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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第70巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 花鳥山月
第1章 信人権
第2章 折衝戦
第3章 恋戦連笑
第4章 共倒れ
第5章 花鳥山
第6章 鬼遊婆
第7章 妻生
第8章 大勝
第2篇 千種蛮態
第9章 針魔の森
第10章 二教聯合
第11章 血臭姫
第12章 大魅勒
第13章 喃悶題
第14章 賓民窟
第15章 地位転変
第3篇 理想新政
第16章 天降里
第17章 春の光
第18章 鳳恋
第19章 梅花団
第20章 千代の声
第21章 三婚
第22章 優秀美
附 記念撮影
余白歌
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霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第70巻(酉の巻)
> 第1篇 花鳥山月 > 第8章 大勝
<<< 妻生
(B)
(N)
針魔の森 >>>
第八章
大勝
(
たいしよう
)
〔一七七五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻
篇:
第1篇 花鳥山月
よみ(新仮名遣い):
かちょうさんげつ
章:
第8章 大勝
よみ(新仮名遣い):
たいしょう
通し章番号:
1775
口述日:
1925(大正14)年08月23日(旧07月4日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年10月16日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
太子チウインは王女チンレイ、右守の娘ハリス将軍、勇将ジャンクを従え、三五教の宣伝使照国別・照公とともに、二千五百騎を駆って、トルマン城を包囲する大足別軍を殲滅しようと、進軍してきた。
大足別は援軍が来たのを見て驚き、もはやキューバーの安否を省みず城を攻め落とすよう、命令を下した。
戦いの中、左守は奮戦の末、敵のために命を落としてしまった。大足別は左守軍の敗北につけこんで城門まで攻め寄せ、トルマン城は危機に陥る。
すると城門に千草姫・キューバーが現れ、城はすでに奪い取ったと大足別に告げる。この虚報に大足別は軍を返して、援軍を迎撃する。しかし、背後からガーデン王の守城軍が攻撃し、大足別軍ははさみ打ちにあって敗走する。
王は勝利の舞を舞うが、敗走した大足別軍が市街に火を放ち、人々の悲惨の声が聞こえてくる。照国別をこの様をみるや、まっしぐらに物見櫓に駆け上り、照公とともに天の数歌、続いて天津祝詞を奏上した。すると火災はたちまちにして静まった。
二人の活躍に、王をはじめ一同は手を打って歓喜した。
左守・右守は特別に王家の墓所に葬り、国家の守護神として祠を建て、永遠に祭祀することとなった。また、王は、照国別・照公の仁義・神徳に感じて、三五の大神を鎮祭することを誓った。
一方、王は居間にいた千草姫とキューバーを詰問するが、その場は千草姫の弁解を信じ、キューバーは許されることとなった。
キューバーは大足別が敗走したことにより、自分の立場を心配するが、千草姫=高姫は、逆にトルマン国の乗っ取り、ひいてはインドの全土の征服をもくろむ。
千草姫は後からやってきた王子、王女、ハリスらも煙に巻いてしまい、キューバーを擁護する。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7008
愛善世界社版:
96頁
八幡書店版:
第12輯 425頁
修補版:
校定版:
98頁
普及版:
50頁
初版:
ページ備考:
001
トルマン
国
(
ごく
)
の
太子
(
たいし
)
チウインは
002
王女
(
わうぢよ
)
チンレイ、
0021
及
(
およ
)
びハリスの
女将軍
(
ぢよしやうぐん
)
を
別将
(
べつしやう
)
となし、
003
武勇
(
ぶゆう
)
のほまれ
高
(
たか
)
きジヤンクを
第一軍
(
だいいちぐん
)
の
司令官
(
しれいくわん
)
と
仰
(
あふ
)
ぎ、
004
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
照国別
(
てるくにわけ
)
及
(
および
)
照公司
(
てるこうつかさ
)
を
殿
(
しんがり
)
となし、
005
鉦皷
(
しやうこ
)
をうちならし、
006
旗差物
(
はたさしもの
)
賑々
(
にぎにぎ
)
しく、
007
二千
(
にせん
)
五百
(
ごひやく
)
騎
(
き
)
を
従
(
したが
)
へ、
008
吾
(
わが
)
居城
(
きよじやう
)
を
攻
(
せめ
)
囲
(
かこ
)
む
大足別
(
おほだるわけ
)
の
大軍
(
たいぐん
)
を
殲滅
(
せんめつ
)
すべく
軍歌
(
ぐんか
)
を
唄
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
009
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
次
(
つ
)
いで
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る。
010
山河
(
さんか
)
草木
(
さうもく
)
威風
(
ゐふう
)
になびき、
011
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
、
012
其
(
その
)
威徳
(
ゐとく
)
を
讃美
(
さんび
)
せざるはなかつた。
013
チウイン
太子
(
たいし
)
は
馬上
(
ばじやう
)
豊
(
ゆたか
)
に
進軍歌
(
しんぐんか
)
を
唄
(
うた
)
ふ。
014
『トルマン
国
(
ごく
)
は
昔
(
むかし
)
より
015
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
らしし
016
地上
(
ちじやう
)
に
於
(
お
)
ける
天国
(
てんごく
)
ぞ
017
吾
(
わが
)
王室
(
わうしつ
)
の
祖先
(
そせん
)
等
(
ら
)
は
018
民
(
たみ
)
の
心
(
こころ
)
を
心
(
こころ
)
とし
019
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
万民
(
ばんみん
)
に
020
伝
(
つた
)
へ
諭
(
さと
)
して
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
021
いと
平
(
たひら
)
けく
安
(
やす
)
