霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 浮島(うきしま)怪猫(くわいべう)〔一七〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻 篇:第2篇 春湖波紋 よみ(新仮名遣い):しゅんこはもん
章:第6章 浮島の怪猫 よみ(新仮名遣い):うきしまのかいびょう 通し章番号:1708
口述日:1924(大正13)年12月27日(旧12月2日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年8月19日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-05-03 17:03:25 OBC :rm6706
愛善世界社版:75頁 八幡書店版:第12輯 57頁 修補版: 校定版:75頁 普及版:68頁 初版: ページ備考:
001 波切丸(なみきりまる)万波(ばんぱ)洋々(やうやう)たる湖面(こめん)を、002西南(せいなん)()して、003船舷(ふなばた)(つづみ)()(なが)ら、004いともゆるやかに(すす)んでゐる。005天気(てんき)清朗(せいらう)にして(はる)陽気(やうき)(ただよ)ひ、006(あるひ)(しろ)(あるひ)(くろ)(あるひ)(あか)(つばさ)(ひろ)げた海鳥(かいてう)が、007(あるひ)百羽(ひやくぱ)008千羽(せんば)(むれ)をなし、009(あや)しげな(こゑ)(しぼ)つて中空(ちうくう)(かけ)めぐり、010(あるひ)波間(なみま)悠然(いうぜん)として、011()きつ(しづ)みつ、012(うを)(あさ)つてゐる。013アンボイナは七八(しちはつ)(しやく)大翼(たいよく)(ひろ)げて一文字(いちもんじ)空中(くうちう)滑走(くわつそう)をやつてゐる。014(その)長閑(のどか)さは天国(てんごく)楽園(らくゑん)(あそ)ぶの(おも)ひがあつた。015前方(ぜんぱう)につき(あた)つたハルの湖水(こすい)第一(だいいち)の、016(いは)のみを(もつ)(きづ)かれた高山(かうざん)がある。017国人(くにびと)(この)島山(しまやま)(しよう)して浮島(うきしま)(みね)(とな)へてゐる。018一名(いちめい)夜光(やくわう)岩山(いはやま)ともいふ。019(ふね)容赦(ようしや)もなく(この)岩山(いはやま)(いち)(かいり)(ばか)手前(てまへ)(まで)(すす)んで()た。020船客(せんきやく)(いづ)れも(この)岩島(いはしま)(むか)つて、021一斉(いつせい)視線(しせん)()げ、022(この)(しま)(くわん)する古来(こらい)伝説(でんせつ)由緒(ゆいしよ)について、023口々(くちぐち)批評(ひひやう)(こころ)みてゐる。
024(かふ)(みな)さま、025御覧(ごらん)なさい。026前方(ぜんぱう)(くも)(しの)いで屹立(きつりつ)してゐる、027あの岩島(いはじま)は、028ハルの(うみ)第一(だいいち)高山(かうざん)で、029いろいろの神秘(しんぴ)(ざう)してゐる霊山(れいざん)ですよ。030(むかし)夜光(やくわう)岩山(いはやま)()つて、031(いは)頂辺(てつぺん)日月(じつげつ)(ごと)(ひかり)(かがや)き、032(つき)のない()航海(かうかい)には燈明台(とうみやうだい)として尊重(そんちよう)されたものです。033あのスツクと(くも)(ぬき)()山容(さんよう)具合(ぐあひ)といひ、034全山(ぜんざん)(いは)(もつ)(かた)められた金剛(こんがう)不壊(ふえ)容姿(ようし)といひ、035万古(ばんこ)不動(ふどう)霊山(れいざん)です。036(この)湖水(こすい)(わた)(もの)(この)(やま)()なくつちや、037湖水(こすい)(わた)つたといふ(こと)出来(でき)ないのです』
038(おつ)成程(なるほど)039()れば()(ほど)立派(りつぱ)(やま)ですな。040(しか)(なが)ら、041(いま)でも(よる)になると、042(むかし)(おな)じやうに光明(くわうみやう)(はな)つてゐるのですか』
