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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第78巻(巳の巻)
序文
第1篇 波濤の神光
第1章 浜辺の訣別
第2章 波上の追懐
第3章 グロスの島
第4章 焼野の行進
第5章 忍ケ丘
第6章 焼野の月
第2篇 焼野ケ原
第7章 四神出陣
第8章 鏡の沼
第9章 邪神征服
第10章 地異天変
第11章 初対面
第12章 月下の宿り
第3篇 葦原新国
第13章 春野の進行
第14章 花見の宴
第15章 聖地惜別
第16章 天降地上
第17章 天任地命
第18章 神嘉言
第19章 春野の御行
第20章 静波の音
第4篇 神戦妖敗
第21章 怪体の島
第22章 歎声仄聞
第23章 天の蒼雲河
第24章 国津神島彦
第25章 歓の島根
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>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第78巻(巳の巻)
> 第4篇 神戦妖敗 > 第21章 怪体の島
<<< 静波の音
(B)
(N)
歎声仄聞 >>>
第二一章
怪体
(
けたい
)
の
島
(
しま
)
〔一九七七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻
篇:
第4篇 神戦妖敗
よみ(新仮名遣い):
しんせんようはい
章:
第21章 怪体の島
よみ(新仮名遣い):
けたいのしま
通し章番号:
1977
口述日:
1933(昭和8)年12月25日(旧11月9日)
口述場所:
大阪分院蒼雲閣
筆録者:
森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
朝香比女の神一行は、葦原比女の神一行に送られ、常磐の浜辺で名残を惜しみつつ、万里の海へとふたたび船出をした。
朝香比女の神一行が舟を南へと進ませていくと、鷹巣の山の頂から黒煙がもうもうと噴出して天に立ち上り、海を指して迫ってきた。黒雲は、グロノス・ゴロスの竜蛇心の形を現して進んできた。
朝香比女の神、初頭比古の神がこの様子に警戒の歌を歌うおりしも、海上に旋風が起こり、一行の乗った磐楠舟は荒波に翻弄され、一進一退どうしようもない羽目に陥った。
しかし、朝香比女の神は平然として微笑しながらこの光景を静かに見つつ、心中に深い成算があるかのようであった。一行の神々は、おのおの少しも恐れずに勇気と祓いの歌を歌い、しばらく望見し落ち着きはらっていた。
すすと、百雷が一時にとどろくようなウーウーウーの唸り声が響き渡り、たちまちに波風は和らいで、あたりを包んでいた魔神の黒雲は薄らいで飛び散り、平静な天地と変わってしまった。
朝香比女の神は、ひそかに祈った言霊によって、鋭敏鳴出の神が現れ、その神力によって曲津神たちを追い払ってしまったことを歌った。従者神たちも、この出来事に述懐の歌をそれぞれ歌った。
しばらくして舟は、海路に横たわる巨大な巌島に近づいた。よくよく見れば、赤・黒さまざまの大蛇が何匹も巌から首を差し出し、大口から火焔の下を吐いて舟を襲おうとするごとくであった。
朝香比女の神はこのありさまに、心穏やかに微笑みながら、この巌島を火の島とするよう、言霊歌を歌った。
すると、高く切り立った周囲約三里の巌島は、たちまち一面が火焔に包まれ、海水は熱湯のように煮えたぎり、大蛇は焼かれ傷つき、あるいは雲を起こして鷹巣の山に逃げ去った。
従者神たちは、この様子を見て驚き感激し、朝香比女の神の言霊の働きを称える歌を歌った。そして、舟は東南に向けて進んでいった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7821
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 131頁
修補版:
校定版:
387頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
002
葦原
(
あしはら
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
一行
(
いつかう
)
に
常磐
(
ときは
)
の
浜辺
(
はまべ
)
まで
送
(
おく
)
られ、
003
互
(
たがひ
)
に
名残
(
なごり
)
りを
惜
(
を
)
しみつつ、
004
朝日
(
あさひ
)
の
照
(
て
)
らふ
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
を
順風
(
じゆんぷう
)
に
乗
(
じやう
)
じ、
005
南
(
みなみ
)
へ
南
(
みなみ
)
へと
舟
(
ふね
)
を
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
しもあれ、
006
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りたる
大空
(
おほぞら
)
の
彼方
(
かなた
)
に
屹立
(
きつりつ
)
したる
鷹巣
(
たかし
)
の
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
より、
007
黒煙
(
こくえん
)
濛々
(
もうもう
)
と
噴火
(
ふんくわ
)
の
如
(
ごと
)
くに
噴
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
して
天
(
てん
)
に
冲
(
ちう
)
し、
008
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
膨
(
ふく
)
れ
拡
(
ひろ
)
ごり、
009
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
さして
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る
状
(
さま
)
、
