霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第八章 常世闇(とこよやみ)〔一三〇二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第2篇 兇党擡頭 よみ(新仮名遣い):きょうとうたいとう
章:第8章 常世闇 よみ(新仮名遣い):とこよやみ 通し章番号:1302
口述日:1923(大正12)年01月21日(旧12月5日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
人間は自然愛と地獄愛が生み出す諸々の罪悪の間に生まれ出ているため、その内分は高天原に向かって完全には開けていない。そのため、大神は精霊を経て人間を統制し給う。人間と生まれた者は、惟神の順序の内に復活帰正すべき必要がある。そのためには、間接に聖霊を通さなくては成就が難しいのである。
初稚姫のような神人であれば、大神の直接内流に統制されるので、精霊を経て大神に統制される必要はない。
しかし現代の人間は高天原からその内分を閉ざし高天原から遠く離れてしまったそこで大神は、天人と精霊を各個の人間と共に居らしめ給い、天人すなわち本守護神、精霊すなわち正守護神を経て、統制する方法を取らせ給うことになった。
高姫の体に入った兇霊は、自分こそが本体であり、神界経綸の因縁ある機関と思っている。そして高姫の方が宿を借りに来ている精霊だと思っている。しかし高姫の言動から、もしかすると自分自身が高姫という得体のしれない動物の中に入っているのではないかとも感じだしている。
高姫も兇霊も、自分こそ万民の罪悪を救うために神が遣わした犠牲者であり救世主と信じているから始末が負えない。
動物は、精霊界からの内流によって統制されている。けだし、動物の生涯は宇宙本来の順序中に住するゆえに、理性を持っていない。理性がないゆえに神的順序を破壊することがないのである。
しかしスマートのような鋭敏な霊獣は、初稚姫のような地上天人の内流を受けることができる。スマートは肉体は動物なれども、神より特別に化相の法によって、初稚姫の身辺を守る必要から現れ給うたものだからである。
普通の人間が動物と和合してしまうと、それは畜生道に堕落した場合である。また人間が霊肉離脱の後、地獄界や精霊界にあるとき、現世にある敵に対して危害を加えようとの念が強い時には、動物の精霊に和合してその怨恨を晴らそうとするものである。
霊界のことに暗い智者学者は、動物が人間にうつって人語を用いるなどあり得ないというが、それこそ半可通的言説である。彼らは自分が駆使されている人霊の想念を借り、懸っている人間の記憶や想念に入って肉体と口舌を使用するのである。
動物や植物は惟神的順序にしたがい順応している。おのおのその決まった特性を備え、決まった時期に活動する。人間は理性を有するがゆえに、別の土地に行ったり環境が変わったりすると意志を変じる。
また自由に思想ならびに身体の色まで変じる便宜がある。その代わりまた、悪に移りやすく堕落もしやすい。そのため大神は特に予言者を下し、天的順序に従うことを教え給うのである。
しかしまた、人間には善悪両方面の世界が開かれてあるがゆえに、神の機関たることを得るのである。願わくは人間は神を愛し神を信じ、神に愛せられ、神の生き宮として大神の天地創造の御用に立ちたいものである。
さて、高姫は大杉の梢から落ちてイル、イク、サールなどに介抱され、ようやく居間に運ばれた。梟に目をこつかれて腫れ上がり、しばらく見えなくなっていた。イル、イク、サール、テルは高姫が弱っているときに、普段の高姫への不満を皮肉交じりに述べ立てた。
高姫は、初稚姫が帰ってきたら彼らのことを告げてやると言い返した。一同は観念してどやどやと帰って行った。
イルは高姫の身が心配だったので、ただ一人次の間に身を隠して控えて様子をうかがっていた。すると高姫の居間から唸り声が聞こえてくる。のぞいてみると、いつの間にか座敷にスマートが座っていた。
下駄の音が森の方から聞こえてきた。初稚姫は杢助を探しに行くと高姫に言ったが、この杢助は妖怪であることを知っていたから実際に探してきたわけではない。ただ高姫の気休めのために、しばらく森林を逍遥して帰ってきたのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-07-14 15:54:56 OBC :rm5008
愛善世界社版:104頁 八幡書店版:第9輯 187頁 修補版: 校定版:109頁 普及版:54頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 【宗教編】第四篇 神霊世界 > 第二十章 神人和合と特有性