らけく
022
治
(
をさ
)
め
給
(
たま
)
ひし
尊
(
たふと
)
さよ
023
中
(
なか
)
つ
御代
(
みよ
)
よりバラモンの
024
悪
(
あし
)
き
教
(
をしへ
)
のまじろひて
025
愛国心
(
あいこくしん
)
は
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
026
春
(
はる
)
の
氷
(
こほり
)
と
消
(
き
)
えてゆく
027
父
(
ちち
)
ガーデンもいつしかに
028
時代
(
じだい
)
の
風
(
かぜ
)
にもまれまし
029
ウラルの
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
030
軽
(
かろ
)
んじ
玉
(
たま
)
ふ
世
(
よ
)
となりて
031
政治
(
せいぢ
)
は
益々
(
ますます
)
紊
(
みだ
)
れゆき
032
民
(
たみ
)
の
悲鳴
(
なげき
)
はかまびすく
033
千鳥
(
ちどり
)
の
如
(
ごと
)
く
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
034
アヽ
吾々
(
われわれ
)
は
如何
(
いか
)
にせむ
035
倦
(
う
)
みつかれたる
人心
(
じんしん
)
を
036
雄々
(
をを
)
しき
清
(
きよ
)
き
雄心
(
をごころ
)
に
037
復活
(
ふくくわつ
)
せしめ
吾
(
わが
)
国
(
くに
)
を
038
いと
平
(
たひら
)
けく
安
(
やす
)
らけく
039
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
の
其
(
その
)
儘
(
まま
)
に
040
ねぢ
直
(
なほ
)
さむと
真心
(
まごころ
)
を
041
尽
(
つく
)
して
神
(
かみ
)
を
祈
(
いの
)
る
折
(
をり
)
042
バラモン
教
(
けう
)
の
別派
(
べつぱ
)
なる
043
スコブツエン
宗
(
しう
)
が
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
044
吾
(
わ
)
が
国民
(
こくみん
)
の
魂
(
たましひ
)
を
045
狂
(
くる
)
ひ
惑
(
まど
)
はせ
邪教
(
じやけう
)
をば
046
植
(
うゑ
)
つけたるぞ
忌々
(
ゆゆ
)
しけれ
047
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
勢力
(
せいりよく
)
を
048
大看板
(
だいかんばん
)
と
押
(
おし
)
立
(
た
)
てて
049
吾
(
わが
)
王室
(
わうしつ
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
く
)
る
050
心
(
こころ
)
汚
(
きたな
)
きキユーバーを
051
打
(
う
)
ち
懲
(
こら
)
しつつバラモンの
052
大足別
(
おほだるわけ
)
が
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
053
神
(
かみ
)
の
威徳
(
ゐとく
)
に
打
(
うち
)
破
(
やぶ
)
り
054
凱歌
(
がいか
)
を
挙
(
あ
)
げて
本城
(
ほんじやう
)
を
055
安全
(
あんぜん
)
無事
(
ぶじ
)
に
治
(
をさ
)
む
迄
(
まで
)
056
死
(
し
)
す
共
(
とも
)
動
(
うご
)
かぬ
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
057
勇
(
いさ
)
めよ
勇
(
いさ
)
め
振
(
ふる
)
ひ
起
(
た
)
て
058
三千
(
さんぜん
)
余
(
よ
)
騎
(
き
)
の
吾
(
わが
)
兵士
(
へいし
)
059
吾
(
わ
)
れには
神
(
かみ
)
の
助
(
たす
)
けあり
060
産土山
(
うぶすなやま
)
の
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
061
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ふ
素盞嗚
(
すさのを
)
の
062
神
(
かみ
)
の
尊
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
使
(
つかひ
)
063
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
064
照公司
(
てるこうつかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
065
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
軍
(
いくさ
)
を
助
(
たす
)
けまし
066
天下
(
てんか
)
無敵
(
むてき
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
067
打
(
うち
)
出
(
だ
)
し
給
(
たま
)
へば
敵軍
(
てきぐん
)
は
068
風
(
かぜ
)
に
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
散
(
ち
)
る
如
(
ごと
)
く
069
敗走
(
はいそう
)
せむは
目
(
ま
)
のあたり
070
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
071
大足別
(
おほだるわけ
)
の
亡
(
ほろ
)
ぶ
迄
(
まで
)
072
妖僧
(
えうそう
)
キユーバーの
倒
(
たふ
)
る
迄
(
まで
)
』
073
と
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
鉦皷
(
しやうこ
)
法螺貝
(
ほらがひ
)
の
音
(
ね
)
に
和
(
わ
)
して、
074
鶴翼
(
くわくよく
)
の
陣
(
ぢん
)
をはり
乍
(
なが
)
ら、
075
目
(
め
)
も
届
(
とど
)
かぬ
大原野
(
だいげんや
)
をチクリチクリと
引網
(
ひきあみ
)
の
如
(
ごと
)
く、
076
トルマン
城
(
じやう
)
を
中心
(
ちうしん
)
に
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
る。
077
照国別
(
てるくにわけ
)
は
殿
(
しんがり
)
を
勤
(
つと
)
め
乍
