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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第50巻(丑の巻)
序文
総説
第1篇 和光同塵
第1章 至善至悪
第2章 照魔燈
第3章 高魔腹
第4章 御意犬
第2篇 兇党擡頭
第5章 霊肉問答
第6章 玉茸
第7章 負傷負傷
第8章 常世闇
第9章 真理方便
第3篇 神意と人情
第10章 据置貯金
第11章 鸚鵡返
第12章 敵愾心
第13章 盲嫌
第14章 虬の盃
第4篇 神犬の言霊
第15章 妖幻坊
第16章 鷹鷲掴
第17章 偽筆
第18章 安国使
第19章 逆語
第20章 悪魔払
第21章 犬嘩
余白歌
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霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第50巻(丑の巻)
> 第2篇 兇党擡頭 > 第5章 霊肉問答
<<< 御意犬
(B)
(N)
玉茸 >>>
第五章
霊肉
(
れいにく
)
問答
(
もんだふ
)
〔一二九九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻
篇:
第2篇 兇党擡頭
よみ(新仮名遣い):
きょうとうたいとう
章:
第5章 霊肉問答
よみ(新仮名遣い):
れいにくもんどう
通し章番号:
1299
口述日:
1923(大正12)年01月20日(旧12月4日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年12月7日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫は、初稚姫と会話の最中に腹中の兇霊が不注意な言葉をはさもうとしたことに怒り、悪態をついた。兇霊は高姫の腹を痛めて対抗するが、高姫も大神に届け出るぞと脅し、兇霊もそれは困るとやや下手に出て来た。
二人はけんかしながらも問答しているうちに、三五教を乗っ取ってウラナイ教に立て返すということに相談が決まった。
高姫がさっと障子を開けて外をのぞくと、初稚姫は無邪気に枯れた芒で遊んでいる。高姫はほくそえんで、初稚姫を教育してウラナイ教の宣伝使に仕込み、杢助とウラナイ教を盛り返せば、東助の鼻を明かせると独り言を言っている。
初稚姫は何気なく高姫に話しかけ、スマートは石を投げて頭を割り、追い払ったと報告した。そして誠さえ立てば名などどうでもよいと、ウラナイ教を立てて行けばよいといって高姫の機嫌を取った。
高姫がまた杢助を呼びに行った間、初稚姫は珍彦の居間を訪ね、楓姫と四方山話をしながら時を過ごしていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-07-11 14:03:42
OBC :
rm5005
愛善世界社版:
59頁
八幡書店版:
第9輯 170頁
修補版:
校定版:
63頁
普及版:
32頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
のスマートを
送
(
おく
)
つて
出
(
で
)
た
後
(
あと
)
に
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
、
002
腹中
(
ふくちう
)
の
兇霊
(
きようれい
)
に
打向
(
うちむか
)
ひ、
003
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めながら、
004
懐
(
ふところ
)
をパツと
開
(
ひら
)
き、
005
布袋
(
ほて
)
つ
腹
(
ぱら
)
を
現
(
あら
)
はし、
006
両方
(
りやうはう
)
の
手
(
て
)
で
臍
(
へそ
)
のあたりを
掴
(
つか
)
んだり
擲
(
なぐ
)
つたりしながら、
007
稍
(
やや
)
声低
(
こゑびく
)
になつて、
008
高姫
『コリヤ、
009
其
(
その
)
方
(
はう
)
はあれ
丈
(
だけ
)
注意
(
ちゆうい
)
を
与
(
あた
)
へておくのに、
010
なぜ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
前
(
まへ
)
で、
011
あんな
不用意
(
ふようい
)
な
事
(
こと
)
をいふのだ。
012
サア、
013
高姫
(
たかひめ
)
が
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
さぬ。
014
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く、
015
トツトと
出
(
で
)
てくれ。
016
エー
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもモウ
許
(
ゆる
)
さぬのだ。
017
汚
(
けが
)
らはしい、
018
コリヤ、
019
痰唾
(
たんつば
)
をはつかけてやらうか』
020
と
云
(
い
)
ひながら、
021
自分
(
じぶん
)
の
臍
(
へそ
)
のあたりに
向
(
むか
)
つて、
022
青洟
(
あをばな
)
をツンとかんでこれをかけ、
023
又々
(
またまた
)
唾
(
つば
)
をピユーピユーと
頻
(
しき
)
りに
吐
(
は
)
きかけてゐる。
024
(腹の中から)
『アハハハハ、
025
どれだけお
前
(
まへ
)
が
痰唾
(
たんつば
)
を
吐
(
は
)
きかけようが、
026
腹
(
はら
)
を
捻
(
ね
)
ぢようが、
027
チツともおれは
痛
(
いた
)
くはない。
028
つまりお
前
(
まへ
)
の
腹
(
はら
)
をお
前
(
まへ
)
が
痛
(
いた
)
め、
029
お
前
(
まへ
)
の
唾
(
つば
)
をお
前
(
まへ
)
の
腹
(
はら
)
にかけるだけのものだ。
030
そんな
他愛
(
たあい
)
もない
馬鹿
(
ばか
)
を
尽
(
つく
)
すよりも、
031
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
の
申
(
まを
)
すことを
神妙
(
しんめう
)
に
服従
(
ふくじゆう
)
するがお
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
だぞ。
032
グヅグヅ
申
(
まを
)
すと
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
で
暴
(
あば
)
れさがし、
033
盲腸
(
まうちやう
)
を
破
(
やぶ
)
つてやらうか、
034
コラどうぢや』
035
高姫
『アイタタタタ、
036
コリヤコリヤそんな
無茶
(
むちや
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
すものでないぞ。
037
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
常世姫
(