001 大抵(たいてい)人間(にんげん)は、002高天原(たかあまはら)(むか)つて(その)内分(ないぶん)完全(くわんぜん)(ひら)けてゐない。003それ(ゆゑ)大神(おほかみ)精霊(せいれい)()人間(にんげん)統制(とうせい)(たま)ふのが普通(ふつう)である。004(なん)となれば、005人間(にんげん)自然愛(しぜんあい)地獄愛(ぢごくあい)とより()()(ところ)地獄界(ぢごくかい)諸々(もろもろ)罪悪(ざいあく)(あひだ)(うま)()でて、006惟神(かむながら)(すなは)神的(しんてき)順序(じゆんじよ)背反(はいはん)せる情態(じやうたい)()るが(ゆゑ)である。007されど一旦(いつたん)人間(にんげん)(うま)れた(もの)は、008()うしても惟神(かむながら)順序(じゆんじよ)(うち)復活(ふくくわつ)帰正(きせい)すべき必要(ひつえう)がある。009(しか)して(この)復活(ふくくわつ)帰正(きせい)(みち)は、010間接(かんせつ)精霊(せいれい)(とほ)さなくては到底(たうてい)成就(じやうじゆ)(がた)いものである。011(しか)しながら(この)物語(ものがたり)主人公(しゆじんこう)たる初稚姫(はつわかひめ)(ごと)神人(しんじん)ならば、012最初(さいしよ)より高天原(たかあまはら)神的(しんてき)順序(じゆんじよ)()(ところ)諸々(もろもろ)善徳(ぜんとく)(うち)(うま)()でたるが(ゆゑ)に、013(けつ)して精霊(せいれい)()復活(ふくくわつ)帰正(きせい)するの必要(ひつえう)はない。014神人(しんじん)和合(わがふ)妙境(めうきやう)(たつ)したる場合(ばあひ)人間(にんげん)は、015精霊(せいれい)なるものを()大神(おほかみ)統制(とうせい)(たま)(ところ)とならず、016順序(じゆんじよ)(すなは)惟神(かむながら)摂理(せつり)により、017大神(おほかみ)直接(ちよくせつ)内流(ないりう)統制(とうせい)さるるのである。
018 大神(おほかみ)より(きた)直接(ちよくせつ)内流(ないりう)は、019(かみ)神的(しんてき)人格(じんかく)より(はつ)して人間(にんげん)意性中(いせいちう)()り、020(これ)より(その)智性(ちせい)()り、021()くて(その)(ぜん)()(また)(その)(ぜん)()(しん)()る。022(しん)()るとは(えう)するに(あい)()るといふ(こと)である。023(この)(あい)()(のち)(きよ)(しん)()る。024(ゆゑ)にこの内流(ないりう)(あい)なき(しん)()り、025(また)(ぜん)のなき(しん)()り、026(また)意思(いし)よりせざる(ところ)智性(ちせい)()ることはないものである。027(ゆゑ)初稚姫(はつわかひめ)(ごと)きは清浄(せいじやう)無垢(むく)神的(しんてき)人格者(じんかくしや)とも()ふべき(もの)なれば、028その(おも)(ところ)029()(ところ)030(おこな)(ところ)は、031(いつ)として(かみ)大御心(おほみこころ)合一(がふいつ)せないものはないのである。032()かる神人(しんじん)(しよう)して(しん)生神(いきがみ)()ふのである。
033 天人(てんにん)(およ)精霊(せいれい)何故(なにゆゑ)人間(にんげん)和合(わがふ)する(こと)(かく)(ごと)密接(みつせつ)にして、034人間(にんげん)所属(しよぞく)せる一切(いつさい)のものを、035(かれ)()自身(じしん)(もの)(ごと)(おも)理由(りいう)は、036人間(にんげん)なるものは霊界(れいかい)現界(げんかい)との和合(わがふ)機関(きくわん)にして(すこぶ)密着(みつちやく)(かん)()り、037(ほとん)両者(りやうしや)(ひと)つの(もの)看做(みな)()べきが(ゆゑ)である。038されど現代(げんだい)人間(にんげん)高天原(たかあまはら)より物欲(ぶつよく)(ため)自然(しぜん)(その)内分(ないぶん)(とざ)し、039大神(おほかみ)のまします高天原(たかあまはら)(とほ)(はな)るるに(いた)つたが(ゆゑ)に、040大神(おほかみ)(ここ)(ひと)つの経綸(けいりん)(おこな)はせ(たま)ひ、041天人(てんにん)精霊(せいれい)とをして各個(かくこ)人間(にんげん)(とも)()らしめ(たま)ひ、042天人(てんにん)(すなは)(ほん)守護神(しゆごじん)(およ)精霊(せいれい)(せい)守護神(しゆごじん)()人間(にんげん)統制(とうせい)する方法(はうはふ)()らせ(たま)(こと)となつたのである。
