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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第77巻(辰の巻)
序文
第1篇 万里の海原
第1章 天馬行空
第2章 天地七柱
第3章 狭野の食国
第4章 狭野の島生み
第5章 言霊生島
第6章 田族島着陸
第2篇 十一神将
第7章 万里平定
第8章 征魔の出陣
第9章 馬上征誦
第10章 樹下の雨宿
第11章 望月の影
第12章 月下の森蔭
第3篇 善戦善闘
第13章 五男三女神
第14章 夜光の眼球
第15章 笹原の邂逅
第16章 妖術破滅
第17章 剣槍の雨
第18章 国津女神
第19章 邪神全滅
第20章 女神の復命
第4篇 歓天喜地
第21章 泉の森出発
第22章 歓声満天(一)
第23章 歓声満天(二)
第24章 会者定離
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天祥地瑞(第73~81巻)
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第77巻(辰の巻)
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(B)
(N)
剣槍の雨 >>>
第一六章
妖術
(
えうじゆつ
)
破滅
(
はめつ
)
〔一九四八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻
篇:
第3篇 善戦善闘
よみ(新仮名遣い):
ぜんせんぜんとう
章:
第16章 妖術破滅
よみ(新仮名遣い):
ようじゅつはめつ
通し章番号:
1948
口述日:
1933(昭和8)年12月15日(旧10月28日)
口述場所:
大阪分院蒼雲閣
筆録者:
林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
征服戦主将である霊山比古の神は、三柱の比女神による言霊戦部署を、広原の片に立つ楠の根元に定めた。そしてどんなことがあろうと、アオウエイの言霊が聞こえるまでは、一歩もその場を動くことなく、男神の戦闘を助けるように生言霊の光を放つよう、命じおいた。
霊山比古は深谷川の右側、保宗比古は左側、直道比古は第二の谷間の右側、正道比古は左側、雲川比古は最左翼を、それぞれ言霊を絶え間なく宣りあげつつ、登っていくこととなった。
曲津神たちは、登山道に千引きの岩となって立ちふさがったが、神世無双の英雄神である一同はものともせず、強行的に生言霊を上げながら、おのおの進んでいく。
霊山比古は、駒をとどめおき、心静かに言霊歌を歌った。自ら、ヲ声より生まれた主の神の生き宮居であり、主の神の御手代である、と名乗り上げた。
霊山比古は、行く手をさえぎる巌の上を飛び越えていくが、そのたびに曲津神の巌は、綿のように揺らいだ。その中のもっとも大きな巌の上に突っ立ち、タトツテチ、カコクケキの生言霊を宣りあげると、曲津神は本当の巌となり、動くことができなくなってしまった。
霊山比古は勝利の歌を歌った。すると、曲津神の化けた巌々は、いっせいに大音響をたてて、谷底へ落ちくだりはじめた。霊山比古がふと見下ろすと、三柱の比女神たちが登ってくるのが見えた。そして、落ち下る巌に、押し潰されそうになり、泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
霊山比古はすぐさま助けに下りて行こうとしたが、三柱の比女神は、楠の下で言霊を照らして鎮まり待機しているはずなので、谷を登ってくるはずがない。自分が下りていったら、上から押し潰そうという曲津神の計略と気づき、霊山比古は、大巌の上で四股を踏み鳴らし、曲津神の大巌を地中に深くめりこませ、埋めてしまった。
霊山比古が作戦計画に時を移そうと、しばし息を休めていると、田族比女の神がにわかに現れ、竜の岩窟へ進め、と指令を下した。霊山比古はカコクケキの言霊を発すれば、田族比女の神に変化した邪神は、答えにつまり、身体震え、次第に細くなって煙のごとく消えてしまった。
霊山比古はふたたび勝利の歌を歌った。そして、向かいの谷辺にわたり、保宗比古の神業を助けようと、次の行動計画を練った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7716
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 660頁
修補版:
校定版:
273頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
一行
(
いつかう
)
の
先頭
(
せんとう
)
にたち、
002
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
に
対
(
たい
)
し
征服戦
(
せいふくせん
)
主将
(
しゆしやう
)
と
任
(
ま
)
けられたる
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は、
003
思
(
おも
)
ふところありてか、
004
三柱
(
みはしら
)
比女神
(
ひめがみ
)
の
言霊戦
(
ことたません
)
の
部署
(
ぶしよ
)
を、
005
広原
(
ひろはら
)
の
片方
(
かたへ
