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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第70巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 花鳥山月
第1章 信人権
第2章 折衝戦
第3章 恋戦連笑
第4章 共倒れ
第5章 花鳥山
第6章 鬼遊婆
第7章 妻生
第8章 大勝
第2篇 千種蛮態
第9章 針魔の森
第10章 二教聯合
第11章 血臭姫
第12章 大魅勒
第13章 喃悶題
第14章 賓民窟
第15章 地位転変
第3篇 理想新政
第16章 天降里
第17章 春の光
第18章 鳳恋
第19章 梅花団
第20章 千代の声
第21章 三婚
第22章 優秀美
附 記念撮影
余白歌
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霊界物語
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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第70巻(酉の巻)
> 第2篇 千種蛮態 > 第15章 地位転変
<<< 賓民窟
(B)
(N)
天降里 >>>
第一五章
地位
(
ちゐ
)
転変
(
てんぺん
)
〔一七八二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻
篇:
第2篇 千種蛮態
よみ(新仮名遣い):
せんしゅばんたい
章:
第15章 地位転変
よみ(新仮名遣い):
ちいてんぺん
通し章番号:
1782
口述日:
1925(大正14)年08月24日(旧07月5日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年10月16日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
千草姫は王に対して、自分を神として崇めるように強要している。王は姫が発狂したと思い、狂人に下手に逆らってますます病気を強めてしまわないようにと、黙っていうことを聞いている。
千草姫は平伏した王の頭に左右の足を交互に乗せてうーんと唸った。千草姫は、つま先から王に悪霊を注入したのである。これによって王はがらりと心気一転し、千草姫を活き神と信じるようになってしまった。
千草姫は、三五教の宣伝使、照国別・照公を投獄すること、太子と王女チンレイを修行という名目で城から追い出すこと、またジャンクを数日のうちに追放するように、と命じる。
太子と王女は、レールとマークをたよって城を出る。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7015
愛善世界社版:
189頁
八幡書店版:
第12輯 460頁
修補版:
校定版:
194頁
普及版:
96頁
初版:
ページ備考:
001
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は
王
(
わう
)
の
居間
(
ゐま
)
に
羽搏
(
はばた
)
きし
乍
(
なが
)
ら、
002
仕舞
(
しまひ
)
でも
舞
(
ま
)
ふやうなスタイルで
横柄面
(
わうへいづら
)
をさらして
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
003
言
(
ことば
)
も
荘重
(
さうちよう
)
に、
004
『トルマン
国
(
ごく
)
の
国王
(
こくわう
)
、
005
ガーデン
王殿
(
わうどの
)
、
006
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
007
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大
(
おほ
)
みろく
の
太柱
(
ふとばしら
)
、
008
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
の
天人
(
てんにん
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
託宣
(
たくせん
)
を、
009
耳
(
みみ
)
をさらへてお
聞下
(
ききくだ
)
され。
010
肉体
(
にくたい
)
は
千草姫
(
ちぐさひめ
)
であつても、
011
霊
(
みたま
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
誠生粋
(
まこときつすゐ
)
の
水晶魂
(
すいしやうだま
)
、
012
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
救主
(
すくひぬし
)
として
現
(
あら
)
はれたので
御座
(
ござ
)
るぞや。
013
其方
(
そなた
)
の
目
(
め
)
から
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
は、
014
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
を
気違