043 高姫(たかひめ)身体(からだ)侵入(しんにふ)したる精霊(せいれい)044(なか)にも(もつと)兇悪(きようあく)なる(かれ)兇霊(きようれい)は、045(つね)高姫(たかひめ)言語(げんご)交換(かうくわん)してゐるものの、046その(じつ)高姫(たかひめ)人間(にんげん)なる(こと)実際(じつさい)(しん)じてゐないのである。047高姫(たかひめ)身体(からだ)(すなは)自分(じぶん)肉体(にくたい)(かた)(しん)じてゐるのである。048(ゆゑ)高姫(たかひめ)精霊(せいれい)(たい)して色々(いろいろ)談判(だんぱん)をすると(いへど)も、049(その)(じつ)精霊(せいれい)意思(いし)では()()には()えないけれども、050高姫(たかひめ)なる精霊(せいれい)があつて、051外部(ぐわいぶ)より自分(じぶん)(むか)つて談話(だんわ)交換(かうくわん)をしてゐる(やう)(おも)つて()るのである。052(また)精霊(せいれい)(はう)(おい)ては、053高姫(たかひめ)肉体(にくたい)(けつ)して(なに)()つて()ない、054()つてゐるのは(ただ)精霊(せいれい)自身(じしん)知識(ちしき)によるものと(おも)ひ、055(したが)つて高姫(たかひめ)()つてゐる(ところ)一切(いつさい)事物(じぶつ)は、056(みな)自分(じぶん)所為(しよゐ)(しん)()るものである。057(しか)しながら高姫(たかひめ)(あま)りに……(わし)肉体(にくたい)にお(まへ)巣喰(すく)つて()るのだ……と、058精霊(せいれい)(むか)つて(しばしば)()ぐるによつて、059(かれ)憑依(ひようい)せる精霊(せいれい)(すなは)兇霊(きようれい)は、060うすうすながら自分(じぶん)以外(いぐわい)高姫(たかひめ)といふ一種(いつしゆ)異様(いやう)動物(どうぶつ)肉体(にくたい)這入(はい)つて()るのではあるまいか……(ぐらゐ)(かん)じだしたのである。061高姫(たかひめ)(また)精霊(せいれい)()(ところ)062()(ところ)を、063自分(じぶん)()(ところ)064()(ところ)思惟(しゐ)し、065(しか)して精霊(せいれい)が、066自分(じぶん)肉体(にくたい)神界(しんかい)経綸(けいりん)因縁(いんねん)のある機関(きくわん)として特別(とくべつ)(つく)られたのだから、067(せい)守護神(しゆごじん)(ふく)守護神(しゆごじん)宿(やど)()りに()()るものと(しん)じて()るのである。068(しか)して面白(おもしろ)(こと)には、069高姫(たかひめ)体内(たいない)()精霊(せいれい)は、070高姫(たかひめ)記憶(きおく)想念(さうねん)(もとゐ)としていろいろと支離(しり)滅裂(めつれつ)予言(よげん)をしたり、071筆先(ふでさき)()いたりしながら、072(その)不合理(ふがふり)にして虚偽(きよぎ)()てる(こと)自覚(じかく)せず、073(すべ)てを(ぜん)(しん)じ、074真理(しんり)(かた)(しん)じてゐるのだから、075自分(じぶん)悪神(あくがみ)だと()つたり、076(あるひ)(あく)(たく)まうなどと()つてゐながらも、077(けつ)して(しん)(あく)ではない、078(じつ)自分(じぶん)(ある)自己(じこ)以外(いぐわい)何物(なにもの)かと揶揄(からか)つて()るやうな()でゐるのだから不思議(ふしぎ)である。079(また)高姫(たかひめ)自身(じしん)も、080(すこ)(ばか)(あく)()(かた)ではあるまいかと(おも)うて()たり、081(ある)(とき)は……イヤイヤ(けつ)して自分(じぶん)(おも)(こと)082(おこな)(ところ)微塵(みぢん)(あく)がない、083(ただ)(わけ)(わか)らぬ人間(にんげん)()から、084神格(しんかく)(みた)されたる吾々(われわれ)言行(げんかう)観察(くわんさつ)するのだから(あく)()えるだらう。085(しん)(かみ)(かなら)自分(じぶん)(かみ)(ため)(みち)(ため)千騎(せんき)一騎(いつき)活動(くわつどう)してゐる(こと)をキツトお()(あそ)ばすだらう。086(かみ)(かな)へるものとして、087神柱(かむばしら)とお使(つか)(あそ)ばしてゐられるのであらう。