010
もの
凄
(
すご
)
きばかりなりける。
011
黒雲
(
くろくも
)
はグロノス、
012
ゴロスの
竜蛇神
(
りうだしん
)
の
形
(
かたち
)
を
現
(
あら
)
はし、
013
真
(
ま
)
つ
先
(
さき
)
に
海原
(
うなばら
)
さして
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る
如
(
ごと
)
く
見
(
み
)
えにける。
014
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
打仰
(
うちあふ
)
ぎながら、
015
『
鷹巣山
(
たかしやま
)
尾根
(
をね
)
に
黒雲
(
くろくも
)
涌
(
わ
)
き
立
(
た
)
ちて
016
大空
(
おほぞら
)
高
(
たか
)
く
拡
(
ひろ
)
ごれるがに
見
(
み
)
ゆ
017
鷹巣山
(
たかしやま
)
に
立
(
た
)
つ
黒雲
(
くろくも
)
は
醜神
(
しこがみ
)
の
018
吾
(
われ
)
に
仇
(
あだ
)
せむ
下心
(
したごころ
)
かも
019
澄
(
す
)
みきらふ
御空
(
みそら
)
の
蒼
(
あを
)
を
醜神
(
しこがみ
)
の
020
醜
(
しこ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
ぬりつぶさむとす
021
よしやよし
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
包
(
つつ
)
むとも
022
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
伊吹
(
いぶ
)
き
払
(
はら
)
はむ
023
曲神
(
まがかみ
)
は
棲処
(
すみか
)
焼
(
や
)
かれて
鷹巣山
(
たかしやま
)
に
024
忍
(
しの
)
びて
雲
(
くも
)
となりて
荒
(
すさ
)
ぶも
025
吾
(
わが
)
舟
(
ふね
)
は
魔神
(
まがみ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
に
包
(
つつ
)
まれて
026
行手
(
ゆくて
)
も
見
(
み
)
えずなりにけらしな
027
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
に
生
(
あ
)
れし
吾
(
われ
)
にして
028
如何
(
いか
)
でひるまむ
曲津
(
まが
)
の
荒
(
すさ
)
びに
029
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
荒
(
すさ
)
べば
荒
(
すさ
)
べ
千万
(
ちよろづ
)
の
030
災
(
わざはひ
)
来
(
きた
)
るも
吾
(
われ
)
はひるまじ』
031
初頭
(
うぶがみ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
て
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
032
『グロノスもゴロスも
力
(
ちから
)
のありたけを
033
尽
(
つく
)
して
御舟
(
みふね
)
にさやらむとすも
034
大空
(
おほぞら
)
の
蒼海原
(
あをうなばら
)
をぬりつぶし
035
万里
(
まで
)
の
海
(
うみ
)
まで
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
める
036
よしやよし
黒雲
(
くろくも
)
如何
(
いか
)
に
包
(
つつ
)
むとも
037
海原
(
うなばら
)
分
(
わ
)
けていや
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
かむ
038
曲神
(
まがかみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
水火
(
いき
)
にや
海風
(
うなかぜ
)
は
039
吹
(
ふ
)
き
乱
(
みだ
)
れつつ
御舟
(
みふね
)
ゆするも』
040
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
041
海上
(
かいじやう
)
俄
(
にはか
)
に
旋風
(
せんぷう
)
起
(
おこ
)
り、
042
雲
(
くも
)
は
大
(
だい
)
なる
輪
(
わ
)
を
描
(
ゑが
)
きて
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ひ、
043
磐楠舟
(
いはくすぶね
)
は
荒浪
(
あらなみ
)
に
翻弄
(
ほんろう
)
され、
044
一進
(
いつしん
)
一退
(
いつたい
)
如何
(
いかん
)
ともすべからざる
羽目
(
はめ
)
に
陥
(
おちい
)
りぬ。
045
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
平然
(
へいぜん
)
として
微笑
(
びせう
)
しながら
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
静
(
しづか
)
に
見給
(
みたま
)
ひつつ、
046
心中
(
しんちう
)
に
深
(
ふか
)
き
成算
(
せいさん
)
あるものの
如
(
ごと
)
くに
在
(
おは
)
し
坐
(
ま
)
しける。
047
起立
(
おきたつ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
咫尺
(
しせき
)
弁
(
べん
)
ぜぬ
暴風
(
ばうふう
)
の
海原
(
うなばら
)
を
眺
(
なが
)
めながら、
048
儼然
(
げんぜん
)
として
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
049
『
曲神
