霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 妖幻坊(えうげんばう)〔一三〇九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第4篇 神犬の言霊 よみ:しんけんのことたま
章:第15章 妖幻坊 よみ:ようげんぼう 通し章番号:1309
口述日:1923(大正12)年01月23日(旧12月7日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
春雨の降りしきる頃、高姫は腹中の憑霊たちと斎苑館を占領する空想を描いてひとり笑壺に入っている。初稚姫はこのごろ、高姫の命令によって珍彦館に籠り、神殿や大広間にしばらく姿を現すことを禁じられていた。
スマートも姿を見せないために、悪孤たちは元気がよかった。高姫は一弦琴を取り出して歌い始めた。高姫は琴を引く芸は持っていなかったが、憑依している蟇先生が肉体を使って琴を弾じていた。
妖幻坊は厠から戻ってきた。そして高姫の琴芸に感心し、ひとしきりからかった。高姫は、日の出神のお筆先を書くからといって、酒をあてがって杢助を自室に帰した。高姫は筆と墨を用意し、一時ばかりかかって筆先を書きあげた。
そしてイルにこれを大声で拝読させて、珍彦館にいる初稚姫にも聞かせて改心させてやろうと思い立ち、書き上げたばかりの筆先三冊を三宝に乗せて受付にやってきた。高姫はイルたちにこの筆先を書写して、それを初稚姫に聞こえるように拝読せよと命じると、自分の居間に帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5015
愛善世界社版:205頁 八幡書店版:第9輯 225頁 修補版: 校定版:211頁 普及版:104頁 初版: ページ備考:
001 春雨(はるさめ)()りしきるシンミリとした(まど)(うち)002四辺(あたり)空気(くうき)(やは)らいで、003(もの)(ねつ)(やす)高姫(たかひめ)(あたま)はどことはなしにポカポカと助炭(じよたん)(うへ)(すわ)つた(やう)心持(こころもち)がする。004高姫(たかひめ)腹中(ふくちう)(ひそ)める沢山(たくさん)のお(きやく)さまと、005徒然(つれづれ)(あま)り、006斎苑(いそ)(やかた)占領(せんりやう)すべき空想(くうさう)(ゑが)いて、007(ひと)笑壺(ゑつぼ)()つてゐる。008(はら)(なか)から義理天上(ぎりてんじやう)(しよう)する兇霊(きようれい)は、009(なん)とはなしに(この)(ごろ)元気(げんき)がよい。010それは初稚姫(はつわかひめ)高姫(たかひめ)命令(めいれい)によつて、011珍彦館(うづひこやかた)籠居(ろうきよ)し、012(しばら)神殿(しんでん)(また)大広前(おほひろまへ)姿(すがた)(あら)はす(こと)(きん)じられ、013(かつ)スマートを()(かへ)したと()(よろこ)びからである。014(しか)しながらスマートは変現出没(へんげんしゆつぼつ)自由自在(じいうじざい)霊獣(れいじう)なれば、015(けつ)して何処(どこ)へも()つては()ない。016(ただ)初稚姫(はつわかひめ)身辺(しんぺん)(ちか)()し、017(ひと)足音(あしおと)(きこ)えた(とき)は、018(はや)くも(さと)つて床下(ゆかした)()(かく)すことを(つと)めてゐたのである。019高姫(たかひめ)一絃琴(いちげんきん)取出(とりだ)して(うた)(はじ)めた。020無論(むろん)高姫(たかひめ)(こと)などを()(やう)(げい)()つてゐない。021憑依(ひようい)してゐる蟇先生(がませんせい)肉体(にくたい)自由自在(じいうじざい)使(つか)つて、022(こと)(だん)ずるのであつた。
023『チンチンシヤン、024シヤツチンシヤツチン、025シヤツチン、026チンチン
