霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第二一章 三婚(みこん)〔一七八八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第3篇 理想新政 よみ(新仮名遣い):りそうしんせい
章:第21章 三婚 よみ(新仮名遣い):みこん 通し章番号:1788
口述日:1925(大正14)年08月25日(旧07月6日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
その協議会の中で、レールが新しい左守となり、テイラと夫婦になる、マークが新右守となってハリスと夫婦となることが定められた。また、王女は照国別の弟子・春公と夫婦となることとなった。
また太子は、タラハン国スダルマン太子の妹バンナ姫が許婚であった。
照国別と照公は婚礼の祝歌を歌う。そこへ番僧テルマンもやってきて、改革派の一同全員がそろう。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:4317 OBC :rm7021
愛善世界社版:263頁 八幡書店版:第12輯 487頁 修補版: 校定版:270頁 普及版:134頁 初版: ページ備考:
001 シグレ町(ちやう)の九(く)尺(しやく)二間(にけん)の臨時(りんじ)御殿(ごてん)には、002主客(しゆきやく)八(はち)人(にん)膝(ひざ)をすり合(あは)して月(つき)の輪(わ)となり、003面白(おもしろ)さうに笑(わら)ひ乍(なが)ら内局(ないきよく)組織(そしき)の大会議(だいくわいぎ)が開(ひら)かれて居(ゐ)る。
004チウイン『宣伝使(せんでんし)の云(い)はれた通(とほ)り、005もはや教政(けうせい)改革(かいかく)の時期(じき)が迫(せま)つて来(き)た様(やう)だ。006しかし此(この)際(さい)教政(けうせい)改革(かいかく)に最(もつと)もよき人物(じんぶつ)を採用(さいよう)せなくてはなるまい。007どうぢやレール君(くん)は左守司(さもりのかみ)となつて教政(けうせい)の重任(ぢうにん)に当(あた)つて呉(く)れまいか』
008レール『仰(おほせ)とあらば喜(よろこ)んでお受(う)け致(いた)しませう。009併(しか)し乍(なが)ら左守(さもり)、010右守家(うもりけ)は今日(こんにち)迄(まで)世襲(せしふ)となつて居(を)りますが、011もし私(わたし)が左守(さもり)とならばテイラさまのお家(いへ)はどうなるのですか』
012チウ『左守家(さもりけ)、013右守家(うもりけ)世襲(せしふ)制度(せいど)は此(この)際(さい)全廃(ぜんぱい)せなくてはなるまい。014何事(なにごと)も根本(こんぽん)的(てき)の大改革(だいかいかく)だからな。015ついてはテイラさまを君(きみ)の妻君(さいくん)に余(よ)が仲人(なかうど)しよう』
016レ『太子(たいし)様(さま)、017一寸(ちよつと)お待(まち)下(くだ)さい。018拙者(せつしや)にはマサ子(こ)と云(い)ふ妻(つま)もあり子(こ)も御座(ござ)います。019左様(さやう)な事(こと)は到底(たうてい)出来(でき)ますまい』
020 チウインはニコニコ笑(わら)ひ乍(なが)ら、
021『ア、022そんな心配(しんぱい)は要(い)らないよ。023これが証拠(しようこ)だ』
024と云(い)ひ乍(なが)ら025マサ子(こ)から預(あづ)かつた離縁状(りえんじやう)を投(な)げ出(だ)した。026レールはつくづく封筒(ふうとう)の表(おもて)を見(み)、027又(また)裏(うら)をかへして見(み)、
028レ『チエ、029山(やま)の神(かみ)の奴(やつ)、030洒落(しやれ)た事(こと)をしをるな』
031と封(ふう)をおしきり見(み)れば、032水茎(みづくき)の跡(あと)鮮(あざや)かに細々(こまごま)と長(なが)い手紙(てがみ)が記(しる)してある。
033チウ『ハヽヽヽヽヽ、034どうだレール、035一寸(ちよつと)其(その)文句(もんく)を読(よ)んで聞(き)かして呉(く)れたまへ』
