霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 真理方便(しんりはうべん)〔一三〇三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第2篇 兇党擡頭 よみ:きょうとうたいとう
章:第9章 真理方便 よみ:しんりほうべん 通し章番号:1303
口述日:1923(大正12)年01月21日(旧12月5日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫は病床から、戻ってきた初稚姫を呼んだ。高姫の顔は怪物のように恐ろしく腫れ上がっていた。初稚姫は同情の声をかけた。
高姫は杢助の様子を尋ねた。初稚姫は、杢助と会えなかったと言えば高姫が心配を募らせると考えて、杢助は顔はひどく腫れ上がって苦しんでいたが、自分が尋ねて行くと嬉しそうに返事を返してくれたと答えた。
高姫は、誰か杢助を担いでくる人手を珍彦に手配してほしいと初稚姫に頼んだ。すると次の間に控えていたイルがふすまを開いて返事をし、初稚姫に声をかけた。高姫はイルに下心があるのだろうと予防線を張る。初稚姫はイルに珍彦への使いを頼んだ。
高姫は、自分の心配をしてくれる初稚姫に対して、杢助を世話する時とどっちが愛情が深いか、と意地悪な質問をした。初稚姫は思った通りに実父の杢助に対する方が愛情が深いように思うと答えた。すると高姫はそれを根に持って、初稚姫にきつく当たりだした。
初稚姫は真心から高姫の境遇を憐み、なんとかして霊肉共に助けてあげたいと思うほかの心はなかった。しかし根性のひがみきった高姫は、初稚姫の親切を汲み取ることはできなかった。
初稚姫も、そのとき相応の方便を使うことはあるが、宣伝使たるもの心にもない飾り言葉を使うべきでないと考えたので、正直に、実父と義理の母に対しては愛の程度に違いがあることを高姫に言って聞かせたのであった。
初稚姫は、教義を説くときには厳然として一歩も仮借しないのである。すべて真理というものは盤石のごとく鉄棒のごとく、屈曲自在することができないものだからである。もし宣伝使にして真理までも曲げて方便を乱用するなら、たちまち霊界および現界の秩序は乱れ、神の神格を破壊してしまうことを、初稚姫は恐れていたからである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5009
愛善世界社版:119頁 八幡書店版:第9輯 193頁 修補版: 校定版:125頁 普及版:62頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)初稚姫(はつわかひめ)(かへ)()足音(あしおと)()()け、002()(どほ)しげに、
003初稚(はつわか)さま……ではないかな』
004 初稚姫(はつわかひめ)は、
005『ハイ』
006(こた)へ、007スツと障子(しやうじ)をあけ、008()れば高姫(たかひめ)顔面(がんめん)全部(ぜんぶ)009干瓢(かんぴやう)(やう)にふくれ(あが)り、010どこが()だか(はな)だか判別(はんべつ)(がた)(まで)相好(さうがう)(へん)じ、011(まる)つきり妖怪(えうくわい)(ごと)くであつた。012(しか)して()れた()(ひたひ)(はう)転宅(てんたく)し、013(はな)無遠慮(ぶゑんりよ)霊衣(れいい)(そと)突出(とつしゆつ)し、014(あだか)(くも)(おび)にした山容(さんよう)(ただ)しからざる高山(たかやま)のやうに()えてゐる。015(くちびる)夜着(よぎ)(すそ)のやうに(あつ)くふくれ(あが)り、016(なか)爛熟(らんじゆく)した熟柿(じゆくし)(やう)(うす)つぺらい皮膚(ひふ)(いや)らしう、017(あか)(かつ)(むらさき)()びて(かす)かに(ひか)つてゐる。018初稚姫(はつわかひめ)はハツと(おどろ)き、019早速(さつそく)言葉(ことば)()なかつた。020(しか)して(こころ)(おも)(やう)……ああ(なん)とした(おそ)ろしい(かほ)だらう、021(まる)地獄(ぢごく)()んでゐる怪物(くわいぶつ)(やう)だ。022高姫(たかひめ)さまの内的生涯(ないてきしやうがい)発露(はつろ)かも(わか)らない。023否々(いないな)これが事実(じじつ)だ、024ホンに不愍(ふびん)なものだなア。025(なん)とかして(はや)(たす)けて()げねばならないが、026(なん)()つても罪業(ざいごふ)(ふか)(かた)だから……と(こころ)(ささや)きながら、027キチンと足駄(あしだ)(あが)(ぐち)(むか)ふむけに(そろ)へて、028ハンケチにてポンポンと(ちり)うち(はら)ひ、029(しづか)高姫(たかひめ)(そば)()()ひながら、030さも同情(どうじやう)ある(こゑ)にて、