(
なが
)
ら、
078
数百
(
すうひやく
)
の
兵
(
へい
)
を
引連
(
ひきつ
)
れ、
079
別
(
べつ
)
に
一隊
(
いつたい
)
を
造
(
つく
)
り、
080
進軍歌
(
しんぐんか
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
る。
081
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
082
吾
(
われ
)
は
照国別
(
てるくにわけ
)
司
(
つかさ
)
083
人
(
ひと
)
の
命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
ひ
合
(
あ
)
ふ
084
戦
(
いくさ
)
に
臨
(
のぞ
)
むは
本意
(
ほい
)
ならず
085
さはさり
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
になり
086
トルマン
国
(
ごく
)
の
窮状
(
きうじやう
)
を
087
見
(
み
)
すてて
通
(
とほ
)
るも
大神
(
おほかみ
)
の
088
道
(
みち
)
に
仕
(
つか
)
ふる
吾
(
われ
)
として
089
心苦
(
こころぐる
)
しき
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
090
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ざれば
御軍
(
みいくさ
)
に
091
加
(
くは
)
はり
乍
(
なが
)
ら
後陣
(
こうぢん
)
を
092
仕
(
つか
)
へまつりて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
093
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
094
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
共
(
とも
)
にあり
095
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
096
素
(
もと
)
より
刃
(
やいば
)
に
血汐
(
ちしほ
)
ぬり
097
敵
(
てき
)
を
斃
(
たふ
)
さむ
心
(
こころ
)
なし
098
只
(
ただ
)
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
099
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
の
玉
(
たま
)
100
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
の
大砲
(
おほづつ
)
に
101
つめ
込
(
こ
)
み
敵
(
てき
)
に
相向
(
あひむか
)
ひ
102
仁慈
(
じんじ
)
の
鞭
(
むち
)
を
下
(
くだ
)
すのみ
103
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
め
吾
(
わが
)
兵士
(
へいし
)
104
トルマン
城
(
じやう
)
は
近
(
ちか
)
づきぬ
105
ガーデン
王
(
わう
)
や
左守司
(
さもりがみ
)
106
今
(
いま
)
や
防
(
ふせ
)
ぐに
全心
(
ぜんしん
)
を
107
傾注
(
けいちう
)
しつつ
吾
(
わが
)
軍
(
ぐん
)
の
108
至
(
いた
)
るを
待
(
ま
)
たせ
玉
(
たま
)
ふらむ
109
チウイン
太子
(
たいし
)
の
前軍
(
ぜんぐん
)
は
110
何
(
いづ
)
れも
神命
(
しんめい
)
に
従
(
したが
)
ひて
111
左右
(
さいう
)
の
指
(
ゆび
)
の
其
(
その
)
如
(
ごと
)
く
112
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
活動
(
くわつどう
)
し
113
容易
(
ようい
)
に
敵
(
てき
)
を
国外
(
こくぐわい
)
に
114
放逐
(
はうちく
)
せむは
目
(
ま
)
のあたり
115
必
(
かなら
)
ず
驚
(
おどろ
)
く
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ
116
勇
(
いさ
)
めよ
勇
(
いさ
)
め
皆
(
みな
)
勇
(
いさ
)
め
117
勝利
(
しようり
)
の
都
(
みやこ
)
は
近
(
ちか
)
づきぬ
118
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
119
大足別
(
おほだるわけ
)
が
神軍
(
しんぐん
)
に
120
白旗
(
はくき
)
を
掲
(
かか
)
げ
真心
(
まごころ
)
の
121
あらむ
限
(
かぎ
)
りを
現
(
あら
)
はして
122
正
(
ただ
)
しき
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に
123
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
服
(
まつろ
)
ひて
124
前非
(
ぜんび
)
を
悔
(
く
)
ゆるそれ
迄
(
まで
)
は
125
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
一歩
(
いつぽ
)
も
退
(
しりぞ
)
くな
126
神国
(
しんこく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
先
(
さき
)
がけぞ
127
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
の
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
128
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
らむとバラモンの
129
大黒主
(
おほくろぬし
)
は
企
(
たく
)
めども
130
吾
(
わが
)
神軍
(
しんぐん
)
のある
限
(
かぎ
)
り
131
いかで
一指
(
いつし
)
をそめ
得
(
え
)
むや
132
あゝ
勇
(
いさ
)
ましし
勇
(
いさ
)
ましし
133
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
はあらくとも
134
