霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二四章 会者(ゑしや)定離(じやうり)〔一九五六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻 篇:第4篇 歓天喜地 よみ(新仮名遣い):かんてんきち
章:第24章 会者定離 よみ(新仮名遣い):えしゃじょうり 通し章番号:1956
口述日:1933(昭和8)年12月17日(旧11月1日) 口述場所:大阪分院蒼雲閣 筆録者:内崎照代 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
七日七夜の宴の後、生き物たちはそれぞれ帰り行き、今は御樋代神の御聖所は静寂に包まれていた。
そこへ、白馬ケ岳の背後の夕暮れ空が、一種異様の光に包まれ、田族比女は驚いて高殿に立ってこの様を見るに、たちまち尊い御樋代神の降臨であると悟った。そして、輪守比古、若春比古を遣わして、来臨した御樋代神を迎えにやらせた。(第6章からの続き)
使いの二柱の神々は、田族比女の神言のままに、白馬ケ岳西方の御来矢の浜辺に駆けつけた。すると、常盤の森で憩う神々に出会った。一行を案内して万里ケ丘の聖所にたどり着いたのは、翌日の黄昏時になってからであった。
使いの二柱の神は、御来矢の浜辺で朝香比女の神一行に出会い、案内して、無事に帰り着いたことを奏上した。
田族比女の神は、早速朝香比女の神を高殿へ招いた。二柱の御樋代神は互いに挨拶の歌を交わした。朝香比女の神は、田族比女の神が、まだ若く曲津神の猛る万里ケ島を拓いたいさおしをたたえた。答えて田族比女の神は、朝香比女のねぎらいと称えの言葉に感激し感謝を述べ、ただまだ顕津男の神に巡り合って神生みの神業をなすことができないでいる思いを歌った。
ここに、顕津男の神への思いを同じくする二柱の御樋代神は、百年の知己のように心から打ち解け、互いに同情の涙にくれつつ、日を重ねることとなった。
田族比女の神は、曲津神征伐の戦利品として持ち帰った数多のダイヤモンドを、朝香比女の神に贈り物として送った。朝香比女の神は、珍しいものとして、快く受け取ったが、その返礼として、懐中から燧石(ひうちいし)を取り出し、あたりの枯れ芝を集めて火を燃やし出した。
万里ケ島の神々は、初めて天の真火が燃えるのを見て、感嘆の声をあげた。この燧石を、朝香比女は、田族比女への返礼として送ったのである。
田族比女は、天の真火の功徳を称え、朝香比女は、鋭敏鳴出(うなりづ)の神の賜ったこの燧石を、国の鎮めとして送るのだ、と歌い交わした。
それぞれの御樋代神に仕える従者神たちは、この出来事の述懐歌をおのおの歌い、国土の前途を祝した。しかし、朝香比女の神は、ここに長くとどまることはできず、万里ケ島の神々に別れを告げると、再び御来矢の浜辺から、岩楠舟に乗って、万里の海原を東南さして静かに静かに進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-08-16 23:19:29 文字数:3538 OBC :rm7724
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 698頁 修補版: 校定版:413頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 万里(まで)ケ島(しま)の天地(てんち)を塞(ふさ)ぎたる邪神(まがかみ)の潜(ひそ)みし雲霧(くもきり)はくまなく晴(は)れて、002日月(じつげつ)は清(きよ)く光(ひかり)を地上(ちじやう)に投(な)げ万物(ばんぶつ)蘇生(そせい)の思(おも)ひして、003茲(ここ)に新(あたら)しく国名(こくめい)を万里(まで)の神国(みくに)と称(とな)へ、004総(すべ)ての基礎(きそ)を万世(よろづよ)に固(かた)め給(たま)ひ、005生(い)きとし生(い)けるものを悉(ことごと)く万里(まで)ケ島(しま)の聖所(すがど)に集(あつ)めて、006寿(ことほ)ぎの宴(むしろ)を開(ひら)き給(たま)ひしが、007七日(なぬか)七夜(ななよ)の後(のち)、008総(すべ)ての生(い)きとし生(い)けるものは各自(おのもおのも)常住(じやうぢう)の地(ち)に帰(かへ)り、009水(みづ)を打(う)ちたる如(ごと)く、010御樋代(みひしろ)神(がみ)の御舎(みあらか)は静寂(せいじやく)に帰(き)したり。