088(わけ)(わか)らぬ現界(げんかい)人間(にんげん)が、089仮令(たとへ)悪魔(あくま)()はうとも、090そんな(こと)(かま)つてゐられない、091()がなす(わざ)(かみ)のみぞ()(たま)ふ……といふ(やう)冷静(れいせい)態度(たいど)(かま)へ、092如何(いか)なる(まこと)教示(けうじ)も、093真理(しんり)も、094自己(じこ)以外(いぐわい)()くものはない、095(また)(おこな)(まこと)人間(にんげん)もないのだから、096至善(しぜん)至愛(しあい)標本(へうほん)天下(てんか)(しめ)し、097千座(ちくら)置戸(おきど)()うて万民(ばんみん)罪悪(ざいあく)(すく)うてやらねばならぬ。098自分(じぶん)(かみ)(つか)はし(たま)犠牲者(ぎせいしや)099救世主(きうせいしゆ)だと(しん)じて()るのだから始末(しまつ)()へぬのである。100高姫(たかひめ)のみならず、101()(なか)雨後(うご)(たけのこ)(ごと)く、102ムクムクと簇生(ぞくせい)する自称(じしよう)予言者(よげんしや)103自称(じしよう)救世主(きうせいしゆ)なども、104すべては高姫(たかひめ)(るゐ)したものなることは()(まで)もない(こと)である。
105 (また)動物(どうぶつ)は、106精霊界(せいれいかい)よりする(ところ)一般(いつぱん)内流(ないりう)統制(とうせい)する(ところ)となるものである、107(けだ)(かれ)()動物(どうぶつ)生涯(しやうがい)宇宙(うちう)本来(ほんらい)順序中(じゆんじよちう)(ぢゆう)する(もの)なるが(ゆゑ)に、108動物(どうぶつ)はすべて理性(りせい)(いう)せないものである。109理性(りせい)なきが(ゆゑ)神的(しんてき)順序(じゆんじよ)背戻(はいれい)し、110(また)(これ)破壊(はくわい)することをなし()ないのである。111人間(にんげん)動物(どうぶつ)(こと)なる(ところ)此処(ここ)にあるのである。112(しか)しスマートの(ごと)鋭敏(えいびん)なる霊獣(れいじう)(その)精霊(せいれい)(ほとん)人間(にんげん)(ごと)く、113(かつ)本来(ほんらい)純朴(じゆんぼく)なる精神(せいしん)人間(にんげん)同様(どうやう)理性(りせい)をも(いう)するが(ゆゑ)に、114よく神人(しんじん)意思(いし)洞察(どうさつ)し、115忠僕(ちうぼく)(ごと)くに(つか)ふる(こと)()たのである。116動物(どうぶつ)はすべて人間(にんげん)(いう)する精霊(せいれい)内流(ないりう)()けて活動(くわつどう)することがある。117されども普通(ふつう)動物(どうぶつ)(その)霊魂(れいこん)理性(りせい)()くが(ゆゑ)に、118初稚姫(はつわかひめ)(ごと)地上(ちじやう)天人(てんにん)内流(ないりう)()くることは出来得(できえ)ないものである。119(しか)(この)スマートは肉体(にくたい)動物(どうぶつ)なれども、120(かみ)より特別(とくべつ)方法(はうはふ)()つて、121(すなは)化相(けさう)(はふ)によつて、122初稚姫(はつわかひめ)身辺(しんぺん)(まも)るに必要(ひつえう)なるべく(げん)(たま)うたからである。123初稚姫(はつわかひめ)(この)消息(せうそく)をよく感知(かんち)してゐるから、124(けつ)して普通(ふつう)(いぬ)として(ぐう)せないのである。125(ただ)(かみ)化相(けさう)()つて、126(その)神格(しんかく)一部(いちぶ)(あら)はし(たま)ひしものなることを()るが(ゆゑ)に、127姉妹(きやうだい)(ごと)下僕(げぼく)(ごと)く、128(ある)(とき)朋友(ほういう)(ごと)くに和睦(わぼく)親愛(しんあい)()るのである。129普通(ふつう)人間(にんげん)動物(どうぶつ)和合(わがふ)した(とき)は、130(まつた)畜生道(ちくしやうだう)堕落(だらく)した場合(ばあひ)である。131(また)人間(にんげん)霊肉(れいにく)脱離(だつり)(のち)132地獄界(ぢごくかい)(およ)精霊界(せいれいかい)()(とき)133現世(げんせ)()(わが)敵人(てきじん)(たい)し、134危害(きがい)(くは)へむとするの念慮(ねんりよ)(つよ)(とき)は、135動物(どうぶつ)精霊(せいれい)和合(わがふ)して(その)怨恨(えんこん)(はら)さむとするものである。136(ゆゑ)生霊(いきりやう)(また)死霊(しりやう)憑依(ひようい)された人間(にんげん)には、137(かなら)動物(どうぶつ)(れい)相伴(あひともな)うてゐるものである。138(これ)(ある)大病(たいびやう)(くる)しんでゐる人間(にんげん)鎮魂(ちんこん)し、139(また)神言(かみごと)奏上(そうじやう)して(これ)調(しら)べる(とき)140(かなら)人間(にんげん)生霊(いきりやう)(また)死霊(しりやう)姓名(せいめい)名乗(なの)るものである。