)
にこんもりと
立
(
た
)
てる
楠
(
くす
)
の
樹
(
き
)
の
根元
(
ねもと
)
と
定
(
さだ
)
め、
006
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
ありともアオウエイの
言霊
(
ことたま
)
の
聞
(
きこ
)
ゆる
迄
(
まで
)
は、
007
一歩
(
いつぽ
)
も
此処
(
ここ
)
を
動
(
うご
)
き
給
(
たま
)
はず、
008
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
戦闘
(
せんとう
)
を
援
(
たす
)
くべく
生言霊
(
いくことたま
)
の
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
ち、
009
ひかへさせ
給
(
たま
)
へと、
010
かく
命
(
めい
)
じ
置
(
お
)
き、
011
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
深谷川
(
ふかたにがは
)
の
右側
(
みぎがは
)
を、
012
保宗
(
もちむね
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
左側
(
ひだりがは
)
を、
013
直道
(
なほみち
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
第二
(
だいに
)
の
谷間
(
たにま
)
の
右側
(
みぎがは
)
を、
014
正道
(
まさみち
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
第二
(
だいに
)
の
谷川
(
たにがは
)
の
左側
(
ひだりがは
)
を、
015
雲川
(
くもかは
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
最左翼
(
さいさよく
)
を、
016
各自
(
おのもおのも
)
言霊
(
ことたま
)
を
間断
(
かんだん
)
なく
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げつつ
登
(
のぼ
)
らせ
給
(
たま
)
ふこととはなりける。
017
ここに
曲津神
(
まがつかみ
)
等
(
たち
)
は、
018
五柱
(
いつはしら
)
の
神
(
かみ
)
の
激
(
はげ
)
しき
鋭
(
するど
)
き
清
(
きよ
)
き
赤
(
あか
)
き
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
の
力
(
ちから
)
に
怖
(
お
)
ぢ
恐
(
おそ
)
れ、
019
登山
(
とざん
)
を
防
(
ふせ
)
がむとして
八十
(
やそ
)
の
曲津見
(
まがつみ
)
を
駆
(
か
)
り
集
(
あつ
)
め、
020
何
(
いづ
)
れも
巨大
(
きよだい
)
なる
千引
(
ちびき
)
の
巌
(
いは
)
と
化
(
くわ
)
せしめ、
021
神々
(
かみがみ
)
の
登
(
のぼ
)
らす
道
(
みち
)
の
前途
(
ぜんと
)
に、
022
折
(
を
)
り
重
(
かさ
)
なりて
遮
(
さへぎ
)
りたれば、
023
一歩
(
いつぽ
)
も
進
(
すす
)
みたまふこと
能
(
あた
)
はざるに
至
(
いた
)
りたり。
024
されど
神々
(
かみがみ
)
は
何
(
いづ
)
れも
神世
(
かみよ
)
に
於
(
お
)
ける
無双
(
むさう
)
の
英雄神
(
えいゆうしん
)
におはしましければ、
025
かかる
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
の
全力
(
ぜんりよく
)
をつくしての
防禦
(
ばうぎよ
)
も
何
(
なん
)
のものかはと、
026
強行
(
きやうかう
)
的
(
てき
)
に
生言霊
(
いくことたま
)
を
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げながら
各自
(
おのもおのも
)
に
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふぞ
雄々
(
をを
)
しかりける。
027
ここに
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は、
028
駒
(
こま
)
を
小笹
(
をざさ
)
ケ
原
(
はら
)
の
楠
(
くす
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
遊
(
あそ
)
ばせ
置
(
お
)
き、
029
右側
(
みぎがは
)
の
谷間
(
たにま
)
を
強行
(
きやうかう
)
的
(
てき
)
に
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
らせ
乍
(
なが
)
ら、
030
心
(
こころ
)
静
(
しづ
)
かに
言霊歌
(
ことたまうた
)
を
