霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第六章 鬼遊婆(きいうば)〔一七七三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第1篇 花鳥山月 よみ(新仮名遣い):かちょうさんげつ
章:第6章 鬼遊婆 よみ(新仮名遣い):きゆうば 通し章番号:1773
口述日:1925(大正14)年08月23日(旧07月4日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
場面は変わって、気味の悪い黄昏時の情景。一面の枯草に血生臭い風。烏は鳴き、不気味な虫が草原一面に人の血を吸おうと潜んでいる。
そこへ高姫がやってくる。高姫は、三年間、中有界にとめおかれて、修行を命ぜられていたのであった。高姫は一人の亡者を弟子に連れ、自分は現界に立ち働いているつもりで、道行く人をウラナイ教にひっぱりこもうと待ち構えていたのであった。
弟子のトンボはあまりの閑古鳥と高姫の人使いの荒さに文句を言い、逃げようとしたところをつかまれて、ばったり倒れてしまった。
そこへやってきたのは、八衢に彷徨っているキューバーであった。高姫はこれ幸いとキューバーに宣伝をはじめ、自分のあばら家に引っ張り込もうとする。
キューバーは宿を探していたところへ、渡りに舟と、高姫についていく。トンボは、二人がどんな相談を始めるやら窺いに、高姫の破れ屋に足音を忍ばせてつけていく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7006
愛善世界社版:72頁 八幡書店版:第12輯 416頁 修補版: 校定版:73頁 普及版:38頁 初版: ページ備考:
001 黄昏時(たそがれどき)(あたま)から(つぼ)をかぶつたやうな(そら)(いろ)002(なん)とも()れぬ血腥(ちなまぐ)さい、003(はらわた)(えぐ)れる()うな(かぜ)がピユーピユーと()いてゐる。004(やせ)こけた(からす)二三羽(にさんば)005羽衣(はごろも)()いだ(かき)()(えだ)(こずゑ)諸共(もろとも)空腹(すきばら)(かか)へて(ふる)ふてゐる。
006 地上(ちじやう)枯草(かれくさ)一面(いちめん)()()ち、007(ところ)まんだら(あか)生地(きぢ)(あら)はしてゐる。008(なん)とも()れぬ、009いやらしい(むし)枯草(かれくさ)一面(いちめん)()りかこみ、010(ひと)(にほひ)がすると一斉(いつせい)(あつ)まり(きた)り、011人間(にんげん)(からだ)()はうとして()ちかまへてゐる。012そこへ(あら)はれて()たのは、013(さん)年間(ねんかん)中有界(ちううかい)にとめおかれ、014修業(しうぎやう)(めい)ぜられたウラナイ(けう)高姫(たかひめ)であつた。
015 高姫(たかひめ)新規(しんき)亡者(まうじや)一人(ひとり)(ともな)(なが)ら、016自分(じぶん)はヤツパリ現界(げんかい)(たち)(はたら)いてゐるつもりで、017野分(のわけ)()かれ(なが)ら、018東海道(とうかいだう)五十三(ごじふさん)(つぎ)のやうな弊衣(へいい)()(まと)ひ、019新弟子(しんでし)のトンボと一緒(いつしよ)(みち)()(ひと)引張(ひつぱり)()まむと(まち)(かま)へて()た。
020トンボ『もし生宮(いきみや)(さま)021もういい加減(かげん)(かへ)らうぢやありませぬか。022(なん)だか(この)街道(かいだう)(さび)しくて(さび)しくて(いぬ)()一匹(いつぴき)(とほ)らぬぢやありませぬか。023何時(いつ)まで蜘蛛(くも)()をかけて(せみ)がとまるのを()つやうにして()つても、024(せみ)()なくちや駄目(だめ)でせう』