011 かかる所(ところ)に西(にし)に聳(そび)ゆる白馬(はくば)ケ岳(だけ)の背後(はいご)にあたれる夕暮(ゆふぐれ)の空(そら)は、012一種(いつしゆ)異様(いやう)の光(ひかり)に満(み)ちぬれば、013田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)は高殿(たかどの)に立(た)ちて、014この様(さま)を覧(みそな)はし、015尊(たふと)き御樋代(みひしろ)神(がみ)の降臨(かうりん)なりとして、016直(ただち)に輪守(わもり)比古(ひこ)の神(かみ)、017若春(わかはる)比古(ひこ)の神(かみ)をして御樋代(みひしろ)神(がみ)を迎(むか)へ奉(たてまつ)るべく、018黄昏(たそがれ)の月下(げつか)を鞭(むち)うたせ給(たま)ひける。
019 茲(ここ)に二柱(ふたはしら)の神(かみ)は神言(みこと)のまにまに、020白馬(はくば)ケ岳(だけ)の西(にし)に当(あた)る御来矢(みくりや)の浜辺(はまべ)に馳(か)けつけ給(たま)へば、021常磐(ときは)の森(もり)に憩(いこ)はせ給(たま)ふ五柱(いつはしら)の天津神(あまつかみ)等(たち)に出会(であ)ひまし、022恭(うやうや)しく言葉(ことば)を交(かは)し[※第6章からの続き]、023万里(まで)ケ丘(をか)の聖所(すがど)に神々(かみがみ)を導(みちび)きつつ、024翌日(あくるひ)の黄昏頃(たそがれごろ)やうやくに復命(かへりごと)申(まを)し給(たま)ひける。025輪守(わもり)比古(ひこ)の神(かみ)は八柱(やはしら)の尊(たふと)き御樋代(みひしろ)神(がみ)一行(いつかう)を導(みちび)き、026無事(ぶじ)に帰(かへ)りたることを田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)の大前(おほまへ)に奏上(そうじやう)し給(たま)ひぬ。
027『わが公(きみ)の神言(みこと)畏(かしこ)み二柱(ふたはしら)は
028御来矢(みくりや)の浜(はま)に急(いそ)ぎ着(つ)きけり
029御来矢(みくりや)の浜辺(はまべ)に着(つ)けば森蔭(もりかげ)に
030朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)休(やす)らひ給(たま)ひぬ
031恐(おそ)る恐(おそ)る吾(われ)御前(みまへ)に跪(ひざまづ)きて
032公(きみ)の真言(まこと)を宣(の)り伝(つた)へける
033御樋代(みひしろ)神(がみ)朝香(あさか)の比女(ひめ)は頷(うなづ)きて
034諸神(しよしん)を従(したが)へ此処(ここ)に来(き)ませり』
035 田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)はこれに答(こた)へて御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
036『久方(ひさかた)の高地秀(たかちほ)山(やま)より降(くだ)りましし
037御樋代(みひしろ)神(がみ)をよくも迎(むか)へ来(こ)しよ
038兎(と)も角(かく)もこれの高殿(たかどの)に導(みちび)けよ
039吾(われ)も階段(みはし)を下(お)りて迎(むか)へむ』
040 茲(ここ)に輪守(わもり)比古(ひこ)の神(かみ)、041若春(わかはる)比古(ひこ)の神(かみ)の二柱(ふたはしら)は「オー」と一声(ひとこゑ)畏(かしこ)まりつつ、042御庭(みには)に待(ま)たせ給(たま)へる朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)一行(いつかう)の前(まへ)に言葉(ことば)も恭(うやうや)しく、
043『いざさらば御樋代(みひしろ)神(がみ)の朝香(あさか)比女(ひめ)
044進(すす)ませ給(たま)へこれの高殿(たかどの)へ
045四柱(よはしら)の神(かみ)も後(あと)よりつづきませ
046吾(われ)も御後(みあと)に従(したが)ひまつらむ』
047 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は軽(かる)く目礼(もくれい)しながら、048静々(しづしづ)と高殿(たかどの)さして進(すす)みたまふ。049茲(ここ)に田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)は高殿(たかどの)の階段(かいだん)を降(お)りて恭(うやうや)しく朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)の一行(いつかう)を待(ま)たせ給(たま)ひけるが、050比女(ひめ)の御姿(みすがた)目前(もくぜん)に迫(せま)りけるより、
