霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 安国使(あんこくし)〔一三一二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第4篇 神犬の言霊 よみ(新仮名遣い):しんけんのことたま
章:第18章 安国使 よみ(新仮名遣い):あんこくし 通し章番号:1312
口述日:1923(大正12)年01月23日(旧12月7日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
珍彦館では、安彦と国彦が、珍彦、静子、楓、初稚姫らと懇談していた。安彦と国彦は、高姫が本部で副教主東野別に対して無礼を加え、あらゆる狂態を演じた上に、夜陰にまぎれて聖地を逃げ出したことを明かした。
そして、高姫が悪霊に左右されて祠の森にやってきて神業の妨害をすること甚だしいので、一時早く祠の森を放逐し、自転倒島に追い返すように、と教主八島主から命を受けてきたことを伝えた。
初稚姫は、高姫にきつく当たってはかえって心が荒んでしまうだろうから、ここは自分にまかせて今しばらく待ってほしい、そのように八島主に伝えてほしい、と安彦・国彦に懇願した。二人はひとまず、初稚姫の依頼を承諾した。
二人はまた、高姫がここに引っ張り込んでいる杢助と名乗る男についても尋ねた。それというのも、本物の初稚姫の父・杢助は、日々斎苑の館に出勤しているからだった。珍彦たち一同は、祠の森の杢助は、犬を嫌い、娘のはずの初稚姫にも会おうとせずに酒ばかり飲んでいると報告した。
楓は珍彦夫婦毒殺未遂について二人に報告した。初稚姫は正体を察しており、大雲山の妖幻坊という妖怪が自分の父に化けているのに間違いはないと明かした。しかしいきなり正体を暴いては高姫が恥をかくし、また追い散らしても他所で悪事を働くだろうから、時機を待っているのだと説明した。
安彦と国彦も、機会があれば妖怪を改心させようとしている初稚姫の意図を汲んで、その由を聖地に報告するために帰ることになった。そして沙汰があり次第、斎苑の館の決定を高姫に言い渡すよう、珍彦に念を押した。
安彦と国彦が、帰る前に祠の森を見て回りたいと言うので、珍彦は人を呼んだ。イルとサールがやってきて、二人を案内した。二人は宣伝歌を歌い神前に拝礼した。イルとサールの案内で森林を巡回し、妖幻坊が遭難した場所を実見し、こぼれ落ちた血糊が人間のものでないことを確認した。
その後、八尋殿で休憩し、杢助と高姫の居間を臨検しようと相談していた。一方杢助と高姫は、連れてきたハルを相手に、聖地からの使者について尋問を始めていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-07-25 15:51:22 OBC :rm5018
愛善世界社版:250頁 八幡書店版:第9輯 242頁 修補版: 校定版:255頁 普及版:126頁 初版: ページ備考:
001 珍彦館(うづひこやかた)には、002珍彦(うづひこ)003静子(しづこ)004(かへで)005初稚姫(はつわかひめ)(およ)斎苑(いそ)(やかた)直使(ちよくし)なる安彦(やすひこ)006国彦(くにひこ)(ろく)(にん)がヒソビソと(かうべ)(あつ)めて懇談(こんだん)(ふけ)つて()る。
007珍彦(うづひこ)遥々(はるばる)大神(おほかみ)(さま)よりの(おん)使(つかひ)008()苦労(くらう)(ぞん)じます。009何分(なにぶん)(いた)らぬ吾々(われわれ)010大役(たいやく)(おほ)せつけられ、011(ちから)にあまり、012(つと)めも(ろく)出来(でき)ませぬので、013(さだ)めし八島主(やしまぬしの)(みこと)(さま)にも()迷惑(めいわく)(こと)(ござ)いませう。014(さだ)めて吾々(われわれ)不都合(ふつがふ)をお(しか)りのためのお使(つかひ)(ござ)いませうなア』
015安彦(やすひこ)『イヤイヤ(けつ)して左様(さやう)では(ござ)らぬ。016貴方(あなた)赤心(まごころ)(たれ)()らぬ(もの)(ござ)いませぬ。017教主(けうしゆ)(さま)大変(たいへん)にお(よろこ)びになつて()ますから、018()安心(あんしん)(くだ)さいませ』