027 春雨(はるさめ)にしつぽり()るる(つゆ)(そで)
028 こつちが()ふれば杢助(もくすけ)さまも
029 (おな)(おも)ひの恋心(こひごころ)
030 チンチンチン、031シヤン……シヤンシヤン、032シヤツチン、033チンチリチン、034チンーチンー
035 すれつ、036もつれつ、037(そで)(そで)
038 ()うて(うれ)しき(この)(やかた)
039 玉国別(たまくにわけ)身魂(みたま)をば
040 (この)高姫(たかひめ)守護(しゆご)する
041 義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)
042 (ふか)仕組(しぐみ)(あやつ)られ
043 やうやう此処(ここ)宮柱(みやばしら)
044 (ふと)しき()てて神々(かみがみ)
045 (いつ)きまつりて珍彦(うづひこ)
046 静子(しづこ)(かた)(あと)におき
047 (みや)(つかさ)相定(あひさだ)
048 後白浪(あとしらなみ)道晴別(みちはるわけ)
049 (その)()家来(けらい)引連(ひきつ)れて
050 何処(どこ)をあてとも(なが)(たび)
051 ()()(あと)()(きた)
052 神力無双(しんりきむさう)杢助(もくすけ)さま
053 身魂(みたま)()うた高姫(たかひめ)
054 (むかし)(むかし)大昔(おほむかし)
055 (かみ)(むす)びし(えにし)にて
056 やうやう此処(ここ)(めぐ)()
057 (その)神徳(しんとく)()(ひと)
058 鼻高姫(はなたかひめ)とホコラの(もり)
059 二世(にせ)三世(さんせ)(さき)()かけて
060 自由自在(じいうじざい)麻邇宝珠(まにほつしゆ)
061 (いづ)身魂(みたま)玉椿(たまつばき)
062 八千代(やちよ)(はる)(たの)しみに
063 二人(ふたり)(なか)(いは)(いは)
064 (かた)(ちぎり)(むす)昆布(こぶ)
065 神楽舞(かぐらまひ)をば(するめ)夫婦(ふうふ)
066 ()にも(たの)しき(わが)()(うへ)
067 杢助(もくすけ)さまも(さぞ)(さぞ)
068 (うれ)しい(こと)で……あらう(ほど)
069 (おも)へば(おも)へば惟神(かむながら)
070 日出神(ひのでのかみ)引合(ひきあは)
071 (いづ)御霊(みたま)御守(おんまも)
072 (みづ)御霊(みたま)悪神(わるがみ)
073 千々(ちぢ)(こころ)(くば)りつつ
074 (さまた)げなせど神力(しんりき)
075 ()ちたらひたる夫婦(ふうふ)(たく)
076 とても(やぶ)れぬ(かな)しさに
077 (いま)()となり(じや)となりて
078 (こころ)をいらち(むね)こがし
079 (さわ)ぎまはるぞ……いぢらしき。
080 シヤツチン シヤツチン、081シヤツチンチン シヤツチンチン、082チーンリンチン、083チンリン チンリン チンツ、084シヤーン シヤーン』
085()(をは)り、086一絃琴(いちげんきん)(かたはら)(なほ)し、087(ひざ)(うへ)両手(りやうて)をキチンとついて、088(とこ)()自筆(じひつ)掛軸(かけぢく)(なが)めながら、
089『ホホホホ』
090(うれ)しげに(わら)(きよう)ずる。091妖幻坊(えうげんばう)(かはや)から廊下(らうか)をドシンドシンと、092きつい足音(あしおと)させながら(ふすま)をあけて()(きた)り、
093高姫(たかひめ)094(まへ)不思議(ふしぎ)(かく)(げい)()つてゐるのだな。095(おれ)(また)そんな陽気(やうき)(こと)はチツとも()らない、096信仰(しんかう)一途(いちづ)熱狂女(ねつきやうぢよ)だと(おも)うてゐたよ。097イヤもう感心(かんしん)した』
