霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第一六章 戦伝歌(せんでんか)〔一七四〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻 篇:第4篇 月光徹雲 よみ(新仮名遣い):げっこうてつうん
章:第16章 戦伝歌 よみ(新仮名遣い):せんでんか 通し章番号:1740
口述日:1925(大正14)年01月30日(旧01月7日) 口述場所:月光閣 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
カーク、サーマンが再び小屋の番をしているところへ、三五教の宣伝歌が聞こえてくる。
二人はデタラメな宣伝歌を歌って対抗しようとするが、怖気づいて水車小屋の地下に逃げ込んでしまう。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2019-05-08 07:42:48 文字数:3918 OBC :rm6816
愛善世界社版:218頁 八幡書店版:第12輯 232頁 修補版: 校定版:221頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001『高天原(たかあまはら)に宮柱(みやばしら)
002千木(ちぎ)高(たか)知(し)りて永久(とこしへ)に
003鎮(しづ)まりゐます伊都能売(いづのめ)の
004神(かみ)の命(みこと)を畏(かしこ)みて
005山野(さんや)河海(かかい)を打(うち)渡(わた)り
006照国別(てるくにわけ)に従(したが)ひて
007河鹿(かじか)峠(たうげ)や懐(ふところ)の
008谷間(たにま)を越(こ)えて漸(やうや)くに
009祠(ほこら)の森(もり)に辿(たど)りつき
010山口(やまぐち)浮木(うきき)の森(もり)を越(こ)え
011ライオン川(がは)を打(うち)渡(わた)り
012葵(あふひ)の沼(ぬま)に照(て)り渡(わた)る
013月(つき)に心(こころ)を清(きよ)めつつ
014彼方(あなた)此方(こなた)の山々(やまやま)に
015立籠(たてこも)りつつ国人(くにびと)を
016苦(くる)しめなやむ曲神(まがかみ)を
017言向和(ことむけやは)し梓弓(あづさゆみ)
018引(ひ)きて帰(かへ)らぬハルの湖(うみ)
019玉(たま)の御舟(みふね)に身(み)を任(まか)せ
020数多(あまた)の人(ひと)を救(すく)ひつつ
021スガの港(みなと)に上陸(じやうりく)し
022神(かみ)の教(をしへ)を伝(つた)へつつ[※第67巻第10章「スガの長者」参照]
023又(また)もや山野(さんや)を打(うち)渡(わた)り
024照国別(てるくにわけ)の師(し)の君(きみ)の
025神(かみ)の軍(いくさ)と合(がつ)せむと
026夜(よ)を日(ひ)についで進(すす)む折(をり)
027巽(たつみ)の方(かた)に鬨(とき)の声(こゑ)
028炎々(えんえん)天(てん)を焦(こが)しつつ
029タラハン城市(じやうし)の大火災(だいくわさい)
030救(すく)はにやならぬと雄健(をたけ)びし
031歩(あゆ)みを運(はこ)ぶ折(をり)もあれ
032曲神(まがかみ)共(ども)に遮(さへぎ)られ
033五日(いつか)六日(むゆか)と徒(いたづら)に
034あらぬ月日(つきひ)を過(すご)しつつ
035標渺(へうぼう)千里(せんり)の荒野原(あらのはら)
036進(すす)み来(く)るこそ勇(いさ)ましき
037天(てん)に日月(じつげつ)冴(さ)え渡(わた)り
038下界(げかい)を照(て)らし玉(たま)はむと
039心(こころ)をなやませ玉(たま)へども
040中津(なかつ)御空(みそら)に黒雲(くろくも)は
041十重(とへ)や二十重(はたへ)に塞(ふさ)がりて
042天津(あまつ)日影(ひかげ)を隠(かく)しつつ
043初夏(しよか)の頃(ころ)とは云(い)ひ乍(なが)ら