025高姫(たかひめ)『これ、026トンボ、027(まへ)(なん)()()(よわ)(こと)()ふのだい。028仮令(たとへ)人間(にんげん)(とほ)らなくても、029(この)生宮(いきみや)此処(ここ)出張(しゆつちやう)して()れば、030沢山(たくさん)(みたま)(とほ)つて大弥勒(おほみろく)生宮(いきみや)()神徳(しんとく)()れ、031御光(ごくわう)(てら)され、032(ひやく)(にん)(ひやく)(にん)(なが)ら、033(かげ)(いただ)いて天国(てんごく)(のぼ)るのだぞえ。034それだから肉体人(にくたいじん)()なくても、035霊界人(れいかいじん)()さへすればいいのだ。036(まへ)俗眼(ぞくがん)では一人(ひとり)人間(にんげん)()ないやうに()えるだらうが、037(この)生宮(いきみや)()には、038今朝(けさ)から八万(はちまん)(にん)(ばか)()たのだよ。039それはそれは(いそが)しい(こと)だよ。040(まへ)肉体(にくたい)(くも)つてゐるので、041あれ()けの亡者(まうじや)一人(ひとり)()につかぬのは無理(むり)もない。042(しか)(なが)今朝(けさ)から(とほ)つた八万(はちまん)(にん)亡者(まうじや)が、043(まへ)(かほ)()(うらや)ましさうにしてゐたよ』
044ト『何故(なぜ)(また)(わたし)のやうな不幸者(ふしあわせもの)(うらや)ましさうにして(とほ)るのでせうか。045サツパリ合点(がてん)()きませぬがな』
046(たか)『それだからお(まへ)(めくら)()ふのだ。047()()えぬと黄金(こがね)(うてな)(すわ)つて()つても、048(どろ)(なか)突込(つきこ)まれて()るやうな()がするものだよ。049結構(けつこう)結構(けつこう)三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)050底津(そこつ)岩根(いはね)大弥勒(おほみろく)051()出神(でのかみ)直々(ぢきぢき)御用(ごよう)をさして(いただ)(なが)ら、052(なん)()勿体(もつたい)ないお(まへ)量見(れうけん)だえ。053(まへ)のやうな結構(けつこう)御用(ごよう)をさして(もら)ふものは、054何処(どこ)にあるものか。055それだから八万(はちまん)(にん)精霊(せいれい)(うらや)ましさうにして(とほ)つたのだよ』
056ト『ヘーン、057(めう)ですな』
058(たか)『これ、059トンボ、060トンボーもない(こと)()ひなさるな。061「ヘーン、062(めう)ですな」とは(なん)だい。063この生宮(いきみや)さまをお(まへ)さまは馬鹿(ばか)にして()るのだな。064そんな量見(れうけん)生宮(いきみや)御用(ごよう)をして()ると神罰(しんばつ)立所(たちどころ)(あた)つて、065(あたま)(した)にし、066(あし)(うへ)にしてトンボ(がへ)りをせねばならぬぞや。067チツト心得(こころえ)なされ』
068ト『(わたし)やこの(あひだ)から、069(あま)(つら)いのと馬鹿(ばか)らしいので(じつ)(ところ)生宮(いきみや)(さま)(すき)(うかが)ひ、070うまくトンボ(遁亡(とんぼう))しようかと(かんが)へて()りましたが、071(わたし)(うらや)むやうな人物(じんぶつ)八万(はちまん)(にん)(いち)(にち)(とほ)るかと(おも)へば、072何処(どこ)()つても(おな)(こと)だ。073生宮(いきみや)(さま)のお(そば)にマアしばらく御用(ごよう)をさして(いただ)きませう』
074(たか)『これ、075トンボ、076そら(なに)()ふぢやいな。077(しばら)御用(ごよう)をさして(いただ)くとは罰当(ばちあた)()078そんな量見(れうけん)()るやうなガラクタなら、079今日(けふ)から(ひま)をやる。080サア、081トツトと(かへ)つておくれ。082(まへ)()らなくても肉体(にくたい)(をんな)だから炊事(すゐじ)万端(ばんたん)()のものだよ。083無用(むよう)長物(ちやうぶつ)084ウドの大木(たいぼく)085体見(がらみ)(だふ)しの頓馬(とんま)野郎(やらう)だな。086(これ)からトンボと()()改名(かいめい)して、087トンマ野郎(やらう)()ふてやらう。088それがお(まへ)(しやう)()うてるだろ』
