霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第一五章 鶴(つる)の訣別(わかれ)(四)〔一九〇九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻 篇:第3篇 真鶴の声 よみ(新仮名遣い):まなづるのこえ
章:第15章 鶴の訣別(四) よみ(新仮名遣い):つるのわかれ 通し章番号:1909
口述日:1933(昭和8)年11月27日(旧10月10日) 口述場所:水明閣 筆録者:内崎照代 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年2月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
続いて、魂機張の神、結比合の神、美味素の神が述懐の歌を歌った。皆が歌い終わると顕津男の神は馬上から諸神への返答歌を歌った。そこには、諸神への感謝と、たとえ自分は去っても、霊線(たましひ)はここにあって真鶴国を助ける、とあった。また、国事補佐の任にあたる玉野比女には、宮居に仕える神と、補佐神とを降すので安心するように、と諭した。
歌い終わると、顕津男の神は諸神に名残を惜しみつつ、駒に鞭を打って玉藻山を静かに下っていった。
諸神は国境まで見送った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:4018 OBC :rm7515
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 363頁 修補版: 校定版:277頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 魂機張(たまきはる)の神(かみ)は名残(なごり)の御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
002『はろばろも御供(みとも)に仕(つか)へ今(いま)ここに
003瑞(みづ)の御霊(みたま)と別(わか)るる惜(を)しさよ
004あきたらず吾(われ)は思(おも)ふも岐美(きみ)に仕(つか)へて
005楽(たの)しかりしを今日(けふ)別(わか)るとは
006斯(か)くあるはかねて覚(さと)りつ今更(いまさら)に
007名残(なごり)惜(を)しくも別(わか)れがてに居(ゐ)る
008栄(さか)えます岐美(きみ)の御姿(みすがた)伏(ふ)し拝(をが)み
009別(わか)るる今日(けふ)の名残(なごり)惜(を)しけれ
010立(た)ち別(わか)れ神(かみ)の御(おん)為(た)め国(くに)の為(た)め
011今日(けふ)より淋(さび)しく仕(つか)へむと思(おも)ふ
012嘆(なげ)かじと思(おも)ひ諦(あきら)め居(ゐ)る身(み)にも
013今(いま)は堪(た)へがたくなりにけらしな
014はしけやし岐美(きみ)の御姿(みすがた)今日(けふ)よりは
015懐(なつか)しむよしもなかりけるはや
016真鶴(まなづる)の国(くに)の生(お)ひ先(さき)おもひつつ
017岐美(きみ)なき神世(みよ)をかなしみ思(おも)ふ
018八洲国(やしまぐに)生言霊(いくことたま)の幸(さちは)ひて
019岐美(きみ)の行手(ゆくて)の安(やす)くあれかし
020玉藻山(たまもやま)後(あと)に別(わか)れて旅立(たびだ)たす
021岐美(きみ)を一入(ひとしほ)かなしみ思(おも)ふ
022幾千代(いくちよ)を経(ふ)るとも吾(われ)は忘(わす)れまじ
023ゆたけき岐美(きみ)に抱(いだ)かれし日(ひ)を
024岐美(きみ)まさぬ真鶴(まなづる)の国(くに)の山河(やまかは)は
025草木(くさき)の端(はし)までしをれこそすれ
026白雲(しらくも)も今日(けふ)ははばかり山裾(やますそ)に
027まよひて岐美(きみ)のみゆきを送(おく)るも
