霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第50巻(丑の巻)
序文
総説
第1篇 和光同塵
第1章 至善至悪
第2章 照魔燈
第3章 高魔腹
第4章 御意犬
第2篇 兇党擡頭
第5章 霊肉問答
第6章 玉茸
第7章 負傷負傷
第8章 常世闇
第9章 真理方便
第3篇 神意と人情
第10章 据置貯金
第11章 鸚鵡返
第12章 敵愾心
第13章 盲嫌
第14章 虬の盃
第4篇 神犬の言霊
第15章 妖幻坊
第16章 鷹鷲掴
第17章 偽筆
第18章 安国使
第19章 逆語
第20章 悪魔払
第21章 犬嘩
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
サイトをリニューアルしました(
従来バージョンはこちら
)【新着情報】
(
サブスク
のお知らせ)
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第50巻(丑の巻)
> 第3篇 神意と人情 > 第11章 鸚鵡返
<<< 据置貯金
(B)
(N)
敵愾心 >>>
第一一章
鸚鵡
(
あうむ
)
返
(
がへし
)
〔一三〇五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻
篇:
第3篇 神意と人情
よみ(新仮名遣い):
しんいとにんじょう
章:
第11章 鸚鵡返
よみ(新仮名遣い):
おうむがえし
通し章番号:
1305
口述日:
1923(大正12)年01月21日(旧12月5日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年12月7日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
祠の森に現れた偽杢助の正体は、八岐大蛇の片腕として名も高い、獅子と虎の忠誠を備えた怪しの動物であり、名を妖幻坊といった。
一方、高姫は祠の森の御社を蹂躙せんと出て来た悪霊に魂を奪われてしまった。妖幻坊は高姫をたぶらかして夫婦に成りすまし、生地を隠していた。しかし初稚姫の霊光と、お供の猛犬スマートに恐れて逃げ出し、スマートに眉間をかぶりつかれてひとまず逃げて行った。
妖幻坊と高姫が、珍彦夫婦を亡き者にしようとした毒殺の企みも、楓姫の枕元に現れた文殊菩薩が授けた霊薬によって何事もなく終わった。
スマートに傷つけられた妖幻坊を癒そうと、薬の茸を採ろうと大杉に梯子をかけた高姫も、梟にこつかれて墜落し、寝込んでしまった。高姫は、初稚姫の献身的な看病によって回復した。しかし高姫は初稚姫をねたみ、その神力をおそれて再び奸策を企みはじめた。
高姫は回復すると、一度も見舞いに来なかったと珍彦の館に文句を言いに上り込んできた。しかし対応した楓は逆に高姫の災難を嘲笑い、父母に毒を盛った罰だと非難してかかった。また珍彦と静子が、毒殺未遂の件を斎苑館に報告し行くと高姫を脅して帰そうとした。
高姫と楓は言い争いになり、怒った高姫はこぶしを固めて楓を打ち付けた。楓は大きな声で叫び、人を呼ぶ声が酒盛りをしていたイル、イク、サール、ハル、テルにまで届いて五人はその場にかけつけた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-07-18 19:56:59
OBC :
rm5011
愛善世界社版:
149頁
八幡書店版:
第9輯 204頁
修補版:
校定版:
155頁
普及版:
77頁
初版:
ページ備考:
001
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
神館
(
みやかた
)
に
002
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りし
杢助
(
もくすけ
)
の
003
其
(
その
)
正体
(
しやうたい
)
は
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
004
大雲山
(
たいうんざん
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
005
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
片腕
(
かたうで
)
と
006
妖魅
(
えうみ
)
の
世界
(
せかい
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
007
獅子
(
しし
)
と
虎
(
とら
)
との
中性
(
ちうせい
)
を
008
備
(
そな
)
へし
怪
(
あや
)
しの
動物
(
どうぶつ
)
ぞ
009
妖幻坊
(
えうげんばう
)
と
謳
(
うた
)
はれて
010
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
に
出没
(
しゆつぼつ
)
し
011
神出
(
しんしゆつ
)
鬼没
(
きぼつ
)
の
妖術
(
えうじゆつ
)
を
012
使
(
つか
)
ひて
世人
(
よびと
)
をなやませつ
013
地上
(
ちじやう
)
の
世界
(
せかい
)
を
魔界
(
まかい
)
とし
014
所有
(
あらゆる
)
善
(
ぜん
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼして
015
邪悪
(
じやあく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
の
世
(
よ
)
にせむと
016
狂
(
くる
)
ひ
廻
(
まは
)
るぞ
由々
(
ゆゆ
)
しけれ
017
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
018
玉国別
(
たまくにわけ
)
が
丹精
(
たんせい
)
を
019
凝
(
こ
)
らして
仕
(
つか
)
へまつりたる
020
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
や
瑞御霊
(
みづみたま
)
021
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御社
(
みやしろ
)
を
022
蹂躙
(
じうりん
)
せむと
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