043(かふ)(この)湖水(こすい)をハルの(うみ)といふ(くらゐ)ですもの、044(やみ)がなかつたのです。045(しか)(なが)らだんだん()(なか)(くも)つた(せい)か、046(とし)(とも)(ひかり)がうすらぎ、047(いま)では(ほと)んど(ひか)らなくなつたのです。048そして湖水(こすい)中心(ちうしん)(そび)()つてゐたのですが、049いつの()にやら、050(その)中心(ちうしん)から(ひがし)(うつ)つて(しま)つたといふ(こと)です。051万古(ばんこ)不動(ふどう)岩山(いはやま)()がないと()えて浮島(うきじま)らしく、052(あま)西風(にしかぜ)(はげ)しかつたと()えて、053チクチクと中心(ちうしん)から(ひがし)()つたといふ(こと)です』
054(おつ)成程(なるほど)文化(ぶんくわ)東漸(とうぜん)するとかいひますから、055文化風(ぶんくわかぜ)()いたのでせう。056(しか)日月(じつげつ)星辰(せいしん)(いづ)れも(みな)西(にし)西(にし)へと(うつ)つて()くのに、057あの岩山(いはやま)(かぎ)つて、058(ひがし)(うつ)るとは(すこ)天地(てんち)道理(だうり)(はん)してゐるぢやありませぬか。059浮草(うきぐさ)のやうに(かぜ)(したが)つて浮動(ふどう)する(やう)(しま)ならば、060(なに)(ほど)(いは)(かた)めてあつても、061何時(いつ)沈没(ちんぼつ)するか()れませぬから、062うつかり近寄(ちかよ)るこた出来(でき)ますまい』
063(かふ)『あの(やま)(いただ)きを御覧(ごらん)なさい。064(ほと)んど枯死(こし)せむとする(やう)なひねくれた、065ちつぽけな樹木(じゆもく)(いは)空隙(くうげき)(わづ)かに命脈(めいみやく)(たも)つてゐるでせう。066(やま)(たか)きが(ゆゑ)(たふと)からず、067樹木(じゆもく)あるを(もつ)(たふと)しとす……とかいつて、068何程(なにほど)(たか)(やま)でも(やく)()たぬガラクタ(いは)(かた)められ、069肝心(かんじん)樹木(じゆもく)がなくては、070(やま)(やま)たる資格(しかく)はありますまい。071せめて燈明台(とうみやうだい)にでもなりや、072(やま)としての価値(かち)(たも)てるでせうが、073(おほ)きな面積(めんせき)占領(せんりやう)して、074何一(なにひと)芸能(げいのう)のない岩山(いはやま)ではサツパリ(はなし)になりますまい。075それも(むかし)(やう)暗夜(やみよ)(てら)往来(わうらい)(ふね)(まも)つて076安全(あんぜん)彼岸(ひがん)(たつ)せしむる(はたら)きがあるのなれば、0761岩山(いはやま)結構(けつこう)ですが、077今日(けふ)となつては最早(もはや)無用(むよう)長物(ちやうぶつ)ですな。078(むかし)はあの(やま)(いただ)きに(とく)目立(めだ)つて、079仁王(にわう)(ごと)直立(ちよくりつ)してゐる大岩石(だいがんせき)を、080アケハルの(いは)(とな)へ、081(くに)(まも)(がみ)(さま)として、082国民(こくみん)尊敬(そんけい)してゐたのです。083それが今日(こんにち)となつては、084(すこ)しも(ひかり)がなく、085おまけに(その)(いは)に、086(たて)(おほ)きなヒビが()つて、087何時(いつ)破壊(はくわい)するか(わか)らないやうになり、088(いま)大黒岩(おほくろいは)(ひと)()んで()ります。089()(なか)(これ)()ても、090(この)ままでは(つづ)くものではありますまい。091(てん)(かみ)(さま)()不思議(ふしぎ)(あら)はして()推移(すゐい)をお(しめ)しになると()ひますから、092(これ)から推考(すゐかう)すれば、093大黒主(おほくろぬし)天下(てんか)(あま)(なが)くはありますまいな』
094(おつ)『あの岩山(いはやま)には(なに)猛獣(まうじう)でも()んでゐるでせうか』
