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霊界物語
天祥地瑞（第73～81巻）
第75巻（寅の巻）
序文
総説
第1篇 玉野神業
第1章 禊の神事
第2章 言霊の光
第3章 玉藻山
第4章 千条の滝
第5章 山上の祝辞
第6章 白駒の嘶
第2篇 国魂出現
第7章 瑞の言霊
第8章 結の言霊
第9章 千代の鶴
第3篇 真鶴の声
第10章 祈り言
第11章 魂反し
第12章 鶴の訣別（一）
第13章 鶴の訣別（二）
第14章 鶴の訣別（三）
第15章 鶴の訣別（四）
第16章 鶴の訣別（五）
第4篇 千山万水
第17章 西方の旅
第18章 神の道行
第19章 日南河
第20章 岸辺の出迎（一）
第21章 岸辺の出迎（二）
第22章 清浄潔白
第23章 魔の森林
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(B)
(N)
西方の旅 ＞＞＞
第一六章
鶴
(
つる
)
の
訣別
(
わかれ
)
（五）〔一九一〇〕
インフォメーション
著者：
出口王仁三郎
巻：
霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻
篇：
第3篇 真鶴の声
よみ（新仮名遣い）：
まなづるのこえ
章：
第16章 鶴の訣別（五）
よみ（新仮名遣い）：
つるのわかれ
通し章番号：
1910
口述日：
1933（昭和8）年11月27日（旧10月10日）
口述場所：
水明閣
筆録者：
林弥生
校正日：
校正場所：
初版発行日：
1934（昭和9）年2月3日
概要：
舞台：
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です（一部加筆訂正してあります）。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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：
顕津男の神が玉藻山を去りつつあるとき、玉野比女は寂しさに耐えかねて、玉野宮の大前にうずくまって神言を奏上し、静かに歌を歌った。
その歌は、顕津男の神を慕い、その姿を偲ぶ述懐の歌であった。また、自分は八十比女の一人でありながら、御子神を授かったのは生代比女だったことを悔やみ、ねたみの心が湧いてくるのをどうともしようがなくなってきた。
すると、玉藻山の松の枝を左右に揺らし、二柱の神が玉野宮居に天から下ってきた。
二柱の神は、それぞれ魂結（たまゆい）の神、中津柱の神と名乗り、主の神の言により、玉野比女を助けるために降ってきた、と明かす。
玉野比女は二神の降臨に驚きかつ喜び、また神に仕える身でありながら、神前に繰言を述べた自分を恥じた。
魂結の神は、玉野比女の真鶴国の将来を愁う真心が天に通じたのであり、自分は玉野宮に仕えて玉野比女を助けるために、主神より下されたのだ、と歌う。
中津柱の神は、顕津男の神の願いを主の神が容れて、自分は下ったのだ、と歌った。また、国魂の神は生代比女の御子なのではなく、八十比女である玉野比女の御子であると心得るよう諭した。
中津柱の神は、真鶴国を廻って神業の継続を助けよう、と歌い、遠見男の神が国事の全ての司であり、玉野宮居の司は玉野比女である、と役割を明らかにする。
そして、自分は真鶴国を隅々まで廻り、国の詳細が固まったならば天へ帰る、と自分の役割を明らかにした。
最後に、主の神の神言によって、魂結の神とともに、幾億万の年月を経てようやく「皇国」・「大やまとの国」として固めるというのがこれからの神業である、と結んだ。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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：
備考：
タグ：
データ凡例：
データ最終更新日：
OBC ：
rm7516
愛善世界社版：
八幡書店版：
第13輯 370頁
修補版：
校定版：
303頁
普及版：
初版：
ページ備考：
001
ここに
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は、
002
その
神業
(
みわざ
)
の
成
(
な
)
れるを
機会
(
しほ
)
に、
003
諸神
(
しよしん
)
におくられて
玉藻山
(
たまもやま
)
をしづしづ
下
(
くだ
)
り
給
(
たま
)
ひければ、
004
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
淋
(
さび
)
しさに
堪
(
た
)
へかねて、
005
玉野宮
(
たまのみや
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
蹲
(
うづく
)
まりつつ
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
終
(
をは
)
りて、
006
静
(
しづか
)
に
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