(
まがかみ
)
はあらむ
限
(
かぎ
)
りの
暴力
(
ばうりよく
)
を
050
ふるひて
御舟
(
みふね
)
を
顛覆
(
くつがへ
)
さむとす
051
風
(
かぜ
)
も
吹
(
ふ
)
け
浪
(
なみ
)
も
立
(
た
)
て
立
(
た
)
て
雲
(
くも
)
も
起
(
お
)
きよ
052
如何
(
いか
)
で
恐
(
おそ
)
れむ
神
(
かみ
)
なる
吾
(
われ
)
は
053
面白
(
おもしろ
)
く
風
(
かぜ
)
の
海原
(
うなばら
)
に
御
(
おん
)
舟
(
ふね
)
は
054
浮
(
う
)
きつ
沈
(
しづ
)
みつ
上
(
あが
)
りつ
下
(
くだ
)
りつ
055
荒浪
(
あらなみ
)
は
鬣
(
たてがみ
)
振
(
ふる
)
ひ
御
(
おん
)
舟
(
ふね
)
の
056
舷
(
ふなばた
)
きびしく
噛
(
か
)
みつき
来
(
きた
)
るも
057
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
と
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
に
任
(
まか
)
せたる
058
吾身
(
わがみ
)
は
天
(
てん
)
に
任
(
まか
)
すのみなる
059
グロノスやゴロスも
力
(
ちから
)
の
種
(
たね
)
つきて
060
やがて
亡
(
ほろ
)
ばむ
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しも
061
葦原
(
あしはら
)
の
国土
(
くに
)
永遠
(
とことは
)
に
治
(
をさ
)
むべく
062
此
(
この
)
曲津見
(
まがつみ
)
を
罰
(
きた
)
めで
止
(
や
)
まむや』
063
立世
(
たつよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
064
『
奴婆玉
(
ぬばたま
)
の
闇
(
やみ
)
の
海原
(
うなばら
)
に
荒浪
(
あらなみ
)
の
065
立
(
た
)
ちたつ
今日
(
けふ
)
の
旅
(
たび
)
は
勇
(
いさ
)
まし
066
曲津見
(
まがつみ
)
の
荒
(
すさ
)
ぶ
限
(
かぎ
)
りを
荒
(
すさ
)
ばせて
067
吾
(
われ
)
面白
(
おもしろ
)
く
眺
(
なが
)
めむと
思
(
おも
)
ふ
068
荒風
(
あらかぜ
)
の
響
(
ひびき
)
も
高
(
たか
)
き
浪
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
も
069
何
(
なに
)
か
恐
(
おそ
)
れむ
神
(
かみ
)
なる
吾
(
われ
)
は
070
グロノスもゴロスもここを
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
071
命
(
いのち
)
かぎりに
荒
(
すさ
)
ぶと
見
(
み
)
えたり
072
荒
(
すさ
)
ぶだけ
荒
(
すさ
)
ばせ
狂
(
くる
)
はせ
疲
(
つか
)
らせて
073
さて
其
(
そ
)
の
後
(
のち
)
に
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
らむか』
074
天晴
(
あめはれ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
075
『
久方
(
ひさかた
)
の
天
(
あめ
)
を
晴
(
は
)
らしの
吾
(
われ
)
なれば
076
御空
(
みそら
)
の
黒雲
(
くろくも
)
直
(
ただ
)
に
払
(
はら
)
はむ
077
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
078
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
八千万
(
やちよろづ
)
の
079
神
(
かみ
)
よ
集
(
あつ
)
まりましまして
080
今日
(
けふ
)
の
御舟
(
みふね
)
にさやりたる
081
醜
(
しこ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
払
(
はら
)
はせ
給
(
たま
)
へ
082
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
083
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
となふる
言霊
(
ことたま
)
に
084
命
(
いのち
)
あれかし
光
(
ひかり
)
あれかし』
085
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
再
(
ふたた
)
び
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
086
『
面白
(
おもしろ
)
き
醜
(
しこ
)
の
猛
(
たけ
)
びを
見
(
み
)
るものか
087
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
過
(
す
)
ぎ
行
(
ゆ
)
く
度
(
たび
)
に
088
曲神
(
まがかみ
)
もやがて
疲
(
つか
)
れむ
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
089
黒雲
(
くろくも
)
吐
(
は
)
けば
力
(
ちから
)
尽
(
つ
)
きなむ
090
黒雲
(
くろくも
)
を
起
(
おこ
)
し
荒風
(
あらかぜ
)
吹
(
ふ
)
かせつつ
091
吾
(
わが
)
旅立
(
たびだち
)
を
脅
(
おびや
)
かさむとするも
092
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