(
きちが
)
ひと
思
(
おも
)
ふであらう。
015
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
に
間違
(
まちが
)
ひは
御座
(
ござ
)
らぬぞや』
016
ガーデン
王
(
わう
)
は
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
017
不審
(
ふしん
)
の
眉
(
まゆ
)
をひそめ、
018
あゝ
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たわい。
019
たうとう
王妃
(
わうひ
)
は
発狂
(
はつきやう
)
して
了
(
しま
)
つた。
020
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
気
(
き
)
のたつてる
時
(
とき
)
に
逆
(
さか
)
らふは、
021
益々
(
ますます
)
病気
(
びやうき
)
を
強
(
つよ
)
める
道理
(
だうり
)
、
022
少時
(
しばらく
)
彼
(
かれ
)
が
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
黙
(
だま
)
つて
聞
(
き
)
いてやらう……と
決心
(
けつしん
)
し、
023
王
(
わう
)
『
成程
(
なるほど
)
其方
(
そなた
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
であらう。
024
如何
(
いか
)
なる
用
(
よう
)
か、
025
聞
(
き
)
かしてくれ』
026
千草
(
ちぐさ
)
『これは
怪
(
け
)
しからぬ
汝
(
なんぢ
)
が
言葉
(
ことば
)
、
027
無礼
(
ぶれい
)
であらうぞや。
028
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
対
(
たい
)
して
聞
(
き
)
かしてくれ……とは
何
(
なん
)
たる
暴言
(
ばうげん
)
、
029
頭
(
づ
)
が
高
(
たか
)
い、
030
お
坐
(
すわ
)
りなされ。
031
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
因縁
(
いんねん
)
を
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かしてやらうぞや』
032
王
(
わう
)
『ハイ』
033
と
不承
(
ふしよう
)
不承
(
ぶしよう
)
に
椅子
(
いす
)
を
離
(
はな
)
れて
座
(
ざ
)
に
着
(
つ
)
けば、
034
千草姫
(
ちぐさひめ
)
はニコニコし
乍
(
なが
)
ら、
035
千草
(
ちぐさ
)
『ホヽヽヽヽヽ、
036
流石
(
さすが
)
はトルマン
国
(
ごく
)
の
王
(
わう
)
ぢや、
037
此
(
この
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
をよく
見届
(
みとど
)
けた。
038
褒美
(
ほうび
)
には
之
(
これ
)
をつかはす。
039
有難
(
ありがた
)
ふ
頂戴
(
ちやうだい
)
召
(
め
)
され』
040
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
041
刹帝利
(
せつていり
)
のピカピカ
光
(
ひか
)
つた
禿頭
(
はげあたま
)
の
上
(
うへ
)
へ、
042
左
(
ひだり
)
の
片足
(
かたあし
)
をドツカと
載
(
の
)
せ『ウーン ウーン』と
二声
(
ふたこゑ
)
唸
(
うな
)
り
乍
(
なが
)
ら、
043
左
(
ひだり
)
の
足
(
あし
)
を
下
(
お
)
ろし、
044
又
(
また
)
右
(
みぎ
)
の
足
(
あし
)
を
同
(
おな
)
じく
頭上
(
づじやう
)
にのせ『ウーン ウーン』と
又
(
また
)
もや
二声
(
ふたこゑ
)
……『ホヽヽヽヽヽ』と
笑
(
わら
)
ひ
悠々
(
いういう
)
として
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
直立
(
ちよくりつ
)
し、
045
千草
(
ちぐさ
)
『
如何
(
いか
)
にガーデン
王
(
わう
)
、
046
よつく
承
(
うけたま
)
はれ。
047
セーロン
島
(
たう
)
の
浄飯王
(
じやうぼんわう
)
が
太子
(
たいし
)
悉達
(
しつた
)
は
壇特山
(
だんとくざん
)
や
霊鷲山
(
りやうしうざん
)
に
上
(
のぼ
)
り、
048
五
(
ご
)
ケ
年
(
ねん
)
の
修業
(
しうげふ
)
の
後
(
のち
)
仏果
(
ぶつくわ
)
を
得
(
え
)
て
帰国
(
きこく
)
し、
049
父
(
ちち
)
の
浄飯王
(
じやうぼんわう
)
に
仏足
(
ぶつそく
)
を
頂礼
(
ちやうらい
)
せしめた
例
(
ため
)
しがある。
050
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くも
