霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 瑞(みづ)の言霊(ことたま)〔一九〇一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻 篇:第2篇 国魂出現 よみ(新仮名遣い):くにたましゅつげん
章:第7章 瑞の言霊 よみ(新仮名遣い):みずのことたま 通し章番号:1901
口述日:1933(昭和8)年11月17日(旧09月30日) 口述場所:水明閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年2月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
国土生み・御子生みの神業が成ったので、顕津男の神は大前に跪いて座り、神人すべてのために祝詞を奏上し、天界永遠の無事を祈った。
その祝詞、
高天原の紫微宮にまします天之峯火夫の神、高鉾の神、神鉾の神をはじめとする、天津神国津神八百万の神たちの前に申して言う、
神々の身体の大本源とは、大きく集まり結びあって円となった最上の産霊(むすび)である。神々の身は、その大本源によって「ムスビ」の極み限りを尽くして霊妙にして霊瑞にムスビ成ったものなのである。
その地水火風空(すべての元素)は円く備わり、争うことなく、片寄ることなく、止まることなく、滞ることはない。身魂は澄み渡り、赤く照り輝いている。
そして、大いなる結び合った円には極みがなにので、底につくことはなく、高天原の限り存在しないところはなく、あらゆる所がすなわち自分の身である。また、自分の身が「自分」と限られることすらない。
だから、天も地も我が身の内にあり、日は心の内から世界を照らして落ちることなく、潮・風は廻る。
だから、羽ばたきのように心を起こすだけで、たちまち神と顕れ、身がわずかでも働けば直ちに森羅万象を形づくる。八百万千万の神々は、すべて心の内に現れたものなのである。
一つ心に思うところが即、億兆無量の神の心となり、無量無辺の神の心が、ひるがえって我が為となる。自分のために心を起こすことはまったくないし、我が身のために行うこともまったくないのである。
だから、神のことごとく、一柱も漏れる神はないのである。神々の司る世界それぞれ、天空だろうと、地中だろうと、海中だろうと、神の護り幸はい恵みがあるのであり、正しい身で行えば、たちまち成るのである。だから、億兆の祈りもすべてが成り、億兆の業もすべて遂げられるのだ。
無から現れて現世に形をむすんだすべてのものは、一つも欠けることなく、夜昼の活動に仕え、朝夕の活用にはたらくので、少しも身に乏しいことも煩わしいこともないのだ。
ヒト=神人と言うのであり、煩い病苦悲しみといった災いは、すべて神人(ひと)の道を失って禽獣虫魚のレベルに落ちてしまっているのである。穢れた道を行けば、終に神人の身を失ってしまうのである。
比類なく貴い神人(ひと)の身を産霊(むすび)得ながら、卑しき身魂に落ちてしまう道理を明らかに悟れば、これを畏み思って、我が身の過ちを清め祓い尽くそう。
そして神人の道に進み入って、私の思いを起こさず、我が身のために行うのでなく、神人の名のままに行う。迷うことなく欲することなく神人の道に入れば、紫微宮の⦿(ス)の大神二柱も、夜昼の守りに幸を賜う。
真言為す神人の道は、自ら願うがままになり、天界の本から備わった大いなる真の道は永遠に伝わって、天の日がすべてを照らすようである。
雲のごとくすべてを潤し世界の隅々を知る⦿(ス)の大神の大御倉は、天地日月と共に永遠に連動して少しも失われることがなく、諸々の神たちは子を産み継いで、それぞれの位のままに永遠に助け合いお仕えになっている。