098『ホホホホ、099(のう)ある(たか)(つめ)かくすと()ひましてな。100(いま)(まで)(この)(たか)ちやまも、101(つめ)をかくして()つたのだが、102今日(けふ)(この)(とほ)春雨(はるさめ)で、103(なん)とはなしに(こころ)(さび)しいやうでもあり、104(はな)やかなやうでもあり、105(こと)をひくには大変(たいへん)天地(てんち)調和(てうわ)()れるやうな気分(きぶん)になつたものですから、106(ひさ)(ぶり)一寸(ちよつと)爪弾(つまび)きをやつてみましたのよ』
107情趣(じやうしゆ)こまやかに四辺(あたり)空気(くうき)動揺(どうえう)させ、108()いで(この)杢助(もくすけ)心臓(しんざう)(まで)非常(ひじやう)動揺(どうえう)したよ。109(おれ)(いま)(まで)(なが)らくの(あひだ)110斎苑(いそ)(やかた)御用(ごよう)をして()つたが、111二絃琴(にげんきん)(おと)はいつも()いて()るけれど、112一絃琴(いちげんきん)はまだ()(はじ)めだ。113一筋(ひとすぢ)(いと)(はう)余程(よほど)雅味(がみ)があるねえ。114一筋縄(ひとすぢなは)ではいかぬお(まへ)だと(おも)つてゐたが、115到頭(たうとう)正体(しやうたい)(あら)はれよつたなア。116アツハハハハ』
117『コレ杢助(もくすけ)さま、118(あんま)揶揄(からか)つて(くだ)さるなや』
119『カラが()たうが日本(にほん)()たうが、120そんなこたチツとも頓着(とんちやく)ないのだ。121兎角(とかく)浮世(うきよ)(いろ)(さけ)だからなア。122オイ(たか)ちやま、123一杯(いつぱい)()いでくれないか』
124杢助(もくすけ)さま、125貴郎(あなた)(さけ)ばかり()んで()つて、126一度(いちど)神様(かみさま)拝礼(はいれい)をなさつた(こと)はないぢやありませぬか。127神様(かみさま)にお(つか)へする(もの)が、128それ(ほど)無性(ぶしやう)では、129(みな)(もの)信仰(しんかう)をつなぐ(こと)出来(でき)ぬぢやありませぬか。130貴郎(あなた)模範(もはん)(しめ)さなくちや、131役員(やくゐん)信者(しんじや)(まで)神様(かみさま)御拝礼(ごはいれい)をおろそかにして(こま)るぢやありませぬか』
132(おれ)斎苑(いそ)(やかた)()つても総務(そうむ)をやつて()つたのだ。133総務(そうむ)といふものは一切(いつさい)事務(じむ)総理(そうり)するものだ。134祭典(さいてん)拝礼(はいれい)などは、135(また)それ相当(さうたう)役員(やくゐん)にさせばいいのだ。136ここには珍彦(うづひこ)といふ神司(かむつかさ)()いてあるのだから、137(おれ)はマア遠慮(ゑんりよ)しておこかい。138(なん)だか神様(かみさま)(まへ)()くと(おそ)ろしい……イヤイヤ(おそ)ろしく(れい)がかかるので、139(また)(おほ)きな(こゑ)でも()しちや(みな)(もの)がビツクリするからなア。140それで(じつ)(をが)みたくつて仕方(しかた)がないのだが、141辛抱(しんばう)して御遠慮(ごゑんりよ)して()るのだ。142吾々(われわれ)身魂(みたま)霊国(れいごく)天人(てんにん)だから、143神教宣伝(しんけうせんでん)天職(てんしよく)(そな)はつてをるのだ。144祭典(さいてん)拝礼(はいれい)天国天人(てんごくてんにん)身魂(みたま)御用(ごよう)だ。145神界(しんかい)には、146(まへ)()つてゐるだらうが、147(たがひ)(その)範囲(はんゐ)(おか)(こと)出来(でき)ない(きび)しい規則(きそく)惟神的(かむながらてき)(さだ)められてあるからな』
148成程(なるほど)149それでお(まへ)さまは拝礼(はいれい)をなさらぬのだな。150さうすると(わたし)霊国天人(れいごくてんにん)ですか、151天国天人(てんごくてんにん)ですか、152何方(どちら)だと(おも)ひますか』