036レ『ハイ、037しかたがありませぬ。038女房(にようばう)から離縁状(りえんじやう)を貰(もら)ふなんて、039男(をとこ)としては余(あま)り褒(ほ)めた話(はなし)ぢやありませぬ。040併(しか)しもうかうなつちや破(やぶ)れかぶれです。041サア聞(き)いて下(くだ)さい、042読(よ)み上(あ)げますから』
 
043前文(ぜんぶん)御免(ごめん)……『何(なん)ぢや失敬(しつけい)な、044挨拶(あいさつ)もせずに前文(ぜんぶん)御免(ごめん)とけつかるわい。045夫(をつと)を馬鹿(ばか)にしてけつかる』……エー、046妾(わらは)事(こと)不思議(ふしぎ)の御縁(ごえん)によりまして、047貴方(あなた)様(さま)の妻(つま)となり子(こ)迄(まで)なしたる間柄(あひだがら)で御座(ござ)いますれども、048貴方(あなた)は万民(ばんみん)の忌(い)み嫌(きら)ふ向上(かうじやう)運動(うんどう)だとか、049免囚(めんしう)運動(うんどう)だとか反逆人(はんぎやくにん)のやうな行(おこな)ひを遊(あそ)ばすので、050兄弟(きやうだい)親類(しんるゐ)近所(きんじよ)合壁(がつぺき)より排斥(はいせき)し、051妻(つま)たる私(わたし)迄(まで)が非常(ひじやう)な圧迫(あつぱく)を受(う)けますのみならず、052日夜(にちや)番僧(ばんそう)共(ども)の凄(すご)い目(め)で睨(ね)めつけられ、053かよわき女(をんな)の身(み)として到底(たうてい)耐(た)へ切(き)れませぬ。054しかるに貴方(あなた)は今度(こんど)、055畏(おそ)れ多(おほ)くも王妃(わうひ)の御輿(みこし)に対(たい)し不隠(ふおん)の御(ご)行動(かうどう)を遊(あそ)ばし、056重大(ぢうだい)事件(じけん)を引(ひ)き起(おこ)し、057囚(とら)はれ人(びと)とおなり遊(あそ)ばしたのも、058全(まつた)く天地(てんち)の神(かみ)に見離(みはな)され給(たま)ひし事(こと)と推察(すいさつ)致(いた)します。059かかる重大(ぢうだい)事件(じけん)を犯(をか)せし上(うへ)は、060もはや貴方(あなた)は死刑(しけい)は免(まぬが)れますまい。061それ故(ゆゑ)今(いま)の中(うち)にどうか妻子(さいし)が可愛(かあい)いと思召(おぼしめ)さるるなら、062私(わたし)を離縁(りえん)して下(くだ)さるであらうと、063堅(かた)く堅(かた)く信(しん)じます。064何事(なにごと)も因縁(いんねん)因果(いんぐわ)の廻(めぐ)り合(あ)ひと御(お)諦(あきら)め下(くだ)さいませ。065そして此(この)子(こ)は幸(さいは)ひに貴方(あなた)が出獄(しゆつごく)されるやうな事(こと)が有(あ)りましたらお返(かへ)し致(いた)します。066又(また)御(ご)不幸(ふかう)にして極刑(きよくけい)におなり遊(あそ)ばすやうな事(こと)があれば、067是非(ぜひ)なく貴方(あなた)の忘(わす)れ形見(がたみ)として育(そだ)てますから、068御(ご)安心(あんしん)下(くだ)さいませ。069仮令(たとへ)無罪(むざい)になつてお帰(かへ)り遊(あそ)ばすとも、070私(わたし)は断(だん)じて貴方(あなた)と夫婦(ふうふ)となる事(こと)は致(いた)しませぬ。071よつて兄弟(きやうだい)親族(しんぞく)と相談(さうだん)の上(うへ)離縁状(りえんじやう)を差上(さしあげ)ますから、072宿世(すぐせ)の因縁(いんねん)と御(お)諦(あきら)め下(くだ)さいませ。073   妻(つま)マサ子(こ)より
074   レール殿(どの)
 
075レール『ハヽヽヽヽヽ。076このレールも最早(もはや)駄目(だめ)だ。077マサ子(こ)列車(れつしや)がたうとうレールを脱線(だつせん)しよつたわい。078太子(たいし)様(さま)、079御(ご)命令(めいれい)に従(したが)ひ、080左守司(さもりのかみ)を奉職(ほうしよく)さして頂(いただ)きませう。081テイラ様(さま)の縁談(えんだん)は別(べつ)として、082……到底(たうてい)私(わたし)のやうな083女房(にようばう)に尻(しり)を振(ふ)られる様(やう)な者(もの)に、084テイラさまがどうして婚姻(こんいん)して下(くだ)さいませうや、085覚束(おぼつか)なう御座(ござ)いますからなあ』