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
031
『
白馬
(
はくば
)
ケ
岳
(
だけ
)
はさかしとも
032
魔棲
(
ますみ
)
ケ
谷
(
やつ
)
は
深
(
ふか
)
くとも
033
千引
(
ちびき
)
の
巌
(
いは
)
はさやるとも
034
山気
(
さんき
)
は
怪
(
あや
)
しく
濁
(
にご
)
るとも
035
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
のヲの
声
(
こゑ
)
に
036
なり
出
(
い
)
でここに
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
と
037
御名
(
みな
)
を
賜
(
たま
)
ひし
吾
(
われ
)
なれば
038
如何
(
いか
)
でひるまむ
魔
(
ま
)
の
山
(
やま
)
も
039
霊
(
たま
)
の
神山
(
みやま
)
と
浄
(
きよ
)
めつつ
040
万里
(
まで
)
の
島根
(
しまね
)
の
雲霧
(
くもきり
)
を
041
生言霊
(
いくことたま
)
に
伊吹
(
いぶ
)
き
払
(
はら
)
ひ
042
雲霧
(
くもきり
)
隈
(
くま
)
なく
晴
(
は
)
らしつつ
043
国土
(
くに
)
にわざ
為
(
な
)
す
太刀膚
(
たちはだ
)
の
044
大蛇
(
をろち
)
を
始
(
はじ
)
め
肝
(
きも
)
向
(
むか
)
ふ
045
心
(
こころ
)
きたなき
大蛇
(
をろち
)
の
輩
(
やから
)
を
046
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
しならざれば
047
わが
言霊
(
ことたま
)
の
剣
(
つるぎ
)
もて
048
百段
(
ももきざ
)
千段
(
ちきざ
)
に
斬
(
き
)
り
放
(
はふ
)
り
049
国土
(
くに
)
の
災
(
まが
)
をば
永久
(
とこしへ
)
に
050
除
(
のぞ
)
きまつらむ
惟神
(
かむながら
)
051
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
倶
(
とも
)
にあり
052
吾
(
われ
)
はもとより
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
053
ヲ
声
(
ごゑ
)
の
言霊
(
ことたま
)
御子
(
みこ
)
なれや
054
永久
(
とは
)
に
鎮
(
しづ
)
まる
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
055
貴
(
うづ
)
の
宮居
(
みや
)
なり
生
(
いき
)
の
宮居
(
みや
)
よ
056
かくも
尊
(
たふと
)
き
言霊
(
ことたま
)
の
057
水火
(
いき
)
を
保
(
たも
)
ちて
世
(
よ
)
に
出
(
い
)
でし
058
われは
真言
(
まこと
)
の
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
059
貴
(
うづ
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
御手代
(
みてしろ
)
よ
060
ああ
勇
(
いさ
)
ましき
今日
(
けふ
)
の
旅
(
たび
)
061
魔神
(
まがみ
)
は
如何
(
いか
)
にさやるとも
062
大蛇
(
をろち
)
の
荒
(
すさ
)
びしげくとも
063
百津
(
ゆつ
)
石村
(
いはむら
)
の
千引巌
(
ちびきいは
)
064
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
行手
(
ゆくて
)
を
囲
(
かこ
)
むとも
065
何
(
なに
)
かあらむや
言霊
(
ことたま
)
の
066
貴
(
うづ
)
の
剣
(
つるぎ
)
をぬきかざし
067
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
進
(
すす
)
むべし
068
ああ
面白
(
おもしろ
)
や
面白
(
おもしろ
)
や
069
天地
(
あめつち
)
開
(
ひら
)
けし
初
(
はじ
)
めより
070
かかるためしはあら
尊
(
たふと
)
071
万里
(
まで
)
の
島根
(
しまね
)
を
永久
(
とこしへ
)
に
072
うら
安国
(
やすくに
)
と
定
(
さだ
)
むべく
073
魔神
(
まがみ
)
の
征途
(
きため
)
に
向
(
むか
)
ふこそ
074
実
(
げ
)
に
勇
(
いさ
)
ましき
次第
(
しだい
)
なり
075
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
076
生言霊
(
いくことたま
)
に
幸
(
さち
)
あれや』
077
かく
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ひつつ
078
さしもに
嶮
(
けは
)
しき
荊蕀
(
いばら
)
の
道
(
みち
)
を
079
深谷川
(
ふかたにがは