028八千草(やちぐさ)の色(いろ)も変(かは)りて見(み)ゆるかな
029瑞(みづ)の御霊(みたま)の旅(たび)ゆかす今日(けふ)は
030西方(にしかた)の国(くに)ははろけし岐美(きみ)が行(ゆ)く
031道(みち)の隈手(くまで)も恙(つつが)なかれと思(おも)ふ
032久方(ひさかた)の天津(あまつ)高宮(たかみや)ゆ降(くだ)りましし
033岐美(きみ)は今日(けふ)より御姿(みすがた)見(み)えずも
034水(みづ)清(きよ)き千条(ちすぢ)の滝(たき)もとどろきを
035をさめて岐美(きみ)を送(おく)るがに思(おも)ふ
036五百鳴(いほなり)の鈴(すず)打(う)ち振(ふ)りて神(かみ)も駒(こま)も
037岐美(きみ)のみゆきを送(おく)る今日(けふ)なり
038いさぎよき岐美(きみ)の姿(すがた)を背(せ)に乗(の)せて
039天(あめ)の駿馬(はやこま)勇(いさ)みいななく
040現世(うつしよ)の総(すべ)てのものを生(う)みまして
041国土(くに)つくりをへし岐美(きみ)は畏(かしこ)し
042国原(くにはら)は未(ま)だ稚(わか)けれど岐美(きみ)が行(ゆ)く
043蹄(ひづめ)のあとは花(はな)咲(さ)きみのらむ
044進(すす)み行(ゆ)く駒(こま)の蹄(ひづめ)の音(おと)清(きよ)く
045鳴(な)り響(ひび)くらむ貴(うづ)の言霊(ことたま)は
046白雲(しらくも)の帳(とばり)を開(あ)けて月読(つきよみ)は
047淡(あは)き姿(すがた)をあらはし給(たま)へり
048月読(つきよみ)の御霊(みたま)に生(あ)れし岐美(きみ)なれば
049奴羽玉(ぬばたま)の世(よ)は永久(とは)になからむ
050ふみてゆく稚国原(わかくにはら)の百千草(ももちぐさ)
051花(はな)をかざして岐美(きみ)を待(ま)つらむ
052むしむして生(お)ひ栄(さか)えたる足引(あしびき)の
053山野(やまぬ)の木草(きくさ)もしをれ顔(がほ)なる
054縁(ゆかり)ある人(ひと)に別(わか)れて旅立(たびだ)たす
055岐美(きみ)の心(こころ)の雄々(をを)しさを思(おも)ふ
056産玉(うぶだま)の神(かみ)に貴御子(うづみこ)任(まか)せつつ
057安(やす)く行(ゆ)きませ顕津男(あきつを)の神(かみ)
058草(くさ)も木(き)も葉末(はうれ)の色(いろ)を変(へん)じつつ
059嘆(なげ)くが如(ごと)し岐美(きみ)の出(い)で立(た)ちを
060すずやかに尾(を)の上(へ)を渡(わた)る松風(まつかぜ)の
061音(おと)に鳴(な)きたつ田鶴(たづ)の数々(かずかず)
062清庭(すがには)に家鶏鳥(かけどり)なきて白梅(しらうめ)の
063花(はな)はこぼれぬ春(はる)の山風(やまかぜ)に
064朝(あさ)に夕(げ)に仕(つか)へ奉(まつ)りしわが岐美(きみ)に
065別(わか)るる今日(けふ)のおもひはろけし
066久方(ひさかた)の天(あめ)にかへらす瑞御霊(みづみたま)の
067神(かみ)の功(いさを)をわれ祈(いの)るなり』
068 結比合(むすびあはせ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
069『あはれあはれ瑞(みづ)の御霊(みたま)は今日(けふ)の日(ひ)を
070限(かぎ)りとなして旅(たび)に立(た)たすか
071かけまくも畏(かしこ)き神(かみ)の出(い)でましを
072われは謹(つつし)み寿(ことほ)ぎ奉(まつ)るも
073さまざまの悩(なや)みに堪(た)へて真鶴(まなづる)の
074国土(くに)をつくりし岐美(きみ)ぞ畏(かしこ)き
075霊線(たましひ)の力(ちから)のあらむその限(かぎ)り
076つくして神国(みくに)を生(う)ませし岐美(きみ)はも
077泣(な)かむとも止(とど)むる術(すべ)はなかりけり
078ただ勇(いさ)ましく岐美(きみ)を送(おく)らな
079花(はな)匂(にほ)ふ弥生(やよひ)の春(はる)も更(ふ)けにつつ