る
023
悪魔
(
あくま
)
に
御魂
(
みたま
)
を
奪
(
うば
)
はれし
024
高姫司
(
たかひめつかさ
)
を
誑
(
たぶら
)
かし
025
茲
(
ここ
)
に
夫婦
(
ふうふ
)
となりすまし
026
生地
(
きぢ
)
を
隠
(
かく
)
して
居
(
ゐ
)
たる
折
(
をり
)
027
忽
(
たちま
)
ち
来
(
きた
)
る
三五
(
あななひ
)
の
028
道
(
みち
)
に
名高
(
なだか
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
029
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
霊光
(
れいくわう
)
と
030
伴
(
ともな
)
ひ
来
(
きた
)
る
猛犬
(
まうけん
)
に
031
恐
(
おそ
)
れて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
すその
途端
(
とたん
)
032
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
ふるスマートが
033
其
(
その
)
正体
(
しやうたい
)
を
看破
(
みやぶ
)
りて
034
忽
(
たちま
)
ち
勇気
(
ゆうき
)
を
振
(
ふ
)
り
起
(
おこ
)
し
035
幾層倍
(
いくそうばい
)
の
巨体
(
きよたい
)
をば
036
有
(
いう
)
する
曲津
(
まがつ
)
に
取
(
と
)
りついて
037
眉間
(
みけん
)
のあたりを
一噛
(
ひとか
)
ぶり
038
森
(
もり
)
を
流
(
なが
)
るる
谷水
(
たにみづ
)
の
039
傍
(
かた
)
へに
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
りつつ
040
妖魅
(
えうみ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
驚愕
(
きやうがく
)
し
041
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
を
042
指
(
さ
)
して
一先
(
ひとま
)
づ
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
043
スマートは
足
(
あし
)
を
傷
(
きず
)
つけて
044
チガチガしながら
立帰
(
たちかへ
)
り
045
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
入
(
い
)
り
046
暫
(
しば
)
し
痛手
(
いたで
)
を
舐
(
な
)
めながら
047
自分
(
じぶん
)
療治
(
れうぢ
)
の
巧妙
(
かうめう
)
さ
048
高姫司
(
たかひめつかさ
)
は
杢助
(
もくすけ
)
を
049
兇暴
(
きようばう
)
不敵
(
ふてき
)
の
曲神
(
まががみ
)
と
050
知
(
し
)
らぬ
悲
(
かな
)
しさ
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
と
051
恋
(
こ
)
ひ
慕
(
した
)
ひつつひそびそと
052
よからぬ
事
(
こと
)
を
計画
(
けいくわく
)
し
053
まづ
第一
(
だいいち
)
に
目上
(
めうへ
)
の
瘤
(
こぶ
)
と
054
心
(
こころ
)
にかかる
珍彦
(
うづひこ
)
や
055
静子
(
しづこ
)
の
方
(
かた
)
を
毒殺
(
どくさつ
)
し
056
楓
(
かへで
)
の
姫
(
ひめ
)
を
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
ぞと
057
偽
(
いつは
)
りすまして
聖場
(
せいぢやう
)
に
058
いや
永久
(
とこしへ
)
に
陣
(
ぢん
)
を
取
(
と
)
り
059
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
にましませる
060
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
061
世界
(
せかい
)
救治
(
きうぢ
)
の
神策
(
しんさく
)
を
062
妨害
(
ばうがい
)
せむと
首
(
かうべ
)
をば
063
鳩
(
あつ
)
めて
囁
(
ささや
)
く
恐
(
おそ
)
ろしさ。
064
○
065
楓
(
かへで
)
の
姫
(
ひめ
)
の
枕辺
(
まくらべ
)
に
066
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひしエンゼルは
067
言霊別
(
ことたまわけ
)
の
化身
(
けしん
)
なる
068
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
と
厳
(
いか
)
めしく
069
さしも
雄々
(
をを
)
しきスマートを
070
伴
(
ともな
)
ひ
来
(
きた
)
り
両親
(
ふたおや
)
の
071
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ひ
与
(
あた
)
へよと
072
百毒
(
ひやくどく
)
解散
(
げさん
)
の
神丹
(
しんたん
)
を
073
与
(
あた
)
へて
雲
(
くも
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し
074
何処
(
いづく
)
ともなく
出
(
い
)
でましぬ
075
楓
(
かへで
)
はハツと
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし
076
吾
(
わが
)
手
(
て
)
の
拳
(
こぶし
)
を
調
(
しら
)
ぶれば
077
夢
(
ゆめ
)
に
受
(
う
)
けたる
霊薬
(
れいやく
)
を
078
握
(
にぎ
)
り
居
(
ゐ
)
たるぞ
不思議
(
ふしぎ
)
なれ
079
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