153勿論(もちろん)(まへ)だつて、154ヤツパリ霊国(れいごく)天人(てんにん)だよ。155それならばこそ義理天上(ぎりてんじやう)さまが、156毎日(まいにち)守護神(しゆごじん)人民(じんみん)(をし)ふる(ため)に、157神諭(しんゆ)をお()きなさるぢやないか。158(その)生宮(いきみや)たるお(まへ)はヤツパリ相応(さうおう)()によつて、159肉体的(にくたいてき)霊国天人(れいごくてんにん)だからなア』
160流石(さすが)杢助(もくすけ)さま、161(えら)いものだなア。162(なん)だか(わたし)(この)(あひだ)から拝礼(はいれい)(いや)になつて仕方(しかた)がないのよ。163(また)曲津(まがつ)(はら)(なか)這入(はい)つて()やがつて、164大神様(おほかみさま)(おそ)れるので、165こんな()になつたのかと心配(しんぱい)して()りました。166(しか)し、167貴郎(あなた)説明(せつめい)()つて(なに)()身魂(みたま)因縁(いんねん)がハツキリと(わか)りました。168ヤツパリさうすると、169(この)高姫(たかひめ)(えら)いものだなア』
170『そりやさうとも、171杢助(もくすけ)さまの女房(にようばう)になる(くらゐ)神格者(しんかくしや)だからなア、172(まへ)(また)これでチツと筆先(ふでさき)材料(ざいれう)出来(でき)ただらう』
173『ヘン、174馬鹿(ばか)にして(くだ)さいますなや。175(ひと)(をし)へて(もら)うて、176筆先(ふでさき)なんか()きますものか』
177『それでも()てゐよ。178キツとお(まへ)筆先(ふでさき)(あら)はれて()るよ。179(おれ)がこれだけお(まへ)()かしておくと、180義理天上(ぎりてんじやう)さまが成程(なるほど)合点(がつてん)して、181キツと明日(あす)あたりから、182霊国(れいごく)天人(てんにん)といふお筆先(ふでさき)御書(おか)きなさるに(ちがひ)ないワ。183(なに)せよ、184模倣(もはう)するのに(ちやう)じてゐる肉宮(にくみや)だからなア』
185『お(まへ)さまが(いま)()つた言葉(ことば)は、186(けつ)してお(まへ)さまの(ちから)ぢやありませぬぞや。187義理天上(ぎりてんじやう)さまがお(まへ)さまの身魂(みたま)使(つか)うて(この)高姫(たかひめ)()をつけなさつたのだよ。188これ(くらゐ)道理(だうり)(わか)らぬ(やう)杢助(もくすけ)さまぢやありますまい。189(まへ)さまが、190こんな(こと)仰有(おつしや)るやうになつたのもヤツパリ時節(じせつ)だ。191高姫(たかひめ)筆先(ふでさき)()かす(ため)に、192義理天上様(ぎりてんじやうさま)が、193(まへ)さまの(くち)()つて一寸(ちよつと)()はせなさつたのだから、194これからの筆先(ふでさき)はよつぽど奇抜(きばつ)なものが(あら)はれますで、195マア()てゐなさい。196(まへ)さまだけにはソツと()せて()げますワ』
197『ハツハハハ、198また出来上(できあが)りましたら拝読(はいどく)(ねが)ひませうかい』
199杢助(もくすけ)さま、200一寸(ちよつと)(にはか)神界(しんかい)御用(ごよう)(いそ)がしうなつたから、201貴郎(あなた)はお居間(ゐま)()つて、202(さけ)でもあがつて(やす)んでゐて(くだ)さい。203(まへ)さまが(そば)にゐられると、204(おも)はし筆先(ふでさき)()けませぬからなア』
