詐偽師(さぎし)だとか、258いろいろの悪罵(あくば)嘲笑(てうせう)(たくま)しふし、259(わけ)(わか)らぬ凡夫(ぼんぷ)(ども)学者(がくしや)(せつ)大新聞(だいしんぶん)(せつ)誑惑(きやうわく)され、260附和(ふわ)雷同(らいどう)して(まこと)真人(しんじん)圧迫(あつぱく)恐怖(きようふ)し、261悪魔(あくま)(ごと)(きら)つて近寄(ちかよ)らないのです。262(じつ)(あは)れむべき世態(せたい)ぢやありませぬか。263その(くせ)264大真人(だいしんじん)首唱(しゆしやう)された()立替(たてかへ)立直(たてなほ)し、265改造(かいざう)266霊主(れいしゆ)体従(たいじゆう)267体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)268建主(けんしゆ)造従(ざうじゆう)269陽主(やうしゆ)陰従(いんじゆう)(とう)熟語(じゆくご)使(つか)ひ、270得々(とくとく)として自分(じぶん)発明(はつめい)したやうに()つてるのです。271つまり大真人(だいしんじん)誹謗(ひばう)(なが)ら、272大真人(だいしんじん)(せつ)応用(おうよう)してゐるのだから、273ツマリ渇仰(かつかう)憧憬(どうけい)してゐるのぢやありませぬか。274本当(ほんたう)に、275これ(ほど)矛盾(むじゆん)()(なか)にありませうかな』
276(かふ)貴方(あなた)のお(はなし)()いて()ると、277どうやら三五教(あななひけう)信者(しんじや)のやうですが、278(ちが)ひますかな』
279(へい)『お(さつ)しの(とほ)り、280(わたし)三五教(あななひけう)信者(しんじや)のチヤキチヤキです。281燈火(とうくわ)(てん)じて床下(ゆかした)(かく)すものはありませぬ。282卑怯(ひけふ)三五(あななひ)信者(しんじや)世間(せけん)圧迫(あつぱく)非難(ひなん)軽侮(けいぶ)()にして、283(ひと)(たづ)ねられると自分(じぶん)三五教(あななひけう)ぢやないと()ふものが九分(くぶ)九厘(くりん)です。284(こころ)(かみ)(しん)(くち)(いつは)るものは所謂(いはゆる)(かみ)(ころ)すものです。285こんな信仰(しんかう)到底(たうてい)()(むす)びませぬ。286(また)自分(じぶん)位置(ゐち)名誉(めいよ)毀損(きそん)されるかと(おも)つて287信者(しんじや)たる(こと)(かく)卑怯者(ひけふもの)(おほ)いのです。288(わたし)は、289そんな曖昧(あいまい)信仰(しんかう)(いた)しませぬ。290天下(てんか)誤解(ごかい)される(ほど)(かみ)(をしへ)ならばキツト()いに(ちが)ひありませぬ。291(めくら)(せん)(にん)()(なか)292(めくら)(ざう)(ひやう)する(ごと)人々(ひとびと)(うはさ)や、293(そしり)批評(ひひやう)なんかに躊躇(ちうちよ)してるやうな(こと)では、294いつ(まで)()つても(かみ)(さま)()(あら)はす(こと)出来(でき)ませぬ。295(また)天下(てんか)(すく)(こと)出来(でき)ないでせう。296(わたし)は、297さう()信仰(しんかう)のもとに三五教(あななひけう)神柱(かむばしら)2971(みづ)御霊(みたま)298天地(てんち)大先祖(おほせんぞ)たる国常立(くにとこたちの)(みこと)(さま)()神教(しんけう)伝達(でんたつ)(あそ)ばす世界(せかい)唯一(ゆゐいつ)神柱(かむばしら)(かた)(しん)じてゐるのです』