トルマン
川
(
がは
)
は
深
(
ふか
)
くとも
135
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りのある
上
(
うへ
)
は
136
一騎
(
いつき
)
半騎
(
はんき
)
も
過
(
あやま
)
たず
137
無事
(
ぶじ
)
安泰
(
あんたい
)
に
敵軍
(
てきぐん
)
の
138
後
(
うしろ
)
を
首尾
(
しゆび
)
よく
突
(
つ
)
くを
得
(
え
)
む
139
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
140
敵
(
てき
)
の
姿
(
すがた
)
もみえかけた
141
一斉
(
いつせい
)
射撃
(
しやげき
)
も
目
(
ま
)
のあたり
142
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
143
三五教
(
あななひけう
)
を
守
(
まも
)
ります
144
国治立
(
くにはるたち
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
145
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
146
御前
(
みまへ
)
に
照国別
(
てるくにわけ
)
司
(
つかさ
)
147
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ねぎ
)
まつる』
148
かく
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
149
士卒
(
しそつ
)
を
励
(
はげ
)
まし、
150
前後
(
ぜんご
)
に
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
り、
151
チクリチクリと
前進
(
ぜんしん
)
する。
152
大足別
(
おほだるわけ
)
は
物見台
(
ものみだい
)
より
此
(
この
)
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
大
(
おほい
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
153
『あれは
確
(
たしか
)
に
援軍
(
ゑんぐん
)
ならむ、
154
最早
(
もはや
)
斯
(
か
)
くなりし
上
(
うへ
)
は、
155
キユーバー
一人
(
ひとり
)
の
為
(
ため
)
に
時期
(
じき
)
をおくらせ、
156
敵
(
てき
)
の
術中
(
じゆつちう
)
に
陥
(
おちい
)
らむ
事
(
こと
)
最
(
もつと
)
も
心苦
(
こころぐる
)
し、
157
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
本城
(
ほんじやう
)
を
乗
(
の
)
り
取
(
と
)
り、
158
援軍
(
ゑんぐん
)
の
来
(
きた
)
らば
城廓
(
じやうくわく
)
を
盾
(
たて
)
に
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
鏖殺
(
おうさつ
)
しくれむ、
159
攻撃
(
こうげき
)
するは
今
(
いま
)
なり』
160
と
俄
(
にはか
)
に
部下
(
ぶか
)
に
厳令
(
げんれい
)
を
下
(
くだ
)
し、
161
一斉
(
いつせい
)
に
筒先
(
つつさき
)
揃
(
そろ
)
へて、
162
トルマン
城
(
じやう
)
さして
潮
(
うしほ
)
の
如
(
ごと
)
く
押
(
おし
)
寄
(
よ
)
せた。
163
俄
(
にはか
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
、
164
大砲
(
おほづつ
)
小銃
(
こづつ
)
の
音
(
おと
)
、
165
待
(
ま
)
ち
構
(
かま
)
へたるガーデン
王
(
わう
)
、
166
左守司
(
さもりのかみ
)
は
五百
(
ごひやく
)
の
城兵
(
じやうへい
)
を
指揮
(
しき
)
し、
167
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
挑
(
いど
)
み
戦
(
たたか
)
ふ。
168
左守
(
さもり
)
は
頭
(
かしら
)
に
霜
(
しも
)
を
頂
(
いただ
)
き
乍
(
なが
)
ら、
169
城門
(
じやうもん
)
をかけ
出
(
だ
)
し、
170
三百
(
さんびやく
)
の
手兵
(
しゆへい
)
を
以
(
もつ
)
て、
171
敵
(
てき
)
の
陣中
(
ぢんちう
)
に
打
(
うち
)
入
(
い
)
り、
172
奪戦
(
ふんせん
)
苦闘
(
くとう
)
の
結果
(
けつくわ
)
武運
(
ぶうん
)
つきて、
173
馬上
(
ばじやう
)
より
転落
(
てんらく
)
し、
174
敵
(
てき
)
の
為
(
ため
)
に
七十
(
しちじふ
)
年
(
ねん
)
を
一期
(
いちご
)
として、
175
帰
(
かへ
)
らぬ
旅路
(
たびぢ
)
に
就
(
つ
)
いた。
176
大足別
(
おほだるわけ
)
は
勝
(
かち
)
に
乗
(
じやう
)
じて
表門
(
おもてもん
)
に
押
(
おし
)
寄
(
よ
)
せ、
177
今
(
いま
)
や
殆
(
ほとん
)
ど
落城
(
らくじやう
)
せむとする
時
(
とき
)
しも、
178
千草姫
(
ちぐさひめ
)
、
179
キユーバーの
二人
(
ふたり
)
は
薙刀
(
なぎなた
)
を
引抱
(
ひつかか
)
へ、
180
表門
(
おもてもん
)
に
躍
(
をど
)
り
出
(
い
)
で、
181
大足別
(
おほだるわけ
)
を
見
(
み
)
るよりキユーバーは
声
(
こゑ
)
を
励
(
はげ
)
まし、
182
『
大足別
(
おほだるわけ
)
、
183
暫
(
しばら
)
くまたれよ、
184
キユーバー
司
(
つかさ
)
茲
(
ここ
)
に
在
(
あ
)
り。
185
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
応援
(
おうゑん
)
あらば
急
(
いそ
)
ぎ
玉
(
たま
)
ふな、
186
本城
(
ほんじやう
)
は
已
(
すで
)
に
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れり』
187
と
馬上
(
ばじやう
)
より
大声
(
たいせい
)
叱咤
(
しつた
)
すれば、
188
大足別
(