044まだ肌寒(はださむ)き秋心地(あきごこち)
045田(た)の面(も)に植(うゑ)し稲(いね)の苗(なへ)
046発達(はつたつ)あしく赤(あか)らみて
047飢饉(ききん)の凶兆(きようてう)を現(あら)はせり
048あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
049御霊(みたま)幸(さちは)ひましまして
050下(しも)万民(ばんみん)の罪科(つみとが)を
051許(ゆる)させ玉(たま)へ又(また)上(かみ)に
052立(た)ちて覇張(はば)れる曲人(まがびと)の
053心(こころ)を清(きよ)め罪(つみ)をとり
054誠(まこと)の人(ひと)となさしめて
055天(あめ)の下(した)には仇(あだ)もなく
056暗(やみ)も汚(けが)れもなき迄(まで)に
057照(て)らさせ玉(たま)へ惟神(かむながら)
058梅公別(うめこうわけ)の宣伝使(せんでんし)
059厳(いづ)の霊(みたま)や瑞霊(みづみたま)
060合(あは)せ玉(たま)ひてなりませる
061伊都能売(いづのめ)霊(みたま)の大神(おほかみ)の
062御前(みまへ)に慴伏(ひれふ)し願(ね)ぎ奉(まつ)る
063朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
064月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
065仮令(たとへ)大地(だいち)は割(わ)るるとも
066誠(まこと)一(ひと)つの三五(あななひ)の
067神(かみ)の教(をしへ)に従(したが)へば
068この世(よ)の中(なか)に一(いつ)として
069怯(お)ぢ恐(おそ)るべきものはなし
070神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
071神(かみ)と鬼(おに)とを立別(たてわ)ける
072此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
073心(こころ)も清(きよ)き大直日(おほなほひ)
074只(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
075只(ただ)惟神(かむながら)々々(かむながら)
076広(ひろ)き心(こころ)に宣(の)り直(なほ)し
077罪(つみ)を見直(みなほ)し聞直(ききなほ)し
078許(ゆる)して通(とほ)る神(かみ)の道(みち)
079行手(ゆくて)に曲(まが)の現(あら)はれて
080吾(わが)身(み)に如何(いか)なる仇(あだ)なすも
081神(かみ)の恵(めぐみ)に包(つつ)まれし
082誠(まこと)の身魂(みたま)何(なに)かあらむ
083襲(おそ)ひ来(きた)れよ曲津(まがつ)神(かみ)
084戦(たたか)ひ挑(いど)めよ大蛇(をろち)共(ども)
085吾(われ)には厳(いづ)の備(そな)へあり
086生言霊(いくことたま)の武器(ぶき)をもて
087幾億万(いくおくまん)の魔軍(まいくさ)も
088瞬(またた)く中(うち)にいと安(やす)く
089言向和(ことむけやは)し進(すす)むべし
090三千(さんぜん)世界(せかい)の梅(うめ)の花(はな)
091一度(いちど)に開(ひら)く神(かみ)の教(のり)
092開(ひら)いて散(ち)りて実(み)を結(むす)ぶ
093月日(つきひ)と土(つち)の恩(おん)を知(し)れ
094此(この)世(よ)を救(すく)ふ生神(いきがみ)は
095高天原(たかあまはら)に現(あ)れませり
096あゝ勇(いさま)しや勇(いさま)しや
097神(かみ)の任(よさ)しの宣伝使(せんでんし)
098月(つき)の御国(みくに)に降(くだ)り来(き)て
099いろいろ雑多(ざつた)の災(わざはひ)や
100百(もも)の苦(くるし)み甘受(かんじゆ)しつ
101無人(むじん)の境(さかひ)を行(ゆ)く如(ごと)く