299(おつ)『お(まへ)さまの信仰(しんかう)も、300そこ(まで)()けば徹底(てつてい)してるやうだが、301(しか)(なが)用心(ようじん)しなさいや、302あの(かはづ)()(やつ)303背中(せなか)()がついてるから現在(げんざい)自分(じぶん)()まむとする(へび)(せな)に、304安然(あんぜん)として(いびき)をかいて()る。305さうして、306(しま)ひの()てにや、307その(へび)尻尾(しりつぽ)でまかれ、308ガブリと()まれて(いのち)()てるのです。309鮟鱇(あんかう)主義(しゆぎ)310海月(くらげ)主義(しゆぎ)(にせ)(すく)(ぬし)311彼方(あちら)3111此方(こちら)(あら)はれる()(なか)ですから、312信仰(しんかう)結構(けつこう)ではありますが、313そこは十分(じふぶん)()をつけて、314あんまり(かた)くならぬやうに、315片寄(かたよ)らないやう、316迷信(めいしん)(おちい)らぬやう()注意(ちうい)なさるが結構(けつこう)でせう』
317(へい)()注意(ちうい)(あり)がとう(ござ)います。318迷信(めいしん)(おちい)らないやうにと仰有(おつしや)いましたが、319今日(こんにち)()(なか)迷信(めいしん)(おちい)らないものが一人(ひとり)(ござ)いませうか。320政治(せいぢ)万能(ばんのう)主義(しゆぎ)迷信(めいしん)し、321黄金(わうごん)万能(ばんのう)主義(しゆぎ)迷信(めいしん)し、322共産(きやうさん)主義(しゆぎ)迷信(めいしん)し、323社会(しやくわい)主義(しゆぎ)迷信(めいしん)し、324過激(くわげき)主義(しゆぎ)迷信(めいしん)し、325医者(いしや)迷信(めいしん)し、326弁護士(べんごし)迷信(めいしん)し、327哲学(てつがく)迷信(めいしん)し、328一切(いつさい)科学(くわがく)迷信(めいしん)し、329宇宙学(うちうがく)迷信(めいしん)してゐるもの(ばか)りです。330各自(めいめい)(さる)尻笑(しりわら)ひで、331自分(じぶん)(おも)つてる(こと)正信(せいしん)だ、332他人(ひと)のやつてる(こと)迷信(めいしん)だと(かんが)へるは、333ヤツパリ迷信(めいしん)です。334(わたし)三五教(あななひけう)信仰(しんかう)してるのも、335ヤツパリ迷信(めいしん)かも()れませぬ。336大神(おほかみ)(さま)地位(ちゐ)()つてこそ、337(はじ)めて真信(しんしん)とか正信(せいしん)とか()へるでせうが、338(かみ)(いち)(まい)(へだ)てて(むか)ふの()えない人間(にんげん)智力(ちりよく)眼力(がんりよく)で、3381どうして正信者(せいしんじや)となる(こと)出来(でき)ませう。339それだから、340吾々(われわれ)飽迄(あくまで)迷信(めいしん)して(かみ)(さま)()ふその()絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)するのみです。341(これ)吾々(われわれ)にとつて唯一(ゆゐいつ)慰安者(ゐあんじや)となり、342天国(てんごく)開設(かいせつ)基礎(きそ)となり、343生命(せいめい)源泉(げんせん)となり、344無事(ぶじ)長久(ちやうきう)(もとい)となり、345天下(てんか)太平(たいへい)大本(たいほん)となり、346家内(かない)和合(わがふ)産業(さんげふ)発達(はつたつ)大根源(だいこんげん)となるものだと迷信(めいしん)するより仕方(しかた)ありませぬわ、347ハヽヽヽヽ』
348 梅公(うめこう)はヨリコ(ひめ)(むか)小声(こごゑ)にて、
349人々(ひとびと)言葉(ことば)(はし)()られけり
350常暗(とこやみ)()(まが)(こころ)を』
351ヨリコ『(ひか)(やみ)()()現世(うつしよ)(なか)
352(うら)(おもて)(のり)()くかな』
353花香(はなか)(はな)(かを)(ひと)(こころ)三五(あななひ)
354(かみ)(めぐ)みの(つゆ)宿(やど)れり』
355大正一三・一一・二三 新一二・一九 於教主殿 北村隆光録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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