霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一九章 逆語(ぎやくご)〔一三一三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第4篇 神犬の言霊 よみ(新仮名遣い):しんけんのことたま
章:第19章 逆語 よみ(新仮名遣い):ぎゃくご 通し章番号:1313
口述日:1923(大正12)年01月23日(旧12月7日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ハルは、通りすがりの者が受付に立ち寄ったのだととぼけたが、杢助と高姫は、斎苑の館から使いがやってきたことを感知していた。
杢助と高姫は、イルやハルたちが斎苑の館に手紙をやって、自分たちを放逐しようと役員を呼んだのだろうと気を回し、首謀者を白状させようとハルを手荒に責め立てた。
妖幻坊の杢助が拳骨を固めてハルを打ち据えようとしたとき、スマートの吠え声が聞こえてきた。妖幻坊は体がすくみ、青ざめて自分の居間に逃げ帰り、布団をかぶって震えている。高姫は自分もふるえながら、ハルの尋問を続けた。
ハルは、大方高姫たちに立ち退き命令を告げに来たのだろう、とやけになって答える。高姫は怒り、珍彦に直接談判すると言って珍彦館に向かおうとした。そこにイルとサールに案内された安彦と国彦が入ってきた。
イルは入ってくるなり、早く高姫に立ち退き命令を告げてくれと安彦と国彦に頼みこみ、高姫を嘲笑した。安彦と国彦は高姫に挨拶をし、来訪の目的は珍彦に伝えてあるから、やがて高姫たちに沙汰があるだろうと伝えた。
高姫は安彦と国彦を昔の名前で呼んで馬鹿にし、挑発する始末であった。安彦は、高姫は放っておいて隣の間で唸っている妖幻坊の様子を見ようとした。高姫の制止を聞かずに、イルと安彦は杢助の居間のふすまを開けた。
妖幻坊は樫の棒を振り上げ、安彦の頭を叩き割ろうとしたが、床下から聞こえてきたスマートの吠え声にたちまち手がしびれ、一目散に裏の森林指して逃げてしまった。高姫が居間に入ってみれば、そこはもぬけの殻だった。
妖幻坊がどこかに行ってしまったので、高姫は大声で自説を怒鳴りたて、安彦と国彦を煙に巻いてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-07-27 15:15:20 OBC :rm5019
愛善世界社版:264頁 八幡書店版:第9輯 247頁 修補版: 校定版:270頁 普及版:133頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)居間(ゐま)には妖幻坊(えうげんばう)杢助(もくすけ)002高姫(たかひめ)両人(りやうにん)003六ケ(むつか)しい(かほ)をして上座(じやうざ)(すわ)り、004ハルをつかまへて(あぶら)をとつてゐる。
005妖幻(えうげん)(妖幻坊の杢助)『オイ、006ハル、007(いま)表口(おもてぐち)(まゐ)つて(なに)かゴテゴテ(まを)して()つたのは何者(なにもの)だなア』
008ハル『ハイ、009(なん)でも(ござ)いませぬ。010(ただ)道通(みちどほり)一寸(ちよつと)受付(うけつけ)立寄(たちよ)つたので(ござ)います』
011妖幻坊の杢助馬鹿(ばか)(まを)せ。012(その)(はう)吾々(われわれ)(かく)()てをするのだなア。013斎苑(いそ)(やかた)から直使(ちよくし)()たのであらうがな』
014ハル『ハイ、015エエ、016それは、017みえました。018(しか)しながら(けつ)して吾々(われわれ)(たい)して、019御用(ごよう)もなければ(なん)とも(おほ)せられませぬ』
020妖幻坊の杢助珍彦館(うづひこやかた)(その)(はう)案内(あんない)をしたであらうがなア。021様子(やうす)大抵(たいてい)()つて()るだらう』