019珍彦左様(さやう)(ござ)いますか、020不都合(ふつがふ)吾々(われわれ)を、021(ひろ)(こころ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)(くだ)さいまして(まこと)(おそ)(おほ)(こと)(ござ)います』
022静子(しづこ)何分(なにぶん)とも(よろ)しく()(ねが)(いた)します』
023安彦『ハイ、024よきに取計(とりはか)らひませう。025()()()安心(あんしん)(くだ)さいませ』
026初稚(はつわか)安彦(やすひこ)(さま)027今度(こんど)()でになりましたのは、028あの高姫(たかひめ)さまの一件(いつけん)(ござ)いませうな』
029安彦『お(さつ)しの(とほ)り、030(かれ)高姫(たかひめ)斎苑(いそ)(やかた)(おい)て、031副教主(ふくけうしゆ)東野別(あづまのわけ)(たい)して無礼(ぶれい)(くは)へ、032(その)(うへ)所在(あらゆる)狂態(きやうたい)(えん)じ、033夜陰(やいん)(まぎ)れて(やかた)()()し、034直様(すぐさま)(この)(やかた)()(きた)り、035(また)もや悪霊(あくれい)左右(さいう)されて、036神業(しんげふ)妨害(ばうがい)(いた)すこと(もつと)(はなは)だしければ、037(いち)()(はや)(この)(やかた)放逐(はうちく)し、038自転倒(おのころ)(じま)()(かへ)せとの()命令(めいれい)(ござ)る』
039初稚姫『それは(さぞ)高姫(たかひめ)(さま)がお(おどろ)(あそ)ばす(こと)(ござ)いませう。040(なん)とか穏便(をんびん)高姫(たかひめ)(さま)改心(かいしん)して(もら)ひ、041此処(ここ)(しばら)御用(ごよう)をさしてあげる(こと)出来(でき)ますまいかなア』
042安彦貴女(あなた)のお言葉(ことば)ならば、043(けつ)して違背(ゐはい)(ござ)いますまい。044(しか)しながら吾々(われわれ)教主(けうしゆ)のお使(つかひ)にて(まゐ)りしものなれば、045独断(どくだん)にて如何(いかん)ともする(こと)出来(でき)ませぬ』
046初稚姫成程(なるほど)それは御尤(ごもつと)もで(ござ)います。047教主(けうしゆ)(さま)()命令(めいれい)とあらば(いた)(かた)(ござ)りませぬ。048(しか)しながら(ここ)(しばら)くの(あひだ)(わたし)にお(まか)(くだ)さるまいか。049(なん)とか(いた)して高姫(たかひめ)さまの身魂(みたま)(すく)ひたいもので(ござ)います。050(いま)放逐(はうちく)すれば益々(ますます)(こころ)(すさ)み、051()げも(おろ)しもする(こと)出来(でき)ないやうになるかも()れませぬ。052何卒(どうぞ)八島主(やしまぬし)(さま)にお()ひでしたら、053(ここ)(しばら)初稚姫(はつわかひめ)にお(まか)(くだ)さるやうお(ねが)(くだ)さいませぬか』
054安彦『ハイ承知(しようち)(いた)しました。055直様(すぐさま)()(かへ)()猶予(いうよ)(ねが)つて()ませう』
056初稚姫早速(さつそく)()承知(しようち)057有難(ありがた)(ぞん)じます』
058国彦(くにひこ)『イヤ珍彦(うづひこ)殿(どの)059高姫(たかひめ)殿(どの)(なん)だか(あや)しき(をとこ)()()れて()られるとか()きましたが、060それは何者(なにもの)(ござ)いますか』
061珍彦『ハイ、062真偽(しんぎ)(ほど)吾々(われわれ)には(わか)りませぬが、063どうも(あや)しいもので(ござ)います。064斎苑(いそ)(やかた)から(まゐ)つた、065杢助(もくすけ)だと()つて()られますが、066どうしても初稚姫(はつわかひめ)(さま)にお()ひなさらぬので(ござ)います。067それが第一(だいいち)(わたし)不思議(ふしぎ)とする(ところ)068一度(いちど)初稚姫(はつわかひめ)(さま)にお(たづ)ねして()たいと(おも)うて()ますが、069(あま)失礼(しつれい)だと(おも)ひ、070(たづ)ねも(いた)さず(ひか)へて()りました』