095(かふ)(めう)怪物(くわいぶつ)沢山(たくさん)棲息(せいそく)してゐるといふ(こと)です。096そして(その)動物(どうぶつ)(あし)(みづ)かきがあり、097水上(すいじやう)自由(じいう)自在(じざい)游泳(いうえい)したり、098(やま)()(のぼ)(こと)(はや)さといつたら、099(まる)()り、100風船(ふうせん)飛翔(ひしよう)したやうなものだ……との(こと)です。101(むかし)()(かみ)102(つき)(かみ)二柱(ふたはしら)が、103天上(てんじやう)より()降臨(かうりん)になり104八百万(やほよろづの)(かみ)(つど)ひて、1041日月(じつげつ)(ごと)光明(くわうみやう)(はな)ち、105(この)湖水(こすい)(もと)より、106印度(つき)(くに)一体(いつたい)照臨(せうりん)し、107妖邪(えうじや)()(はら)ひ、108天下(てんか)万民(ばんみん)安息(あんそく)せしめ、109(かみ)(さま)()神体(しんたい)として、110国人(くにびと)があの岩山(いはやま)尊敬(そんけい)してゐたのですが、111追々(おひおひ)()澆季(げうき)末法(まつぽふ)となり、112何時(いつ)しか(その)光明(くわうみやう)(ひかり)(うしな)ひ、113(いま)(まつた)(とら)とも(おほかみ)とも金毛(きんまう)九尾(きうび)とも大蛇(だいじや)とも形容(けいよう)(がた)怪獣(くわいじう)棲息所(せいそくしよ)となつてゐるさうです。114それだから吾々(われわれ)人間(にんげん)が、115(その)(しま)一歩(いつぽ)でも()()れやうものなら、116(たちま)狂悪(きやうあく)なる怪獣(くわいじう)爪牙(さうが)にかかつて、117()()はれ、118(にく)()はれ(ほね)()かれて(ほろ)びると()つて(こは)がり、119(たれ)()りつかないのです。120風波(ふうは)(わる)くつて、121もしも(ふね)があの岩島(いはじま)にブツかからうものなら、122それこそ寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)123(ふたた)()きて(かへ)(こと)出来(でき)ないので、124(この)(ごろ)では、125秘々(ひそびそ)とあの(しま)悪魔島(あくまたう)()つてゐます。126(しか)(おほ)きな(こゑ)でそんな(こと)()はうものなら、127怪物(くわいぶつ)(その)(こゑ)(きき)()けて、128どんなわざをするか(わか)らぬといふ(こと)ですから、129(たれ)(かれ)(はばか)つて、130大黒岩(おほくろいは)(くわん)する(はなし)(くち)()じて安全(あんぜん)無事(ぶじ)(いの)つてゐるのです。131あの(しま)がある(ため)に、132(すこ)暴風(ばうふう)(とき)大変(たいへん)大波(おほなみ)(おこ)し、133(ちひ)さい(ふね)何時(いつ)覆没(ふくぼつ)(なん)()ふのですからなア。134(なん)とかして、135(てん)(おほ)きな工匠(こうしやう)がやつて()大鉄槌(だいてつつい)(ふる)ひ、136(うち)(くだ)いて、137吾々(われわれ)安全(あんぜん)(まも)つてくれる、138大神将(だいしんしやう)(あら)はれ(さう)なものですな』
139(おつ)(なん)と、140権威(けんゐ)のある岩山(いはやま)ぢやありませぬか。141つまり(この)湖面(こめん)傲然(がうぜん)()()つて、142所在(あらゆる)島々(しまじま)睥睨(へいげい)し、143こわ()てに()ててゐるのですな』
144(かふ)『あの岩山(いはやま)時々(ときどき)大鳴動(だいめいどう)(おこ)し、145噴煙(ふんえん)()()らし、146湖面(こめん)(やみ)(つつ)んで(しま)(こと)があるのですよ。147(その)噴煙(ふんえん)には一種(いつしゆ)毒瓦斯(どくガス)含有(がんいう)してゐますから、148(その)(けぶり)(おそ)はれた(もの)(たちま)禿頭病(とくとうびやう)になり、149(あるひ)眼病(がんびやう)(わづら)ひ、150(みみ)(きこ)えなくなり、151(した)(うご)かなくなるといふ(こと)です。152そして(はら)のすく(こと)153咽喉(のど)(かは)(こと)154一通(ひととほ)りぢやないさうです。155そんな魔風(まかぜ)に、156(をり)あしく出会(でつくは)した(もの)()災難(さいなん)ですよ』