022ハル『ヘーエ、023イルに……イン、024(うけたま)はりますれば、025(この)(やかた)総取締(そうとりしまり)にイルを(いた)す………とか()ふお使(つかひ)ださうで(ござ)います』
026妖幻坊の杢助高姫(たかひめ)(この)杢助(もくすけ)放逐(はうちく)すると(まを)して()らうがな』
027ハル『エー、028そんなこた、029一寸(ちよつと)(ぞん)じませぬ。030(しか)しながら朝晩(あさばん)()給仕(きふじ)もせず、031(さけ)ばかり()んでる人物(じんぶつ)(たい)しては、032どういう()沙汰(さた)(さが)つたやら(わか)りませぬな。033直接(ちよくせつ)(わたし)(なん)にも()かないものですから、034かう(まを)したと()つて、035(けつ)して(これ)事実(じじつ)だか事実(じじつ)でないか、036保証(ほしよう)(かぎ)りで(ござ)いませぬ。037(しか)(なん)だか(めう)空気(くうき)(ただよ)うてゐますで。038(なん)()つても杢助(もくすけ)さまともあらうものが、039スマート(ごと)きが(こは)いと仰有(おつしや)るものだから、040ヘヘヘヘヘ、041(みな)連中(れんちう)がチヨコチヨコと(うはさ)(いた)して()ります。042それより(ほか)(なに)(ござ)いませぬ。043これは一文(いちもん)生中(きなか)掛値(かけね)もない、044ハルの真心(まごころ)吐露(とろ)したので(ござ)いますから、045(この)(うへ)秘密(ひみつ)(なに)(ぞん)じませぬ』
046妖幻坊の杢助馬鹿(ばか)(まを)せ。047まだ(ほか)(なに)秘密(ひみつ)があるだらう。048(いま)言葉(ことば)から(かんが)へてみれば、049貴様(きさま)()申合(まをしあは)せ、050(この)(はう)高姫(たかひめ)悪口(あくこう)(まを)して、051斎苑(いそ)(やかた)手紙(てがみ)をやつたのであらうがなア。052それでなければ直使(ちよくし)()()(はず)がないぢやないか。053なに(あたま)()いて()るのだ、054ヤツパリ都合(つがふ)(わる)いとみえるな。055コリヤ白状(はくじやう)(いた)さぬか』
056とハルの襟首(えりくび)をグツと()り、057剛力(がうりき)(まか)せて、058座敷(ざしき)中央(まんなか)()(たふ)し、059一方(いつぱう)()でグツと(おさ)へ、060一方(いつぱう)(あら)()だらけの()拳骨(げんこつ)(かた)めて振上(ふりあ)げながら、
061妖幻坊の杢助『コリヤ、062白状(はくじやう)(いた)せばよし、063(かく)()てを(いた)すと、064(この)鉄拳(てつけん)(その)(はう)眉間(みけん)(さは)るや(いな)や、065(その)(はう)脳天(なうてん)木端(こつぱ)微塵(みぢん)になるが、066それでも白状(はくじやう)(いた)さぬか』
067ハル『イイ(いた)(いた)い、068アア(たれ)()てくれぬかいな、069直使(ちよくし)(さま)070(はや)く、071()(くだ)さるといいにな、072イイ(いた)(いた)い』
073妖幻坊の杢助『サ、074(いた)くば(はや)(まを)せ。075白状(はくじやう)さへすれば(ゆる)してやらう』
076ハル『ハハ白状(はくじやう)せと()つたつて、077(たね)のない(こと)白状(はくじやう)出来(でき)ますか』
078高姫(たかひめ)『コレ、079ハルさま、080(まへ)()(にん)(なか)でも一番(いちばん)利巧(りかう)(をとこ)だ。081それだから(わたし)がお(まへ)をイルの野郎(やらう)(かは)りに受付頭(うけつけがしら)にして()げたぢやないか。082これ(ほど)(わたし)がお(まへ)をヒイキにして()るのに、083なぜ(かく)()てをなさるのだい。084サ、085(はや)()つてみなさい。086(けつ)してお(まへ)さまの(ため)(わる)いやうにはせないからな』