が
080
意思
(
いし
)
に
従
(
したが
)
ひスマートを
081
一先
(
ひとま
)
づここを
追
(
お
)
ひ
出
(
いだ
)
し
082
やつと
安心
(
あんしん
)
する
間
(
ま
)
なく
083
杢助司
(
もくすけつかさ
)
の
瘡傷
(
さうしやう
)
を
084
癒
(
いや
)
さむために
大杉
(
おほすぎ
)
の
085
梢
(
こずゑ
)
に
生
(
は
)
えし
玉茸
(
たまたけ
)
を
086
密
(
ひそか
)
に
取
(
と
)
らむと
高姫
(
たかひめ
)
は
087
人目
(
ひとめ
)
をしのび
梯子
(
はしのこ
)
を
088
大木
(
おほき
)
の
幹
(
みき
)
に
立
(
た
)
てかけて
089
重
(
おも
)
い
体
(
からだ
)
をたわたわと
090
さしもに
高
(
たか
)
き
一
(
いち
)
の
枝
(
えだ
)
091
やつと
手
(
て
)
をかけ
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
に
092
引
(
ひ
)
つかかりつつ
右左
(
みぎひだり
)
093
梢
(
こずゑ
)
を
探
(
さが
)
し
居
(
ゐ
)
たりしが
094
忽
(
たちま
)
ち
梟
(
ふくろ
)
の
両眼
(
りやうがん
)
を
095
認
(
みと
)
めてこれぞ
玉茸
(
たまたけ
)
と
096
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
せば
097
梟
(
ふくろ
)
は
驚
(
おどろ
)
き
高姫
(
たかひめ
)
が
098
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
を
容赦
(
ようしや
)
なく
099
鈎
(
かぎ
)
のやうなる
嘴
(
くちばし
)
で
100
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りについばめば
101
不意
(
ふい
)
を
打
(
う
)
たれて
高姫
(
たかひめ
)
は
102
スツテンドウと
高所
(
かうしよ
)
より
103
忽
(
たちま
)
ち
地上
(
ちじやう
)
に
顛落
(
てんらく
)
し
104
眼
(
まなこ
)
は
眩
(
くら
)
み
腰
(
こし
)
痛
(
いた
)
み
105
息
(
いき
)
絶
(
た
)
えだえとなりにける
106
受付役
(
うけつけやく
)
に
仕
(
つか
)
へたる
107
イルは
見
(
み
)
るより
仰天
(
ぎやうてん
)
し
108
忽
(
たちま
)
ち
館
(
やかた
)
にふれ
廻
(
まは
)
る
109
珍彦
(
うづひこ
)
、
静子
(
しづこ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
110
イル、イク、サール、ハル、テルの
111
若
(
わか
)
き
男
(
をとこ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
を
112
担
(
かつ
)
いで
居間
(
ゐま
)
に
運
(
はこ
)
び
入
(
い
)
れ
113
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
熱心
(
ねつしん
)
な
114
其
(
その
)
介抱
(
かいはう
)
に
高姫
(
たかひめ
)
は
115
暫
(
しば
)
し
息
(
いき
)
をばつきながら
116
杢助
(
もくすけ
)
さまを
逸早
(
いちはや
)
く
117
招
(
まね
)
き
来
(
きた
)
れとせきたつる
118
其
(
その
)
心根
(
こころね
)
ぞ
不愍
(
ふびん
)
なれ
119
顔面
(
がんめん
)
忽
(
たちま
)
ち
腫
(
は
)
れ
上
(
あが
)
り
120
二目
(
ふため
)
と
見
(
み
)
られぬ
醜面
(
しこづら
)
と
121
変
(
かは
)
り
果
(
は
)
てたる
恐
(
おそ
)
ろしさ
122
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
妖怪
(
えうくわい
)
と
123
怖
(
おそ
)
れて
近
(
ちか
)
づくものもなし
124
さはさりながら
三五
(
あななひ
)
の
125
教
(
をしへ
)
を
守
(
まも
)
る
宣伝使
(
せんでんし
)
126
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
懇切
(
こんせつ
)
に
127
高姫司
(
たかひめつかさ
)
をいたはりて
128
介抱
(
かいはう
)
なせば
七八日
(
ななやうか
)
129
月日
(
つきひ
)
を
重
(
かさ
)
ねて
両眼
(
りやうがん
)
は
130
忽
(
たちま
)
ちパツと
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
131
開
(
ひら
)
けて
痛
(
いた
)
みも
頓
(
とみ
)
にやみ
132
顔
(
かほ
)
の
腫
(
はれ
)
まで
減退
(
げんたい
)
し
133
悦
(
よろこ
)
ぶ
間
(
ま
)
もなく
高姫
(
たかひめ
)
は
134
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
神力
(
しんりき
)
を
135
怖
(
おそ
)
れて
再
(
ふたた
)
び
奸策
(
かんさく
)
を
136
企
(
たく
)
み
初
(
そ
)
めしぞうたてけれ。
137
高姫
(
たかひめ
)
は
懇切
(
こんせつ
)
なる
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
介抱
(
かいはう
)
に
漸
(
やうや
)
く
腰
(
こし
)
の
痛
(
いた
)
みも
全快
(
ぜんくわい
)
し、
138
顔
(
かほ
)
の
腫
(
はれ
)
も
引
(
ひ
)
き
両眼
(
りやうがん
)
は
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
く
隼
(
はやぶさ
)
の
如
(
ごと
)
く
光