き
醜
(
しこ
)
の
災
(
わざはひ
)
何
(
なに
)
かあらむ
093
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
ちて
吾
(
われ
)
は
罰
(
きた
)
めむ』
094
斯
(
か
)
く
神々
(
かみがみ
)
は
各自
(
おのもおのも
)
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませつつ、
095
闇
(
やみ
)
の
海
(
うみ
)
の
暴風
(
ばうふう
)
怒濤
(
どたう
)
に
舟
(
ふね
)
を
翻弄
(
ほんろう
)
されながら、
096
神色
(
しんしよく
)
自若
(
じじやく
)
として
少
(
すこ
)
しも
恐
(
おそ
)
れず、
097
暫
(
しば
)
しを
望見
(
ばうけん
)
し
落着
(
おちつ
)
き
居給
(
ゐたま
)
ひける。
098
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へ
百雷
(
ひやくらい
)
の
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
轟
(
とどろ
)
く
如
(
ごと
)
きウーウーウーの
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
り、
099
忽
(
たちま
)
ちにして
荒風
(
あらかぜ
)
は
鉾先
(
ほこさき
)
を
緩
(
ゆる
)
め、
100
浪
(
なみ
)
和
(
やは
)
らぎ
渡
(
わた
)
り、
101
四辺
(
あたり
)
を
包
(
つつ
)
みし
魔神
(
まがみ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
は
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
薄
(
うす
)
らぎつつ
四辺
(
しへん
)
に
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
り、
102
遂
(
つひ
)
には
跡形
(
あとかた
)
も
止
(
とど
)
めず、
103
浪
(
なみ
)
平
(
たひら
)
かに
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
晃々
(
くわうくわう
)
と
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ふ
平静
(
へいせい
)
なる
天地
(
てんち
)
と
変
(
かは
)
りけるぞ
不思議
(
ふしぎ
)
なれ。
104
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
105
『ひそやかにわが
祈
(
いの
)
りたる
言霊
(
ことたま
)
に
106
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
は
現
(
あ
)
れましにけり
107
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
破
(
やぶ
)
られて
108
曲津見
(
まがつみ
)
の
奸計
(
たくみ
)
は
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり
109
荒風
(
あらかぜ
)
を
起
(
おこ
)
し
荒浪
(
あらなみ
)
振
(
ふる
)
はせし
110
曲津
(
まが
)
は
亡
(
ほろ
)
びむ
憐
(
あは
)
れなるかも
111
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
厚
(
あつ
)
き
守
(
まも
)
りと
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
112
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
に
曲津
(
まが
)
は
逃
(
に
)
げたり
113
黒雲
(
くろくも
)
は
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
薄
(
うす
)
らぎて
114
其
(
その
)
影
(
かげ
)
さへも
見
(
み
)
えずなりけり
115
千重
(
ちへ
)
の
浪
(
なみ
)
照
(
て
)
らして
御空
(
みそら
)
ゆ
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
は
116
わが
行
(
ゆ
)
く
舟
(
ふね
)
を
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
ふ
117
曲神
(
まがかみ
)
は
勢
(
いきほひ
)
強
(
つよ
)
く
見
(
み
)
ぬれども
118
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
には
脆
(
もろ
)
きものかな
119
葦原
(
あしはら
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
は
曲津見
(
まがつみ
)
に
120
襲
(
おそ
)
はれ
給
(
たま
)
はむ
思
(
おも
)
へば
愛
(
いと
)
しき
121
さりながら
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
わが
魂
(
たま
)
の
122
いつかひあれば
国土
(
くに
)
安
(
やす
)
からむ
123
海原
(
うなばら
)
は
春
(
はる
)
の
陽気
(
やうき
)
の
漂
(
ただ
)
よひて
124
水面
(
みのも
)
に
跳
(
をど
)
る
魚鱗
(
うろくづ
)
は
光
(
ひか
)
れり』
125
初頭
(