007
『
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
国土生
(
くにう
)
み
御子生
(
みこう
)
みの
008
神業
(
みわざ
)
終
(
をは
)
りて
帰
(
かへ
)
りましける
009
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
を
固
(
かた
)
めむとして
出
(
い
)
でましし
010
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
後姿
(
うしろで
)
なつかしも
011
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
る
月日
(
つきひ
)
の
光
(
かげ
)
も
何処
(
どこ
)
となく
012
淋
(
さび
)
しかりける
岐美
(
きみ
)
のなければ
013
高地秀
(
たかちほ
)
の
山
(
やま
)
より
下
(
くだ
)
りし
瑞御霊
(
みづみたま
)
014
その
御姿
(
みすがた
)
は
雄々
(
をを
)
しかりける
015
南
(
みんなみ
)
の
国土
(
くに
)
を
固
(
かた
)
めむと
出
(
い
)
でましし
016
岐美
(
きみ
)
は
今
(
いま
)
なし
白梅
(
しらうめ
)
は
散
(
ち
)
る
017
春
(
はる
)
の
陽
(
ひ
)
は
静
(
しづか
)
に
更
(
ふ
)
けて
夏草
(
なつぐさ
)
の
018
萌
(
も
)
ゆる
玉藻
(
たまも
)
の
山
(
やま
)
の
淋
(
さび
)
しさ
019
圓屋
(
まるや
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
三笠
(
みかさ
)
の
山
(
やま
)
の
根
(
ね
)
に
020
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ひていよよ
淋
(
さび
)
しも
021
八洲国
(
やしまぐに
)
ことごとめぐり
神
(
かみ
)
生
(
う
)
ます
022
岐美
(
きみ
)
はやさしも
又
(
また
)
つれなしも
023
わが
岐美
(
きみ
)
と
名乗
(
なの
)
る
言葉
(
ことば
)
も
口
(
くち
)
ごもり
024
ただ
一言
(
ひとこと
)
の
名乗
(
なの
)
りさへせず
025
いすくはし
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
の
目
(
め
)
に
浮
(
う
)
きて
026
いよよ
恋
(
こ
)
ふしく
淋
(
さび
)
しくなりぬ
027
岐美
(
きみ
)
の
姿
(
かげ
)
玉藻
(
たまも
)
の
山
(
やま
)
に
現
(
あ
)
れしより
028
早
(
はや
)
も
百日
(
ももか
)
を
過
(
す
)
ぎにけらしな
029
白梅
(
しらうめ
)
の
花
(
はな
)
にも
似
(
に
)
たる
粧
(
よそほ
)
ひを
030
持
(
も
)
たせる
岐美
(
きみ
)
は
懐
(
なつ
)
かしきかも
031
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
誓
(
ちか
)
ひは
重
(
おも
)
しさりながら
032
気永
(
けなが
)
く
待
(
ま
)
ちて
年
(
とし
)
さびにける
033
西
(
にし
)
東
(
ひがし
)
南
(
みなみ
)
や
北
(
きた
)
とめぐらして
034
神生
(
かみう
)
みのわざ
仕
(
つか
)
へますはも
035
日
(
ひ
)
を
重
(
かさ
)
ね
月
(
つき
)
をけみしてわが
岐美
(
きみ
)
は
036
四方
(
よも
)
の
国々
(
くにぐに
)
めぐりますかも
037
右
(
みぎ
)
り
左
(
ひだり
)
契
(
ちぎ
)
りなけれどわが
岐美
(
きみ
)
の
038
御姿
(
みすがた
)
思
(
おも
)
へば
恋
(
こ
)
ふしかりける
039
水火
(
いき
)
と
水火
(
いき
)
合
(
あは
)
せて
御子
(
みこ
)
をたしたしに
040
生
(
う
)
まむ
術
(
すべ
)
なきわが
身
(
み
)
を
悲
(
かな
)
しむ
041
いろいろに
花
(
はな
)
は
匂
(
にほ
)
へど
白梅
(
しらうめ
)
の
042
薫
(
かを
)
り
床
(
ゆか
)
しも
主
(
ス
)
の
種
(
たね
)
宿
(
やど
)
せば
043
梅
(
うめ
)
は
散
(
ち
)
り
桜
(
さくら
)
は
散
(
ち
)
りて
夏
(
なつ
)
の
日
(
ひ
)
も
044
いや
深
(
ふか
)
み
草
(
ぐさ
)
深
(
ふか
)
くなりぬる
045
奇
(
くし
)
びなる
縁
(
えにし
)
の
綱
(
つな
)
にからまれて
046
背
(
せ
)
とし
名
(
な
)
のれど
水火
(
いき
)
あはざりき
047