(
ひか
)
り
出
(
だ
)
した。
139
喉元
(
のどもと
)
過
(
す
)
ぎて
熱
(
あつ
)
さ
忘
(
わす
)
るるは
小人
(
せうじん
)
の
常
(
つね
)
とかや、
140
兇霊
(
きようれい
)
に
憑依
(
ひようい
)
されたる
高姫
(
たかひめ
)
は、
141
前
(
まへ
)
に
倍
(
ばい
)
して
悪垂
(
あくた
)
れ
口
(
ぐち
)
をつき
始
(
はじ
)
め、
142
遉
(
さすが
)
の
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
143
珍彦
(
うづひこ
)
を
手
(
て
)
こずらすこと
一通
(
ひととほ
)
りではなかつた。
144
高姫
(
たかひめ
)
は
病気
(
びやうき
)
が
癒
(
なほ
)
つたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
145
いそいそとして
珍彦
(
うづひこ
)
の
館
(
やかた
)
を
訪
(
と
)
うた。
146
高姫
『ハイ
御免
(
ごめん
)
なさいませ。
147
珍彦
(
うづひこ
)
さまは
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
宜敷
(
よろし
)
う
厶
(
ござ
)
いますかな。
148
静子
(
しづこ
)
さまも
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
ですかな。
149
私
(
わたし
)
も
長
(
なが
)
らく
怪我
(
けが
)
を
致
(
いた
)
しまして
困
(
こま
)
つて
居
(
を
)
りましたが、
150
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
の
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
、
151
あれ
程
(
ほど
)
私
(
わたし
)
が
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
るのに、
152
只
(
ただ
)
の
一度
(
いちど
)
もお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さいませず、
153
真
(
まこと
)
に
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
な
程
(
ほど
)
、
154
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
155
遉
(
さすが
)
は
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
直々
(
ぢきぢき
)
お
仕
(
つか
)
へ
遊
(
あそ
)
ばす
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
事
(
こと
)
とて、
156
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
迄
(
まで
)
お
気
(
き
)
のつく
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますわい。
157
この
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
をお
報
(
むく
)
い
申
(
まを
)
さねば
済
(
す
)
みませぬから、
158
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
ながらちつとばかり、
159
いな
やつと
ばかりお
邪魔
(
じやま
)
になるかも
知
(
し
)
れませぬよ』
160
と
門口
(
かどぐち
)
から
喋
(
しやべ
)
りながら「お
上
(
あが
)
りなさいませ」とも
云
(
い
)
はぬに
早
(
はや
)
くも
座敷
(
ざしき
)
に
上
(
あが
)
り
込
(
こ
)
み、
161
火鉢
(
ひばち
)
の
前
(
まへ
)
にどつかと
坐
(
すわ
)
り、
162
柱
(
はしら
)
を
背
(
せ
)
に、
163
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
くゆ
)
らしながら、
164
傲然
(
がうぜん
)
と
構
(
かま
)
へて
居
(
ゐ
)
るその
憎
(
にく
)
らしさ。
165
楓姫
(
かへでひめ
)
は
淑
(
しと
)
やかに
襖
(
ふすま
)
を
開
(
あ
)
けて
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
166
楓
『ヤ、
167
お
前
(
まへ
)
さまは
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまぢやな。
168
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
は
真
(
まこと
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さま、
169
イヒヒヒヒヒ、
170
貴女
(
あなた
)
もあれでよい
修業
(
しゆげふ
)
をなさつたでせうね。
171
お
父
(
とう
)
さまやお
母
(
かあ
)
さまに
大切
(
たいせつ
)
な
毒散
(
どくさん
)
を
振
(
ふ
)
れ
舞
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さいまして、
172
真
(
まこと
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さま
で
厶
(
ござ
)
いましたなア。
173
ホホホホホ』
174
高姫
(
たかひめ
)
は、
175
ぎよつとしながら
左
(
さ
)
あらぬ
体
(
てい
)
にて、
176
高姫
『これ
楓
(
かへで
)
さま、
177
なんぼ
年
(
とし
)
が
若
(
わか
)
いと
云
(
い
)
つても、
178
その
悪言
(
あくげん
)
は
聞
(
き
)
き