とこよひめ
)
の
御
(
お
)
肉体
(
にくたい
)
だ。
038
左様
(
さやう
)
な
不都合
(
ふつがふ
)
を
致
(
いた
)
すと、
039
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
届
(
とど
)
け
致
(
いた
)
すが、
040
それでも
苦
(
くる
)
しうないか』
041
(腹の中から)
『や、
042
そいつア
一寸
(
ちよつと
)
困
(
こま
)
る、
043
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
うても
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
い
肉体
(
にくたい
)
だから、
044
思
(
おも
)
ふやうに
使
(
つか
)
へないので
神
(
かみ
)
も
聊
(
いささ
)
か
迷惑
(
めいわく
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
るぞよ。
045
チツと
柔順
(
おとなし
)
くなつて
御用
(
ごよう
)
を
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
されよ』
046
高姫
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しやがるのだ。
047
又
(
また
)
しても
又
(
また
)
してもしようもない
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
して、
048
人
(
ひと
)
に
悟
(
さと
)
られたら
何
(
なん
)
とするのだ。
049
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
だな。
050
これから
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
厳
(
きび
)
しく
審神
(
さには
)
を
致
(
いた
)
すから、
051
一言
(
ひとこと
)
でも
変
(
へん
)
なことを
申
(
まを
)
したら、
052
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
が
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
さぬぞや』
053
(腹の中から)
『イヤ、
054
肉体
(
にくたい
)
の
言
(
い
)
ふのも
尤
(
もつと
)
もだ、
055
キツト
心得
(
こころえ
)
るから、
056
どうぞ
仲
(
なか
)
ようしてくれ。
057
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
密着
(
みつちやく
)
不離
(
ふり
)
の
関係
(
くわんけい
)
になつてゐるのだから、
058
お
前
(
まへ
)
の
肉体
(
にくたい
)
のある
間
(
うち
)
は、
059
離
(
はな
)
れようといつたつて
離
(
はな
)
れる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
060
お
前
(
まへ
)
も
亦
(
また
)
俺
(
おれ
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
さうとすれば、
061
命
(
いのち
)
をすてる
覚悟
(
かくご
)
でなくちや
駄目
(
だめ
)
だぞ。
062
すぐに
盲腸
(
まうちやう
)
でも
十二
(
じふに
)
指腸
(
しちやう
)
でも、
063
空腸
(
くうちやう
)
、
064
回腸
(
くわいちやう
)
、
065
直腸
(
ちよくちやう
)
、
066
結腸
(
けつちやう
)
の
嫌
(
きら
)
ひなく、
067
捻
(
ね
)
ぢて
捻
(
ね
)
ぢて
捩
(
ね
)
ぢ
廻
(
まは
)
し、
068
肉体
(
にくたい
)
の
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
るのだから、
069
つまりお
前
(
まへ
)
は
俺
(
おれ
)
を
大事
(
だいじ
)
にし、
070
俺
(
おれ
)
はお
前
(
まへ
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
機関
(
きくわん
)
とせなくちや、
071
悪
(
あく
)
の
目的
(
もくてき
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
せぬのだからなア』
072
高姫
『コリヤ、
073
又
(
また
)
左様
(
さやう
)
なことを
申
(
まを
)
す。
074
この
高姫
(
たかひめ
)
は
稚桜姫
(
わかざくらひめの
)
命
(
みこと
)
の
身魂
(
みたま
)
の
系統
(
ひつぽう
)
、
075
常世姫
(
とこよひめの
)
命
(
みこと
)
の
再来
(
さいらい
)
だ。
076
悪
(
あく
)
といふ
事
(
こと
)
は
微塵
(
みぢん
)
でもしたくない、
077
大嫌
(
だいきら
)
ひなのだ。
078
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
悪
(
あく
)
を
改
(
あらた
)
めて
善
(
ぜん
)
に
立復
(
たちかへ
)
つたと
申
(
まを
)
したでないか。
079
どうしても
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
使
(
つか
)
うて
悪
(
あく
)
を
致
(
いた
)
し、
080
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
を
妨
(
さまた
)
げ
致
(
いた
)
すのなれば、
081
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
仮令
(
たとへ
)
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
腸
(
はらわた
)
をむしられて
国替
(
くにがへ
)
をしても、
082
チツとも
構
(
かま
)
はぬのだ。
083
サアどうだ、
084
返答
(
へんたふ
)
致
(
いた
)
せ』
085
と
審神者
(
さには
)
気分
(
きぶん
)
になつて
呶鳴
(
どな
)
つてゐる。
086
(腹の中から)
『ヤア
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
087
真
(
まこと
)
に
申
(
まを
)
し
違
(
ちが
)
ひを
致
(
いた
)
しました。
088
つひ
悪
(
あく
)
を
憎
(
にく
)
むの
余
(
あま
)
り
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
取違
(
とりちが
)
へまして、