157(おつ)(まる)()蚰蜒(げぢげぢ)か、158蛇蝎(だかつ)(やう)(おそ)ろしい(いや)らしい岩山(いはやま)ですな。159なぜ天地(てんち)(かみ)さまは人民(じんみん)(あい)する(こころ)より、160湖上(こじやう)大害物(だいがいぶつ)(とりの)けて(くだ)さらぬのでせうか。161あつて(えき)なく、162なければ大変(たいへん)163自由(じいう)自在(じざい)航海(かうかい)出来(でき)便利(べんり)だのに、164()(なか)は、165(かみ)(さま)(いへど)166(ある)程度(ていど)(まで)自由(じいう)にならないと()えますな』
167(かふ)何事(なにごと)時節(じせつ)(ちから)ですよ。168金輪(こんりん)奈落(ならく)地底(ちてい)からつき()てをつたといふ、169あの大高(おほたか)岩山(いはやま)が、170(わづ)かの(かぜ)(ぐらゐ)動揺(どうえう)して、171(ひがし)(ひがし)へと(なが)(うつ)(やう)になつたのですから、172最早(もはや)(その)根底(こんてい)はグラついてゐるのでせう。173(ひと)つレコード(やぶ)りの大地震(だいぢしん)でも勃発(ぼつぱつ)したら、174()もなく、175湖底(こてい)(しづ)んで(しま)ふでせう。176オ、177アレアレ御覧(ごらん)なさい。178頂上(ちやうじやう)夫婦岩(めうといは)が、179(なん)だか(あや)しく(うご)()したぢやありませぬか』
180(おつ)(かぜ)()かないのに、181千引(ちびき)(いは)自動(じどう)するといふ道理(だうり)もありますまい。182(ふね)(うご)くので(いは)(うご)くやうに()えるのでせう』
183(かふ)『ナニ、184さうではありますまい。185(ふね)(うご)いて(いは)(うご)くやうに()えるのなれば、186浮島(うきじま)全部(ぜんぶ)(うご)かねばなりますまい。187(ほか)散在(さんざい)してゐる大小(だいせう)無数(むすう)島々(しまじま)も、188(おな)(やう)(うご)かねばなりますまい。189岩山(いはやま)頂上(ちやうじやう)(かぎ)つて(うご)()すのは、190ヤツパリ(ふね)動揺(どうえう)作用(さよう)でもなければ、191変視(へんし)幻視(げんし)作用(さよう)でもありますまい。192キツと(これ)(なに)かの前兆(ぜんてう)でせうよ』
193(おつ)『そう(うけたま)はれば、194いかにも(うご)いて()ります。195あれあれ、196そろそろ夫婦岩(めうといは)(いただ)きの(はう)から(した)(はう)(むか)つて(ある)(はじ)めたぢやありませぬか』
197(かふ)成程(なるほど)(めう)だ。198段々(だんだん)(くだ)つて()るぢやありませぬか。199(いは)かと(おも)へば(とら)()うてゐる(やう)()()して()たぢやありませぬか』
200(おつ)『いかにも大虎(おほとら)です(わい)201アレアレ全山(ぜんざん)動揺(どうえう)()しました。202此奴(こいつ)沈没(ちんぼつ)でもせうものなら、203それ(だけ)水量(みづかさ)がまさり、204大波(おほなみ)(おこ)つて、205吾々(われわれ)(ふね)大変(たいへん)影響(えいきやう)をうけるでせう。206(あぶ)ない(こと)になつて()たものですワイ』