141(しか)して熟練(じゆくれん)したる審神者(さには)(これ)(きび)しく責立(せめた)つる(とき)は、142(つひ)人霊(じんれい)動物霊(どうぶつれい)和合(わがふ)して(その)人霊(じんれい)先駆者(せんくしや)となつたことを自白(じはく)するものである。143狐狸(こり)(へび)144(がま)145(いぬ)146(ねこ)(その)()動物(どうぶつ)(れい)人間(にんげん)(きた)(とき)は、147人間(にんげん)記憶(きおく)(およ)想念中(さうねんちう)()つて(その)肉体(にくたい)口舌(こうぜつ)使用(しよう)し、148(あるひ)自分(じぶん)駆使(くし)され合一(がふいつ)されてゐる人霊(じんれい)想念(さうねん)をかつて、149人間(にんげん)(ごと)言語(げんご)(はつ)するに(いた)るものである。150霊界(れいかい)消息(せうそく)(くら)学者(がくしや)は、151狐狸(こり)(その)()動物(どうぶつ)人間(にんげん)(うつ)つて、152人語(じんご)(もち)ふるなどはあり()べからざる(こと)である、153(かく)(ごと)(こと)(しん)ずる(もの)太古(たいこ)未開(みかい)野蛮人(やばんじん)である、154(かく)(ごと)人文(じんぶん)発達(はつたつ)したる現代(げんだい)(おい)(なほ)動物(どうぶつ)人間(にんげん)憑依(ひようい)して人語(じんご)(はつ)するなどの不合理(ふがふり)(しん)ずるは(じつ)癲狂(てんきやう)痴呆(ちはう)(きは)みであると嘲笑(てうせう)するは、155現代(げんだい)半可通(はんかつう)(てき)学者(がくしや)言説(げんせつ)である。156(なん)()らむ、157(かれ)()こそ霊界(れいかい)より()(じつ)(あは)れむべき頑愚者(ぐわんぐしや)にして、158(かつ)癲狂者(てんきやうしや)となつてゐるのである。159自分(じぶん)(まなこ)自分(じぶん)()られ(また)自分(じぶん)頭部(とうぶ)頸部(けいぶ)160背部(はいぶ)などが自身(じしん)(おい)()ることを()ない人間(にんげん)が、161()うして霊界(れいかい)幽玄(いうげん)微妙(びめう)なる真理(しんり)真相(しんさう)(わか)るべき道理(だうり)があらう。162(すべか)らく人間(にんげん)(かみ)(まへ)拝跪(はいき)し、163(その)迂愚(うぐ)不明(ふめい)驕慢(けうまん)とを鳴謝(めいしや)すべきものである。
164
165 動物(どうぶつ)(たと)へば(いぬ)166(ねこ)167鹿(しか)168(うし)169(うま)などは、170惟神(かむながら)(すなは)神的(しんてき)順序(じゆんじよ)(したが)つて交尾期(かうびき)なども一定(いつてい)し、171(けつ)して人間(にんげん)(ごと)く、172何時(なんどき)なしに発情(はつじやう)をするなどの自堕落(じだらく)(こと)はないものである。173(また)植物(しよくぶつ)なども霊界(れいかい)自然界(しぜんかい)順序(じゆんじよ)順応(じゆんおう)して、174惟神(かむながら)(てき)(とき)(さだ)めて(はな)(ひら)()(むす)び、175嫩芽(どんが)(しやう)落葉(らくえう)するものであつて、176(じつ)(その)順序(じゆんじよ)(あやま)らない(こと)吾々(われわれ)人間(にんげん)到底(たうてい)足許(あしもと)へもよれない(ほど)177秩序(ちつじよ)整然(せいぜん)たるものである。178(しか)して(いぬ)(いぬ)179(ねこ)(ねこ)180(うま)(うま)(かく)天稟(てんぴん)特性(とくせい)発揮(はつき)し、181よく(その)境遇(きやうぐう)適応(てきおう)せる本性(ほんしやう)発揮(はつき)するものである。182(また)植物(しよくぶつ)などは(かく)(その)特性(とくせい)(そな)へ、183自己(じこ)特有(とくいう)(あま)さ、184(から)さ、185(すい)さ、186(にが)(とう)本能(ほんのう)発揮(はつき)し、187幾万(いくまん)(ねん)(むかし)より(その)(あぢ)()へないのである。188(えう)するに(いも)茄子(なす)(あぢ)(かは)(こと)()ない、189(また)唐辛(たうがらし)蜜柑(みかん)(あぢ)(けつ)してなるものでない。190(また)(おな)(はたけ)植付(うゑつ)けられ、191(おな)地味(ちみ)吸収(きふしう)しながらも、192依然(いぜん)として西瓜(すいくわ)西瓜(すいくわ)(あぢ)193唐辛(たうがらし)唐辛(たうがらし)(あぢ)194(くり)(くり)195(かき)(かき)特有(とくいう)形体(けいたい)(およ)(あぢ)()つて()るものである。