霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第一五章 破粋者(やぶれすゐしや)〔一七三九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻 篇:第4篇 月光徹雲 よみ(新仮名遣い):げっこうてつうん
章:第15章 破粋者 よみ(新仮名遣い):やぶれすいしゃ 通し章番号:1739
口述日:1925(大正14)年01月30日(旧01月7日) 口述場所:月光閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
秋野が原のあたりに人気もない片隅に、古ぼけた水車小屋が立っていた。カーク、サーマンという二人の男が小屋の番をしている。
二人は右守サクレンスの手下であった。
これより以前に、太子とスバール姫は右守の手下たちに捕らえて、小屋の地下室に幽閉されていたのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-09-13 18:43:44 文字数:5829 OBC :rm6815
愛善世界社版:204頁 八幡書店版:第12輯 226頁 修補版: 校定版:207頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 那美山(なみやま)の南麓(なんろく)、002秋野(あきの)ケ原(はら)の片隅(かたすみ)に古(ふる)ぼけた茅葺(かやぶき)の水車(すいしや)小屋(ごや)が建(た)つてゐる。003附近(あたり)に人家(じんか)もなく、004見(み)わたす限(かぎ)り、005東(とう)南(なん)西(せい)の三方(さんぱう)は原野(げんや)の萱草(かやぐさ)が天(てん)に連(つら)なつてゐる。006此(この)水車(すいしや)小屋(ごや)は水車(みづぐるま)の枠(わく)も損(そん)じ杵(きね)も折(を)れ、007所々(ところどころ)に雨(あま)もりがして、008今(いま)は全然(ぜんぜん)活動(くわつどう)を中止(ちうし)してゐる。009カーク、010サーマンの二人(ふたり)は何事(なにごと)か此(この)茅屋(あばらや)に秘密(ひみつ)の蔵(ざう)するものの如(ごと)く、011お勤(つと)め大事(だいじ)と蛙面(かはづづら)をさらして仁王(にわう)の如(ごと)く仕(つか)へ乍(なが)ら、012雑談(ざつだん)に耽(ふけ)つてゐる。
013カーク『オイ、014サーマン、015此(この)間(あひだ)は随分(ずいぶん)骨(ほね)が折(を)れたぢやないか。016彼(あ)の古寺(ふるでら)へ十(じふ)人(にん)づつの手下(てした)を引(ひき)つれ、017つかまえに行(い)つた時(とき)や、018俺(おれ)も「到底(たうてい)此奴(こいつ)ア駄目(だめ)かなア……」と一(いち)時(じ)は匙(さぢ)を投(な)げたが、019断(だん)じて行(おこな)へば鬼神(きじん)も之(これ)を避(さ)くとかいつて、020たうとう物(もの)にした。021あの時(とき)に俺(おれ)の勇気(ゆうき)が途中(とちう)に挫(くじ)けやうものなら、022サツパリ目的物(もくてきぶつ)は取逃(とりのが)し、023百(ひやく)円(ゑん)づつの懸賞金(けんしやうきん)は駄目(だめ)になる所(ところ)だつた。024汝(きさま)等(たち)も俺(おれ)のお蔭(かげ)で、025百(ひやく)円(ゑん)の大金(たいきん)にありついたのだから、026チツとは俺(おれ)の恩恵(おんけい)も知(し)つてゐるだらうな』
027サーマン『ヘン、028偉(えら)相(さう)に云(い)ふない。029汝(きさま)は太子(たいし)の一瞥(いちべつ)に会(あ)うて、030ビリビリと震(ふる)ひ出(だ)し、031地上(ちじやう)へ平太張(へたば)つて、032息(いき)をつめ、033物(もの)さへ碌(ろく)によう云(い)はなかつたぢやないか。034其(その)時(とき)、035俺(おれ)が「オイ、036カーク、037しつかりせぬかい」と靴(くつ)で汝(きさま)の尻(けつ)を蹴(け)つてやつたので、038漸(やうや)く輿(みこし)を上(あ)げよつたぢやないか。039行(い)きなり、040女(あま)つちよに睾丸(きんたま)をつかまれて悲鳴(ひめい)をあげて青(あを)くなり、041歯(は)をくひしばり白目(しろめ)許(ばか)りにしやがつて、042フンのびた時(とき)のザマつたらなかつたよ、043余(あま)り偉(えら)相(さう)に云(い)ふものぢやないワ』