031『お(かあ)さま、032大変(たいへん)なお怪我(けが)をなさいましたね。033(わたし)(ちから)一杯(いつぱい)介抱(かいほう)をさして(いただ)きますから、034何卒(どうぞ)御安心(ごあんしん)して(くだ)さいませ』
035()ひつつ、036何時(いつ)()()たのかと(いぶ)かりながら、037スマートの(あたま)()でてゐる。038スマートは(うれ)しげに、039()打振(うちふ)り、040座敷(ざしき)をキリキリと(まは)(はじ)めた。
041 高姫(たかひめ)(ゆが)んだ(くち)(よこ)(はう)から、042(なか)破損(はそん)した(ふいご)のやうな鼻声(はなごゑ)(まじ)りの(こゑ)で、
043『ハイ御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)(ござ)います。044そして杢助(もくすけ)さまはまだ(かへ)つて(ござ)らぬかな。045御病気(ごびやうき)具合(ぐあひ)はチツと(よろ)しいかな。046(をり)(をり)とて二人(ふたり)(おや)が、047一時(いちじ)(この)(とほ)大怪我(おほけが)をしたのだから、048(まへ)もさぞ心配(しんぱい)だらう。049(えら)いお(ほね)()らします』
050 初稚姫(はつわかひめ)は、051杢助(もくすけ)()なかつたと()へば、052高姫(たかひめ)大変(たいへん)失望(しつばう)落胆(らくたん)するだらう、053()()えないのを(さいは)ひ、054ここは(なん)とか気休(きやす)めを()つておかねばなるまいと決心(けつしん)し、
055『ハイ、056(とう)さまは谷川(たにがは)(そば)(やす)んでゐられましたが、057(わたし)がそこへ(まゐ)りまして……お(とう)さまお(とう)さま……と(こゑ)をかけようとすれば、058ムツクと起上(おきあが)り、059さも愉快相(ゆくわいさう)(かほ)をして、060……ああお(まへ)初稚姫(はつわかひめ)か、061ようマア()てくれた。062わしは(おも)はぬ怪我(けが)をして、063こんな不細工(ぶさいく)(かほ)をお(まへ)()らるるのは、064(おや)として本当(ほんたう)(はづ)かしい。065(かほ)(ふくべ)のやうにふくれ(あが)り、066()(はな)(くち)位置(ゐち)も、067(にはか)地異転変(ちいてんぺん)(うま)れてから()つた(こと)もない地方(ちはう)転宅(てんたく)し、068(くち)(はな)(ほとん)(ふさ)がつてかやうな鼻声(はなごゑ)より()はせぬが、069(しか)しながらようマア()(くだ)さつた……と(おや)()()(あは)して(をが)むのですよ』
070『ああさうだつたかな、071それは(なに)よりも結構(けつこう)なことだ。072杢助(もくすけ)さまも(あま)()(つよ)いので、073()せしめの(ため)神界(しんかい)から怪我(けが)をさせなさつたのだろ。074これでチツとは(やさ)しうお()りなさるだらうから、075夫婦(ふうふ)病気(びやうき)全快(ぜんくわい)(うへ)層一層(そういつそう)御神業(ごしんげふ)に、076家内和合(かないわがふ)して(つく)すことが出来(でき)るでせう、077ああ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
078『お(かあ)さま、079塩梅(あんばい)はどうで(ござ)いますか、080御気分(ごきぶん)(さは)るでせうな』
081『ナアニこれしきの怪我(けが)気分(きぶん)(わる)いの、082()うのと()ふやうなことではないが、083チツと(ばか)()()えにくいので、084不便(ふべん)(かん)ずること一通(ひととほ)りで(ござ)いませぬ。085(しか)しながら神様(かみさま)のお(かげ)でホンノリとそこらが()えるやうだ。086(この)塩梅(あんばい)なれば、087やがて全快(ぜんくわい)するでせう』