うぶがみ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
莞爾
(
くわんじ
)
として
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
126
『
神々
(
かみがみ
)
の
稜威
(
いづ
)
の
守
(
まも
)
りに
曲津見
(
まがつみ
)
は
127
見
(
み
)
るも
哀
(
あは
)
れに
亡
(
ほろ
)
び
失
(
う
)
せける
128
葦原
(
あしはら
)
の
鷹巣
(
たかし
)
の
山
(
やま
)
の
谷
(
たに
)
深
(
ふか
)
く
129
潜
(
ひそ
)
める
曲
(
まが
)
の
悪戯
(
いたづら
)
可笑
(
をか
)
しも
130
黒雲
(
くろくも
)
の
形
(
かたち
)
はさながらグロノスと
131
ゴロスの
走
(
はし
)
る
姿
(
すがた
)
なりける
132
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
御空
(
みそら
)
は
晴
(
は
)
れて
浪
(
なみ
)
凪
(
な
)
ぎて
133
公
(
きみ
)
の
御舟
(
みふね
)
の
安
(
やす
)
さ
嬉
(
うれ
)
しさ
134
目路
(
めぢ
)
遠
(
とほ
)
く
水
(
み
)
の
面
(
も
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
島影
(
しまかげ
)
は
135
しかと
見
(
み
)
えねど
巌山
(
いはやま
)
なるらし
136
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
と
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
わが
公
(
きみ
)
の
137
御稜威
(
みいづ
)
に
安
(
やす
)
き
磐楠舟
(
いはくすぶね
)
かも』
138
起立
(
おきたつ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
139
『
面白
(
おもしろ
)
き
曲津
(
まが
)
の
芝居
(
しばゐ
)
の
一幕
(
ひとまく
)
を
140
今日
(
けふ
)
の
浪路
(
なみぢ
)
の
旅
(
たび
)
に
見
(
み
)
しかな
141
一時
(
ひととき
)
は
如何
(
いかが
)
ならむかと
村肝
(
むらきも
)
の
142
吾
(
われ
)
は
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ませにける
143
強
(
つよ
)
き
言
(
こと
)
言
(
い
)
ひつつありしが
村肝
(
むらきも
)
の
144
心
(
こころ
)
の
奥
(
おく
)
は
慄
(
ふる
)
ひ
居
(
ゐ
)
たりき
145
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
なかりせば
146
未
(
ま
)
だ
黒雲
(
くろくも
)
はさやり
居
(
ゐ
)
にけむ
147
上下
(
うへした
)
に
公
(
きみ
)
の
召
(
め
)
します
御
(
おん
)
舟
(
ふね
)
を
148
翻弄
(
ほんろう
)
したる
曲浪
(
まがなみ
)
凪
(
な
)
ぎしよ
149
斯
(
か
)
くならば
最早
(
もはや
)
安
(
やす
)
けし
西方
(
にしかた
)
の
150
曲津
(
まがつ
)
の
国土
(
くに
)
にひたに
進
(
すす
)
まむ』
151
立世
(
たつよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
152
『
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
は
驚
(
おどろ
)
きましまさず
153
微笑
(
ほほゑ
)
みいませし
雄々
(
をを
)
しさ
健気
(
けなげ
)
さ
154
海原
(
うなばら
)
を
闇
(
やみ
)
に
包
(
つつ
)
みて
御
(
おん
)
舟
(
ふね
)
を
155
浪
(
なみ
)
に
弄
(
なぶ
)
りし
曲津見
(
まがつ
)
の
悪戯
(
いたづら
)
よ
156
如何
(
いか
)
ならむ
曲津
(
まが
)
の
災
(
わざはひ
)
重
(
かさ
)
ぬとも
157
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
にひたに
進
(
すす
)
まむ
158
鷹巣山
(
たかしやま
)
に
忍
(
しの
)
びてグロノス、ゴロスの
曲津
(
まが
)
は
159
黒雲
(
くろくも
)
となりて
御舟
(
みふね
)
艱
(
なや
)
めぬ』
160
天晴
(
あめはれ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
161
『
久方
(
ひさかた
)
の
天晴
(
あめは
)
れ
渡
(
わた
)
り
月
(
つき
)
も
日
(
ひ
)
も
162
水面
(
みのも
)
に
浮
(
うか
)
びて
湯気
(
ゆげ
)
立
(
た
)
つ
海
(
うみ
)
なり
163
御
(
おん
)
舟
(
ふね
)
は
吹
(
ふ
)
く
春風
(
はるかぜ
)
にすくすくと
164
進
(
すす
)
みましけり
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
を
165
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へて
種々
(
くさぐさ
)
の
166
曲津
(
まが
)
の
悪戯
(
いたづら
)
面白
(
おもしろ
)
く
見
(
み
)
し
167
闇
(
やみ
)
の
海
(
うみ
)
に
荒風
(
あらかぜ
)
も
浪
(
なみ
)
も
駿馬
(
はやこま
)
は
168
恐
(
おそ
)
れず
静
(
しづ
)
かに
嘶
(
いなな
)
きて
居
(
ゐ
)
し
169