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
はわれをたすけむ
司神
(
つかさがみ
)
048
天降
(
あも
)
らせ
給
(
たま
)
ふと
聞
(
き
)
くぞ
嬉
(
うれ
)
しき
049
独
(
ひと
)
りのみ
只独
(
ただひと
)
りのみ
清庭
(
すがには
)
に
050
神世
(
みよ
)
を
祈
(
いの
)
れどうら
淋
(
さび
)
しもよ
051
月
(
つき
)
と
日
(
ひ
)
と
二
(
ふた
)
つ
並
(
なら
)
べる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
052
われは
淋
(
さび
)
しもひとり
住
(
す
)
まひて
053
奴婆玉
(
ぬばたま
)
の
闇
(
やみ
)
は
迫
(
せま
)
りぬわが
心
(
こころ
)
054
岐美
(
きみ
)
に
別
(
わか
)
れしそのたまゆらに
055
再
(
ふたた
)
びは
会
(
あ
)
はむ
術
(
すべ
)
なきわが
心
(
こころ
)
に
056
別
(
わか
)
れし
今日
(
けふ
)
のつれなさおもふ
057
結比合
(
むすびあはせ
)
の
神
(
かみ
)
はあれども
年
(
とし
)
さびし
058
われには
何
(
なん
)
の
甲斐
(
かひ
)
なかりけり
059
豊
(
ゆたか
)
なる
岐美
(
きみ
)
のよそほひ
見送
(
みおく
)
りて
060
ふたたび
涙
(
なみだ
)
あらたなりける
061
浮雲
(
うきぐも
)
の
流
(
なが
)
るる
見
(
み
)
つつ
思
(
おも
)
ふかな
062
わが
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
のはかなかる
世
(
よ
)
を
063
玉野丘
(
たまのをか
)
は
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
064
ふくれ
上
(
あが
)
りつ
淋
(
さび
)
しさまさる
065
景色
(
けしき
)
よき
玉藻
(
たまも
)
の
山
(
やま
)
の
眺
(
なが
)
めさへ
066
今日
(
けふ
)
はうれたく
思
(
おも
)
はるるかな
067
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
は
今
(
いま
)
やいづくぞ
大野原
(
おほのはら
)
068
醜草
(
しこぐさ
)
わけて
鞭
(
むち
)
うたすらむ
069
天地
(
あめつち
)
にひとりの
岐美
(
きみ
)
を
慕
(
した
)
ひつつ
070
長
(
なが
)
の
訣別
(
わかれ
)
を
生
(
い
)
きて
見
(
み
)
るかも
071
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
もいとど
悲
(
かな
)
しく
聞
(
きこ
)
ゆなり
072
わが
目
(
め
)
の
涙
(
なみだ
)
かわき
果
(
は
)
てずて
073
隔
(
へだ
)
てなき
岐美
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
を
悟
(
さと
)
りつも
074
かすかにうらみ
抱
(
いだ
)
きけるはや
075
愚
(
おろか
)
なるわが
魂線
(
たましひ
)
をたしなめて
076
笑顔
(
ゑがほ
)
に
迎
(
むか
)
へし
時
(
とき
)
のくるしさ
077
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
御子
(
みこ
)
078
安々
(
やすやす
)
生
(
う
)
ませ
給
(
たま
)
ひけるはや
079
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
若
(
も
)
しなかりせば
真鶴
(
まなづる
)
の
080
国魂神
(
くにたまがみ
)
は
生
(
うま
)
れざるべし
081
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
を
喜
(
よろこ
)
びつ
082
何
(
なに
)
かうらめし
心
(
こころ
)
の
湧
(
わ
)
くも
083
恐
(
おそ
)
ろしきものは
恋
(
こひ
)
かも
心
(
こころ
)
かも
084
よしとあしとの
差別
(
けぢめ
)
なければ
085
わが
心
(
こころ
)
乱
(
みだ
)
れけむかも
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
086
貴
(
うづ
)
の
功
(
いさを
)
をうらやましみおもふ
087
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
と
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
せて
生
(
う
)
みませる
088
千代鶴
(
ちよつる
)