089
あんな
不都合
(
ふつがふ
)
なことを
申
(
まを
)
しました。
090
今後
(
こんご
)
はキツと
心得
(
こころえ
)
ますから、
091
どうぞ
霊肉
(
れいにく
)
和合
(
わがふ
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
092
高姫
『ウンよしツ、
093
それに
間違
(
まちが
)
ひなくば
許
(
ゆる
)
してやらう。
094
此
(
この
)
上
(
うへ
)
一言
(
ひとこと
)
でも
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
だの
大蛇
(
をろち
)
だのと
申
(
まを
)
したら
了簡
(
れうけん
)
致
(
いた
)
さぬぞや』
095
(腹の中から)
『それなら、
096
何
(
なん
)
といひませうかな、
097
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
と
名乗
(
なの
)
りませうか』
098
高姫
『
畏
(
おそれおほ
)
い
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すな。
099
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
は
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
の
系統
(
ひつぽう
)
の
御
(
お
)
身魂
(
みたま
)
ぢや。
100
其
(
その
)
方
(
はう
)
はヤツパリ、
101
ユラリ
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
と
申
(
まを
)
したがよからうぞ』
102
(腹の中から)
『コレ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
103
さうイロイロと
沢山
(
たくさん
)
の
名
(
な
)
を
言
(
い
)
つちや、
104
娑婆
(
しやば
)
の
亡者
(
まうじや
)
が
本当
(
ほんたう
)
に
致
(
いた
)
しませぬぞや』
105
高姫
『コリヤ、
106
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふことを
申
(
まを
)
す。
107
人間
(
にんげん
)
は
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
だ。
108
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
守
(
まも
)
りを
受
(
う
)
けないものは
一人
(
ひとり
)
もないぞや。
109
言
(
い
)
はば
結構
(
けつこう
)
な
天
(
てん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
直々
(
ぢきぢき
)
の、
110
人間
(
にんげん
)
は
御子
(
みこ
)
だ。
111
何
(
なに
)
を
以
(
もつ
)
て
娑婆
(
しやば
)
亡者
(
まうじや
)
などと
申
(
まを
)
すのか、
112
なぜ
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
使
(
つか
)
はぬ。
113
ヤツパリ
其
(
その
)
方
(
はう
)
はまだ
本当
(
ほんたう
)
の
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
らぬと
見
(
み
)
えるなア。
114
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
さな
致
(
いた
)
すやうにして
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
さして
見
(
み
)
せうぞや』
115
(腹の中から)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
116
一旦
(
いつたん
)
入
(
にふ
)
の
入
(
い
)
つた
瀬戸物
(
せともの
)
は
何程
(
なにほど
)
甘
(
うま
)
く
焼
(
やき
)
つぎをしても、
117
其
(
その
)
疵
(
きず
)
は
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
りになほらないと
同様
(
どうやう
)
に、
118
元来
(
ぐわんらい
)
が
身魂
(
みたま
)
にヒビが
入
(
い
)
つてゐるのだから、
119
本当
(
ほんたう
)
の
善
(
ぜん
)
に
還
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
は
辛
(
つら
)
うて
出来
(
でき
)
ませぬぞや。
120
お
前
(
まへ
)
さまの
肉体
(
にくたい
)
だつて、
121
ヤツパリさうぢやないか。
122
入
(
にふ
)
が
入
(
い
)
つて
居
(
を
)
ればこそ、
123
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
這入
(
はい
)
れたのだ。
124
お
前
(
まへ
)
さまは
立派
(
りつぱ
)
な
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
だと
思
(
おも
)
つてゐるだらうが、
125
此
(
この
)
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
から
見
(
み
)
れば、
126
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
どころか
山子
(
やまこ
)
だましの
身魂
(
みたま
)
だよ。
127
相応
(
さうおう
)
の
理
(
り
)
によつて、
128
破鍋
(
われなべ
)
にトヂ
蓋式
(
ぶたしき
)
に
自然
(
しぜん
)
に
結
(
むす
)
ばれた
因縁
(
いんねん
)
だから、
129
何程
(
なにほど
)
もがいても
何
(
ど
)
うしても、
130
此
(
この
)
悪縁
(
あくえん
)
は
切
(
き
)
ることは
出来
(
でき
)
ませぬぞや、
131
お
前
(
まへ
)
さまも
是非
(
ぜひ
)
なき
事
(
こと
)
と
断念
(
だんねん
)
して、
132
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
因縁
(
いんねん
)
を
怨
(
うら
)
めるより
仕方
(
しかた
)
がないぢやありませぬか。
133
霊肉
(
れいにく
)
不二
(
ふじ
)
の
関係
(
くわんけい
)
を
持
(
も
)
つてゐる
肉体
(
にくたい
)
と
此
(
この
)
方
(
はう
)
とが、
134
何時
(
いつ
)
もこれだけ
衝突
(
しようとつ
)
をして