207 かく(はな)(うち)208波切丸(なみきりまる)浮島(うきじま)岩山(いはやま)間近(まぢか)(すす)んだ。209(しま)周囲(しうゐ)(なん)となく(なみ)(たか)い。210(とら)()えた(いは)変化(へんげ)磯端(いそばた)(くだ)つて()た。211よくよく()れば(うし)(やう)虎猫(とらねこ)である。212虎猫(とらねこ)波切丸(なみきりまる)()をいからして、2121(にら)(なが)ら、213()げるが(ごと)湖面(こめん)(わた)つて夫婦(めうと)()れ、214西方(せいはう)()して()きつ(しづ)みつ()げて()く。215(にはか)浮島(うきじま)鳴動(めいどう)(はじ)め、216前後(ぜんご)左右(さいう)に、2161全山(ぜんざん)()れて()た。217チクリチクリと(やま)(かさ)(ちひ)さくなり(ひく)くなり、218半時(はんとき)(ばか)りの(うち)水面(すいめん)(その)(かげ)(ぼつ)して(しま)つた。219(あま)沈没(ちんぼつ)仕方(しかた)漸進(ぜんしん)(てき)であつたので、220(おそ)ろしき荒波(あらなみ)()たず、221波切丸(なみきりまる)前後(ぜんご)左右(さいう)動揺(どうえう)する(くらゐ)ですんだ。222一同(いちどう)船客(せんきやく)(この)光景(くわうけい)(なが)めて、223(いづ)れも顔色(がんしよく)(あを)ざめ、224不思議(ふしぎ)々々(ふしぎ)連呼(れんこ)するのみであつた。225(この)(とき)船底(せんてい)横臥(わうぐわ)してゐた梅公(うめこう)宣伝使(せんでんし)226(ふね)(すこ)しく動揺(どうえう)せしに()()まし、227ヒヨロリヒヨロリと甲板(かんばん)(あが)つて()た。228さしもに有名(いうめい)大高(おほたか)岩山(いはやま)跡形(あとかた)もなく水泡(みなわ)()えてゐた。229そして船客(せんきやく)口々(くちぐち)陥没(かんぼつ)記念所(きねんしよ)(はな)してゐる。230梅公(うめこう)船客(せんきやく)一人(ひとり)(むか)つて、
231(かぜ)もないのに、232大変(たいへん)(なみ)ですな。233どつかの(しま)沈没(ちんぼつ)したのぢやありませぬか』
234(かふ)『ハイ、235貴方(あなた)236あの大変事(たいへんじ)御覧(ごらん)にならなかつたのですか。237随分(ずいぶん)見物(みもの)でしたよ。238(むかし)から日月(じつげつ)(ごと)(ひか)つてゐた頂上(ちやうじやう)夫婦岩(めうといは)(にはか)()るぎ()し、239(しま)いの(はて)には(おほ)きな(とら)となり、240磯端(いそばた)(くだ)つて()時分(じぶん)には(ねこ)となり、241(なみ)(あひだ)()きつ(しづ)みつ、242西(にし)(はう)()げて()つたと(おも)へば、243チクリチクリと(しま)(しづ)()し、244たうとう()くなつて(しま)ひました。245こんな(こと)(むかし)から()(こと)はありませぬ。246コリヤ(なん)かの(てん)のお()らせでせうかな』
247(うめ)『どうも不思議(ふしぎ)ですな。248(しか)(なが)人間(にんげん)から()れば大変(たいへん)(こと)のやうですが、249宇宙(うちう)万有(ばんいう)創造(さうざう)(たま)うた(かみ)(さま)()()から()れば、250吾々(われわれ)(ほほ)()ひついた()一匹(いつぴき)(たた)(ころ)(やう)なものでせう。251(しか)(なが)吾々(われわれ)(これ)()て、252(みづか)(いまし)め、253(さと)らねばなりませぬ』
254(おつ)貴方(あなた)何教(なにけう)かの宣伝使(せんでんし)(さま)のやうですが、255一体(いつたい)全体(ぜんたい)(この)()(なか)()うなるでせうか。256吾々(われわれ)不安(ふあん)(たま)らないのです。257つい一時前(いつときまへ)(まで)泰然(たいぜん)として湖中(こちう)(そび)えてゐた、258あの岩山(いはやま)(もろ)くも湖底(こてい)沈没(ちんぼつ)するといふよな不祥(ふしやう)()(なか)ですからなア』