おほだるわけ
)
は
身
(
み
)
をかわし
城門
(
じやうもん
)
を
背
(
せ
)
にして、
189
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
応援軍
(
おうゑんぐん
)
を
相手
(
あひて
)
に
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
ふ。
190
城内
(
じやうない
)
よりはガーデン
王
(
わう
)
の
兵
(
へい
)
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
、
191
砲
(
つつ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
一斉
(
いつせい
)
に
射撃
(
しやげき
)
を
開始
(
かいし
)
し、
192
大足別
(
おほだるわけ
)
は
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
敵
(
てき
)
を
受
(
う
)
け、
193
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
194
馬
(
うま
)
をすて、
1941
武器
(
ぶき
)
をすて、
195
命
(
いのち
)
からがら
散乱
(
さんらん
)
した。
196
此
(
この
)
戦
(
たたかひ
)
に
仍
(
よ
)
つて、
197
死
(
し
)
する
者
(
もの
)
バラモン
軍
(
ぐん
)
に
十八
(
じふはち
)
人
(
にん
)
、
198
城内
(
じやうない
)
には
二人
(
ふたり
)
の
死者
(
ししや
)
を
出
(
だ
)
したのみであつた。
199
チウイン
太子
(
たいし
)
は
敵
(
てき
)
の
脆
(
もろ
)
くも
逃
(
にげ
)
行
(
ゆ
)
く
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
200
此
(
この
)
際
(
さい
)
敵兵
(
てきへい
)
を
追撃
(
つゐげき
)
し、
201
一
(
いち
)
人
(
にん
)
も
残
(
のこ
)
らず
屠
(
ほふ
)
りくれむと
息
(
いき
)
まくを、
202
照国別
(
てるくにわけ
)
の
忠告
(
ちうこく
)
によつて
之
(
これ
)
を
中止
(
ちうし
)
し、
203
凱歌
(
がいか
)
を
奏
(
そう
)
して
正々
(
せいせい
)
堂々
(
だうだう
)
、
204
トルマン
城
(
じやう
)
に
凱旋
(
がいせん
)
することとなりぬ。
205
ガーデン
王
(
わう
)
は
物見櫓
(
ものみやぐら
)
に
打
(
うち
)
登
(
のぼ
)
り、
206
城内
(
じやうない
)
の
強者
(
つはもの
)
を
指揮
(
しき
)
してゐたが、
207
敵
(
てき
)
の
無残
(
むざん
)
な
敗走
(
はいそう
)
と、
208
チウイン
太子
(
たいし
)
の
雄々
(
をを
)
しき
活動振
(
くわつどうぶり
)
に
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち、
209
軍扇
(
ぐんせん
)
を
開
(
ひら
)
いて
櫓
(
やぐら
)
の
上
(
うへ
)
にて
自
(
みづか
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
210
凱旋
(
がいせん
)
の
祝気分
(
いはひきぶん
)
で
舞
(
ま
)
ふてゐる。
211
王
(
わう
)
『トルマン
国
(
ごく
)
を
包
(
つつ
)
みたる
212
醜
(
しこ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
今
(
いま
)
晴
(
は
)
れて
213
天津
(
あまつ
)
日嗣
(
ひつぎ
)
は
空
(
そら
)
高
(
たか
)
く
214
輝
(
かがや
)
き
玉
(
たま
)
ふ
目出度
(
めでた
)
さよ
215
地上
(
ちじやう
)
遥
(
はるか
)
に
見
(
み
)
わたせば
216
都
(
みやこ
)
のまはりに
敵影
(
てきえい
)
の
217
一人
(
ひとり
)
も
無
(
な
)
きぞ
目出度
(
めでた
)
けれ
218
之
(
これ
)
も
全
(
まつた
)
く
皇神
(
すめかみ
)
の
219
御国
(
みくに
)
を
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
はむと
220
助
(
たす
)
け
玉
(
たま
)
ひしものならむ
221
いざ
之
(
これ
)
よりは
天地
(
あめつち
)
の
222
神
(
かみ
)
を
敬
(
うやま
)
ひ
国民
(
くにたみ
)
の
223
模範
(
もはん
)
となりて
浦安
(
うらやす
)
の
224
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
を
建設
(
けんせつ
)
し
225
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
心胆
(
しんたん
)
を
226
脅
(
おびや
)
かしつつ
又
(
また
)
しても
227
吾
(
わが
)
神国
(
しんこく
)
に
相対
(
あひたい
)
し
228
敵対
(
てきたい
)
行為
(
かうゐ
)
を
断念
(
だんねん
)
すべく
229
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へウラル
教
(
けう
)
230
開
(
ひら
)
き
玉
(
たま
)
ひし
大神
(
おほかみ
)
の
231
御前
(
みまへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る』
232
斯
(
か
)
くする
折
(
をり
)
しも、
233
大足別
(
おほだるわけ
)
は
道々
(
みちみち
)
市街
(
しがい
)
に
火
(
ひ
)
を
放
(
はな
)
ちたりと
見
(
み
)
え、
234
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
空
(
そら
)
、
235
朱
(
しゆ
)
を
濺
(
そそ
)
ぐ
迄
(
まで
)
、
236
炎
(
ほのほ
)
各所
(
かくしよ
)
にあがり、
237
遠近
(
をちこち
)
より
悲惨
(
ひさん
)
の
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る。
238
此
(
この
)
時
(
とき
)
恰
(
あたか
)
も