089ト『生宮(いきみや)(さま)090トンマ野郎(やらう)とは、0901ひどいぢや御座(ござ)いませぬか』
091(たか)『ヘン、092三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)093底津(そこつ)岩根(いはね)大弥勒(おほみろく)094第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)095()出神(でのかみ)生宮(いきみや)のお(そば)御用(ごよう)さして(いただ)いて()るのぢやないか、096何程(なにほど)(かしこ)立派(りつぱ)人間(にんげん)でも、097(この)生宮(いきみや)()から()れば、098何奴(どいつ)此奴(こいつ)(みな)トンマ野郎(やらう)だよ。099大学(だいがく)博士(はかせ)だつてトンマ野郎(やらう)だ。100総理(そうり)大臣(だいじん)衆議院(しうぎゐん)議員(ぎゐん)になるやうな(やつ)101尚々(なほなほ)トンマ野郎(やらう)腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)だ。102(まへ)総理(そうり)大臣(だいじん)博士(はかせ)(おな)称号(しようがう)生宮(いきみや)から(あた)へられたのだから、103有難(ありがた)感謝(かんしや)しなさい』
104ト『生宮(いきみや)さま、105それでもあまりぢや御座(ござ)りませぬか。106どうか(もと)(とほ)りトンボと仰有(おつしや)つて(くだ)さいな』
107(たか)『さうだ。108そんならお(まへ)ドン(くさ)(をとこ)だから、109ドンボと()んで()げよう。110トンマ野郎(やらう)とは(すこ)マシだからな。111底津(そこつ)岩根(いはね)大弥勒(おほみろく)(さま)112第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)113()出神(でのかみ)生宮(いきみや)ぢやぞえ』
114ト『もしもし生宮(いきみや)さま、115もうその(なが)たらしいお名前(なまへ)()たんのう(いた)しました。116どうぞ簡単(かんたん)()つて(くだ)さいな。117法性寺(ほふじやうじ)入道(にふだう)間違(まちが)ひますがな』
118(たか)『こりや、119トンマ野郎(やらう)120そらナーン()かしてけつかるのだ。121トンマ野郎(やらう)(いや)なら、122ドンマ野郎(やらう)にして()げよう。123ああア、124何奴(どいつ)此奴(こいつ)(ろく)(やつ)一匹(いつぴき)()やアしないわ。125アゝゝゝゝ(あき)れた。126()いた(くち)早速(さつそく)には(ふさ)がりませぬわい、127イヽヽヽヽ何時(いつ)(まで)()つても何時(いつ)(まで)()つても生宮(いきみや)(まを)すことが(わか)らず、128改心(かいしん)出来(でき)ず、129イケ()かない野郎(やらう)だな。130ウヽヽヽヽ(うる)さい(ほど)131(くち)(すつぱ)くなる(ほど)132毎日(まいにち)日々(ひにち)(からす)()かぬ()があつてもコケコーが(うた)はぬ(あさ)があるとも、133(たゆ)まず(くつ)せず()説教(せつけう)してやるのに、134エヽヽヽヽ会得(ゑとく)()かぬとは(なん)()135オヽヽヽヽおそろしう大馬鹿(おほばか)だろ。