196(しか)して、197(この)特有性(とくいうせい)はすべて霊的(れいてき)より(きた)り、198(その)成長(せいちやう)繁茂(はんも)度合(どあひ)自然界(しぜんかい)光熱(くわうねつ)土地(とち)肥痩(ひそう)(とう)()るものである。199(しか)るに人間(にんげん)理性(りせい)なるものを(いう)するが(ゆゑ)少々(せうせう)土地(とち)(かは)つた(とき)(また)気候(きこう)激変(げきへん)したる土地(とち)移住(いぢゆう)する(とき)は、200(たちま)(その)意思(いし)変移(へんい)し、201(じふ)(ねん)外国(ぐわいこく)()つて()(もの)は、202(その)思想(しさう)(まつた)外人(ぐわいじん)同様(どうやう)になつて(しま)ふものである。203これが人間(にんげん)動物(どうぶつ)(また)植物(しよくぶつ)(こと)なる(てん)である。204(かく)(ごと)人間(にんげん)理性(りせい)によつて自由(じいう)思想(しさう)(ならび)身体(しんたい)(いろ)(まで)多少(たせう)(へん)ずる便宜(べんぎ)あると(とも)に、205(また)(あく)(うつ)(やす)堕落(だらく)(やす)きものである。206(ゆゑ)動物(どうぶつ)植物(しよくぶつ)(たい)しては大神(おほかみ)(けつ)して(をしへ)()(たま)面倒(めんだう)もなく、207(きは)めて安心(あんしん)(あそ)ばし(たま)へども、208人間(にんげん)到底(たうてい)動植物(どうしよくぶつ)(ごと)神的(しんてき)順序(じゆんじよ)(まも)らない(あく)(せい)()びてゐるが(ゆゑ)に、209(とく)予言者(よげんしや)(くだ)し、210天的(てんてき)順序(じゆんじよ)(したが)(こと)(をし)(たま)うたのである。211(しか)しながら人間(にんげん)善悪(ぜんあく)両方面(りやうはうめん)世界(せかい)(ひら)かれてあるが(ゆゑ)に、212(また)一方(いつぱう)から()へば(かみ)機関(きくわん)たる(こと)()るのである。213(ねが)はくは吾々(われわれ)人間(にんげん)(かみ)(あい)(かみ)(しん)じ、214(しか)して(かみ)(あい)せられ、215(かみ)生宮(いきみや)として大神(おほかみ)天地(てんち)創造(さうざう)御用(ごよう)()ちたいものである。
216 却説(さて)高姫(たかひめ)玉茸(たまたけ)()らむとしてソツと大杉(おほすぎ)(えだ)(のぼ)り、217(ふくろ)にクワンクワンと(するど)(くちばし)にて両眼(りやうがん)をコツかれ、218アツと(さけ)んで地上(ちじやう)盲猿(めくらざる)(ごと)顛落(てんらく)し、219腰骨(こしぼね)()つて()(がた)苦痛(くつう)呻吟(しんぎん)しながら、220イル、221イク、222サールなどに介抱(かいほう)され、223(やうや)くにして(その)居間(ゐま)(はこ)ばれた。224されど高姫(たかひめ)元来(ぐわんらい)(がう)(もの)なれば少々(せうせう)腰骨(こしぼね)(ゆが)んだ(くらゐ)()にする(やう)(をんな)ではなかつた。225そして容易(ようい)(いた)いとか(くる)しいとか()(やう)(こと)は、226(その)性質(せいしつ)(じやう)絶対(ぜつたい)口外(こうぐわい)せない。227(しか)しながら両眼(りやうがん)をこつかれ、228眼瞼(がんけん)(たちま)充血(じうけつ)して()(ふさ)がり、229光明(くわうみやう)()(こと)()ざるに(いた)りしには、230流石(さすが)高姫(たかひめ)余程(よほど)迷惑(めいわく)をしたのである。
231 イルは、
232イル『サア、233高姫(たかひめ)さま、234此処(ここ)貴女(あなた)のお居間(ゐま)ですよ。235マアゆつくり本復(ほんぷく)するまでお(やす)みなさいませ。236イル、237イク、238サール、239ハル、240テルのやうな屈強(くつきやう)(をとこ)()りますから、241どこ(まで)もお世話(せわ)(いた)します、242どうぞ安心(あんしん)して使(つか)つて(くだ)さいや』