102春野(はるの)を風(かぜ)の亘(わた)るごと
103神(かみ)の大道(おほぢ)を開(ひら)き行(ゆ)く
104あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
105御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
106 水車(すいしや)小屋(ごや)の立番(たちばん)に雇(やと)はれてゐたカーク、107サーマンの二人(ふたり)は宣伝歌(せんでんか)の声(こゑ)を聞(き)いて、108少時(しばらく)耳(みみ)を傾(かたむ)けてゐた。
109カーク『オイ、110サーマン、111どうやらあの声(こゑ)は三五教(あななひけう)の宣伝歌(せんでんか)の声(こゑ)のやうだぞ。112何(なん)とはなしに心持(こころもち)が悪(わる)くなつて来(き)たぢやないか。113もしもあんな奴(やつ)が此処(ここ)へでも、1131やつて来(き)よつたら114忽(たちま)ち地下室(ちかしつ)の太子(たいし)の遭難(さうなん)を看破(かんぱ)し、115俺(おれ)等(たち)を霊縛(れいばく)とやらをかけ倒(たふ)しておき、116肝心(かんじん)の玉(たま)を掻(かつ)攫(さら)へて、117帰(かへ)るかも知(し)れないぞ。118幸(さいはひ)にして外(ほか)の道(みち)を通(とほ)ればいいが、119どうやら馬(うま)に乗(の)つて此方(こちら)に来(く)るやうな塩梅(あんばい)式(しき)だ。120此奴(こいつ)ア何(なん)とか考(かんが)へねばなるまいぞ』
121サーマン『ウン、122いかにも、123身体(からだ)がビクビク慄(ふる)ひ出(だ)して来(き)た。124金玉寺(きんぎよくじ)の和尚(おしやう)が上京(じやうきやう)しさうになつて来(き)たよ』
125カ『向(むか)ふも宣伝使(せんでんし)だ。126宣伝使(せんでんし)を追(おつ)払(ぱら)ふには、127此方(こつち)も宣伝使(せんでんし)の真似(まね)をせなくちやなるまい。128霊(れい)を以(もつ)て霊(れい)に対(たい)し、129体(たい)を以(もつ)て体(たい)に対(たい)し、130力(ちから)を以(もつ)て力(ちから)に対(たい)するのが神軍(しんぐん)の兵法(へいはふ)だからのう』
131サ『宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)へと云(い)つたつて、132俺(おれ)は不断(ふだん)から無信心(ぶしんじん)だからウラル教(けう)の宣伝歌(せんでんか)なんかチツとも知(し)らぬわ。133「飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)や暗(やみ)よ」位(ぐらゐ)は知(し)つてるが、134それから先(さき)はネツカラ記憶(きおく)に存(ぞん)してゐないからな』
135カ『ナーニ、136そこはいい加減(かげん)に出鱈目(でたらめ)を喋(しやべ)るのだ。137声(こゑ)さへさしておけばいいのだ。138余(あま)り明瞭(はつきり)した事(こと)を云(い)ふとアラが見(み)えて却(かへつ)て威厳(ゐげん)のないものだ。139チツタ訳(わけ)の分(わか)らぬ事(こと)を囀(さへづ)る方(はう)が、140余程(よほど)奥(おく)があるやうに見(み)えて、141敵(てき)を退散(たいさん)させるのに最善(さいぜん)の方法(はうはふ)だ。142マア貴様(きさま)から一(ひと)つやつて見(み)よ。143肝心要(かんじんかなめ)の正念場(しやうねんば)になりや、144このカークさまが堂々(だうだう)と言霊(ことたま)を発射(はつしや)するから、145先(ま)づ先陣(せんぢん)として貴様(きさま)が出鱈目(でたらめ)の宣伝歌(せんでんか)をやつて見(み)い。146まだ距離(きより)が遠(とほ)いから何(なに)をやつてもいい、147只(ただ)歌(うた)らしく聞(きこ)へたらよい。148此方(こちら)の歌(うた)が明瞭(はつきり)解(わか)るやうになつたら、149俺(おれ)が本陣(ほんぢん)を承(うけたま)はるのだ。150いいか一(ひと)つやつて見(み)い』