071国彦『ハテナ、072杢助(もくすけ)総務(そうむ)日々(にちにち)斎苑(いそ)(やかた)()出勤(しゆつきん)になつてゐます。073(いよいよ)もつて不思議(ふしぎ)(いた)りで(ござ)る。074(なに)(あや)しい(てん)はお(みと)めになりませぬかな』
075珍彦『ハイ、076(なん)だか(ぞん)じませぬが、077大変(たいへん)(いぬ)がお(きら)ひださうで(ござ)います。078(この)(あひだ)(もり)散歩(さんぽ)して(つまづ)眉間(みけん)(いし)()つたと(おほ)せられましたが、079一寸(ちよつと)(わたし)(うかが)ひますのに、080顛倒(こけ)()つた(きず)ではなく、081(いぬ)()まれたやうな(ふか)歯形(はがた)()いて()りました』
082国彦成程(なるほど)083そいつは益々(ますます)(あや)しう(ござ)る。084安彦(やすひこ)殿(どの)085如何(いかが)思召(おぼしめ)されますか。086こりや()()てにはなりますまい。087(ひと)正体(しやうたい)調(しら)べたいものですなア』
088安彦『サア、089吾々(われわれ)はお使(つかひ)(まゐ)つたのは、090(なに)()一切(いつさい)調(しら)べて()いとの(こと)なれば、091高姫(たかひめ)(まを)すに(およ)ばず、092杢助(もくすけ)名乗(なの)人物(じんぶつ)()調(しら)べて報告(はうこく)(いた)さねばなりますまい』
093国彦(くにひこ)左様(さやう)(ござ)る、094直様(すぐさま)着手(ちやくしゆ)(いた)しませう』
095珍彦(うづひこ)一寸(ちよつと)()(くだ)さいませ。096余程(よほど)(かんが)へなくては、097先方(せんぱう)(さと)られては(また)()()すかも()れませぬから、098一寸(ちよつと)(わたし)様子(やうす)(うかが)つて(まゐ)りませう』
099(かへで)『あのお直使(ちよくし)(さま)100高姫(たかひめ)さまと夫婦(ふうふ)だと()つて、101それはそれは(あさ)から(ばん)(まで)102(さけ)ばかり()んで一寸(ちよつと)事務(じむ)()ないのですよ。103そしてお(とう)さまやお(かあ)さまを毒散(どくさん)()(くすり)(ころ)さうとしたのですよ。104けれども文珠(もんじゆ)菩薩(ぼさつ)(さま)(ゆめ)(あら)はれて神丹(しんたん)(くだ)さいましたので、105(かげ)(どく)()かなかつたのです。106さうでなければ、107(わたし)両親(りやうしん)はとうの(むかし)になくなつて()るのです。108()んな(やつ)(はや)くどうかして(もら)はなくては、109本当(ほんたう)(こと)110一目(ひとめ)()られないのです。111初稚姫(はつわかひめ)のお(とう)さまだなんて()ひながら、112正体(しやうたい)(あら)はれるのが(おそ)ろしさに一度(いちど)(ひめ)(さま)()はず、113(この)(ごろ)初稚姫(はつわかひめ)(さま)(この)(やかた)()()めて(しま)ひ、114自分(じぶん)居間(ゐま)には高姫(たかひめ)二人(ふたり)(たれ)(とほ)さないのです。115きつとあいつは妖怪(ばけもの)(ちが)ひありませぬ。116そして高姫(たかひめ)さまは、117妖怪(ばけもの)杢助(もくすけ)さまと(おも)つて()るのです。118斎苑(いそ)(やかた)杢助(もくすけ)さまが彼方(あちら)にもあり、119此方(こちら)にもある道理(だうり)がないぢやありませぬか』
120安彦(やすひこ)『ハテ、121()けば()(ほど)不思議(ふしぎ)千万(せんばん)(ござ)る。122これはテツキリ妖怪(ばけもの)間違(まちが)(ござ)いますまい。123初稚姫(はつわかひめ)殿(どの)124貴女(あなた)のお(かんが)へは如何(いかが)(ござ)います』