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
めぐしも
089
わが
腹
(
はら
)
に
宿
(
やど
)
らす
御子
(
みこ
)
にあらねども
090
わが
子
(
こ
)
となりし
国魂神
(
くにたまがみ
)
はや
091
国魂
(
くにたま
)
の
御子
(
みこ
)
の
生
(
お
)
ひたつあしたまで
092
生代
(
いくよ
)
の
比女
(
ひめ
)
は
育
(
はぐ
)
くみ
給
(
たま
)
はむ
093
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
乳母神
(
ははがみ
)
と
094
なりて
仕
(
つか
)
へむさまのめぐしも
095
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
の
心
(
こころ
)
を
持
(
も
)
ちながら
096
ややともすれば
色
(
いろ
)
褪
(
あ
)
せにつつ
097
長閑
(
のどか
)
なる
春
(
はる
)
の
心
(
こころ
)
も
恋
(
こひ
)
ゆゑに
098
曇
(
くも
)
ると
思
(
おも
)
へば
恥
(
は
)
づかしのわれよ
099
愛
(
いと
)
しさと
恋
(
こ
)
ふしさまさり
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
の
100
御前
(
みまへ
)
にふるふ
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
うたてき
101
百千々
(
ももちぢ
)
に
砕
(
くだ
)
く
心
(
こころ
)
を
語
(
かた
)
らはむ
102
暇
(
いとま
)
もあらに
別
(
わか
)
れけるはや
103
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
にいらへむ
言葉
(
ことば
)
なきままに
104
われは
許
(
ゆる
)
しぬ
恋
(
こひ
)
の
仇神
(
あだがみ
)
を
105
起
(
お
)
きて
見
(
み
)
つ
寝
(
ね
)
て
思
(
おも
)
ひつつ
御子
(
みこ
)
のなき
106
われを
悲
(
かな
)
しむ
玉藻
(
たまも
)
の
山
(
やま
)
に』
107
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
108
玉藻山
(
たまもやま
)
の
常磐
(
ときは
)
の
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずゑ
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
にさゆらせつつ、
109
雲路
(
くもぢ
)
を
別
(
わ
)
けて
玉野
(
たまの
)
宮居
(
みやゐ
)
の
清庭
(
すがには
)
に、
110
二柱
(
ふたはしら
)
の
神
(
かみ
)
悠然
(
いうぜん
)
として
天降
(
あも
)
りまし、
111
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御側
(
みそば
)
近
(
ちか
)
く
立
(
た
)
たせ
給
(
たま
)
ひつつ
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
112
『われこそは
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
神言
(
みこと
)
もて
113
ここに
降
(
くだ
)
りし
魂結
(
たまゆひ
)
の
神
(
かみ
)
114
中津柱
(
なかつはしら
)
神
(
かみ
)
は
天降
(
あも
)
りぬ
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
115
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
汝
(
なれ
)
たすけむと』
116
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
117
且
(
か
)
つ
喜
(
よろこ
)
び
且
(
か
)
つ
驚
(
おどろ
)
きつつ、
118
謹
(
つつし
)
みて
二柱
(
ふたはしら
)
の
神
(
かみ
)
に
向
(
むか
)
ひ
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
119
『
朝夕
(
あさゆふ
)
のわが
願
(
ね
)
ぎ
言
(
ごと
)
の
叶
(
かな
)
ひしか
120
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
現
(
あ
)
れませしはや
121
中津柱
(
なかつはしら
)
神
(
かみ
)
の
天降
(
あも
)
りしと
聞
(
き
)
くからに
122
わが
魂線
(
たましひ
)
はよみがへりつつ
123
魂結