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大
(
おほ
)
みろく
の
太柱
(
ふとばしら
)
、
051
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
の
天人
(
てんにん
)
、
052
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
ご
)
神足
(
しんそく
)
を、
053
両足
(
りやうあし
)
共
(
とも
)
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
したる
汝
(
なんぢ
)
こそは、
054
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
果報者
(
くわはうもの
)
、
055
有難
(
ありがた
)
く
感謝
(
かんしや
)
致
(
いた
)
されよ。
056
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
間違
(
まちが
)
ひは
御座
(
ござ
)
らぬぞや』
057
ガーデン
王
(
わう
)
は
始
(
はじ
)
めの
間
(
あひだ
)
は
何
(
なん
)
だか
怪
(
あや
)
しいと
思
(
おも
)
つてゐたが、
058
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
足
(
あし
)
を
頭
(
あたま
)
にのせられてから、
059
ガラリと
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
し、
060
全
(
まつた
)
くの
活神
(
いきがみ
)
と
固
(
かた
)
く
固
(
かた
)
く
信
(
しん
)
ずる
様
(
やう
)
になつた。
061
サア
斯
(
か
)
うなつては、
062
最早
(
もはや
)
城内
(
じやうない
)
の
整理
(
せいり
)
は
中心
(
ちうしん
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
063
手
(
て
)
のつけやうもなくなつて
了
(
しま
)
つた。
064
千草
(
ちぐさ
)
『ガーデン
王殿
(
わうどの
)
、
065
此
(
この
)
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
肉体
(
にくたい
)
は、
066
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
は
汝
(
なんぢ
)
が
妃
(
きさき
)
として、
067
神界
(
しんかい
)
より
許
(
ゆる
)
しありしも、
068
いよいよ
天
(
てん
)
の
時節
(
じせつ
)
到来
(
たうらい
)
し、
069
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
と
現
(
あら
)
はれたれば、
070
最早
(
もはや
)
汝
(
なんぢ
)
の
妃
(
きさき
)
ではない
程
(
ほど
)
に、
071
汝
(
なんぢ
)
は
之
(
これ
)
より
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
が
弟子
(
でし
)
となり、
072
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじう
)
を
誓
(
ちか
)
つて、
073
何事
(
なにごと
)
にも
違背
(
ゐはい
)
せず
尽
(
つく
)
すであらうなア』
074
王
(
わう
)
『ハイ、
075
仰
(
あふ
)
せ
迄
(
まで
)
もなく、
076
どんな
御用
(
ごよう
)
でも
承
(
うけたま
)
はりませう』
077
千草
(
ちぐさ
)
『オホヽヽヽヽ、
078
満足
(
まんぞく
)
々々
(
まんぞく
)
、
079
上
(
うへ
)
が
下
(
した
)
になり、
080
下
(
した
)
が
上
(
うへ
)
になり、
081
天地
(
てんち
)
がかへる
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
、
082
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
夫
(
をつと
)
は
妻
(
つま
)
の
弟子
(
でし
)
となり、
083
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
妻
(
つま
)
は
其
(
その
)
夫
(
をつと
)
を
弟子
(
でし
)
として
使
(
つか
)
ふ
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
、
084
斯
(
か
)
くなる
上
(
うへ
)
はガーデン
王
(
わう
)
、
085
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
神勅
(
しんちよく