205『ハツハハハ、206筆先(ふでさき)偽作(ぎさく)(あそ)ばすのに、207(わたし)()るとお邪魔(じやま)になりますかな。208それなら(つつし)んで(まか)りさがりませう。209御用(ごよう)(ござ)いましたら、210御遠慮(ごゑんりよ)なくお()()(くだ)さいますれば、211(つる)一声(ひとこゑ)212(ちう)()んで御前(ごぜん)伺候(しこう)(いた)しまする。213ハハハハ、214(たか)ちやま、215アバヨ』
216(あご)をしやくり(こし)()り、217ピシヤツと(ふすま)()めて、218(わが)居間(ゐま)(かへ)りゆく。219そして(なか)から突張(つつぱ)りをかへ、220怪物(くわいぶつ)正体(しやうたい)(あら)はしてグウグウと(いびき)をかいて()(しま)つた。
221 高姫(たかひめ)(にはか)(すみ)をすり、222(さき)のちびれた(ふで)をキシヤ キシヤとしがみ、223(すみ)をダブツとつけて一生懸命(いつしやうけんめい)()(はじ)めた。224一時(ひととき)ばかりかかつて()(をは)り、225キチンと(つくゑ)(うへ)()独言(ひとりごと)
226義理天上(ぎりてんじやう)さまも追々(おひおひ)御出世(ごしゆつせ)(あそ)ばし、227()きなさる(こと)大変(たいへん)(かは)つて()た。228こんな結構(けつこう)(をしへ)(ひと)()せるのも()しいやうだ。229(しか)(これ)をイル、230イク、231サール、232ハル、233テルの幹部(かんぶ)()ましておかぬと、234高姫(たかひめ)肉宮(にくみや)(やす)(おも)つて仕方(しかた)がない。235(また)肝腎(かんじん)(こと)(わか)らいではお仕組(しぐみ)成就(じやうじゆ)(おそ)くなつて、236どもならぬから、237()しいけれど、238(ひと)此処(ここ)()んで()拝読(はいどく)させてやらうかな。239初稚姫(はつわかひめ)にも()かしてやれば改心(かいしん)するであらうか……イヤイヤ()()てモウ(しばら)(かく)しておかう、240発根(ほつごん)改心(かいしん)出来(でき)たら()むやうになるだらう。241(なん)だか初稚姫(はつわかひめ)は、242(わたし)筆先(ふでさき)(こころ)(そこ)から信用(しんよう)してゐない(やう)心持(こころもち)がするから、243()めと()つたら()むではあらうが、244身魂(みたま)性来(しやうらい)(わる)いから、245充分(じうぶん)(はら)へは這入(はい)るまい。246杢助(もくすけ)さまの(をしへ)だと()へば、247()くかも()れぬが、248さうすると日出神(ひのでのかみ)神力(しんりき)がないやうにあつて、249都合(つがふ)(わる)いなり……(こま)つた(こと)だなア。250()()て、251(ひと)つこれは(かんが)へねばなろまい。252ウーン成程(なるほど)々々(なるほど)253イルに(おほ)きな(こゑ)拝読(はいどく)さしてやらう。254そして珍彦(うづひこ)(やかた)へ、255あの受付(うけつけ)からならば()()けるやうに(きこ)えるのだから、256(この)結構(けつこう)なお(ふで)(みみ)()れたならば、257イツカな(わか)らぬ初稚姫(はつわかひめ)も、258成程(なるほど)(みみ)をすませ改心(かいしん)するに(ちが)ひない、259(この)筆先(ふでさき)(おさ)へつけるに(かぎ)る』
260とニコニコしながら、261()いた筆先(ふでさき)二十枚綴(にじふまいとぢ)三冊(さんさつ)ばかり、262三宝(さんぱう)()せ、263目八分(めはちぶ)(ささ)げ、264(ふすま)をスツと()け、265ソロリソロリと勿体(もつたい)らしく受付(うけつけ)()して(すす)()く。266受付(うけつけ)では担当者(たんたうしや)のイルを(はじ)め、267ハル、268テル、269(その)()連中(れんちう)胡坐(あぐら)をかいて自慢話(じまんばなし)(ふけ)つてゐる。
270ハル『オイ、271イルさま、272(まへ)一体(いつたい)(この)受付(うけつけ)(えら)さうにシヤチ()つて()るが、273月給(げつきふ)(いく)(もら)つて()るのだい』