087ハル高姫(たかひめ)さま、088そんな無茶(むちや)(こと)089あなた(まで)()つて(もら)つちや、090(この)ハルが()うして()ちますか。091よい加減(かげん)(うたがひ)()らして(くだ)さいな』
092妖幻(えうげん)(妖幻坊の杢助)此奴(こいつ)何処(どこ)までもドシぶとい、093まてツ、094(いま)(おも)()らしてやらう、095サどうぢや』
096(また)もや拳骨(げんこつ)(かた)めて、097(ちから)(かぎ)りに打下(うちおろ)さうとする一刹那(いつせつな)『ウーウー、098ワツウ ワツウ ワツウ』とスマートの(こゑ)099妖幻坊(えうげんばう)(からだ)がすくみ、100(いろ)(あを)ざめ、101(その)(まま)ツイと()つて自分(じぶん)居間(ゐま)()(かへ)り、102蒲団(ふとん)(かぶ)つて(ふる)うてゐる。103スマートの(こゑ)益々(ますます)(はげ)しくなつて()た。
104 高姫(たかひめ)少々(せうせう)(ふる)ひながら、
105高姫『コレ、106ハルさま、107(まへ)はいい()だ。108本当(ほんたう)様子(やうす)()つて()るだらう。109サ、110チヤツと()うてくれ、111(その)(かは)り、112(まへ)をここの神司(かむづかさ)にして()げるからなア』
113ハル『ハイ、114(まへ)さま、115用心(ようじん)しなされ。116どうやら立退(たちの)命令(めいれい)()たやうな按配(あんばい)ですよ』
117高姫『ナアニ、118立退(たちの)命令(めいれい)が、119そりや(たれ)に、120大方(おほかた)珍彦(うづひこ)にだらう』
121ハル冗談(じようだん)()つちやいけませぬよ。122珍彦(うづひこ)さまはここの()主人(しゆじん)です。123(まへ)さまは勝手(かつて)義理(ぎり)天上(てんじやう)だとか()つて(すわ)()み、124自分(じぶん)免許(めんきよ)日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)威張(ゐば)つてゐるのでせう。125それだからお(まへ)さまに立退(たちの)命令(めいれい)()るのは当然(あたりまへ)ですワ』
126高姫『エーエ、127まさかの(とき)になつて、128杢助(もくすけ)さまも杢助(もくすけ)さまだ。129スマート(くらゐ)畜生(ちくしやう)が、130何程(なにほど)(いや)だと()つても、131こんな正念場(しやうねんば)になつてから、132自分(じぶん)居間(ゐま)這入(はい)つて()(しま)ふといふ(こと)があるものかいなア』
133ハル『ヘン、134(まこと)にお()(どく)(さま)135すんまへんな。136(いづ)れ、137(あく)(なが)うは(つづ)きませぬぞや』
138高姫『エーエ、139(まへ)(まで)が、140しようもない(こと)()ふぢやないか。141サ、142とつとと()ていつて(くだ)さい。143この(やかた)仮令(たとへ)直使(ちよくし)()うが(なに)()うが、144日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)守護(しゆご)して()れば、145誰一人(たれひとり)()らいでもよいのだから、146何奴(どいつ)此奴(こいつ)()()してこまそ147グヅグヅしてると先方(むかふ)(はう)から立退(たちの)命令(めいれい)なんて(ぬか)しやがるから、148(さき)んずれば(ひと)(せい)すだから此方(こつち)(はう)から立退(たちの)かしてくれるツ』
149珍彦館(うづひこやかた)をさして()かむと()(あが)る。150そこへ安彦(やすひこ)151国彦(くにひこ)はイル、152サールに案内(あんない)され、153(ふすま)をサツと(ひら)いて這入(はい)つて()た。