居
(
を
)
つては
互
(
たがひ
)
の
迷惑
(
めいわく
)
……
否
(
いな
)
大損害
(
だいそんがい
)
ですよ。
135
チツとはお
前
(
まへ
)
さまも
大目
(
おほめ
)
に
見
(
み
)
て
貰
(
もら
)
はなくちや、
136
わしだつて、
137
さう
苛
(
いぢ
)
められてばかり
居
(
を
)
つても、
138
立
(
た
)
つ
瀬
(
せ
)
がないぢやないか』
139
高姫
『
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
なれば
少々
(
せうせう
)
のことは
大目
(
おほめ
)
にみておくが、
140
お
前
(
まへ
)
も
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
るだらう、
141
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
に
厶
(
ござ
)
つた
三五教
(
あななひけう
)
の
三羽烏
(
さんばがらす
)
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
がお
出
(
い
)
でになり、
142
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
の
夫
(
をつと
)
となられ、
143
又
(
また
)
立派
(
りつぱ
)
な
娘
(
むすめ
)
の
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
此処
(
ここ
)
へ
私
(
わし
)
の
子
(
こ
)
となつて
来
(
き
)
たのだから、
144
余程
(
よほど
)
心得
(
こころえ
)
て
貰
(
もら
)
はなくては、
145
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
とは
違
(
ちが
)
ひますぞや。
146
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
は
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
も
殆
(
ほとん
)
ど
独身
(
どくしん
)
同様
(
どうやう
)
であつた。
147
大将軍
(
だいしやうぐん
)
様
(
さま
)
の
肉宮
(
にくみや
)
はあの
通
(
とほ
)
りお
人
(
ひと
)
よしだから、
148
どうでもよい
様
(
やう
)
なものだつたが、
149
今度
(
こんど
)
は
摩利支天
(
まりしてん
)
様
(
さま
)
の
肉宮
(
にくみや
)
が、
150
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
の
夫
(
をつと
)
とお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばしたのだから、
151
お
前
(
まへ
)
さまの
自由
(
じいう
)
ばかりになつてゐる
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬから、
152
其
(
その
)
積
(
つも
)
りで
居
(
を
)
つて
下
(
くだ
)
されや』
153
(腹の中から)
『それは
肉体
(
にくたい
)
のすることだから
敢
(
あ
)
へて
干渉
(
かんせふ
)
はしないが、
154
併
(
しか
)
しながら、
155
初稚姫
(
はつわかひめ
)
といふ
女
(
をんな
)
は
何
(
なん
)
だか
虫
(
むし
)
の
好
(
す
)
かぬ
女
(
をんな
)
だ。
156
お
前
(
まへ
)
も
物好
(
ものずき
)
な、
157
他人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
を
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
にせなくてもよいぢやないか』
158
高姫
『
馬鹿
(
ばか
)
だなア、
159
あの
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
本当
(
ほんたう
)
に
掘出
(
ほりだ
)
し
物
(
もの
)
だよ。
160
柔順
(
じうじゆん
)
で
賢明
(
けんめい
)
で
而
(
しか
)
して
人
(
ひと
)
には
信用
(
しんよう
)
があるなり、
161
あんな
娘
(
むすめ
)
を
使
(
つか
)
はずに、
162
どうして
神業
(
しんげふ
)
が
完全
(
くわんぜん
)
に
出来
(
でき
)
るのだ。
163
お
前
(
まへ
)
も
改心
(
かいしん
)
して
五六七
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
為
(
ため
)
に
活動
(
くわつどう
)
するならば、
164
これ
程
(
ほど
)
大慶
(
たいけい
)
の
事
(
こと
)
はないぢやないか。
165
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
が
永
(
なが
)
らくの
間
(
あひだ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
御
(
ご
)
艱難
(
かんなん
)
遊
(
あそ
)
ばして、
166
此処
(
ここ
)
まで
麻柱
(
あななひ
)
の
道
(
みち
)
をお
開
(
ひら
)
き
遊
(
あそ
)
ばし、
167
又
(
また
)
都合
(
つがふ
)
によつてウラナイ
教
(
けう
)
も
御
(
お
)
開
(
ひら
)
き
遊
(
あそ
)
ばしたのだから、
168
悪
(
あく
)
が
微塵
(
みじん
)
でもあつたら、
169
此
(
この
)
事
(
こと
)
は
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
しませぬぞや』
170
(腹の中から)
『それでも、
171
お
前
(
まへ
)
、
172
三五教
(
あななひけう
)
をやめてウラナイ
教
(
けう
)
を
立
(
た
)
てようと、
173
昨日
(
きのふ
)
もいつたぢやないか。
174
どちらを
立
(
た
)
てて
行
(
ゆ
)
くのだ。
175
それからきめて
貰
(
もら
)
はなくちや、
176
此方
(
こつち
)
も
困
(
こま
)
るぢやないか』
177
高姫
『
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
のお
筆
(
ふで
)
には……
三五教
(
あななひけう
)
ばかりでないぞよ。
178
此
(
この
)
神
(
かみ
)
はまだ
外
(
ほか
)
にも
仕組
(
しぐみ
)
が
致
(
いた
)
してあるぞよ。
179
ウツカリ
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ると、
180
結構
(