274『まだ珍彦(うづひこ)さまが、275()めて(くだ)さらぬのだ。276ナアニ(べつ)神様(かみさま)御用(ごよう)するのだから、277(なん)なつとヒダルないやうにして(もら)へさへすりや、278月給(げつきふ)なんかいらないよ。279結構(けつこう)神様(かみさま)御用(ごよう)をするならば、280献労(けんらう)(つもり)で、281無報酬(むほうしう)御用(ごよう)さして(いただ)きたい。282(しか)しながら高姫(たかひめ)なんかの指図(さしづ)()けねばならぬとすれば、283相当(さうたう)給料(きふれう)(もら)はないと(いや)だなア』
284『それなら(いく)()しいと()ふのだい』
285『マア一ケ月(いつかげつ)十円(じふゑん)(くらゐ)結構(けつこう)だ』
286貴様(きさま)287バラモン(けう)ではモチと沢山(たくさん)(もら)うてゐたぢやないか』
288『さうだ、289五十円(ごじふゑん)一円(いちゑん)()らずで、290四十九円(しじふくゑん)月給(げつきふ)だ。291アハハハハ、292ハル……(しか)しお(まへ)(いく)頂戴(ちやうだい)して()つた』
293(おれ)かい、294(おれ)はザツと十八円(じふはちゑん)だ』
295成程(なるほど)296それでは毎日(まいにち)九円々々(くゑんくゑん)泣暮(なきぐら)しだな、297エヘヘヘヘ』
298他愛(たあい)もなく(はなし)(ふけ)つてゐる。299そこへ高姫(たかひめ)三宝(さんぱう)(いま)()いたばかりの、300まだ(すみ)(かわ)いてゐないボトボトした筆先(ふでさき)目八分(めはちぶ)(ささ)げて()(きた)り、
301『コレ、302(みな)さま、303(なに)()つて()るのだい。304(まへ)さま(たち)は、305神様(かみさま)御精神(ごせいしん)がチツとも(わか)らぬ八衢人間(やちまたにんげん)だから(こま)つて(しま)ふ。306受付(うけつけ)といふものは、307一番(いちばん)大切(たいせつ)なお(やく)ぢやぞえ。308(おく)()大将(たいしやう)仮令(たとへ)少々(せうせう)(ぐらゐ)天保銭(てんぱうせん)でも、309受付(うけつけ)さへシツカリしてさへ()れば、310立派(りつぱ)御神徳(ごしんとく)(あら)はれるのだ。311ここへ立寄(たちよ)人民(じんみん)が、312受付(うけつけ)立派(りつぱ)なのを()て……あああ、313受付(うけつけ)でさへもこんな立派(りつぱ)人間(にんげん)()るのだから、314ここの教主(けうしゆ)(えら)(もの)だらう……と直覚(ちよくかく)する(やう)になるのだ。315をかしげな、316(わけ)(わか)らぬ人間(にんげん)受付(うけつけ)()らうものなら、317何程(なにほど)教主(けうしゆ)立派(りつぱ)神徳(しんとく)があつてもサツパリ駄目(だめ)だからな。318(いま)義理天上様(ぎりてんじやうさま)から、319結構(けつこう)結構(けつこう)なお筆先(ふでさき)()たによつて、320ここで(これ)拝読(いただ)いて、321ギユツと(はら)()()みておきなされ。322そして立寄(たちよ)人民(じんみん)(この)筆先(ふでさき)()んで()かすのだよ。323(しか)しお直筆(ぢきひつ)勿体(もつたい)ないから、324(まへ)さまがここで(うつ)して(ひかへ)をとり、325直筆(ぢきひつ)をすぐ(かへ)して(くだ)され。326結構(けつこう)(こと)()いてあるぞや』
327イル『ハイ、328それは(なに)より有難(ありがた)(ござ)ります。329早速(さつそく)(うつ)さして(いただ)きまして、330拝読(はいどく)さして(もら)ひます』
331『ヨシヨシ、332(しか)しながら()(とき)には、333珍彦(うづひこ)さまの(やかた)()(とほ)るやうな(こゑ)で、334()んで(くだ)されや』