151サ『俺(おれ)や貴様(きさま)の知(し)る通(とほ)り牝鶏(めんどり)だから到底(たうてい)歌(うた)へないよ。152どうか歌(うた)はお前(まへ)の専門(せんもん)にしておいてくれ。153一生(いつしやう)の頼(たの)みだから』
154カ『よし、155歌(うた)へなら俺(おれ)一人(ひとり)で引受(ひきう)けるが、156その代(かは)り、157此(この)間(あひだ)取(と)つた百(ひやく)円(ゑん)の中(うち)二十(にじふ)円(ゑん)は此方(こちら)へ、158歌賃(うたちん)として渡(わた)すだらうな』
159サ『エー、160二十(にじふ)円(ゑん)も出(だ)さにやならぬなら俺(おれ)が歌(うた)つて見(み)せる。161その代(かは)り貴様(きさま)も歌(うた)ふのだぞ。162貴様(きさま)が歌(うた)はねば此方(こちら)へ二十(にじふ)円(ゑん)貰(もら)ふのだ』
163カ『ヨシヨシ164もし俺(おれ)がよう唄(うた)はなんだら百(ひやく)円(ゑん)でもやるわ。165サア歌(うた)つたり歌(うた)つたり、166敵(てき)は間近(まぢか)く押寄(おしよ)せたりだ、167早(はや)く早(はや)く』
168サ『エー、169喧(やかま)しい男(をとこ)だな。170何分(なにぶん)腹(はら)に貯蓄(ちよちく)がないのだから、171さう着々(ちやくちやく)と出(で)るものかい。172嬶(かか)が子(こ)を産(へ)り出(だ)すのは、173随分(ずいぶん)苦(くる)しいと云(い)ふけど、174何(なに)程(ほど)難産(なんざん)と云(い)つても腹(はら)の中(なか)にあるものを出(だ)すのだから易(やす)いものだ。175俺(おれ)等(たち)は腹(はら)にないものを出(だ)すのだから苦(くる)しいものだよ。176アーア二十(にじふ)円(ゑん)の金儲(かねまう)けは辛(つら)いものだな』
177カ『エー、178グヅグヅ言(い)はずに早(はや)く歌(うた)つたり歌(うた)つたり』
179サ『飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)や暗(やみ)よ
180暗(やみ)の後(あと)には月(つき)が出(で)る
181つきはつきぢやが酒(さか)づきぢや
182俺(おれ)のお嬶(かか)のサカヅキは
183何処(どこ)にあるかと尋(たづ)ねたら
184草野(くさの)ケ原(はら)の谷(たに)の底(そこ)
185お舟(ふね)のやうな形(かたち)した
186池(いけ)の真中(まんなか)に島(しま)がある』
187カ『馬鹿(ばか)188そんな宣伝歌(せんでんか)が何(なに)有難(ありがた)い。189もつとしつかり言(い)はぬかい』
190サ『生(うま)れてから初(はじ)めての歌(うた)だもの、191さううまく行(い)くものかい。192さう茶々(ちやちや)を入(い)れない。193サア之(これ)からやり直(なほ)しだ。194しつかり聞(き)け、
195大宮山(おほみややま)の神(かみ)の森(もり)
196千木(ちぎ)高(たか)知(し)りて永久(とこしへ)に
197をさまり玉(たま)ふ神(かみ)さまは
198盤古(ばんこ)神王(しんのう)と云(い)ふ事(こと)だ
199此(この)神(かみ)様(さま)はカラピンの
200大王(だいわう)様(さま)の氏神(うぢがみ)だ
201扨(さ)て此(この)頃(ごろ)は何(なん)として
202あれ丈(だ)け力(ちから)が無(な)いのだらう
203大切(だいじ)の大切(だいじ)の氏子(うぢこ)さま
204カラピン王(わう)のお城(しろ)まで
205飛火(とびひ)が致(いた)して大切(たいせつ)な
206お宝物(たからもの)が焼(や)けたのは
207神(かみ)の守護(しゆご)のない証(しるし)
208今(いま)は洋行(やうかう)が流行(はや)るので
209神王(しんのう)様(さま)も沢山(たくさん)な
210旅費(りよひ)を拵(こしら)へ船(ふね)に乗(の)り
211常世(とこよ)の国(くに)へ渡(わた)つたか
212お宮(みや)の眷族(けんぞく)八咫烏(やたがらす)
213一月前(ひとつきまへ)から一匹(いつぴき)も
214森(もり)でカアカア鳴(な)きよらぬ
215只(ただ)悲(かな)しげに杜鵑(ほととぎす)
216ホヽヽヽヽ亡(ほろ)ぶと鳴(な)いてゐる
217右守(うもり)の司(かみ)に頼(たの)まれて
218カラピン王(わう)の太子(たいし)をば
219懸賞付(けんしやうつき)で縛(しば)り上(あ)げ
220地底(ちてい)の牢獄(らうごく)に繋(つな)いだは
221皆(みな)俺(おれ)等(たち)の功名(こうみやう)だ
222もし神(かみ)さまが厶(ござ)るなら
223氏子(うぢこ)と生(あ)れます太子(たいし)をば
224こんな酷(ひど)い目(め)に会(あ)はしたら
225必(かなら)ず罰(ばち)をあてるだらう
226チツとも祟(たたり)のないのんは
227神(かみ)がお不在(るす)の証(しるし)ぞや
228それ それ それ それ宣伝歌(せんでんか)
229だんだんだんだん近(ちか)うなつた
230オイオイカーク用意(ようい)せよ
231交代(かうたい)時間(じかん)が迫(せま)つたぞ
232俺(おれ)の宣伝歌(せんでんか)は種(たね)ぎれだ
233もう此(この)上(うへ)は逆様(さかさま)に
234振(ふ)つた処(ところ)で虱(しらみ)さへ
235こぼれる気遣(きづか)ひない程(ほど)に
236どうやら鼻血(はなぢ)が落(お)ちさうだ
237胸(むね)と腹(はら)とはガラガラと
238大騒擾(だいさうぜう)が勃発(ぼつぱつ)し
239地震(ぢしん)雷(かみなり)火(ひ)の車(くるま)
240臍(へそ)の辺(あた)りが熱(あつ)うなつた
241お臍(へそ)が茶(ちや)でも沸(わ)かすのか
242暑(あつ)くて苦(くる)しうて堪(たま)らない
243これこの通(とほ)り汗(あせ)が出(で)る
244こら こら こら こらカーク奴(め)
245早(はや)く代(かは)つて歌(うた)はぬか
246白馬(はくば)の姿(すがた)が見(み)え出(だ)した
247どうやら立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)
248此方(こちら)に向(むか)つて来(く)るやうだ
249盤古(ばんこ)神王(しんのう)塩長彦(しほながひこ)の
250不在(るす)の神(かみ)さまシツかりと
251私(わたし)の願(ねがひ)を聞(き)きなされ
252いよいよ歌(うた)の種(たね)ぎれだ
253あゝ叶(かな)はぬ叶(かな)はない
254目玉(めだま)が飛(と)び出(で)て来(く)るやうだ
255オイ、256カーク之(これ)で二十(にじふ)円(ゑん)の価値(ねうち)はあるだらう。257サア早(はや)く貴様(きさま)もやらぬかい。258敵(てき)は間近(まぢか)に押寄(おしよ)せたぢやないか』
259カ『よーし、260俺(おれ)の武者振(むしやぶり)を見(み)て居(を)れ、261立派(りつぱ)な歌(うた)だぞ、262ヘン、
263右守(うもり)の司(かみ)に仕(つか)へたる
264俺(おれ)は誠(まこと)のカークさま
265頭(あたま)をカーク恥(はぢ)をカーク
266終(しま)ひの果(はて)には疥癬(ひぜん)カク
267人(ひと)に礼儀(れいぎ)をカク奴(やつ)は
268俺(おれ)ではないぞや今(いま)ここに
269吠面(ほえづら)かわいて慄(ふる)うてゐる
270小童(こわつぱ)野郎(やらう)のサーマンだ
271カークの如(ごと)き腰抜(こしぬけ)を
272俺(おれ)の相棒(あひぼう)にした奴(やつ)は
273サツパリ向(むか)ふの見(み)えぬ奴(やつ)
274右守(うもり)の司(かみ)も気(き)がきかぬ
275どことはなしに気(き)がおくれ
276向(むか)ふ猪(じし)には矢(や)が立(た)たず
277近(ちか)く聞(きこ)ゆる宣伝歌(せんでんか)