086太子(たいし)『何(なに)、087そんな心配(しんぱい)は要(い)らないよ。088俺(おれ)の天眼通(てんがんつう)でテイラさまの心中(しんちう)を鏡(かがみ)にテーラして見(み)ておいたのだ。089なあテイラさま、090異存(いぞん)はありますまい』
091 テイラは『ハイ』と云(い)つたきり、092顔(かほ)を赤(あか)らめ袖(そで)を掩(おほ)うて俯向(うつむ)く。
093太(たい)『ハヽヽヽヽヽ、094これで一夫婦(ひとふうふ)落着(らくちやく)だ。095サア之(これ)からはマークさまだ。096マークさま、097君(きみ)は右守司(うもりのかみ)になるのだよ』
098マ『思(おも)ひもよらぬ御(ご)恩命(おんめい)、099実(じつ)に有難(ありがた)う御座(ござ)います。100到底(たうてい)私(わたし)如(ごと)き不徳者(ふとくもの)の身(み)をもつて、101右守司(うもりのかみ)などといふ重職(ぢうしよく)には耐(た)へ得(え)られますまい。102どうかもう少(すこ)し軽(かる)い御用(ごよう)にお使(つか)ひ下(くだ)さいますまいか。103沐猴(もくこう)にして冠(くわん)するものと世(よ)の笑(わら)ひを受(う)けますから』
104レ『オイ、105マークそれや何(なに)を云(い)ふのだ。106太子(たいし)様(さま)の御(ご)命令(めいれい)ぢやないか。107そんな遠慮(ゑんりよ)はするに当(あた)らないよ。108俺(おれ)だつて二(ふた)つ返事(へんじ)で左守司(さもりのかみ)を頂(いただ)いたぢやないか』
109マ『サア暫(しばら)く考(かんが)へさして貰(もら)ひたいなあ』
110レ『それや何(なに)を云(い)ふのだ。111考(かんが)へも糞(くそ)もあつたものかい。112いつも云(い)つて居(を)つたぢやないか。113「此(この)運動(うんどう)が成功(せいこう)したら、114君(きみ)は左守(さもり)になれ、115僕(ぼく)は右守(うもり)になる」と気焔(きえん)をあげて居(ゐ)た癖(くせ)に、116なんだ、117卑怯(ひけふ)に、118今(いま)になつて尻込(しりごみ)すると云(い)ふ腰抜(こしぬけ)があるか』
119マ『……………』
120太(たい)『オイ、121マーク確(しつか)りせないか、122何(なん)だその面(つら)は』
123マ『ハイ、124謹(つつし)んでお受(う)け致(いた)します。125至(いた)らぬ吾々(われわれ)どうか宜敷(よろし)くお引立(ひきたて)を………』
126太(たい)『アハヽヽヽヽヽ、127たうとう落城(らくじやう)しよつたな。128よしよし、129それについては、130ハリス女将軍(ぢよしやうぐん)を君(きみ)の奥様(おくさま)にお世話(せわ)しよう。131随分(ずいぶん)美人(びじん)だらうがな』
132マ『私(わたし)には妻(つま)が御座(ござ)います。133これ許(ばか)りは御(ご)容赦(ようしや)を……』
134太(たい)『それ、135これを見(み)ろ。136これが証拠(しようこ)だ』
137と一通(いつつう)の封書(ふうしよ)をマークの前(まへ)に投(な)げ出(だ)した。138マークは不思議(ふしぎ)さうに其(その)書面(しよめん)を手(て)に取(とり)あげ、139よくよく見(み)れば妻(つま)の筆跡(ひつせき)である。140直(ただ)ちに封(ふう)押(お)し切(き)り見(み)れば、
 
141カル子(こ)より、142マーク様(さま)に離縁状(りえんじやう)を差上(さしあげ)ます。143人間(にんげん)は諦(あきら)めが肝腎(かんじん)ですよ。144貴方(あなた)も男(をとこ)でせう145滅多(めつた)に女々(めめ)しい、146未練(みれん)たらしい事(こと)は決(けつ)して云(い)はない方(かた)と信(しん)じて居(ゐ)ます………
 
147マ『ヤこいつは手厳(てきび)しい。148嬶(かかあ)の奴(やつ)149大変(たいへん)なメートルを挙(あげ)て居(ゐ)やがるな』