神人たちが、それぞれの神業を守って⦿(ス)の大神に仕え奉り楽しみつつ、神人の道にそむくことがなく、僻地の小さな神でさえ餓えや暑さ寒さの悩みを知らず、上中下各位の神人が共に一つの歓びを受ける。
このような、真の大⦿(ス)の御国となりますよう、お願い奉ることを、高天原の紫微の宮居の三柱の神、百千万の神たち共にお聞き届けますよう、畏み畏みも拝み申します。
そして、御歌を歌って静々と大前を退き、居間へと帰っていった。
玉野比女、生代比女も顕津男の神について、一間へ退いた。
遠見男の神は玉藻山の頂上から国見をし、圓屋比古の神を三笠山の国守と任命し、国中比古の神を真鶴国の稚国原の守りとする歌を歌った。
すると国中比古の神が、玉藻山の新生と神々の功を喜び祝おうと、天の斑駒に乗ってやってきた。そして、稚国原を治めるにあたっての抱負を歌った。また、圓屋比古の神も、三笠山の国守としての決意を歌った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:御須麻留(美須麻琉) データ凡例: データ最終更新日:2020-06-21 15:32:24 文字数:3369 OBC :rm7507
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 320頁 修補版: 校定版:119頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 爰(ここ)に太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)は大前(おほまへ)に跪座(きざ)して、002国土生(くにう)み御子産(みこう)みの神業(みわざ)成(な)りたれば、003万神人(よろづしんじん)の為(ため)に生言霊(いくことたま)の太祝詞(ふとのりと)を奏上(そうじやう)し、004天界(てんかい)永遠(えいゑん)の無事(ぶじ)を祈(いの)らせ給(たま)ひぬ。
 
005『謹(つつし)み畏(かしこ)み敬(ゐやま)ひも白(まを)さく、006高天原(たかあまはら)の紫微宮(かみのみや)に大坐(おほま)します天之(あまの)峯火夫(みねひを)の神(かみ)、007高鉾(たかほこ)の神(かみ)、008神鉾(かむほこ)の神(かみ)を始(はじ)め奉(まつ)り、009天津(あまつ)神(かみ)国津(くにつ)神(かみ)八百万(やほよろづ)の神(かみ)等(たち)の御前(みまへ)に白(まを)さく。010此(かく)産霊(むすび)に成(な)れる神々(かみがみ)は、011其(その)身体(まし)の大本源(おほもと)なる大(おほ)御須麻留(みすまる)の上(うへ)無(な)き産霊(むすび)に依(よ)りて産霊(むすび)の極(きは)み極(きは)み尽(つく)し、012産霊(むすび)の限(かぎ)り限(かぎ)り尽(つく)して、013此(かく)も霊妙(くすし)く此(かく)も霊端(ひづら)に産霊(むすび)成(な)れる身(み)にしあれば、014そが地水火風空(あめつち)円(まろ)く備(そな)はり、015秋田(あきた)の刈穂(かりほ)仮初(かりそめ)にも競争(あらそ)ふ事(こと)なく、016些少群竹(いささむら)聊(いささか)も一方(ひとへ)に片寄(かたよ)る事(こと)の無(な)ければ、017深山(みやま)の葛(かづら)懸(かか)り止(とどま)る事(こと)無(な)く、018おどみにおどみ滞(とどこほ)ることなくして、019身魂(みたま)永久(とこしへ)に白玉(しらたま)なす伊澄(いす)み渡(わた)り、020赤玉(あかたま)なす赫(て)らひ照(て)らひて、021此(この)一(ひとつ)の身(み)大(おほ)御須麻留(みすまる)が中(うち)に充塞(ふたが)り塞(ふさが)り満(みち)て、022大(おほ)御須麻留(みすまる)の極(きは)み別(わか)らざる所(ところ)しなければ、023殊(こと)に底(いた)る事(こと)なく、024高天原(たかあまはら)の限(かぎ)り我身(わがみ)の在(あ)らざる所(ところ)なく、025更(さら)に此(この)身(み)に有(あ)らざる処(ところ)なし。