154イル『エ、155もし直使(ちよくし)(さま)156ここが所謂(いはゆる)義理(ぎり)天上(てんじやう)居間(ゐま)(ござ)います。157何卒(どうぞ)(はや)立退(たちの)命令(めいれい)(まを)(わた)して(くだ)さい。158コリヤ高姫(たかひめ)159ザマア()やがれ、160イヒヒヒヒ、161(まこと)(もつ)てお()(どく)千万(せんばん)なれど、162今日(けふ)(かぎ)りだと(おも)うて、163(あきら)めて()んだがよいぞや。164油揚(あぶらげ)(いち)(まい)餞別(せんべつ)にやりたいけれど、165生憎(あひにく)今日(けふ)油揚(あぶらげ)小豆(あづき)もないワ。166サツパリ、167コーンと(あきら)めて、168ササ、169(かへ)つたり(かへ)つたり』
170高姫『エー(やかま)しい、171スツ()んでゐなさい。172ここは義理(ぎり)天上(てんじやう)日出(ひのでの)(かみ)神界(しんかい)から命令(めいれい)()けて守護(しゆご)(いた)大門(おほもん)ぢやぞえ。173そして直使(ちよくし)といふのは(たれ)だなア』
174安彦(やすひこ)『ヤア高姫(たかひめ)殿(どの)175(ひさ)しう(ござ)る』
176国彦拙者(せつしや)国彦(くにひこ)(ござ)る。177(この)(たび)178斎苑(いそ)(やかた)より一寸(ちよつと)様子(やうす)あつて参拝(さんぱい)(いた)した(もの)(ござ)る。179境内(けいだい)様子(やうす)()(ため)180此処(ここ)まで調査(てうさ)()たのですよ。181そして直使(ちよくし)(おもむき)珍彦(うづひこ)申渡(まをしわた)しあれば、182やがて(その)(はう)(たい)し、183(なん)とか沙汰(さた)があるであらう』
184高姫『ヘン、185阿呆(あはう)らしい、186人民(じんみん)命令(めいれい)(くらゐ)187()くやうな生神(いきがみ)ぢやありませぬぞや。188勿体(もつたい)なくも高天原(たかあまはら)霊国(れいごく)天人(てんにん)189義理(ぎり)天上(てんじやう)日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)ぢやぞえ。190(この)肉体(にくたい)常世姫(とこよひめの)(みこと)再来(さいらい)で、191変性(へんじやう)男子(なんし)()系統(ひつぱう)だ。192(なん)心得(こころえ)てござる。193……ヤアお(まへ)北山村(きたやまむら)本山(ほんざん)へやつて()て、194トロロの丼鉢(どんぶりばち)座敷中(ざしきちう)にブツつけた、195国公(くにこう)ぢやないか。196そしてお(まへ)(やす)だらう。197ヘン、198阿呆(あはう)らしい、199直使(ちよくし)なんて、200(わら)はせやがるワイ、201イツヒヒヒヒ、202(おほ)きに(はばか)りさま。203これなつと、204(くら)へ』
205焼糞(やけくそ)になつて、206(おほ)きなだん(じり)()きまくり、207ポンポンと(ふた)()(たた)き、208(からだ)()()つゆすり、209(あご)をしやくり、210(した)をニユツと()し、211両手(りやうて)(とび)()ばたきしたやうにしてみせた。
212安彦(やすひこ)仮令(たとへ)213拙者(せつしや)神力(しんりき)()らぬ(もの)にもせよ、214天晴(あつぱれ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)215今日(こんにち)(また)八島主(やしまぬしの)(みこと)(さま)より直使(ちよくし)として(まゐ)つた(もの)(ござ)る。216粗略(そりやく)(あつかひ)をなさると、217斎苑(いそ)(やかた)一伍(いちぶ)一什(しじふ)(まを)()げますぞ』