照国別
(
てるくにわけ
)
は
門内
(
もんない
)
にありしが、
239
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
るよりまつしぐらに
物見櫓
(
ものみやぐら
)
にかけ
上
(
のぼ
)
り、
240
照公
(
てるこう
)
と
共
(
とも
)
に
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
241
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
するや、
242
四方
(
しはう
)
に
起
(
おこ
)
りし
火災
(
くわさい
)
は
忽
(
たちま
)
ち
水
(
みづ
)
を
打
(
う
)
ちし
如
(
ごと
)
く
治
(
をさ
)
まり、
243
再
(
ふたた
)
び
聞
(
きこ
)
ゆる
歓喜
(
くわんき
)
の
声
(
こゑ
)
に、
244
ガーデン
王
(
わう
)
も
太子
(
たいし
)
も
王女
(
わうぢよ
)
もハリスも
手
(
て
)
を
打
(
う
)
つて
感喜
(
かんき
)
した。
245
王
(
わう
)
は
部下
(
ぶか
)
に
令
(
れい
)
を
下
(
くだ
)
し、
246
左守
(
さもり
)
247
右守
(
うもり
)
の
遺骸
(
なきがら
)
を
王室
(
わうしつ
)
の
墓所
(
はかしよ
)
に
特別
(
とくべつ
)
を
以
(
もつ
)
て
葬
(
はうむ
)
り、
248
国家
(
こくか
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
として
祠
(
ほこら
)
を
建
(
た
)
て、
249
永遠
(
えいゑん
)
に
祭祀
(
さいし
)
する
事
(
こと
)
とした。
250
又
(
また
)
チウイン
太子
(
たいし
)
の
奏上
(
そうじやう
)
に
依
(
よ
)
り、
251
照国別
(
てるくにわけ
)
、
252
照公司
(
てるこうつかさ
)
の
仁義
(
じんぎ
)
の
応援
(
おうゑん
)
と、
253
大神
(
おほかみ
)
の
神徳
(
しんとく
)
とを
聞
(
き
)
き、
254
感謝
(
かんしや
)
の
余
(
あま
)
り、
255
三五
(
あななひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
鎮祭
(
ちんさい
)
せむ
事
(
こと
)
を
誓
(
ちか
)
ふに
至
(
いた
)
つた。
256
王
(
わう
)
は
戦塵
(
せんぢん
)
治
(
をさ
)
まり、
257
一先
(
ひとま
)
づ
大神
(
おほかみ
)
に
感謝
(
かんしや
)
し
乍
(
なが
)
ら、
258
後
(
あと
)
の
始末
(
しまつ
)
をチウイン
太子
(
たいし
)
及
(
および
)
ジヤンク
其
(
その
)
他
(
た
)
の
重臣
(
ぢうしん
)
に
命
(
めい
)
じおき、
259
休養
(
きうやう
)
せむと
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
り
見
(
み
)
れば、
260
千草姫
(
ちぐさひめ
)
はキユーバーと
共
(
とも
)
に、
261
莞爾
(
くわんじ
)
として
相向
(
あひむか
)
ひ
祝
(
いはひ
)
の
盃
(
さかづき
)
をくみかはして
居
(
ゐ
)
る。
262
王
(
わう
)
は
見
(
み
)
るよりクワツと
怒
(
いか
)
り、
263
『
不義者
(
ふぎもの
)
見
(
み
)
つけた、
264
そこ
動
(
うご
)
くな』
265
と
手槍
(
てやり
)
を
以
(
もつ
)
て
立
(
たち
)
向
(
むか
)
へば
266
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は
王
(
わう
)
の
手
(
て
)
に
取
(
とり
)
付
(
つ
)
き、
267
『
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
268
少時
(
しばし
)
お
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さいませ。
269
此
(
この
)
神柱
(
かむばしら
)
は
決
(
けつ
)
して
国
(
くに
)
に
仇
(
あだ
)
する
悪人
(
あくにん
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬ。
270
大足別
(
おほだるわけ
)
に
脅迫
(
けうはく
)
され、
271
心
(
こころ
)
にあらぬ
詐
(
いつは
)
りを
申
(
まを
)
し
立
(
た
)
て、
272
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
に
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
み、
273
妾
(
わらは
)
に
事情
(
じじやう
)
を
打
(
うち
)
明
(
あか
)
し、
274
救
(
すく
)
ひを
求
(
もと
)
めて
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
275
今
(
いま
)
此
(
この
)
キユーバーをして、
276
神主
(
かむぬし
)
となし
大神
(
おほかみ
)
に
国家
(
こくか
)
安泰
(
あんたい
)
の
祈願
(
きぐわん
)
をし、
277
凱旋
(
がいせん
)
の
御
(
おん
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げ、
278
直会
(
なほらひ
)
の
神酒
(
みき
)
を
頂
(
いただ
)
かせて
居
(
を
)
つた
処
(
ところ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
279
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
誤解
(
ごかい
)
のなき
様
(
やう
)
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げます』
280
と
落涙
(
らくるゐ
)
し
乍
(
なが
)
ら
言葉
(
ことば
)
さかしく
弁解
(
べんかい
)
する。
281
ガーデン
王
(
わう
)
も
忠実
(
ちうじつ
)
なる
姫
(
ひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
を
疑
(
うたが
)
ふに
由
