霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 梅花団(ばいくわだん)〔一七八六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第3篇 理想新政 よみ(新仮名遣い):りそうしんせい
章:第19章 梅花団 よみ(新仮名遣い):ばいかだん 通し章番号:1786
口述日:1925(大正14)年08月25日(旧07月6日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
千草姫は王に、キューバーはもう死亡し、その代わりに第一天国の天人の霊を宿した若者がトルマン国の政治をつかさどるべく天より使わされた、と勝手に王に宣言する。
その若者(梅公)は、千草姫と話を合わせ、王や番僧たちに千草姫の話を信じ込ませてしまう。
千草姫は梅公を、自分の伴侶、高宮彦と思い違いをしていたのだた、梅公は話を合わせて千草姫に信じ込ませてしまう。
そうしておいて梅公は、囚人の恩赦を行い、まずは人気取りの政治を行って民衆の気を引くべきだと千草姫に勧める。
千草姫が囚人恩赦の命を王に伝えて部屋に戻ってくると、高宮彦(に化けた梅公)は寝ている。千草姫がゆり起こすと、梅公は、千草姫が高姫の再来、金毛九尾の狐であること、また自分の素性は、三五教の守護神・言霊別のエンゼルであることを明かし、大きな光となって窓の隙間より出で消えてしまった。
後に千草姫は驚きのあまり失神してしまう。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7019
愛善世界社版:237頁 八幡書店版:第12輯 477頁 修補版: 校定版:244頁 普及版:120頁 初版: ページ備考:
001 千草姫(ちぐさひめ)意気(いき)揚々(やうやう)として城中(じやうちう)(かへ)(きた)り、002ガーデン(わう)居間(ゐま)()り、
003()出神(でのかみ)生宮(いきみや)004ガーデン(わう)(まを)(わた)仔細(しさい)がある。005よつく(うけたま)はれ』
006(わう)『ハイ、007首尾(しゆび)よう()下向(げかう)になりまして、008目出(めで)たう御座(ござ)います。009御用(ごよう)(おもむき)010(つつし)んで(うけたま)はりませう』
011千草(ちぐさ)第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)012()出神(でのかみ)はウラル(ひこの)(みこと)013盤古(ばんこ)神王(しんのう)()とジヤンクの処置(しよち)(つい)て、014長時間(ちやうじかん)協議(けうぎ)をこらせし結果(けつくわ)015ここ(いつ)週間(しうかん)(あひだ)(かれ)(めい)をたち、016教国(けうこく)害毒(がいどく)(のぞ)くべく評定(ひやうぢやう)がきはまつたぞや。017それ(まで)(なんぢ)018(かなら)(かなら)ず、019(かれ)暴虐(ばうぎやく)()(くは)ふる(なか)れ。020自然(しぜん)消滅(せうめつ)(いた)(かみ)仕組(しぐみ)(いた)しておいたから……』
021(わう)『ハイ、022(その)()神勅(しんちよく)(うけたま)はり、023(おほい)安心(あんしん)(つかまつ)りました。024(つい)ては教国(けうこく)枢機(すうき)(にん)ずべき重臣(ぢうしん)として採用(さいよう)すべきキユーバーは、025神界(しんかい)(おい)て、026何時(いつ)()(めし)()(くだ)さいまするか』