(
たまゆひ
)
の
神
(
かみ
)
のこの
地
(
ち
)
に
天降
(
あも
)
りまさば
124
わが
神業
(
かむわざ
)
も
易
(
やす
)
く
成
(
な
)
るべし
125
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
の
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
たせる
淋
(
さび
)
しさに
126
われは
神前
(
みまへ
)
に
繰言
(
くりごと
)
宣
(
の
)
りぬ
127
二柱
(
ふたはしら
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
らば
128
吾
(
われ
)
は
消
(
き
)
えなむ
思
(
おも
)
ひするかも
129
さすがにも
女神
(
めがみ
)
なるかもかへらざる
130
ことをくどくど
繰返
(
くりかへ
)
しつつ
131
今更
(
いまさら
)
にわが
身
(
み
)
恥
(
は
)
づかしくなりにけり
132
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
ふる
身
(
み
)
ながらにして』
133
ここに
魂結
(
たまゆひ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
134
『
真鶴
(
まなづる
)
の
国
(
くに
)
漸
(
やうや
)
くになりたれば
135
汝
(
なれ
)
たすけむとわれは
天降
(
あも
)
りぬ
136
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けくおはしませ
137
汝
(
なれ
)
の
真心
(
まごころ
)
天
(
あめ
)
にかよへり
138
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
は
汝
(
な
)
が
真心
(
まごころ
)
をさとりまし
139
神業
(
みわざ
)
たすくとわれを
降
(
くだ
)
せり
140
真鶴
(
まなづる
)
の
国
(
くに
)
は
広
(
ひろ
)
けし
遠見男
(
とほみを
)
の
141
神
(
かみ
)
一人
(
ひとり
)
して
如何
(
いか
)
で
治
(
をさ
)
め
得
(
え
)
む
142
今日
(
けふ
)
よりは
玉野
(
たまの
)
宮居
(
みやゐ
)
の
清庭
(
すがには
)
に
143
仕
(
つか
)
へて
汝
(
なれ
)
を
補
(
たす
)
けまつらむ
144
有難
(
ありがた
)
き
神世
(
みよ
)
となりけり
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
145
折々
(
をりをり
)
天降
(
あも
)
らす
玉藻
(
たまも
)
の
神山
(
かみやま
)
』
146
中津柱
(
なかつはしら
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
147
『
真鶴
(
まなづる
)
の
広国原
(
ひろくにはら
)
の
中津柱
(
なかつはしら
)
148
神
(
かみ
)
と
現
(
あらは
)
れわれ
天降
(
あも
)
りけり
149
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
畏
(
かしこ
)
みて
150
われ
治
(
をさ
)
めむと
降
(
くだ
)
りけるはや
151
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
のまことの
願
(
ね
)
ぎ
言
(
ごと
)
を
152
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
許
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
ひぬ
153
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
の
正
(
ただ
)
しさに
154
われ
紫微宮
(
しびきう
)
ゆ
天降
(
あまくだ
)
りたり
155
新
(
あたら
)
しく
造
(
つく
)
り
固
(
かた
)
めし
真鶴
(
まなづる
)
の
156
国土
(
くに
)
の
木草
(
きぐさ
)
の
稚々
(
わかわか
)
しもよ
157
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
守
(
まも
)
りて
気永
(
けなが
)
くも
158
待
(
ま
)
たせる
玉野
(
たまの
)
の
比女
(
ひめ
)
のかしこさ
159
国魂
(
くにたま
)
の
神
(
かみ
)
生
(
あ
)
れませり
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
160
御子
(
みこ
)
には
非
(
あら
)
ず
汝
(
なれ
)
が
御子
(