捨
(
ず
)
てなりませぬぞや。
179
お
前
(
まへ
)
さまは
此
(
この
)
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
が、
180
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
に
毒
(
どく
)
を
盛
(
も
)
つたと
云
(
い
)
ひましたな。
181
何
(
なに
)
を
証拠
(
しようこ
)
にそんな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
る。
182
この
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
に、
183
あらぬ
悪名
(
あくめい
)
をつけ、
184
無実
(
むじつ
)
の
咎
(
とが
)
を
負
(
お
)
はせて
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
さうとの
企
(
たく
)
みであらうがな。
185
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
悪人
(
あくにん
)
ばかりで、
186
挺
(
てこ
)
にも
棒
(
ぼう
)
にもおへた
代物
(
しろもの
)
ぢやないわい。
187
これ
程
(
ほど
)
此
(
この
)
お
館
(
やかた
)
に
悪魔
(
あくま
)
が
蔓
(
はびこ
)
る
以上
(
いじやう
)
は、
188
いつかな いつかな
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は、
189
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
が
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
さうと
云
(
い
)
つたつて
びく
とも
動
(
うご
)
きはしませぬぞえ。
190
そして
珍彦
(
うづひこ
)
さま、
191
静子
(
しづこ
)
さまは
何
(
なに
)
をして
厶
(
ござ
)
るのだ。
192
「
毒
(
どく
)
を
呑
(
の
)
ました」と、
193
こんな
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
現在
(
げんざい
)
自分
(
じぶん
)
の
娘
(
むすめ
)
が
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るのに
断
(
ことわ
)
りにも
来
(
こ
)
ず、
194
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
つた
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
身魂
(
みたま
)
ぢやな。
195
これだからこの
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
が
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れるのだ。
196
こんな
分
(
わか
)
らずやの
悪人
(
あくにん
)
が
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
なお
館
(
やかた
)
を
汚
(
けが
)
して
居
(
ゐ
)
るものだから、
197
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
さま
迄
(
まで
)
、
198
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
犠牲
(
ぎせい
)
となつてあんな
深傷
(
ふかで
)
を
負
(
お
)
ひ、
199
今
(
いま
)
ではお
姿
(
すがた
)
も
見
(
み
)
えない。
200
大方
(
おほかた
)
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
が
汚
(
よご
)
れて
居
(
を
)
るので、
201
清浄
(
せいじやう
)
無垢
(
むく
)
の
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
はお
嫌
(
きら
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばし、
202
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へお
帰
(
かへ
)
りなさつたのだらう。
203
エエ
仕方
(
しかた
)
のない
曲津
(
まがつ
)
が
寄
(
よ
)
つたものだなア。
204
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
のしようもない
教
(
をしへ
)
にとぼけて
居
(
ゐ
)
る
八島主
(
やしまぬし
)
を
初
(
はじ
)
め、
205
玉国別
(
たまくにわけ
)
、
206
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
などと
云
(
い
)
ふ
阿婆摺
(
あばずれ
)
女
(
をんな
)
が
肝腎
(
かんじん
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
に
相談
(
さうだん
)
も
致
(
いた
)
さず、
207
許
(
ゆる
)
しもうけず、
208
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
に
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
のお
鎮
(
しづ
)
まり
遊
(
あそ
)
ばす
御
(
ご
)
聖場
(
せいぢやう
)
に、
209
鷹
(
たか
)
か
鳶
(
とんび
)
か
狸
(
たぬき
)
か
鼬
(
いたち
)
か
分
(
わか
)
りもしない
御霊
(
みたま
)
の
宿
(
やど
)
つた
珍彦
(
うづひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を、
210
大
(
だい
)
それた
神司
(
かむつかさ
)
に
任
(
にん
)
じ、
211
其
(
その
)
上
(
うへ
)
バラモン
教
(
けう
)
の
落武者
(
おちむしや
)
、
212
箸
(
はし
)
にも
棒
(
ぼう
)
にもかからないガラクタ
人足
(
にんそく
)
を
半
(
はん
)
ダースも
引張
(
ひつぱ
)
り
込
(
こ
)
み、
213
聖場
(
せいぢやう
)
を
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
汚
(
けが
)
すものだから、
214
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
の
犠牲
(
ぎせい
)
ではまだ
足
(
た
)
らぬと
見
(
み
)
え、
215
女房
(
にようばう
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
迄
(
まで
)
が
長
(
なが
)
らくの
苦
(
くる
)
しみ、
216
是
(
これ
)
もやつぱりお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
親子
(
おやこ
)
の
為
(
ため
)
に
千座
(
ちくら
)
の
置戸
(
おきど
)
を
負
(
お
)
うたのだ。
217
あの
病気中
(
びやうきちう
)
にせめて
一度
(
いちど
)
位
(
くらゐ
)
、
218
「
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
、
219
御
(
お
)
気分
(
きぶん
)
はどうですか、
220
お
薬
(
くすり
)
は
如何
(
どう
)
か」と
義理
(
ぎり
)
一遍
(
いつぺん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
にでも
来
(
き
)
たらよささうなものだなア。
221
本当
(
ほんたう
)
に
恩
(
おん
)
知
(
し
)
らずと
云
(
い
)
つても、
222
犬畜生
(
いぬちくしやう
)
にも
劣
(
おと
)
つた
どたほし
者
(
もの
)
だ。
223
珍彦
(
うづひこ
)
、
224
静子
(
しづこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は、
225
私
(
わたし
)
の
神徳
(
しんとく
)
に
怖
(
おそ
)
れて
何処
(
どこ
)
へ
潜伏
(
せんぷく
)
したのだ。
226
サア
楓
(
かへで
)
さま、
227
一遍
(
いつぺん
)
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
をして
上
(
あ
)
げねばならぬから、
228
ここへ
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
なさい』
229
楓
『イヤですよ。
230
お
前
(
まへ
)
さまは
杢助
(
もくすけ
)
の
妖幻坊
(
えうげんばう
)
と
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せて、
231
毒散
(
どくさん
)
と
云
(
い
)
ふ
悪
(
わる
)
い
薬
(
くすり
)
をお
父
(
とう
)
さまやお
母
(
かあ
)
さまに
呑
(
の
)
ました
怖
(
おそ
)
ろしい
大悪魔
(
だいあくま
)
だから、
232
何程
(
なにほど
)
お
前
(
まへ
)
さまが
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
ても、
233
よい
罰
(
ばち
)
だと
思
(
おも
)
つて
誰
(
たれ
)
も
訪
(
たづ
)
ねに
往
(
ゆ
)
くものがないのよ。
234
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ですねえ。
235
ホホホホホ』
236
高姫
『これ
阿魔
(
あま
)
つちよ。
237
何
(
なん
)
だ
小
(
こ
)
ちつぺの
態
(
ざま
)
をして、
238
毒散
(
どくさん
)
を
呑
(
の
)
ましたなぞと、
239
何
(
なに
)
を
証拠
(
しようこ
)
にそんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
240
毒
(
どく
)
でない
証拠
(
しようこ
)
には、
241
お
前
(
まへ
)
の
両親
(
りやうしん
)
達
(
たち
)
は
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
もないぢやないか。
242
熱
(
ねつ
)
が
一
(
ひと
)
つ
出
(
で
)
たと
云
(
い
)
ふのぢやなし、
243
咳
(
せき
)
を
一
(
ひと
)
つしたと
云
(
い
)
ふのぢやなし、
244
そんな
無体
(
むたい
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふと、
245
此
(
この
)
お
館
(
やかた
)
には
居
(
を
)
つて
貰
(
もら
)
ひませぬぞや』
246
楓
『
大
(
おほ
)
きに
憚
(
はばか
)
りさま。
247
お
前
(
まへ
)
さまのやうな
怖
(
おそ
)
ろしい
人
(
ひと
)
は
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るのもいやだと
云
(
い
)
つて、
248
お
父
(
とう
)
さまやお
母
(
かあ
)
さまは、
249
昨夜
(
さくや
)
の
中
(
うち
)
に
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ、
250
そつとお
参
(
まゐ
)
りになりましたよ。
251
ここは
珍彦
(
うづひこ
)
の
監督権
(
かんとくけん
)
内
(
ない
)
、
252
お
前
(
まへ
)
さまが
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