136カヽヽヽヽ()んでくくめるやうに、137日夜(にちや)生宮(いきみや)説教(せつけう)も、138(うま)(みみ)(かぜ)()(ごと)く、139キヽヽヽヽ()いては()れず、140キマリの(わる)面付(つらつき)をして、141クヽヽヽヽ()(もの)(ばか)()をつけ、142苦労(くらう)(ばか)(ひと)にかけやがつて、143ケヽヽヽヽ()しからぬ怪体(けつたい)(けもの)だよ。144コヽヽヽヽこんな(こと)でどうして(この)法城(ほふじやう)(たも)てると(おも)ふかい。145サヽヽヽヽ(さて)(さて)(こま)つた、146シヽヽヽヽしぶとい代物(しろもの)だな。147(しに)(ぞこな)ひの腰抜(こしぬ)けと()ふのはお(まへ)(こと)だぞえ。148スヽヽヽヽ(すこ)しは生宮(いきみや)(こころ)推量(すいりやう)し、149(すす)んで神国(しんこく)成就(じやうじゆ)(ため)大活動(だいくわつどう)をしたらどうだい。150セヽヽヽヽ雪隠(せつちん)饅頭(まんぢゆう)()たやうな(つら)して(この)生宮(いきみや)(すね)(かじ)り、151トンマ野郎(やらう)()()はぬなどと(なに)()ふのだ。152ソヽヽヽヽそんな奴根性(どこんじやう)()つてゐる粗末(そまつ)代物(しろもの)を、153(たか)(こめ)()はして(やしな)ふてゐる(この)生宮(いきみや)も、154並大抵(なみたいてい)(こと)ぢやないぞえ。155タヽヽヽヽ(たれ)がこんなトンマ野郎(やらう)を、156仮令(たとへ)三日(みつか)でも世話(せわ)するものが御座(ござ)りませうかい』
157ト『チヽヽヽヽチツト無理(むり)ぢや御座(ござ)りませぬか、158畜生(ちくしやう)(なん)ぞのやうに、159トンマ野郎(やらう)だのドンマだのと、160あまりひどいです。161ツヽヽヽヽ(つき)(いつ)ぺん(くらゐ)162(かへる)附焼(つけやき)(ぐらゐ)(いただ)いて、163どうして荒男(あらをとこ)(からだ)(たも)てませう。164テヽヽヽヽ()(あし)(この)(とほ)筋張(すぢば)つて()ました。165(まる)ツきり(あふぎ)(ほね)()(がみ)()つたやうな()(かふ)になつて(しま)つたぢや御座(ござ)りませぬか。166トヽヽヽヽトンボだつて、167どうして貴女(あなた)(とも)に、168活動(くわつどう)出来(でき)ませうぞ。169チツとは(わたし)()(うへ)(あは)れんで(くだ)さい。170貴女(あなた)(ばか)美味(うま)(もの)()て、171いつも(わたし)には(いも)(かは)大根(だいこん)(ひげ)172水菜(みづな)赤葉(あかば)(ばか)り、1721()てがつて()るぢやありませぬか』
173(たか)『ナヽヽヽヽ(なに)()ふのぢやいな。174勿体(もつたい)ない、175その(こころ)では(ばち)(あた)るぞや、176ニヽヽヽヽ西(にし)(ひがし)(みなみ)(きた)(この)(とほ)(くも)()つた()(なか)177(つち)(うへ)に、178(なに)()いても(この)(とほ)り、179菜葉(なつぱ)(ひと)満足(まんぞく)出来(でき)ない(くら)がりの()ぢやないか。180(あか)()(ひと)つも(いただ)いたら結構(けつこう)ぢやと(おも)つて(よろこ)びなさい。181こんな(さむ)(かぜ)()()(なか)に、182夜分(やぶん)はヌヽヽヽヽぬつくりと(ぬく)(ちや)()んで、183煎餅(せんべい)布団(ぶとん)(なか)へ、184(もぐ)()んで()れるぢやないか。185ネヽヽヽヽ(ねん)年中(ねんぢう)何一(なにひと)つ、186これと()(はたら)きもせず、187ノヽヽヽヽノラクラと野良(のら)仕事(しごと)さしても188(からす)(おど)しのやうに、1881()つて(ばか)()るなり、189ラヽヽヽヽ(らつち)もない皺枯声(しわがれごゑ)()して190(あたま)(いた)むやうな(うた)(うた)ひ、191リヽヽヽヽ悧巧(りかう)さうにトンマ野郎(やらう)()うて()れな(など)とは192(けつ)(あき)れますぞや。