027千草(ちぐさ)(いや)028心配(しんぱい)(いた)すに(およ)ばぬ。029()れキユーバーは神界(しんかい)(おい)て、030眷族(けんぞく)使(つか)ひ、031よくよく(しら)べみれば、032当城(たうじやう)牢獄(らうごく)(やぶ)り、033(にげ)()途中(とちう)034(おほかみ)追撃(つゐげき)され、035(つひ)にはもろくも全身(ぜんしん)群狼(ぐんらう)(ため)()ひつぶされ、036非業(ひごふ)最後(さいご)をとげたとの、037眷族(けんぞく)(ども)復命(ふくめい)038()むを()ず、039盤古(ばんこ)神王(しんわう)相談(さうだん)(いた)せし(ところ)040第一(だいいち)天国(てんごく)天人(てんにん)(みたま)(てん)より(つか)はすによつて、041()出神(でのかみ)殿(どの)042(その)身霊(みたま)城中(じやうちう)(ともな)(かへ)り、043教政(けうせい)()らば、044トルマン(ごく)(まを)すに(およ)ばず、045三千(さんぜん)世界(せかい)支配者(しはいしや)として、046世界(せかい)万民(ばんみん)(あふ)がるべし、047――との()()げなれば、048(この)()出神(でのかみ)(こころ)(いさ)み、049役僧(やくそう)(ども)(まも)られて帰途(きと)につく()(みち)すがら、050一介(いつかい)男子(だんし)(くわ)し、051(わが)輿(こし)(ちか)よらむとし(たま)ふや、052心眼(しんがん)(ひら)けざる(めくら)同様(どうやう)番僧(ばんそう)(ども)は、053輿(こし)危害(きがい)(くは)無礼(ぶれい)(あた)ふる(もの)となし、054即座(そくざ)捕縛(ほばく)して(しま)つたのである。055てもさても(わけ)(わか)らぬ俗物(ぞくぶつ)(くらゐ)(こま)つた(もの)御座(ござ)らぬぞや。056オホヽヽヽ』
057(わう)(その)身霊(みたま)宿(やど)つた男子(だんし)如何(いかが)なされましたか』
058千草(ちぐさ)(ただ)(いま)玄関口(げんくわんぐち)番僧(ばんそう)(つき)そひ、059()たせあれば、060(なんぢ)最敬礼(さいけいれい)(もつ)てお(むか)(まを)して(きた)れ。061三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)062()出神(でのかみ)片腕(かたうで)ともなり、063(なんぢ)教政(けうせい)(たす)くる教務(けうむ)総監(そうかん)ともなるべき、064現幽(げんいう)両用(りやうよう)大神人(だいしんじん)であるぞよ。065サ、066(はや)(はや)くお(むか)へなされ』
067 (わう)は『ハアハア』と(あたま)をさげ(なが)ら、068玄関口(げんくわんぐち)(みづか)(はし)()た。069警固(けいご)番僧(ばんそう)はハツと(おどろ)き、070最敬礼(さいけいれい)(ほどこ)して()る。071ガーデン(わう)(とら)はれ(びと)(まへ)両手(りやうて)をつき、072(おそ)(おのの)(なが)ら、
073(わう)『これはこれは、074第一(だいいち)天国(てんごく)天人(てんにん)(みたま)(さま)075(わか)らぬ臣下(しんか)(ども)が、076いかい()無礼(ぶれい)(つかまつ)りました。077何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)こちらへお(あが)(くだ)さいませ』
078 梅公(うめこう)無言(むごん)(まま)ニコニコしてゐる。079護送(ごそう)番僧(ばんそう)(おどろ)いて、080手早(てばや)縄目(なはめ)をとき、081(あを)くなり無礼(ぶれい)陳謝(ちんしや)し、082(ねこ)()はれし(ねずみ)(ごと)く、0821(ちひ)さくなつて、083スゴスゴと(かへ)()く。
084梅公(うめこう)拙者(せつしや)は、085天津(あまつ)御国(みくに)より盤古(ばんこ)神王(しんわう)(めい)をうけ、086トルマン(ごく)(すく)はむ(ため)087人体(じんたい)(あら)はし突然(とつぜん)(あら)はれし(もの)088当家(たうけ)には()出神(でのかみ)生宮(いきみや)089三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)090(おほ)みろく太柱(ふとばしら)091第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)(さま)()降臨(かうりん)(はず)092どうか(その)居間(ゐま)案内(あんない)めされ』