044カ『それだつて、045太子(たいし)のカークれ場所(ばしよ)は此(この)古寺(ふるでら)だと、046カーク信(しん)を以(もつ)て報告(はうこく)したのは俺(おれ)ぢやないか。047それだから何(なん)と云(い)つても俺(おれ)は功名(こうみやう)手柄(てがら)の一番槍(いちばんやり)、048誉(ほま)れは天下(てんか)にカークカークたるものだ』
049サ『何(なに)程(ほど)発見者(はつけんしや)だと云(い)つても、050ヤツパリ俺(おれ)の勇気(ゆうき)がなかつたら、051汝(きさま)はあの山奥(やまおく)で冷(つめ)たくなり、052狼(おほかみ)共(ども)の餌食(ゑじき)になつてゐる代物(しろもの)だ。053命(いのち)の親(おや)のサーマンさまだぞ。054オイ百(ひやく)両(りやう)の内(うち)五十(ごじふ)両(りやう)位(ぐらゐ)俺(おれ)にボーナスを出(だ)しても、055余(あま)り損(そん)はいくまいぞ。056五十(ごじふ)両(りやう)で命(いのち)が助(たす)かつたと思(おも)へば安(やす)いものだ。057俺(おれ)の名(な)を聞(き)いても一切(いつさい)衆生(しゆじやう)が成仏(じやうぶつ)するんだからなア』
058カ『ヘン、059欲(よく)な事(こと)をいふない。060此方(こつち)の方(はう)へ五十(ごじふ)両(りやう)よこせ。061右守(うもり)の大将(たいしやう)、062誰(たれ)も誰(たれ)も平等(びやうどう)に、063皆(みな)百(ひやく)円(ゑん)づつ渡(わた)しやがつたものだから、064論功(ろんこう)行賞(かうしやう)の点(てん)に於(おい)て、065非常(ひじやう)に不公平(ふこうへい)があるのだ。066俺(おれ)やモウこんな淋(さび)しい所(ところ)で、067一(いつ)ケ月(げつ)僅(わづか)十(じふ)円(ゑん)やそこらの月給(げつきふ)を貰(もら)つて居(を)るこた厭(いや)になつた。068俺(おれ)やモウ明日(あした)から辞職(じしよく)するから、069汝(きさま)一人(ひとり)で番(ばん)するがよからう。070汝(きさま)は自(みづか)ら称(しよう)して救(すく)ひの神(かみ)だと云(い)つてゐやがるから、071虎(とら)が来(き)たつて、072狼(おほかみ)が来(き)たつて大丈夫(だいぢやうぶ)だらう、073ウツフフフ。074とつけもない救世主(きうせいしゆ)が現(あら)はれたものだ、075イツヒヽヽヽ』
076サ『コリヤ、077カーク、078余(あま)り馬鹿(ばか)にするない。079お経(きやう)の文句(もんく)にも、080「曩(のう)莫(まく)三(さー)満(まん)多(だ)」といふ事(こと)があるぢやないか。081「三(さー)満(まん)多(だ)」さへ唱(とな)へたら、082三災(さんさい)七厄(しちやく)も立所(たちどころ)に消滅(せうめつ)し、083豺狼(さいらう)毒蛇(どくじや)盗人(ぬすびと)の難(なん)も084火難(くわなん)水難(すいなん)剣(けん)の難(なん)も085一遍(いつぺん)に逃(のが)れるという結構(けつこう)なお経(きやう)だよ。086その名(な)をつけてるサー満(まん)だから、087俺(おれ)は即(すなは)ち天下(てんか)の救世主(きうせいしゆ)サーマンといふのだ、088エツヘヽヽヽ』
089カ『併(しか)し地下室(ちかしつ)の太子(たいし)は何(ど)うしてゐるだらう。090舌(した)でも噛(か)んで死(し)によつたら大変(たいへん)だがなア。091「どこ迄(まで)も殺(ころ)さないやうにせ、092飲食物(いんしよくぶつ)を与(あた)へず、093干殺(ほしころ)せ」と、094右守司(うもりのかみ)の御(ご)内命(ないめい)だから、095自殺(じさつ)でもやられちや、096忽(たちま)ち俺(おれ)等(たち)の首問題(くびもんだい)だぞ』