026更(さら)に此(この)身(み)を吾身(わがみ)と限(かぎ)る思(おも)ひ無(な)し。027此故(これのゆゑ)に久方(ひさかた)の天(あめ)は我身体(わがみ)の中(うち)に伊澄(いす)み渡(わた)り、028荒金(あらがね)の地(つち)は我身体(わがみ)の中(うち)に堅身(かたみ)同身(やはみ)を顕(あら)はして動(うご)く事(こと)なく揺(ゆる)ぐ事(こと)なく、029天(あめ)に照(て)る日(ひ)も心(こころ)の内(うち)より六合(よもやも)に伊照(いて)り貫通(とほ)り、030世(よ)の中(なか)を照(て)らし明(あきら)めて落(お)つる隈(くま)なく、031大和田(おほわだ)の潮水(しほ)も我身(わがみ)の内(うち)に底(そこ)を深(ふか)めて潮(うしほ)を六合(よもやも)に廻(めぐ)らし、032風(かぜ)の共(むた)白浪(しらなみ)を立(た)て起(おこ)して嶋(しま)の崎々(さきざき)伊(い)せき廻(めぐ)る。033故(か)れ羽叩(はばた)きも心(こころ)を起(おこ)せば、034その心(こころ)即(やが)て神(かみ)と顕(あら)はれ、035僅少(すこし)にても身(み)活用(はたら)けば、036立所(たちどころ)に森羅万象(ちよろづのもの)の妙体(かたち)を現(あらは)し、037八百万(やほよろづ)千万(ちよろづ)諸(もろもろ)の神(かみ)、038一(ひと)つも心(こころ)の内(うち)に現(あら)はれずと言(い)ふ事(こと)なし。039此故(これのゆゑ)に一(ひと)つの心(こころ)に思(おも)ふ所(ところ)、040直(ただ)に億兆(やほよろづ)無量(ちよろづ)の神(かみ)の心(こころ)となりて、041無量無辺(かずのかぎり)の御子(みこ)の為(ため)となり、042無量無辺(かずのかぎり)の神(かみ)の心(こころ)は亦(また)立返(たちかへ)りて我為(わがため)となる。043一(ひと)つの身(み)動(うご)く所(ところ)、044億兆(やほよろづ)の神(かみ)の行(おこなひ)となりてその幸(さちは)ひを得(え)、045億兆(やほよろづ)の人(ひと)の行(おこな)ひ我身(わがみ)に帰(かへ)りて亦(また)その幸(さちは)ひを受(う)く、046微塵程(ちりほど)も吾為(わがため)に心(こころ)を移(うつ)す事(こと)なく、047且(しばら)くも身(み)の為(ため)に行(おこな)ひ為(な)す事(こと)なし。048此故(これのゆゑ)に天津(あまつ)神(かみ)国津(くにつ)神(かみ)八百万(やほよろづ)千万(ちよろづ)の神(かみ)、049大(おほ)き小(ちひ)さき神(かみ)てふ神(かみ)の悉々(ことごと)、050樫(かし)の実(み)の唯(ただ)一柱(ひとはしら)も碗(もひ)の水(みづ)の漏(も)るる神(かみ)なし。051空(そら)飛(と)ぶ塵(ちり)の半分(なから)も天津水(あまつみづ)影遺(かげのこ)る神(かみ)なく、052現身(うつそみ)を顕(あら)はし荒魂(あらみたま)和魂(にぎみたま)を幸(さちは)へ、053常(つね)に来(きた)りて藤葛(ふぢかづら)の木(き)を纒(まと)ふが如(ごと)く、054目蓋(まぶた)の目(め)を守(まも)るが如(ごと)く、055茜刺(あかねさ)す昼(ひる)の守(まも)り烏羽玉(うばたま)の夜(よ)の護(まも)りと、056弥守(いやまも)りに護(まも)り弥幸(いやさちは)ひに福(さちは)ひ、057其(そ)が神(かみ)の御名(みな)のまにまに、058そが神(かみ)の道(みち)の任々(まけまけ)、059久方(ひさかた)の空(そら)に天(あま)翺翔(かけ)り、060荒金(あらがね)の地(つち)に入(い)り、061海中(わだなか)に潜(かづ)き入(い)り潜(かづ)き出(いで)て、062愛(うつく)しみ玉(たま)ひ、063憐(あはれ)み玉(たま)ひ、064扶(たす)け玉(たま)ひ、065幸(さちは)ひ玉(たま)ひ、066恵(めぐ)み玉(たま)ひ、067福(さちは)ひ玉(たま)へば、068真心(まごころ)に思(おも)ふ所(ところ)、069立所(たちどころ)に成(な)り、070正身(まさみ)に行(おこな)へば直(ただ)ちに成(な)る。071是故(これゆゑ)に百千万(ももちよろづ)の願(ねが)ひ、072億兆(やほよろづ)の祈(いの)り事(ごと)一(ひと)つも成(な)らずと言(い)ふ事(こと)なく、073億兆(やほよろづ)の業(わざ)微塵程(ちりほど)も遂(と)げずと言(い)ふ事(こと)なし、074無(む)に形体(かたち)を顕(あら)はせるものは、075神(かみ)を始(はじ)め人(ひと)の身(み)、076獣類(けもの)、077禽鳥(とり)、078魚介(うろくづ)、079昆虫(はふむし)、080木草(きぐさ)の螻虫(うじむし)、081萱草(かやくさ)の片葉(かきは)に至(いた)る迄(まで)、082其(その)現身(うつそみ)の世(よ)に産霊(むすび)て、083形体(かたち)なせる物(もの)てふ物(もの)は一(ひと)つだも遺(おつ)る物(もの)なく、084飛(と)ぶ塵(ちり)の塵(ちり)の半分(なから)も欠(か)くる物(もの)なく、085夜(よ)の仕(つか)へ昼(ひる)の仕(つか)へに来(き)たり仕(つか)へ、086朝(あした)の活用(はたらき)夕(ゆふべ)の活用(はたらき)に来(き)たり活用(はたら)けば、087且(しばら)くも身(み)に乏(とぼ)しき事(こと)なく、088身(み)に残(のこ)るも煩(わづら)ふ事(こと)なし。089故(か)れ此故(これのゆゑ)に其(そ)が名(な)を自(おのづか)ら神人(ひと)となむ言(い)ふなる。090折々(をりをり)の諸(もも)の煩(わづら)ひ病苦(いたづき)の悲(かな)しみの如(ごと)き災(わざはひ)は、091禽獣(とりけもの)虫(はふむし)魚(うろくづ)等(ら)が道(みち)の内(うち)に備(そな)はれる事(こと)方(まさ)にして、092貴(たふと)き霊(くし)き神人(ひと)の道(みち)には更(さら)に更(さら)にその影(かげ)だにも有(あ)る事(こと)なきものを、093紫微天界(たかあまはら)の神人(ひと)の病(や)み悶(もだ)へ苦(くる)しみ悩(なや)む事(こと)あるは、094禽獣(とりけもの)虫魚(はふむしうろくづ)に均(ひと)しき道(みち)を行(ゆ)きて神人(ひと)の道(みち)を失(うしな)へるより、095諸(もも)の災難(わざはひ)五月蠅(さばへ)如(な)す皆(みな)湧(わ)き起(おこ)るになむある。096抑(そもそ)も爰(ここ)に水(みづ)腐(くさ)り果(は)つれば昆虫(はふむし)湧(わ)き、097木(こ)の葉(は)茂(しげ)れば自(おのづか)ら鳥(とり)集(あつま)り来(き)たる。098如此(かく)て其(そ)が穢(きたな)き道(みち)を歩(あゆ)みぬれば、099遂(つひ)に其(そ)が獣鳥(けものとり)虫魚(はふむしうろくづ)の身(み)としも成果(なりは)てて、100永(なが)く獣鳥(けものとり)虫魚(はふむしうろくづ)と成(な)らむ。