125初稚姫(わたし)(かんが)へでは杢助(もくすけ)名乗(なの)怪物(くわいぶつ)は、126大雲山(たいうんざん)()妖幻坊(えうげんばう)()悪魔(あくま)(ちが)ひないと(かんが)へます。127(なん)()つても(わたし)愛犬(あいけん)スマートが(こは)くて仕様(しやう)がないので(ござ)いますもの』
128 安彦(やすひこ)二歩(ふたあし)三歩(みあし)ニジリ()り、129()見張(みは)り、130(くち)(とが)らしながら、
131安彦(ひめ)(さま)132それがお(わか)りになつて()るのに、133何故(なぜ)(いま)まで放任(はうにん)しておかれたのですか。134(はや)くスマートを使嗾(けし)かけて(ほろ)ぼしてやつたらどうですか。135さうしたら高姫(たかひめ)()()めるでは(ござ)いませぬか』
136初稚姫『さうして()ようかとも(おも)ひましたが、137(にはか)左様(さやう)(こと)(いた)せば、138高姫(たかひめ)(さま)大変(たいへん)(はぢ)をお()(あそ)ばすなり、139(また)失望(しつばう)落胆(らくたん)(ほど)(はか)()られないと(おも)ひまして、140ボツボツと()のつくやうと、141(いそ)がしい(からだ)をここに(とど)めて、142時機(じき)()つて()るので(ござ)います』
143安彦(ひめ)(さま)144そんな、145グヅグヅして()場合(ばあひ)では(ござ)いませぬぞ。146吾々(われわれ)両人(りやうにん)(うけたま)はりました以上(いじやう)147(この)(まま)(かへ)(わけ)には(まゐ)りませぬ、148サア(これ)から妖怪(えうくわい)征伐(せいばつ)着手(ちやくしゆ)(いた)しますから、149何卒(どうぞ)拙者(せつしや)()両人(りやうにん)にお(まか)せを(ねが)ひます』
150初稚姫『あれしきの妖怪(ばけもの)(たふ)(くらゐ)朝飯前(あさめしまへ)仕事(しごと)(ござ)います。151スマートだけでも立派(りつぱ)()()らすでせう。152(しか)しながら(かれ)()()らしてみた(ところ)で、153(また)()地方(ちはう)()つて悪事(あくじ)をなすに(ちが)ひありませぬ。154それ(ゆゑ)(しばら)此処(ここ)()()き、155(こころ)(そこ)から()妖怪(えうくわい)改心(かいしん)させようと(ぞん)じ、156(ひかり)(やは)らげて時機(じき)()つて()るのですよ』
157国彦(くにひこ)『どうも(うで)()つて仕方(しかた)がないぢやないか。158もし初稚姫(はつわかひめ)(さま)159そんな()(なが)(こと)()はずに、160(わたし)にお(まか)(くだ)さいませ。161きつと(わたし)退治(たいぢ)てお()にかけませう』
162初稚姫短気(たんき)損気(そんき)163まア()つて(くだ)さいませ。164直使(ちよくし)(さま)のお言葉(ことば)(そむ)いては()みませぬが、165(なん)()つても(わたし)(ちち)()つて(あら)はれたので(ござ)いますから、166仮令(たとへ)怪物(くわいぶつ)(いへど)(わが)(ちち)()のついたものを、167さう無闇(むやみ)(くる)しめる(こと)(じやう)(おい)てすみませぬ。168仮令(たとへ)贋者(にせもの)にもせよ、169(ちち)()(おい)てどうして敵対(てきた)へませうか。170仮令(たとへ)貴方(あなた)退治(たいぢ)なさつても、171この初稚(はつわか)(みみ)()つた以上(いじやう)何処(どこ)(まで)もお()(いた)します。172(わらは)()らぬ()退治(たいぢ)(あそ)ばすのなら()むを()ませぬが、173もう只今(ただいま)となつては、174貴方(あなた)(わらは)(たい)左様(さやう)惨酷(ざんこく)(こと)出来(でき)ますまい』
175安彦(やすひこ)(なん)(おや)()ふものは(えら)いものだな。176仮令(たとへ)如何(いか)なる悪魔(あくま)でも(おや)()名乗(なの)つて()るものを(くる)しめる(こと)出来(でき)ないとは、177(じつ)人情(にんじやう)(ふか)いお(かた)だ。178いや孝行(かうかう)()精神(せいしん)だ。179いやもう(かん)()りました』