097サ『そんな心配(しんぱい)はすな。098何(なん)というても隣室(りんしつ)に古今(ここん)無双(むさう)の美人(びじん)が這入(はい)つてゐるのだもの、099あの細(ほそ)い窓(まど)の穴(あな)から互(たがひ)に顔(かほ)を覗(のぞ)き合(あ)うて、100甘(あま)い囁(ささや)きをつづけ、101楽(たのし)く面白(おもしろ)く平然(へいぜん)として日夜(にちや)を送(おく)られるかも知(し)れぬ。102吾々(われわれ)下司(げす)下郎(げらう)の心理(しんり)状態(じやうたい)とは又(また)、103格別(かくべつ)違(ちが)つたものだからのう』
104カ『何(なに)程(ほど)太子(たいし)だつて美人(びじん)の面(つら)許(ばか)り見(み)て居(を)つても腹(はら)は膨(ふく)れないよ。105諺(ことわざ)にも……腹(はら)がへつては戦争(いくさ)が出来(でき)ぬ……と云(い)ふぢやないか。106饑渇(きかつ)に迫(せま)つて恋(こひ)だの鮒(ふな)だのと、107そんな陽気(やうき)な事(こと)思(おも)うてゐられるか。108汝(きさま)も余程(よほど)理解(りかい)のない奴(やつ)だなア』
109サ『ナアニ、110「兎角(とかく)浮世(うきよ)は色(いろ)と酒(さけ)」と、111俗謡(ぞくえう)にもある通(とほ)り、112飯(めし)よりも酒(さけ)が大事(だいじ)だ、113酒(さけ)よりも大切(たいせつ)なは色(いろ)だ。114其(その)色女(いろをんな)と仮令(たとへ)隔(へだ)てはあるにしても、115毎日(まいにち)顔(かほ)見合(みあ)はして、116甘(あま)つたるい事(こと)いつて楽(たの)しんでゐる太子(たいし)の胸中(きようちう)は、117暖風(だんぷう)春(はる)の野(の)を渡(わた)るが如(ごと)き心持(こころもち)でゐられるだらうよ。118恋(こひ)は生命(せいめい)の源泉(げんせん)だと云(い)ふぢやないか。119俺(おれ)だつてあんな美人(びじん)に恋(こひ)されるのなら、120百(ひやく)日(にち)や千(せん)日(にち)、121一杯(いつぱい)の水(みづ)を呑(の)まいでも、122一椀(いちわん)の食(しよく)をとらいでも得心(とくしん)だ。123何(なん)と云(い)つても天下(てんか)の名誉(めいよ)だからなア』
124カ『アツハヽヽヽ、125法外(はふはづ)れの馬鹿(ばか)野郎(やらう)だなア。126飲食物(いんしよくぶつ)を断(た)てば人間(にんげん)は死(し)ぬぢやないか……127死(し)んで花実(はなみ)が咲(さ)くものか……といふ俗謡(ぞくえう)があるだらう。128世(よ)の中(なか)は命(いのち)が資本(しほん)だ。129人間(にんげん)は飲食物(いんしよくぶつ)を取(と)り命(いのち)を完全(くわんぜん)に保(たも)つてこそ、130恋(こひ)といふものの味(あぢ)はひが分(わか)るのだ。131筍笠(たけのこがさ)のやうに骨(ほね)と皮(かは)と筋(すぢ)とになつて痩衰(やせおとろ)へ胃病薬(ゐびやうやく)の看板(かんばん)の様(やう)に壁下地(かべしたぢ)が現(あら)はれ、132手足(てあし)は筋骨(すぢぼね)立(た)つて竹細工(たけざいく)に濡(ぬ)れ紙(がみ)をはつたやうなスタイルになつては133恋(こひ)も宮(みや)もあつたものかい』
134サ『恋(こひ)でも宮(みや)でもないよ。135海魚(うみざかな)の王(わう)たる鯛子(たひし)様(さま)だ。136それだから太子(たいし)霊従(れいじう)の行動(かうどう)を遊(あそ)ばすのだ。137政治(せいぢ)なんか如何(どう)でも可(よ)い、138親(おや)なんか如何(どう)でも可(よ)い、139自分(じぶん)の恋(こひ)の欲望(よくばう)さへ遂(と)げれば人生(じんせい)はそれで可(い)いのだ……などと云(い)つて、140あらう事(こと)か、141あろまい事(こと)か、142山海(さんかい)に等(ひと)しき養育(やういく)の恩(おん)を受(う)けた父親(てておや)の難病(なんびやう)を見捨(みす)てて、143好(す)いた女(をんな)と手(て)に手(て)を取(と)つて随徳寺(ずゐとくじ)をきめこむといふ粋(すゐ)なお方(かた)だからなア』