093応揚(おうやう)にいふ。094ガーデン(わう)千草姫(ちぐさひめ)が、095第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)といふ(こと)は、096九分(くぶ)九厘(くりん)(まで)(しん)じてゐたが、097(いま)(この)神人(しんじん)言葉(ことば)()いて、098一層(いつそう)確信(かくしん)(つよ)め、099ペコペコし(なが)ら、100梅公(うめこう)(さき)()ち、101千草姫(ちぐさひめ)居間(ゐま)()して案内(あんない)する。102千草姫(ちぐさひめ)梅公(うめこう)姿(すがた)()て、103益々(ますます)(えつ)()り、
104『ヤ、105これはこれは、106高宮彦(たかみやひこ)殿(どの)107()くマア(わらは)神業(しんげふ)(たす)けむと、108()(くだ)さいました。109(わらは)神界(しんかい)(おい)ては、110()出神(でのかみ)111(また)()高宮姫(たかみやひめ)御座(ござ)います。112ヨモヤお(わす)れは御座(ござ)いますまいなア』
113(うめ)『いかにも、114(それがし)高宮彦(たかみやひこ)間違(まちが)ひない。115(しか)(なが)()(その)()天国(てんごく)(のぼ)り、116仙術(せんじゆつ)(もつ)若返(わかがへ)り、117(いま)(かく)(ごと)絶世(ぜつせい)美男子(びだんし)となつて、118衆生(しゆじやう)済度(さいど)すべく再臨(さいりん)したのだ。119()出神(でのかみ)生宮(いきみや)殿(どの)120最早(もはや)安心(あんしん)あつて()からうぞ』
121千草(ちぐさ)如何(いか)にも、122(これ)にてトルマン(ごく)基礎(きそ)(さだ)まり、123教王家(けうわうけ)祥兆(しやうてう)124(じつ)慶賀(けいが)()へませぬ。125ガーデン王殿(わうどの)126神界(しんかい)秘密(ひみつ)用事(ようじ)あれば、127(しばら)命令(めいれい)(くだ)(まで)128(この)()をお(はづ)しなされ』
129(わう)『ハイ(かしこ)まりまして御座(ござ)います。130御用(ごよう)御座(ござ)いましたら、131何時(いつ)なり(とも)132()()しを(ねが)ひます。133左様(さやう)ならば、134高宮彦(たかみやひこ)(さま)135()出神(でのかみ)(さま)136ゆつくりと()(やす)(くだ)さいませ』
137といひ(なが)ら、138イソイソとして(わが)居間(ゐま)(かへ)()く。139梅公(うめこう)(たちま)(たい)(くづ)し、140大胡坐(おほあぐら)をかき(なが)ら、
141『オイ、142(きみ)143千草(ちぐさ)(くん)144否々(いないな)高姫(たかひめ)(くん)145()くもマア()けたものだな。146どうだい、147(ひさ)(ぶり)(また)一芝居(ひとしばゐ)()たうぢやないか、148(ぼく)時置師(ときおかし)杢助(もくすけ)だよ』
149千草(ちぐさ)如何(いか)にも、150貴方(あなた)(もく)チヤンでしたかいな。151(なん)とまア、152立派(りつぱ)()容色(きりよう)(こと)153(わたし)154(あま)(かは)つてゐらつしやるので、155(ほか)(かた)だと(おも)つてゐましたよ』
156(うめ)(なん)とすごい腕前(うでまへ)ぢやないか。157あれ(ほど)(ぼく)(かた)約束(やくそく)をしておき(なが)ら、158(うつく)しい(をとこ)(とほ)つたといつて、159其奴(そいつ)(くは)()まうといふ量見(りやうけん)だから、160本当(ほんたう)(をとこ)()(つら)(かは)だ。161(その)美貌(びばう)で、162なまめかしい言葉(ことば)で、163あやかされて(しま)や、164どんな硬骨(かうこつ)男子(だんし)でも、1641(ひと)たまりもなく(まゐ)つて(しま)ふよ。165(さいは)(ぼく)時置師(ときおかし)本人(ほんにん)だから()かつたものの、166さう小口(こぐち)から(をとこ)()はへられちや(つま)らないからのう』
167千草(ちぐさ)『ホヽヽヽあれ(だけ)168(かた)約束(やくそく)をしておいたものですもの……、169貴方(あなた)こそ、170()(をんな)をみつけて、171(わらは)をみすて、172どつかへうろついて()つたのでせう。173本当(ほんたう)(ひど)いワ』