088『どうぞ、089(なん)でも(はや)(なほ)つて(いただ)きたいもので(ござ)いますな、090(なん)といふ(わたし)(かた)(わる)いものでせう。091(とう)さまといひ、092折角(せつかく)仁慈(じんじ)(ふか)きお(かあ)さまが出来(でき)て、093ヤレ(うれ)しやと(よろこ)()もなく、094かやうなキツイお怪我(けが)(あそ)ばし、095これが()うして(しの)ばれませうか。096()()もあられぬ(おも)ひが(いた)します』
097『どうもお(まへ)さまの御親切(ごしんせつ)098仮令(たとへ)()んでも(わす)れませぬぞや。099(しか)しながら(わたし)はかうして結構(けつこう)(たたみ)(うへ)(すわ)り、100(あたた)かい火鉢(ひばち)(まへ)()をあぶりもつて養生(やうじやう)をさして(いただ)いてゐるが、101杢助(もくすけ)さまは(くさ)(うへ)(よこ)たはつて(ござ)るのだから、102()うしても(わたし)(こころ)(をさ)まりませぬ。103何卒(どうぞ)初稚(はつわか)さま、104珍彦(うづひこ)さまに()ひつけて杢助(もくすけ)さまをここへ(かつ)いで()(くだ)さいな』
105左様(さやう)(ござ)いますな。106(わたし)何程(なにほど)(すす)(いた)しましても、107中々(なかなか)容易(ようい)(かへ)らうとは(いた)しませぬ。108ヤツパリ、109スマートが(こは)いとみえます』
110杢助(もくすけ)さまは(けつ)して(いぬ)(こは)いのではない、111(いぬ)がお(きら)ひなのだよ』
112(こは)いものは、113つひ(きら)ひになるものですからなア、114(しか)しお(かあ)さまの(おほ)せに(したが)ひ、115これから珍彦(うづひこ)さまに(たの)んで()ませう』
116『ああ何卒(どうぞ)さうして(くだ)さい。117夫婦(ふうふ)(まくら)(なら)べて養生(やうじやう)をさして(いただ)けば、118こんな結構(けつこう)(こと)はありませぬわ』
119『それなら、120頑固(ぐわんこ)(ちち)(ござ)いますけれど、121(むすめ)(わたし)()つても()きませぬから、122珍彦(うづひこ)さまに御願(おねがひ)(まを)して、123此処(ここ)(かへ)つて()るやうにして(もら)ひませう。124さうすれば(わたし)御両親(ごりやうしん)真中(まんなか)にすわつて、125御介抱(ごかいはう)申上(まをしあ)げますわねえ。126夜分(やぶん)()(とき)は、127二人(ふたり)さまの(なか)(はさ)まつて(かは)()()()ませうね。128(しか)しお(かあ)アさま、129(わたし)此処(ここ)()()きますとお一人(ひとり)になりますが、130どう(いた)しませうか』
131『さうだなア、132(たれ)()んで(もら)ひたいものだ』
133『ヘー、134(なん)御用(ごよう)(ござ)いますか』
135とイルは初稚姫(はつわかひめ)(かほ)がみたさに、136()びもせぬ(さき)に、137(あわ)てて(ふすま)をスツと(ひら)き、138(つぎ)()からニユツと(くび)をつき()した。
139『アレまア、140イルさま、141(わたし)142(あま)突然(とつぜん)なので、143ビツクリしたのよ』
144『ハイ、145(べつ)にビツクリ(あそ)ばすには(およ)ばぬぢや(ござ)いませぬか。146目元(めもと)(すず)しく鼻筋(はなすぢ)(とほ)り、147口元(くちもと)(しま)つた軍人上(ぐんじんあが)りの(この)イルですもの。148高姫(たかひめ)さまのやうな、149そんなボテ南瓜(かぼちや)みたやうな、150化物(ばけもの)じみたお(かほ)御覧(ごらん)になるよりも、151イルの(かほ)御覧(ごらん)になつた(はう)余程(よほど)御愉快(ごゆくわい)でせう、152エヘヘヘヘヘ』
153陀羅尼助(だらにすけ)()めた(あと)三盆白(さんぼんしろ)をなめると、154いいかげんに調和(てうわ)()れるものですからね』