259(うめ)今日(こんにち)妖邪(えうじや)()260(くに)上下(じやうげ)()ちあふれ、261仁義(じんぎ)だの、262道徳(だうとく)だのと()美風(びふう)()(はら)ひ、263(あく)虚偽(きよぎ)との悪風(あくふう)()(すさ)び、264()益々(ますます)暗黒(あんこく)(ふち)沈淪(ちんりん)し、265聖者(せいじや)()(かく)れ、266愚者(ぐしや)(たか)きに(のぼ)つて国政(こくせい)(わたくし)し、267(ぜん)(しひた)げられ(あく)(さか)えるといふ無道(むだう)社会(しやくわい)ですから、268天地(てんち)(これ)感応(かんのう)して、269色々(いろいろ)不思議(ふしぎ)勃発(ぼつぱつ)するのでせう。270今日(こんにち)人間(にんげん)(いづ)れも堕落(だらく)(ふち)(しづ)み、271卑劣心(ひれつしん)のみ(あたま)(もた)げ、272有為(いうゐ)人材(じんざい)(うま)(きた)らず、273末法(まつぽふ)常暗(とこやみ)()となり(はて)てゐるのですから、274吾々(われわれ)斎苑(いそ)(やかた)神柱(かむばしら)275()(かみ)救世(きうせい)(てき)()神業(しんげふ)奉仕(ほうし)し、276天下(てんか)暗雲(あんうん)(はら)ひ、277悲哀(ひあい)(ふち)(しづ)める蒼生(あをひとぐさ)平安(へいあん)無事(ぶじ)なる楽郷(らくきやう)(すく)はむが(ため)278所在(あらゆる)艱難(かんなん)辛苦(しんく)をなめ、279天下(てんか)遍歴(へんれき)して、280神教(しんけう)伝達(でんたつ)してゐるのです。281()()()(なか)は、282()(くらゐ)不思議(ふしぎ)では(をさ)まりませぬよ。283(ここ)(じふ)(ねん)以内(いない)には、284世界(せかい)(てき)285又々(またまた)大戦争(だいせんそう)勃発(ぼつぱつ)するでせう。286今日(こんにち)ウラル(けう)とバラモン(けう)との戦争(せんそう)(はじ)まらむとして()りますが、287()んなことはホンの児戯(じぎ)(ひと)しきもので、288世界(せかい)将来(しやうらい)は、289(じつ)戦慄(せんりつ)すべき大禍(たいくわ)(よこ)たはつて()ります。290(それ)(ゆゑ)291吾々(われわれ)愛善(あいぜん)(とく)信真(しんしん)(ひかり)()(たま)大神(おほかみ)(さま)()神諭(しんゆ)(はい)し、292(あまね)天下(てんか)万民(ばんみん)(すく)はむが(ため)に、293(くさ)のしとね、294(ほし)夜具(やぐ)295()()(まくら)として、296天下(てんか)公共(こうきよう)(ため)塵身(ぢんしん)(ささ)げてゐるのです』
297(かふ)成程(なるほど)(うけたま)はれば(うけたま)はる(ほど)298今日(こんにち)()(なか)不安(ふあん)空気(くうき)(ただよ)うてゐるやうです。299(いま)人間(にんげん)神仏(しんぶつ)洪大(こうだい)無辺(むへん)なる()威徳(いとく)無視(むし)し、300暴力(ばうりよく)圧制(あつせい)とを()つて唯一(ゆゐいつ)武器(ぶき)とする大黒主(おほくろぬし)(まへ)拝跪(はいき)渇仰(かつかう)し、301()(なか)(たふと)(もの)はハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)より(ほか)にないものだと誤解(ごかい)してゐるのだから、302天地(てんち)(いかり)()れて、303()(なか)一旦(いつたん)破壊(はくわい)さるるのは当然(たうぜん)でせう。304(わたし)はウラル(けう)信者(しんじや)(ござ)いますが、305第一(だいいち)306教主(けうしゆ)(さま)からして、307……(かみ)(しん)ずるのは科学(くわがく)(てき)でなくては()かない。308神秘(しんぴ)だとか奇蹟(きせき)だとかを(もつ)信仰(しんかう)維持(ゐぢ)してゐたのは、309太古(たいこ)未開(みかい)時代(じだい)(こと)だ。310日進(につしん)月歩(げつぽ)311開明(かいめい)今日(こんにち)は、312そんなゴマカシは世人(せじん)受入(うけい)れない……と()つてゐらつしやるのですもの、313(まる)()(かみ)(さま)科学(くわがく)(あつか)ひにし、314()神体(しんたい)分析(ぶんせき)解剖(かいばう)して、3141色々(いろいろ)批評(ひひやう)(くだ)すといふ極悪(ごくあく)世界(せかい)ですもの。315()んな()(なか)()()るのは(むし)当然(たうぜん)でせう。316貴方(あなた)何教(なにけう)宣伝使(せんでんし)(ござ)いますか。317(かみ)(さま)(たい)する()感想(かんさう)(うけたま)はりたいもので(ござ)いますな』