218高姫『ヘン、219仰有(おつしや)いますわい。220八島主(やしまぬし)教主(けうしゆ)(なん)だ。221(あを)(あを)()せた(かほ)しやがつて、222まるで肺病(はいびやう)親方(おやかた)みたやうな(つら)をして、223(この)(はう)立退(たちの)命令(めいれい)224ヘン、225(けつ)(あき)れて雪隠(せつちん)(をど)りますワイ。226(ちや)一杯(いつぱい)()げたいは山々(やまやま)なれど、227左様(さやう)(わか)らぬ(こと)()(やつこ)さまには、228番茶(ばんちや)(ひと)()(わけ)には()きませぬワ。229サア、230トツトとお(かへ)りなさい。231高姫(たかひめ)()()えても、232斎苑(いそ)(やかた)総務(そうむ)杢助(もくすけ)(つま)(ござ)るぞや。233何程(なにほど)(やす)(くに)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)だと()つても、234(わが)(をつと)杢助(もくすけ)家来(けらい)ぢやないか。235(いま)こそ杢助(もくすけ)(さま)様子(やうす)あつて(やく)()いて(ござ)るが、236ヤツパリ()神徳(しんとく)三五教(あななひけう)()つての偉者(えらもの)だ。237どうだ両人(りやうにん)238義理(ぎり)天上(てんじやう)(まを)(こと)()いて改心(かいしん)(いた)し、239(この)(はう)部下(ぶか)となつて、240此処(ここ)御用(ごよう)(いた)()はないかな』
241国彦(くにひこ)安彦(やすひこ)殿(どの)242(こま)つた(もの)(ござ)るな。243(ろん)にも(くひ)にもかからぬでは(ござ)らぬか』
244高姫『コリヤ与太(よた)245ソリヤ(なに)()ふのだ。246勿体(もつたい)なくも日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)目下(めした)見下(みおろ)し、247直使面(ちよくしづら)をさげて、248馬鹿(ばか)らしい、249(なに)()ふのだい。250弥次彦(やじひこ)251与太彦(よたひこ)両人(りやうにん)()252(また)一途(いちづ)(かは)出刃(でば)庖丁(ばうちやう)を、253土手(どて)(ぱら)へつつ()んでやらうかな。254あの(とき)黒姫(くろひめ)二人(ふたり)だつたが、255モウ、256今日(こんにち)神力(しんりき)無双(むさう)勇士(ゆうし)257杢助(もくすけ)さまの女房(にようばう)ぢやぞ。258(なん)だ、259(のり)つけもののやうに、260しやちこ()つて、261(その)(つら)は、262マアそこに(すわ)つたが()からう』
263 (となり)()にウンウンと(うな)妖幻坊(えうげんばう)(こゑ)264(みみ)をさす(ごと)くに(きこ)えて()る。
265イル『モシお直使(ちよくし)(さま)266こんな気違(きちが)ひは(あと)まはしと(いた)しまして、267杢助(もくすけ)居間(ゐま)取調(とりしら)べませう、268(なん)だか(うな)つて()るやうですよ』
269安彦(やすひこ)『ヤ、270国彦(くにひこ)殿(どの)271エー、272サール殿(どの)とハル殿(どの)(さん)(にん)273(この)発狂者(はつきやうしや)監督(かんとく)してゐて(くだ)さい。274拙者(せつしや)杢助(もくすけ)(しよう)する人物(じんぶつ)正体(しやうたい)見届(みとど)けて(まゐ)りますから』
275()かうとする。276高姫(たかひめ)両手(りやうて)(ひろ)げて、
277高姫『コリヤコリヤ(やす)278イヤ弥次彦(やじひこ)279イル、280メツタに義理(ぎり)天上(てんじやう)さまの(ゆる)しもなしに、281()くことはならぬぞや。282さやうな(こと)(いた)すと、283(たちま)手足(てあし)(うご)かぬやうに(いた)すから、284それでもよけら、285()つたが()からう』