みこ
)
なり
161
汝
(
な
)
が
腹
(
はら
)
ゆ
生
(
あ
)
れます
御子
(
みこ
)
と
諾
(
うべ
)
なひて
162
めぐしみ
給
(
たま
)
へ
国魂
(
くにたま
)
の
御子
(
みこ
)
を
163
今日
(
けふ
)
よりは
真鶴国
(
まなづるくに
)
を
経巡
(
へめぐ
)
りて
164
汝
(
な
)
が
神業
(
かむわざ
)
をあななひまつらむ
165
遠見男
(
とほみを
)
の
神
(
かみ
)
は
総
(
すべ
)
ての
司
(
つかさ
)
ぞや
166
玉野
(
たまの
)
宮居
(
みやゐ
)
の
司
(
つかさ
)
は
汝
(
なれ
)
ぞや
167
永久
(
とこしへ
)
に
玉野
(
たまの
)
宮居
(
みやゐ
)
に
仕
(
つか
)
へまして
168
国魂神
(
くにたまがみ
)
を
守
(
まも
)
らせたまへ
169
三笠山
(
みかさやま
)
真鶴山
(
まなづるやま
)
と
経巡
(
へめぐ
)
りて
170
国土
(
くに
)
のはしばしひらき
守
(
まも
)
らむ
171
真鶴
(
まなづる
)
の
国原
(
くにはら
)
詳細
(
つぶさ
)
に
固
(
かた
)
まらば
172
われは
帰
(
かへ
)
らむ
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
へ
173
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
に
代
(
かは
)
りてわれは
今
(
いま
)
174
国土
(
くに
)
固
(
かた
)
めむと
降
(
くだ
)
りつるはや
175
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
はあちこち
経巡
(
へめぐ
)
りて
176
何時
(
いつ
)
か
姿
(
すがた
)
をかくしましける
177
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
に
真鶴
(
まなづる
)
の
178
国土
(
くに
)
すみずみまでひらかれて
行
(
ゆ
)
く。
179
アカサタナ
180
ハマヤラワ
181
ガザダバパ
182
いく
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さちは
)
ひて
183
真鶴国
(
まなづるくに
)
は
生
(
あ
)
れましぬ
184
国魂神
(
くにたまがみ
)
は
健
(
すこや
)
かに
185
生
(
うま
)
れましける
千代
(
ちよ
)
八千代
(
やちよ
)
186
栄
(
さか
)
ゆる
神世
(
みよ
)
は
真鶴
(
まなづる
)
の
187
千歳
(
ちとせ
)
の
齢
(
よはひ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
188
月日
(
つきひ
)
と
共
(
とも
)
に
動
(
うご
)
かざれ
189
国
(
くに
)
の
宮居
(
みやゐ
)
の
清庭
(
すがには
)
は
190
雲井
(
くもゐ
)
の
上
(
うへ
)
にいや
高
(
たか
)
く
191
そそり
立
(
た
)
ちつつ
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
192
光
(
ひかり
)
を
四方
(
よも
)
に
照
(
て
)
らすなり
193
われは
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
神言
(
みこと
)
もて
194
中津柱
(
なかつはしら
)
と
現
(
あらは
)
れつ
195
魂結
(
たまゆひ
)
の
神
(
かみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
196
これの
聖所
(
すがど
)
を
永遠
(
とことは
)
に
197
守
(
まも
)
り
守
(
まも
)
りて
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
198
栄
(
さかえ
)
を
委曲
(
うまら
)
に
開
(
ひら
)
くべし
199
幾億万
(
いくおくまん
)
の
年月
(
としつき
)
を
200
隔
(
へだ
)
ててやうやう
皇国
(
すめらくに
)
201
大
(
おほ
)
やまと
国
(
ぐに
)
固
(
かた
)
むべき
202
今日
(
けふ
)
の
神業
(
みわざ
)
の
尊
(
たふと
)
さよ
203
今日
(
けふ
)
の
神業
(
みわざ
)
の
畏
(
かしこ
)
さよ
204
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
205
言霊
(
ことたま
)
御稜威
(
みいづ
)
尊
(
たふと
)
けれ』
206
（
昭和八・一一・二七
旧一〇・一〇
於水明閣
林弥生
謹録）
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