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
086
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
が
副柱
(
そへばしら
)
なる
名僧
(
めいそう
)
キユーバーを、
087
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
捜
(
さが
)
し
出
(
だ
)
し、
088
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
に
伴
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
れよ。
089
違反
(
ゐはい
)
に
及
(
およ
)
ばば
神罰
(
しんばつ
)
立所
(
たちどころ
)
に
至
(
いた
)
るであらう』
090
王
(
わう
)
『ハイ、
091
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しましたが、
092
彼
(
か
)
れキユーバーは
如何
(
いかが
)
なりしか、
093
破獄
(
はごく
)
逃走
(
たうそう
)
致
(
いた
)
しました
故
(
ゆゑ
)
、
094
内々
(
ないない
)
人
(
ひと
)
を
派
(
は
)
し、
095
捜索
(
そうさく
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りまするが、
096
未
(
いま
)
だ
何
(
なん
)
の
吉報
(
きつぱう
)
も
得
(
え
)
ませぬ。
097
少時
(
しばし
)
の
御
(
ご
)
猶予
(
いうよ
)
を
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
りまする』
098
千草
(
ちぐさ
)
『
汝
(
なんぢ
)
の
言
(
げん
)
にして
間違
(
まちが
)
ひなくば、
099
大方
(
おほかた
)
ジヤンクが
隠
(
かく
)
して
居
(
を
)
るのだらう』
100
王
(
わう
)
『いやいや
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
101
左様
(
さやう
)
な
道理
(
だうり
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
102
彼
(
かれ
)
はキユーバーを
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
救
(
すく
)
はむと、
103
私
(
ひそ
)
かに
相談
(
さうだん
)
致
(
いた
)
しました。
104
早速
(
さつそく
)
ジヤンクの
願
(
ねが
)
ひを
許
(
ゆる
)
し、
105
牢獄
(
らうごく
)
に
人
(
ひと
)
を
派
(
は
)
し
査
(
しら
)
べ
見
(
み
)
れば、
106
彼
(
か
)
れキユーバーは
早
(
はや
)
くも
何者
(
なにもの
)
にかさらはれ、
107
行方
(
ゆくへ
)
不明
(
ふめい
)
となつて
居
(
を
)
りました』
108
千草
(
ちぐさ
)
『あ、
109
さうであらう さうであらう、
110
ヤ
分
(
わか
)
つた
分
(
わか
)
つた。
111
此
(
この
)
張本人
(
ちやうほんにん
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
照国別
(
てるくにわけ
)
、
112
照公
(
てるこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
に
間違
(
まちが
)
ひはなからう。
113
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
彼
(
かれ
)
をふん
縛
(
じば
)
り、
114
キユーバーを
押込
(
おしこ
)
めありし
牢獄
(
らうごく
)
へ、
115
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
さず
打込
(
うちこ
)
めよ。
116
これ
決
(
けつ
)
して
肉体
(
にくたい
)
の
千草姫
(
ちぐさひめ
)
が
言葉
(
ことば
)
でない。
117
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大
(
おほ
)
みろく
が
神勅
(
しんちよく
)
で
御座
(
ござ
)
るぞや』
118
王
(
わう
)
『
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
は
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りまするが、
119
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
120
国家
(
こくか
)
の
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
された
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を、