051『あらたふと御樋代(みひしろ)神(がみ)の天降(あも)りましし
052尊(たふと)さに吾(われ)は迎(むか)へ奉(まつ)るも
053いざさらばこの高殿(たかどの)に案内(あない)せむ
054のぼらせ給(たま)へ五柱(いつはしら)の神(かみ)』
055 茲(ここ)に朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
056『音(おと)に聞(き)く田族(たから)の比女(ひめ)の御樋代(みひしろ)は
057汝(なれ)なりしかも愛(めぐ)しと思(おも)ふ』
058 斯(か)く歌(うた)ひ終(をは)り、059悠然(いうぜん)として田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)の後(しりへ)より、060朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は高殿(たかどの)さしてのぼらせ給(たま)ひける。061朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
062『所々(ところどころ)に御樋代(みひしろ)神(がみ)は八十柱(やそはしら)
063いますと聞(き)きしを今日(けふ)会(あ)ひにけり
064地(つち)稚(わか)き国土(くに)を固(かた)むる御樋代(みひしろ)神(がみ)の
065苦(くる)しき神業(みわざ)を思(おも)ひやらるる
066国土(くに)は未(ま)だ定(さだ)まらずして曲津見(まがつみ)の
067猛(たけ)る国原(くにはら)拓(ひら)くは苦(くる)しき
068諸々(もろもろ)の艱(なや)みに堪(た)へて万里(まで)ケ島(しま)を
069拓(ひら)き給(たま)ひし公(きみ)の功(いさを)を思(おも)ふ
070吾(われ)は今(いま)西方(にしかた)の国土(くに)に進(すす)まむと
071その道(みち)すがらを立(た)ち寄(よ)りしはや
072この島(しま)に八十(やそ)比女神(ひめがみ)のましますと
073かねて聞(き)きしゆ立(た)ち寄(よ)りて見(み)し
074まめやかに在(おは)せる公(きみ)の御姿(みすがた)に
075吾(われ)は嬉(うれ)しさ堪(た)へやらぬかも
076永久(とこしへ)の命(いのち)保(たも)ちて若々(わかわか)しく
077国魂神(くにたまがみ)を生(う)ませ給(たま)はれ』
078 田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)は感激(かんげき)に堪(た)へず、079御歌(みうた)もて答(こた)へ給(たま)ふ。
080『ありがたし尊(たふと)し朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)の
081優(やさ)しき言葉(ことば)に蘇(よみがへ)りける
082八柱神(やはしらがみ)尊(たふと)き比女(ひめ)の御自(みみづか)ら
083吾(われ)を訪(と)はせし今日(けふ)の畏(かしこ)さ
084顕津男(あきつを)の神(かみ)の出(い)でまし待(ま)ちまちて
085今(いま)はやうやく年(とし)さびにけり
086眺(なが)めよきこの高殿(たかどの)に安(やす)らかに
087光(ひかり)放(はな)ちて在(おは)しましませ』
088 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
089『吾(われ)もまた同(おな)じ思(おも)ひの御樋代(みひしろ)よ
090背(せ)の岐美(きみ)に会(あ)ふと求(ま)ぎて来(きた)れり
091背(せ)の岐美(きみ)は西方(にしかた)あたり曲津見(まがつみ)の
092百(もも)の軍(いくさ)と戦(たたか)ひ給(たま)はむ
093一水火(ひといき)の契(ちぎり)なれども主(ス)の神(かみ)の
094依(よ)さしなりせば忘(わす)れ難(がた)く思(おも)ふ』
095 田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
096『愛(いつ)くしき朝香(あさか)の比女(ひめ)の言(こと)の葉(は)に
097吾(われ)はおもはず涙(なみだ)しにけり