144カ『それだから親(おや)の罰(ばち)が当(あた)つて、145こんな所(ところ)へ投(なげ)込(こ)まれたのだ。146つまり吾(わが)身(み)から出(で)た錆(さび)だから、147気(き)の毒(どく)でも仕方(しかた)がないぢやないか。148……天(てん)のなせる災(わざはひ)は或(あるひ)は避(さ)くるを得(う)べし。149自(みづか)らなせる災(わざはひ)はさく可(べか)らず……といふ教(をしへ)がある。150丁度(ちやうど)それにテツキリ符合(ふがふ)してゐるぢやないか。151虎(とら)か山犬(やまいぬ)のやうに、1511檻(をり)の中(なか)へ放(ほり)込(こ)まれて、152飲食物(いんしよくぶつ)を与(あた)へられず、153悶(もだ)え苦(くるし)んでゐるとは、154実(じつ)に気(き)の毒(どく)千万(せんばん)だ。155併(しか)し乍(なが)ら之(これ)も自業(じごふ)自得(じとく)だから仕様(しやう)がないワ』
156サ『さう悪口(わるくち)を云(い)ふものぢやない。157汝(きさま)だつて俺(おれ)だつて百(ひやく)円(ゑん)の大金(たいきん)にありつき、158女房(にようばう)に立派(りつぱ)な着物(きもの)の一(いち)枚(まい)も買(か)つてやれたのは、159体主(たいしゆ)霊従(れいじう)様(さま)が、160あゝいふ事(こと)をして下(くだ)さつたお蔭(かげ)ぢやないか。161余(あま)り粗末(そまつ)にすると冥加(みやうが)が悪(わる)いぞ。162オイ汝(きさま)、163何(なん)とかして焼芋(やきいも)のヘタでも買(か)つて来(き)て、164ソツと放(ほり)込(こ)んだら何(ど)うだ。165其(その)位(くらゐ)な人情(にんじやう)はあつても、166余(あま)り罰(ばち)ア当(あた)るまいぞ』
167カ『馬鹿(ばか)いふな、168そんな事(こと)をしようものなら、169俺(おれ)等(たち)の身(み)の破滅(はめつ)だ。170何(なん)と云(い)つても自己愛(じこあい)世間愛(せけんあい)の尊重(そんちよう)される世(よ)の中(なか)に、171そんな宋襄(そうじやう)の仁(じん)は止(や)めたが可(よ)からう。172吾(わが)身(み)の保護(ほご)上(じやう)険呑(けんのん)至極(しごく)だぞ』
173サ『それでも汝(きさま)、174万々一(まんまんいち)太子(たいし)が再(ふたた)び世(よ)に出(で)られ、175王者(わうじや)に成(な)られた時(とき)は如何(どう)する積(つも)りだ。176俺(おれ)を苦(くる)しめよつたと云(い)つて、177首(くび)をうたれても仕方(しかた)あるまい。178さうだから今(いま)の内(うち)にチツと位(ぐらゐ)同情(どうじやう)の涙(なみだ)を払(はら)つて、179焼芋(やきいも)のヘタ位(ぐらゐ)は恵(めぐ)んでおく方(はう)が、180自己愛(じこあい)の精神(せいしん)上(じやう)最(もつと)も賢明(けんめい)な行(や)り方(かた)ぢやないか』
181カ『ヘン、182モウ斯(か)うなつた以上(いじやう)は籠(かご)の鳥(とり)だ。183天(てん)が地(ち)になり、184地(ち)が天(てん)となり、185太陽(たいやう)が西(にし)から上(あが)る事(こと)があつても、186……………世(よ)に出(で)るやうな事(こと)があるものか。187兎(と)も角(かく)長(なが)い者(もの)にはまかれ、188強(つよ)い者(もの)の前(まへ)には尾(を)をふつて従(したが)ふのが、189自己(じこ)保存(ほぞん)上(じやう)唯一(ゆゐいつ)の良法(りやうはふ)だ。190俺(おれ)は断(だん)じて何物(なにもの)も与(あた)へない積(つもり)だよ』