121
何
(
なん
)
の
科
(
とが
)
もなく
牢屋
(
らうや
)
に
押込
(
おしこ
)
むなど
云
(
い
)
ふことは
情
(
じやう
)
に
置
(
おい
)
て
出来
(
でき
)
ませぬ。
122
之
(
これ
)
許
(
ばか
)
りは
御
(
ご
)
容赦
(
ようしや
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
123
千草
(
ちぐさ
)
『オホヽヽヽヽ、
124
何
(
なに
)
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すか、
125
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
一度
(
いちど
)
に
見
(
み
)
えすく
生神
(
いきがみ
)
の
目
(
め
)
で
一目
(
ひとめ
)
睨
(
にら
)
んだならば、
126
決
(
けつ
)
して
間違
(
まちが
)
ひは
御座
(
ござ
)
らぬぞ。
127
汝
(
なんぢ
)
頑強
(
ぐわんきやう
)
にも
吾
(
わが
)
神勅
(
しんちよく
)
を
拒
(
こば
)
むに
於
(
おい
)
ては、
128
立所
(
たちどころ
)
に
汝
(
なんぢ
)
が
生命
(
せいめい
)
をとるが、
129
それでも
可
(
よ
)
いか、
130
返答
(
へんたふ
)
聞
(
き
)
かう』
131
王
(
わう
)
『いや、
132
少時
(
しばし
)
御
(
お
)
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さいませ。
133
然
(
しか
)
らば
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
の
通
(
とほ
)
り、
134
照国別
(
てるくにわけ
)
、
135
照公
(
てるこう
)
神司
(
かむづかさ
)
を、
136
手段
(
てだて
)
を
以
(
もつ
)
てふん
縛
(
じば
)
り、
137
牢獄
(
らうごく
)
へ
投
(
なげ
)
込
(
こ
)
んでお
目
(
め
)
にかけませう』
138
千草
(
ちぐさ
)
『ウ、
139
よしよし、
140
それで
神
(
かみ
)
は
満足
(
まんぞく
)
致
(
いた
)
した。
141
トルマン
城
(
じやう
)
は
万々歳
(
ばんばんざい
)
、
142
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
の
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
143
此
(
この
)
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
にありとあらゆる
国
(
くに
)
は、
144
残
(
のこ
)
らず
汝
(
なんぢ
)
の
支配
(
しはい
)
にしてやらう。
145
僅
(
わづか
)
三十万
(
さんじふまん
)
の
人民
(
じんみん
)
の
父
(
ちち
)
として、
146
可惜
(
あたら
)
一生
(
いつしやう
)
を
暮
(
くら
)
すも
惜
(
を
)
しいでないか。
147
どうぢや
合点
(
がてん
)
がいつたか』
148
王
(
わう
)
『ハイ、
149
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しまして
御座
(
ござ
)
います』
150
千草
(
ちぐさ
)
『ヤ、
151
満足
(
まんぞく
)
々々
(
まんぞく
)
。
152
次
(
つぎ
)
に
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
申
(
まを
)
し
渡
(
わた
)
すことがある。
153
太子
(
たいし
)
チウイン、
154
王女
(
わうぢよ
)
チンレイを
修行
(
しうぎやう
)
の
為
(
ため
)
155
一笠
(
いちりつ
)
一蓑
(
いつさん
)
の
旅人
(
たびびと
)
として
一杖
(
いちぢやう
)
を
与
(
あた
)
へ、
156
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
当城
(
たうじやう
)
を
出立
(
しゆつたつ
)
せしめられよ』
157
王
(
わう
)
『
仰
(
おほ
)
せには
御座
(
ござ
)
いまするが
158
私
(
わたし
)
も
老年
(
らうねん
)
、
159
太子
(
たいし
)
がゐなくては、
160
国家
(
こくか
)
の
中心
(
ちうしん
)
人物
(
じんぶつ
)
を
失
(
うしな
)
ふ
道理
(
だうり
)
、
161
又
(
また
)
王女
(
わうぢよ
)
チンレイは
少
(
すこ
)
し
許
(
ばか
)
り
病身
(
びやうしん
)
で
御座
(
ござ
)
いますれば、
162
之
(
これ
)
許
(
ばか
)
りはモ
一度
(
いちど
)
御
(
お
)
考
(
かんが
)
への
上
(
うへ
)
御
(
ご
)
猶予
(
いうよ
)
を
願
(
ねが
)
ひたう
御座
(