155『コレ、156(まへ)はイルぢやないか。157わしの(かほ)化物(ばけもの)()うたな、158そして大事(だいじ)大事(だいじ)(むすめ)に、159(この)(おや)(ゆる)しも()けずに、160(わか)(もの)言葉(ことば)をかはすといふ(こと)があるものかいなア。161未来(みらい)聖人(せいじん)()はしやつただろ……男女(だんぢよ)七歳(しちさい)にして(せき)(おな)じうせず……とかや、162(しか)るに(なん)ぞや、163()びもせないのに、164ヌツケリと(わか)(もの)居間(ゐま)へやつて()るとは、165(なに)(これ)には(わけ)がなくてはならぬ。166(まへ)大方(おほかた)初稚(はつわか)にスヰートハートしてゐるのだろ。167杢助(もくすけ)さまや(わたし)病気(びやうき)だと(おも)つて、168(むすめ)無体(むたい)(こと)でも()はうものなら、169承知(しようち)しませぬぞや』
170『メツソーな、171(たれ)左様(さやう)(こと)(かんが)へて()りますものか。172そんな下劣(げれつ)人格者(じんかくしや)だと(おも)つて(もら)ひましては、173エヘヘヘヘ(いささ)(この)イルも迷惑千万(めいわくせんばん)(ござ)いますよ。174(じつ)(ところ)は、175イク、176サール、177ハル、178テルの(やつ)179(あま)剛情(がうじやう)()アさまだから(かま)うてやるな、180()つとけ()つとけと()つて、181廊下(らうか)(はし)つて(おもて)()つて(しま)ひました。182それにも(かかは)らず、183拙者(せつしや)貴女(あなた)のお()不自由(ふじゆう)なと(ぞん)(つぎ)()(ひか)へて、184御用(ごよう)があらば早速(さつそく)()()ふやうと、185此処(ここ)行儀(ぎやうぎ)よく(ひか)へて()つたのです。186()()えぬのでお(うたが)ひも無理(むり)とは(まを)しませぬが、187さう(やす)人間(にんげん)()られちや、188イルの男前(をとこまへ)(さが)りますからなア』
189『どないでも理屈(りくつ)はつくものだ。190(くち)といふものは調法(てうはふ)なものだから、191(さぎ)(からす)と、192(からす)(さぎ)()ひくるめるのは現代人(げんだいじん)特色(とくしよく)だ。193(まへ)さまのいふ(こと)(あなが)否定(ひてい)するのではないけれど、194マア十分(じふぶん)(いち)(くらゐ)(みと)めておきませうかな』
195(みと)めると仰有(おつしや)つても、196そんな()(わか)りますかな』
197『イルさま、198(かあ)アさまは御病気(ごびやうき)なのだから、199何卒(どうぞ)揶揄(からか)つて、200()()ませないやうにして(くだ)さいねえ』
201『ハイ、202承知(しようち)(いた)しました。203(ほか)ならぬ貴女(あなた)のお言葉(ことば)でございますから、204(いち)()もなく服従(ふくじゆう)(いた)します。205(しか)しながら初稚姫(はつわかひめ)(さま)206貴女(あなた)本当(ほんたう)(この)高姫(たかひめ)さまを、207(かあ)アさまと(おも)つて(ござ)るのですか』
208『さうですとも、209(ちち)世話(せわ)をして(くだ)さる高姫(たかひめ)さまだもの、210(かあ)アさまに間違(まちが)ひありませぬワ』
211『ヘーエツ、212(なん)とマア()のよいお(かた)ですな。213ヤツパリ、214姿(すがた)のいい(ひと)(こころ)まで(うつく)しいかな。215ヤもう(じつ)感心(かんしん)(いた)しました。216(わたくし)もこれから貴女(あなた)真心(まごころ)(なら)ひまして、217どつかで(おや)(さが)して、218孝行(かうかう)してみたいものでございます。219そして天下一(てんかいち)孝行者(かうかうもの)()()げたいものでございます』
220貴方(あなた)孝行(かうかう)世間(せけん)()られたいと(おも)ひますか、221それでは(まこと)(かう)ぢやありますまい。222自己(じこ)広告(くわうこく)するための手段(しゆだん)でせう。223(えう)するに自己愛(じこあい)で、224偽善者(きぜんしや)(この)んで(おこな)ふべき手段(しゆだん)(ござ)いますよ。225(まこと)孝行(かうかう)(けつ)して(ひと)()らるる(こと)(のぞ)むものぢやありませぬ。226本当(ほんたう)(こころ)(そこ)からこもつた情愛(じやうあい)でなければ、227到底(たうてい)(おこな)へるものぢや(ござ)いませぬ』