か
不義理
(
ふぎり
)
の
天上
(
てんじやう
)
か
知
(
し
)
らぬけれど、
253
まア
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
なされ、
254
きつと
立退
(
たちの
)
き
命令
(
めいれい
)
が、
255
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
から
下
(
さが
)
つて
来
(
く
)
るのに
違
(
ちが
)
ひありませぬわ、
256
エヘヘヘヘ、
257
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さまねえ』
258
高姫
『ほんにほんに
年歯
(
としは
)
も
往
(
ゆ
)
かぬ
阿魔
(
あま
)
つちよの
癖
(
くせ
)
に、
259
何
(
なん
)
とした
謀叛
(
むほん
)
を
企
(
たく
)
らむのだらう。
260
毒害
(
どくがい
)
を
致
(
いた
)
したなぞと、
261
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
を
大
(
だい
)
それた
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
迄
(
まで
)
讒言
(
ざんげん
)
しに
往
(
ゆ
)
きよつたのだな。
262
エー、
263
アタ
小面
(
こづら
)
の
憎
(
にく
)
い、
264
今
(
いま
)
に
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
らしてやる
程
(
ほど
)
に、
265
仮令
(
たとへ
)
立退
(
たちの
)
き
命令
(
めいれい
)
が
来
(
き
)
たとて、
266
いつかないつかな
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
の
下
(
くだ
)
らぬ
以上
(
いじやう
)
は
動
(
うご
)
きは
致
(
いた
)
さぬぞや』
267
楓
『オホホホホ、
268
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
269
嘘
(
うそ
)
だよ
嘘
(
うそ
)
だよ、
270
あんまりお
前
(
まへ
)
さまが
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
企
(
たく
)
むから、
271
お
父
(
とう
)
さまとお
母
(
かあ
)
さまがとてもやり
切
(
き
)
れないから、
272
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
注進
(
ちゆうしん
)
に
往
(
ゆ
)
かうかと
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たのだよ。
273
まだ
行
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
ないから、
274
お
社
(
やしろ
)
へでも
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
にいらしたのだらう。
275
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
に
改心
(
かいしん
)
して、
276
お
父
(
とう
)
さまやお
母
(
かあ
)
さまに
毒
(
どく
)
を
呑
(
の
)
ましたお
詫
(
わび
)
をなされば、
277
私
(
わたし
)
が
取
(
と
)
り
持
(
も
)
つて
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
往
(
ゆ
)
きを
留
(
と
)
めて
上
(
あ
)
げませう。
278
天上
(
てんじやう
)
さま、
279
どうですな。
280
この
事
(
こと
)
を
注進
(
ちゆうしん
)
されたら、
281
何程
(
なにほど
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
でもちつとは
困
(
こま
)
るでせう』
282
高姫
『
無実
(
むじつ
)
の
罪
(
つみ
)
を
着
(
き
)
せられて
困
(
こま
)
る
者
(
もの
)
が
何処
(
どこ
)
にあるか。
283
無実
(
むじつ
)
の
咎
(
とが
)
でおめおめと
親子
(
おやこ
)
が
四方
(
しはう
)
に
流
(
なが
)
され、
284
泣
(
な
)
いて
一生
(
いつしやう
)
を
暮
(
くら
)
した
未来
(
みらい
)
の
菅公
(
くわんこう
)
見
(
み
)
たやうな
人間
(
にんげん
)
とは、
285
ヘンちつと
違
(
ちが
)
ひますぞや。
286
誣告
(
ぶこく
)
の
罪
(
つみ
)
で、
287
此方
(
こつち
)
の
方
(
はう
)
から
訴
(
うつた
)
へてやるのだ。
288
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
承知
(
しようち
)
はせないぞや。
289
さあ
早
(
はや
)
く
両親
(
りやうしん
)
をここへ
引
(
ひ
)
きずり
出
(
だ
)
して、
290
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
に、
291
頭
(
かしら
)
を
地
(
ち
)
に
摺
(
す
)
りつけ、
292
尻
(
しり
)
を
花瓶
(
はなたて
)
にしてあやまりなさい。
293
さうしたら
都合
(
つがふ
)
によつたら、
294
虫
(
むし
)
を
押
(
おさ
)
へこらへてやらぬものでもない』
295
楓
『オホホホホ、
296
オイ
馬鹿
(
ばか
)
の
天上
(
てんじやう
)
さま、
297
悪
(
あく
)
の
天上
(
てんじやう
)
さま、
298
どつこい
不義理
(
ふぎり
)
の
天上
(
てんじやう
)
さま、
299
さうは
往
(
ゆ
)
きませぬぞや。
300
お
前
(
まへ
)
さまが
妖幻坊
(
えうげんばう
)
と
相談
(
さうだん
)
をして、
301