ござ
)
います』
163
千草
(
ちぐさ
)
『
愚
(
おろか
)
なり、
164
ガーデン
王
(
わう
)
。
165
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大
(
おほ
)
みろく
と
現
(
あら
)
はれた
以上
(
いじやう
)
は、
166
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
一
(
ひと
)
つに
丸
(
まる
)
め、
167
汝
(
なんぢ
)
が
支配
(
しはい
)
の
下
(
もと
)
におかむとす。
168
汝
(
なんぢ
)
は
已
(
すで
)
に
老齢
(
らうれい
)
、
169
後継者
(
こうけいしや
)
の
太子
(
たいし
)
には
広
(
ひろ
)
く
世間
(
せけん
)
を
見聞
(
けんぶん
)
せしめおく
必要
(
ひつえう
)
あり。
170
諺
(
ことわざ
)
にも
可愛
(
かあい
)
い
子
(
こ
)
には
旅
(
たび
)
をさせと
申
(
まを
)
すでないか。
171
汝
(
なんぢ
)
は
子
(
こ
)
の
愛
(
あい
)
に
溺
(
おぼ
)
れて、
172
大切
(
たいせつ
)
な
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
の
幸福
(
かうふく
)
を
抹殺
(
まつさつ
)
せむと
致
(
いた
)
すか、
173
不届
(
ふとどき
)
至極
(
しごく
)
の
腰抜爺
(
こしぬけぢぢ
)
イ
奴
(
め
)
』
174
王
(
わう
)
『イヤ
分
(
わか
)
りまして
御座
(
ござ
)
ります。
175
太子
(
たいし
)
は
修行
(
しうぎやう
)
の
為
(
ため
)
、
176
神勅
(
しんちよく
)
に
従
(
したが
)
ひ、
177
旅
(
たび
)
に
出
(
だ
)
すことと
致
(
いた
)
しませうが、
178
病身
(
びやうしん
)
なる
妹
(
いもうと
)
に
旅
(
たび
)
の
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
させるのは
親
(
おや
)
として
忍
(
しの
)
びませぬ。
179
どうぞこれ
許
(
ばか
)
りは
御
(
ご
)
猶予
(
いうよ
)
を
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
したう
御座
(
ござ
)
ります』
180
千草
(
ちぐさ
)
『ハテ
偖
(
さて
)
、
181
分
(
わか
)
らぬ
爺
(
ぢぢ
)
イだな。
182
神
(
かみ
)
に
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじう
)
を
誓
(
ちか
)
つたでないか。
183
王女
(
わうぢよ
)
チンレイは
此
(
この
)
門
(
もん
)
を
出
(
い
)
づるや
否
(
いな
)
や、
184
病魔
(
びやうま
)
は
忽
(
たちま
)
ち
退散
(
たいさん
)
し、
185
金鉄
(
きんてつ
)
の
如
(
ごと
)
き
壮健
(
そうけん
)
な
肉体
(
にくたい
)
となるであらう。
186
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
間違
(
まちが
)
ひはないぞ。
187
返答
(
へんたふ
)
は
何
(
ど
)
うだ』
188
王
(
わう
)
『
左様
(
さやう
)
ならば
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
に
従
(
したが
)
ひ、
189
両人
(
りやうにん
)
に
其
(
その
)
由
(
よし
)
を
伝
(
つた
)
へませう』
190
千草
(
ちぐさ
)
『ガーデン
王
(
わう
)
、
191
天晴
(
あつぱれ
)
々々
(
あつぱれ
)
、
192
汝
(
なんぢ
)
の
改慎
(
かいしん
)
に
仍
(
よ
)
つて、
193
速
(
すみや
)
かに
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
、
194
ミロクの
世
(
よ
)
が
出現
(
しゆつげん
)
致
(
いた
)
すであらうぞ』
195
王
(
わう
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じまする』
196
千草
(
ちぐさ
)
『モ
一
(
ひと
)
つ
其方
(
そなた
)
に
申
(
まを
)
し
渡
(
わた
)
す
事
(
こと
)
がある。
197
之
(
これ
)
も
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじう
)
致
(
いた
)
すであらうなア』
198
王
(
わう
)
『ハイ』
199
千草
(
ちぐさ
)
『
汝
(
なんぢ
)
はジヤンクを
以
(
もつ
)
て、
200
政治
(
せいぢ
)
の
枢機
(
すうき
)
に
任
(
にん
)
じてゐるが、
201
彼
(
かれ
)
が
如
(
ごと
)
き
田舎者
(
いなかもの
)
、
202
どうして
神
(
かみ