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
無心
(
むしん
)
の
駒
(
こま
)
の
幸
(
さち
)
はひを
170
つくづく
覚
(
さと
)
りぬ
荒浪
(
あらし
)
の
海
(
うみ
)
に
171
幾度
(
いくたび
)
も
御舟
(
みふね
)
あやふき
浪
(
なみ
)
の
上
(
へ
)
を
172
無心
(
むしん
)
の
駒
(
こま
)
は
嘶
(
いなな
)
き
歓
(
ゑら
)
ぎつ
173
海路
(
うなぢ
)
走
(
はし
)
るその
苦
(
くる
)
しさに
引替
(
ひきか
)
へて
174
駒
(
こま
)
は
御舟
(
みふね
)
を
喜
(
よろこ
)
びけるにや
175
漸
(
やうや
)
くに
島影
(
しまかげ
)
近
(
ちか
)
くなりにけり
176
魔神
(
まがみ
)
よ
永遠
(
とは
)
に
潜
(
ひそ
)
めるらしも』
177
舟
(
ふね
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
海路
(
うなぢ
)
に
横
(
よこた
)
はる
巨大
(
きよだい
)
なる
巌島
(
いはしま
)
に
近
(
ちか
)
づきぬ。
178
よくよく
見
(
み
)
れば、
179
赤黒
(
あかくろ
)
さまざまの
大蛇
(
をろち
)
幾筋
(
いくすぢ
)
となく
巌
(
いは
)
より
首
(
くび
)
をさし
出
(
い
)
で、
180
長大
(
ちやうだい
)
なる
身体
(
からだ
)
をうねらせながら、
181
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
ひら
)
き
火焔
(
くわえん
)
の
舌
(
した
)
を
吐
(
は
)
き、
182
御舟
(
みふね
)
に
向
(
むか
)
つて
襲
(
おそ
)
はむとする
勢
(
いきほひ
)
を
全力
(
ぜんりよく
)
を
尽
(
つく
)
し
見
(
み
)
せ
居
(
ゐ
)
たりければ、
183
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
はこの
状
(
さま
)
を
御覧
(
みそなは
)
して、
184
心
(
こころ
)
穏
(
おだ
)
ひに
微笑
(
ほほゑ
)
みつつ
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
185
『
此処
(
ここ
)
も
亦
(
また
)
魔神
(
まがみ
)
の
巣
(
す
)
ぐふ
巌島
(
いはしま
)
の
186
醜
(
しこ
)
の
大蛇
(
をろち
)
はさやらむとすも
187
醜神
(
しこがみ
)
は
如何
(
いか
)
にさやぐも
猛
(
たけ
)
ぶとも
188
神
(
かみ
)
なる
吾
(
われ
)
は
恐
(
おそ
)
るべきやも
189
曲神
(
まがかみ
)
を
言向
(
ことむ
)
けまたは
罰
(
きた
)
めつつ
190
神
(
かみ
)
のまにまに
進
(
すす
)
む
吾
(
われ
)
なり
191
千丈
(
せんぢやう
)
の
巌
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
より
長々
(
ながなが
)
と
192
大口
(
おほぐち
)
開
(
あ
)
けて
大蛇
(
をろち
)
は
火
(
ひ
)
を
吹
(
ふ
)
けり
193
千百
(
せんひやく
)
の
大蛇
(
をろち
)
が
一度
(
いちど
)
に
吐
(
は
)
き
出
(
いだ
)
す
194
炎
(
ほのほ
)
は
青
(
あを
)
く
真火
(
まひ
)
にはあらず
195
吾
(
わが
)
伊行
(
いゆ
)
く
道
(
みち
)
にさやらむ
曲津見
(
まがつみ
)
は
196
生言霊
(
いくことたま
)
に
放
(
はふ
)
りて
行
(
ゆ
)
かむ
197
草木
(
くさき
)
一
(
ひと
)
つ
無
(
な
)
き
巌山
(
いはやま
)
に
真火
(
まひ
)
を
避
(
さ
)
けて
198
ここを
先途
(
せんど
)
と
曲津見
(
まがつみ
)
潜
(
ひそ
)
める
199
さりながら
生言霊
(
いくことたま
)
の
御功
(
みいさを
)
に
200
この
巌山
(
いはやま
)
を
火
(
ひ
)
の
島
(
しま
)
とせむ。
201
いろはにほへとちりぬるを
202
わかよたれそつねならむ
203
うゐのおくやまけふこえて
204
あさきゆめみしゑひもせす
205
きやうの
浪路
(
なみぢ
)
の
旅立
(
たびだ
)
ちに
206
さやらむ
曲津
(
まが
)
は
悉
(
ことごと
)
く
207
生言霊
(
いくことたま
)
の
御功
(
みいさを
)
に
208
伊吹
(
いぶ
)
き
払
(
はら
)
ひて
追
(
お
)
ひそけつ
209
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
かむわざ
)
に
210
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ
惟神
(
かむながら
)
211
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
生言霊
(
いくことたま
)
を
212
捧
(
ささ
)
げて
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
213
もしも
曲神
(
まがかみ
)
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
214
従
(
まつろ
)
はずしてさやりなば
215
この
巌島
(
いはしま
)
は
悉
(
ことごと
)
く
216
真火
(
まひ
)
を
起
(
おこ
)
して
灼熱
(
しやくねつ
)
の
217
炎
(
ほのほ
)
に
残
(
のこ
)
らず
焼
(
や
)
き
尽
(
つく
)
し
218
曲津
(
まが
)
の
在処
(
ありか
)
を
絶
(