101畏(かしこ)きかもよ、102比類(たぐひ)なき貴(たふと)き霊(く)しき神人(ひと)の身(み)を産霊(むすび)得(え)ながら、103おどみの水(みづ)のおどみ帰(かへ)りて、104卑(いや)しき身魂(みたま)と成(な)らむ神理(ことわり)を、105真玉(まだま)如(な)す深(ふか)く知(し)り明(あきらか)に悟(さと)り極(きは)めぬれば、106是(これ)をしも恐(かしこ)み畏(かしこ)み深(ふか)く思(おも)ひて、107身(み)震(ふる)ひ恐懼(をのの)く迄(まで)に畏(かしこ)み恐(かしこ)み過(あやま)ちて、108今日(けふ)まで起(おこ)しつる獣鳥(けものとり)の心(こころ)、109虫魚(はふむしうろくづ)の行(おこな)ひは朝津日(あさつひ)の露霜(つゆしも)を消(け)し尽(つく)す如(ごと)く、110朝(あした)の深霧(みきり)夕(ゆふべ)の深霧(みきり)を志那戸(しなど)の風(かぜ)の吹攘(ふきはら)ひ清(きよ)むるが如(ごと)く、111清(きよ)め尽(つく)し攘(はら)ひ極(きは)めて、112照(て)り渡(わた)ります陽(ひ)の一進(ひとすす)みに神人(ひと)の道(みち)に進(すす)み入(い)り、113空(そら)飛(と)ぶ塵(ちり)の塵(ちり)の半分(なから)も私(わたくし)の思(おも)ひを起(おこ)す事(こと)なく、114吾身(わがみ)の為(ため)に行(おこな)ふ事(こと)なく、115神人(ひと)の名(な)のまにまに行(おこな)ひ澄(す)まし、116獣鳥(けものとり)虫魚(はふむしうろくづ)の心(こころ)を持(も)たず、117行(おこな)ひを為(な)さず、118迷(まよ)ふ事(こと)なく欲(ほ)りする事(こと)なくして神人(ひと)の道(みち)に入(い)りぬれば、119紫微宮(かみのみや)に坐(ま)す⦿(ス)の大神(おほかみ)二柱(ふたはしら)の神(かみ)も、120そが神名(みな)のまにまに神(かみ)の道(みち)のまにまに、121夜(よ)の守(まも)り日(ひ)の守(まも)りに幸(さちは)ひ玉(たま)ひて、122真言(まこと)為(な)す神人(ひと)の道(みち)自(おのづか)ら思(おも)ひ願(ねが)ふがまにまに、123天界(かみよ)の本(もと)より備(そな)はれる自(おのづか)らなる大真道(おほまみち)永久(とこしへ)に伝(つたは)りて、124天津(あまつ)日蔭(ひかげ)普(あまね)く照(て)らし、125天雲(あまぐも)の普(あまね)く潤(うるほ)ひて八隅知(やすみし)し⦿(ス)の大神(おほかみ)の惟神(かむながら)の大御座(おほみくら)は、126天地(あめつち)日月(ひつき)と共(とも)に常永(とこしへ)に八十連(やそつづき)に伊継(いつ)ぎ給(たま)ひて、127且(しばら)くも失(うしな)はせ給(たま)はず、128諸(もも)の神(かみ)達(たち)おのもおのも生(う)みの子(こ)の八十継(やそつづ)きいや継(つ)ぎ伊継(いつ)ぎて、129己(おの)が位(くらゐ)のまにまにいや遠永(とほなが)に麻柱(あなな)ひ仕(つか)へまつり、130神人(ひと)等(たち)が各自(おのも)々々(おのも)仕(よ)さしの神業(みわざ)を守(まも)り仕(つか)へて、131⦿(ス)の大神(おほかみ)に仕(つか)へ奉(まつ)り楽(たの)しみつ、132神人(ひと)の道(みち)に背(そむ)く事(こと)なく、133奥山(おくやま)の深山(みやま)の奥(おく)、134海(うみ)の草(くさ)、135塩焼(しほや)き漁(あさ)る小(ちひ)さき神(かみ)も飢餓(うゑ)に苦(くるし)む事(こと)なく、136暑(あつ)さ寒(さむ)さの悩(なや)みを知(し)らず、137上中下(かみなかしも)の各位(くら)の神人(ひと)は、138共(とも)に一(ひと)つの歓楽(よろこび)を受(う)け、139真(まこと)の大⦿(おほス)の御国(みくに)と成(な)し玉(たま)へと願(ね)ぎ奉(まつ)る事(こと)の由(よし)を、140高天原(たかあまはら)の紫微(かみ)の宮居(みやゐ)の三柱(みはしら)の神(かみ)、141百千万(ももちよろづ)の神(かみ)等(たち)共(とも)に聞召(きこしめ)し玉(たま)へと、142畏(かしこ)み畏(かしこ)みも拝(をろが)み白(まを)す。