けつこう
)
な
神徳
(
しんとく
)
を
外
(
ほか
)
へ
取
(
と
)
られて
了
(
しま
)
ふぞよ……とお
示
(
しめ
)
しになつて
居
(
ゐ
)
るだろ、
181
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
の
役員
(
やくゐん
)
共
(
ども
)
の
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
と
云
(
い
)
つたら、
182
サツパリ
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
教
(
をしへ
)
ばかり
致
(
いた
)
して、
183
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
を
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
に
致
(
いた
)
さうとするによつて、
184
お
筆
(
ふで
)
に
書
(
か
)
いてある
通
(
とほ
)
り、
185
系統
(
ひつぽう
)
の
身魂
(
みたま
)
の
此
(
この
)
方
(
はう
)
が、
186
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ずしてウラナイ
教
(
けう
)
を
立
(
た
)
てるのだ、
187
併
(
しか
)
しながら
秘密
(
ひみつ
)
は
何処
(
どこ
)
までも
秘密
(
ひみつ
)
だから、
188
表
(
おもて
)
はヤツパリ
三五教
(
あななひけう
)
を
標榜
(
へうばう
)
し、
189
其
(
その
)
内実
(
ないじつ
)
はウラナイ
教
(
けう
)
を
立
(
た
)
てるのだよ。
190
よいか、
191
合点
(
がてん
)
がいただらうなア』
192
(腹の中から)
『コレ
肉体
(
にくたい
)
さま、
193
ソリヤ
二股
(
ふたまた
)
膏薬
(
かうやく
)
といふものではないかなア。
194
いつも
悪
(
あく
)
は
嫌
(
いや
)
だ
嫌
(
いや
)
だと
云
(
い
)
ふ
癖
(
くせ
)
に、
195
なぜ
其
(
その
)
様
(
やう
)
な
謀反
(
むほん
)
を
起
(
おこ
)
すのだい。
196
善
(
ぜん
)
一
(
ひと
)
つを
立
(
た
)
てぬくのなれば、
197
お
前
(
まへ
)
が
舎身
(
しやしん
)
的
(
てき
)
活動
(
くわつどう
)
をして
三五教
(
あななひけう
)
の
過
(
あやま
)
つてゐる
行方
(
やりかた
)
を
改良
(
かいりやう
)
さして、
198
一
(
ひと
)
つの
道
(
みち
)
でやつて
行
(
い
)
つたらいいぢやないか。
199
さうするとヤツパリ
肉体
(
にくたい
)
も
善
(
ぜん
)
を
表
(
おもて
)
に
標榜
(
へうばう
)
し、
200
自我
(
じが
)
を
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
す
為
(
ため
)
に
結局
(
けつきよく
)
悪
(
あく
)
を
企
(
たく
)
んでゐるのだなア。
201
サウすりや
何
(
なに
)
も、
202
わしのすることや
言
(
い
)
ふことをゴテゴテいふには
及
(
およ
)
ばぬぢやないか。
203
同
(
おな
)
じ
穴
(
あな
)
の
狼
(
おほかみ
)
だ。
204
怪狼
(
くわいらう
)
同狐
(
どうけつ
)
の
間柄
(
あひだがら
)
ぢやないか。
205
お
前
(
まへ
)
が
善
(
ぜん
)
か、
206
俺
(
おれ
)
が
悪
(
あく
)
か、
207
衡
(
はかり
)
にかけたら
何方
(
どちら
)
が
上
(
あが
)
るやら、
208
僅
(
わづ
)
かに
五十歩
(
ごじつぽ
)
と
五十一
(
ごじふいつ
)
歩
(
ぽ
)
との
違
(
ちが
)
ひだらう。
209
どうぢや
肉体
(
にくたい
)
、
210
これでも
返答
(
へんたふ
)
が
厶
(
ござ
)
るかな、
211
ウツフツフ』
212
高姫
『コリヤ、
213
喧
(
やかま
)
しいワイ。
214
そこは、
215
それ、
216
神
(
かみ
)
の
奥
(
おく
)
には
奥
(
おく
)
があり、
217
其
(
その
)
又
(
また
)
奥
(
おく
)
には
奥
(
おく
)
があるのだ。
218
切
(
き
)
れてバラバラ
扇
(
あふぎ
)
の
要
(
かなめ
)
……といふ
謎
(
なぞ
)
を、
219
お
前
(
まへ
)
は
知
(
し
)
らぬのか……
十五夜
(
じふごや
)
に
片
(
かた
)
われ
月
(
づき
)
があるものか、
220
雲
(
くも
)
にかくれてここに
半分
(
はんぶん
)
……だ』
221
(腹の中から)
『ハツハハ、
222
イヤ、
223
チツとばかり
了解
(
れうかい
)
した。
224
……
此
(
この
)
腹
(
はら
)
の
黒
(
くろ
)
き
尉殿
(
じやうどの
)
が
一旦
(
いつたん
)
改心
(
かいしん
)
の
坂
(
さか
)
を
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
し、
225
又
(
また
)
もや
慢心
(
まんしん
)
と
申
(
まを
)
す
元
(
もと
)
の
屋敷
(
やしき
)
にお
直
(
なほ
)
り
候
(
さふらふ
)
……だな、
226
イツヒツヒ。
227
それならさうと、
228
なぜ
初
(
はじ
)
めから
云
(
い
)
つてくれないのだ。
229
コツチにも
方針
(
はうしん
)
があるのだから……
俺
(
おれ
)
も
昔
(
むかし
)
から
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
といつて、
230
随分
(
ずいぶん
)
悪
(
あく
)
は
尽
(
つく
)
して
来
(
き
)
たのだが、
231
腹
(
はら
)
の
黒
(
くろ
)
い
人間
(
にんげん
)
の
腹中
(
ふくちう
)
は、
232
自分
(
じぶん
)
が
現在
(
げんざい
)
這入
(
はい
)
つて
居
(
を
)
りながら、
233
分
(
わか
)
らぬものだ。
234
いかにも
人間
(
にんげん
)
といふものは
重宝
(
ちようほう
)
なものだなア。
235
偽善
(
ぎぜん
)
を
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
に
遂行
(
すゐかう
)
するには、
236
本当
(
ほんたう
)
に
重宝
(
ちようはう
)
な
唯一
(
ゆゐいつ
)
無二
(
むに
)
のカラクリだ、
237
イツヒヒヒ。
238
それを
聞
(
き
)
いて
此
(
この
)
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
もスツカリと
安心
(
あんしん
)
を
致
(
いた
)
したぞや。
239
サア
始
(
はじ
)
めてお
前
(