150レ『アハヽヽヽヽヽ。151態(ざま)を見(み)い、152オイ、153マーク其(その)次(つぎ)を読(よ)まないか』
154マ『いやもう耐(こら)へてくれ。155余(あま)りひどい事(こと)が書(か)いてあるので、156読(よ)むに忍(しの)びないわ』
157とパリパリパリと引(ひ)き破(やぶ)り、158矢庭(やには)に頬張(ほほばり)、159クシヤクシヤクシヤとかみたれこにし、160灰(はひ)の中(なか)に鉄(てつ)の火箸(ひばし)で埋(い)け込(こ)んでしまつた。
161マ『エー、162もう思(おも)ひ切(き)りました。163併(しか)し嬶(かかあ)が離縁状(りえんじやう)を呉(く)れるのも無理(むり)は御座(ござ)いますまい。164第一(だいいち)彼奴(あいつ)の兄弟(きやうだい)や親(おや)が没分暁漢(わからずや)ですから、165カル子(こ)の奴(やつ)、166一刀(いつたう)両断(りやうだん)的(てき)の態度(たいど)に出(で)よつたのですわい』
167太(たい)『かうなる上(うへ)はハリスさまを新夫人(しんふじん)としても差支(さしつかへ)ないぢやないか』
168マ『何事(なにごと)も太子(たいし)様(さま)にお任(まか)せ致(いた)します。169どうか宜敷(よろし)くおとりなしを………』
170太(たい)『ヤアこれで二夫婦(ふたふうふ)揃(そろ)うた。171ハリスさま172満足(まんぞく)だらうな』
173ハリ『ホヽヽヽヽヽ。174仰有(おつしや)る迄(まで)もなく満足(まんぞく)ですわ。175私(わたし)が始終(しじう)求(もと)めて居(ゐ)た理想(りさう)の夫(をつと)に出会(であ)つたのですもの』
176 レールは頭(あたま)を叩(たた)き乍(なが)ら、
177『ヤーこいつは猛烈(まうれつ)だ。178耐(たま)らぬ耐(たま)らぬ耐(たま)らぬ、179アハヽヽヽヽヽ』
180ハリ『ホヽヽヽヽヽ』
181マ『エヘヽヽヽヽヽ』
182チンレイ『もし兄(にい)さま183甚(ひど)いわ、184私(わたし)だつて女(をんな)ですよ。185どうして下(くだ)さるのですか』
186太(たい)『ほんにお前(まへ)の事(こと)は忘(わす)れて居(を)つた。187まさか俺(おれ)の女房(にようばう)にする訳(わけ)にも行(ゆ)かず、188困(こま)つたなあ。189まあ待(ま)つとつて呉(く)れ。190何(なん)とか適当(てきたう)な夫(をつと)を探(さが)してやるから』
191チン『兄(にい)さま、192そんな事(こと)云(い)つて何時(いつ)迄(まで)も引張(ひつぱ)るのは否(い)やですよ。193妾(わたし)だつて、194性(せい)の欲(よく)に囚(とら)はれ、195日夜(にちや)悩(なや)んで居(ゐ)るのですもの』
196太(たい)『アハヽヽヽヽヽ。197こいつは猛烈(まうれつ)だ。198今時(いまどき)の女性(ぢよせい)は総(すべ)てかふいふ式(しき)だから困(こま)つて了(しま)ふわ』
199照国(てるくに)『王女(わうぢよ)様(さま)に適当(てきたう)な夫(をつと)をお世話(せわ)致(いた)しませうか、200仲々(なかなか)気(き)の利(き)いた好人物(かうじんぶつ)ですよ。201決(けつ)してレールさま、202マークさまに優(まさ)つても劣(おと)らない人物(じんぶつ)です』
203太(たい)『どうか世話(せわ)をしてやつて下(くだ)さい』
204照国(てるくに)『実(じつ)は私(わたし)の弟子(でし)に春公(はるこう)と云(い)ふ立派(りつぱ)な男(をとこ)が居(を)ります。205今(いま)は城外(じやうぐわい)の牢獄(らうごく)の看守(かんしゆ)を勤(つと)めて居(を)りますが、206どうでせうかなあ』
207太(たい)『どうか宜敷(よろし)う願(ねが)ひませう。208サア、209チンレイ、210これでお前(まへ)も安心(あんしん)だらう』
211チンレイ『兄(にい)さま212否(いや)ですよ、213なんぼなんでも牢獄(らうごく)の番人(ばんにん)なんて殺生(せつしやう)だわ』