080岐美(きみ)に別(わか)るる神山(みやま)淋(さび)しも
081迦陵(から)頻伽(びんが)の声(こゑ)はかすみて聞(きこ)ゆなり
082松(まつ)吹(ふ)く風(かぜ)もしのばひにつつ
083山(やま)の上(へ)のこれの聖所(すがど)に永久(とこしへ)の
084別(わか)れを告(つ)ぐる今日(けふ)ぞかなしき
085まだ稚(わか)き千代鶴(ちよつる)姫(ひめ)の生(お)ひ先(さ)きを
086われは守(まも)らむ心(こころ)安(やす)かれ
087いきいきて生(い)きの果(はて)なき天界(かみくに)に
088いや栄(さか)えまさむ千代鶴(ちよつる)の命(みこと)は
089岐美(きみ)行(ゆ)かば真鶴(まなづる)の国(くに)は淋(さび)しからむ
090ただ生(あ)れし御子(みこ)を力(ちから)とたのむも
091白妙(しろたへ)の薄衣(うすぎぬ)に朝夕(あさゆふ)包(つつ)まれて
092命(みこと)は日々(ひび)に生(お)ひ立(た)ちまさむ
093千代鶴(ちよつる)姫(ひめ)命(みこと)の生(お)ひ立(た)ちを村肝(むらきも)の
094心(こころ)にかけず旅(たび)に立(た)ちませ
095吾(われ)も亦(また)西方(にしかた)の国(くに)の境(さかひ)まで
096駒(こま)をうたせて従(したが)ひ奉(まつ)らむ
097西方(にしかた)の国(くに)の境(さかひ)に日南河(ひなたがは)
098広(ひろ)く流(なが)ると吾(われ)聞(き)きしはや
099滔々(たうたう)と流(なが)るる水瀬(みなせ)打(う)ち渡(わた)り
100山越(やまこ)え野越(のこ)え行(ゆ)きます岐美(きみ)はも
101水火(いき)と水火(いき)稜威(いづ)に結(むす)びし駒(こま)なれば
102日南(ひなた)の河瀬(かはせ)も安(やす)く渡(わた)らむ
103いすくはし天(あめ)の白駒(しらこま)に鞭(むち)うちて
104渡(わた)らむ其(そ)の日(ひ)の雄姿(みかげ)を思(おも)ふ
105魚族(うろくづ)も水(みづ)の面(も)に浮(う)きて岐美(きみ)が駒(こま)を
106迎(むか)へ奉(まつ)らむ日南(ひなた)の河(かは)に
107国見(くにみ)すれば西方(にしかた)の国土(くに)雲(くも)の奥(おく)に
108かすみて見(み)えず心(こころ)はろけし
109澄(す)みきらひ澄(す)みきらひたる大空(おほぞら)は
110岐美(きみ)のみゆきにふさはしきかも
111月(つき)も日(ひ)も光(ひかり)冴(さ)えつつ玉藻山(たまもやま)を
112下(くだ)らす岐美(きみ)の御尾前(みをさき)照(て)らせり
113奴婆玉(ぬばたま)の闇(やみ)を晴(は)らして進(すす)みます
114岐美(きみ)は光(ひかり)の神(かみ)にぞありける
115葭葦(よしあし)の生(お)ふる国原(くにはら)踏(ふ)み別(わ)けて
116進(すす)まむ道(みち)に恙(つつが)あらすな
117虫(むし)の音(ね)も道(みち)の左右(さいう)に冴(さ)えにつつ
118岐美(きみ)のみゆきを寿(ことほ)ぎ奉(まつ)らむ
119行(ゆ)きゆきて日南(ひなた)の河(かは)の河岸(かはぎし)に
120立(た)たさむ日(ひ)こそ待(ま)たれけるかも
121浮雲(うきぐも)のあそべる彼方(かなた)の大空(おほぞら)の
122下(した)びに横(よこ)たふ日南河(ひなたがは)はも
123億万年(よろづよ)の末(すゑ)まで国土(くに)を固(かた)めむと
124心(こころ)をくだき給(たま)ふ岐美(きみ)はも
125八雲(やくも)立(た)つ紫微天界(かみのみくに)は皇神国(すめらみくに)の
126基(もとゐ)とおもへば尊(たふと)かりけり
127主(ス)の神(かみ)は億万年(ちよよろづよ)の末(すゑ)までも
128永遠無窮(とは)に主(ス)の国(くに)守(まも)りますらむ
129滔々(たうたう)と流(なが)るる日南(ひなた)の河(かは)の瀬(せ)を
130やがて渡(わた)らす岐美(きみ)ぞいさまし