193ルヽヽヽヽ流浪(るらう)して()(ところ)がないから使(つか)つて(くだ)さい、194()いて(たの)んだぢやないか、195レヽヽヽヽ(れい)()(こと)(わす)れて、196不足(ふそく)(ばか)(まを)すとはホントにホントによい罰当(ばちあた)りだよ。197(まへ)(かみ)(さま)(いまし)めで、198ロヽヽヽヽ牢獄(らうごく)突込(つつこ)まれてゐるのだ。199(しか)(なが)らお(まへ)肉体(にくたい)(この)生宮(いきみや)(かま)ふてゐるが、200その(たましひ)は、201()()()()(あそ)()(あそ)()いと()ふ、202大牢(たいらう)這入(はい)つてゐるのだよ、203フツフヽヽヽヽ』
204ト『ワヽヽヽヽ(わら)うて(くだ)さるな。205(わたし)はお(まへ)さまの()ふやうな(かん)(わる)人間(にんげん)ぢや御座(ござ)りませぬぞや。206これでも(いち)()はバラモン(ぐん)のリユーチナント(まで)(つと)めて()武士(もののふ)ですよ。207ヰヽヽヽヽ何時(いつ)までもお(まへ)さまの(そば)()らうとは(おも)ひませぬから、208ウヽヽヽヽ(うる)さうても、209売口(うれくち)がある(まで)辛抱(しんばう)してやつてゐるのですよ。210ヱヽヽヽヽえぐたらしい(こと)(あさ)から(ばん)まで()かされて、211なんぼ軍人(ぐんじん)だつてお(けつ)(あき)れますよ。212(わたし)はもう貴女(あなた)のお(とも)(これ)でヲヽヽヽヽをしまひですよ』
213()()さうとする。214高姫(たかひめ)(あと)から(やせ)こけた()をグツと()し、215襟首(えりくび)(つか)二足(ふたあし)三足(みあし)(うしろ)()(なが)ら、
216(たか)『こりや灸箸(やいとばし)217麻幹(をがら)人足(にんそく)218()げるなら()げて()い。219燈心(とうしん)幽霊(いうれい)()たやうな(うで)をしやがつて、220線香(せんかう)(やう)(あし)をして、221かれいのやうな(うす)つぺたい(からだ)をして、222生宮(いきみや)(さま)口答(くちごた)へするとは(もつ)ての(ほか)だ。223サア(うご)くなら(うご)いて()よれ』
224ト『イヤもう、225えらい(やいと)()ゑられました。226どうぞかれいこれ()はずに(ゆる)して(くだ)さい。227(ゆる)して(くだ)さらなもう仕方(しかた)()い。228あの谷川(たにがは)とうしん投身(とうしん))と出掛(でか)けます』
229(たか)『エーしやれ(どころ)かい』
230とパツと()(はな)した途端(とたん)にヒヨロ ヒヨロ ヒヨロと餓鬼(がき)(ごと)くヒヨロつき、231()れた萱草(かやぐさ)(なか)にパタリと()けて(しま)つた。
232(たか)『ホヽヽヽヽ生宮(いきみや)(さま)にかかつたら、233バラモンのリユーチナントも(もろ)いものだな。234サアサア(これ)から(やかた)(かへ)り、235夕御飯(ゆふごはん)用意(ようい)でも(いた)しませう』
236とダン(じり)中空(ちうくう)にたわつかせ(なが)(かへ)らむとする。237(とき)しもあれ、238(めづ)らしくも(うた)(こゑ)(きこ)えて()た。239高姫(たかひめ)(この)(こゑ)()くや(いな)や、240(あやつ)人形(にんぎやう)(ごと)くクレリと(たい)(かは)し、
241『ヤア()()た、242これから(わし)正念場(しやうねんば)だ』
243大地(だいち)二三回(にさんくわい)石搗(いしつ)きを(はじ)めて(いさ)んでゐる。
244梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
245大国彦(おほくにひこ)大神(おほかみ)
246三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)
247(かみ)(ほとけ)()ふも(さら)
248青人草(あをひとぐさ)草木(くさき)まで