278胸(むね)に響(ひび)いてせつろしい
279いやいやまてまて之(これ)からだ
280捻鉢巻(ねぢはちまき)をリンとしめ
281二(ふた)つの腕(うで)に撚(より)をかけ
282ドンドンドンと四股(しこ)をふみ
283三十六(さんじふろく)俵(ぺう)の真中(まんなか)を
284俺(おれ)が陣屋(ぢんや)と定(さだ)めつつ
285いかなる強(つよ)き敵軍(てきぐん)が
286押(おし)よせ来(く)るも追(おつ)散(ち)らし
287殴(なぐ)り倒(たふ)して吼面(ほえづら)を
288かわかせやるは目(ま)のあたり
289盤古(ばんこ)神王(しんのう)塩長彦(しほながひこ)の
290貴(うづ)の大神(おほかみ)守(まも)りませ
291あゝあ益々(ますます)近(ちか)よつた
292こんな処(ところ)へ宣伝使(せんでんし)
293やつて来(き)たならなんとせう
294どうか彼方(あちら)の方角(はうがく)へ
295迷(まよ)うて行(ゆ)くやうにして欲(ほ)しい
296誠(まこと)の神(かみ)があるならば
297俺(わし)の願(ねがひ)を聞(き)くだらう
298こりやこりやサーマン地下室(ちかしつ)に
299心(こころ)を配(くば)れよ油断(ゆだん)すな
300大切(だいじ)の玉(たま)を奪(と)られては
301後(あと)で言訳(いひわけ)ない程(ほど)に
302あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
303かうなる上(うへ)は地下室(ちかしつ)に
304隠(かく)れて厶(ござ)る太子(たいし)こそ
305却(かへ)つて俺(おれ)より幸福(しあはせ)だ
306ほんとに怪体(けたい)な声(こゑ)がする
307彼奴(あいつ)の歌(うた)を聞(き)く度(たび)に
308腹(はら)はグレグレグレついて
309胸元(むなもと)苦(くるし)く嘔(あ)げさうだ
310俄(にはか)に頭(あたま)が痛(いた)み出(だ)す
311胸(むね)はつかへる腹(はら)痛(いた)む
312足(あし)の付根(つけね)がガクガクと
313遠慮(ゑんりよ)もなしに慄(ふる)ひ出(だ)す
314あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
315僅(わづ)か百(ひやく)両(りやう)の金(かね)貰(もら)うて
316こんな辛(つら)い目(め)をさせられちや
317ほんとに誠(まこと)につまらない
318あの百(ひやく)両(りやう)は玉(たま)の緒(を)の
319命(いのち)一(ひと)つと掛替(かけがへ)だ
320思(おも)へば思(おも)へば俺(おれ)等(たち)の
321命(いのち)はお安(やす)いものだな
322あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
323叶(かな)はぬ叶(かな)はぬ、324到底(たうてい)俺(おれ)等(たち)の挺(てこ)にも棒(ぼう)にも会(あ)ふ代物(しろもの)ではないわ。325一層(いつそう)地下室(ちかしつ)に潜(もぐ)り込(こ)まうか。326却(かへ)つてこんな処(ところ)におると宣伝使(せんでんし)の目(め)につき、327首(くび)つ玉(たま)でも引抜(ひきぬ)かれちや大変(たいへん)だ。328三十六(さんじふろく)計(けい)逃(に)ぐるが奥(おく)の手(て)、329サーマンだつて地下室(ちかしつ)に潜(もぐ)り込(こ)んで土竜(むぐらもち)の真似(まね)をしてゐやがる。330ナーニ俺(おれ)一人(ひとり)頑張(ぐわんば)る必要(ひつえう)があらうか』
331と云(い)ひ乍(なが)ら水車(すいしや)小屋(ごや)の中(なか)に慌(あわただ)しく走(はし)り込(こ)み332ドンドンドンと地下室(ちかしつ)さして降(くだ)り行(ゆ)く。
333(大正一四・一・七 新一・三〇 於月光閣 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→