131よき事(こと)に曲事(まがこと)いつく神世(みよ)なれば
132心(こころ)しづかに岐美(きみ)進(すす)みませよ
133森羅万象(もろもろ)の稚(わか)き国原(くにはら)永久(とこしへ)に
134固(かた)めて生(い)かす岐美(きみ)の旅(たび)はや
135ふくれふくれ拡(ひろ)ごり果(はて)しなき国土(くに)を
136固(かた)むる岐美(きみ)の神業(みわざ)かしこし
137目路(めぢ)の限(かぎ)り八雲(やくも)たちたち曲神(まがかみ)は
138果(はて)なき国(くに)にむらがると聞(き)く
139永久(とこしへ)の礎(いしずゑ)固(かた)むる国土生(くにう)みの
140神業(みわざ)仕(つか)ふる苦(くる)しかる岐美(きみ)よ
141かかる世(よ)に生(うま)れあひたる嬉(うれ)しさは
142国土生(くにう)みの神業(みわざ)に仕(つか)ふる吾(われ)なり
143雄々(をを)しくもあれます岐美(きみ)の御姿(みすがた)を
144今日(けふ)より拝(をが)まむ術(すべ)なき神山(みやま)よ
145越国(こしぐに)の果(はて)まで岐美(きみ)の御功(みいさを)は
146かがやき渡(わた)らふ月日(つきひ)とともに
147上(うへ)も下(した)も右(みぎ)も左(ひだり)も打(う)ち揃(そろ)ひ
148うら安国(やすくに)をひらかす岐美(きみ)はも
149永久(とこしへ)の生言霊(いくことたま)の生命(いのち)もて
150百(もも)の神(かみ)たち守(まも)らす岐美(きみ)なり
151野(の)も山(やま)も今日(けふ)はことさら明(あか)るかり
152岐美(きみ)の旅立(たびだ)ち守(まも)らす月日(つきひ)に
153万世(よろづよ)のほまれとならむ瑞御霊(みづみたま)の
154今日(けふ)の苦(くる)しき心(こころ)づかひは
155百鳥(ももどり)の声(こゑ)勇(いさ)ましくなりにけり
156岐美(きみ)の出(い)でましを諦(あきら)めにけむ
157夜昼(よるひる)の差別(けぢめ)もしらに進(すす)みます
158岐美(きみ)の功(いさを)は世(よ)の鏡(かがみ)なる
159音(おと)にきく天津(あまつ)高宮(たかみや)の荘厳(いかし)さを
160おもへば岐美(きみ)の尊(たふと)くなりぬ
161天(あめ)と地(つち)の水火(いき)をつばらに結(むす)び合(あは)せ
162あれますかもよ瑞(みづ)の御霊(みたま)は』
163 美味素(うましもと)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
164『うまし国(くに)元津(もとつ)神国(みくに)を生(う)みをへて
165出(い)でます岐美(きみ)を止(とど)むる術(すべ)なき
166諦(あきら)めてみむと思(おも)へど堪(た)へやらぬ
167今日(けふ)の出(い)で立(た)ち吾(われ)はかなしも
168輝(かがや)ける岐美(きみ)の面(おもて)は曇(くも)らひぬ
169今(いま)あらためて繰言(くりごと)宣(の)らじ
170玉野宮(たまのみや)に常永(とは)に仕(つか)ふる玉野(たまの)比女(ひめ)の
171たすけとならむ神(かみ)ぞほしけれ
172久方(ひさかた)の御空(みそら)は清(きよ)く冴(さ)えにつつ
173岐美(きみ)の出(い)でまし清(すが)しみ送(おく)るも
174玉(たま)の緒(を)の命(いのち)の限(かぎ)り仕(つか)へむと
175思(おも)ひし岐美(きみ)は今(いま)やたたすも
176永(なが)き世(よ)の末(すゑ)の末(すゑ)まで真心(まごころ)を
177捧(ささ)げて仕(つか)へむと思(おも)ひたりしよ
178春(はる)たちて夏(なつ)は漸(やうや)く来向(きむか)へど
179何(なに)か淋(さび)しきわれなりにけり
180西方(にしかた)の国土(くに)の境(さかひ)に横(よこた)はる
181日南(ひなた)の河(かは)まで送(おく)り奉(まつ)らむ