228成程(なるほど)229イヤもうズンと合点(がつてん)(まゐ)りました。230(しか)初稚姫(はつわかひめ)(さま)231貴女(あなた)杢助様(もくすけさま)(たい)する場合(ばあひ)と、232高姫(たかひめ)(さま)(たい)する場合(ばあひ)とは、233(あい)情動(じやうどう)(おい)幾分(いくぶん)かの相違(さうゐ)があるでせうなア』
234『さうで(ござ)います。235何程(なにほど)高姫(たかひめ)(さま)本当(ほんたう)のお(かあ)(さま)だと(おも)つても、236ヤツパリ肉身(にくしん)(ちち)(たい)する(とき)(はう)が、237(なん)とはなしに愛情(あいじやう)(ふか)(やう)心持(こころもち)(いた)します』
238成程(なるほど)239貴女(あなた)正直(しやうぢき)なお(かた)だ。240世間(せけん)(やつ)自分(じぶん)(おや)より義理(ぎり)(おや)大切(たいせつ)だと、241(こころ)にもない(いつは)りをいひ、242(また)世間(せけん)継母(ままはは)は、243義理(ぎり)()だから(わが)()よりも大切(たいせつ)にしなくてはならぬ、244(なん)だか()らぬが(この)()自分(じぶん)()んだ()よりも可愛(かあい)仕方(しかた)がないなどと、245人前(ひとまへ)()ひながら、246(かげ)へまはつて、247(つね)つたり(たた)いたり虐待(ぎやくたい)するものですが、248貴女(あなた)(じつ)天真爛漫(てんしんらんまん)虚偽(きよぎ)もなく一点(いつてん)陰影(いんえい)もなき水晶玉(すゐしやうだま)大聖人(だいせいじん)(ござ)います。249(わたくし)今日(こんにち)まで随分(ずいぶん)沢山(たくさん)(ひと)につき()つて()ましたが、250貴女(あなた)のやうな(かた)は、251(いま)一度(いちど)()つたことは(ござ)いませぬ。252本当(ほんたう)神様(かみさま)(ござ)いますなア』
253(しき)りに感歎(かんたん)(こゑ)()らしてゐる。
254『イルさま、255(かあ)さまが大変(たいへん)()きになつてゐるのだから、256御心(おこころ)(やす)まるやうに、257(はや)くお(とう)さまを()んで()(くだ)さいませ。258珍彦(うづひこ)さまにお(たの)(まを)せば、259キツと(その)(やう)取計(とりはか)らつて(くだ)さるでせう』
260 イルは、
261『ハイ、262承知(しようち)(いた)しました』
263(おもて)()()した。
264『コレ初稚(はつわか)さまや、265(なん)だかガサガサと(さわ)がしい(おと)がするぢやありませぬか、266(たれ)(また)貴女(あなた)美貌(びばう)(こころ)をとろかし、267悪性男(あくしやうをとこ)がガサガサと、268昼這(ひるばひ)にでも()てゐるのぢやあるまいかな。269(えら)不思議(ふしぎ)(おと)(いた)しますぞや』
270(べつ)(なに)()りませぬが、271大方(おほかた)(かあ)さまのお(つむ)(いた)むので、272さうお(かん)(あそ)ばすのでせう』
273『ああさう()けばさうかも()れませぬ。274何分(なにぶん)(あたま)金槌(かなづち)でこつかれる(ほど)(いた)(かん)ずるのだからなア』
275『お(かあ)さま、276(すこ)按摩(あんま)をさして(いただ)きませうか』
277『イヤどうぞお(かま)(くだ)さいますな。278(なん)()つても、279血肉(ちにく)()けた(おや)(はう)が、280愛情(あいじやう)程度(ていど)(ちが)ふさうですからなア』
281意地悪(いぢわる)いことを姑流(しうとめりう)にほざき()した。
282(あま)正直(しやうぢき)(こと)(まを)しまして、283()()ませましたねえ。284(しか)(この)初稚(はつわか)は、285(けつ)して薄情(はくじやう)(をんな)(ござ)いませぬから、286さう仰有(おつしや)らずに按摩(あんま)をさして(くだ)さいませな』
287 高姫(たかひめ)一寸(ちよつと)すねたやうな口吻(こうふん)で、288(からだ)自由(じいう)()かぬ(くせ)に、289ろく(した)もまはらない(くち)から、