249(めぐみ)(つゆ)()(たま)
250(すく)はせ(たま)(たふと)さよ
251大黒主(おほくろぬし)大棟梁(だいとうりやう)
252(きよ)(をしへ)()(たま)
253七千(しちせん)余国(よこく)(つき)(くに)
254(ひと)つに(まる)めて(をさ)めむと
255バラモン(けう)遠近(をちこち)
256(ひら)(たま)へど如何(いか)にせむ
257三五教(あななひけう)やウラル(けう)
258(いきほ)仲々(なかなか)(つよ)くして
259(まこと)(かみ)御教(みをしへ)
260蹂躙(じうりん)するこそ是非(ぜひ)なけれ
261(いま)時節(じせつ)(いた)らぬか
262これ(ほど)(たふと)御教(みをしへ)
263数多(あまた)(ひと)(あふ)がれず
264誹毀(ひき)讒謗(ざんばう)(まと)となり
265()()(をしへ)(さび)()
266大黒主(おほくろぬし)権力(けんりよく)
267()されて表面(へうめん)バラモンの
268信者(しんじや)()けて()るなれど
269(こころ)(うち)はウラル(けう)
270三五教(あななひけう)(やつ)(ばか)
271こんな(こと)ではならないと
272大黒主(おほくろぬし)()心配(しんぱい)
273強圧(きやうあつ)(てき)軍隊(ぐんたい)
274(もち)ゐて信徒(しんと)召集(せうしふ)
275(いや)(おう)でもバラモンの
276(をしへ)(なび)かせくれんづと
277大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)
278三千(さんぜん)()()兵士(つはもの)
279引率(いんそつ)させてデカタンの
280大高原(だいかうげん)進軍(しんぐん)
281トルマン(ごく)(ほふ)らむと
282(われ)にスコブツエン(しう)
283(ひら)かせ(たま)へどその(じつ)
284異名(いめい)同宗(どうしう)バラモンの
285(をしへ)(すこ)しも(かは)らない
286只々(ただただ)相違(さうゐ)一点(いつてん)
287バラモン(けう)より劇烈(げきれつ)
288信徒(しんと)修行(しゆぎやう)()ゆるのみ
289こんな(こと)でもしておかにや
290虎狼(こらう)(ひと)しい人心(じんしん)
291緩和(くわんわ)御国(みくに)(たも)つこと
292容易(ようい)出来(でき)るものでない
293かてて(くは)へて(この)(ごろ)
294思想(しさう)()()混乱(こんらん)
295アナアキズムやソシヤリズムが
296(いた)(ところ)出没(しゆつぼつ)
297大黒主(おほくろぬし)(この)天下(てんか)
298(いよいよ)(あやふ)くなつて()
299(われ)(この)()教線(けうせん)
300七千(しちせん)余国(よこく)拡張(くわくちやう)
301大黒主(おほくろぬし)失脚(しつきやく)
302見届(みとど)()まして(つき)(くに)
303いや永遠(とこしへ)統治(とうち)なし
304神力(しんりき)無双(むさう)英雄(えいゆう)
305()(うた)はれむ面白(おもしろ)
306(かみ)(われ)()(とも)にあり
307(われ)こそ(かみ)化身(けしん)ぞや
308(かみ)刃向(はむ)かふ奴輩(やつばら)
309何奴(どいつ)此奴(こいつ)容赦(ようしや)なく
310(ほろ)ぼし()れむ(わが)宗旨(しうし)
311アヽ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
312いかなる(かみ)(をしへ)をも
313言向(ことむけ)(やは)大野原(おほのはら)
314(かぜ)草木(くさき)(なび)(ごと)
315振舞(ふるま)()れむ(わが)(ちから)
316(われ)()(かみ)化身(けしん)なり
317(われ)()(ちから)根元(こんげん)
318(きた)れよ(きた)四方(よも)(くに)