)
に
添
(
そ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
080
ただ
一柱
(
ひとはしら
)
悠々
(
いういう
)
と
081
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へば
曲津見
(
まがつみ
)
の
082
群
(
むれ
)
は
見上
(
みあ
)
ぐるばかりの
巨石
(
きよせき
)
となり
083
幾百千
(
いくひやくせん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなく
084
道
(
みち
)
の
前途
(
ぜんと
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎつつ
085
崩
(
くづ
)
れかからむと
揺
(
ゆる
)
ぎ
出
(
だ
)
す
086
その
光景
(
くわうけい
)
の
凄
(
すさま
)
じさ
087
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
曲津見
(
まがつみ
)
の
088
いたづらならむと
恐
(
おそ
)
れげも
089
なく
巌
(
いはほ
)
をば
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
えて
090
登
(
のぼ
)
らせ
給
(
たま
)
へば
百千々
(
ももちぢ
)
の
091
千引
(
ちびき
)
の
巌
(
いは
)
は
各
(
おの
)
も
各
(
おの
)
も
092
綿
(
わた
)
の
如
(
ごと
)
くにゆるぎ
出
(
だ
)
し
093
事
(
こと
)
の
意外
(
いぐわい
)
にあきれたる
094
その
活劇
(
くわつげき
)
のをかしさに
095
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
の
096
最
(
もつと
)
も
巨大
(
きよだい
)
なる
巌
(
いは
)
の
上
(
へ
)
に
097
突
(
つ
)
つ
立
(
た
)
ち
給
(
たま
)
ひつつ
098
化身
(
けしん
)
の
巌
(
いは
)
を
悉
(
ことごと
)
く
099
タトツテチ、カコクケキと
100
生言霊
(
いくことたま
)
を
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げて
101
真言
(
まこと
)
の
巌
(
いは
)
と
為
(
な
)
し
給
(
たま
)
へば
102
さすがの
邪鬼
(
じやき
)
も
動
(
うご
)
き
得
(
え
)
ず
103
かすかに
呻吟
(
うめき
)
の
声
(
こゑ
)
たてて
104
進退
(
しんたい
)
不動
(
ふどう
)
となりにける。
105
『
曲津見
(
まがつみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
奸計
(
たくみ
)
の
浅
(
あさ
)
はかさ
106
われを
奸計
(
はか
)
らひ
謀
(
はか
)
られけるも
107
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
は
数
(
かず
)
の
限
(
かぎ
)
りを
集
(
あつ
)
めつつ
108
巌
(
いはほ
)
となりてわれにさやれり
109
さやりたる
曲津見
(
まがみ
)
の
神
(
かみ
)
の
化
(
ば
)
け
巌
(
いは
)
を
110
わが
言霊
(
ことたま
)
に
真巌
(
まいは
)
と
固
(
かた
)
めし
111
かくならば
曲津神
(
まがつかみ
)
等
(
ら
)
も
動
(
うご
)
くべき
112
力
(
ちから
)
なからむああ
面白
(
おもしろ
)
し
113
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
の
奸計
(
たくみ
)
は
深
(
ふか
)
く
見
(
み
)
ゆれども
114
生言霊
(
いくことたま
)
に
容易
(
たやす
)
く
亡
(
ほろ
)
ぶる
115
亡
(
ほろ
)
ぶべき
運命
(
さだめ
)
を
持
(
も
)
てる
曲津見
(
まがつみ
)
の
116
雄猛
(
をたけ
)
びこそは
憐
(
あは
)
れなりけり
117
わが
立
(
た
)
ちしこれの
巌
(
いはほ
)
も
曲津見
(
まがつみ
)
の
118
中
(
なか
)
に
勝
(
すぐ
)
れし
輩
(
やから
)
なりける
119
東側
(
ひがしがは
)
の
谷間
(
たにま
)
の
悪魔
(
あくま
)
ことごとを
120
率
(
ひき
)
ゐし
曲津
(
まが
)
を
足下
(
そくか
)
にふまへるも
121
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
は
身動
(
みうご
)
きならぬ
常巌
(
ただいは
)
と
122
なりてかすかにうめきゐるかも』
123
かく
歌
(
うた
)
はせ
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
124
百千
(
ももち
)
の
巌
(
いは
)
は
谷間
(
たにま