098背(せ)の岐美(きみ)を恋(こ)ふる心(こころ)の苦(くる)しさを
099味(あぢは)はひ給(たま)ふ女神(めがみ)いとしも』
100 茲(ここ)に二柱(ふたはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)は百(ひやく)年(ねん)の知己(ちき)の如(ごと)く、101互(たがひ)に心(こころ)の底(そこ)より解(と)け合(あ)ひ、102同情(どうじやう)の涙(なみだ)にくれ給(たま)ひつつ思(おも)はず知(し)らず日(ひ)を重(かさ)ね給(たま)ひける。103田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)は、104白馬(はくば)ケ岳(だけ)の魔棲(ますみ)ケ谷(やつ)にて神々(かみがみ)の戦利品(せんりひん)として持(も)ち帰(かへ)りたる数多(あまた)のダイヤモンドを取出(とりいだ)し、105朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)に奉(たてまつ)りければ、106実(げ)に珍(めづら)しき物(もの)よと賞(ほ)め讃(たた)へながら、107田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)の奉(たてまつ)るままに、108こころよく受(う)け取(と)らせ給(たま)ひぬ。109田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)の奉(たてまつ)りたる宝石(はうせき)は、110最(もつと)も光(ひか)り眩(まばゆ)く、111最(もつと)も大(おほ)いなるダイヤモンドにして稀(まれ)なる珍(めづら)しき物(もの)なりける。
112 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は其(そ)の謝礼(しやれい)として、113懐中(くわいちう)より燧石(ひうちいし)を取出(とりいだ)し、114火(ひ)を切(き)り出(い)で四辺(あたり)の枯芝(かれしば)を集(あつ)めて火(ひ)を燃(もや)し給(たま)ひければ、115田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)を始(はじ)めとし十柱(とはしら)の神々(かみがみ)は初(はじ)めて真火(まひ)の燃(も)ゆるを見給(みたま)ひしこととて、116何(いづ)れも感嘆(かんたん)の声(こゑ)を放(はな)ち給(たま)ひけるが、117朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は宝石(ほうせき)の謝礼(しやれい)として手(て)づからのこの燧石(ひうち)を田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)に贈(おく)り給(たま)ひける。
118 田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
119『あら尊(たふと)明(あか)るき熱(あつ)き火(ひ)は燃(も)えぬ
120闇夜(やみよ)を照(て)らす神(かみ)なるよ真火(まひ)は
121この国土(くに)に真火(まひ)の功(いさを)のある限(かぎ)り
122曲津見(まがつ)の神(かみ)は荒(すさ)ばざるべし
123曲神(まがかみ)の潜(ひそ)む山野(やまぬ)を焼(や)き払(はら)ひ
124清(きよ)むるによき真火(まひ)なりにける
125朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)の給(たま)ひし燧石(ひうちいし)は
126万里(まで)の神国(みくに)の貴(うづ)の宝(たから)よ
127石(いし)打(う)ちて真火(まひ)出(い)づるとは今日(けふ)の日(ひ)まで
128愚(おろか)しき吾(われ)はさとらざりけり
129この宝(たから)賜(たま)ひし上(うへ)は万里(まで)の国土(くに)の
130総(すべ)ての曲津(まが)を焼(や)き滅(ほろ)ぼさむ』
131 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
132『鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の賜(たま)ひし燧石(ひうち)なれば
133国土(くに)の鎮(しづ)めと公(きみ)に贈(おく)るも