)
の
創
(
つく
)
りしトルマン
国
(
ごく
)
の
政治
(
せいぢ
)
が
出来
(
でき
)
ようぞ。
203
彼
(
かれ
)
は
吾
(
わが
)
国家
(
こくか
)
の
爆裂弾
(
ばくれつだん
)
だ。
204
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
れい
)
だ。
205
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
当城
(
たうじやう
)
を
逐
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
せ』
206
王
(
わう
)
『これ
許
(
ばか
)
りは
必要
(
ひつえう
)
な
人物
(
じんぶつ
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
207
どうぞ
御
(
ご
)
猶予
(
いうよ
)
を
願
(
ねが
)
ひたう
御座
(
ござ
)
います』
208
千草
(
ちぐさ
)
『
三日
(
みつか
)
の
猶予
(
いうよ
)
を
致
(
いた
)
すに
仍
(
よ
)
つて、
209
それ
迄
(
まで
)
に
篤
(
とく
)
と
云
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かせ、
210
城内
(
じやうない
)
を
追
(
お
)
つ
払
(
ぱら
)
ふべし。
211
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
彼
(
か
)
れジヤンクに
於
(
おい
)
て、
212
キユーバー
上人
(
しやうにん
)
の
在所
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ね、
213
城内
(
じやうない
)
に
御
(
お
)
迎
(
むか
)
ひ
申
(
まを
)
し
来
(
きた
)
るに
於
(
おい
)
ては、
214
国政
(
こくせい
)
の
一部
(
いちぶ
)
を
其
(
その
)
褒美
(
はうび
)
として
任
(
まか
)
しても
差支
(
さしつかへ
)
なからう。
215
イヤ
刹帝利
(
せつていり
)
殿
(
どの
)
、
216
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
御座
(
ござ
)
つた。
217
居間
(
ゐま
)
へ
下
(
さが
)
つて
休息
(
きうそく
)
召
(
め
)
され。
218
最前
(
さいぜん
)
から
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
し
渡
(
わた
)
した
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
、
219
必
(
かなら
)
ず
落度
(
おちど
)
のなき
様
(
やう
)
、
220
明日
(
みやうにち
)
迄
(
まで
)
に
実行
(
じつかう
)
せよ』
221
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
222
又
(
また
)
もや
両手
(
りやうて
)
を
一
(
いち
)
の
字
(
じ
)
に
開
(
ひら
)
き、
223
反
(
そ
)
り
返
(
かへ
)
つて
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
を
下
(
くだ
)
り、
224
悠々
(
いういう
)
として
吾
(
わが
)
寝室
(
しんしつ
)
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
225
ガーデン
王
(
わう
)
は
千草姫
(
ちぐさひめ
)
に
足
(
あし
)
の
爪先
(
つまさき
)
から
悪霊
(
あくれい
)
を
注入
(
ちうにふ
)
され、
226
俄
(
にはか
)
に
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
し、
227
殆
(
ほとん
)
ど
邪神
(
じやしん
)
の
神憑
(
かむがかり
)
状態
(
じやうたい
)
となつて
了
(
しま
)
つた。
228
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
悪狐
(
あくこ
)
は
首尾
(
しゆび
)
よくトルマン
城
(
じやう
)
を
占領
(
せんりやう
)
したのである。
229
太子
(
たいし
)
と
王女
(
わうぢよ
)
は
父母
(
ふぼ
)
両親
(
りやうしん
)
の
厳命
(
げんめい
)
を
拒
(
こば
)
む
術
(
すべ
)
もなく、
230
旅
(
たび
)
に
出
(
で
)
かけると
称
(
しよう
)
し、
231
数万
(
すうまん
)
の
金
(
かね
)
を
用意
(
ようい
)
し
遍路姿
(
へんろすがた
)
となつて、
232
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
るる
頃
(
ころ
)
、
233
レール、
234
マークの