)
に
向
(
むか
)
つて
百雷
(
ひやくらい
)
の
落
(
お
)
つるが
如
(
ごと
)
き
大音響
(
だいおんきやう
)
をたて、
125
佐久那太理
(
さくなだり
)
に
落
(
お
)
ちくだち
始
(
はじ
)
めたり。
126
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は、
127
この
光景
(
くわうけい
)
を
面白
(
おもしろ
)
しと
大巌
(
おほいは
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
ちて
瞰下
(
みおろ
)
し
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
しもあれ、
128
三柱
(
みはしら
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
静
(
しづ
)
かに
登
(
のぼ
)
り
来
(
き
)
まし、
129
千引
(
ちびき
)
の
巌
(
いは
)
に
圧
(
あつ
)
せられ
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
び
給
(
たま
)
ふ
声
(
こゑ
)
、
130
天地
(
てんち
)
も
割
(
わ
)
るるばかり
聞
(
きこ
)
えける。
131
ここに
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
三柱
(
みはしら
)
比女神
(
ひめがみ
)
を
救
(
すく
)
はむと、
132
巨巌
(
きよがん
)
の
上
(
うへ
)
より
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
り
給
(
たま
)
はむとせしが、
133
俄
(
にはか
)
に
心付
(
こころづ
)
き
給
(
たま
)
ひて、
134
待
(
ま
)
てしばし、
135
三柱
(
みはしら
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
は
楠
(
くす
)
の
大樹
(
おほき
)
の
下蔭
(
したかげ
)
に
言霊
(
ことたま
)
照
(
てら
)
して
鎮
(
しづ
)
まりいませば、
136
この
谷間
(
たにま
)
を
登
(
のぼ
)
り
来
(
き
)
まさむ
理由
(
りゆう
)
なし。
137
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
は
一計
(
いつけい
)
を
案
(
あん
)
じ、
138
吾目
(
わがめ
)
をくらまし、
139
三柱
(
みはしら
)
比女神
(
ひめがみ
)
と
見
(
み
)
せかけわが
救
(
すく
)
ひゆく
谷道
(
たにみち
)
に、
140
上
(
うへ
)
より
巨巌
(
きよがん
)
となりし
悪魔
(
あくま
)
は
落
(
お
)
ち
来
(
き
)
て、
141
わが
気魂
(
からたま
)
を
砕
(
くだ
)
かむ
奸計
(
たくみ
)
なるべしと
思召
(
おぼしめ
)
すより、
142
平然
(
へいぜん
)
として
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
の
悲鳴
(
ひめい
)
を
瞰下
(
かんか
)
し
給
(
たま
)
ひつつ
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
143
『
三柱
(
みはしら
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
にはあらで
醜神
(
しこがみ
)
の
144
醜
(
しこ
)
の
奸計
(
たくみ
)
よ
面白
(
おもしろ
)
きかな
145
如何程
(
いかほど
)
に
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶとも
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
の
146
醜
(
しこ
)
の
奸計
(
たくみ
)
よ
比女
(
ひめ
)
は
無事
(
ぶじ
)
なり
147
比女神
(
ひめがみ
)
をわれ
救
(
すく
)
はむと
下
(
くだ
)
りなば
148
これの
巌
(
いはほ
)
はわれを
打
(
う
)
つべし
149
永久
(
とこしへ
)
にこの
巌ケ根
(
いはがね
)
を
地
(
つち
)
深
(
ふか
)
く
150
埋
(
うづ
)
めて
千代
(
ちよ
)
のこらしめとせむ』
151
ここに
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は、
152
大巌
(
おほいは
)
の
上
(
うへ
)
に
四股
(
しこ
)
踏
(
ふ
)
みならし
給
(
たま
)
へば、
153
未
(
ま
)
だ
地
(
つち
)
稚
(
わか
)
きこの
谷川辺
(
たにがはべ
)
は、
154
一足
(
ひとあし
)
踏
(
ふ
)
ます
毎
(
ごと
)
に
巨巌
(
きよがん
)
は
土中
(
どちう
)
に