まへ
)
が
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けてくれたのだから、
240
今日
(
けふ
)
位
(
くらゐ
)
心地
(
ここち
)
よいことはないワ、
241
のう
大蛇
(
をろち
)
よ、
242
猿
(
さる
)
よ、
243
狸
(
くろ
)
よ、
244
蟇
(
がま
)
よ、
245
豆
(
まめ
)
よ、
246
本当
(
ほんたう
)
に
岩戸
(
いはと
)
が
開
(
ひら
)
けたやうな
気分
(
きぶん
)
がするぢやないか』
247
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
から
違
(
ちが
)
うた
声
(
こゑ
)
で、
248
(腹の中から違う声で)
『ウン ウン ウン ウン、
249
さうさう、
250
これでこそ、
251
私
(
わし
)
たちも
安心
(
あんしん
)
だ。
252
流石
(
さすが
)
は
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
さまだけあつて、
253
よくマア
肉体
(
にくたい
)
と、
254
其処
(
そこ
)
まで
談判
(
だんぱん
)
して
下
(
くだ
)
さつた。
255
ああ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い』
256
腹中
(
ふくちう
)
より
又
(
また
)
もや
以前
(
いぜん
)
の
声
(
こゑ
)
で、
257
(腹の中から)
『さうだから、
258
此
(
この
)
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
さまに
従
(
したが
)
へと
云
(
い
)
ふのだ。
259
これから
高姫
(
たかひめ
)
の
肉体
(
にくたい
)
をかつて、
260
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
致
(
いた
)
すのだ。
261
それに
就
(
つ
)
いては
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
三五教
(
あななひけう
)
を
崩壊
(
ほうくわい
)
し、
262
ウラナイ
教
(
けう
)
を
立
(
た
)
てて
善
(
ぜん
)
の
仮面
(
かめん
)
を
被
(
かぶ
)
り、
263
現界
(
げんかい
)
の
人間
(
にんげん
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
兇党界
(
きようたうかい
)
に
引張
(
ひつぱ
)
り
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
ふのだ。
264
最早
(
もはや
)
肉体
(
にくたい
)
が
心
(
こころ
)
を
打
(
う
)
ち
開
(
あ
)
けた
以上
(
いじやう
)
は、
265
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しはささない。
266
若
(
も
)
しも
最前
(
さいぜん
)
の
言葉
(
ことば
)
に
肉体
(
にくたい
)
が
反
(
そむ
)
きよつたら、
267
お
前
(
まへ
)
たちはおれの
命令
(
めいれい
)
一下
(
いつか
)
と
共
(
とも
)
に、
268
そこら
中
(
ぢう
)
を
引張
(
ひつぱ
)
りまはし
苦
(
くるし
)
めてやるのだよ』
269
高姫
『コラ、
270
そんな
無茶
(
むちや
)
な
相談
(
さうだん
)
を
致
(
いた
)
すといふことがあるか、
271
表
(
おもて
)
は
表
(
おもて
)
、
272
裏
(
うら
)
は
裏
(
うら
)
だ。
273
さうお
前
(
まへ
)
のやうに
露骨
(
ろこつ
)
に
云
(
い
)
つちや、
274
肝腎
(
かんじん
)
の
大望
(
たいまう
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
せぬぢやないか』
275
(腹の中から)
『
何
(
なに
)
、
276
お
前
(
まへ
)
の
耳
(
みみ
)
に
内部
(
ないぶ
)
から
伝
(
つた
)
はるだけのもので、
277
決
(
けつ
)
して
外部
(
ぐわいぶ
)
へは
洩
(
も
)
れる
気遣
(
きづか
)
ひはない。
278
お
前
(
まへ
)
さへ
喋
(
しやべ
)
らなかつたら、
279
それでいいのだ』
280
高姫
『ソリヤさうだな、
281
それならマア、
282
十分
(
じふぶん
)
にお
前
(
まへ
)
も
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
致
(
いた
)
すがよいぞや。
283
この
高姫
(
たかひめ
)
も
乗
(
の
)
りかけた
舟
(
ふね
)
だ、
284
何処
(
どこ
)
までも
初心
(
しよしん
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
せなくちやおかないのだからな。
285
ドレドレ、
286
モウ
初稚
(
はつわか
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
時分
(
じぶん
)
だ。
287
思
(
おも
)
はず
守護神
(
しゆごじん
)
と
談判
(
だんぱん
)
をして
居
(
を
)
つたものだから、
288
つひ
時
(
とき
)
の
経
(
た
)
つのも
忘
(
わす
)
れてゐた。
289
併
(
しか
)
し
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
聞
(
き
)
いてゐやせなんだか
知
(
し
)
らぬて、
290
何
(
なん
)
だか
気掛
(
きがか
)
りでならないワ』
291
といひながら、
292
サツと
障子
(
しやうじ
)
をあけて
長廊下
(
ながらうか
)
を
眺
(
なが
)
めた。
293
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
芒
(
すすき
)
の
枯
(
か
)
れた
穂
(
ほ
)
を
一
(
ひと
)
つかみ
握
(
にぎ
)
りながら、
294
他愛
(
たあい
)
もなく
遊
(
あそ
)
び
戯
(
たはむ
)
れ、
295
廊下
(
らうか
)
に
一本
(
いつぽん
)
一本
(
いつぽん
)
さして
遊
(
あそ
)
んでゐる。
296
その
無邪気
(
むじやき
)
な
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
めて、
297
高姫
(
たかひめ
)
はホツと
一息
(
ひといき
)
し、
298
高姫
『
何
(
なん
)
とマア
無邪気
(
むじやき
)
な
娘
(
こ
)
だこと、
299
枯尾花
(
かれをばな
)
を
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