319(とり)(けだもの)(わか)ちなく
320キユーバーが配下(はいか)としてやらう
321イツヒヽヽヽイツヒヽヽヽ
322()面白(おもしろ)くなつて()
323(てん)(くも)りて(ひかり)なく
324地上(ちじやう)()えて草木(くさき)さへ
325(みな)()(しぼ)()(なか)
326スコブツエン(しう)(ただ)(ひと)
327旭日(あさひ)(てん)(のぼ)るごと
328日々(ひにち)毎日(まいにち)(さか)()
329ウツフヽヽヽヽウツフヽヽヽヽ』
330大法螺(おほぼら)()()(なが)四辻(よつつじ)(まで)やつて()た。331高姫(たかひめ)はキユーバーの姿(すがた)()るより、332カン(ばし)つた(こゑ)にて、
333『これこれ遍路(へんろ)さま、334一寸(ちよつと)()つて(くだ)さい。335(まへ)一寸(ちよつと)()ても、336(もの)(わか)りさうな立派(りつぱ)(をとこ)らしい。337(わたし)三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)338(おほ)みろく太柱(ふとばしら)339第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)340()出神(でのかみ)生宮(いきみや)ぢやぞえ。341サア一寸(ちよつと)342(わたし)(やかた)(まで)()(くだ)さい。343結構(けつこう)結構(けつこう)なお(はなし)()かして()げませうぞや』
344キユーバー『(なに)345(まへ)救世主(きうせいしゆ)()ふのか、346フヽヽヽフーン、347はてな』
348(たか)『これ、349遍路(へんろ)さま、350(なに)がフヽヽヽフンだい。351はてな……(どころ)か、352これから()(はじ)まり、353弥勒(みろく)出現(しゆつげん)354神代(かみよ)樹立(じゆりつ)355()(しま)ひの()(はじ)まりぢやぞえ』
356キユ『ハヽヽヽヽヽ(なん)面白(おもしろ)(ばあ)さまだな。357(さいは)()(くれ)(こと)でもあり、358そこらに宿(やど)もなし、359(ひと)宿()めて(いただ)かうかな』
360(たか)『サアサア宿(とま)つて(くだ)さい。361結構(けつこう)結構(けつこう)なお(はなし)をして()げますぞや、362ホヽヽヽヽヽ。363トンボの(やつ)到頭(たうとう)(くさ)(なか)(うづ)もつて(しま)ひよつた。364あんな(やつ)アどうならふと(かま)(こと)はない。365生宮(いきみや)(さま)(たい)して理窟(りくつ)(ばか)(ほざ)くのだもの。366(なん)()(なか)(めう)なものだな。367一人(ひとり)(やつ)愛想(あいさう)づかして()げたと(おも)へば、368チヤーンと(かみ)(さま)(かは)りを(こしら)へて(くだ)さる。369この遍路(へんろ)は、370どうやら生宮(いきみや)片腕(かたうで)になるかも()れぬぞ。371ホヽヽヽヽヽ』
372 トンボは最前(さいぜん)から(くさ)(なか)()(かく)して高姫(たかひめ)様子(やうす)(かんが)へてゐたが、373……こんな(やつ)()られちや自分(じぶん)はもう足上(あしあが)りだ。374(しか)(なが)高姫(たかひめ)(やつ)375あんな(をとこ)引張(ひつぱ)()んで、376どんな相談(さうだん)をしとるか()れぬ。377今晩(こんばん)()(かく)378(やかた)(そと)から二人(ふたり)(はなし)()いてやらねばなるまい…………と思案(しあん)(さだ)め、379両人(りやうにん)岩山(いはやま)(ふもと)(やぶ)()(かへ)つて()(うしろ)から、380(やみ)(さいは)足音(あしおと)(しの)ばせついて()く。
381大正一四・八・二三 旧七・四 於由良秋田別荘 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki