霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第一三章 春野(はるの)の進行(しんかう)〔一九六九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻 篇:第3篇 葦原新国 よみ(新仮名遣い):あしはらしんこく
章:第13章 春野の進行 よみ(新仮名遣い):はるののしんこう 通し章番号:1969
口述日:1933(昭和8)年12月22日(旧11月6日) 口述場所:大阪分院蒼雲閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
中野河より西の大高原は、朝香比女の神が放った真火の力によって黒こげとなり、晴れ晴れしくなっていた。
しかし中野河以東は草ぼうぼうの原野で、あちこちに大蛇や異様な動物が生息し、深夜になれば作物に害を与えたり、国津神の老人子供を傷つけたりと、まだ平安とはいえない状態であった。
葦原比女は、鷹巣の山の麓にある桜ケ丘という小山に瑞の御舎を造り、邪神の襲来を防ぐために丘の周囲に濠をめぐらし、付近一帯の国津神を守っていた。
だから、五千方里もの広大なこの島も、御樋代神の恵みに浴すことができるのは、わずか四、五方里にすぎなかったのである。御樋代神の権威の及ぶところは、全島のわずか千分の一ほどであった。
常盤の松が生い茂る森に一夜を明かした十二柱の神々一行は、夜が明けるとともに桜ケ丘の聖所さして進んでいった。
真以比古は馬上にこれまでの経緯を読み込んだ述懐の歌を歌った。そして、葦原の新しい国土をこれから開いて行く楽しみを歌いこんだ。
葦原比女の神は、朝香比女の神のいさおしによって、この国が豊葦原の国と開けて行くことを感謝する歌を歌った。そして、顕津男の神が天降りますまでに、この国を開こうと決意を歌った。
朝香比女の神は、勝手に島を焼き払ったことをわび、国津神が住んでいるのを見て、ここに御樋代神が居ることを知ったのだ、と歌った。そして、葦原比女に、国魂神を生むよき日を共に待とう、と歌いかけた。
従者神たち一同も、それぞれ馬上の日長の退屈さに述懐の歌を交わしつつ、日のたそがれるころ、ようやく桜ケ丘の聖所に着いた。迎える多数の国津神たちの敬礼を受け、新しく築かれた八尋殿に上り、月を誉め夜桜をたたえながら、短い春の一夜を過ごした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:3639 OBC :rm7813
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 86頁 修補版: 校定版:219頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 中野河(なかのがは)以西(いせい)の大高原(だいかうげん)は、002朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)が放(はな)ち給(たま)へる真火(まひ)の力(ちから)によりて黒焦(くろこげ)となり、003地上(ちじやう)一片(いつぺん)の枯葉(かれは)も留(とど)めず、004晴々(はればれ)しくなりけれども、005中野河(なかのがは)を劃(くわく)して以東(いとう)は草(くさ)莽々(ばうばう)の原野(げんや)にして彼方(かなた)此方(こなた)に大蛇(をろち)棲息(せいそく)し又(また)は異様(いやう)の動物(どうぶつ)潜伏(せんぷく)して、006深夜(しんや)になれば総(すべ)ての作物(さくもつ)に害(がい)を与(あた)へ或(あるひ)は国津(くにつ)神(かみ)の老幼(らうえう)を傷(きず)つけるなど、007未(いま)だ全(まつた)く平安(へいあん)の域(ゐき)に達(たつ)せざりける。
008 茲(ここ)に御樋代(みひしろ)の神(かみ)とまします葦原(あしはら)比女(ひめ)の神(かみ)は、009鷹巣(たかし)の山(やま)の麓(ふもと)なる桜ケ丘(さくらがをか)と言(い)へる小山(こやま)に瑞(みづ)の御舎(みあらか)を造(つく)り給(たま)ひ、010邪神(じやしん)の襲来(しふらい)を防(ふせ)ぐために丘(をか)の周囲(しうゐ)に濠(ほり)を繞(めぐ)らし、011附近(ふきん)一帯(いつたい)の国津(くにつ)神(かみ)を守(まも)り給(たま)ひつつありける。012故(ゆゑ)に五千(ごせん)方里(はうり)の広袤(くわうぼう)を有(いう)する此(この)島ケ根(しまがね)も、013御樋代(みひしろ)神(がみ)の恵(めぐみ)に浴(よく)し其(その)生(せい)を安(やす)んずる国津(くにつ)神(かみ)及(およ)び諸々(もろもろ)の生物(せいぶつ)は約(やく)四五(しご)方里(はうり)に過(す)ぎず。014要(えう)するに御樋代(みひしろ)神(がみ)の権威(けんゐ)の及(およ)ぶところは全島(ぜんたう)の千分(せんぶん)の一(いち)位(くらゐ)のものなり。
015 常磐(ときは)の松(まつ)生(お)ひ繁(しげ)る野中(のなか)の森(もり)に月(つき)を愛(め)でながら、016一夜(いちや)を明(あか)し給(たま)ひたる女男(めを)十一柱(じふいちはしら)の神(かみ)及(およ)び国津(くにつ)神(かみ)の長(をさ)野槌彦(ぬづちひこ)の一行(いつかう)は、017夜(よ)の明(あ)くると共(とも)に各自(おのもおのも)馬上(ばじやう)にて遥(はる)か東方(とうはう)なる桜ケ丘(さくらがをか)の聖所(すがど)を指(さ)して一目散(いちもくさん)に進(すす)む事(こと)となりけり。
018 真以(まさもち)比古(ひこ)の神(かみ)は真先(まつさき)に立(た)ち、019馬上(ばじやう)ながら歌(うた)はせ給(たま)ふ。
020『今日(けふ)は如何(いか)なる吉(よ)き日(ひ)ぞや
021紫微(しび)天界(てんかい)の真秀良場(まほらば)と
022其(その)名(な)も高(たか)き高地秀(たかちほ)の
023宮居(みや)をはろばろ立(た)ち出(い)でし
024八柱神(やはしらがみ)と現(あ)れませる
025朝香(あさか)の比女(ひめ)の神司(かむづかさ)
026厳(いづ)の雄心(をごころ)振(ふ)り起(おこ)し
027万里(ばんり)の山野(やまぬ)を打(う)ち渉(わた)り
028万里(まで)の海原(うなばら)横(よこ)ぎりつ
029地(つち)まだ稚(わか)き葦原(あしはら)の
030これの島根(しまね)に天降(あも)りまし
031世(よ)にも珍(めづら)し燧石(ひうちいし)
032切(き)り出(い)でたまへばピカピカと
033四方(よも)に飛(と)び散(ち)る火(ひ)の光(ひか)り
034忽(たちま)ち荒野(あらの)の草(くさ)の根(ね)に
035パツと燃(も)えつく折(をり)もあれ
036海原(うなばら)渡(わた)る潮風(しほかぜ)に
037吹(ふ)きあふられて忽(たちま)ちに
038荒野(あらの)ケ原(はら)の叢(くさむら)を
039一潟(いつしや)千里(せんり)に焼(や)き尽(つく)し
040グロノス、ゴロスの曲津見(まがつみ)は
041煙(けむり)にまかれ火(ひ)に焼(や)かれ
042何(なん)とせむ術(すべ)なきままに
043永久(とは)の棲処(すみか)のグロス沼(ぬま)
044水底(みなそこ)深(ふか)く忍(しの)びけり
045朝香(あさか)の比女(ひめ)は悠々(いういう)と
046焼野(やけの)ケ原(はら)を打(う)ち渉(わた)り
047忍ケ丘(しのぶがをか)に夕暮(ゆふぐれ)を
048着(つ)かせたまひつ一夜(ひとよさ)の
049露(つゆ)の宿(やど)りをなしたまひ
050明(あ)くるを待(ま)ちて四柱(よはしら)の
051神(かみ)に曲津(まがつ)の征服(せいふく)を
052依(よ)さしたまへば四柱(よはしら)は
053勇(いさ)み進(すす)んで出(い)でたまひ
054さしもに深(ふか)き沼底(ぬまそこ)に
055潜(ひそ)める曲津(まが)に向(むか)はせて
056天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し
057生言霊(いくことたま)を宣(の)りつれば
058遉(さすが)の曲津(まが)も辟易(へきえき)し
059苦(くる)しみながらも執拗(しつえう)に
060立(た)ち退(の)かむとはせざりしが
061忽(たちま)ち聞(きこ)ゆる唸(うな)り声(ごゑ)
062ウウウーと天地(あめつち)も
063さけなむばかり鋭敏鳴出(うなりづ)の
064神(かみ)の功(いさを)に曲津見(まがつみ)は
065雲(くも)をば起(おこ)し雨(あめ)降(ふ)らし
066竜蛇(りうだ)の正体(しやうたい)現(あら)はして
067鷹巣(たかし)の山(やま)の谷(たに)の間(ま)を
068目(め)ざして霞(かすみ)と逃(に)げさりぬ
069茲(ここ)に四柱(よはしら)神々(かみがみ)は
070忍ケ丘(しのぶがをか)におはします
071朝香(あさか)の比女(ひめ)の御(おん)前(まへ)に
072一伍(いちぶ)一什(しじふ)の物語(ものがたり)
073宣(の)らせたまへば比女神(ひめがみ)は
074其(その)功績(いさをし)を嘉(よみ)しまし
075野槌(ぬづち)の彦(ひこ)と諸共(もろとも)に
076桜ケ丘(さくらがをか)の清庭(すがには)に
077進(すす)みゆかむと密(ひそ)やかに
078経綸(しぐみ)の糸(いと)を繰(く)りたまふ
079道(みち)に当(あた)りし中野河(なかのがは)の
080広(ひろ)き流(なが)れを言霊(ことたま)の
081光(ひかり)に陸地(くがち)となしたまひ
082河(かは)の東(ひがし)に渡(わた)らむと
083思(おも)ほす折(をり)しも吾々(われわれ)は
084葦原(あしはら)比女神(ひめがみ)に従(したが)ひて
085謹(つつし)み出迎(でむかへ)奉(たてまつ)り
086此(この)島ケ根(しまがね)の曲津見(まがつみ)を
087罰(きた)めたまひし鴻恩(こうおん)を
088心(こころ)の限(かぎ)り感謝(かんしや)しつ
089はや黄昏(たそがれ)に近(ちか)づけば
090野中(のなか)の森(もり)の松(まつ)かげに
091月(つき)の一夜(ひとよ)を明(あ)かしつつ
092思(おも)ひ思(おも)ひに語(かた)り合(あ)ひ
093歓(ゑら)ぎ楽(たの)しむ其(その)状(さま)は
094天(あま)の岩戸(いはと)の開(ひら)けたる
095嬉(うれ)しき楽(たの)しき思(おも)ひなり
096東(ひがし)の空(そら)は茜(あかね)さし
097紫雲(しうん)をわけて天津(あまつ)日(ひ)は
098豊栄(とよさか)昇(のぼ)りたまひける
099百鳥(ももどり)千鳥(ちどり)のなく声(こゑ)は
100常世(とこよ)の春(はる)をうたひつつ
101処々(ところどころ)に咲(さ)き香(にほ)ふ
102白梅(しらうめ)の花(はな)美(うる)はしく
103迦陵(かりよう)頻伽(びんが)に送(おく)られて
104真鶴(まなづる)うたふ大野原(おほのはら)を
105十一柱(じふいちはしら)の神々(かみがみ)は
106野槌(ぬづち)の彦(ひこ)を従(したが)へて
107荒野(あらの)ケ原(はら)を渉(わた)りつつ
108桜ケ丘(さくらがをか)の御舎(みあらか)を
109さして進(すす)むぞ勇(いさ)ましき
110ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
111神(かみ)の真言(まこと)の御(おん)経綸(しぐみ)
112吾(われ)等(ら)は謹(つつし)み敬(ゐやま)ひて
113朝(あさ)な夕(ゆふ)なを禊(みそぎ)しつ
114生言霊(いくことたま)の幸(さち)はひに
115豊葦原(とよあしはら)の新国土(にひくに)を
116開(ひら)きゆくこそ楽(たの)しけれ
117桜ケ丘(さくらがをか)も近(ちか)づきて
118吹(ふ)き来(く)る風(かぜ)も芳(かむ)ばしく
119遠野(とほの)の奥(おく)に燃(も)え立(た)てる
120陽炎(かげろひ)豊(ゆたか)に花(はな)の香(か)を
121野辺(のべ)一面(いちめん)に送(おく)るなり
122ああ惟神(かむながら)言霊(ことたま)の
123厳(いづ)の御水火(みいき)に光(ひかり)あれ
124わが言霊(ことたま)に生命(いのち)あれ』
125 葦原(あしはら)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
126『天晴(あは)れ天晴(あは)れ光(ひかり)の神(かみ)はあれましぬ
127葦原(あしはら)の雲(くも)吹(ふ)き払(はら)ひつつ
128二十年(はたとせ)を忍(しの)び忍(しの)びて守(まも)りてし
129この葦原(あしはら)の国土(くに)は生(い)きたり
130朝香(あさか)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)の功績(いさをし)に
131豊葦原(とよあしはら)と開(ひら)けゆくなり
132葦原(あしはら)の中津(なかつ)神国(みくに)は曲津見(まがつみ)の
133朝夕(あさゆふ)荒(すさ)ぶ醜処(しこど)なりける
134醜国(しこくに)も豊葦原(とよあしはら)の安国(やすくに)と
135開(ひら)け行(ゆ)くかも生言霊(いくことたま)に
136顕津男(あきつを)の神(かみ)の天降(あも)らす朝(あさ)迄(まで)に
137開(ひら)きおくべしこの葦原(あしはら)を
138朝香(あさか)比女(ひめ)神(かみ)の賜(たま)ひし燧石(ひうち)こそ
139葦原(あしはら)を開(ひら)く光(ひかり)なりける
140此(この)燧石(ひうち)二十年(はたとせ)前(まへ)に吾(われ)もたば
141この葦原(あしはら)は栄(さか)えしものを
142国津(くにつ)神(かみ)数多(あまた)あれども曲津見(まがつみ)の
143醜(しこ)の奸計(たくみ)に滅(ほろぼ)されける
144桜ケ丘(さくらがをか)宮(みや)の近(ちか)くの国津(くにつ)神(かみ)は
145纔(わづか)に命(いのち)保(たも)ちけるはも
146今日(けふ)よりは国津神(くにつかみ)等(たち)大空(おほぞら)の
147星(ほし)のごとくに生(う)み育(そだ)つべし
148国津(くにつ)神(かみ)よ御子(みこ)を生(う)め生(う)め栄(さか)えよ栄(さか)え
149この葦原(あしはら)は今日(けふ)より安(やす)けし
150四柱(よはしら)の神(かみ)を率(ひき)ゐて天降(あも)らしし
151八柱(やはしら)比女神(ひめがみ)を迎(むか)ふる今日(けふ)かな』
152 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は馬上(ばじやう)豊(ゆたか)に御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
153『葦原(あしはら)比女(ひめ)神(かみ)の領有(うしは)ぐこの島(しま)を
154吾(われ)恣(ほしいまま)に焼(や)き払(はら)ひけり
155主(あるじ)なき島(しま)と思(おも)ひて曲津見(まがつみ)を
156払(はら)ひ退(やら)ふと真火(まひ)を放(はな)ちし
157進(すす)み来(く)れば国津神(くにつかみ)等(ら)の住(す)めるを見(み)て
158葦原(あしはら)比女(ひめ)のおはすと悟(さと)りし
159顕津男(あきつを)の神(かみ)の御許(みもと)に侍(さむ)らふと
160吾(われ)は旅行(たびゆ)く道(みち)すがらにて
161由縁(ゆかり)ある此(この)島ケ根(しまがね)に立寄(たちよ)りて
162御樋代(みひしろ)神(がみ)に会(あ)ひにけらしな
163非時(ときじく)の香具(かぐ)の木(こ)の実(み)ゆ生(あ)れませる
164葦原(あしはら)比女(ひめ)の神(かみ)の清(すが)しさ
165主(ス)の神(かみ)の永久(とは)にまします高宮(たかみや)ゆ
166天降(あも)りし公(きみ)は八十(やそ)比女(ひめ)の神(かみ)
167国々(くにぐに)に八十(やそ)比女神(ひめがみ)を配(くば)りおきて
168国魂(くにたま)生(う)ます主(ス)の神(かみ)天晴(あは)れ
169御樋代(みひしろ)の神(かみ)は何(いづ)れも主(ス)の神(かみ)の
170水火(いき)に生(うま)れし神柱(かむばしら)なる
171かくのごと尊(たふと)き御樋代(みひしろ)神(かみ)をもて
172国魂(くにたま)生(う)ますと瑞霊(ずゐれい)たまひぬ
173大家族(だいかぞく)国(くに)をつくると主(ス)の神(かみ)は
174顕津男(あきつを)の神(かみ)独(ひと)りを依(よ)させり
175御樋代(みひしろ)は主(ス)の神(かみ)の御子(みこ)国魂(くにたま)は
176瑞(みづ)の御霊(みたま)の御子(みこ)なりにけり
177葦原(あしはら)比女(ひめ)神(かみ)よ吉(よ)き日(ひ)を待(ま)たせつつ
178瑞(みづ)の御霊(みたま)と国魂(くにたま)生(う)みませ
179吾(われ)も亦(また)顕津男(あきつを)の神(かみ)の御(おん)許(もと)に
180進(すす)みて国魂(くにたま)生(う)まむとぞ思(おも)ふ
181遥々(はろばろ)と曲神(まがみ)の荒(すさ)ぶ西方(にしかた)の
182国土(くに)に進(すす)まむ吾(われ)なやみつつ』
183 初頭(うぶがみ)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
184『初夏(はつなつ)の野(の)も春弥生(はるやよひ)の心地(ここち)して
185大原(おほはら)の奥(おく)に陽炎(かげろひ)立(た)つも
186陽炎(かげろひ)の燃(も)え立(た)つ野辺(のべ)を駒(こま)並(な)めて
187進(すす)むも楽(たの)し桜ケ丘(さくらがをか)へ
188ぼやぼやと吾(わが)面(おも)を吹(ふ)く風(かぜ)のいきに
189吾目(わがめ)ねむたくなりにけらしな
190駿馬(はやこま)も歩(あゆ)みをゆるめて眠(ねむ)るごと
191大野(おほの)の草(くさ)を分(わ)けつつ進(すす)めり
192駒(こま)の背(せ)にゆるく揺(ゆ)られて知(し)らず識(し)らず
193ねむけ催(もよほ)す春野(はるの)の旅(たび)なり』
194 成山(なりやま)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
195『久方(ひさかた)の高地秀(たかちほ)山(やま)ゆ天降(あも)りましし
196朝香(あさか)の比女神(ひめがみ)迎(むか)ふる嬉(うれ)しさ
197仰(あふ)ぎ見(み)れば鷹巣(たかし)の山(やま)の頂(いただき)は
198紫雲(しうん)の衣(きぬ)をつけて迎(むか)ふる
199野路(のぢ)を吹(ふ)くねむたき風(かぜ)の息(いき)づかひ
200聞(き)きつつ進(すす)む駒(こま)の遅(おそ)きも
201終夜(よもすがら)眠(ねむ)りもやらず月舟(つきふね)の
202下(した)びに遊(あそ)びて睡気(ねむけ)催(もよほ)す』
203 栄春(さかはる)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
204『葦原(あしはら)比女(ひめ)神(かみ)の御供(みとも)に仕(つか)へつつ
205朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)の出(い)でまし迎(むか)へし
206仰(あふ)ぎ見(み)れば朝香(あさか)の比女(ひめ)の御(おん)上(うへ)に
207光(ひか)らせたまへり鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は
208鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は御姿(みすがた)現(あら)はさず
209蔭(かげ)にいそひて守(まも)らせたまへる
210吾(わが)公(きみ)に守(まも)り神(がみ)なし如何(いか)にして
211この葦原(あしはら)を拓(ひら)きますらむ
212さりながら生言霊(いくことたま)の天照(あまて)らす
213国土(くに)にしあれば安(やす)く開(ひら)けむ
214とつおひつ思案(しあん)に暮(く)れて二十年(はたとせ)を
215功績(いさをし)もなく過(す)ぎにけらしな』
216 起立(おきたつ)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
217『狭野(さぬ)の島(しま)と万里(まで)の島ケ根(しまがね)造(つく)りをへし
218朝香(あさか)の比女神(ひめがみ)ここに来(き)ませり
219葦原(あしはら)比女(ひめ)神(かみ)の神業(みわざ)を補(おぎな)ふと
220出(い)でましにけむ朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は
221朝香(あさか)比女(ひめ)神(かみ)に朝夕(あさゆふ)仕(つか)へつつ
222真言(まこと)の光(ひかり)を悟(さと)り得(え)ざるも
223奥底(おくそこ)のわからぬ御稜威(みいづ)を保(たも)ちます
224朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御光(みひかり)なりけり』
225 八栄(やさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
226『桜ケ丘(さくらがをか)の貴(うづ)の宮居(みやゐ)を立(た)ち出(い)でて
227朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)を野(の)に迎(むか)へける
228朝香(あさか)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)を仰(あふ)ぎてゆ
229吾目(わがめ)眩(まぶ)しくなりにけらしな
230言霊(ことたま)の天照(あまて)り渡(わた)す朝香(あさか)比女(ひめ)の
231神(かみ)は光(ひかり)にましましにけり
232初夏(しよか)なれど葦原(あしはら)の国土(くに)は風(かぜ)寒(さむ)く
233桜(さくら)の花(はな)は真盛(まさか)りなりけり
234白梅(しらうめ)と桃(もも)と桜(さくら)の一時(ひととき)に
235桜ケ丘(さくらがをか)の聖所(すがど)に匂(にほ)へり
236せめてもの旅(たび)を慰(なぐさ)めまつるべく
237花(はな)咲(さ)きみつる聖所(すがど)に導(みち)びかむ』
238 立世(たつよ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
239『梅桜(うめさくら)桃(もも)も一度(いちど)に咲(さ)くと言(い)ふ
240珍(うづ)の景色(けしき)を眺(なが)めまほしけれ
241吾(わが)公(きみ)の御供(みとも)に仕(つか)へて百花(ももばな)の
242薫(かを)る聖所(すがど)に進(すす)む楽(たの)しさ
243もやもやと四方(よも)の山野(やまぬ)に霞(かすみ)立(た)ちて
244吹(ふ)き来(く)る風(かぜ)は花(はな)の香(か)包(つつ)めり
245草枕(くさまくら)旅(たび)の宿(やど)りの楽(たの)しさは
246花(はな)の盛(さか)りの春(はる)にあふなり』
247 天晴(あめはれ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
248『吾(わが)公(きみ)は万里(ばんり)の荒野(あらの)を渉(わた)りつつ
249国魂(くにたま)生(う)まむと来(きた)りますかも
250国魂神(くにたまがみ)あれますまでは御(おん)供(とも)に
251吾(われ)仕(つか)へむと従(したが)ひ来(きた)りし
252西方(にしかた)の国土(くに)は遥(はろ)けしさりながら
253神(かみ)の御稜威(みいづ)に進(すす)まむと思(おも)ふ
254葦原(あしはら)のこの浮島(うきしま)の風光(ふうくわう)を
255眺(なが)めて国土(くに)の栄(さかえ)を偲(しの)ぶも
256遠方(をちかた)の遠野(とほの)の奥(おく)に輝(かがや)ける
257眺(なが)めは雲(くも)かも山桜(やまざくら)かも』
258 霊生(たまなり)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
259『目路(めぢ)遠(とほ)く雲(くも)か花(はな)かとまがふなる
260聖所(すがど)に吾(われ)は導(みちび)きゆかむ
261桜ケ丘(さくらがをか)の宮(みや)の聖所(すがど)の美(うる)はしさを
262五柱神(いつはしらがみ)に見(み)せたくぞ思(おも)ふ
263駿馬(はやこま)の脚(あし)を急(いそ)げば黄昏(たそがれ)に
264桜ケ丘(さくらがをか)に帰(かへ)り得(う)べけむ
265夕(ゆふ)されど月(つき)の光(ひかり)のさやかなれば
266桜ケ丘(さくらがをか)にひたに進(すす)まむ』
267 かく神々(かみがみ)は馬上(ばじやう)にて日長(ひなが)の退屈(たいくつ)さに交々(こもごも)御歌(みうた)詠(よ)ませつつ、268其(その)日(ひ)の黄昏(たそが)るる前(まへ)、269漸(やうや)くにして桜ケ丘(さくらがをか)の聖所(すがど)に着(つ)きたまひ、270迎(むか)へまつる数多(あまた)の国津神(くにつかみ)等(たち)の敬礼(けいれい)をうけ、271新(あたら)しく築(きづ)かれし八尋殿(やひろどの)に上(のぼ)りて、272月(つき)を賞(ほ)め夜桜(よざくら)を讃(たた)へながら、273短(みじか)き春(はる)の一夜(ひとよ)を過(すご)させたまひける。
274(昭和八・一二・二二 旧一一・六 於大阪分院蒼雲閣 加藤明子謹録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→