180初稚姫『それ(ゆえ)何処(どこ)(まで)赤心(まごころ)(つく)して(その)妖怪(ばけもの)改心(かいしん)させ、181(すく)うてやりたいものです。182(わらは)もあの妖怪(ばけもの)から(わが)(むすめ)()はれたのですから、183(むすめ)としての赤心(まごころ)(つく)したいと(ぞん)じます。184斯様(かやう)妖怪(ばけもの)に、185仮令(たとへ)言葉(ことば)(うへ)でも(むすめ)()はれるのは(なに)因縁(いんねん)があるのでせう。186()うか愛善(あいぜん)(とく)(もつ)(かれ)(すく)ふべく、187試験(しけん)問題(もんだい)をお(あた)(くだ)さつたのだらうと(ぞん)じます』
188安彦(しか)らば是非(ぜひ)(およ)びませぬ。189イヤ国彦(くにひこ)殿(どの)190これにてお(わか)(いた)さうぢやないか』
191初稚姫()うも遠方(ゑんぱう)()苦労(くらう)(さま)(ござ)いました。192高姫(たかひめ)さまの(けん)については(いま)一応(いちおう)(わらは)意見(いけん)申上(まをしあ)げ、193()詮議(せんぎ)(うへ)(しば)しの()猶予(いうよ)あらむ(こと)をお(ねが)(まを)します。194そして(いな)やの()返事(へんじ)は、195無線(むせん)霊話(れいわ)をもつて(わらは)(みみ)(まで)(たつ)(くだ)さいますれば、196結構(けつこう)(ござ)います』
197安彦『イヤ委細(ゐさい)承知(しようち)(いた)しました。198珍彦(うづひこ)殿(どの)199(しか)らばこれにて御免(ごめん)(かうむ)りませう。200随分(ずいぶん)貴方(あなた)()苦労(くらう)(ござ)います。201初稚姫(はつわかひめ)(さま)()返事(へんじ)のあり次第(しだい)202貴方(あなた)(ほこら)(もり)神司(かむづかさ)職権(しよくけん)(もつ)高姫(たかひめ)申渡(まをしわた)しをなさるやうに、203()()れも申渡(まをしわた)しますぞや。204(けつ)して遠慮(ゑんりよ)はいりませぬから、205どしどしおやりなさいませ』
206珍彦『ハイ委細(ゐさい)承知(しようち)(いた)しました。207それを(うけたま)はらば、208拙者(せつしや)職権(しよくけん)(もつ)()命令(めいれい)(どほ)り、209(なん)(はばか)(ところ)なく断行(だんかう)(いた)しますから、210何卒(どうぞ)()安心(あんしん)(くだ)さいませ。211(この)珍彦(うづひこ)何分(なにぶん)(かみ)(さま)のお(みち)充分(じうぶん)(わか)つてゐないものですから、212つひ高姫(たかひめ)さまの口先(くちさき)(あやつ)られ、213いつも屁古(へこ)まされ(どほ)しですが、214直使(ちよくし)(とほ)しての教主(けうしゆ)(さま)のお言葉(ことば)215(けつ)して(そむ)きは(いた)しませぬ』
216安彦『イヤそれ()いて安心(あんしん)(いた)しました』
217国彦(くにひこ)『イヤ安彦(やすひこ)殿(どの)218折角(せつかく)出張(しゆつちやう)(いた)したのだから、219()本殿(ほんでん)(まを)すに(およ)ばず、220(この)(やかた)一間(ひとま)(のこ)らず見分(けんぶん)(いた)し、221境内(けいだい)一巡(いちじゆん)(いた)して(かへ)らうでは(ござ)らぬか』
222珍彦(うづひこ)(しか)らば幹部(かんぶ)役員(やくゐん)申付(まをしつ)けて()案内(あんない)(いた)させませう』
223安彦(やすひこ)『イヤそれは有難(ありがた)い。224(しか)らば二人(ふたり)(ばか)案内(あんない)(ねが)ひませうかなア』
225珍彦承知(しようち)(いた)しました』
226()ひながら、227磬板(けいばん)をカンカンと()つた。228イル、229サールの両人(りやうにん)(しばら)くして装束(しやうぞく)をつけ珍彦(うづひこ)(やかた)()(きた)り、