たや
)
すべし
219
カコクケキ
220
カの
言霊
(
ことたま
)
に
真火
(
まひ
)
出
(
い
)
でて
221
さしもに
堅
(
かた
)
き
巌山
(
いはやま
)
も
222
火
(
ひ
)
の
海
(
うみ
)
とならむ
惟神
(
かむながら
)
223
曲津見
(
まがつみ
)
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めて
224
弥永久
(
いやとこしへ
)
に
此
(
この
)
島
(
しま
)
の
225
守
(
まも
)
りの
神
(
かみ
)
となれよかし
226
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
227
生言霊
(
いくことたま
)
に
光
(
ひかり
)
あれ
228
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
命
(
いのち
)
あれよ。
229
海中
(
わだなか
)
に
聳
(
そそ
)
り
立
(
た
)
ちたる
巌島
(
いはしま
)
に
230
潜
(
ひそ
)
む
大蛇
(
をろち
)
を
焼
(
や
)
きて
進
(
すす
)
まむ
231
巌島
(
いはしま
)
はカの
言霊
(
ことたま
)
の
輝
(
かがや
)
きに
232
残
(
のこ
)
らず
火
(
ひ
)
となれ
炎
(
ほのほ
)
となれよ』
233
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふや、
234
千尋
(
ちひろ
)
の
海底
(
かいてい
)
より
御空
(
みそら
)
に
高
(
たか
)
く
屹立
(
きつりつ
)
したる
周囲
(
しうゐ
)
約
(
やく
)
三
(
さん
)
里
(
り
)
の
巌島
(
いはしま
)
も、
235
忽
(
たちま
)
ち
一面
(
いちめん
)
に
火焔
(
くわえん
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
236
海水
(
かいすゐ
)
は
熱湯
(
ねつたう
)
の
如
(
ごと
)
く
煮
(
に
)
えくり
返
(
かへ
)
り、
237
湯気
(
ゆげ
)
と
煙
(
けむり
)
は
四辺
(
しへん
)
を
包
(
つつ
)
みて
其
(
その
)
壮観
(
さうくわん
)
譬
(
たと
)
ふるに
物
(
もの
)
なく、
238
大蛇
(
をろち
)
は
或
(
あるひ
)
は
焼
(
や
)
かれ
或
(
あるひ
)
は
傷
(
きずつ
)
き
或
(
あるひ
)
は
命
(
いのち
)
からがら
雲
(
くも
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
し、
239
辛
(
から
)
うじて
是
(
これ
)
に
乗
(
じやう
)
じ、
240
鷹巣
(
たかし
)
の
山
(
やま
)
の
空
(
そら
)
を
指
(
さ
)
して
逃
(
に
)
げ
行
(
ゆ
)
きにける。
241
巌島
(
いはしま
)
は
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
に
根底
(
こんてい
)
より
焼
(
や
)
き
尽
(
つく
)
され、
242
海水
(
かいすゐ
)
は
熱湯
(
ねつたう
)
の
如
(
ごと
)
く
沸騰
(
ふつとう
)
し
湯気
(
ゆげ
)
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
りぬ。
243
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
て
初頭
(
うぶがみ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
感激
(
かんげき
)
に
堪
(
た
)
へず、
244
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
245
『
今更
(
いまさら
)
に
吾
(
われ
)
驚
(
おどろ
)
きぬ
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
246
生言霊
(
いくことたま
)
に
島
(
しま
)
は
滅
(
ほろ
)
びぬ
247
八千尋
(
やちひろ
)
の
底
(
そこ
)
の
巌根
(
いはね
)
も
火
(
ひ
)
となりて
248
焼滅
(
せうめつ
)
しにけり
公
(
きみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
に
249
いつまでもグロノス、ゴロスの
執拗
(
しつえう
)
さ
250
思
(
おも
)
へば
吾
(
われ
)
は
憐
(
あは
)
れを
催
(
もよほ
)
す
251
永遠
(
とことは
)
に
動
(
うご
)
かぬ
巌根
(
いはね
)
も
吾
(
わが
)
公
(
きみ
)
の
252
生言霊
(
いくことたま
)
にかなはざりしよ
253
巌ケ根
(
いはがね
)
は
残
(
のこ
)
らず
火
(
ひ
)
となり
湯気
(
ゆげ
)
となり
254
煙
(
けむり
)
となりし
時
(
とき
)
の
見事
(
みごと
)
さ
255
面白
(
おもしろ
)
き
公
(
きみ
)
の
神業
(
かむわざ
)
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
み
256
この
天地
(
あめつち
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
を
悟
(
さと
)
りぬ
257
吾
(
わが
)
公
(
きみ
)
の
功績
(
いさをし
)
見
(
み
)
れば
初頭
(
うぶがみ
)
比古
(
ひこ
)
258
吾
(
われ
)
は
小
(
ちひ
)
さき
神
(
かみ
)
にぞありける
259
曲津見
(
まがつみ
)
は
巌
(
いはほ
)
の
山
(
やま
)
と
変