335(この)筆先(ふでさき)はまだズクズクに()れて()りますな、336只今(ただいま)()きになつたのですか』
337『ああさうだよ。338(いま)()いたとこだ。339結構(けつこう)なお(かげ)を、340ぢきぢきにお(まへ)(さづ)けるのだから、341神様(かみさま)御礼(おれい)(まを)しなさいや』
342『エエ一寸(ちよつと)高姫(たかひめ)さまにお(うかが)ひしておきますが、343(この)筆先(ふでさき)(いま)()いたと仰有(おつしや)いましたね。344それに日附(ひづけ)去年(きよねん)八月(はちぐわつ)ぢやありませぬか。345貴女(あなた)八月頃(はちぐわつごろ)には此処(ここ)()られたやうに(おも)ひませぬがなア』
346『そこは神界(しんかい)のお仕組(しぐみ)があつて、347日日(ひにち)去年(きよねん)にしてあるのだよ』
348『さうすると、349貴女(あなた)杢助(もくすけ)さまに(をし)へて(もら)つたのですな。350それを(をし)へて(もら)うてから()いたと()はれちや、351義理天上様(ぎりてんじやうさま)御神徳(ごしんとく)()ちると(おも)うて、352杢助(もくすけ)さまに()くより(さき)()つて()つたといふお仕組(しぐみ)ですな。353成程(なるほど)流石(さすが)抜目(ぬけめ)のない高姫(たかひめ)さまだワイ』
354『コレ、355(わけ)()らずに(なに)()ふのだい。356義理天上様(ぎりてんじやうさま)が、357去年(きよねん)からチヤンと神界(しんかい)()いて()かれたのだ。358肉体(にくたい)(いそが)しいものだから、359肉体(にくたい)(はう)(おく)れて()つたのだよ。360前達(まへたち)霊界(れいかい)(こと)(わか)らぬからそんな理窟(りくつ)()ふのだよ。361何事(なにごと)素直(すなほ)にいたすが結構(けつこう)だぞえ。362それが改心(かいしん)(まを)すのだからな』
363『エツヘヘヘヘ、364さうでがすかなア、365イヤもう(おそ)()りました、366感心(かんしん)(いた)しました、367(おどろ)きました、368(あき)れました、369愛想(あいさう)が……()きませぬでした。370有難(ありがた)(ござ)いました』
371『コレ、372イルさま、373ました ましたと、374そら(なに)()つてるのだい』
375『エーン、376あの、377(なん)(ござ)います、378ましだ……と()うたのです。379つまり(えう)するに、380日出神(ひのでのかみ)(さま)のお筆先(ふでさき)は、381(いづ)御霊(みたま)のお筆先(ふでさき)よりも幾層倍(いくそうばい)マシだと(おも)ひまして、382ヘヘヘヘ一寸(ちよつと)(くち)(すべ)りまして(ござ)ります。383(あま)立派(りつぱ)(こと)()いてあるので、384(あき)れたので(ござ)います』
385『コレ、386まだ()みもせない(くせ)に、387どんな(こと)()いてある……(わか)るかなア』
388『ヘ、389エ、390そこがそれ、391天眼通(てんがんつう)()くものですから、392眼光(がんくわう)紙背(しはい)(てつ)すと(まを)しまして、393チヤンと(わか)つて()ります』
394『さう慢心(まんしん)するものぢやありませぬぞや。395サ、396(はや)(うつ)していただきなさい』
397(すこ)しく顔面(がんめん)(ほこ)りを()せて、398反身(そりみ)になつてゾロリゾロリと天下(てんか)(にぎ)つた(やう)態度(たいど)で、399おのが居間(ゐま)へと(かへ)()くのであつた。
400大正一二・一・二三 旧一一・一二・七 松村真澄録)
   
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