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
余
(
あま
)
りも、
155
め
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
みて
遂
(
つひ
)
には
其
(
そ
)
の
表面
(
へうめん
)
を
地上
(
ちじやう
)
に
現
(
あら
)
はすばかりとなりにける。
156
ここに
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は、
157
この
巌
(
いは
)
を
憩所
(
やすど
)
とし、
158
暫
(
しば
)
し
水火
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて、
159
作戦
(
さくせん
)
計画
(
けいくわく
)
に
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
し
給
(
たま
)
ふ。
160
折
(
をり
)
しもあれ、
161
『
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
の
尊
(
たふと
)
さを
162
見
(
み
)
むとてわれは
天
(
あま
)
翔
(
かけ
)
り
来
(
き
)
つ
163
清水
(
しみづ
)
湧
(
わ
)
く
泉
(
いづみ
)
の
森
(
もり
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
164
われいや
先
(
さき
)
に
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
つるも
165
かくの
如
(
ごと
)
功
(
いさを
)
のしるき
汝
(
なれ
)
なれば
166
いざや
進
(
すす
)
まむ
竜
(
りう
)
の
巌窟
(
いはや
)
へ
167
われこそは
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
田族
(
たから
)
比女
(
ひめ
)
よ
168
ゆめ
疑
(
うたが
)
ふな
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
』
169
霊山
(
たまやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
もて
応
(
こた
)
へ
給
(
たま
)
ふ。
170
『
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
と
白
(
まを
)
すは
偽
(
いつは
)
りなるよ
171
わが
眼
(
め
)
は
清
(
すが
)
しわが
魂
(
たま
)
明
(
あか
)
し
172
曲津見
(
まがつみ
)
は
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
と
身
(
み
)
を
変
(
へん
)
じ
173
われ
亡
(
ほろ
)
ぼすと
奸計
(
たくら
)
み
居
(
ゐ
)
るも
174
わが
敏
(
と
)
き
眼
(
め
)
迷
(
まよ
)
はさむとする
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
の
175
奸計
(
たくみ
)
の
罠
(
わな
)
の
浅
(
あさ
)
はかなるも
176
真
(
まこと
)
汝
(
なれ
)
は
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
にあるならば
177
わが
言霊
(
ことたま
)
に
応
(
こた
)
へまつれよ
178
カコクケキ
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
る
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
179
水火
(
いき
)
の
力
(
ちから
)
に
曲津
(
まが
)
を
照
(
て
)
らさむ
180
汝
(
なれ
)
こそは
魔棲
(
ますみ
)
ケ
谷
(
やつ
)
にたてこもる
181
竜
(
りう
)
に
仕
(
つか
)
ふる
魔神
(
まがみ
)
なるべし』
182
かく
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
へば、
183
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
に
変装
(
へんさう
)
したる
邪神
(
じやしん
)
は、
184
何
(
なん
)
の
応
(
いら
)
へもなく、
185
言句
(
げんく
)
つまり、
186
身体
(
しんたい
)
震
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
き、
187
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
姿
(
かげ
)
細
(
ほそ
)
り、
188
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける。
189
『