286イル『モシ直使(ちよくし)(さま)287()きませう。288(この)(ばば)何時(いつ)もあんなこと()つて(おど)しが上手(じやうづ)ですからなア』
289安彦(やすひこ)『なる(ほど)290(まゐ)りませう』
291(つぎ)()杢助(もくすけ)居間(ゐま)をパツとあけた。292杢助(もくすけ)(かし)(ぼう)頭上(づじやう)(たか)くふりかざし、293(ちから)をこめてウンと一打(ひとうち)294(いま)安彦(やすひこ)(あたま)(ふた)つに()れたと(おも)一刹那(いつせつな)295床下(ゆかした)より(ひび)(きた)るスマートの(こゑ)
296スマート『ウーツ、297ワアウ ワアウ ワアウ』
298 杢助(もくすけ)(たちま)()(しび)れ、299棍棒(こんぼう)をふり()げた(まま)300一目散(いちもくさん)(うら)森林(しんりん)()して、301(くも)(かすみ)()げて()く。302高姫(たかひめ)矢庭(やには)杢助(もくすけ)居間(ゐま)(はい)つて()れば藻抜(もぬ)けの(から)
303高姫『コレ杢助(もくすけ)さま、304何処(どこ)()つたのだい。305卑怯(ひけふ)未練(みれん)にも(ほど)があるぢやないか、306(はや)(かへ)つて(くだ)さいな。307エーエ、308(なん)()()(よわ)(ひと)だらう、309本当(ほんたう)(やさ)しい(ひと)は、310こんな(とき)になると仕方(しかた)がないワ。311(しか)無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)三五教(あななひけう)だから、312相手(あひて)になつてはならない。313こんな(やつ)(かか)()うて()つたら、314カツタイと棒打(ぼうう)ちするやうなものだと(おも)つて、315()げなさつたのかな。316兵法(へいはふ)三十六(さんじふろく)(けい)(おく)()は、317()げるが一番(いちばん)ぢやといふ(こと)だ。318ヤツパリ杢助(もくすけ)さまは、319どこともなしに賢明(けんめい)(かた)だなア。320到底(たうてい)ここらに()るガラクタには(くら)べものにはなりませぬワイ。321日出(ひのでの)(かみ)杢助(もくすけ)さまには感心(かんしん)(いた)したぞや。322コレ弥次彦(やじひこ)323与太彦(よたひこ)324どうだい。325感心(かんしん)したかい。326チツトお筆先(ふでさき)(いただ)いたらどうだい。327結構(けつこう)なお筆先(ふでさき)()てるぞや。328(この)イルも()つて()(とほ)り、329一字(いちじ)々々(いちじ)文字(もじ)(うご)くのだから、330そして正体(しやうたい)(あら)はして(りう)となり、331天上(てんじやう)をするといふ()きたお筆先(ふでさき)ぢやぞえ。332どうだ、333折角(せつかく)此処(ここ)まで()たのだから、334(いただ)いて(かへ)()はないか。335(いただ)くというても筆先(ふでさき)直筆(ぢきひつ)でも(うつ)しでもやりませぬぞや。336(まへ)(みみ)(なか)()れて(かへ)ればいいのだから……』
337安彦(やすひこ)『ああ(こま)つたものだなア、338()げも(おろ)しもならぬ(やつ)だ。339阿呆(あはう)気違(きちが)ひにかかつたら、340どうも()のつけやうのないものだ』