318(うめ)最前(さいぜん)(まをし)()げた(とほ)り、319斎苑(いそ)(やかた)大神(おほかみ)(さま)三五教(あななひけう)()(ひら)きになつたのです。320そして(わたし)同教(どうけう)宣伝使(せんでんし)照国別(てるくにわけ)(さま)といふ()(かた)従者(じゆうしや)となつて、321宣伝(せんでん)(たび)()つたもので(ござ)います。322それ(ゆゑ)貴方(あなた)(がた)のお(たづ)ねに(たい)し、323立派(りつぱ)(こたへ)到底(たうてい)出来(でき)ませぬ。324(しか)(なが)(かみ)(さま)(むかし)(ひと)のいつた(やう)に、325超然(てうぜん)として人間(にんげん)(はな)れた(もの)ではありませぬ。326神人(しんじん)合一(がふいつ)(きやう)()つて(はじ)めて、327(かみ)(かみ)たり、328(ひと)(ひと)たる(はたら)きが出来得(できう)るのです。329(ゆゑ)三五教(あななひけう)にては、330(ひと)(かみ)()(かみ)(みや)(とな)へ、331舎身(しやしん)(てき)大活動(だいくわつどう)を、332天下(てんか)万民(ばんみん)(ため)にやつてゐるのです』
333(かふ)(なに)()教示(けうじ)について、334(ごく)簡単(かんたん)明瞭(めいれう)に、335(かみ)(ひと)との関係(くわんけい)(わか)らして(いただ)(こと)出来(でき)ますまいか』
336(うめ)『ハイ、337(わたし)にもまだ修業(しうげふ)未熟(みじゆく)なので、338判然(はつきり)した(こと)(まをし)()(かね)ますが、339(わが)宣伝使(せんでんし)(きみ)から(をそ)はつた(ひと)つの格言(かくげん)(ござ)いますから、340(これ)貴方(あなた)にお()かせ(いた)しませう。
 
341   神力(しんりき)人力(じんりき)
342一、343宇宙(うちう)本源(ほんげん)活動力(くわつどうりよく)にして(すなは)(かみ)なり。
344一、345万物(ばんぶつ)活動力(くわつどうりよく)発現(はつげん)にして(かみ)断片(だんぺん)なり。
346一、347(ひと)活動力(くわつどうりよく)主体(しゆたい)348天地(てんち)経綸(けいりん)司宰者(しさいしや)なり。349活動力(くわつどうりよく)洪大(こうだい)無辺(むへん)にして宗教(しうけう)350政治(せいぢ)351哲学(てつがく)352倫理(りんり)353教育(けういく)354科学(くわがく)355法律(はふりつ)(とう)源泉(げんせん)なり。
356一、357(ひと)(かみ)()(かみ)生宮(いきみや)なり。358(しか)して(また)(かみ)()()るものなり。
359一、360(ひと)(かみ)にしあれば(かみ)(なら)ひて()活動(くわつどう)し、361自己(じこ)(しん)じ、362他人(たにん)(しん)じ、363依頼心(いらいしん)(おこ)(べか)らず。
364一、365世界(せかい)人類(じんるゐ)平和(へいわ)幸福(かうふく)(ため)苦難(くなん)()とせず、366真理(しんり)(ため)活躍(くわつやく)実行(じつかう)するものは(かみ)なり。
367一、368(かみ)万物(ばんぶつ)普遍(ふへん)活霊(くわつれい)にして、369(ひと)神業(しんげふ)経綸(けいりん)主体(しゆたい)なり。370霊体(れいたい)一致(いつち)して(ここ)無限(むげん)無極(むきよく)権威(けんゐ)発揮(はつき)し、371万世(ばんせい)基本(きほん)樹立(じゆりつ)す』
 