134この燧石(ひうち)一(ひと)つありせば稚国土(わかぐに)も
135忽(たちま)ち固(かた)らに栄(さか)えゆくべし
136穀物(たなつもの)その外(ほか)すべての食物(をしもの)を
137真火(まひ)にてあぶれば味(あぢ)はひよろしも
138真清水(ましみづ)も真火(まひ)の力(ちから)に湯(ゆ)となりて
139神(かみ)に捧(ささ)ぐる代(しろ)となるべし』
140 田族(たから)比女(ひめ)の神(かみ)は又(また)もや御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
141『朝香(あさか)比女(ひめ)神(かみ)に捧(ささ)げし宝石(はうせき)は
142光(ひかり)あれども熱(あつ)からず燃(も)えず
143命(いのち)なき光(ひかり)を公(きみ)に奉(たてまつ)り
144命(いのち)ある光(ひかり)を賜(たま)はりしはや』
145 茲(ここ)に二柱(ふたはしら)の神(かみ)はダイヤモンド、146燧石(ひうちいし)の贈答(ぞうたふ)終(をは)り、147再(ふたた)び寛(くつろ)ぎて歓談(くわんだん)に耽(ふ)けらせ給(たま)ふ。
148 初頭(うぶがみ)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
149『波(なみ)の秀(ほ)を渡(わた)りて万里(まで)の神国(かみくに)に
150求(ま)ぎて来(き)つるも公(きみ)を守(まも)りて
151珍(めづら)しく輝(かがや)く玉(たま)を見(み)たりけり
152この新国土(にひくに)に着(つ)きし間(ま)もなく』
153 起立(おきたつ)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
154『高山(たかやま)と高山(たかやま)の中(なか)に斯(か)くの如(ごと)
155聖所(すがど)のあるは珍(めづら)しきかな
156御樋代(みひしろ)神(がみ)と御樋代(みひしろ)神(がみ)の出会(であ)ひませる
157この神国(かみくに)は永久(とは)に栄(さか)えむ』
158 立世(たつよ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
159『わが公(きみ)に従(したが)ひ奉(まつ)りて万里(まで)の国土(くに)に
160夜光(やくわう)の玉(たま)を拝(をが)みけるかも
161夜光(やくわう)の玉(たま)は美(うるは)しかれども命(いのち)なし
162燧石(ひうち)の真火(まひ)の真言(まこと)にしかざり』
163 天晴(あめはれ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
164『諸々(もろもろ)の曲津(まが)をやらひし燧石(ひうちいし)を
165贈(おく)らせ給(たま)ひしわが公(きみ)畏(かしこ)し
166貴宝(うづたから)数多(あまた)あれども真火(まひ)出(い)づる
167燧石(ひうち)にまさる宝(たから)なきかな』
168 輪守(わもり)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
169『朝香(あさか)比女(ひめ)神(かみ)の賜(たま)ひし燧石(ひうち)こそ
170この新国土(にひくに)の生(い)ける宝(たから)よ
171宝石(はうせき)の光(ひかり)は如何(いか)に輝(かがや)くも
172邪神(まがみ)の持(も)ちし宝(たから)なりける』
173 霊山(たまやま)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
174『畏(かしこ)しや天降(あも)りましたる八柱(やはしら)の
175比女神(ひめがみ)の言葉(ことば)直(ただ)に聞(き)く吾(われ)は
176顕津男(あきつを)の神(かみ)に出会(であ)ふと数万(すまん)里(り)の
177海山(うみやま)渡(わた)らす比女(ひめ)ぞ雄々(をを)しき』
178 若春(わかはる)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
179『やうやくに雲霧(くもきり)晴(は)れし万里(まで)の国土(くに)に
180二柱(ふたはしら)の御樋代(みひしろ)神(かみ)天降(あも)らせり
181わが公(きみ)は尊(たふと)しされど八柱(やはしら)の
182比女(ひめ)の功(いさを)はひとしほ高(たか)し』
183 保宗(もちむね)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
184『珍(めづら)しや御樋代(みひしろ)神(がみ)は二柱(ふたはしら)まで
185この神国(かみくに)に天降(あも)り給(たま)ひぬ
186西方(にしかた)の国土(くに)に出(い)でます朝香(あさか)比女(ひめ)の
187神(かみ)の心(こころ)を雄々(をを)しとおもふ』
188 直道(なほみち)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
189『一柱(ひとはしら)の瑞(みづ)の御霊(みたま)を恋(こ)ひ恋(こ)ひて
190ねたみ給(たま)はぬ御樋代神(みひしろがみ)等(たち)よ
191惟神(かむながら)神(かみ)の依(よ)さしの御樋代(みひしろ)なれば
192清(きよ)くすがしく在(おは)しましけるよ』
193 山跡(やまと)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
194『御樋代(みひしろ)の二柱(ふたはしら)神(かみ)の御面(みおもて)は
195月日(つきひ)の如(ごと)くかがよひませり
196拝(をろが)むもまばゆきばかり御樋代(みひしろ)の
197神(かみ)のおもざし輝(かがや)き強(つよ)し』
198 千貝(ちかひ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
199『はろばろと瑞(みづ)の御霊(みたま)を慕(した)ひまして
200出(い)でます朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)雄々(をを)しも
201雲霧(くもきり)をいぶきわたりて海原(うなばら)の
202波(なみ)の秀(ほ)ふみて来(き)ませし公(きみ)はも』
203 湯結(ゆむすび)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
204『ためしなき雄々(をを)しき御樋代神(みひしろがみ)等(たち)の
205赤(あか)き心(こころ)に照(て)らされしはや
206帰(かへ)りまさむ日(ひ)は近(ちか)づきぬ美(うるは)しき
207神(かみ)に別(わか)るとおもへばかなしも』
208 正道(まさみち)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
209『御樋代(みひしろ)神(がみ)これの神国(みくに)に賜(たま)ひたる
210燧石(ひうち)は千代(ちよ)の宝(たから)と仰(あふ)がむ
211斯(か)くの如(ごと)尊(たふと)き生(い)ける力(ちから)あらば
212万里(まで)の神国(みくに)におそるるものなし』
213 雲川(くもかは)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
214『新(あたら)しく国土(くに)は生(うま)れぬ新(あたら)しき
215真火(まひ)輝(かがや)きぬ神(かみ)の恵(めぐみ)に
216身(み)を清(きよ)め心(こころ)清(きよ)めて燧石(ひうちいし)の
217神霊(みたま)を永久(とは)に斎(いつ)かむとおもふ』
218 斯(か)く神々(かみがみ)は各自(おのもおのも)御歌(みうた)詠(よ)ませつつ、219朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)の訪問(はうもん)や、220燧石(ひうちいし)を国宝(こくはう)として賜(たま)ひしことなどの嬉(うれ)しさに国土(くに)の前途(ぜんと)を祝(しゆく)し給(たま)ひけるが、221御樋代(みひしろ)神(がみ)の朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は長(なが)らくこの国土(くに)に留(とど)まるを得(え)ず、222以前(いぜん)の四柱(よはしら)の神(かみ)を従(したが)へまし諸神(ももがみ)に別(わか)れを告(つ)げ、223御来矢(みくりや)の浜辺(はまべ)より磐楠舟(いはくすぶね)に乗(の)り万里(まで)の海原(うなばら)を東南(とうなん)の空(そら)さして静(しづ)かに静(しづ)かに進(すす)ませ給(たま)ひける。
224(昭和八・一二・一七 旧一一・一 於大阪分院蒼雲閣 内崎照代謹録)
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