214照国(てるくに)『実(じつ)の所(ところ)は春公(はるこう)と云(い)ふ男(をとこ)、215神(かみ)様(さま)の命令(めいれい)により吾々(われわれ)の入牢(にふらう)を前知(ぜんち)し、216臨時(りんじ)牢番(らうばん)となつて、217いろいろと便宜(べんぎ)を与(あた)へて呉(く)れた義理堅(ぎりがた)い情深(なさけぶか)い神司(かむづかさ)です。218きつと人物(じんぶつ)は保証(ほしよう)致(いた)します。219男前(をとこまへ)も仲々(なかなか)捨(す)てたものぢやありませぬ。220王女(わうぢよ)様(さま)に配(めあ)はすには負(まけ)ず劣(おと)らずの器量(きりやう)をして居(を)ります』
221チン『そんなら兄(にい)さま222お世話(せわ)になりませうかねえ、223ホヽヽヽヽヽ』
224太(たい)『お気(き)に入(い)りましたかなあ、225やお目出(めで)たう。226サアこれで一(いち)時(じ)に三夫婦(みめをと)結婚(けつこん)の約(やく)が結(むす)ばれた。227一(ひと)つ祝盃(しゆくはい)を挙(あ)げて歌(うた)はふぢやないか』
228チン『兄(にい)さま229貴方(あなた)の奥(おく)さまはどうなさいますか』
230太(たい)『そんな事(こと)は云(い)はなくてもお前(まへ)も予(かね)てより聞(き)いて居(ゐ)るぢやないか。231タラハン城(じやう)のスダルマン太子(たいし)の妹(いもうと)バンナ姫(ひめ)に定(きま)つて居(ゐ)るぢやないか。232親(おや)と親(おや)との許婚(いひなづけ)だもの』
233チン『オホヽヽヽヽヽ、234えらい失礼(しつれい)な事(こと)申(まを)し上(あ)げました。235随分(ずいぶん)兄(にい)さまも執念深(しふねんぶか)い方(かた)ですね』
236太(たい)『馬鹿(ばか)云(い)ふな、237俺(おれ)の事(こと)は構(かま)はいでもよいわ。
238千早(ちはや)振(ふ)る神代(かみよ)のままに女(め)と夫(を)とが
239嫁(とつ)ぎの道(みち)を開(ひら)く今日(けふ)かな。
240三組(みくみ)迄(まで)夫婦(ふうふ)揃(そろ)うて盃(さかづき)を
241挙(あ)ぐるは御代(みよ)の瑞祥(ずゐしやう)なるらむ』
242レール『吾(わが)君(きみ)の恵(めぐみ)の露(つゆ)を盃(さかづき)に
243汲(く)みて嫁(とつ)ぎをなすぞ嬉(うれ)しき』
244テイラ『世(よ)に稀(まれ)な男子(をのこ)を夫(つま)にもちながら
245君(きみ)に仕(つか)ふる吾(われ)ぞ楽(たの)しき』
246マーク『有難(ありがた)し世嗣(よつぎ)の君(きみ)の媒介(とりもち)に
247今日(けふ)新(あたら)しき妻(つま)を持(も)ちぬる』
248ハリス『求(もと)めてし理想(りさう)の夫(をつと)に添(そ)ひながら
249世(よ)を開(ひら)きゆく事(こと)の嬉(うれ)しさ』
250チンレイ『如何(いか)にせむ未(ま)だ見(み)ぬ夫(つま)に身(み)を任(まか)せ
251神(かみ)の宮居(みやゐ)に仕(つか)ふる吾(わが)身(み)を』
252太子(たいし)『ヤ、253目出度(めでた)い目出度(めでた)い、254これで余(よ)も安心(あんしん)した。255モーシ宣伝使(せんでんし)様(さま)、256どうか祝歌(しゆくか)を歌(うた)つて下(くだ)さいませ』
257照国別(てるくにわけ)『億万(おくまん)年(ねん)の昔(むかし)より
258億万(おくまん)年(ねん)の末(すゑ)迄(まで)も
259人(ひと)の情(なさけ)は皆(みな)一(ひと)つ
260男子(をとこ)と女(をみな)と相睦(あひむつ)び
261嫁(とつ)ぎの道(みち)を開(ひら)きつつ
262神(かみ)の依(よ)さしの神業(かむわざ)に
263仕(つか)へたまはむ人々(ひとびと)の
264今日(けふ)の心(こころ)の勇(いさ)ましさ
265仰(あふ)ぎ見(み)るさへ楽(たの)しけれ
266尊(たふと)き神(かみ)の引(ひ)き合(あは)せ
267清(きよ)き奇(く)はしき女子(をみなご)と
268男子(をのこ)が茲(ここ)に寄(よ)り集(つど)ひ
269嫁(とつ)ぎの道(みち)を初(はじ)めつつ