191サ『汝(きさま)、192さういふけれど、193太子(たいし)の死(し)な無(な)い内(うち)に右守(うもり)の司(かみ)の陰謀(いんぼう)が露顕(ろけん)し、194太子(たいし)の在処(ありか)が分(わか)つて、195立派(りつぱ)な役人(やくにん)共(ども)がお迎(むか)へに来(き)たとすれば、196「其(その)時(とき)や大切(だいじ)にしておきやよかつたに」と、197地団駄(ぢだんだ)踏(ふ)んで悔(くや)むでも、198最早(もはや)及(およ)ばぬ後(あと)の祭(まつ)りだ。199六日(むゆか)の菖蒲(あやめ)十日(とをか)の菊(きく)だ。200それだから汝(きさま)の利益(りえき)上(じやう)、201俺(おれ)がソツと忠告(ちうこく)するのだ』
202カ『俺(おれ)は断(だん)じてそんな女々(めめ)しい卑屈(ひくつ)な事(こと)はせないよ。203時(とき)の天下(てんか)に従(したが)へといふぢやないか。204権威(けんゐ)赫々(かくかく)として、205月日(じつげつ)の如(ごと)く輝(かがや)き亘(わた)る右守(うもり)の君(きみ)にさへ、206お気(き)に入(い)れば可(い)いのだ。207オイ汝(きさま)、208地下室(ちかしつ)へ行(い)つて、209一寸(ちよつと)査(しら)べて来(こ)い。210俺(おれ)や此処(ここ)で外面(ぐわいめん)の看視(かんし)に当(あた)るから……』
211 太子(たいし)は地下室(ちかしつ)の牢獄(らうごく)に投(な)げ込(こ)まれて今日(けふ)で三日(みつか)、212一飲(いちいん)一食(いつしよく)もせず、213細(ほそ)い狭(せま)い窓(まど)を覗(のぞ)いて、214スバール姫(ひめ)の顔(かほ)を幽(かすか)に眺(なが)め、215それをせめてもの慰(なぐさめ)となし、216死期(しき)の至(いた)るを従容(しようよう)として待(ま)つてゐた。217其処(そこ)へ看視役(かんしやく)のサーマンがやつて来(き)て、
218サ『モシモシ太子(たいし)様(さま)、219貴(たふと)き御(おん)身(み)を以(も)つて、220かやうな処(ところ)に断食(だんじき)の御(ご)修業(しうげふ)を遊(あそ)ばすとは実(じつ)に恐(おそ)れ入(い)りまして厶(ござ)います。221私(わたくし)もタラハン国(ごく)の国民(こくみん)の一人(ひとり)で御座(ござ)いますれば、222何(なん)とかして殿下(でんか)に対(たい)し御(ご)恩報(おんはう)じが致(いた)したい考(かんが)へで厶(ござ)いますが、223何分(なにぶん)相棒(あいぼう)のカークといふ奴(やつ)、224無情(むじやう)冷酷(れいこく)なる鬼畜(きちく)の如(ごと)き動物(どうぶつ)で厶(ござ)いますから、225私(わたくし)の申(まを)す事(こと)を聞(きき)入(い)れず、226何(なに)かお腹(なか)にたまる物(もの)を差上(さしあ)げたいと焦慮(せうりよ)して居(を)りますが、227もしもそんな事(こと)を致(いた)しまして、228右守司(うもりのかみ)の耳(みみ)へ入(い)れば忽(たちま)ち私(わたくし)の首(くび)は一間先(いつけんさき)へ転(ころが)り、229ヤツと叫(さけ)ぶ間(ま)も無(な)く死出(しで)の旅立(たびだち)と、230約(つま)らない事(こと)になつて了(しま)ひますなり、231殿下(でんか)の御(ご)境遇(きやうぐう)は察(さつ)し参(まゐ)らして居(を)りますが、232今日(こんにち)の場合(ばあひ)如何(いかん)ともする事(こと)が出来(でき)ませぬから、233どうぞ因縁(いんねん)づくぢやと諦(あきら)めて234姫(ひめ)様(さま)の顔(かほ)を見(み)て、2341心(こころ)をお慰(なぐさ)めなさいませ。235暗(やみ)があれば明(あか)りもある世(よ)の中(なか)、236殿下(でんか)だつて何時(いつ)までもかやうな不運(ふうん)が続(つづ)くものぢや厶(ござ)いますまい。237屹度(きつと)元(もと)の貴(たふと)い御位(みくらゐ)にお上(のぼ)り遊(あそ)ばす事(こと)が無(な)いとも限(かぎ)りませぬ、238其(その)時(とき)には何(ど)うぞ私(わたくし)を御(お)引立(ひきた)て下(くだ)さいませ。239お馬(うま)の別当(べつたう)でも、240お馬車(ばしや)の馭者(ぎよしや)にでも結構(けつこう)で厶(ござ)いますから……』