341高姫『ヘン、342(まへ)もお筆先(ふでさき)をチツとは(いただ)いてをるだらう。343変性(へんじやう)男子(なんし)(さま)が……阿呆(あはう)になりてをりて(くだ)されよ。344(この)(はう)三千(さんぜん)世界(せかい)大気違(おほきちが)ひであるぞよ。345気違(きちが)ひになりて()らねば(この)大望(たいまう)成就(じやうじゆ)(いた)さぬぞよ。346(この)(はう)(たれ)()にも()はぬ身魂(みたま)であるぞよ。347鬼門(きもん)金神(こんじん)でさへも往生(わうじやう)(いた)すぞよ。348(なか)にも義理(ぎり)天上(てんじやう)日出(ひのでの)(かみ)神力(しんりき)(うしとら)金神(こんじん)(そば)へもよれぬぞよ。349結構(けつこう)身魂(みたま)()におとしてありたぞよ。350(あま)(かみ)(あなど)りて()りたら、351赤恥(あかはぢ)をかいて、352(おほ)きな(こゑ)(もの)()へぬぞよ。353日出(ひのでの)(かみ)()(いた)して三千(さんぜん)世界(せかい)御用(ごよう)をさしてあるぞよ。354(なに)()らぬ人民(じんみん)が、355ゴテゴテ(まを)せど、356(なに)心配(しんぱい)(いた)さいでもよいぞよ。357(わけ)(わか)らぬ人民(じんみん)からいろいろと(まを)されるぞよ。358それを(かま)うて()つたら御用(ごよう)(つと)まらぬぞよ。359(かみ)はいろいろと()をひくぞよ。360トコトン()()いて、361これなら(うご)かぬ身魂(みたま)()りぬいた(うへ)362(まこと)御用(ごよう)使(つか)ふぞよ……といふ(こと)をお(まへ)(たち)()つて()るかい。363()らな()うてやろ、364そこに(すわ)りなさい。365あああ一人(ひとり)(みたま)改心(かいしん)ささうと(おも)へば、366随分(ずいぶん)(ほね)()れた(こと)だわい。367(まこと)()かしてやれば(つら)をふくらすなり、368ぢやと(まを)してお()()ふやうなことを(まを)せば、369すぐに慢心(まんしん)(いた)すなり、370(いま)人民(じんみん)()のつけやうがないぞよ。371(かみ)(まこと)(こゑ)をあげて(くる)しみて()るぞよ。372(なか)にも与太彦(よたひこ)373弥次彦(やじひこ)のやうな八衢(やちまた)人間(にんげん)が、374(ぜん)(めん)をかぶりて、375宣伝使(せんでんし)などと(まを)して(ある)()(なか)だから、376(こま)つたものであるぞよ。377八島主(やしまぬしの)(みこと)言依別(ことよりわけの)(みこと)も、378(がく)智慧(ちゑ)出来(でき)途中(とちう)鼻高(はなだか)であるから、379霊国(れいごく)天人(てんにん)(みたま)(まを)すことはチツとも(みみ)(はい)らず、380(まこと)(かみ)迷惑(めいわく)(いた)すぞよ。381これから義理(ぎり)天上(てんじやう)肉宮(にくみや)が、382斎苑(いそ)(やかた)(まゐ)りて、383(なに)()根本(こつぽん)から立替(たてかへ)(いた)してやるぞよ。384そこになりたら、385(いま)まで(えら)さうに(まを)してをりた(おん)(かた)386首尾(しゆび)(わる)(こと)出来(でき)るぞよ。387(かみ)(まを)(うち)()かねば、388(あと)になりて何程(なにほど)(くる)しみ(もだ)えたとて(かみ)()()みはないぞよ。389改心(かいしん)一等(いつとう)ぞよ。390(かみ)人民(じんみん)(たす)けたさに()()もロクによう()ずに、391苦労(くらう)艱難(かんなん)(いた)して()るぞよ。392(かみ)(こと)人民(じんみん)(など)(わか)ることでないぞよ。393(はや)(かへ)つて(くだ)されよ。394()(あし)(みたま)がウロウロ(いた)すと、395(かみ)気障(きざわり)出来(でき)るぞよ。396(はや)(かへ)つて(くだ)されよ』
397とのべつ(まく)なしに大声(おほごゑ)呶鳴(どな)()て、398安彦(やすひこ)399国彦(くにひこ)直使(ちよくし)(けむり)にまいて(しま)つた。
400大正一二・一・二三 旧一一・一二・七 松村真澄録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→