174(うめ)馬鹿(ばか)いふない。175(ぼく)ア、176(まへ)所在(ありか)(さが)(たづ)ねて、177(ほと)んど(さん)(ねん)178彼方(かなた)此方(こなた)苦労(くらう)をして()つたが、179(まへ)がハリマの(もり)神殿(しんでん)祈願(きぐわん)をこめてる(とき)180(うしろ)姿(すがた)をチラツと()て、181()くも()たりな()たりな、182(たか)チヤンに瓜二(うりふた)つ……だと(おも)ひ、183(さき)(まは)つて、184輿(こし)(なか)(のぞ)かうとした(とき)185番僧(ばんそう)(やつ)()(つか)まつて(しま)つたのだ。186(まへ)(みたま)は、187どこ(まで)王妃(わうひ)(みたま)()えて、188(えら)いものだのう』
189千草(ちぐさ)『そらさうです(とも)190第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)ぢや御座(ござ)いませぬか。191ヤツパリ(うへ)になる(みたま)はどこ(まで)(うへ)にならねばなりませぬからな』
192(うめ)(とき)にお(まへ)193(これ)から()うする(かんが)へだ。194(おれ)一緒(いつしよ)此処(ここ)(にげ)()し、195(また)曲輪城(まがわじやう)でも(つく)つて(なか)よう(くら)()はないか、196それが()きたいのだ』
197千草(ちぐさ)『そら、198貴方(あなた)のお言葉(ことば)なら()うでも(いた)しますけれど、199これ(だけ)立派(りつぱ)なトルマン(じやう)(ひか)(なが)ら、200(べつ)曲輪城(まがわじやう)なんか(こしら)へる必要(ひつえう)はないぢやありませぬか。201これから貴方(あなた)(わたし)と、202此処(ここ)根拠(こんきよ)としてウラナイ(けう)本山(ほんざん)となし、203三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)天晴(あつぱれ)(あら)はれたら()うでせうかな』
204(うめ)『あ、205それも()からう。206そんなら(これ)から、207(まへ)(ひと)内々(ないない)相談(さうだん)をしようか』
208千草(ちぐさ)『どうか、209さう(ねが)ひませう』
210(うめ)(この)(しつ)(なん)だか窮屈(きうくつ)でたまらない。211(まへ)寝所(しんじよ)がないか。212どうか其処(そこ)案内(あんない)して(もら)つて、213(ひさ)(ぶり)寝物語(ねものがたり)をやりたいものだがな』
214千草(ちぐさ)『あ、215さう(ねが)ひませう。216ホヽヽ、217(なん)だか(はづか)しいワ』
218といひ(なが)ら、219目尻(めじり)()げ、220梅公(うめこう)()()いて(おの)居間(ゐま)へと(ともな)ひゆき、221ドアを(かた)くとざし、2211(そと)から()かない(やう)にして、222絹夜具(きぬやぐ)()いて二人(ふたり)(まくら)(なら)べて(よこ)たはつて(しま)つた。
223(うめ)『オイ224(たか)チヤン、225(ひさ)(ぶり)だな』
226千草(ちぐさ)本当(ほんたう)にお(ひさ)しう御座(ござ)います』
227(うめ)『お(まへ)自惚鏡(うぬぼれかがみ)(まへ)で、228ウツトコを映写(えいしや)してゐた時分(じぶん)随分(ずいぶん)綺麗(きれい)だつたが、229(その)(とき)(くら)べてみて、230一入(ひとしほ)(うつく)しうなつたぢやないか』
231千草(ちぐさ)(なん)だか()りませぬが、232三十(さんじふ)(ねん)(わか)くなつたやうな()(いた)しますワ。233これ御覧(ごらん)なさい、234(はだ)(つや)なんか、235(まる)白金(はくきん)(ひかり)のやうですわ。236(しか)(もく)チヤンも大変(たいへん)綺麗(きれい)になつたぢやありませぬか。237(まる)()り、238ダイヤモンドの(やう)239(からだ)から(ひかり)(あら)はれるぢやありませぬか』