241太子(たいし)『ハヽヽヽ随分(ずいぶん)辞令(じれい)の巧(たくみ)な野郎(やらう)だなア。242それ程(ほど)親切(しんせつ)があるなれば、243何故(なぜ)余(よ)を捕縛(ほばく)したのだ。244汝(きさま)が二十(にじふ)人(にん)の悪人輩(あくにんばら)を指揮(しき)して、245予(よ)を斯様(かやう)な所(ところ)へ投込(なげこ)む様(やう)に致(いた)しただ無(な)いか。246そんな偽善(ぎぜん)的(てき)同情(どうじやう)の詞(ことば)は聞(き)くも汚(けが)らはしい、247そちらへ行(ゆ)け』
248サ『それは殿下(でんか)の誤解(ごかい)と申(まを)すもので厶(ござ)います。249私(わたくし)は決(けつ)して殿下(でんか)をお苦(くるし)め申(まを)さうなどの悪心(あくしん)は厶(ござ)いませぬ。250元(もと)より殿下(でんか)に対(たい)し、251何(なん)の怨(うら)みもない私(わたし)で厶(ござ)いますから』
252太(たい)『アツハヽヽヽ怨(うら)みはなからうが恩恵(おんけい)は味(あぢ)はつただらう。253予(よ)を捕縛(ほばく)した為(ため)に百(ひやく)円(ゑん)の懸賞金(けんしやうきん)を貰(もら)つたぢやないか』
254サ『ハイ、255ソリヤ受取(うけとり)ましたけれど、256女房(にようばう)の着物(きもの)を買(か)つたりなど致(いた)しまして、257私(わたし)の身(み)には一文(いちもん)もつけた覚(おぼ)えは厶(ござ)いませぬ。258甘(うま)い酒(さけ)の一杯(いつぱい)も呑(の)んだ事(こと)もなく、259つまり全部(ぜんぶ)嬶(かかあ)の奴(やつ)にふんだくられて了(しま)ひました。260どうか恨(うらみ)があるなら内(うち)の嬶(かかあ)を恨(うら)んで下(くだ)さい。261一文(いちもん)も儲(まう)けてゐない私(わたくし)に対(たい)し、262そんな事(こと)仰有(おつしや)るのは余(あま)り御(ご)無理(むり)ぢや厶(ござ)いませぬか』
263太(たい)『ハヽヽヽ、264妙(めう)な団子(だんご)理窟(りくつ)を捏(こね)る奴(やつ)だな。265汝(きさま)は常識(じやうしき)をどこへやつたのだ』
266サ『ハイ、267情色(じやうしき)は女房(にようばう)が内(うち)に大切(たいせつ)に保護(ほご)致(いた)して居(を)ります。268何(なに)程(ほど)夫婦(ふうふ)の間柄(あひだがら)でも、269斯(か)う所(ところ)を隔(へだ)つて住(す)まつて居(を)りますれば、270情色(じやうしき)の楽(たの)しみも到底(たうてい)味(あぢは)う事(こと)は出来(でき)ませぬ』
271太(たい)『テモ扨(さ)ても情(なさけ)ない野郎(やらう)だなア。272サ早(はや)く此(この)場(ば)を立(たち)去(さ)れ』
273サ『殿下(でんか)274さうポンポンいふものぢやありませぬよ。275生殺(せいさつ)与奪(よだつ)の権(けん)は、276言(い)はば間接(かんせつ)に吾々(われわれ)が握(にぎ)つてる様(やう)なものですから、277チツとは監視役(かんしやく)の私(わたくし)に対(たい)しては、278もうチツと許(ばか)り丁寧(ていねい)に仰有(おつしや)つても、279余(あま)り御損(ごそん)にもなりますまい。280余(あま)りポンつき遊(あそ)ばすと、281貴方(あなた)の御(お)為(ため)になりませぬぞや』
282と堅固(けんご)なる檻(をり)に、283猛悪(まうあく)なる虎(とら)を押込(おしこ)めて、284外(そと)から苛責(さいなん)でゐるやうな心持(こころもち)になつて、285下司(げす)下郎(げらう)が威張(ゐば)つてゐる。286隣(となり)の室(しつ)よりスバール姫(ひめ)は窓(まど)をさし覗(のぞ)き乍(なが)ら、
287スバール姫『あの太子(たいし)様(さま)、288左様(さやう)な獣(けだもの)に相手(あひて)におなりなさいますな。289妾(わらは)は残念(ざんねん)で厶(ござ)います』