143玉野丘(たまのおか)膨(ふく)れ拡(ひろ)ごり真鶴(まなづる)の
144国土(くに)は固(かた)らに定(さだ)まりにけり
145久方(ひさかた)の空(そら)にのび立(た)つ玉藻山(たまもやま)の
146千条(ちすぢ)の滝(たき)は白絹(しらぎぬ)の旗(はた)よ
147神々(かみがみ)の生言霊(いくことたま)の幸(さちは)ひて
148玉野(たまの)湖水(こすゐ)はほしあがりたり
149玉野湖(たまのうみ)の湖水(みづうみ)次第(しだい)に高(たか)まりて
150玉藻(たまも)の山(やま)の傾斜面(なぞへ)に生(お)ふる藻草(も)
151カコクケキ生言霊(いくことたま)にあかときを
152うたふ家鶏鳥(かけどり)生(あ)れ出(い)でにけり
153家鶏鳥(かけどり)の晨(あした)を歌(うた)ふ声(こゑ)さやに
154真鶴(まなづる)の国(くに)はあけ渡(わた)りけり
155未(いま)だ国土(くに)稚(わか)くありせばもやもやと
156霧(きり)立(た)ちのぼる六合(よもやも)のうち
157玉藻山(たまもやま)霧(きり)立(た)ちのぼり白駒(しらこま)の
158嘶(いなな)き高(たか)し朝(あさ)しづの庭(には)に
159未(ま)だ国土(くに)は稚(わか)くあれども主(ス)の神(かみ)の
160御稜威(みいづ)にここまで固(かた)まりしはや
161万代(よろづよ)の末(すゑ)の末(すゑ)まで固(かた)めゆく
162この国原(くにはら)のさかえを思(おも)ふ
163主(ス)の神(かみ)の生言霊(いくことたま)の幸(さちは)ひて
164森羅万象(すべてのもの)は日々(ひび)に栄(さか)ゆくも
165天(あめ)も地(つち)もわかくるすばら若(わか)くへに
166立(た)ちて神国(みくに)を固(かた)むる楽(たの)しさ
167やうやくに真鶴(まなづる)の国(くに)は固(かた)まりぬ
168やがて生(あ)れまさむ国魂(くにたま)の神(かみ)は』
169 かく御歌(みうた)うたひて大前(おほまへ)を静々(しづしづ)と退(しりぞ)き給(たま)ひ、170我(わが)居間(ゐま)さして帰(かへ)り給(たま)ひぬ。171玉野(たまの)比女(ひめ)の神(かみ)、172生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)の二柱(ふたはしら)も、173顕津男(あきつを)の神(かみ)の御後(みあと)に従(したが)ひ、174大御前(おほみまへ)を退(しりぞ)き一間(ひとま)に御姿(みすがた)をかくさせ給(たま)ひける。
175 遠見男(とほみを)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
176『玉藻山(たまもやま)頂上(いただき)に立(た)ちて国見(くにみ)すれば
177目路(めぢ)の限(かぎ)りは靄(もや)立(た)ちのぼれり
178瑞御霊(みづみたま)依(よ)さし給(たま)ひし南(みんなみ)の
179稚国原(わかくにはら)の秀(ほ)は見(み)えにけり
180圓屋(まるや)比古(ひこ)神(かみ)はこれより三笠山(みかさやま)の
181聖所(すがど)に鎮(しづ)まり国守(くにまも)りませ
182真鶴(まなづる)の稚国原(わかくにはら)は国中(くになか)比古(ひこ)の
183神(かみ)とこしへに依(よ)さしたまはれ』
184 斯(か)く歌(うた)ひ給(たま)ひし折(をり)しも、185国中(くになか)比古(ひこ)の神(かみ)は玉藻山(たまもやま)の新(あらた)に生(うま)れたるを喜(よろこ)び、186神々(かみがみ)の功(いさを)を言祝(ことほ)ぎまつらむとして、187天(あめ)の斑駒(ふちこま)に跨(またが)り御歌(みうた)終(をは)らぬに、188早(はや)くもこの聖場(せいぢやう)につかせ給(たま)ひ御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