230イル、サール(いま)二人(ふたり)()い」と()ふお(しら)せで(ござ)いましたので、231直様(すぐさま)装束(しやうぞく)調(ととの)(まか)()ました。232直使(ちよくし)(さま)(たい)(なに)御用(ごよう)(ござ)いますれば、233(うけたま)はりませう』
234珍彦(うづひこ)『いや、235イル、236サール両人(りやうにん)(さま)237()苦労(くらう)(ござ)いました。238(ほか)でもありませぬが、239直使(ちよくし)(さま)二人(ふたり)一度(いちど)()本殿(ほんでん)()案内(あんない)申上(まをしあ)げて(くだ)さい。240そして境内(けいだい)叮嚀(ていねい)()案内(あんない)申上(まをしあ)げ、241最後(さいご)杢助(もくすけ)(さま)()居間(ゐま)や、242高姫(たかひめ)(さま)のお居間(ゐま)()案内(あんない)なさるが(よろ)しいぞや』
243イル『ハイ承知(しようち)(いた)しました。244サア()直使(ちよくし)(さま)245吾々(われわれ)両人(りやうにん)()案内(あんない)(いた)しませう』
246 安彦(やすひこ)247国彦(くにひこ)両人(りやうにん)(かる)目礼(もくれい)しながら、248イル、249サールの(あと)(したが)()本殿(ほんでん)案内(あんない)された。
250 (ここ)両人(りやうにん)(うやうや)しく神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、251(をは)つて宣伝歌(せんでんか)手向(たむ)けた。252安彦(やすひこ)(うた)ふ。
253安彦(いづ)御霊(みたま)瑞御霊(みづみたま)
254(きよ)(たふと)大御(おほみ)稜威(いづ)
255(あら)はれまして(いま)此処(ここ)
256河鹿(かじか)(たうげ)()(たか)
257(ほこら)(もり)真秀良場(まほらば)
258千木(ちぎ)(たか)()りて()れませる
259国治立(くにはるたち)大御神(おほみかみ)
260(つき)大神(おほかみ)()御神(みかみ)
261バラモン(けう)司神(つかさがみ)
262大国彦(おほくにひこ)(はじ)めとし
263盤古(ばんこ)神王(しんわう)塩長(しほなが)
264(ひこ)(みこと)(その)(ほか)
265(もも)(かみ)(たち)(いつ)かひて
266常世(とこよ)(やみ)()らさむと
267()れませるこそ(たふと)けれ
268朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
269(つき)()つとも()くるとも
270仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
271曲津(まがつ)如何(いか)(すさ)ぶとも
272(すめ)大神(おほかみ)御稜威(みいづ)もて
273(この)()(まが)(ことごと)
274伊吹(いぶき)(はら)ひに(はら)ひのけ
275浦安国(うらやすくに)浦安(うらやす)
276(まも)らせ(たま)惟神(かむながら)
277(かみ)(みこと)(かしこ)みて
278産土山(うぶすなやま)聖場(せいぢやう)より
279(まゐ)()ませる安彦(やすひこ)
280国彦司(くにひこつかさ)諸共(もろとも)
281御前(みまへ)(かしこ)()ぎまつる
282ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
283御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
284 国彦(くにひこ)(また)(うた)ふ。
285国彦(われ)国彦(くにひこ)宣伝使(せんでんし)
286高取村(たかとりむら)与太彦(よたひこ)
287()()られたる与太(よた)(をとこ)
288弥次彦(やじひこ)さまと諸共(もろとも)
289コーカス(まゐ)りの(その)途中(とちう)
290(たけ)宿(やど)(とま)(をり)
291日出(ひので)(わけ)宣伝使(せんでんし)
292部下(ぶか)(つか)へる神司(かむづかさ)
293此処(ここ)(あら)はれましまして
294(こま)(また)がりいそいそと