290太(たい)『成程(なるほど)、291其方(そなた)のいふ通(とほ)りだ。292今後(こんご)は何(なに)も云(い)はうまい。293オイ野郎(やらう)共(ども)、294邪魔(じやま)になる、295早(はや)く上(うへ)へ上(あが)つて、296水車(すいしや)小屋(ごや)の立番(たちばん)でも致(いた)せ』
297と大喝(だいかつ)され、298流石(さすが)のサーマンも首(くび)をすくめ乍(なが)ら、299鼠(ねずみ)のやうに此(この)場(ば)を逃去(にげさ)つた。300カークは此(この)間(あひだ)に頬杖(ほほづゑ)を突(つ)き乍(なが)ら、301コクリコクリと居睡(ゐねむ)つてゐた。
302サ『コリヤコリヤ、303カーク、304職務(しよくむ)を大切(たいせつ)にせぬか、305白昼(はくちう)に居睡(ゐねむ)るといふ事(こと)があるかい』
306カ『ヤア、307サーマンか、308俺(おれ)やチツとも居睡(ゐねむ)つてはゐないよ。309俯(うつ)むいて沈思(ちんし)黙考(もくかう)、310哲学(てつがく)の研究(けんきう)をやつてゐたのだ』
311サ『ヘーン、312うまい事(こと)いふない。313鼾(いびき)をかいてゐたぢやないか』
314カ『きまつた事(こと)だ。315哲学(てつがく)上(じやう)鼾(いびき)の原理(げんり)は如何(いか)なるものなりやと、316実地(じつち)の研究(けんきう)をやつてゐたのだ。317無学(むがく)文盲(もんまう)な汝(きさま)に哲学(てつがく)の研究(けんきう)が解(わか)るか。318それだから常識(じやうしき)がないといふのだ』
319サ『エー、320太子(たいし)にも、321情色(じやうしき)がないと誹(そし)られ、322又(また)汝(きさま)にも情色(じやうしき)がないと誹(そし)られ、323本当(ほんたう)に男(をとこ)の面(つら)は丸(まる)つぶれだ。324併(しか)し乍(なが)ら余(あま)りいうて貰(もら)ふまいかい。325女房(にようばう)がある以上(いじやう)情色(じやうしき)はあるぢやないか。326汝(きさま)こそ鰥暮(やもめぐら)しだから、327情色(じやうしき)なんか味(あぢ)はつたこたあるまい』
328カ『ハヽヽヽ、329色情(しきじやう)と常識(じやうしき)と間違(まちが)へてゐやがるな。330オイ、331コラ、332此(この)カークはな、333天下一(てんかいち)の男地獄(をとこぢごく)、334色魔(しきま)の先生(せんせい)と謳(うた)はれて来(き)たものだよ。335汝(きさま)等(ら)のやうな唐変木(たうへんぼく)の敢(あへ)て窺知(きち)し得(う)る範囲(はんゐ)ぢやない。336鼠(ねずみ)とる猫(ねこ)は爪(つめ)隠(かく)すと云(い)つてな。337女(をんな)の無(な)いやうな面(つら)してる奴(やつ)に、338却(かへつ)て女(をんな)が沢山(たくさん)あるものだ。339汝(きさま)は此(この)間(かん)の消息(せうそく)を知(し)らないから、340恋(こひ)や情(じやう)を語(かた)るに足(た)らない人物(じんぶつ)だ』
341サ『ヘン、342仰有(おつしや)いますワイ、343汝(きさま)のやうな、344鳶(とび)の巣(す)と間違(まちが)へられるやうな頭(あたま)の毛(け)をモシヤモシヤと生(お)え茂(しげ)らせ、345和布(わかめ)の行列然(ぎやうれつぜん)たる着物(きもの)を着(き)やがつて、346色魔(しきま)だの、347男地獄(をとこぢごく)だのと、348そんな事(こと)吐(ぬか)す柄(がら)ぢやあるまい。349ヤツパリ睡呆(ねとぼ)けてゐやがるな。350オイ、351そこの小溝(こみぞ)で手水(てうず)でも使(つか)うて来(こ)い』