243高姫『お(まへ)はイルかな、244イヤ()親切(しんせつ)有難(ありがた)う。245モウ()うなつては()腫上(はれあが)つて、246一寸(ちよつと)()えないのだから、247(まへ)(たち)のお世話(せわ)になるより仕方(しかた)がない。248やがて(この)(はれ)()いたら()()えるだらうから、249どうぞすまないが二三(にさん)(にち)介抱(かいはう)して(くだ)さい。250あああ(なん)とした不仕合(ふしあは)せな(こと)だらうなア。251(をり)(をり)とて杢助(もくすけ)さまは(つまづ)いて(たふ)れ、252眉間(みけん)(やぶ)つて(くる)しむで(ござ)るなり、253(その)(いた)みを(なほ)したさに、254玉茸(たまたけ)()りに(あが)つて、255(また)もや(わし)大杉(おほすぎ)()んで()つた天狗(てんぐ)(やつ)両眼(りやうがん)をコツかれ、256()からおちた(さる)のやうなみじめな()()ふとは……ああ(かみ)(さま)()うして(ござ)つたのだらうかな、257義理(ぎり)天上(てんじやう)さまも(あんま)りだ……』
258慨然(がいぜん)として悲痛(ひつう)(なみだ)をこぼしてゐる。
259サール『高姫(たかひめ)さま、260本当(ほんたう)不思議(ふしぎ)(こと)ですな。261玉国別(たまくにわけ)さまも(この)河鹿(かじか)(たうげ)(さる)(やつ)両眼(りやうがん)(やぶ)られて、262(なが)らく()難儀(なんぎ)(あそ)ばしましたが、263到頭(たうとう)()神徳(しんとく)(いただ)いて全快(ぜんくわい)(あそ)ばし、264機嫌(きげん)よく宣伝(せんでん)(たび)()られた(あと)貴女(あなた)がお()でになり、265(また)もや天狗(てんぐ)()をこつかれて(おな)眼病(がんびやう)(なや)むとは、266(なん)といふ不思議(ふしぎ)(こと)(ござ)いませう。267(なに)(かみ)(さま)にお気障(きざはり)でもあるのぢや(ござ)いますまいかな』
268高姫『ああさうだなア。269玉国別(たまくにわけ)さまと()ひ、270高姫(たかひめ)()ひ、271(あたま)にタの()のつく(もの)()()(たた)られるとみえる。272これから(かみ)(さま)にお(わび)(まを)して、273(いち)(にち)(はや)(この)()(なほ)して(いただ)かぬ(こと)には、274かう()(なか)真暗闇(まつくらやみ)では仕方(しかた)がない。275(いち)()(はや)(あま)岩戸(いはと)(びら)きをして、276(もと)(ごと)(あか)るい光明(くわうみやう)世界(せかい)()(なほ)したいものだなア、277ああ惟神(かむながら)(たま)()はへませ』
278 イクは、
279イク高姫(たかひめ)さま、280あなた(いま)281(くら)世界(せかい)()ひましたね、282ソラ貴女(あなた)()(ふさ)がつてるからですよ。283日天(にちてん)(さま)嚇々(くわくくわく)として(かがや)いてゐらつしやるのですから、284(けつ)して()心配(しんぱい)にや(およ)びませぬ。285のうハルよ、286さうぢやないか』
287高姫『ホホホホ、288(まへ)(わか)らぬ(をとこ)だなア。289(この)()(なか)(くら)がりだと()つたのは人間(にんげん)(こころ)真暗(まつくら)がりだと()つたのだよ。290(けつ)して肉体(にくたい)()世界(せかい)(くら)くなつたと()ふのぢやない』
291イク『それでも、292(なん)ですよ、293肉体(にくたい)()世界(せかい)でも、294時々(ときどき)真暗(まつくら)になりますからなア』
295高姫『きまつた(こと)だよ。296(よる)になれば真暗(まつくら)になるのは当前(あたりまへ)だ、297(まへ)(わり)とは馬鹿(ばか)だなア』
298イク(なん)とマア()()えぬ(ざま)をして()つて、299剛情(がうじやう)()アさまだな。300まだ悪口(あくこう)をついてゐる。301コレ高姫(たかひめ)さま、302(わたし)(よる)もある(かは)り、303(また)(あたら)しい日天(につてん)(さま)毎日(まいにち)(をが)んで光明(くわうみやう)世界(せかい)もありますよ。304(まへ)さまはモウ()うなつちや、305常夜(とこよ)()(やみ)世界(せかい)彷徨(さまよ)うてゐるやうなものだ。306(よる)ばかりだなア』
307 サールはしたり(がほ)に、
308サール『ソラさうだとも、309ヨルの受付(うけつけ)邪魔物(じやまもの)(あつか)ひにして(ござ)つたのぢやもの、310(その)(むく)いが(たちま)到来(たうらい)して、311自分(じぶん)が、312ヨルの世界(せかい)へお這入(はい)りなさつたのだ。313どうも自業(じごう)自得(じとく)だから仕方(しかた)がないワ。314何程(なにほど)()(どく)でも、315吾々(われわれ)如何(いかん)ともする(わけ)には()かないワ』
316 テルは、