の
隙間
(
すきあひ
)
に
立
(
た
)
て
並
(
なら
)
べて
遊
(
あそ
)
んでゐるのだもの。
300
大
(
おほ
)
きな
図体
(
づうたい
)
をしながら、
301
そして
十七
(
じふしち
)
にもなりながら、
302
未通
(
おぼ
)
こい
娘
(
むすめ
)
だなア。
303
本当
(
ほんたう
)
に
水晶魂
(
すいしやうだま
)
だ。
304
この
高姫
(
たかひめ
)
がうまく
仕込
(
しこ
)
んでやれば、
305
完全
(
くわんぜん
)
に
改悪
(
かいあく
)
して
立派
(
りつぱ
)
なウラナイ
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
になるだらう。
306
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
杢助
(
もくすけ
)
さまと
云
(
い
)
ふ
父親
(
てておや
)
を
掌中
(
しやうちう
)
に
握
(
にぎ
)
つてゐるのだから
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
307
東助
(
とうすけ
)
さまに
肱鉄
(
ひぢてつ
)
をかまされ、
308
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
で
恥
(
はぢ
)
をかかされて、
309
悔
(
くや
)
し
残念
(
ざんねん
)
さをこばつて、
310
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば、
311
こんな
都合
(
つがふ
)
の
好
(
い
)
いことが
出来
(
でき
)
て
来
(
き
)
た。
312
あああ、
313
人間
(
にんげん
)
万事
(
ばんじ
)
塞翁
(
さいをう
)
の
馬
(
うま
)
の
糞
(
くそ
)
とやら、
314
苦
(
くる
)
しい
後
(
あと
)
には
楽
(
たの
)
しみがあり、
315
楽
(
たの
)
しみの
後
(
あと
)
には
苦
(
くる
)
しみが
来
(
く
)
るぞよ、
316
改心
(
かいしん
)
なされよ……と
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
のお
筆先
(
ふでさき
)
にチヤンと
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る。
317
高姫
(
たかひめ
)
もまだ
天運
(
てんうん
)
が
尽
(
つ
)
きないと……あ……
見
(
み
)
えるワイ、
318
エツヘヘヘ、
319
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
、
320
大国治立
(
おほくにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
321
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
へ
幸
(
さきは
)
へ
給
(
たま
)
へ』
322
(腹の中から)
『オツホツホホホ、
323
オイ
肉体
(
にくたい
)
、
324
大変
(
たいへん
)
な
元気
(
げんき
)
だなア、
325
甘
(
うま
)
く
行
(
ゆ
)
きさうだのう。
326
吾々
(
われわれ
)
一団体
(
いちだんたい
)
の
兇霊
(
きようれい
)
連中
(
れんちう
)
も
満足
(
まんぞく
)
してゐる。
327
どうだ、
328
チツと
歌
(
うた
)
でもうたつたら
面白
(
おもしろ
)
からうに……のう』
329
高姫
『コリヤ、
330
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
不心得
(
ふこころえ
)
なことをいふか。
331
世界
(
せかい
)
は
暗雲
(
やみくも
)
になり、
332
殆
(
ほとん
)
ど
泥海
(
どろうみ
)
のやうになつてゐるのに、
333
そんな
陽気
(
やうき
)
なことで、
334
どうして
誠
(
まこと
)
が
貫
(
つらぬ
)
けるか。
335
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
様
(
さま
)
のお
筆先
(
ふでさき
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てゐる、
336
チツと
改心
(
かいしん
)
したがよからうぞ』
337
(腹の中から)
『アハハハハ、
338
善悪
(
ぜんあく
)
不二
(
ふじ
)
、
339
正邪
(
せいじや
)
一如
(
いちによ
)
といふ
甘
(
うま
)
い
筆法
(
ひつぱふ
)
だなア。
340
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
の
紙
(
かみ
)
にも
裏表
(
うらおもて
)
のあるものだから……』
341
高姫
『シーツ、
342
今
(
いま
)
そこへ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るぢやないか、
343
チツと
心得
(
こころえ
)
ないか』
344
(腹の中から)
『
声
(
こゑ
)
がせないと、
345
チツとも
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えぬものだから、
346
これはエライ
不調法
(
ぶてうはふ
)
を
致
(
いた
)
しました。
347
オオ
怖
(
こ
)
はオオ
怖
(
こ
)
は、
348
肉体
(
にくたい
)
の
権幕
(
けんまく
)
には
俺
(
おれ
)
も
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
したワイ』
349
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
何気
(
なにげ
)
なき
態
(
てい
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
350
ニコニコしながら
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
351
初稚姫
『お
母
(
か
)
アさま、
352
とうとうスマートをぼつ
帰
(
かへ
)
して
来
(
き
)
ましたよ。
353
妙
(
めう
)
な
犬
(
いぬ
)
でしてね、
354
何程
(
なにほど
)
追
(
お
)
つかけても
後
(
あと
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て
仕方
(
しかた
)
がありませぬので、
355
私
(
わたし
)
も
困
(
こま
)
りましたよ』
356
高姫
『ああさうだろさうだろ、
357
あれ
丈
(
だけ
)
お
前
(
まへ
)
につき
纒
(
まと
)
うて
居
(
を
)
つたのだから、
358
離
(
はな
)