352カ『そこが汝(きさま)らたちの解(わか)らない所(ところ)だ。353……恋(こひ)の上手(じやうず)は窶(やつ)れてかかる……と云(い)つてな、354俺(おれ)の様(やう)な者(もの)が却(かへつ)て女(をんな)に惚(ほれ)られるのだ。355汝(きさま)の様(やう)に女子(をなご)の真似(まね)をして、356頭(あたま)にチツクをつけたり、357石灰(いしばひ)の粉(こな)を塗(ぬ)つたり、358嬶(かかあ)の月経(つきやく)を頬辺(ほほべた)に塗(ぬ)つて、359色男然(いろをとこぜん)と構(かま)へてる奴(やつ)にや女(をんな)の方(はう)から愛想(あいさう)をつかし、360唾(つば)でも吐(は)つかけ逃(にげ)て了(しま)ふものだ。361尻(しり)の大砲(たいはう)や肱(ひぢ)の鉄砲(てつぱう)を打(うち)かけられ、362鳩(はと)が豆鉄砲(まめでつぱう)を喰(くら)つたやうな面(つら)で指(ゆび)を喰(く)はへて、363女(をんな)の後姿(うしろすがた)を怨(うら)めしげに眺(なが)めてゐる代物(しろもの)は、364汝(きさま)のやうな柔弱(にうじやく)男子(だんし)の身(み)の果(はて)だ。365ヘン馬鹿(ばか)々々(ばか)しい』
366サ『ほつといてくれ、367女房(にようばう)のある立派(りつぱ)な人間(にんげん)と嬶(かか)なしとは到底(たうてい)間(ま)が合(あ)はぬからのう。368汝(きさま)は最前(さいぜん)俺(おれ)を無学(むがく)文盲(もんまう)だと云(い)ひよつたが、369汝(きさま)位(ぐらゐ)無学(むがく)文盲(もんまう)な奴(やつ)はあるまいよ。370無学(むがく)の奴(やつ)を称(しよう)して、371ヨメないカカないと云(い)ふぢやないか、372ザマア見(み)やがれ。373之(これ)にや一句(いつく)もあるまい、374イツヒヽヽヽ』
375カ『コリヤ、376そんなこたどうでもよい。377地下室(ちかしつ)の様子(やうす)はどうだつたい。378隊長(たいちやう)に報告(はうこく)せぬかい』
379サ『何(なに)も報告(はうこく)すべき原料(げんれう)がないぢやないか』
380カ『ハハア、381汝(きさま)は太子(たいし)に叱(しか)りつけられ、382謝罪(あやま)つて帰(かへ)つて来(き)やがつたな。383どうも汝(きさま)の素振(そぶり)が怪(あや)しいと思(おも)つてゐたよ』
384サ『然(しか)り然(しか)り、385然(しか)り而(しか)うして俺(おれ)の方(はう)から叱(しか)りつけて来(き)たのだ。386流石(さすが)の太子(たいし)もオンオンと声(こゑ)をあげて泣(な)いてゐたよ。387何(なん)と云(い)つても偉(えら)い者(もの)だらう。388畏(おそ)れ多(おほ)くもタラハン城(じやう)の太子(たいし)を一言(いちごん)の下(もと)に叱咤(しつた)するといふ蘇如(そじよ)将軍(しやうぐん)のやうな英雄(えいゆう)だからなア』
389カ『ヘン、390そんな事(こと)が何(なに)自慢(じまん)になるか。391堅固(けんご)な檻(をり)の中(なか)へ這入(はい)つてゐる以上(いじやう)は太子(たいし)だつて、392虎(とら)だつて、393狼(おほかみ)だつて、394何(ど)うする事(こと)も出来(でき)ぬぢやないか。395誰(たれ)だつて叱(しか)る位(ぐらゐ)は屁(へ)のお茶(ちや)だ』
396サ『ナニ、397理窟(りくつ)からいへばそんなものだが、398実地(じつち)に臨(のぞ)んでみよ。399どこ共(とも)なく威厳(ゐげん)が備(そな)はつてゐて、400其(その)前(まへ)へ行(ゆ)くと体(からだ)はビリビリ慄(ふる)ひ、401目(め)はまくまくし、402舌(した)は上腮(うはあご)の方(はう)へひつついて固(かた)くなり、403胸(むね)はドキドキ、404足(あし)はフナフナ、405仲々(なかなか)叱(しか)る勇気(ゆうき)は容易(ようい)に出(で)て来(こ)ないよ。406俺(おれ)ならこされ、407一口(ひとくち)でも叱(しか)りつける事(こと)が出来(でき)たのだ』
408カ『アツハヽヽヽ、409手厳(てきび)しく反対(あべこべ)に、410叱(しか)りつけられよつたのだらう』
411 かく話(はな)す折(をり)しも412吹(ふき)来(く)る西風(にしかぜ)に送(おく)られて、4121幽(かす)かに宣伝歌(せんでんか)の声(こゑ)聞(きこ)え来(き)たる。
413(大正一四・一・七 新一・三〇 於月光閣 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→