240(うめ)『そらさうだらうかい。241第一(だいいち)天国(てんごく)天人(てんにん)(みたま)だもの、242(しか)(これ)から大神業(だいしんげふ)開始(かいし)するに(つい)ては、243()第一(だいいち)天下(てんか)(むか)つて、244(まへ)(わし)との信用(しんよう)()(ため)245仁恵令(じんけいれい)(おこな)はねばなるまい。246(おも)()つて、247牢獄(らうごく)囚人(しうじん)解放(かいはう)したらどうだ』
248千草(ちぐさ)『ハイ、249(こひ)しき貴方(あなた)のお言葉(ことば)250(いな)(わけ)には()きませぬ。251(おほ)せに(したが)ひ、252仁恵令(じんけいれい)(おこな)(やう)253ガーデン(わう)(まを)しつけませう。254(しか)(なが)特別(とくべつ)重大(ぢうだい)犯人(はんにん)(だけ)(ゆる)すことは出来(でき)ませぬ。255吾々(われわれ)身辺(しんぺん)(うかが)ひ、256何時(いつ)危害(きがい)(くは)へるか()れませぬからな』
257(うめ)『ハヽヽヽ(たか)チヤン、258やつぱりお(まへ)(をんな)だ。259そんな()(よわ)(こと)をいふものぢやない。260牢獄(らうごく)一人(ひとり)囚人(しうじん)もゐない(やう)にするこそ、261仁恵(じんけい)といふものだ。262(まへ)照国別(てるくにわけ)263照公(てるこう)(りやう)宣伝使(せんでんし)非常(ひじやう)()にかけてゐる(やう)だが、264(この)(さい)(おも)()つて放免(はうめん)した(はう)が、265(なに)(ほど)(まへ)信用(しんよう)(あが)るか()れないよ。266城下(じやうか)(うはさ)()けば、267大変(たいへん)(こと)になつてゐるよ。268三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)二人(ふたり)(まで)牢獄(らうごく)(うち)()むなんて、269()しからぬ千草姫(ちぐさひめ)だ。270(いま)クーデターを(おこな)ひ、271千草(ちぐさ)(くび)()り、272大衆(たいしう)(うらみ)()らさにやおかぬ……とそれはそれはエライ(わる)人気(にんき)だよ。273さうだから(この)(さい)274(まへ)がガーデン(わう)()()け、275仁恵(じんけい)(おこな)ひ、276大衆(たいしう)(うたがひ)をはらせ…といふのだ。277(これ)より()方法(はうはふ)はないからなア』
278千草(ちぐさ)成程(なるほど)279それも(ひと)つの政策(せいさく)としては()いかも()れませぬな。280(とき)(もく)チヤンに折入(をりい)つて(ねが)ひたいのは、281あのジヤンクといふ(やつ)282仲々(なかなか)したたか(もの)で、283()出神(でのかみ)生宮(いきみや)神命(しんめい)でさへも(こば)むといふ剛腹者(がうばらもの)だから、284一寸(ちよつと)(こま)つてゐるのよ。285(なん)とかして彼奴(あいつ)(はう)()工夫(くふう)はありますまいかな』
286(うめ)『ハヽヽ()いたら()()うなジヤンクが(なん)だ。287(しか)(いま)(かれ)放逐(はうちく)すると(かへつ)てお(まへ)人気(にんき)(わる)くなり、288大望(たいまう)邪魔(じやま)になるから、289あの(まま)にしておけ。290(いま)(この)杢助(もくすけ)(あたま)()げたが最後(さいご)291ジヤンク(なん)か、292谷底(たにぞこ)(ひと)けりに()(おと)して(しま)(かんが)へだからな』
293千草(ちぐさ)『ホヽヽヽ、294そらさうでせうな。295貴方(あなた)()力量(りきりやう)はとつくに承知(しようち)してをります。296(ひろ)(この)世界(せかい)貴方(あなた)(まさ)豪傑(がうけつ)はないんですもの』
297(うめ)『そらさうだ、298さ、299(いち)()(はや)(わう)()()して、300仁恵令(じんけいれい)(おこな)ふべく取計(とりはから)せたが()からうぞ』
301千草(ちぐさ)(もく)チヤン、302さう()くにも(およ)ばぬぢやありませぬか。303(ひさ)(ぶり)(こが)(こが)れた男女(だんぢよ)面会(めんくわい)したのぢやありませぬか。304マア今晩(こんばん)はゆつくりと()いて()(くだ)さいな。305わたえモウ(もく)チヤンの(かほ)みてから、306勇気(ゆうき)(なに)もなくなり、307ヤヤ()のやうになつて(しま)つたワ』