(
よし
)
なく、
282
其
(
その
)
儘
(
まま
)
差許
(
さしゆる
)
す
事
(
こと
)
となり、
283
己
(
おの
)
が
居間
(
ゐま
)
へと
帰
(
かへ
)
りゆく。
284
高姫
(
たかひめ
)
の
霊
(
れい
)
と
憑
(
うつ
)
り
変
(
かは
)
つた
千草姫
(
ちぐさひめ
)
はキユーバーに
向
(
むか
)
ひ、
285
『コレ、
286
キユーバーさま、
287
貴方
(
あなた
)
は
本当
(
ほんたう
)
に
危
(
あぶ
)
ない
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いましたよ。
288
妾
(
わらは
)
も
王
(
わう
)
様
(
さま
)
のお
出
(
いで
)
になつた
時
(
とき
)
は
何
(
ど
)
うなる
事
(
こと
)
やらと、
289
大変
(
たいへん
)
に
心
(
こころ
)
をもみました』
290
キユーバーは
慄
(
ふる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
291
『
全
(
まつた
)
くだ、
292
お
前
(
まへ
)
の
為
(
ため
)
に
大切
(
たいせつ
)
な
命
(
いのち
)
が
助
(
たす
)
かつたのだ。
293
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らどうだらう、
294
大足別
(
おほだるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は
脆
(
もろ
)
くも
敗走
(
はいそう
)
した
様子
(
やうす
)
だし、
295
遠
(
とほ
)
からず
私
(
わし
)
は
当城
(
たうじやう
)
を
追出
(
おひだ
)
さるるに
違
(
ちが
)
ひない。
296
さうなれば
恋
(
こひ
)
しいお
前
(
まへ
)
と
添
(
そ
)
ふ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬ。
297
何
(
なん
)
とかして
夜陰
(
やいん
)
に
乗
(
じやう
)
じ、
298
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
を
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
す
心
(
こころ
)
はないか』
299
千草
(
ちぐさ
)
『ホヽヽヽヽ、
300
キユーバー
様
(
さま
)
の
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
事
(
こと
)
、
301
そんな
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
がいりませうか。
302
王
(
わう
)
様
(
さま
)
は
私
(
わたくし
)
の
美貌
(
びばう
)
にゾツコン
惚
(
ほれ
)
込
(
こ
)
んでゐられますよ。
303
貴方
(
あなた
)
は
何処
(
どこ
)
までも
救世主
(
きうせいしゆ
)
と
名乗
(
なの
)
つて、
304
神
(
かみ
)
さまいぢりをしてゐて
下
(
くだ
)
さいませ。
305
何程
(
なにほど
)
王
(
わう
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
遊
(
あそ
)
ばさうが、
306
重臣
(
ぢうしん
)
が
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
さうが、
307
千草姫
(
ちぐさひめ
)
此
(
この
)
世
(
よ
)
にあらむ
限
(
かぎ
)
りは、
308
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
に
指
(
ゆび
)
一本
(
いつぽん
)
さえさせませぬ。
309
暫
(
しばら
)
くは
両人
(
りやうにん
)
共
(
とも
)
猫
(
ねこ
)
をかぶり、
310
時期
(
じき
)
の
至
(
いた
)
るを
待
(
ま
)
つて
此
(
この
)
王城
(
わうじやう
)
を
奪
(
うば
)
ひ、
311
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
の
覇者
(
はじや
)
とならうでは
御座
(
ござ
)
いませぬか』
312
キユ『
成
(
な
)
る
程
(
ほど
)
、
313
其奴
(
そいつ
)
ア
面白
(
おもしろ
)
からう。
314
そんなら
姫
(
ひめ
)
の
仰
(
おほ
)
せに
任
(
まか
)
せ、
315
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
に
永久
(
えいきう
)
に
止
(
とど
)
まる
事
(
こと
)
としよう』
316
千草
(
ちぐさ
)
『ハ、
317
さうなさいませ』
318
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
時
(
とき
)
しもチウイン
太子
(
たいし
)
は
軍功
(
ぐんこう
)
を
誇
(
ほこ
)
り
顔
(
がほ
)
に、
319
王女
(
わうぢよ
)
チンレイ
及
(
および
)
右守
(
うもり
)
の
娘
(
むすめ
)
ハリスと
共
(
とも
)
にドアを
開
(
ひら
)
いて
入
(
いり
)
来
(
きた
)
り、
320
『
母上
(
ははうへ
)
様
(
さま
)
、
321
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
で
御
(
お
)
目出
(
めで
)
たう
御座
(
ござ
)
います。
322
おかげを
以
(
もつ
)
て
敵軍
(
てきぐん
)
を
撃退
(
げきたい
)
致
(
いた
)
しました。
323
どうかお
喜
(
よろこ
)
び
下
(
くだ
)
さいませ』
324
千草
(
ちぐさ
)
『ヤ、
325
其方
(
そなた
)
は
太子
(
たいし
)
、
326
天晴
(
あつぱ
)
れお
手柄
(
てがら
)
お
手柄
(
てがら
)
。
327
其方
(
そなた
)
こそトルマン
国
(
ごく
)
の
柱石
(
ちうせき
)
、
328
ガーデン
王
(
わう
)
の
嗣子
(
しし
)
として
恥
(
はづか
)
しからぬ
偉丈夫
(
ゐぢやうぶ
)
だ。
329
サア
草臥
(
くたびれ
)
ただらう、
330
ゆつくり
休
(
やす
)
んで
下
(
くだ
)
さい。
331
其方
(
そなた
)
はチンレイ、
332
ハリス、
333
能
(
よ