295小鹿峠(こじかたうげ)(ふもと)まで
296(きた)(をり)しも音彦(おとひこ)
297(かみ)(つかさ)諸共(もろとも)
298(われ)()二人(ふたり)(のこ)されて
299ウラルの(みち)目付(めつけ)()
300取囲(とりかこ)まれて()ぐる(をり)
301小鹿峠(こじかたうげ)峻坂(しゆんぱん)
302前後(ぜんご)(てき)()けしより
303千尋(ちひろ)谷間(たにま)()()んで
304(たちま)幽冥(いうめい)(ひと)となり
305三途(せうづ)(かは)まで到着(たうちやく)
306脱衣婆(だついば)さまにいろいろと
307小言(こごと)八百(はつぴやく)(なら)べられ
308(かは)(わた)りて銅木像(どうもくざう)
309(その)(ほか)(あや)しき(もの)(ども)
310二度(ふたたび)三度(みたび)出会(しゆつくわい)
311(ここ)(やうや)身魂(みたま)をば
312(みが)きすまして宣伝使(せんでんし)
313(つか)へまつりし国彦(くにひこ)
314ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
315(かみ)(めぐみ)()()びて
316(いま)(たふと)斎苑(いそ)(やかた)
317(つかさ)(むれ)(くは)はりて
318(をしへ)(みち)宣伝(せんでん)
319(かへ)りて()れば(この)(たび)
320(ほこら)(もり)直使(ちよくし)をば
321()ひつけられし(たふと)さよ
322(この)御社(みやしろ)()れませる
323(すめ)大神(おほかみ)百神(ももがみ)
324何卒(なにとぞ)(わが)()使命(しめい)をば
325完全(うまら)委曲(つばら)(かへ)(ごと)
326(まを)させたまへ惟神(かむながら)
327(たふと)(かみ)(おん)(まへ)
328安彦(やすひこ)国彦(くにひこ)両人(りやうにん)
329(かしこ)(かしこ)()ぎまつる
330ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
331(かみ)のみたまの(さち)はひて
332これの(やかた)()まひたる
333妖幻坊(えうげんばう)醜霊(しこたま)
334金毛(きんまう)九尾(きうび)醜狐(しこぎつね)
335一日(ひとひ)(はや)大神(おほかみ)
336(まこと)(みち)()()まし
337悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)をひるがへし
338世界(せかい)(まが)(おこな)はず
339世人(よびと)(すく)御柱(みはしら)
340ならさせたまへ惟神(かむながら)
341(かみ)かけ(ねん)(たてまつ)る』
342(うた)(をは)り、343(うやうや)しく拝礼(はいれい)をして階段(かいだん)(くだ)り、344(また)もやイル、345サールの案内(あんない)()れて(ひろ)森林内(しんりんない)(くま)なく巡視(じゆんし)し、346妖幻坊(えうげんばう)遭難場(さうなんば)をも(くは)しく実見(じつけん)し、347()ちこぼれたる血糊(ちのり)の、348人間(にんげん)()にあらざる(こと)(まで)よく(たしか)め、349(をは)つて八尋殿(やひろどの)(あが)り、350(しば)休憩(きうけい)(のち)351杢助(もくすけ)352高姫(たかひめ)居間(ゐま)臨検(りんけん)せむと相談(さうだん)しながら(ちや)(すす)つて()た。
353 杢助(もくすけ)354高姫(たかひめ)安彦(やすひこ)355国彦(くにひこ)(いま)(わが)居間(ゐま)臨検(りんけん)(きた)るとは、356(かみ)ならぬ()()(よし)もなく、357ハルを相手(あひて)にいろいろと訊問(じんもん)(はじ)めて()た。
358大正一二・一・二三 旧一一・一二・七 加藤明子録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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