372(かふ)『イヤ有難(ありがた)う。373()教示(けうじ)()いて地獄(ぢごく)から極楽(ごくらく)浄土(じやうど)転住(てんぢう)したやうな法悦(ほふえつ)(むせ)びました。374成程(なるほど)人間(にんげん)(かみ)(さま)分派(ぶんぱ)で、375いはば(せう)なる(かみ)(ござ)いますなア。376(いま)(まで)ウラル(けう)(とな)へてをりました教理(けうり)(くら)ぶれば、377(その)内容(ないよう)(おい)て、378(その)(たふと)さに(おい)て、379真理(しんり)徹底(てつてい)したる(てん)(おい)て、380天地(てんち)霄壌(せうじやう)()(ござ)います。381(わたし)はスガの(みなと)(ちひ)さい商人(せうにん)(ござ)いますが、382(うち)にはウラル(ひこ)(かみ)(さま)奉斎(ほうさい)してをります。383(しか)(なが)(これ)祖先(そせん)以来(いらい)伝統(でんとう)(てき)(まつ)つてゐるので、384()はば葬式(さうしき)などの便利(べんり)(じやう)385ウラル教徒(けうと)となつてゐるのに()ぎませぬ。386既成(きせい)宗教(しうけう)(すで)命脈(めいみやく)(うしな)ひ、387(ただ)(その)残骸(ざんがい)(とど)むるのみ。388吾々(われわれ)人民(じんみん)信仰(しんかう)(うゑ)(かわ)き、389精神(せいしん)(みち)放浪(はうらう)し、390(いち)(にち)として、391(この)()安心(あんしん)(おく)(こと)出来(でき)なかつたのです。392(きう)道徳(だうとく)(すで)(すで)()にすたれて、393(しん)道徳(だうとく)(おこ)らず、394(また)偉大(ゐだい)なる新宗教(しんしうけう)勃起(ぼつき)せないと()つて、395日夜(にちや)(くや)んで()りましたが、396かやうな崇高(すうかう)偉大(ゐだい)真宗教(しんしうけう)(おこ)つてゐるとは、397(ゆめ)にも()らなかつたのです。398(はか)らずも波切丸(なみきりまる)船中(せんちう)(おい)て、399かかる(たふと)(かみ)(さま)のお使(つかひ)(めぐ)()ひ、400起死(きし)回生(くわいせい)()神教(しんけう)()かして(いただ)くとは、401(なん)たる、402(わたし)幸福(かうふく)(ござ)いませう。403(わたし)(うち)は、404(まこと)手狭(てぜま)(ござ)いますが、405スガの(みなと)のイルクと()つて、406多少(たせう)遠近(ゑんきん)()()られた小商人(こあきんど)(ござ)います。407どうか、408(わたし)(たく)へも蓮歩(れんぽ)()(くだ)さいまして、409家族(かぞく)一同(いちどう)に、410(たふと)(をしへ)をお(さづ)(くだ)さいます(やう)にお(ねが)(いた)します。411そして(わたし)(この)結構(けつこう)()神徳(しんとく)独占(どくせん)せず、412(ちから)のあらむ(かぎ)り、413万民(ばんみん)神徳(しんとく)宣伝(せんでん)さして(いただ)(かんが)へで(ござ)いますから、414何卒(なにとぞ)(よろ)しくお(ねが)(まをし)()げます』
415梅公(うめこう)(じつ)結構(けつこう)なる貴方(あなた)()心掛(こころがけ)416(これ)大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)(さま)()引合(ひきあは)せで(ござ)いませう。417(これ)御縁(ごえん)に、418(わたし)もスガの(みなと)(ふね)がつきましたら、419貴方(あなた)のお(たく)(たち)よらして(いただ)きませう。
420(おも)ひきや(かみ)仕組(しぐみ)真人(まさびと)
421御船(みふね)(なか)にもくばりあるとは。
422(この)(ふね)(かみ)(すく)ひの(ふね)ぞかし
423()荒波(あらなみ)()けつつ(すす)めり』
424大正一三・一二・二 新一二・二七 於祥雲閣 松村真澄録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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