)
くマア
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
凛々
(
りり
)
しい
武者振
(
むしやぶり
)
、
334
母
(
はは
)
も
感
(
かん
)
じ
入
(
い
)
りました』
335
太子
(
たいし
)
は
妖僧
(
えうそう
)
キユーバーを
見
(
み
)
て
目
(
め
)
を
丸
(
まる
)
くし
乍
(
なが
)
ら、
336
『
母上
(
ははうへ
)
様
(
さま
)
、
337
此処
(
ここ
)
にゐる
坊主
(
ばうず
)
はスコブツエン
宗
(
しう
)
の
邪教
(
じやけう
)
を
開
(
ひら
)
き、
338
大足別
(
おほだるわけ
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
導
(
みちび
)
いたる
悪僧
(
あくそう
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬか。
339
かかる
魔者
(
まもの
)
を
何故
(
なにゆゑ
)
御
(
お
)
居間
(
ゐま
)
に
侍
(
はべ
)
らせ、
340
優待
(
いうたい
)
遊
(
あそ
)
ばすのですか。
341
チウイン、
342
其
(
その
)
意
(
い
)
を
得
(
え
)
ませぬ』
343
千草
(
ちぐさ
)
『
如何
(
いか
)
にも
此
(
この
)
方
(
かた
)
はキユーバー
様
(
さま
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
344
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
345
大足別
(
おほだるわけ
)
が
手先
(
てさき
)
となり
当城
(
たうじやう
)
へ
談判
(
だんぱん
)
にお
越
(
こし
)
になつたのも、
346
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ぬ
事情
(
じじやう
)
あつての
事
(
こと
)
、
347
此
(
この
)
母
(
はは
)
がとつくとキユーバー
様
(
さま
)
の
心底
(
しんてい
)
を
調
(
しら
)
べ、
348
大足別
(
おほだるわけ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
探
(
さぐ
)
り、
349
キユーバー
様
(
さま
)
の
応援
(
おうゑん
)
によりて
無事
(
ぶじ
)
に
敵
(
てき
)
を
撃退
(
げきたい
)
する
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
たのだ。
350
此
(
この
)
母
(
はは
)
が
保証
(
ほしよう
)
するから、
351
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
疑
(
うたが
)
うてはなりませぬぞ。
352
チンレイもハリスも
必
(
かなら
)
ず
誤解
(
ごかい
)
しちやなりませぬ。
353
母
(
はは
)
が
証拠
(
しようこ
)
だから……』
354
ハリス『ハイ、
355
畏
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りまして
御座
(
ござ
)
います。
356
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
、
357
王女
(
わうぢよ
)
様
(
さま
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
358
妾
(
わらは
)
の
如
(
ごと
)
き
孱弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
として
戦陣
(
せんぢん
)
に
立
(
た
)
ち、
359
勝利
(
しようり
)
を
得
(
え
)
たのも
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
、
360
キユーバー
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
尽力
(
じんりよく
)
の
致
(
いた
)
すところで
御座
(
ござ
)
いませう。
361
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
吾
(
わが
)
父
(
ちち
)
右守
(
うもり
)
は
如何
(
いかが
)
なりまして
御座
(
ござ
)
りまするか』
362
千草
(
ちぐさ
)
『
右守
(
うもり
)
殿
(
どの
)
は
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
犠牲者
(
ぎせいしや
)
となつて
国替
(
くにがへ
)
遊
(
あそ
)
ばしたよ。
363
キツト
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
導
(
みちび
)
かれ、
364
天国
(
てんごく
)
にお
出
(
いで
)
になつてゐるだらう。
365
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
されな。
366
千草姫
(
ちぐさひめ
)
が
其女
(
そなた
)
の
身
(
み
)
は
引
(
ひき
)
うけて
世話
(
せわ
)
を
致
(
いた
)
すから……』
367
ハリスは『ハイ』と
言
(
い
)
つたきり、
368
父
(
ちち
)
の
死
(
し
)
を
聞
(
き
)
いて
驚愕
(
きやうがく
)
し、
369
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
気絶
(
きぜつ
)
して
了
(
しま
)
つた。
370
チウイン
太子
(
たいし
)
は
水
(
みづ
)
よ
薬
(
くすり
)
よと
種々
(
しゆじゆ
)
手
(
て
)
を
尽
(
つく
)
し、
371
漸
(
やうや
)
くにして
息
(
いき
)
ふき
返
(
かへ
)
さしめ、
372
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
をさしてチンレイと
共
(
とも
)
に
伴
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
373
(
大正一四・八・二三
旧七・四
於丹後由良秋田別荘
松村真澄
録)
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