印度
(
ツキ
)
の
国
(
くに
)
から
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
た
毒散
(
どくさん
)
をお
酒
(
さけ
)
の
中
(
なか
)
や
御飯
(
ごはん
)
の
中
(
なか
)
にまぜて
喰
(
く
)
はしたのだ。
302
けれど、
303
家
(
うち
)
のお
母
(
かあ
)
さまやお
父
(
とう
)
さまは
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
化身
(
けしん
)
、
304
いやお
使
(
つか
)
ひ、
305
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
さまから、
306
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
神丹
(
しんたん
)
と
云
(
い
)
ふ
霊薬
(
れいやく
)
を
頂
(
いただ
)
いてゐらつしやつたのだから、
307
其
(
その
)
毒散
(
どくさん
)
が
利
(
き
)
かなかつたのよ。
308
サアどうですか。
309
若
(
も
)
し
楓
(
かへで
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
違
(
ちが
)
ふなら、
310
今
(
いま
)
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
様
(
さま
)
を
念
(
ねん
)
じて
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれて
貰
(
もら
)
ふから、
311
さうしたらお
前
(
まへ
)
さまも
往生
(
わうじやう
)
しなくちやなりますまい』
312
高姫
『そんな
事
(
こと
)
は
知
(
し
)
らぬわい。
313
子供
(
こども
)
だてらツベコベ
言
(
い
)
ふものぢやない。
314
苟
(
いやし
)
くも
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
たる
善一条
(
ぜんひとすぢ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
が、
315
夢
(
ゆめ
)
にもそんな
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
すものか。
316
それはお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
僻
(
ひが
)
みから、
317
そんな
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たのだ。
318
そして
許
(
ゆる
)
し
難
(
がた
)
い
事
(
こと
)
は、
319
吾
(
わが
)
夫
(
をつと
)
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
を
捉
(
つか
)
まへて
妖幻坊
(
えうげんばう
)
だと
云
(
い
)
つたらう。
320
サア
何
(
なに
)
を
証拠
(
しようこ
)
にそんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのか、
321
誹謗
(
ひばう
)
の
罪
(
つみ
)
で
訴
(
うつた
)
へますぞや』
322
楓
『ホホホホホ、
323
未丁
(
みてい
)
年者
(
ねんしや
)
や
少女
(
せうぢよ
)
の
言葉
(
ことば
)
は
法律
(
はふりつ
)
にはかかりませぬぞや。
324
真
(
まこと
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さま、
325
毒散
(
どくさん
)
の
効能
(
かうのう
)
も、
326
神力
(
しんりき
)
の
前
(
まへ
)
にはサツパリ
駄目
(
だめ
)
ですなア。
327
サアサア
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
頂戴
(
ちやうだい
)
』
328
高姫
(
たかひめ
)
は
大
(
おほ
)
いに
怒
(
いか
)
り、
329
楓
(
かへで
)
の
胸倉
(
むなぐら
)
をグツと
取
(
と
)
り、
330
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて、
331
高姫
『エエ、
332
ツベコベとよく
囀
(
さへづ
)
る
燕
(
つばくろ
)
め、
333
この
栄螺
(
さざえ
)
の
壺焼
(
つぼやき
)
をお
見舞
(
みま
)
ひ
申
(
まを
)
すぞ』
334
と
云
(
い
)
ひながら、
335
可憐
(
かれん
)
なる
少女
(
せうぢよ
)
の
頭
(
かしら
)
を
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ
続
(
つづ
)
け
打
(
う
)
ちに
打
(
う
)
つた。
336
(楓)
『アレー、
337
人殺
(
ひとごろし
)
ー』
338
と
楓
(
かへで
)
が
叫
(
さけ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
を
耳
(
みみ
)
にし、
339
バラバラと
駆
(
か
)
けつけて
来
(
き
)
たのはイル、
340
イク、
341
サール、
342
ハル、
343
テルの
五
(
ご
)
人
(
にん
)
であつた。
344
(
大正一二・一・二一
旧一一・一二・五
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 据置貯金
(B)
(N)
敵愾心 >>>
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第50巻(丑の巻)
> 第3篇 神意と人情 > 第11章 鸚鵡返
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第11章 鸚鵡返|第50巻|真善美愛|霊界物語|/rm5011】
合言葉「みろく」を入力して下さい→