面白
(
おもしろ
)
し
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
奸計
(
たくらみ
)
は
190
今
(
いま
)
や
煙
(
けむり
)
となりて
消
(
き
)
えぬる
191
百千々
(
ももちぢ
)
の
巌
(
いはほ
)
と
変
(
かは
)
り
三柱
(
みはしら
)
の
192
比女神
(
ひめがみ
)
と
化
(
な
)
りさやぐ
曲津
(
まが
)
かも
193
曲津見
(
まがつみ
)
は
再
(
ふたた
)
び
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
となり
194
われ
悩
(
なや
)
ますと
現
(
あら
)
はれしはや
195
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
の
力
(
ちから
)
に
敵
(
てき
)
しかねて
196
煙
(
けむり
)
と
失
(
う
)
せけり
曲津見
(
まがつみ
)
の
神
(
かみ
)
は
197
白馬
(
はくば
)
ケ
岳
(
だけ
)
百谷
(
ももだに
)
千谷
(
ちだに
)
に
潜
(
ひそ
)
みたる
198
曲津
(
まが
)
はしきりに
黒雲
(
くろくも
)
吐
(
は
)
くかも
199
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
もここを
先途
(
せんど
)
と
戦
(
たたか
)
ふか
200
百谷
(
ももだに
)
千谷
(
ちだに
)
に
黒雲
(
くろくも
)
たちたつ
201
巌
(
いは
)
となりてころげ
落
(
お
)
ちたる
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
の
202
猛
(
たけ
)
びの
音
(
おと
)
は
天
(
てん
)
にとどけり
203
いざさらば
生言霊
(
いくことたま
)
の
剣
(
つるぎ
)
もて
204
曲津
(
まが
)
の
砦
(
とりで
)
に
直
(
ただ
)
に
向
(
むか
)
はむ
205
見渡
(
みわた
)
せば
千峡
(
ちがひ
)
八百峡
(
やほがひ
)
ことごとく
206
あやめもわかぬ
黒雲
(
くろくも
)
包
(
つつ
)
みぬ
207
わが
立
(
た
)
てるこの
巌ケ根
(
いはがね
)
の
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
は
208
雲霧
(
くもきり
)
晴
(
は
)
れてそよ
風
(
かぜ
)
渡
(
わた
)
るも
209
三柱
(
みはしら
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
もしも
登
(
のぼ
)
りませば
210
われは
魔神
(
まがみ
)
にあやまたれけむ
211
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
は
何処
(
どこ
)
までも
動
(
うご
)
かじと
212
誓
(
ちか
)
ひ
給
(
たま
)
へばわれ
憚
(
はばか
)
らじ
213
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
の
悩
(
なや
)
みと
見
(
み
)
せかけて
214
われを
奸計
(
はか
)
らふ
曲津
(
まが
)
ぞ
浅
(
あさ
)
まし
215
御樋代
(
みひしろ
)
の
田族
(
たから
)
の
比女
(
ひめ
)
の
神柱
(
かむばしら
)
と
216
なりて
曲津
(
まがつ
)
は
欺
(
あざむ
)
かむとせり
217
田族
(
たから
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
は
泉
(
いづみ
)
の
清森
(
すがもり
)
に
218
いまして
光
(
ひかり
)
を
送
(
おく
)
らせ
給
(
たま
)
ふも
219
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
の
奸計
(
たくみ
)
は
深
(
ふか
)
く
見
(
み
)
ゆれども
220
為
(
な
)
す
業
(
わざ
)
見
(
み
)
れば
浅
(
あさ
)
はかなるも
221
曲津見
(
まがつみ
)
の
一部
(
いちぶ
)
は
巌
(
いは
)
と
固
(
かた
)
まりて
222
わが
魂線
(
たましひ
)
はしばし
休
(
やす
)
らふ
223
今
(
いま
)
よりは
向
(
むか
)
つ
谷辺
(
たにべ
)
に
渡
(
わた
)
らひて
224
保宗
(
もちむね
)
比古
(
ひこ
)
の
神業
(
みわざ
)
たすけむ』
225
(
昭和八・一二・一五
旧一〇・二八
於大阪分院蒼雲閣
林弥生
謹録)
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【第16章 妖術破滅|第77巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm7716】
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