290『ハイ、291有難(ありがた)う、292(いづ)(また)(たの)(まを)します。293まだお(まへ)さまに()でて(もら)(ところ)まで耄碌(まうろく)はしてゐないのだから、294御縁(ごえん)があつたら(たの)みますワ。295イ、296ヒ、297ヒ、298ヒ』
299『お()アさま、300どうぞ立腹(りつぷく)して(くだ)さいますなや。301何分(なにぶん)(とし)()かないものですから、302()にさはる(こと)(まを)しまして……どうぞ神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)(くだ)さいませ』
303『かくしても(かく)されぬのは(こころ)(いろ)304言霊(ことたま)にチヤンと(あら)はれて()りますぞや。305ああああ、306ヤツパリ自分(じぶん)(はら)(いた)めた()でなうては()(じゆつ)()うて、307世話(せわ)になる(わけ)には()かないワ、308虚偽(きよぎ)阿諛諂侫(あゆてんねい)流行(りうかう)する()(なか)だから、309何程(なにほど)キレイなシヤツ(つら)をして()つても、310(こころ)豺狼(さいらう)(ひと)しき人物(じんぶつ)ばかりだ』
311(めう)()てこすり、312焼糞(やけくそ)になり、313悪垂口(あくたれぐち)(たた)(はじ)めた。314初稚姫(はつわかひめ)真心(まごころ)より高姫(たかひめ)境遇(きやうぐう)(あは)れみ、315(なん)とかして霊肉(れいにく)(とも)完全(くわんぜん)(たす)けてやりたいものと(おも)ふより(ほか)(なに)もなかつたのである。316そして病気中(びやうきちう)()るべく()()ませないやう、317(はら)()てさせないやう、318(あた)(かぎ)りの慰安(ゐあん)(あた)へたいものと真心(まごころ)(ねん)じてゐたのである。319されど根性(こんじやう)のひがみ()つた高姫(たかひめ)は、320初稚姫(はつわかひめ)親切(しんせつ)()()(こと)出来(でき)なかつた。321初稚姫(はつわかひめ)はイルに質問(しつもん)された(とき)322高姫(たかひめ)(よろこ)(やう)言葉(ことば)(かざ)つて、323一時(いちじ)なりとも、324安心(あんしん)させたいと、325瞬間(しゆんかん)(こころ)(ひらめ)いたけれども、326()えすいた(うそ)()ふことは到底(たうてい)初稚姫(はつわかひめ)には出来(でき)なかつた。327(いやし)くも宣伝使(せんでんし)たるものが、328(こころ)にもなき(かざ)言葉(ことば)(もち)ふる(こと)出来(でき)ない。329それ(ゆゑ)正直(しやうぢき)(あい)程度(ていど)(くわん)し、330(すこ)しばかり差等(さとう)のある(こと)()つて()かしたのが、331無理解(むりかい)高姫(たかひめ)(うら)まるる(たね)となつたのは是非(ぜひ)もない(こと)である。332それだと()つて、333初稚姫(はつわかひめ)高姫(たかひめ)改心(かいしん)させる(ため)には(その)時相応(ときさうおう)方便(はうべん)使(つか)つて()たことは前記(ぜんき)物語(ものがたり)によつても散見(さんけん)する(ところ)である。334(しか)教義(けうぎ)()(とき)(おい)ては、335初稚姫(はつわかひめ)儼然(げんぜん)として一歩(いつぽ)仮借(かしやく)せないのである。336すべて真理(しんり)といふものは磐石(ばんじやく)(ごと)鉄棒(てつぼう)(ごと)く、337屈曲自在(くつきよくじざい)ならしむるを()ざるが(ゆゑ)である。338もし宣伝使(せんでんし)にして真理(しんり)(まで)()げて方便(はうべん)乱用(らんよう)せむか、339(たちま)霊界(れいかい)(およ)現界(げんかい)秩序(ちつじよ)(ここ)紊乱(ぶんらん)し、340(かみ)神格(しんかく)破壊(はくわい)する(こと)(おそ)るるが(ゆゑ)である。341ああ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
342大正一二・一・二一 旧一一・一二・五 松村真澄録)
   
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