(
へん
)
じつつ
260
公
(
きみ
)
の
海路
(
うなぢ
)
の
旅
(
たび
)
にさやりし
261
心地
(
ここち
)
よく
曲
(
まが
)
の
化身
(
けしん
)
の
巌島
(
いはしま
)
は
262
生言霊
(
いくことたま
)
に
滅
(
ほろ
)
びぬるかな
263
カコクケキ
生言霊
(
いくことたま
)
の
幸
(
さち
)
はひに
264
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
巌
(
いはほ
)
も
焼
(
や
)
けたり』
265
起立
(
おきたつ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
266
『
尊
(
たふと
)
さに
吾
(
われ
)
は
言葉
(
ことば
)
も
口籠
(
くちごも
)
り
267
あきれ
慄
(
をのの
)
くばかりなりけり
268
今更
(
いまさら
)
に
生言霊
(
いくことたま
)
の
尊
(
たふと
)
さを
269
思
(
おも
)
ひけるかな
海路
(
うなぢ
)
の
旅
(
たび
)
に
270
炎々
(
えんえん
)
と
巌島
(
いはしま
)
焼
(
も
)
ゆる
状
(
さま
)
見
(
み
)
つつ
271
今更
(
いまさら
)
の
如
(
ごと
)
驚
(
おどろ
)
き
止
(
や
)
まずも
272
巌
(
いは
)
の
上
(
へ
)
に
千万
(
ちよろづ
)
の
大蛇
(
をろち
)
垂
(
た
)
れかかり
273
大口
(
おほぐち
)
開
(
あ
)
けて
炎
(
ほのほ
)
を
吐
(
は
)
きける
274
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
曲津
(
まが
)
の
猛
(
たけ
)
びも
平然
(
へいぜん
)
と
275
公
(
きみ
)
は
微笑
(
ほほゑ
)
み
御覧
(
みそなは
)
しける
276
曲津見
(
まがつみ
)
は
四度
(
よたび
)
破
(
やぶ
)
れて
同輩
(
ともがら
)
を
277
数多
(
あまた
)
失
(
うしな
)
ひ
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りにける
278
いや
広
(
ひろ
)
に
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
の
幸
(
さち
)
はひて
279
この
天地
(
あめつち
)
は
拓
(
ひら
)
け
行
(
ゆ
)
くらむ』
280
立世
(
たつよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
281
『
今更
(
いまさら
)
に
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
の
吾
(
わが
)
公
(
きみ
)
の
282
いみじき
功
(
いさを
)
を
驚
(
おどろ
)
きにけり
283
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
光
(
ひかり
)
と
功
(
いさを
)
の
吾
(
わが
)
公
(
きみ
)
に
284
仕
(
つか
)
へて
進
(
すす
)
まむ
思
(
おも
)
へば
嬉
(
うれ
)
しき
285
心
(
こころ
)
弱
(
よわ
)
き
女神
(
めがみ
)
の
吾
(
われ
)
も
魂
(
たま
)
太
(
ふと
)
り
286
いみじき
力
(
ちから
)
を
賜
(
たま
)
はりにける』
287
天晴
(
あめはれ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
288
『
跡形
(
あとかた
)
もなく
滅
(
ほろ
)
びたる
曲津見
(
まがつみ
)
の
289
化身
(
けしん
)
の
巌
(
いは
)
の
跡
(
あと
)
に
湯気
(
ゆげ
)
立
(
た
)
つ
290
曲津見
(
まがつみ
)
は
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
に
浪
(
なみ
)
を
立
(
た
)
て
291
雲
(
くも
)
を
起
(
おこ
)
して
雄猛
(
をたけ
)
びにける
292
曲津見
(
まがつみ
)
の
雄猛
(
をたけ
)
び
煙
(
けむり
)
となりにけり
293
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
生言霊
(
いくことたま
)
に
294
浪路
(
なみぢ
)
はるけき
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
安々
(
やすやす
)
と
295
公
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へて
渡
(
わた
)
らふ
楽
(
たの
)
しさ
296
カコクケキ
生言霊
(
いくことたま
)
の
御光
(
みひかり
)
は
297
千引
(
ちびき
)
の
巌ケ根
(
いはがね
)
さへも
焼
(
や
)
きたり
298
巌島
(
いはしま
)
の
燃
(
も
)
ゆる
火影
(
ひかげ
)
はあかあかと
299
海底
(
うなぞこ
)
までも
輝
(
かがや
)
きしはや』
300
斯
(
か
)
く
各自
(
おのもおのも
)
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませつつ、
301
順風
(
じゆんぷう
)
に
乗
(
の
)
り
舟
(
ふね
)
の
舳
(
へさき
)
を
東南
(
とうなん
)
に
向
(
む
)
け
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
302
(
昭和八・一二・二五
旧一一・九
於大阪分院蒼雲閣
森良仁
謹録)
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