れともなかつただらう。
359
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
畜生
(
ちくしやう
)
だから
人間
(
にんげん
)
の
云
(
い
)
ふこた
分
(
わか
)
らず、
360
嘸
(
さぞ
)
お
骨折
(
ほねをり
)
だつたろ。
361
併
(
しか
)
しマアよう
帰
(
い
)
にましたなア』
362
初稚姫
『ハイ、
363
仕方
(
しかた
)
がないので、
364
石
(
いし
)
を
拾
(
ひろ
)
つて
五
(
いつ
)
つ
六
(
むつ
)
つ
頭
(
あたま
)
にかちつけてやりましたの。
365
そしたら
頭
(
あたま
)
が
二
(
ふた
)
つにポカンと
割
(
わ
)
れて
大変
(
たいへん
)
な
血
(
ち
)
を
出
(
だ
)
し、
366
厭
(
いや
)
らしい
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
逃
(
に
)
げて
帰
(
かへ
)
りましたの』
367
高姫
『それは
本当
(
ほんたう
)
に、
368
気味
(
きみ
)
のよいこと……ウン、
369
オツトドツコイ、
370
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
いことだつたね。
371
大変
(
たいへん
)
にお
前
(
まへ
)
を
恨
(
うら
)
んで
居
(
を
)
つただらうなア』
372
初稚姫
『
何程
(
なにほど
)
ウラナイ
教
(
けう
)
だとて、
373
怨
(
うら
)
みも
致
(
いた
)
しますまい、
374
ホホホ』
375
高姫
『や、
376
初稚
(
はつわか
)
さま、
377
お
前
(
まへ
)
は
今
(
いま
)
ウラナイ
教
(
けう
)
と
言
(
い
)
ひましたね、
378
誰
(
たれ
)
にそんなことをお
聞
(
き
)
きになつたのだえ』
379
初稚姫
『お
母
(
か
)
アさま、
380
表
(
おもて
)
はね、
381
三五教
(
あななひけう
)
で、
382
其
(
その
)
内実
(
ないじつ
)
は、
383
お
母
(
か
)
アさまのお
開
(
ひら
)
き
遊
(
あそ
)
ばしたウラナイ
教
(
けう
)
の
方
(
はう
)
が
良
(
い
)
いぢやありませぬか。
384
私
(
わたし
)
、
385
ウラナイ
教
(
けう
)
が
大好
(
だいす
)
きなのよ』
386
高姫
『オホホホホ、
387
ヤツパリお
前
(
まへ
)
は
私
(
わし
)
の
大事
(
だいじ
)
の
子
(
こ
)
だ、
388
何
(
なん
)
と
賢
(
かしこ
)
い
者
(
もの
)
だなア。
389
これでこそ
三五教
(
あななひけう
)
崩壊
(
ほうくわい
)
の……ウン……トコドツコイ、
390
法界
(
ほふかい
)
の
危急
(
ききふ
)
を
完全
(
くわんぜん
)
に
救済
(
きうさい
)
することが
出来
(
でき
)
ませうぞや』
391
初稚姫
『さうですなア。
392
誠
(
まこと
)
さへ
立
(
た
)
てば、
393
名
(
な
)
は
何
(
ど
)
うでもいいぢやありませぬか』
394
高姫
(
たかひめ
)
は
首
(
くび
)
を
頻
(
しき
)
りにシヤクリながら、
395
笑
(
ゑみ
)
を
満面
(
まんめん
)
に
湛
(
たた
)
へて、
396
高姫
『コレ
初稚
(
はつわか
)
さま、
397
お
母
(
か
)
アさまは、
398
これからお
父
(
とう
)
さまをお
迎
(
むか
)
へ
申
(
まを
)
してくるから、
399
お
前
(
まへ
)
さまは
暫
(
しばら
)
く
事務所
(
じむしよ
)
へでも
行
(
い
)
つて
遊
(
あそ
)
んで
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
400
こんな
所
(
ところ
)
に
一人
(
ひとり
)
置
(
お
)
いとくのも
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だからなア』
401
初稚姫
『お
母
(
か
)
アさま、
402
そんなに
永
(
なが
)
く
時間
(
じかん
)
がかかるのですか』
403
高姫
『さう
永
(
なが
)
くもかからない
積
(
つもり
)
だが、
404
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもあの
通
(
とほ
)
り、
405
云
(
い
)
ひかけたら
後
(
あと
)
へ
引
(
ひ
)
かぬ
杢助
(
もくすけ
)
さまだから、
406
犬
(
いぬ
)
を
帰
(
い
)
なしたことから、
407
其
(
その
)
外
(
ほか
)
お
前
(
まへ
)
さまの
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
を、
408
トツクリと
御
(
ご
)
得心
(
とくしん
)
なさるやうに
申上
(
まをしあ
)
げねばならぬから、
409
チツとばかり
暇
(
ひま
)
が
要
(
い
)
るかも
知
(
し
)
れませぬからなア』
410
初稚姫
『お
母
(
か
)
アさま、
411
私
(
わたし
)
もお
供
(
とも
)
致
(
いた
)
しませうか』
412
高姫
『イヤイヤそれには
及
(
およ
)
びませぬ。
413
又
(
また
)
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
に、
414
どんな
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
があるか
知
(
し
)
れませぬから、
415
却
(
かへ
)
つてお
前
(
まへ
)
さまが
側
(
そば
)
にゐない
方
(
はう
)
が、
416
双方
(
さうはう
)
の
為
(
ため
)
に
都合
(
つがふ
)
がいいかも
知
(
し
)
れませぬ。
417
一寸
(
ちよつと
)
其処
(
そこ
)
まで
行
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
ります』
418
とイソイソとして
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
419
後
(
あと
)
見送
(
みおく
)
つて
初稚姫
(
はつわかひめ
)
はニツコと
笑
(
わら
)
ひ、
420
イソイソとして
珍彦
(
うづひこ
)
の
居間
(
ゐま
)
を
訪
(
たづ
)
ね、
421
同年輩
(
どうねんぱい
)
の
楓姫
(
かへでひめ
)
とあどけなき
話
(
はなし
)
を
交換
(
かうくわん
)
しながら
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
してゐる。
422
(
大正一二・一・二〇
旧一一・一二・四
松村真澄
録)
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