270トルマン国(ごく)の政事(まつりごと)
271常磐(ときは)堅磐(かきは)に末永(すえなが)く
272固(かた)めたまひし今日(けふ)こそは
273天(あま)の岩戸(いはと)のそれならで
274十方(じつぱう)世界(せかい)も皎々(かうかう)と
275輝(かがや)く許(ばか)りの思(おも)ひなり
276あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
277神(かみ)の恵(めぐみ)の弥深(いやふか)く
278これの縁(えにし)をどこ迄(まで)も
279互(たがひ)に睦(むつ)び親(した)しみて
280大神業(だいしんげふ)に仕(つか)ふべし
281守(まも)らせたまへと主(す)の神(かみ)の
282御前(みまへ)に祈(いの)り奉(たてまつ)る
283鶴(つる)は千年(ちとせ)の松ケ枝(まつがえ)に
284御子(みこ)を生(う)みつつ君(きみ)が代(よ)を
285祝(ことほ)ぎまつりて緑毛(りよくまう)の
286亀(かめ)は海(うみ)より這(はひ)出(い)でて
287底津(そこつ)岩根(いはね)の聖場(せいぢやう)に
288万世(よろづよ)祝(いは)ひ舞(ま)ひ遊(あそ)ぶ
289実(げ)にもミロクの新政(しんせい)か
290神政(しんせい)成就(じやうじゆ)の暁(あかつき)か
291実(げ)にも目出度(めでた)き次第(しだい)なり
292あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
293御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ
294朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
295月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
296たとへ大地(だいち)は沈(しづ)むとも
297誠(まこと)の神(かみ)の結(むす)びたる
298六人(むたり)の縁(えん)はどこ迄(まで)も
299解(ほど)けざらまし惟神(かむながら)
300神(かみ)に誓(ちか)ひて三五(あななひ)の
301照国別(てるくにわけ)の神司(かむづかさ)
302喜(よろこ)び祝(ことほ)ぎ奉(たてまつ)る』
303照公(てるこう)『目出度(めでた)し目出度(めでた)しお目出(めで)たし
304茲(ここ)に三夫婦(みふうふ)相並(あひなら)び
305嫁(とつ)ぎの道(みち)を初(はじ)めまし
306トルマン国(ごく)の柱石(ちうせき)を
307固(かた)めたまひし尊(たふと)さよ
308この喜(よろこ)びを吾々(われわれ)は
309言葉(ことば)にかくる術(すべ)もなし
310唯(ただ)何事(なにごと)も目出(めで)たしと
311祝(ことほ)ぎまつる外(ほか)はなし
312あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
313御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
314 かく互(たがひ)に謡(うた)ひ終(をは)り盃(さかづき)を汲(く)みかはして居(ゐ)る所(ところ)へ、315如意棒(によいぼう)をぶら下(さ)げてやつて来(き)たのは、316ラムのテルマンであつた。317テルマンはニコニコし乍(なが)ら入(い)り来(きた)り、
318『ヤア、319レールさま、320マークさまお目出(めで)たう。321仁恵令(じんけいれい)が行(おこな)はれ無事(ぶじ)出獄(しゆつごく)せられたと聞(き)き、322取(と)るものも取(と)り敢(あへ)ずお喜(よろこ)びに参(まゐ)りました。323やチウイン太子(たいし)様(さま)、324お目出(めで)たう御座(ござ)います。325どうか宜敷(よろし)くおとりなしを願(ねが)ひ上(あげ)ます』
326(大正一四・八・二五 旧七・六 於由良海岸秋田別荘 加藤明子録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→