308(うめ)人気(にんき)沸騰(ふつとう)し、309(いま)やクーデターの勃発(ぼつぱつ)せむとする矢先(やさき)だもの、310一刻(いつこく)猶予(いうよ)出来(でき)ないよ。311(はや)教王(けうわう)(よび)()して仁恵令(じんけいれい)(おこな)はしめなくちや、312安心(あんしん)して()(わけ)にも()かぬぢやないか。313それさへ()めば、314十日(とをか)でも(ひやく)(にち)でも、315(さん)(ねん)でも()(ねん)でも、316(まへ)にひつついて(はな)しやしないよ。317(いや)といふ(とこ)(まで)()(しめ)てやるからなア』
318千草(ちぐさ)『ホヽヽヽそんなら、319教王(けうわう)()出神(でのかみ)命令(めいれい)(くだ)しておきます。320それさへ()めば()(くだ)さるでせうな』
321(うめ)『そらさうだ(とも)322サ、323(はや)くやつてくれ。324特別(とくべつ)急行(きふかう)(たの)むよ』
325千草(ちぐさ)承知(しようち)しました。326飛行機(ひかうき)でやつつけませう、327ホヽヽヽ』
328(わら)(なが)ら、329教王(けうわう)居間(ゐま)にソロリソロリと、330両手(りやうて)(ひろ)げ、331()()羽搏(はばたき)(なが)(すす)()る。332教王(けうわう)一生(いつしやう)懸命(けんめい)にウラル(けう)経典(けうてん)を、333(くび)をかたげて調(しら)べてゐた。
334千草(ちぐさ)『ホヽヽヽ、335ガーデン王殿(わうどの)336(えら)()勉強(べんきやう)337()出神(でのかみ)338(まこと)(かん)()つたぞや。339只今(ただいま)(いで)(あそ)ばした神人(しんじん)は、340天国(てんごく)にても()(たか)時置師(ときおかし)(かみ)(さま)であつたぞや。341(この)(かみ)(あら)はれ(たま)うた(うへ)は、342トルマン(じやう)大磐石(だいばんじやく)343()安心(あんしん)なされ』
344(わう)『ハイ、345有難(ありがた)御座(ござ)います』
346千草(ちぐさ)(つい)ては347()出神(でのかみ)其方(そなた)(まを)(わた)仔細(しさい)がある。348よつく(うけたま)はれ』
349(わう)『ハイ』と(うつむ)く。
350千草(ちぐさ)()出神(でのかみ)(みづか)教王(けうわう)居間(ゐま)(あら)はれたのは、351()()ではない。352()第一(だいいち)五六七(みろく)神政(しんせい)開始(かいし)()(いはひ)として、353牢獄(らうごく)囚人(しうじん)を、354(とき)(うつ)さず、355一人(ひとり)(のこ)らず、356仁恵令(じんけいれい)発布(はつぷ)して、3561放免(はうめん)せられよ。357(これ)(まつた)く、358三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)359底津(そこつ)岩根(いはね)(おほ)みろく霊体(れいたい)360第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)361()出神(でのかみ)生宮(いきみや)神命(しんめい)御座(ござ)るぞや』
362 ガーデン(わう)は『ハイ』と(こた)へて、363(ただ)ちにジヤンクを()び、364牢獄(らうごく)囚人(しうじん)一人(ひとり)(のこ)らず解放(かいはう)して(しま)つた。365千草姫(ちぐさひめ)はニコニコし(なが)ら、366(わが)居間(ゐま)(かへ)つてみれば、367梅公(うめこう)はグウグウと高鼾(たかいびき)をかいて、368他愛(たあい)もなく(ねむ)つてゐる。
369千草(ちぐさ)『コレ、370(もく)チヤン、371()きて(くだ)さらぬかいな。372(なん)ですか、373タマタマお(かほ)みせておいて、374本当(ほんたう)にスゲナイ(ひと)だワ。375もし、376(もく)チヤンつたら、377()をあけて(くだ)さいな』
378 (なに)(ほど)()すつても、379()んでも、380(ふか)(やう)高鼾(たかいびき)をかいて一寸(ちよつと)()がつかぬ。381千草姫(ちぐさひめ)()むを()ず、382梅公(うめこう)寝姿(ねすがた)少時(しばし)()見守(みまも)つてゐた。