182松(まつ)を吹(ふ)く風(かぜ)の響(ひびき)も静(しづか)なり
183岐美(きみ)の出(い)でまし松(まつ)も惜(を)しむか
184四方(よも)八方(やも)にふさがる雲霧(くもきり)吹(ふ)き払(はら)ひ
185月日(つきひ)照(て)らして出(い)でます岐美(きみ)はも
186若草(わかぐさ)の妻(つま)のみことを後(あと)におきて
187旅(たび)に立(た)たさむ岐美(きみ)を偲(しの)ぶも
188五百鈴(いほすず)の音(ね)は冴(さ)えにつつ駿馬(はやこま)は
189早(はや)たたむとや勇(いさ)み出(い)でけり
190きぎす啼(な)くこの高山(たかやま)の頂上(いただき)に
191われは千歳(ちとせ)をおもひてなみだす
192白雲(しらくも)のたなびく遠(とほ)き国原(くにはら)に
193出(い)でます岐美(きみ)に別(わか)るる惜(を)しさよ
194わが力(ちから)とみに落(お)ちたる心地(ここち)して
195岐美(きみ)を送(おく)らむ国境(くにざかひ)まで
196西方(にしかた)の国土(くに)は曲神(まがかみ)沢(さは)ありと
197聞(き)けば一入(ひとしほ)こころわづらふ
198滝津瀬(たきつせ)の水(みづ)の流(なが)れはさかしとも
199おそれ給(たま)はじ御稜威(みいづ)の岐美(きみ)は
200幾千代(いくちよ)の末(すゑ)の末(すゑ)まで神々(かみがみ)の
201かたらひ草(ぐさ)とならむ今日(こ)の日(ひ)は
202生(う)みの子(こ)のいや次(つ)ぎ次(つ)ぎに至(いた)るまで
203かたり伝(つた)へむ今日(けふ)の別(わか)れを
204奇(くし)びなる生言霊(いくことたま)の幸(さちは)ひに
205真鶴(まなづる)の国土(くに)はうまらになりぬ
206澄(す)みきらふ瑞(みづ)の言霊(ことたま)幸(さちは)ひて
207真鶴(まなづる)の国土(くに)は固(かた)まりにけり
208罪穢(つみけが)れかげだにもなきわが岐美(きみ)の
209行(ゆ)く先(さ)き先(ざ)きにさやるものなし
210天(あめ)と地(つち)の水火(いき)と水火(いき)とに温(あたた)めて
211瑞(みづ)の御霊(みたま)は御子(みこ)を生(う)ませり
212二柱(ふたはしら)水火(いき)を合(あは)せて国魂(くにたま)の
213神(かみ)を生(う)ませしことの尊(たふと)さ
214紫(むらさき)の雲(くも)は次(つ)ぎ次(つ)ぎ重(かさな)りて
215玉藻(たまも)の山(やま)を包(つつ)まひにけり
216夢(ゆめ)なれや瑞(みづ)の御霊(みたま)の現(あ)れましし
217日(ひ)より百日(ももか)の日(ひ)はたちにけり
218美(うるは)しき山(やま)となりけり玉野湖(たまのうみ)の
219底(そこ)はかわきて傾斜面(なぞへ)となりぬ
220斯(かく)の如(ごと)尊(たふと)き言霊(ことたま)もたす岐美(きみ)の
221功(いさを)は天界(みくに)の宝(たから)なりけり
222葭葦(よしあし)を踏(ふ)み別(わ)け進(すす)ますわが岐美(きみ)の
223旅(たび)はまさしく幸(さち)多(おほ)からむ
224吾(われ)も亦(また)ウの言霊(ことたま)に生(うま)れ出(い)でて
225瑞(みづ)の御霊(みたま)に仕(つか)へ奉(まつ)りし
226天地(あめつち)の生(う)みの司(つかさ)と任(ま)けられし
227瑞(みづ)の御霊(みたま)の功(いさを)美(うる)はし
228瑞御霊(みづみたま)七十五声(ななそまりいつつ)の言霊(ことたま)に
229真鶴(まなづる)国土(くに)を生(う)みましにけり
230地(つち)稚(わか)くふくれ上(あが)りし真鶴(まなづる)の
231国土(くに)はやうやく固(かた)まり初(そ)めたり
232目(め)に見(み)えぬ国土(くに)の果(はて)まで言霊(ことたま)の
233幸(さち)にうるほふ神世(みよ)は尊(たふと)き
234神々(かみがみ)はゑらぎ楽(たの)しみ真鶴(まなづる)の
235国土(くに)の千歳(ちとせ)を祝(いは)ふなるらむ