住家
(
すみか
)
を
指
(
さ
)
して
訪
(
たづ
)
ね
行
(
ゆ
)
き、
235
門口
(
かどぐち
)
に
立
(
た
)
つて、
236
チリンチリンと
鈴
(
すず
)
を
振
(
ふ
)
つてゐる。
237
レール、
238
マークは
昼
(
ひる
)
は
互
(
たがひ
)
に
岩窟
(
がんくつ
)
の
番人
(
ばんにん
)
をやつてゐたが、
239
丁度
(
ちやうど
)
此
(
この
)
時
(
とき
)
、
240
男女
(
だんぢよ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
食卓
(
しよくたく
)
を
共
(
とも
)
にしてゐる
真最中
(
まつさいちう
)
であつた。
241
太子
(
たいし
)
は
門
(
かど
)
に
立
(
た
)
つて、
242
鈴
(
りん
)
を
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら『
頼
(
たの
)
まう
頼
(
たの
)
まう』とおとなへば、
243
マークは
戸
(
と
)
の
隙間
(
すきま
)
より
外面
(
そと
)
を
窺
(
うかが
)
ひて、
244
マ『ヤ、
245
夫婦
(
ふうふ
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
さま、
246
何用
(
なによう
)
か
知
(
し
)
らないが、
247
斯様
(
かやう
)
な
貧民窟
(
ひんみんくつ
)
へ
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
で、
248
何一
(
なにひと
)
つ
上
(
あ
)
げる
物
(
もの
)
はない、
249
トツトと
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
250
斯様
(
かやう
)
な
狭
(
せま
)
い
家
(
うち
)
へ、
251
今
(
いま
)
頃
(
ごろ
)
に
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
で
泊
(
と
)
めてやる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
252
お
断
(
ことわ
)
り
申
(
まを
)
します』
253
太
(
たい
)
『イヤ、
254
愚僧
(
ぐそう
)
は
決
(
けつ
)
して
怪
(
あや
)
しき
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
らぬ。
255
レール、
256
マーク
殿
(
どの
)
の
知人
(
ちじん
)
で
御座
(
ござ
)
れば、
257
どうか
此
(
こ
)
の
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
貰
(
もら
)
ひたい』
258
レ『ヤ、
259
スパイの
奴
(
やつ
)
、
260
化
(
ば
)
けて
来
(
き
)
やがつたな、
261
コラ
大変
(
たいへん
)
だ。
262
姫
(
ひめ
)
さまを
隠
(
かく
)
さねばなるまい。
263
サア
姫
(
ひめ
)
さま、
264
済
(
す
)
みませぬが、
265
此
(
この
)
戸棚
(
とだな
)
の
中
(
なか
)
へ
一寸
(
ちよつと
)
入
(
はい
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さいませ』
266
テイラ『ホヽヽヽヽヽ、
267
さう
慌
(
あわて
)
るには
及
(
およ
)
びませぬよ。
268
何
(
なに
)
か
城内
(
じやうない
)
に
急変
(
きふへん
)
が
起
(
おこ
)
つたと
見
(
み
)
え、
269
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
が
変装
(
へんさう
)
してお
出
(
いで
)
になつたので
御座
(
ござ
)
いますワ。
270
あのお
声
(
こゑ
)
は
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
に
間違
(
まちが
)
ひ
御座
(
ござ
)
いませぬ』
271
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
272
テイラはガラガラと
破戸
(
やぶれど
)
を
開
(
ひら
)
き、
273
『ヤ、
274
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
275
よう
御
(
お
)
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいました』
276
太子
(
たいし
)
は『ウン』と
云
(
い
)
つた
切
(
き
)
り、
277
チンレイと
共
(
とも
)
に
内
(
うち
)
に
入
(
はい
)
る。
278
(
大正一四・八・二四
旧七・五
於丹後由良秋田別荘
松村真澄
録)
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