383千草(ちぐさ)『ホヽヽ(なん)とマア、384気高(けだか)いお(かほ)だこと。385(いろ)あく(まで)(しろ)く、386搗立(つきたて)(もち)のやうなお(かほ)生地(きぢ)387眼許(めもと)(すず)しく、388鼻筋(はなすぢ)(とほ)り、389(くち)(おほ)きくもなく、390(ちひ)さくもなく、391(ひげ)具合(ぐあひ)といひ、392(つむ)(かみ)といひ、393(はだ)(なめ)らかさ、394(つめ)光沢(くわうたく)395どこに(ひと)つ、396(てん)()(どころ)のない、397宇宙(うちう)第一(だいいち)美男子(びだんし)だワ。398こんな美男子(びだんし)(をとこ)()(この)(たか)チヤンは、399(なん)といふ仕合(しあはせ)(もの)だらう。400ホヽヽヽ、401(よだれ)()らぬ()一合(いちがふ)(ばか)り、402(ひざ)(うへ)へこぼれよつたワ。403ガーデン(わう)のやうなド茶瓶頭(ちやびんあたま)や、404キユーバーさまの(やう)な、405さいこ槌頭(づちあたま)をみてゐた()には、406一入(ひとしほ)立派(りつぱ)()えて(たま)らないワ。407(あぢ)(わる)(くさ)つたドブ(づけ)()(くち)で、408特製(とくせい)羊羹(やうかん)()(とき)(やう)()がするのだもの、409ホヽヽヽ。410ても(さて)(あい)らしい、411凛々(りり)しい、412(をとこ)らしい、413(かみ)さまらしいお姿(すがた)だこと』
414(かほ)()でたり、415()をあけてみたり、416なぶり(もの)にして(たのし)んでゐる。417(とき)しも城外(じやうぐわい)牢獄(らうごく)囚人(しうじん)解放(かいはう)した(ため)418囚人(しうじん)一斉(いつせい)に『万歳(ばんざい)々々(ばんざい)』と(さけ)(こゑ)419(まど)ガラスを(とほ)して(ひび)()る。
420千草(ちぐさ)『ホヽヽヽ(もく)チヤンの()発明(はつめい)()つて、421牢獄(らうごく)囚人(しうじん)解放(かいはう)され、422万歳(ばんざい)(さけ)んでゐる(やう)だ。423囚人(しうじん)万歳(ばんざい)だらうが、424(この)(たか)チヤンも天下(てんか)無双(むさう)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)美男子(びだんし)()うて万々歳(ばんばんざい)だワ、425オホヽヽヽ』
426(うめ)『あーあーあ』
427欠伸(あくび)(なが)ら、428両手(りやうて)をヌツと()ばし、
429(うめ)『ヤア、430(たか)チヤン、431(まへ)そこにゐたのか』
432千草(ちぐさ)『ハイ、433ゐました(とも)434貴方(あんた)どうですか。435何程(なんぼ)ゆり(おこ)しても、436(わめ)いても(おき)(くだ)さらぬのだもの』
437(うめ)『オイ、438金毛(きんまう)九尾(きうび)容物(いれもの)439千草姫(ちぐさひめ)()きがら、440高姫(たかひめ)再来(さいらい)441しつかり()け。442(おれ)時置師(ときおかし)杢助(もくすけ)でも(なん)でもない。443三五教(あななひけう)守護(しゆご)する第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)444言霊別(ことたまわけ)のエンゼルだ』
445といふより(はや)く、446大光団(だいくわうだん)となつて、447千草姫(ちぐさひめ)両眼(りやうがん)()(なが)ら、448(まど)隙間(すきま)より、449(おと)もなく()(しま)つた。450依然(いぜん)として老若(らうにやく)男女(なんによ)万歳(ばんざい)(こゑ)451間断(かんだん)なく(きこ)()る。452千草姫(ちぐさひめ)(あま)りの(おどろ)きに(しば)しの(あひだ)失心(しつしん)して(しま)つた。
453大正一四・八・二五 旧七・六 於丹後由良秋田別荘 松村真澄録)

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