189『主(ス)の神(かみ)の神言(みこと)のままに国土(くに)造(つく)り
190国魂(くにたま)生(う)ます瑞御霊(みづみたま)はや
191遠見男(とほみを)の神(かみ)の神言(みこと)に従(したが)ひて
192われは治(をさ)めむ真鶴(まなづる)国原(くにはら)
193玉野湖(たまのうみ)の底(そこ)は膨(ふく)れて玉藻山(たまもやま)
194東(ひむがし)の方(かた)の傾斜面(なぞへ)となりぬ
195立(た)ち昇(のぼ)る湯気(ゆげ)もやもやと真鶴(まなづる)の
196国土(くに)の窪所(くぼど)はかわき初(そ)めにき
197生(あ)れまさむ国魂神(くにたまがみ)を守(も)り立(た)てて
198千代(ちよ)万代(よろづよ)に国土(くに)ひらかばや
199百神(ももがみ)の貴(うづ)の功(いさを)に真鶴(まなづる)の
200国土(くに)の形(かたち)は定(さだ)まりにけり
201広々(ひろびろ)と果(はて)しも知(し)らぬ国原(くにはら)に
202森羅(しんら)万象(ばんしやう)もえ立(た)ち初(そ)めたり
203鳥(とり)獣(けもの)昆虫(むしけら)までも瑞御霊(みづみたま)の
204スの言霊(ことたま)にわき出(い)でにけり
205わき出(い)でし総(すべ)てのものは天地(あめつち)の
206御魂(みたま)なりせばおろそかにせじ
207神人(かみ)は神人(かみ)獣類(けもの)は獣類(けもの)鳥(とり)は鳥(とり)
208虫(むし)にも魚(うを)にも道(みち)はありけり
209禽獣(きんじう)は禽獣(きんじう)の道(みち)ゆきてこそ
210この天界(てんかい)は永久(とは)に栄(さか)えむ
211神人(かみ)にしてもし禽獣(きんじう)の道(みち)ゆかば
212この天界(てんかい)はただちに乱(みだ)れむ
213禽獣(きんじう)の道(みち)はやすけし神(かみ)の道(みち)を
214踏(ふ)むは容易(ようい)にあらずかしこし』
215 圓屋(まるや)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
216『真鶴(まなづる)の国(くに)をうしはぐ国中(くになか)比古(ひこ)の
217神(かみ)の神業(みわざ)のただならぬを思(おも)ふ
218遠見男(とほみを)の神(かみ)の神言(みこと)に従(したが)ひて
219東雲(しののめ)の国(くに)を永久(とは)に守(まも)らむ
220南(みんなみ)の国(くに)のすべてを治(をさ)めます
221遠見男(とほみを)の神(かみ)の功(いさを)かしこし
222いざさらば生言霊(いくことたま)を宣(の)りあげて
223生(あ)れます御子(みこ)の幸(さち)を祈(いの)らむ
224玉泉(たまいづみ)滝(たき)の清水(しみづ)にみそぎして
225玉野(たまの)大宮(おほみや)に御子(みこ)を祈(いの)らむ
226惟神(かむながら)神(かみ)のよさしの神業(かむわざ)と
227思(おも)へば楽(たの)し今日(けふ)の禊(みそぎ)は
228神(かみ)と生(うま)れ獣(けもの)と生(うま)れ御空(みそら)とぶ
229鳥(とり)ともなりて神世(みよ)を守(まも)らむ
230よしや身(み)は獣(けもの)の群(むれ)に下(くだ)るとも
231神国(みくに)の為(ため)には惜(をし)まざるべし』
232(昭和八・一一・一七 旧九・三〇 於水明閣 加藤明子謹録)
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