317テル高姫(たかひめ)さま、318貴女(あなた)日出(ひのでの)(かみ)義理(ぎり)天上(てんじやう)さまが()守護(しゆご)して(ござ)るのだから、319(よる)でも(けつ)して(くら)いこたアありますまい。320(なん)()つても義理(ぎり)天上(てんじやう)日出(ひのでの)(かみ)(さま)生宮(いきみや)だ、321つまりいへば日出(ひのでの)(かみ)()自身(じしん)だから、322()えるでせうなア。323今日(けふ)殊更(ことさら)に、324トコギリ325天上(てんじやう)日出(ひのでの)(かみ)さまは()機嫌(きげん)よく嚇々(くわくくわく)光明(くわうみやう)(かがや)かしてゐられますからなア』
326高姫『ソラさうだとも、327(にく)()何程(なにほど)(ふさ)がつて()つたとて、328日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)だもの……なん……にもかもよく()えすいてゐるのだ。329本当(ほんたう)(かみ)(さま)()神力(しんりき)といふものは(えら)いものだらう』
330 テルは、
331テル高姫(たかひめ)さま、332そんなら吾々(われわれ)心配(しんぱい)する必要(ひつえう)はありませぬな。333(わたし)(また)()()えないと(おも)つて、334(なに)くれとお世話(せわ)をして()げねばなるまいと(おも)うてゐたが、335()()えるとあらば殊更(ことさら)()をつけて、336世話(せわ)をして()げる心要(ひつえう)(ござ)いますまい。337おい、338イク、339イル、340ハル、341サール、342(まへ)(たち)安心(あんしん)せい。343流石(さすが)高姫(たかひめ)さまだ、344()をふさいで()つても、345よく()えるといのう、346イツヒヒヒヒヒ』
347(ちひ)さく(わら)ひ、348(あご)をしやくり、349(かた)をゆすつて()せる。350()(にん)一度(いちど)にふき()し、
351(イク、イル、ハル、サール)『プツプツプツク ワツハハハハハ』
352高姫『これ、353(まへ)(たち)(わし)がこれ(ほど)負傷(ふしやう)をして(こま)つてゐるのに、354それ(ほど)面白(おもしろ)いのかなア。355不人情(ふにんじやう)(もの)()が。356()つてゐなさい、357(いま)初稚姫(はつわかひめ)(かへ)つて()たら、358()げて()げるから……』
359テル『オイ、360形勢(けいせい)不穏(ふおん)になつて()たぞ。361地震(ぢしん)(かみなり)()(あめ)勃発(ぼつぱつ)せない(うち)退却(たいきやく)々々(たいきやく)362全体(ぜんたい)(すす)め、363(いち)()(さん)
364()ひながら、365ドヤドヤと長廊下(ながらうか)(つた)ひ、366受付(うけつけ)方面(はうめん)()して(はし)()く。
367 イルは(ただ)一人(ひとり)(つぎ)()()をかくし、368高姫(たかひめ)容子(ようす)(かんが)へて()た。369これは(けつ)して悪意(あくい)ではない。370もしも高姫(たかひめ)一人(ひとり)(こま)つた(とき)には(たす)けてやらうといふ親切(しんせつ)(かんが)へからであつた。371(たちま)ちウーといふ(うな)(ごゑ)(きこ)えて()た。372イルは何物(なにもの)ならむとソツと(ふすま)()けて高姫(たかひめ)居間(ゐま)(のぞ)()んだ。373どこから()たか()()つてある座敷(ざしき)へ、374スマートがヌツと(あら)はれ、375高姫(たかひめ)(まへ)三尺(さんじやく)(ばか)(へだ)てて、376チヨコナンと(すわ)つてゐる。377カラコロと下駄(げた)足音(あしおと)(ちか)づいて()る。378これは()(まで)もなく初稚姫(はつわかひめ)森林内(しんりんない)(しばら)逍遥(せうえう)して(かへ)つて()たのである。379初稚姫(はつわかひめ)(もと)より杢助(もくすけ)妖幻坊(えうげんばう)なることを()つてゐたから、380高姫(たかひめ)依頼(いらい)によつて、381正直(しやうぢき)杢助(もくすけ)(さが)しに()くやうな馬鹿(ばか)ではない。382されど高姫(たかひめ)気休(きやす)めの(ため)(しばら)くの(あひだ)383森林内(しんりんない)逍遥(せうえう)して(かへ)つて()たのである。
384大正一二・一・二一 旧一一・一二・五 松村真澄録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
逆リンク(このページにリンクが張られているページ)
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→