236斯(か)くまでも固(かた)め給(たま)ひし真鶴(まなづる)の
237国土(くに)汚(けが)さじと吾(われ)は仕(つか)へむ
238惜(を)しむとも詮術(せんすべ)なけれ主(ス)の神(かみ)の
239御旨(みむね)にしたがひたたす岐美(きみ)なり
240木(き)も草(くさ)も瑞(みづ)の御霊(みたま)の現(あ)れし日(ひ)ゆ
241光(ひかり)を増(ま)して栄(さか)え初(そ)めけり
242栄(さか)えゆく神世(みよ)寿(ことほ)ぐか真鶴(まなづる)も
243常磐(ときは)の松(まつ)にさやかにうたふ
244今(いま)ははや迦陵(かりよう)頻伽(びんが)も真鶴(まなづる)も
245家鶏鳥(かけす)の鳴(な)く音(ね)も冴(さ)え渡(わた)りけり
246百鳥(ももどり)も岐美(きみ)の出(い)で立(た)ちあきらめて
247神国(みくに)のためと勇(いさ)むなるらむ
248遠(とほ)き近(ちか)き国土(くに)のことごと守(まも)ります
249岐美(きみ)の功(いさを)ぞたふとかりけり
250長閑(のどか)なる春(はる)の終(をは)りを旅立(たびだ)たす
251岐美(きみ)の行手(ゆくて)に匂(にほ)へ百花(ももばな)
252万世(よろづよ)のほまれなりけり玉藻山(たまもやま)の
253今日(けふ)の別(わか)れは国土生(くにう)みの為(ため)と
254百鳥(ももどり)は千歳(ちとせ)を歌(うた)ひ百千草(ももちぐさ)は
255神世(みよ)寿(ことほ)ぎて風(かぜ)にそよげる
256国土生(くにう)みの神業(みわざ)の御供(みとも)仕(つか)へつつ
257今日(けふ)は悲(かな)しき別(わか)れするかも
258大空(おほぞら)の雲(くも)かき別(わ)けて天津陽(あまつひ)は
259岐美(きみ)が行手(ゆくて)を照(て)らさせ給(たま)へる』
260 顕津男(あきつを)の神(かみ)は、261馬上(ばじやう)より諸神(しよしん)に向(むか)ひ御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
262『百神(ももがみ)の心(こころ)かしこしわれは今(いま)
263今日(けふ)の門出(かどで)にかたじけなみ思(おも)ふ
264わが姿(すがた)ここに見(み)えねど霊線(たましひ)は
265永久(とは)に鎮(しづ)めて国土(くに)を守(まも)らむ
266玉野宮(たまのみや)に朝(あさ)な夕(ゆふ)なに仕(つか)へ奉(まつ)る
267神(かみ)をくだして形見(かたみ)とやせむ
268玉野(たまの)比女(ひめ)心(こころ)安(やす)かれ汝(な)が為(ため)に
269たすくる神(かみ)のいまや降(くだ)らむ』
270 斯(か)く歌(うた)ひ終(をは)り、271諸神(しよしん)に名残(なごり)を惜(を)しみつつ駒(こま)に鞭(むち)うち、272玉藻山(たまもやま)の傾斜面(なぞへ)を右(みぎ)に左(ひだり)に折(を)れ曲(まが)りて静(しづか)に下(くだ)らせ給(たま)ふ。273百神(ももがみ)は各自(おのもおのも)国境(くにざかひ)まで御供(みとも)に仕(つか)へむとして駒(こま)にまたがり、274御尾前(みをさき)に仕(つか)へ給(たま)ふ。275さり乍(なが)ら国中(くになか)比古(ひこ)の神(かみ)は生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)を守(まも)りつつ、276千代鶴(ちよつる)姫(ひめ)の神(かみ)を育(はぐ)くまむと駿馬(はやこま)に跨(またが)りかへらせ給(たま)ひ、277玉野(たまの)比女(ひめ)の神(かみ)は玉藻山(たまもやま)に残(のこ)りて、278大宮(おほみや)に親(した)しく仕(つか)へ給(たま)ふぞ畏(かしこ)けれ。
279(昭和八・一一・二七 旧一〇・一〇 於水明閣 内崎照代謹録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→